【実施例】
【0015】
本発明の実施例に係る髪止め具は、
図1から
図3に示すように、主に、頭髪を挟持する外側挟持片20と、外側挟持片20の一端に連結される内側挟持片30とからなる一対の挟持片10と、少なくとも内側挟持片30の外形に沿うように被着される滑り止め部材40とを備えて構成される。
【0016】
一対の挟持片10は、髪止め具を頭髪に装着した状態において、外側に位置する外側挟持片20と、頭皮側に位置する内側挟持片30とから構成される。
【0017】
外側挟持片20及び内側挟持片30は、例えば、ステンレス等の金属板から形成され、外側挟持片20の一端が内側挟持片30の一端と連結部11を介して連結されており、
図3(a)に示すように、使用前の外側挟持片20と内側挟持片30とが離間した状態で、側面視にて全体として略く字状となるよう構成される。
【0018】
また、使用時においては、連結部11を支持した状態で外側挟持片20を内側挟持片30側へ押圧することにより、外側挟持片20の弾性作用によって、外側挟持片20を内側挟持片30側へ湾曲させて、外側挟持片20と内側挟持片30との間に頭髪を挟持し得る構成としている。
【0019】
より詳細には、外側挟持片20は、例えば、略楕円状に形成され、略中央部が間隙12として切り欠かれており、内側挟持片30が間隙12の略中央部に配設されるよう構成される。また、外側挟持片20は、側面視にて内側挟持片30側の下方へ凸状となるよう湾曲されるとともに、内側挟持片30における長手方向の略中央部を山状に複数回折曲させた折曲部32が形成され、内側挟持片30の基端部31にて外側挟持片20と連結された状態となっている。
【0020】
また、外側挟持片20の外側に位置する表面は、皮材、合成樹脂等で覆うことで飾り部21とすることもできる。さらに、内側挟持片30は、長手方向に沿う長孔33を設けることもできる。
【0021】
また、少なくとも内側挟持片30には、当該内側挟持片30の外形に沿うようにして滑り止め部材40が被着される。例えば、
図2に示すように、内側挟持片30が断面視にて、横長の矩形状に形成される場合においては、当該矩形状に沿うように密着してなる。ここで、内側挟持片30の外形に沿うように被着するとは、滑り止め部材40が完全に密着するものに限られず、内側挟持片30と当該部材との間に微小な空間を有した状態で被着されるものをも含む趣旨である。
【0022】
滑り止め部材40は、熱収縮性チューブとされ、当該チューブを内側挟持片30に挿通して、熱風を供給することで熱収縮させて内側挟持片30に被着させる。より詳細には、
図3(a)に示すように、内側挟持片30の長手寸法より短くカットした熱収縮性チューブを内側挟持片30に挿通し、同図(b)に示すように、その周囲から熱風機等にて熱風を供給することで、当該チューブの挿通孔41を径方向に収縮させて、内側挟持片30の外形に沿うように被着させる。これにより、内側挟持片30が折曲部32を有するものであっても、当該箇所の形状に沿うようにして被着させることができる。
【0023】
熱収縮性チューブは、例えば、ポリオレフィンからなり、G−APEX熱収縮チューブ 型式G1(株式会社ハギテック社製)を使用することができる。係る際には、供給される熱風は、70度から100度程度、好ましくは70度から80度程度とされ、供給時間は1分間程度とされる。熱風の温度が70度より低い場合には、当該チューブが収縮されないか、若しくは収縮に時間を要してしまうため、好ましくない。また、熱風の温度が100度より高い場合には、収縮による当該チューブの外観を損ねてしまうため、好ましくない。
【0024】
当該チューブは、頭髪との摩擦面を増やして滑り止め効果を向上させるために、挿通孔41の径方向にのみ収縮するものが望ましいが、径方向と長手方向に収縮するものであっても十分な摩擦力が得られるものであれば、これに限られない。すなわち、滑り止め部材40は、内側挟持片30に対して容易に挿通させ得るために、内部に挿通孔41を有するものであって、熱収縮可能ものであればよい趣旨である。また、当該チューブは、外側挟持片20に被着することができるのは勿論である。
【0025】
また、当該チューブは、有色又は無色等、特に制限されるものではない。例えば、当該チューブを透明とすることで、髪止め具としての美観、デザインを損ねることがないので望ましい。
【0026】
以上、説明した本発明に係る髪止め具の製造方法及び髪止め具によれば、頭髪を挟持する一対の挟持片10のうち、少なくとも内側挟持片30の外形に沿うようにして、滑り止め部材40が被着されるので、内側挟持片30における頭髪が挟持される側の表面、頭皮側に位置する裏面、これら表裏面を繋ぐ側面においても、熱収縮性チューブが被着しているので、当該チューブの内側挟持片30に接触する面積を増加させることができ、使用状況等によっても剥がれにくいものとすることができる。
【0027】
また、内側挟持片30に対して、当該チューブを挿通して、熱風を供給することで被着させることができるので、容易に取り付けを行うことができるとともに、製造コストを削減することができる。さらに、当該チューブを挿通し得る形状のものであれば、既存の髪止め具に用いることもできるので有用である。
【0028】
上述した実施例において、挟持片10を構成する外側挟持片20、内側挟持片30、滑り止め部材40となる熱収縮性チューブの形状、寸法、材質等を適宜変更して実施することが可能である。例えば、外側挟持片20と内側挟持片30においては、連結部11を介して内側挟持片30を回動させる構造とすることもできる。
【0029】
より詳細には、
図4に示すように、外側挟持片20は、連結部11を構成する側壁22を一端に有し、互いに向かって延設される係止片23が夫々設けられる2つの対向する押圧部24を他端に有し、外側位置に飾り部21を有する構成とすることができる。また、内側挟持片30は、側壁22に回動可能に連結される突部34を一端に有し、係止片23に固定するための係合部35を他端に有する構成とすることができる。
【0030】
また、滑り止め部材40においては、内側挟持片30の長手寸法より短くカットされる熱収縮性チューブを長手方向に沿って、複数個を被着することもできる。係る際には、夫々のチューブを所定間隔を有した状態で被着することもできるし、夫々のチューブを当接させた状態とすることもできる。
【0031】
さらには、外側挟持片20と内側挟持片30においては、外側挟持片20と内側挟持片30の夫々の操作部25、36を押圧することで、連結部11を介して、両者の他端を拡開させる構造とすることもできる。より詳細には、
図5に示すように、外側挟持片20は、外側位置に外側操作部25、内側位置に連結部11を構成する側壁26を一端に有し、複数個に分離された先端部を他端に有する構成とすることができる。また、内側挟持片30は、外側位置に内側操作部36、内側位置に対応する側壁37を一端に有し、複数個に分離され、内側面に凹凸部38を備える先端部を他端に有する構成とすることができる。これら外側挟持片20と内側挟持片30は、夫々の側壁26、37に巻きバネ13を装着した枢軸14を挿通することで連結部11を構成することができる。
【0032】
また、滑り止め部材40においては、内側挟持片30における分離片の長手寸法より短くカットされる熱収縮性チューブを長手方向に沿って夫々被着することもできるし、一方にのみ被着することもできる。また、凹凸部38を有する内側挟持片30においても、上記実施例と同様にして、内側挟持片30の外形に沿うように被着されるのは勿論である。
【0033】
また、上述した実施例において、一部構成を省略することができるし、一部抽出した構成とすることができるのは勿論である。