特開2017-229115(P2017-229115A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧
<>
  • 特開2017229115-モータ制御装置 図000003
  • 特開2017229115-モータ制御装置 図000004
  • 特開2017229115-モータ制御装置 図000005
  • 特開2017229115-モータ制御装置 図000006
  • 特開2017229115-モータ制御装置 図000007
  • 特開2017229115-モータ制御装置 図000008
  • 特開2017229115-モータ制御装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-229115(P2017-229115A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20171201BHJP
   H02P 29/024 20160101ALI20171201BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20171201BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20171201BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20171201BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20171201BHJP
【FI】
   H02P27/08
   H02P29/024
   B62D5/04
   B62D6/00
   B62D101:00
   B62D119:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-121842(P2016-121842)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】古藤 哲也
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
5H501
5H505
【Fターム(参考)】
3D232CC32
3D232CC38
3D232DA15
3D232DA23
3D232DA63
3D232DA64
3D232DA65
3D232DC09
3D232DC10
3D232DC33
3D232DC34
3D232DD10
3D232DD17
3D232EB11
3D232EC23
3D232GG01
3D333CB02
3D333CB13
3D333CD51
3D333CD60
3D333CE08
3D333CE30
3D333CE39
5H501AA20
5H501BB08
5H501BB09
5H501CC04
5H501DD01
5H501GG05
5H501HA06
5H501HB07
5H501HB16
5H501JJ03
5H501JJ16
5H501JJ17
5H501JJ18
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL32
5H501LL35
5H501LL52
5H501MM06
5H501MM09
5H501PP02
5H505AA16
5H505BB06
5H505BB07
5H505CC04
5H505DD03
5H505EE49
5H505GG04
5H505HA07
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ16
5H505JJ17
5H505JJ18
5H505JJ29
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL38
5H505LL41
5H505LL55
5H505LL58
5H505MM07
5H505MM12
5H505PP01
(57)【要約】
【課題】モータ制御のためのソフトウェア処理の負荷を増加させることなく、故障に至る原因を分析するための十分な制御データを保存可能なモータ制御装置を提供する。
【解決手段】モータ制御装置20は、モータ17の制御に用いる最新の制御データを記憶する第1記憶領域68、および、現在から過去に遡る所定期間の制御データ群を記憶する第2記憶領域69を有する一時記憶部61と、第1記憶領域68の制御データに基づきモータ17を制御するモータ制御部63と、キャリア信号の所定のタイミングに同期して、モータ制御部63を介さず直接に一時記憶部61にアクセスして第1記憶領域68の制御データを第2記憶領域69に転送するデータ転送部64とを備える。そのため、データ転送中もモータ制御部63が処理を継続可能であるとともに、異常検出時には少なくともそれ以前の所定期間分の制御データを得ることができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令信号とキャリア信号との比較結果に応じて生成されるPWM信号を用いてインバータ回路(34)のスイッチング素子を駆動して、モータ(17)の回転またはトルクを制御するモータ制御装置(20)であって、
前記モータの制御に用いる最新の制御データを記憶する第1記憶領域(68)、および、現在から過去に遡る所定期間の制御データ群を記憶する第2記憶領域(69)を有する一時記憶部(61)と、
前記第1記憶領域の制御データに基づき前記モータを制御するモータ制御部(63)と、
