特開2017-229119(P2017-229119A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧
<>
  • 特開2017229119-過電流保護回路 図000003
  • 特開2017229119-過電流保護回路 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-229119(P2017-229119A)
(43)【公開日】2017年12月28日
(54)【発明の名称】過電流保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20171201BHJP
   H02H 7/122 20060101ALI20171201BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
   H02H7/122 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-121959(P2016-121959)
(22)【出願日】2016年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北本 弘
(72)【発明者】
【氏名】内田 修弘
【テーマコード(参考)】
5G053
5H770
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053BA04
5G053DA02
5G053EB01
5G053FA04
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770GA16
5H770GA17
5H770HA02W
5H770JA17Z
5H770LA02X
5H770LA05Z
5H770LA07Z
5H770LB09
5H770LB10
(57)【要約】
【課題】貫通電流検出用シャント抵抗の端子間電圧を増幅するための増幅回路にLow固着故障が発生している否かを確認することができるようになる過電流保護回路を提供する。
【解決手段】過電流保護回路3は、シャント抵抗7の端子間電圧を増幅するためのアンプ41と、アンプ41から所定のオフセット電圧が上乗せされた出力を得るためのオフセット付与回路44と、オフセット電圧よりも大きな所定の第1の基準電圧と、アンプ41の出力電圧とを比較し、アンプ41の出力電圧が第1の基準電圧よりも大きいときに貫通電流検知信号を出力する第1のコンパレータ42と、零よりも大きくかつオフセット電圧よりも小さな所定の第2の基準電圧と、アンプ41の出力電圧とを比較し、その比較結果に応じたアンプ故障判定信号を出力するアンプ故障判定回路46とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側スイッチング素子と下側スイッチング素子との直列回路を少なくとも1つ含む電子回路に適用される過電流保護回路であって、
貫通電流検出用シャント抵抗の端子間電圧を増幅するための増幅回路と、
前記増幅回路の入力端子に接続され、前記増幅回路から所定のオフセット電圧が上乗せされた出力を得るためのオフセット付与回路と、
前記オフセット電圧よりも大きな所定の第1の基準電圧と、前記増幅回路の出力電圧とを比較し、前記増幅回路の出力電圧が前記第1の基準電圧よりも大きいときに貫通電流検知信号を出力する貫通電流検知用比較回路と、
前記貫通電流検知用比較回路から貫通電流検知信号が出力されている時間長を測定するための時間長測定回路と、
零よりも大きくかつ前記オフセット電圧よりも小さな所定の第2の基準電圧と、前記増幅回路の出力電圧とを比較し、その比較結果に応じた増幅回路故障判定信号を出力する増幅回路故障判定回路とを含む、過電流保護回路。
【請求項2】
前記時間長測定回路は、
常時はオフで、前記貫通電流検知用比較回路から貫通電流検知信号が出力されているときにオンされる第1のスイッチと、
前記第1のスイッチの一方の端子に一方の電極が接続され、他方の電極が接地されたコンデンサと、
前記第1のスイッチの他方の端子に接続され、前記コンデンサを充電するための充電用電源とを含み、
