【課題】プランジャーに着脱可能に装着して使用するものでありながら、操作者によるプランジャーの引き戻し操作及びその後の押し出し操作を迅速に行うことができるプランジャー補助具を提供すること。
【解決手段】注射器を構成するプランジャーの基端に設けたフランジ状のプランジャーボタンに着脱可能に装着してプランジャーの引き戻し操作を行うためのプランジャー補助具であって、操作者の指を挿入するための環状のリング部と、プランジャーボタンの後面に当接する当接部と、プランジャーボタンの前面側にあってプランジャーが間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部と、を一体に備え、プランジャー係合部は、リング部に操作者が指を挿入してプランジャーの引き戻し操作を行った際に相対的な回転を阻止するようにプランジャーと係合する回止部を一体に有する。
注射器を構成するプランジャーの基端に設けたフランジ状のプランジャーボタンに着脱可能に装着して前記プランジャーの引き戻し操作を行うためのプランジャー補助具であって、
操作者の指を挿入するための環状のリング部と、
前記プランジャーボタンの後面に当接する当接部と、
前記プランジャーボタンの前面側にあって前記プランジャーが間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部と、を一体に備え、
前記プランジャー係合部は、
前記リング部に操作者が指を挿入して前記プランジャーの引き戻し操作を行った際に相対的な回転を阻止するように前記プランジャーと係合する回止部を一体に有する、プランジャー補助具。
【背景技術】
【0002】
従来から、注射器の一般的な使用形態としては、例えば、薬剤投与時において薬液を注入するためのプランジャー押し出し操作と、採血時において血液を採取するためのプランジャー引き戻し操作と、がある。
【0003】
また、このような注射器の他の使用形態としては、患者(被検者)の所定部位に注射針を差し込んで薬液投与等を行う際に、血管内に針先が適性に位置しているかの確認をするために、薬液投与前に一時的にプランジャーの引き戻し操作を行う場合がある。
【0004】
このような薬液投与前に一時的にプランジャーの引き戻し操作を行う場合、例えば、採血等のように両手を用いた引き戻し操作ではなく、片手による引き戻し操作、及び確認後の押し出し操作を連続して行うのが一般的である。
【0005】
このため、このような片手による一時的な引き戻し操作を可能とする注射器としては、専用の注射器を必要としていた(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような専用の注射器は、構造が複雑となるうえ、非常に高価なものとなってしまい、単に注射針の先端位置が正しいか否かの確認のためだけにプランジャーの引き戻し操作を行う際の注射器としては不向きであるという問題があった。
【0008】
一般に、このような注射器には、汎用の使い捨ての安価なものを使用することから、プランジャーの一時的な引き戻し操作及びその後の押し出し操作の双方を容易かつ的確に行うことができるようにプランジャーに装着可能な補助具が望まれている。
【0009】
この際、片手でプランジャーを引き戻す操作は、操作者の親指の操作方向、換言すれば操作者の操作癖によって微妙に異なる。このため、その操作癖によって補助具がプランジャーから外れてしまったり、引き戻し方向以外に不測に動いてしまったのでは、操作者によるプランジャーの引き戻し操作及びその後の押し出し操作を迅速に行うことができなくなってしまう。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するために、プランジャーに着脱可能に装着して使用するものでありながら、操作者によるプランジャーの引き戻し操作及びその後の押し出し操作を迅速に行うことができるプランジャー補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るプランジャー補助具は、上記目的を達成のため、注射器を構成するプランジャーの基端に設けたフランジ状のプランジャーボタンに着脱可能に装着してプランジャーの引き戻し操作を行うためのプランジャー補助具であって、操作者の指を挿入するための環状のリング部と、プランジャーボタンの後面に当接する当接部と、プランジャーボタンの前面側にあってプランジャーが間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部と、を一体に備え、プランジャー係合部は、リング部に操作者が指を挿入してプランジャーの引き戻し操作を行った際に相対的な回転を阻止するようにプランジャーと係合する回止部を一体に有する、ものである。
【0012】
