特開2017-23610(P2017-23610A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-23610(P2017-23610A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】靴の中敷き
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20170113BHJP
【FI】
   A43B17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-148050(P2015-148050)
(22)【出願日】2015年7月27日
【新規性喪失の例外の表示】申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】508152685
【氏名又は名称】株式会社iコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤原 愛子
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA13
4F050HA56
4F050JA23
4F050LA01
4F050LA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】足に対するフィット感が優れ、使用者に疲れや足裏の痛みを緩和する機能を備えた中敷きを提供する。
【解決手段】靴の中敷き1は、安全靴等の靴の中に挿入されて使用される物である。靴の中敷きは、エラストマーを素材とする本体部2と、本体部の表面に貼り付けられた表皮部3を有し、長手方向にのびる中心線上であって、各領域の中心の厚さFt、Mt、Rtは、次式の関係にあり、且つ本体部の弾性係数が0.08MPa乃至1.2MPaである。

Ft踏み付け部領域Aの中心の厚さ、Mt踏まず部領域Bの中心の厚さ、Rtかかと部領域Cの中心の厚さ
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の足趾部及び足裏の踏み付け部が当接する踏み付け部領域と、足裏の踏まず部が当接する踏まず部領域と、足裏のかかと部が当接するかかと部領域を有し、靴の中に挿入して使用される靴の中敷きにおいて、
エラストマーを素材とする本体部と、本体部の表面に貼り付けられた表皮部を有し、長手方向にのびる中心線上であって、各領域の中心の厚さFt、Mt、Rtは、次式の関係にあり、且つ本体部の弾性係数が0.08MPa乃至1.2MPaであることを特徴とする靴の中敷き。
【数1】
【請求項2】
踏み付け部領域であって爪先相当部から全長の4分の1の領域の厚さは、最大と最小の差が1mm以下であり、
かかと部領域は、周部の厚さが厚く中央部の厚さが薄いことを特徴とする請求項1に記載の靴の中敷き。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の中敷きに関するものである。
本発明の靴の中敷きは、安全靴や作業靴、長靴等の業務用の靴やゴルフシューズ等の長時間に渡って履きつづけ、歩き続ける用途の靴に挿入される中敷きとして好適である。本発明の中敷きは、靴の素材を選ばず、スニーカやズック靴等の布製の靴や、革靴等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
靴の中に挿入する中敷きが知られている。市販されている中敷きには、脱臭効果をうたうもの、膝への負担を軽減することができるもの、ふくらはぎやふとももの疲れを軽減するもの等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−104544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安全靴は、踏み抜き防止のために底に金属板や樹脂板が挿入されている。安全靴は、工場内で使用されることが多いが、クギ等の金属片や尖った石等が散らばる場所を歩いても安全であるから、建築物の解体現場等でも使用される。また自衛隊の隊員や消防士等が悪路やガレキの中で作業する場合にも着用される場合が多い。
特に自衛隊の訓練や、災害派遣、外地におけるPKO活動等においては、長時間に渡ってガレキの中や悪路を踏破することとなる。その際に安全靴を履いていると、足が疲れる。特に足裏に痛みが生じる場合が多い。
【0005】
またゴム長靴は、水産業や飲食店の厨房で着用される場合が多いが、ゴム長靴は底が柔らかく、地面の凹凸が直接的に足に伝わり、足裏に痛みが生じる場合が多い。
【0006】
一般に中敷きは、クッション性があり、足裏の疲れを緩和する効果がある。しかしながら、市場においては、より疲れにくい中敷きが求められている。
本発明は、上記した市場の要求に応える靴の中敷きを開発することを課題とするものであり、足に対するフィット感が優れ、使用者に疲れや足裏の痛みを緩和する機能を備えた靴の中敷きを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、足の足趾部及び足裏の踏み付け部が当接する踏み付け部領域と、足裏の踏まず部が当接する踏まず部領域と、足裏のかかと部が当接するかかと部領域を有し、靴の中に挿入して使用される靴の中敷きにおいて、エラストマーを素材とする本体部と、本体部の表面に貼り付けられた表皮部を有し、長手方向にのびる中心線上であって、各領域の中心の厚さFt、Mt、Rtは、次式の関係にあり、且つ本体部の弾性係数が0.08MPa乃至1.2MPaであることを特徴とする靴の中敷きである。
【数1】
【0008】
本発明の靴の中敷きは、かかと部領域に比べて踏まず部領域の厚さが僅かに厚い。そのため本発明の中敷きを靴の中に入れると、かかと部領域に比べて踏まず部領域が僅かに高くなる。
一方、本体部はある程度の弾性があり、且つかかと部領域は踏み付け部領域に比べて厚い。そのため使用者の体重によってかかと部領域が適度に沈み、使用者の土踏まずが踏まず部領域に軽く当たる。そのため足裏の全域が中敷きに触れ、足に対するフィット感が優れる。