前記コンデンサの端子間電圧が出力されるように構成されている、請求項1に記載の過電流保護回路。
【請求項3】
任意のタイミングで、前記増幅回路から前記第1の基準電圧よりも大きな電圧を強制的に出力させるための貫通電流模擬回路をさらに含み、
前記貫通電流模擬回路は、所定の直流電源と前記増幅回路の入力端子との間に接続された第2のスイッチを含む、請求項1または2に記載の過電流保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上側スイッチング素子と下側スイッチング素子との直列回路を少なくとも1つ含む電子回路に用いられる過電流保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
上側スイッチング素子と下側スイッチング素子との直列回路を含むインバータ回路等の電子回路において、スイッチング素子または電子回路の故障により、上側スイッチング素子と下側スイッチング素子とが短絡する場合がある。このような短絡が起こると、電源から上側スイッチング素子および下側スイッチング素子を通って接地へと貫通電流が流れる。スイッチング素子に過度の貫通電流が流れると、スイッチング素子が破壊されるおそれがある。
【0003】
特許文献1には、スイッチング素子に所定値以上の電流が所定期間継続して流れたときに、スイッチング素子をオフ制御する過電流保護回路が開示されている。具体的には、シャント抵抗の端子間電圧が第1の所定値よりも大きいときにHレベルの信号を出力する第1のコンパレータと、第1のコンパレータからHレベルの信号が出力されているときにオンされるスイッチと、スイッチがオンのときに定電流源によって充電されるコンデンサと、コンデンサの端子間電圧が第2の所定値を超えたときにスイッチング素子をオフするための信号を出力する第2のコンパレータとを含む。特許文献1の第1のコンパレータは、実際には、シャント抵抗の端子間電圧を増幅するアンプと、アンプによって増幅された電圧と基準電圧とを比較するコンパレータとを含んでいると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−74794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、過電流保護回路が設けられた電子回路においては、電子回路の動作開始時に過電流保護回路が正常に動作することを確認する必要がある。しかしながら、前述の特許文献1の過電流保護回路では、例えば、第1のコンパレータに含まれるアンプにLow固着故障(アンプ出力が接地レベルに固着する故障)が発生していたとしても、電子回路の通常動作中においては、当該アンプの出力はLレベルであるため、その故障を検出できないまま、電子回路が動作を開始してしまう。そうすると、電子回路の動作開始後において、スイッチング素子に貫通電流が流れるような故障が発生したとしても、貫通電流を検出できなくなる。
【0006】
この発明の目的は、貫通電流検出用シャント抵抗の端子間電圧を増幅するための増幅回路にLow固着故障が発生している否かを確認することができるようになる過電流保護回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上側スイッチング素子(11;13;15)と下側スイッチング素子(12;14;16)との直列回路を少なくとも1つ含む電子回路(2)に適用される過電流保護回路(3)であって、貫通電流検出用シャント抵抗(7)の端子間電圧を増幅するための増幅回路(41)と、前記増幅回路の入力端子に接続され、前記増幅回路から所定のオフセット電圧(VOFFSET)が上乗せされた出力を得るためのオフセット付与回路(44)と、前記オフセット電圧よりも大きな所定の第1の基準電圧(VA)と前記増幅回路の出力電圧(V3)とを比較し、前記増幅回路の出力電圧が前記第1の基準電圧よりも大きいときに貫通電流検知信号を出力する貫通電流検知用比較回路(42)と、前記貫通電流検知用比較回路から貫通電流検知信号が出力されている時間長を測定するための時間長測定回路(43)と、零よりも大きくかつ前記オフセット電圧よりも小さな所定の第2の基準電圧(VB)と、前記増幅回路の出力電圧とを比較し、その比較結果に応じた増幅回路故障判定信号を出力する増幅回路故障判定回路(46)とを含む、過電流保護回路である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0008】