リング部は、線材を1重以上に巻回することによって形成し、プランジャー係合部は、線材の両端の折り曲げによって形成している、ものである。
【0013】
一対のプランジャー係合部は、線材の中途部によって形成した操作部の操作によって互いに離間・接近する、ものである。
【0014】
回止部は、プランジャーが断面形状で凹部を有する軸部である際に、凹部に先端が入り込むように先細りとした、ものである。
【0015】
回止部は、プランジャーが断面形状で直線部分を有する軸部である際に、直線部分に当接するように直線状とした、ものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プランジャー補助具とプランジャーとの相対的な回転を阻止するようにプランジャーと係合する回止部を一体に有することにより、プランジャーに着脱可能に装着して使用するものでありながら、操作者によるプランジャーの引き戻し操作及びその後の押し出し操作を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るプランジャー補助具を示し、(A)はプランジャー補助具をプランジャーボタンに装着した状態の斜視図、(B)はプランジャー補助具をプランジャーボタンに装着した状態の正面図、(C)はプランジャー補助具をプランジャーボタンに装着した状態の底面図、である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るプランジャー補助具の正面図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係るプランジャー補助具の平面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係るプランジャー補助具の側面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係るプランジャー補助具の底面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係るプランジャーボタン係合部を一体に備えた例のプランジャー補助具を示し、(A)はプランジャー補助具の正面方向の斜視図、(B)はプランジャー補助具の底面方向の斜視図、(C)はプランジャー補助具の底面図、である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係る線材1重巻きの例のプランジャー補助具を示し、(A)はプランジャー補助具の正面方向の斜視図、(B)〜(D)はプランジャー補助具の装着操作を時系列で示す説明図、である。
【
図8】本発明の一実施の形態に係る線材多重巻きの例のプランジャー補助具の斜視図である。
【
図9】
図1に示したプランジャー補助具を他の軸部形状を有する注射器のプランジャーボタンに装着した状態の底面図である。
【
図10】
図6に示したプランジャー補助具を他の軸部形状を有する注射器のプランジャーボタンに装着した状態の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施形態に係るプランジャー補助具について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明のプランジャー補助具における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組み合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0019】
まず、本実施の形態として示すプランジャー補助具が適用可能な注射器の一例を説明する。
図1に示すように、一般的に注射器1は、注射筒2と、注射筒2の内部に挿入されるプランジャー3と、注射筒2に着脱可能に設けられる注射針(図示せず)と、を備える。なお、以下の説明においては、注射器1の使用状態、すなわち、プランジャー3の押し出し操作方向を前方(又は先端)、プランジャー3の引き戻し操作方向を後方(又は基端)、として前後方向を規定して説明する。
【0020】
注射筒2は、略有底円筒形状の筒部4と、筒部4の基端から径方向に突出するフランジ5と、筒部の先端の底面から筒軸方向に沿って突出して注射針を装着可能とする筒先6と、を備える。
【0021】
プランジャー3は、断面+型に交差する4つの片からなる軸部7と、軸部7の基端に設けた略真円形状のプランジャーボタン8と、軸部7の先端に設けたゴム等の密閉用ガスケット(図示せず)と、を備える。プランジャーボタン8には、本実施の形態に係るプランジャー補助具10が着脱可能に装着される。
【0022】