前記キャリア信号の所定のタイミングに同期して、前記モータ制御部を介さず直接に前記一時記憶部にアクセスして前記第1記憶領域の制御データを前記第2記憶領域に転送するデータ転送部(64)と、
を備えるモータ制御装置。
【請求項2】
前記データ転送部は、前記第1記憶領域の制御データを前記第2記憶領域に転送する頻度を前記キャリア信号の周波数に応じて変化させる請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記所定期間あるいはそれ以上の期間の制御データ群を保存する不揮発性メモリ(32)と、
前記第2記憶領域の制御データ群を前記不揮発性メモリに保存するデータ保存部(66)と、
をさらに備える請求項1または2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記モータ制御装置の異常を検出する異常検出部(65)をさらに備えており、
前記不揮発性メモリは、複数のデータ保存領域(51)を有しており、
前記データ保存部は、前記モータ制御装置の異常が検出されたとき、データ保存先を別のデータ保存領域に切り替える請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記データ保存部は、
前記モータ制御装置の異常が検出されたとき、異常検出時刻を保存してからデータ保存先を別のデータ保存領域に切り替え、
データ保存先を切り替えるとき、全ての前記データ保存領域に制御データが保存されている場合には、異常検出時刻の最も古い制御データが保存されているデータ保存領域に切り替える請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記データ保存部は、
前記モータ制御装置の異常が検出されたとき、異常検出重要度を保存してからデータ保存先を別のデータ保存領域に切り替え、
データ保存先を切り替えるとき、全ての前記データ保存領域に制御データが保存されている場合、異常検出重要度の最も低い制御データが保存されているデータ保存領域に切り替える請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
前記データ保存部は、
前記モータ制御装置の異常が検出されたとき、異常検出時刻および異常検出重要度を保存してからデータ保存先を別のデータ保存領域に切り替え、
データ保存先を切り替えるとき、全ての前記データ保存領域に制御データが保存されている場合には、異常検出重要度の最も低い制御データが保存されているデータ保存領域に切り替え、
データ保存先を切り替えるとき、全ての前記データ保存領域に制御データが保存されており、且つ、異常検出重要度の最も低い制御データが保存されているデータ保存領域が複数ある場合には、異常検出時刻の最も古い制御データが保存されているデータ保存領域に切り替える請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項8】
前記データ保存領域は、前記第2記憶領域よりも容量が大きく、
前記データ保存部は、前記所定期間よりも長い期間の制御データ群を前記データ保存領域に保存する請求項3〜7のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを制御するモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PWM信号を用いてインバータ回路のスイッチング素子を駆動してモータの回転またはトルクを制御するモータ制御装置が知られている。この種のモータ制御装置では、異常が検出されたときのモータ制御用の制御データを故障解析用として保存するように構成されている。
【0003】
例えば特許文献1では、ランダムアクセスメモリが2つの記憶領域を有しており、異常検出前には一方の記憶領域が通常処理に使用される。通常処理に使用される記憶領域には制御データが記憶され、当該制御データは常に最新のデータに更新される。そして、異常が検出されたとき、通常処理に使用する領域を他方の記憶領域に切り替えて、一方の記憶領域に記憶されている異常検出時点の制御データを故障解析用とする。これにより、故障解析用の制御データを他の領域に転送する時間を削減して、モータ制御のためのソフトウェア処理の負荷低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−269458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、異常検出された瞬間の制御データしか得ることができない。この瞬間の制御データは、故障箇所を特定することは可能であるが、故障に至る原因を分析することは困難である。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータ制御のためのソフトウェア処理の負荷を増加させることなく、故障に至る原因を分析するための十分な制御データを保存することができるモータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、指令信号とキャリア信号との比較結果に応じて生成されるPWM信号を用いてインバータ回路のスイッチング素子を駆動して、モータの回転またはトルクを制御するモータ制御装置であって、一時記憶部と、モータ制御部と、データ転送部とを備える。一時記憶部は、モータの制御に用いる最新の制御データを記憶する第1記憶領域、および、現在から過去に遡る所定期間の制御データ群を記憶する第2記憶領域を有する。モータ制御部は、第1記憶領域の制御データに基づきモータを制御する。データ転送部は、キャリア信号の所定のタイミングに同期して、モータ制御部を介さず直接に一時記憶部にアクセスして第1記憶領域の制御データを第2記憶領域に転送する。