この構成では、電子回路の通常動作時において、増幅回路にLow固着故障が発生していない場合には、増幅回路の出力電圧が第2の基準電圧よりも大きくなり、増幅回路にLow固着故障が発生している場合には、増幅回路の出力電圧が第2の基準電圧よりも小さくなる。したがって、この構成では、増幅回路にLow固着故障が発生しているか否かを確認することができるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記時間長測定回路は、常時はオフで、前記貫通電流検知用比較回路から貫通電流検知信号が出力されているときにオンされる第1のスイッチ(51)と、前記第1のスイッチの一方の端子に一方の電極が接続され、他方の電極が接地されたコンデンサ(52)と、前記第1のスイッチの他方の端子に接続され、前記コンデンサを充電するための充電用電源(53)とを含み、前記コンデンサの端子間電圧が出力されるように構成されている、請求項1に記載の過電流保護回路である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、任意のタイミングで、前記増幅回路から前記第1の基準電圧よりも大きな電圧を強制的に出力させるための貫通電流模擬回路(45)をさらに含み、前記貫通電流模擬回路は、所定の直流電源と前記増幅回路の入力端子との間に接続された第2のスイッチ(71)を含む、請求項1または2に記載の過電流保護回路である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る過電流保護回路が適用された三相インバータ回路を含むモータ駆動制御装置の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、過電流保護回路の構成を示す電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る過電流保護回路が適用された三相インバータ回路を含むモータ駆動制御装置の概略構成を示す模式図である。
モータ駆動制御装置1は、三相インバータ回路2と、過電流保護回路3と、制御装置4とを含む。モータ駆動制御装置1は、例えば、電動パワーステアリング装置用の電動モータを駆動制御するためのモータ駆動制御装置であってもよい。
【0013】
三相インバータ回路2は、電動モータ5に電力を供給するものであり、制御装置4によって制御される。この三相インバータ回路2では、電動モータ5のU相に対応した一対のスイッチング素子11,12の直列回路と、V相に対応した一対のスイッチング素子13,14の直列回路と、W相に対応した一対のスイッチング素子15,16の直列回路とが、直流電源6の正極端子と接地との間に並列に接続されている。また、各スイッチング素子11〜16には、それぞれ回生ダイオード21〜26が、接地側から直流電源6側に順方向電流が流れるような向きで、並列に接続されている。この実施形態では、各スイッチング素子11〜16としては、例えば、nチャンネル型のFET(Field Effect Transistor)が用いられる。
【0014】
以下において、各相の一対のスイッチング素子のうち、直流電源6の正極端子側のものを「上側スイッチング素子」といい、接地側のものを「下側スイッチング素子」という場合がある。上側スイッチング素子11,13,15のドレインは、直流電源6に接続されている。上側スイッチング素子11,13,15のソースは、下側スイッチング素子12,14,16のドレインに接続されている。下側スイッチング素子12,14,16のソースは接地されている。下側スイッチング素子12,14,16の接続点と接地との間には、シャント抵抗7が接続されている。
【0015】
U相に対応した一対のスイッチング素子11,12の間の接続点は、U相電力供給線31を介して電動モータ5のU相界磁巻線5Uの一方端に接続されている。V相に対応した一対のスイッチング素子13,14の間の接続点は、V相電力供給線32を介して電動モータ5のV相界磁巻線5Vの一方端に接続されている。W相に対応した一対のスイッチング素子15,16の間の接続点は、W相電力供給線33を介して電動モータ5のW相界磁巻線5Wの一方端に接続されている。U相界磁巻線5U、V相界磁巻線5VおよびW相界磁巻線5Wの他方端どうしは接続されている。