プランジャー補助具10は、操作者の指を挿入するための環状のリング部11と、プランジャーボタン8の後面に当接する当接部12と、プランジャーボタン8の前面側にあってプランジャー3の軸部7が間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部13と、を一体に備える。
【0023】
プランジャー補助具10は、再利用が可能でありかつ医科の分野で使用するものであることから、消毒処理等を施しても塑性変形や劣化が発生しにくい材料から形成するのが好ましい。具体的には、金属としては、錆び難いステンレス鋼(SUS)やチタン・チタン合金を用いるのが好ましく、樹脂材料としては、耐熱性の高いポリイミド樹脂(PI)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、を用いるのが好ましい。なお、これら金属や樹脂を材料として用いた場合、金型設計を含む成形加工が容易な形状とするのが好ましい。なお、安価に成形することで使い捨てに対応するために3Dプリンタを用いた成形も可能である。
【0024】
図2〜
図5に示すように、リング部11は、その内周側を略真円形状に形成しており、使用状態において基端側の奥行き方向(
図4の紙面左右方向)の幅は狭く形成し、先端側に向かうほど幅広に形成している。
【0025】
当接部12は、プランジャーボタン8の後面、すなわち、プランジャー補助具10を装着しない通常の使用状態において操作者の親指の腹部分でプランジャー3を押し出し操作する面に対して広く当接するように、リング部11の基端側の幅広部分とした外表面を用いる。この際、当接部12は、プランジャーボタン8の後面との当接面積を確保するとともに、操作者によるプランジャー3の押し出し操作を容易に行わせるために平坦面であるのが望ましい。なお、当接部12の表面に滑り止め用の表面加工を施したり、当接部12の表面とプランジャーボタン8の後面との間にゴムシート等を介在させることも可能である。
【0026】
プランジャー係合部13は、リング部11の中途部からスリット14を介して分岐しており、その両端を互いに接近するように屈曲させている。プランジャー係合部13は、リング部11に操作者が指を挿入してプランジャー3の引き戻し操作を行う際に、プランジャー補助具10の全体とプランジャー3との相対的な回転を阻止するようにプランジャー3の軸部7と係合する回止部13aを一体に有する。
【0027】
本実施の形態において、回止部13aは、
図1(C)に示すように、プランジャー3の軸部7が断面+型に交差する4つの片からなる場合に、隣接する2片によるVの字状の溝部分に先端が入り込むように先細りとしている。
【0028】
このような基本構成において、本実施の形態に係るプランジャー補助具10は、注射器1を構成するプランジャー3の基端に設けたフランジ状のプランジャーボタン8に着脱可能に装着してプランジャー3の引き戻し操作を行うためのプランジャー補助具10であって、操作者の指を挿入するための環状のリング部11と、プランジャーボタン8の後面に当接する当接部12と、プランジャーボタン8の前面側にあってプランジャー3が間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部13と、を一体に備え、プランジャー係合部13は、リング部11に操作者が指を挿入してプランジャー3の引き戻し操作を行った際に相対的な回転を阻止するようにプランジャー3と係合する回止部13aを一体に有することにより、プランジャー3に着脱可能に装着して使用するものでありながら、操作者によるプランジャー3の引き戻し操作及びその後の押し出し操作を迅速に行うようにしたものである。
【0029】
例えば、注射器1の使用形態として、患者(被検者)の所定部位に注射針を差し込んで薬液投与等を行う際に、血管内に針先が適性に位置しているかの確認をするために、薬液投与前に一時的にプランジャー3の引き戻し操作を行う場合がある。
【0030】
このような薬液投与前に一時的にプランジャー3の引き戻し操作を行う場合、例えば、採血等のように両手を用いた引き戻し操作ではなく、リング部11に操作者が指(例えば、親指)を挿入して掛けるだけの片手による引き戻し操作を可能とする。また、確認後の押し出し操作においても、プランジャー補助具10をプランジャーボタン8に装着したまま連続して行うことができる。
【0031】
このように、プランジャー補助具10は、注射器1のプランジャー3の基端側に形成したプランジャーボタン8に装着した状態で使用される。プランジャー補助具10は、中央の円形に形成したリング部11に操作者が指(例えば、親指)を挿入して掛けることにより、プランジャー3の押し出し操作及び引き戻し操作を片手で容易に行うことができる。
【0032】
