特開2017-23665(P2017-23665A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-23665二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク
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  • 特開2017023665-二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク 図000003
  • 特開2017023665-二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-23665(P2017-23665A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20170113BHJP
【FI】
   A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2015-157672(P2015-157672)
(22)【出願日】2015年7月21日
(71)【出願人】
【識別番号】503029407
【氏名又は名称】安部 俊吾
(72)【発明者】
【氏名】安部 俊吾
(57)【要約】
【課題】低流量の酸素投与で、二酸化炭素を再呼吸することなく、高濃度の酸素の吸入を可能とする。
【解決手段】密閉型酸素マスク(1)に二酸化炭素除去フィルター(3)を接続したリザーバーバッグ(2)と呼気時に開放する一方弁(4)を設け、酸素を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)密閉型マスク(1)にリザーバーバッグ(2)を設ける。
(ロ)密閉型マスク(1)とリザーバーバッグ(2)の間に二酸化炭素除去フィルター(3)を設ける。
(ハ)密閉型マスク(1)に呼気時に解放する一方弁(4)を設ける。
(ニ)リザーバーバッグ(2)に酸素流入口(5)を設ける。
以上の構成よりなる二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク。
【請求項2】
密着型マスク(1)が鼻だけまたは口だけを覆う構造になった請求項1の二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク。
【請求項3】
リザーバーバッグ(2)が一定容量の管で代用された請求項1の二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク。
【請求項4】
一方弁(4)が一定気圧以上で開放するよう調整された請求項1の二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク。
【請求項5】
二酸化炭素除去フィルター(3)が一定容量の容器に二酸化炭素吸収剤を納めた構造の請求項1の二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク。
【請求項6】
二酸化炭素除去フィルター(3)が交換可能な請求項1の二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型酸素マスクに二酸化炭素除去フィルターを接続したリザーバーバッグと呼気時に解放する一方弁を取り付け、低流量の酸素供給で高濃度酸素の吸入を可能とするための二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の簡易酸素マスクで100%に近い濃度の酸素を吸入させるためには、吸気流速に相当する流量の酸素を供給しなければならなかった。この場合、酸素流量を高流量としなければならず、周囲へ酸素が拡散することにより引火性が高まる問題や大量の酸素を消費するためコストが高くなる問題があった。
【0003】
これに対し、低流量の酸素供給で高濃度の酸素投与を可能にするためにリザーバーバッグ付き酸素マスクが考案され、使用されてきた。リザーバーバッグ付き酸素マスクは、接続されたリザーバーバッグを高濃度酸素で満たし、これを吸入する構造となっている。リザーバーは膨縮可能な気密性バッグを用いる場合の他、一定の容積を持つ管を用いる場合があるが、原理は同様である。
【0004】
従来、リザーバーバッグ付き酸素マスクには開放型酸素マスクにリザーバーバッグを設けたものと密閉型酸素マスクにリザーバーバッグを設けたものがあったが、これらリザーバーバッグ付き酸素マスクには、次のような欠点があった。
開放型酸素マスクでは酸素マスクと顔面が密着しないため、酸素マスクと顔面の間隙から空気が流入してリザーバーバッグが十分に機能せず、吸入酸素濃度が低下した。
一方、密閉型酸素マスクを用いた場合、リザーバーバッグは十分に機能するが、呼気がリザーバーバッグ内に流入することで二酸化炭素を再呼吸する危険性があった。
本発明はそのような欠点をなくすためになされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 米国特許第5492114号
【特許文献2】 特開2010−148859号公報
【特許文献3】 特開2003−325667号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】 「ポーテックス呼吸療法関連製品」,スミスメディカル・ジャパン株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、低流量の酸素供給でリザーバーバッグを機能させた時、リザーバーバッグ内に流入した呼気に含まれる二酸化炭素を再呼吸してしまう点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、顔面に密着する密閉型マスクに膨縮可能な気密性のリザーバーバッグを接続し、リザーバーバッグと密閉型マスクの接続部付近に二酸化炭素除去フィルターを設ける。密閉型マスク上に呼気時に解放する一方弁を設ける。リザーバーバッグの任意の位置に酸素流入口を設ける。
以上の構成よりなる二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスクである。
本発明は、リザーバーバッグ内に流入する呼気から二酸化炭素を取り除くことで、二酸化炭素を再呼吸することなく高濃度酸素の吸入が可能になることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、密閉型マスクを用いるのでマスクと顔面の間隙から空気が流入せず、吸気の際はリザーバーバッグ内の高濃度酸素を吸入することができる。また、呼気は一部が一方弁を通じて大気中に排出されると同時に、一部が二酸化炭素除去フィルターを通ってリザーバーバッグ内にたくわえられる。
呼気がリザーバーバッグに流入する際、二酸化炭素除去フィルターによって二酸化炭素が除去されるので、リザーバーバッグ内にたくわえられた呼気からは二酸化炭素が除去されており、これを再び吸気しても二酸化炭素を吸いこむことはない。
また、リザーバーバッグにたくわえられた呼気には酸素供給口より持続的に酸素が供給されているので、リザーバーバッグ内は流入した呼気よりも高い酸素濃度となる。つまり呼吸を繰り返すことでリザーバーバッグ内の酸素濃度は上昇し、100%に近付くことになる。
以上により供給される酸素流量が低流量であっても二酸化炭素を再呼吸することなく、高濃度の酸素を吸入できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスクを装着した時の正面図
図2】二酸化炭素除去フィルター付きリザーバー酸素マスクを装着した時の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図1図2に基づいて説明する。
本発明は、顔面に密着する密閉型マスク(1)にリザーバーバッグ(2)を接続する。リザーバーバッグ(2)は膨縮可能な気密性のバッグであり、密閉型マスク(1)のドーム状隔壁上で口鼻側と交通するように接続されている。リザーバーバッグ(2)と密閉型マスク(1)の接続部付近に二酸化炭素除去フィルター(3)を設ける。密閉型マスク(1)のドーム状隔壁上に呼気時に解放する一方弁(4)を設ける。リザーバーバッグ(2)の任意の位置に酸素流入口(5)を設ける。
以上のような構造で、これを使用するときは顔面にマスクを密着させ、酸素供給用チューブ(6)を通じて酸素流入口(5)から一定流量の酸素を供給すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は医療現場において高濃度酸素の吸入が必要な状態の患者に利用することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 密閉型マスク
2 リザーバーバッグ
3 二酸化炭素除去フィルター
4 一方弁
5 酸素流入口
6 酸素供給用チューブ
図1
図2