【0016】
制御装置4は、モータ駆動制御装置1(三相インバータ回路2)の動作開始後においては、スイッチング素子11〜16に対するゲート制御信号を生成して、対応するスイッチング素子11〜16のゲートにそれぞれ与える。また、制御装置4は、後述する過電流保護回路3からの貫通電流時間長信号Vcに基づいて、スイッチング素子11〜16または三相インバータ回路2に故障が発生しているか否かを判定し、故障が発生していると判定したときに全てのスイッチング素子11〜16を強制的にオフにさせる機能(フェイルセーフ機能)を備えている。さらに、制御装置4は、モータ駆動制御装置1(三相インバータ回路2)の動作開始時に過電流保護回路3が正常に動作するか否かを確認する機能(保護回路チェック機能)を有している。
【0017】
図2は、過電流保護回路の構成を示す電気回路図である。
過電流保護回路3は、アンプ(増幅回路)41と、第1のコンパレータ(貫通電流検知用比較回路)42と、時間長測定回路43と、オフセット付与回路44と、貫通電流模擬回路45と、アンプ故障判定回路46とを含む。
アンプ41は、シャント抵抗7の端子間電圧(V1−V2)を増幅するためのものである。V1は、シャント抵抗7の電源側端子の電位を表している。V2は、シャント抵抗7の接地側端子の電位を表している。
【0018】
アンプ41はオペアンプからなる。アンプ41の非反転入力端子(+)は、抵抗R3を介してシャント抵抗7の電源側端子に接続されている。アンプ41の反転入力端子(−)は、抵抗R1を介してシャント抵抗7の接地側端子に接続されている。アンプ41の出力端は、抵抗R2を介して、アンプ41の反転入力端子(−)に接続されている。
オフセット付与回路44は、アンプ41から所定のオフセット電圧VOFFSETが上乗せされた出力を得るための回路である。具体的には、オフセット付与回路44は、第1の直流電源Vcc1と、第1の直流電源Vcc1とアンプ41の非反転入力端子(+)との間に接続された抵抗R4とを含む。第1の直流電源Vcc1の電圧(Vcc1)は、例えば1.5Vである。
【0019】
例えば、R1=R3とし、R2=R4とすると、アンプ41の出力電圧V3は、次式(1)で表される。
V3=(R2/R3)・(V1−V2)+Vcc1
=(R2/R3)・(V1−V2)+1.5 …(1)
この場合には、Vcc1が、オフセット電圧VOFFSETとなる。
【0020】
第1のコンパレータ42の第1の入力端子には、アンプ41の出力電圧V3が入力する。第1のコンパレータ42の第2の入力端子には、第2の直流電源Vcc2によって第1の基準電圧VAが入力する。第1の基準電圧VAは、オフセット電圧VOFFSETよりも所定値だけ大きな値に設定されている。
第1のコンパレータ42は、アンプ41の出力電圧V3が第1の基準電圧VAよりも低いときには出力信号をLレベルとし、アンプ41の出力電圧V3が第1の基準電圧VAよりも高いときには出力信号をHレベルとする。以下において、Hレベルの出力信号を貫通電流検知信号という場合がある。
【0021】
時間長測定回路43は、第1のコンパレータ42から貫通電流検知信号が出力されている時間長を測定するための回路である。具体的には、時間長測定回路43は、第1のスイッチ51と、コンデンサ52と、定電流源(充電用電源)53とを含む。第1のスイッチ51は、この実施形態では、nチャンネル型のFETからなる。第1のスイッチ51の制御端子(ゲート電極)は第1のコンパレータ42の出力端子に接続されている。第1のスイッチ51は、第1のコンパレータ42の出力によってオンオフ制御される。第1のスイッチ51は、常時はオフで、第1のコンパレータ42から貫通電流検知信号が出力されているときにオンされる。
【0022】
コンデンサ52は、第1のスイッチ51の一方の端子(ソース電極)に一方の電極が接続されている。コンデンサ52の他方の電極は接地されている。定電流源53は、第3の直流電源Vcc3と第1のスイッチ51の他方の端子(ドレイン電極)との間に接続されている。