図6は、本発明の一実施の形態に係るプランジャーボタン係合部25を一体に備えた例のプランジャー補助具20を示す。すなわち、上記実施の形態では、当接部12を平坦面で構成した場合を示したが、
図6に示すように、プランジャーボタン8の形状及び大きさと合致させて係合することにより、プランジャーボタン8の抜け止め効果を向上させてもよい。
【0033】
プランジャー補助具20は、操作者の指を挿入するための環状のリング部21と、プランジャーボタン8の後面に当接する当接部22と、プランジャーボタン8の前面側にあってプランジャー3の軸部7が間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部23と、を一体に備える。なお、上記実施の形態のプランジャー補助具10と機能的に同一(実質的に同一を含む)の構成の説明は省略する。また、材質等は上記実施の形態のプランジャー補助具10と同じである。
【0034】
当接部22の周囲には、当接部22の表面から突出する環状のプランジャーボタン係合部25を一体に形成している。これにより、プランジャーボタン8を当接部22及びプランジャーボタン係合部25に嵌め込むことができ、プランジャー係合部23との協働によりプランジャー3の引き戻し及び押し出し操作の際のガタツキを抑制し、プランジャーボタン8の抜け止め効果を向上させることができる。なお、
図6(C)において、プランジャーボタン8とプランジャーボタン係合部25との間に隙を開示しているが、説明の便宜上であって、注射器1の大きさや種類に応じて隙間なく密着させることも可能である。
【0035】
プランジャー係合部23は、リング部21の中途部からスリット24を介して分岐しており、その両端を互いに接近するように屈曲させている。プランジャー係合部23は、リング部21に操作者が指を挿入してプランジャー3の引き戻し操作を行う際に、プランジャー補助具20の全体とプランジャー3との相対的な回転を阻止するようにプランジャー3の軸部7と係合する回止部23aを一体に有する。
【0036】
本実施の形態において、回止部23aは、
図6(C)に示すように、プランジャー3の軸部7が断面+型に交差する4つの片からなる場合に、隣接する2片に跨って当接するように直線状としている。
【0037】
このような構成としても、プランジャー補助具20は、注射器1のプランジャー3の基端側に形成したプランジャーボタン8に装着した状態で使用される。プランジャー補助具20は、中央の円形に形成したリング部21に操作者が指(例えば、親指)を挿入して掛けることにより、プランジャー3の押し出し操作及び引き戻し操作を片手で容易に行うことができる。
【0038】
図7は、本発明の一実施の形態に係る線材1重巻きの例のプランジャー補助具30を示す。すなわち、上記実施の形態では、金型等を用いたブロック状の一体成形品としたものを開示したが、例えば、ステンレス鋼等の線材を環状にしたうえで、その両端を折り曲げ加工したものでもよい。
【0039】
プランジャー補助具30は、操作者の指を挿入するために線材を1重以上に巻回した環状のリング部31と、プランジャーボタン8の後面に当接する当接部32と、プランジャーボタン8の前面側にあってプランジャー3の軸部7が間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部33と、を一体に備える。
【0040】
当接部32及びプランジャー係合部33とは、互いに平行な直線状であり、両端側で互いに交差するように折り返すことで形成している。また、リング部31から当接部32に至る部分を反り返らせることにより、線材の中途部によって操作部35を形成している。この操作部35は、互いに接近する方向に摘むことにより当接部32が接近すると同時にプランジャー係合部33が離間する。そして、当接部32とプランジャー係合部33との間にプランジャーボタン8を位置させた状態で摘みを解除すれば、弾性復帰によりプランジャー係合部33が互いに接近して軸部7を挟み込む。
【0041】
このように、プランジャー係合部33を離間・接近させることにより、プランジャーボタン8を当接部32及びプランジャー係合部33に嵌め込むことができ、プランジャー3の引き戻し及び押し出し操作の際のガタツキを抑制し、プランジャーボタン8の抜け止め効果を向上させることができる。
【0042】
この際、プランジャー係合部33は、リング部31に操作者が指を挿入してプランジャー3の引き戻し操作を行う際に、プランジャー補助具30の全体とプランジャー3との相対的な回転を阻止するようにプランジャー3の軸部7と係合する回止部33aを一体に有する。
【0043】
本実施の形態において、回止部33aは、
図7(D)に示すように、プランジャー3の軸部7が断面+型に交差する4つの片からなる場合に、隣接する2片に跨って当接するように直線状としている。