【0007】
以上より、本発明では、データ転送部がモータ制御部を介さず直接一時記憶部にアクセスしてデータ転送を行うので、データ転送中もモータ制御部がモータ制御のためのソフトウェア処理を継続可能である。また、現在から過去に遡る所定期間の制御データ群が一時記憶部の第2記憶領域に記憶されるので、異常検出時には少なくともそれ以前の所定期間分の制御データを得ることができる。したがって、モータ制御のためのソフトウェア処理の負荷を増加させることなく、故障に至る原因を分析するための十分な制御データを保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態によるモータ制御装置が適用された車両用の電動ステアリング装置を示す図である。
図2図1のモータ制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図3図1のMCUが有する機能部を説明するブロック図である。
図4図3のデータ転送部が第1記憶領域の制御データを第2記憶領域に転送する頻度を説明する図である。
図5図3のデータ保存部によるフラッシュメモリの使用方法を説明する図である。
図6図3のデータ保存部が制御データをフラッシュメモリに保存する処理を説明するフローチャートである。
図7図3のデータ保存部がフラッシュメモリのデータ保存先を切り替える処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[一実施形態]
本発明の一実施形態によるモータ制御装置は、図1の車両用の電動パワーステアリング装置10に適用されている。図1において、ハンドル11のコラム軸12は、ユニバーサルジョイント13、14およびピニオンラック機構15を介してタイロッド16に連結されている。コラム軸12には、ハンドル11の操舵力を補助するモータ17が減速ギア18を介して連結されている。モータ制御装置20は、トルクセンサ21により検出された操舵トルクと車速センサ22により検出された車速とに基づき、モータ17に流す電流の指令値(以下、電流指令値)を演算する。そして、モータ制御装置20は、モータ17に実際に流れている電流の検出値(以下、電流検出値)が電流指令値に追従するようにモータ17を制御する。
【0010】
(モータ制御装置20の構成)
先ず、モータ制御装置20の構成について図2を参照して説明する。
モータ制御装置20は、MCU(マイクロコントロールユニット)31と、フラッシュメモリ32と、ドライバ回路33と、インバータ34と、電流検出回路35と、位置検出回路36と、電圧検出回路37とを備えている。モータ制御装置20は、PWM信号を用いてインバータ34のスイッチング素子を駆動することによりモータ17のトルク等を制御する。PWM信号は、三角波比較方式により生成される。
【0011】
MCU31は、CPU41、ROM42、RAM43、Timer44、CAN45、A/D変換器46、DMAC(ダイレクトアクセスコントローラ)47、I/F(インターフェース)48、バス49等を備えている。CPU41は、ROM42に格納されたプログラムを実行して電動パワーステアリング装置10を制御する。ROM42は、CPU41が実行する各種プログラム、例えばモータ17を制御するためのプログラム、および、電動パワーステアリング装置10の故障を検出するためのプログラム等を格納している。RAM43は、モータ制御に用いられる制御データ等を一時記憶するメインメモリである。制御データには、操舵トルク、車速、電流検出値、モータ回転角、各種処理の結果等のデータが含まれる。DMAC47は、CPU41を介さず直接RAM43およびフラッシュメモリ32等にアクセスしてデータ転送を行う。
【0012】
フラッシュメモリ32は、電源を切っても記憶内容を保持する不揮発性メモリであり、故障解析用の制御データを保存するn個のデータ保存領域511、512・・・51nを有している。以下において、データ保存領域511、512・・・51nを特に区別しないとき単にデータ保存領域51と記載する。
ドライバ回路33は、MCU31から入力される電流指令信号(すなわち、Su、Sv、Sw)と三角波キャリア信号との比較結果に応じてPWM信号(すなわち、Up、Un、Vp、Vn、Wp、Wn)を生成する。PWM信号は、電流指令信号が三角波キャリア信号よりも高ければON、低ければOFFとなる信号である。
【0013】
インバータ34は、Hブリッジ回路を構成する図示しない6つのスイッチング素子を有しており、ドライバ回路33から入力されるPWM信号に従い上記スイッチング素子をオンオフすることにより、モータ17の各相巻線への通電を順次切り替える。PWM信号のオンの時間幅(デューティ)が周期的に変化させられることにより、モータ駆動に最適な交流電圧が作られる。
電流検出回路35は、Hブリッジ回路のシャント抵抗52、53に接続されており、モータ17に実際に流れる電流を検出する。
【0014】
位置検出回路36は、例えばレゾルバ等から構成される位置センサ54に接続されており、位置センサ54の出力信号をモータ回転角信号として出力する。
電圧検出回路37は、バッテリー55からインバータ34に印加されている電圧(以下、VH電圧)を検出する。
【0015】