第1のスイッチ51がオンされると、定電流源53から第1のスイッチ51を介してコンデンサ52に電流が流れ、コンデンサ52が充電される。コンデンサ52と第1のスイッチ51との接続点の電圧(コンデンサ52の端子間電圧Vc)は、貫通電流時間長信号Vcとして制御装置4に与えられる。コンデンサ52の端子間電圧Vcは、アンプ41の出力電圧V3が第1の基準電圧VAよりも大きくなっているときに、コンデンサ52に充電された電荷量に応じた電圧となる。したがって、コンデンサ52の端子間電圧Vcは、貫通電流が流れている時間に応じた値となる。そこで、コンデンサ52の端子間電圧Vcは、貫通電流が流れている時間長を表す貫通電流時間長信号Vcとして、制御装置4に与えられる。
【0023】
アンプ故障判定回路46は、アンプ41にLow固着故障が発生しているか否かを判定するための回路である。アンプ41のLow固着故障とは、アンプ41の出力がLowレベル(接地レベル)に固着してしまうような故障をいう。
アンプ故障判定回路46は、第2のコンパレータ61を含む。第2のコンパレータ61の第1の入力端子には、アンプ41の出力電圧V3が入力する。第2のコンパレータ61の第2入力端子には、第4の直流電源Vcc4によって第2の基準電圧VBが入力する。第2の基準電圧VBは、零よりも大きくかつオフセット電圧VOFFSETよりも小さい値(例えば1.0V)に設定されている。第2のコンパレータ61は、アンプ41の出力電圧V3と第2の基準電圧VBとを比較し、その比較結果に応じたアンプ故障判定信号Saを出力する。
【0024】
貫通電流模擬回路45は、任意のタイミングで、アンプ41から第1の基準電圧VAよりも大きな電圧を強制的に出力させるための回路である。言い換えれば、貫通電流模擬回路45は、貫通電流が流れている状態を模擬的に生成するための回路である。具体的には、貫通電流模擬回路45は、第5の直流電源Vcc5とアンプ41の非反転入力端子(+)との間に接続された第2のスイッチ71を含む。第5の直流電源Vcc5の電圧(Vcc5)は、第1の基準電圧VAよりも大きな電圧(例えば5V)に設定されている。第2のスイッチ71は、制御装置4によって制御される。第2のスイッチ71は、FETから構成されていてもよい。
【0025】
第2のスイッチ71がオンである場合には、アンプ41の出力電圧V3は、ほぼVcc5(この例では5V)と等しい電圧となる。
制御装置4は、モータ駆動制御装置1の動作開始後においては、スイッチング素子11〜16に対するゲート制御信号を生成して、対応するスイッチング素子11〜16のゲートにそれぞれ与える。また、制御装置4は、過電流保護回路3からの貫通電流時間長信号Vcを監視することにより、スイッチング素子11〜16または三相インバータ回路2に故障が発生しているか否か(貫通電流異常が発生しているか否か)を判定し、故障が発生していると判定したときに全てのスイッチング素子11〜16を強制的にオフにさせる。
【0026】
具体的には、制御装置4は、過電流保護回路3から与えられる貫通電流時間長信号Vcを所定の閾値αと比較する。そして、貫通電流時間長信号Vcが閾値αよりも大きくなったときに、つまり、貫通電流が流れている時間長が閾値αに応じた所定時間よりも長くなったときに、全てのスイッチング素子11〜16を強制的にオフさせる。制御装置4は、例えば、全てのスイッチング素子11〜16のゲートを接地させることにより、全てのスイッチング素子11〜16を強制的にオフさせる。
【0027】
制御装置4の保護回路チェック機能について説明する。制御装置4は、モータ駆動制御装置1の動作開始時に過電流保護回路3が正常に動作するか否かを確認する。
チェック項目としては、次のようなものがある。
(1)アンプ41のHi固着故障:アンプ41の出力がHレベルに固着してしまう故障
(2)アンプ41のLow固着故障:アンプ41の出力がLレベル(接地レベル)に固着してしまう故障
(3)第1のコンパレータ42のHi固着故障:コンパレータ42の出力がHレベルに固着してしまう故障
(4)第1のコンパレータ42のLow固着故障:コンパレータ42の出力がLレベル(接地レベル)に固着してしまう故障
