特開2017-24067(P2017-24067A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017024067-鋳型反転装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-24067(P2017-24067A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】鋳型反転装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 23/00 20060101AFI20170113BHJP
【FI】
   B22C23/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-148727(P2015-148727)
(22)【出願日】2015年7月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰嗣
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094CC32
4E094CC33
(57)【要約】
【課題】金枠の搬送速度や反転速度が高速化した場合にも、反転タイヤや受けローラの消耗を低減することができる鋳型反転装置を提供する。
【解決手段】金枠3を載せた反転ローラコンベヤ4の両側に1対の反転タイヤ5を取付け、それらの反転タイヤ5の外周面を2対の受けローラ6で支持するとともに、一方または双方の反転タイヤ5の上部に駆動ローラ9を設けた鋳型反転装置である。2対の受けローラ6をツバ無しローラとするとともに、2対のサイドローラ10を反転タイヤ5の側面に当て、下流側へのズレを防止した。サイドローラ10は反転タイヤ5の側面との接触面を円弧面とすることが好ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金枠を載せた反転ローラコンベヤの両側に1対の反転タイヤを取付け、それらの反転タイヤの外周面を2対の受けローラで支持するとともに、一方または双方の反転タイヤの上部に駆動ローラを設けた鋳型反転装置であって、前記2対の受けローラをツバ無しローラとするとともに、2対のサイドローラを反転タイヤの側面に当てて下流側へのズレを防止したことを特徴とする鋳型反転装置。
【請求項2】
前記サイドローラは、反転タイヤの側面との接触面を円弧面としたことを特徴とする請求項1記載の鋳型反転装置。
【請求項3】
角形ブラケットの内部にスプリングにより弾発されるスクレーパを収納した踏面清掃用スクレーパを、反転タイヤの踏面に接触する位置に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の鋳型反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動鋳造設備の枠付き造型ラインに組み込んで使用される鋳型反転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
枠付き造型ラインにおいては、金枠の内部に造型される鋳型は、キャビティ面を下向きとして造型され、鋳型反転装置により上下枠とも、キャビティ面を上向きに反転され、上枠は下方から反キャビティ面のサンドカットや湯口掘りを行い、下枠には定盤をセットし、また中子をセットする。次に上枠のみ鋳型反転装置により再反転してキャビティ面を下向きに戻し、キャビティ面が上向きとなっている下枠の上に枠合せされる。このため、従来から特許文献1に示されるような鋳型反転装置が用いられている。
【0003】
図4図5に、従来の鋳型反転装置の構造を示す。この鋳型反転装置101は図4に示すように、固定ローラコンベヤ102の途中に配置されるものであり、金枠103を1枠載せて反転させることができる反転ローラコンベヤ104の両側に1対の反転タイヤ105を取付け、その外周面を2対のツバ付きの受けローラ106で受けている。一方または双方の反転タイヤ105の上部には駆動ローラ109が設けられており、反転タイヤ105とともに反転ローラコンベヤ104を反転させる構造である。
【0004】
従来の枠付き造型ラインはサイクルタイムが長かったため、金枠の搬送速度も低速であり、特に大きな問題はなかった。しかし、昨今の枠付き造型ラインはサイクルタイムが短縮化され、金枠の搬送速度が高速化している。このため高速搬送の反力により、反転ローラコンベヤ104に取付けた反転タイヤ105が下流側にずれ易く、反転タイヤ105の側面及びツバ付きの受けローラ106のツバの摩耗が早くなるという問題があった。
【0005】
また、サイクルタイムの短縮に伴い反転速度の高速化も進み、1対の反転タイヤ105及びツバ付きの受けローラ106の踏面の摩耗も早くなるという問題があった。この問題を解消するために、図5に示すように踏面清掃用のスクレーパ111を取付けているが、固定式であるためにスクレーパ111が摩耗すると清掃効果が維持できなくなる。このため頻繁にメンテナンスを行なう必要があった。
【0006】
しかもこの鋳型反転装置は、常時その内部に金枠103を積載しているために反転タイヤ105の交換は容易ではなく、反転タイヤ105自体も高価なものであった。さらに、反転タイヤ105の材質変更や熱処理によって耐摩耗性を向上させることも考えられるが、何れも大幅なコストアップの原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−301608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、サイクルタイムの短縮に伴い金枠の搬送速度や反転速度が高速化した場合にも、反転タイヤや受けローラの消耗を低減することができる鋳型反転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するためになされた本発明の鋳型反転装置は、金枠を載せた反転ローラコンベヤの両側に1対の反転タイヤを取付け、それらの反転タイヤの外周面を2対の受けローラで支持するとともに、一方または双方の反転タイヤの上部に駆動ローラを設けた鋳型反転装置であって、前記2対の受けローラをツバ無しローラとするとともに、2対のサイドローラを反転タイヤの側面に当てて下流側へのズレを防止したことを特徴とするものである。