【0044】
このような構成としても、プランジャー補助具30は、注射器1のプランジャー3の基端側に形成したプランジャーボタン8に装着した状態で使用される。プランジャー補助具30は、中央の円形に形成したリング部31に操作者が指(例えば、親指)を挿入して掛けることにより、プランジャー3の押し出し操作及び引き戻し操作を片手で容易に行うことができる。
【0045】
図8は、本発明の一実施の形態に係る線材多重巻きの例のプランジャー補助具40を示す。すなわち、上記実施の形態では、金型等を用いたブロック状の一体成形品としたものを開示したが、例えば、ステンレス鋼等の線材を多重に巻回したうえで両端を所定の形状に折り曲げ加工したものでもよい。
【0046】
プランジャー補助具40は、操作者の指を挿入するために線材を多重(図示例では4重巻き)に巻回した環状のリング部41と、プランジャーボタン8の後面に当接する当接部42と、プランジャーボタン8の前面側にあってプランジャー3の軸部7が間に位置するように間隔を開けて対向する一対のプランジャー係合部43と、を一体に備える。
【0047】
当接部42は、多重巻した線材の外周面が面一状態となるように多重巻きすることでプランジャーボタン8の後面に安定して当接させることができる。
【0048】
プランジャー係合部43は、リング部41に操作者が指を挿入してプランジャー3の引き戻し操作を行う際に、プランジャー補助具40の全体とプランジャー3との相対的な回転を阻止するようにプランジャー3の軸部7と係合する回止部43aを一体に有する。
【0049】
本実施の形態において、回止部43aは、線材を屈曲させてプランジャー3の軸部7が断面+型に交差する4つの片からなる場合に、隣接する2片によるVの字状の溝部分に先端が入り込むように先細りとしている。
【0050】
また、リング部41から当接部42に至る部分は、線材の中途部を折り返すように屈曲させることにより、操作部45を形成している。この操作部45は、折り返し端部付近を互いに接近する方向に摘むことによりプランジャー係合部43が離間する。そして、プランジャー係合部43の間に軸部7を位置させた状態で摘みを解除すれば、弾性復帰によりプランジャー係合部43が互いに接近して軸部7を挟み込むようにVの字状の溝部分に嵌り込む。このため、プランジャー補助具40の着脱を容易に行うことができる。なお、操作部45は、なくてもよい。
【0051】
このように、プランジャー係合部43を離間・接近させることにより、軸部7をプランジャー係合部33に嵌め込むことができ、プランジャー3の引き戻し及び押し出し操作の際のガタツキを抑制し、プランジャーボタン8の抜け止め効果を向上させることができる。
【0052】
このような構成としても、プランジャー補助具40は、注射器1のプランジャー3の基端側に形成したプランジャーボタン8に装着した状態で使用される。プランジャー補助具40は、中央の円形に形成したリング部41に操作者が指(例えば、親指)を挿入して掛けることにより、プランジャー3の押し出し操作及び引き戻し操作を片手で容易に行うことができる。
【0053】
ところで、本発明のプランジャー補助具10,20,30,40は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【0054】
例えば、プランジャー補助具10に示した先細り状の回止部13aを、プランジャー補助具20に示した直線状の回止部23aとしてもよいし、プランジャー補助具20に示した直線状の回止部23aを、プランジャー補助具10に示した先細り状の回止部13aとしてもよい。
【0055】
このように、以上既に述べた以外にも、上記実施の形態による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0056】
また、注射器1の軸部7の断面形状は、上述した+の字形状に限定されるものではないが、例えば、断面形状がHの字形状の軸部7など、他の断面形状のものも存在する。このような軸部7では、例えば、
図9に示すように、先細りの回止部13a(又は回止部43a)の場合には、隣接する2片で形成する溝部等の凹部に先端を係合させればよい。また、
図10に示すように、直線状の回止部23a(又は回止部33a)の場合には、隣接する2片で形成する直線部分又は他の直線部分に先端の直線部分を当接させればよい。
【0057】
以上説明したように、本発明に係るプランジャー補助具は、プランジャーに着脱可能に装着して使用するものでありながら、操作者によるプランジャーの引き戻し操作及びその後の押し出し操作を迅速に行うことができるという効果を有し、プランジャーの基端に設けたプランジャーボタンに着脱可能に装着してプランジャーの引き戻し操作を行うためのプランジャー補助具全般に有用である。