(5)第1のスイッチ51の短絡故障:スイッチ51が常にオンとなる故障
(6)第1のスイッチ51のオープン故障:スイッチ51が常にオフとなる故障
(7)コンデンサ52のショート故障:コンデンサ52が短絡状態となる故障
アンプ41のHi固着故障(項目(1))、第1のコンパレータ42のHi固着故障(項目(3))または第1のスイッチ51の短絡故障(項目(5))が発生している場合には、貫通電流が流れていなくても、コンデンサ52が充電される状態となるため、貫通電流異常が検出されてしまう。そこで、制御装置4は、モータ駆動制御装置1(三相インバータ回路2)の動作開始時に、貫通電流異常が検出された場合には、アンプ41のHi固着故障、第1のコンパレータ42のHi固着故障または第1のスイッチ51の短絡故障の発生の可能性が高いことを操作者に知らせるために、その旨を報知する。
【0028】
アンプ41のLow固着故障(項目(2))が発生している場合には、三相インバータ回路2の動作中に貫通電流が流れたとしても、第1のコンパレータ42から貫通電流検知信号は出力されなくなるため、貫通電流異常を検出できなくなる。そこで、制御装置4は、モータ駆動制御装置1の動作開始時に、第2のコンパレータ61の出力であるアンプ故障判定信号Saに基づいて、アンプ41にLow固着故障が発生しているか否かを判定する。
【0029】
アンプ41の出力電圧V3は、オフセット電圧VOFFSET以上(この例では1.5V以上)であるため、アンプ41にLow固着故障が発生していない場合には、アンプ41の出力電圧V3は、第2の基準電圧VB(この例では1.0V)よりも大きくなる。このため、アンプ41にLow固着故障が発生していない場合には、アンプ故障判定信号SaはHレベルとなる。一方、アンプ41にLow固着故障が発生している場合には、アンプ41の出力電圧V3は、第2の基準電圧VB(この例では1.0V)よりも小さくなる。このため、アンプ41にLow固着故障が発生している場合には、アンプ故障判定信号SaはLレベルとなる。制御装置4は、モータ駆動制御装置1の動作開始時に、アンプ故障判定信号SaがLレベルであれば、アンプ41にLow固着故障が発生していることを、例えば電動パワーステアリング装置であれば操作者に知らせるために、その旨を報知する。
【0030】
第1のコンパレータ42のLow固着故障(項目(4))、第1のスイッチ51のオープン故障(項目(6))またはコンデンサ52のショート故障(項目(6))が発生している場合には、三相インバータ回路2の動作中に貫通電流が流れたとしても、コンデンサ52に電荷が蓄積されなくなるため、貫通電流異常を検出できなくなる。そこで、制御装置4は、モータ駆動制御装置1の動作開始時に、第2のスイッチ71を一時的にかつ所定時間以上オンさせ、貫通電流時間長信号Vcが閾値αよりも大きくなったか否かを判定する。前記所定時間は、過電流保護回路3の各部に故障が発生していない場合に、コンデンサ52の端子間電圧(貫通電流時間長信号)Vcが閾値αよりも大きくなるのに十分な時間に設定されている。制御装置4は、第2のスイッチ71を所定時間以上オンしたときに、貫通電流時間長信号Vcが閾値αよりも大きくならないときには、第1のコンパレータ42のLow固着故障、第1のスイッチ51のオープン故障またはコンデンサ52のショート故障の発生の可能性が高いことを、例えば電動パワーステアリング装置であれば操作者に知らせるために、その旨を報知する。
【0031】
前述の実施形態では、この発明を三相インバータ回路に適用した場合について説明したが、この発明は上側スイッチング素子と下側スイッチング素子との直列回路を少なくとも1つ含む電子回路であれば、三相インバータ回路以外の電子回路に適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…モータ駆動制御回路、2…三相インバータ回路、3…過電流保護回路、4…制御装置、5…電動モータ、7…シャント抵抗、11〜16…スイッチング素子、41…アンプ、42…第1のコンパレータ、43…時間長測定回路、44…オフセット付与回路、45…貫通電流模擬回路、46…アンプ故障判定回路、51…第1のスイッチ、52…コンデンサ、53…定電流源、61…第2のコンパレータ、71…第2のスイッチ
図1
図2