(MCU31の機能)
次に、MCU31が有する機能について図3図5を参照して説明する。
図3に示すように、MCU31は、一時記憶部61と、データ更新部62と、モータ制御部63と、データ転送部64と、異常検出部65と、データ保存部66とを備えている。
【0016】
一時記憶部61は、RAM43により構成されており、第1記憶領域68および第2記憶領域69を有している。第1記憶領域68は、モータ17の制御に用いる最新の制御データを記憶する。第2記憶領域69は、現在から過去に遡る所定期間の制御データ群(すなわち、制御データの集まり)を記憶する。
【0017】
データ更新部62は、CPU41により構成されており、第1記憶領域68の制御データを最新のものに更新するデータ更新処理を行う。
モータ制御部63は、CPU41により構成されており、第1記憶領域68の制御データに基づきモータ17を制御するモータ制御処理を行う。具体的には、例えば、操舵トルクと車速とに基づき電流指令値を演算する。
【0018】
データ転送部64は、DMAC47により構成されており、MCU31のタイマー機能により生成される三角波キャリア信号の所定のタイミングに同期して、モータ制御部63を介さず直接に一時記憶部61にアクセスして第1記憶領域68の制御データを第2記憶領域69に転送(コピー)する。第2記憶領域69へのデータコピーは、リングバッファー処理(すなわち、最終アドレスに到達したら先頭アドレスに戻す処理)により行われる。データ転送処理中もモータ制御処理は継続される。
【0019】
上記所定のタイミングは、三角波キャリア信号の山または谷に対応するタイミングである。三角波キャリア信号は、波形が時間と共に一定傾きの上昇と下降とを繰り返す信号である。三角波キャリア信号の山とは、1周期分の波形のうち最も上がったところを指し、また、三角波キャリア信号の谷とは、1周期分の波形のうち最も下がったところを指す。本実施形態では、データ転送部64は、第1記憶領域68の制御データを第2記憶領域69に転送する頻度(以下、データ転送頻度)を、三角波キャリア信号の周波数に応じて図4に示すように変化させる。つまり、データ転送頻度は、三角波キャリア信号の周波数に応じて、三角波キャリア信号の半周期に1回、1周期に1回、2周期に1回・・・N周期に1回の中から適宜選択される。
【0020】
図3に戻って、異常検出部65は、各種センサのデータ等に基づきモータ制御装置20の異常を検出する。上記異常には、例えばインバータ34のスイッチング素子の短絡故障などがある。
【0021】
データ保存部66は、DMAC47により構成されており、第2記憶領域69に所定のデータ量が貯まった時点で、未保存の制御データをフラッシュメモリ32に保存する。データ保存部66によるデータ保存処理は、モータ制御処理よりも優先度の低いタスクにて実行される。フラッシュメモリ32のデータ保存領域511、512・・・51nは、第2記憶領域69よりも容量が大きい。データ保存部66は、データ保存先をデータ保存領域511、512・・・51nのいずれか1つに切り替えて、前記所定期間よりも長い期間の制御データ群をデータ保存領域51に保存する。データ保存領域51へのデータコピーは、リングバッファー処理により行われる。
【0022】
本実施形態では、データ保存部66は、モータ制御装置20の異常が検出されたとき、図5に示すように異常検出時刻、および、検出された異常の重要度(以下、異常検出重要度)を保存してから、データ保存先を別のデータ保存領域51に切り替える。そして、データ保存先を切り替えるとき、全てのデータ保存領域51に制御データが保存されている場合には、異常検出重要度の最も低い制御データが保存されているデータ保存領域51に切り替える。また、データ保存先を切り替えるとき、全てのデータ保存領域51に制御データが保存されており、かつ、異常検出重要度の最も低い制御データが保存されているデータ保存領域51が複数ある場合には、異常検出時刻の最も古い制御データが保存されているデータ保存領域51に切り替える。
【0023】
(データ保存部66が実行する処理)
次に、データ保存部66が実行する処理について図6および図7を参照して説明する。
図6は、制御データをフラッシュメモリ32に保存する処理である。図6のステップS1では、第2記憶領域69に記憶されている制御データ群のうちフラッシュメモリ32に未保存のデータ量が所定量(保存実行閾値)以上であるか否かが判定される。未保存のデータ量が所定のデータ量以上であると判定された場合(S1:YES)、処理はステップS2へ移行する。未保存のデータ量が所定量よりも小さいと判定された場合(S1:NO)、処理は図6のルーチンを抜ける。
【0024】
ステップS2では、データ保存先として選択されているデータ保存領域51の空き容量が無いか否かが判定される。空き容量が無いと判定された場合(S2:YES)、処理はステップS3へ移行する。空き容量があると判定された場合(S2:NO)、処理はステップS4へ移行する。
【0025】
ステップS3では、データ保存領域51の保存アドレスが先頭に移動される。ステップS3の後、処理はステップS4へ移行する。
ステップS4では、データ保存が実行され、保存アドレスが更新される。ステップS4の後、処理は図6のルーチンを抜ける。
【0026】
図7は、フラッシュメモリ32のデータ保存先を切り替える処理である。図7のステップS11では、新たな異常が検出されたか否かが判定される。新たな異常が検出されたと判定された場合(S11:YES)、処理はステップS12へ移行する。新たな異常が検出されていないと判定された場合(S11:NO)、処理は図7のルーチンを抜ける。