本発明の靴の中敷きによると、使用者の土踏まずを中敷きの踏まず部領域が支えるので足の疲れや足裏の痛みが緩和される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、踏み付け部領域であって爪先相当部から全長の4分の1の領域の厚さは、最大と最小の差が1mm以下であり、かかと部領域は、周部の厚さが厚く中央部の厚さが薄いことを特徴とする請求項1に記載の靴の中敷きである。
【0010】
本発明の靴の中敷きでは、踏み付け部領域であって爪先相当部から全長の4分の1の領域の厚さが略一定である。そのため本発明の靴の中敷きは、使用者の足裏の踏み付け部に沿いやすい。
またかかと部領域は、周部の厚さが厚く中央部の厚さが薄いので、使用者の足裏のかかとに沿いやすい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の靴の中敷きは、足に対するフィット感が優れ、使用者の疲れや足裏の痛みを緩和する機能を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の靴の中敷きの斜視図である。
図2図1の靴の中敷きの正面図である。
図3図1の靴の中敷きの裏面図である。
図4図1の靴の中敷きの側面図である。
図5図1のA−A断面図である。
図6図1のB−B断面図である。
図7図1のC−C断面図である。
図8図1のD−D断面図である。
図9】(a)乃至(c)は、図1の靴の中敷きに足を置く際の挙動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の靴の中敷き1は、安全靴やカジュアルシューズ、長靴等の靴の中に挿入して使用されるものであり、樹脂によって成形された本体部2と、本体部2の表面に貼り着けられた表皮材3によって構成されている。
本体部2は、独立気泡の発泡層を有するウレタン樹脂で作られている。独立気泡の平均粒径は、0.01mm乃至1.0mm程度であり、より望ましくは、0.05mm乃至0.5mm程度であり、最も望ましくは、0.1mm乃至0.3mmである。
本体部の圧縮弾性率は、0.08MPa乃至1.2MPaであり、望ましくは0.1MPa乃至1MPaであり、より望ましくは0.2MPa乃至0.5MPaであり、もっとも推奨される圧縮弾性率は0.3MPa乃至0.4MPaである。
【0014】
前記した様に、本体部2は発泡層であるから、強く圧縮すれば、全高は自然状態の20パーセント未満になる。逆に言えば全高が自然状態の20パーセント程度の限界領域となるまで、本体部2のクッション性が維持される。
表皮材3は、厚さが0.5mm乃至1.2mm程度の厚さの織物である。
【0015】
本実施形態の靴の中敷き1は、図2図9の様に様に足の足趾部及び足裏の踏み付け部が当接する踏み付け部領域Aと、足裏の踏まず部が当接する踏まず部領域Bと、足裏のかかと部が当接するかかと部領域Cを有している。
踏み付け部領域は、足趾部が当たる足趾部領域aと、踏み付け部が当接する前面領域bを含む。
足趾部領域aは、先端が円弧状である。前面領域bの幅は、靴の中敷き1の中では最も広い。かかと部領域Cは後端が円弧状である。中間にある踏まず部領域Bの幅は、前面領域bよりも狭く、かかと部領域Cよりも広い。
【0016】
靴の中敷き1の厚さは、各部によって相違し、靴の中敷き1の上面にはなだらかな起伏がある。
図5は、図1のA−A断面図であり、長手方向にのびる中心線上で切断した断面図である。
図5乃至図8で明らかな様に、各領域の中心線上の高さは、踏まず部領域Bが最も高く、次いでかかと部領域Cが高く、踏み付け部領域Aは低い。
即ち踏み付け部領域の中心の厚さをFtとし、踏まず部領域の中心の厚さをMtとし、かかと部領域の中心の厚さをRtとすると、Ft、Mt、Rtの間には、次式の関係がある。
【0017】
【数2】
【0018】
またより好ましくは、次式の関係にある。
【0019】
【数3】
【0020】
さらに好ましくは、次式の関係にある。
【0021】
【数4】
【0022】
踏み付け部領域の中心の厚さをFtは、2mm乃至10mm程度であり、より望ましくは、3mm乃至8mm程度であり、最も推奨されるのは、5mm乃至6mmである。
踏まず部領域の中心の厚さMtは、5mm乃至16mm程度であり、より望ましくは、8mm乃至14mm程度であり、最も推奨されるのは、10mm乃至13mmである。
かかと部領域の中心の厚Rtは、4mm乃至15mm程度であり、より望ましくは、7mm乃至13mm程度であり、最も推奨されるのは、9mm乃至11mmである。
【0023】
各部の横断面は、図6乃至8の様であり、踏み付け部領域Aは平坦面である。
踏み付け部領域Aであって爪先相当部4から全長の4分の1の領域の厚さは、最大と最小の差が1mm以下であり、より望ましくは0.8mm以下である。
これに対して踏まず部領域Bとかかと部領域Cは、周辺部の高さがやや高く、中央は窪んでいる。
踏まず部領域Bにおける中心部と周辺部の厚さの差は、3mm乃至5mmである。
かかと部領域Cにおける中心部と周辺部の厚さの差は、3mm乃至8mmである。
かかと部領域Cの周部の厚(高さ)は、踏まず部領域Bの周部の厚(高さ)よりも厚い。
【0024】
靴の中敷き1の裏面には、図3の様に模様がある。模様は凹凸形状によって形成されている。
【0025】
次に、本実施形態の靴の中敷き1の挙動について説明する。
本実施形態の靴の中敷き1は、踏まず部領域Bが他の部位に比べて高いが、かかと部領域Cとの差は僅かである。
従って靴の中敷き1に足を単に置くと、図9(b)の様に足の土踏まずと踏まず部領域Bの間に隙間ができる。
しかしながら、靴の中敷き1は柔らかく、且つある程度の厚さがあるから、使用者の体重が掛かると、かかと部領域Cが沈み、図9(c)の様に足の土踏まずに踏まず部領域Bの表面が密接する。
また中敷き1は柔らかいものの、ある程度の弾性を有し、且つ中敷き1の本体部2は、発泡樹脂であって変形能が高いから、中敷き1に体重が掛かっても、変形は限界領域にまでは至らず、クッション性を保持している。
そのため本実施形態の靴の中敷き1は、フィット感に優れる。また本実施形態の靴の中敷き1は、使用者の疲れや足裏の痛みを緩和する効果がある。
【符号の説明】
【0026】
1 靴の中敷き
2 本体部
3 表皮材
A 踏み付け部領域
B 踏まず部領域
C かかと部領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9