【0027】
ステップS12では、現在選択されているデータ保存領域51に異常検出時刻および異常検出重要度が保存される。ステップS12の後、処理はステップS13へ移行する。
ステップS13では、データ保存先が別のデータ保存領域51に切り替えられる。ステップS13の後、処理は図7のルーチンを抜ける。
【0028】
(効果)
以上説明したように、本実施形態では、モータ制御装置20は、一時記憶部61と、モータ制御部63と、データ転送部64とを備える。一時記憶部61は、モータ17の制御に用いる最新の制御データを記憶する第1記憶領域68、および、現在から過去に遡る所定期間の制御データ群を記憶する第2記憶領域69を有する。モータ制御部63は、第1記憶領域68の制御データに基づきモータ17を制御する。データ転送部64は、キャリア信号の所定のタイミングに同期して、モータ制御部63を介さず直接に一時記憶部61にアクセスして第1記憶領域68の制御データを第2記憶領域69に転送する。
【0029】
これにより、データ転送部64がモータ制御部63を介さず直接に一時記憶部61にアクセスしてデータ転送を行うので、データ転送中もモータ制御部63がモータ制御のためのソフトウェア処理を継続可能である。また、現在から過去に遡る所定期間の制御データ群が一時記憶部61の第2記憶領域69に記憶されるので、異常検出時には少なくともそれ以前の所定期間分の制御データを得ることができる。したがって、モータ制御のためのソフトウェア処理の負荷を増加させることなく、故障に至る原因を分析するための十分な制御データを保存することができる。
【0030】
また、本実施形態では、データ転送部64は、第1記憶領域68の制御データを第2記憶領域69に転送する頻度をキャリア信号の周波数に応じて変化させる。
これにより、データ転送部64の処理負荷、および、第2記憶領域69に記憶させる制御データ群の対応期間を調整可能である。
【0031】
また、本実施形態では、モータ制御装置20は、前記所定期間以上の期間の制御データ群を保存可能なフラッシュメモリ32と、第2記憶領域69の制御データ群をフラッシュメモリ32に保存するデータ保存部66とをさらに備える。
これにより、電源が切れた後であってもフラッシュメモリ32のデータを基に故障に至った原因を解析することができる。
【0032】
また、本実施形態では、モータ制御装置20は、モータ制御装置20の異常を検出する異常検出部65をさらに備えている。フラッシュメモリ32は、複数のデータ保存領域51を有している。データ保存部66は、モータ制御装置20の異常が検出されたとき、データ保存先を別のデータ保存領域51に切り替える。
これにより、複数の異常時の制御データを一度に取得して解析することができる。
【0033】
また、本実施形態では、データ保存部66は、モータ制御装置20の異常が検出されたとき、異常検出時刻および異常検出重要度を保存してからデータ保存先を別のデータ保存領域51に切り替える。また、データ保存先を切り替えるとき、全てのデータ保存領域51に制御データが保存されている場合には、異常検出重要度の最も低い制御データが保存されているデータ保存領域51に切り替える。また、データ保存先を切り替えるとき、全てのデータ保存領域51に制御データが保存されており、且つ、異常検出重要度の最も低い制御データが保存されているデータ保存領域51が複数ある場合には、異常検出時刻の最も古い制御データが保存されているデータ保存領域51に切り替える。
これにより、有用な制御データを残しつつ、異常解析用の制御データの収集を続けることができる。
【0034】
また、本実施形態では、データ保存領域51は、第2記憶領域69よりも容量が大きい。データ保存部66は、前記所定期間よりも長い期間の制御データ群をデータ保存領域51に保存する。
これにより、故障に至る原因を分析するための十分な制御データを保存することができる。
【0035】
[他の実施形態]
本発明の他の実施形態では、データ保存部は、モータ制御装置の異常が検出されたとき、異常検出時刻および異常検出重要度の一方を保存してからデータ保存先を別のデータ保存領域に切り替えてもよい。その際、データ保存先を切り替えるとき、全てのデータ保存領域に制御データが保存されている場合、異常検出時刻および異常検出重要度の一方に基づき切り替え先が選択される。
本発明の他の実施形態では、データ転送は、キャリア信号の山および谷以外のタイミングに同期して行われてもよい。
【0036】
本発明の他の実施形態では、RAMは、第1記憶領域および第2記憶領域以外の記憶領域を有していてもよい。
本発明の他の実施形態では、フラッシュメモリは、制御データ以外のデータを保存する領域を有していてもよい。
本発明の他の実施形態では、不揮発性メモリは、フラッシュメモリに限らず、他の種類のメモリであってもよい。また、不揮発性メモリは、MCUに内蔵されてもよい。
本発明の他の実施形態では、モータ制御装置は、電動パワーステアリング装置のモータに限らず、他のモータに適用されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0037】
17・・・モータ
20・・・モータ制御装置
34・・・インバータ回路
61・・・一時記憶部
63・・・モータ制御部
64・・・データ転送部
68・・・第1記憶領域
69・・・第2記憶領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7