【0010】
なお請求項2のように、前記サイドローラは、反転タイヤの側面との接触面を円弧面としたものであることが好ましい。また請求項3のように、角形ブラケットの内部にスプリングにより弾発されるスクレーパを収納した踏面清掃用スクレーパを、反転タイヤの踏面に接触する位置に配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鋳型反転装置は、1対の反転タイヤの外周面を支持する2対の受けローラをツバ無しローラとするとともに、2対のサイドローラを反転タイヤの側面に当てた構造であるので、従来のように受けローラのツバの摩耗が早くなるという問題を解消することができる。またツバを無くした代わりにサイドローラを設けたので、反転タイヤの下流側へのズレも防止することができる。
【0012】
請求項2のように、反転タイヤの側面との接触面を円弧面としたサイドローラを用いれば点接触となるので、こすれによる摩耗の進行を抑制することができる。また請求項3のように、角形ブラケットの内部にスプリングにより弾発されるスクレーパを収納した踏面清掃用スクレーパを、反転タイヤの踏面に接触する位置に配置すれば、頻繁にメンテナンスを行わなくても反転タイヤの踏面を常に清掃し、その摩耗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態を示す部分断面正面図である。
図2】本発明の実施形態を示す側面図である。
図3】サイドローラの拡大側面図である。
図4】従来の鋳型反転装置の正面図である。
図5】従来の鋳型反転装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1において、1は本発明の鋳型反転装置である。この装置は、枠付き造型ラインにおいて、金枠の内部に造型されて搬送されてきた鋳型を反転させるために用いられる。また、この装置は、正転と逆転を交互に繰り返し、各々180度の反転を行なうものである。2は金枠3を搬送するための固定ローラコンベヤであり、4は固定ローラコンベヤ2の途中に配置された反転ローラコンベヤである。
【0015】
反転ローラコンベヤ4は1枠分の金枠3を載せて反転させるためのものであり、その前後の両端部には一対のリング状の反転タイヤ5が設けられている。反転ローラコンベヤ4は反転タイヤ5に固定されているので、反転タイヤ5とともに反転可能である。なお金枠3は固定ローラコンベヤ2から反転ローラコンベヤ4に、反転タイヤ5の中心孔を通じて移動する。
【0016】
図2図3に示すように、これらの一対の反転タイヤ5は、2対の受けローラ6によって支持されている。これらの受けローラ6は従来とは異なりツバ無しローラであり、反転タイヤ5の下側の2カ所の踏面を支持している。
【0017】
また受けローラ6をツバ無しローラとしたため、反転タイヤ5の金枠進行方向Y1(図1参照)への位置決めをツバによって行うことができない。そこで本発明では、図1図2に示すように2対のサイドローラ10を反転タイヤ5の側面に当て、金枠進行方向Y1へのズレを防止している。サイドローラ10は受けローラ6の内側位置(図2参照)に配置され、図1における反転タイヤ5の両外側(2対であるため、合計4個。片側は図示省略)に配置されている。この構造により、金枠の搬送速度が高速化した場合にも、反転タイヤ5が下流側にずれることを確実に防止することができる。
【0018】
図3はサイドローラ10の拡大側面図である。図示のようにサイドローラ10はブラケット15により傾斜させて取付けられているが、サイドローラ10の表面は半径Rが大きい円弧面となっており、反転タイヤ5の側面との接触は点接触となっている。この構造により、こすれによる摩耗の進行を抑制している。
【0019】
反転タイヤ5の上部には、駆動ローラ9が設けられている。駆動ローラ9のブラケット16はその一端がピン7で軸支され、他端はスプリング8により反転タイヤ5の踏面に向けて弾発されている。このため駆動ローラ9は常に反転タイヤ5の踏面に押し付けられ、反転タイヤ5を正転または逆転させることができる。この実施形態では片側の反転タイヤ5の上部だけに駆動ローラ9が取付けられているが、駆動ローラ9を両方の反転タイヤ5の上部に取付けることも可能である。
【0020】
反転ローラコンベヤ4は反転タイヤ5に固定されているため、駆動ローラ9によって反転タイヤ5が回転されると、金枠3を載せた反転ローラコンベヤ4も回転して金枠3の上下を反転させることができる。
【0021】
受けローラ6の外側(図2参照)には、反転タイヤ5の踏面清掃用スクレーパ11が、鉛直線に対して45度の角度で配置されている。図2に示すように、踏面清掃用スクレーパ11は角パイプを使用した角形ブラケット13の内部に、角形スクレーパ14と、スクレーパ押圧用のスプリング12とを収納したものである。角形スクレーパ14はスプリング12によって常に反転タイヤ5の踏面に押し付けられ、踏面を清掃する。この構造によって、従来のように頻繁にメンテナンスを行わなくても、反転タイヤ5の踏面に付着した異物を除去することができるので、反転タイヤ5及び受けローラ6の損耗を低減することができる。なお、この実施形態では踏面清掃用スクレーパ11を鉛直線に対して45度の角度で配置したが、この角度は適宜変更することができる。
【0022】
以上に説明したように、本発明の鋳型反転装置によれば、サイクルタイムの短縮に伴い金枠の搬送速度や反転速度が高速化した場合にも、反転タイヤ5や受けローラ6の消耗を低減することができる利点がある。
【符号の説明】
【0023】
1 鋳型反転装置
2 固定ローラコンベヤ
3 金枠
4 反転ローラコンベヤ
5 反転タイヤ
6 受けローラ
7 ピン
8 スプリング
9 駆動ローラ
10 サイドローラ
11 踏面清掃用スクレーパ
12 スプリング
13 角形ブラケット
14 角形スクレーパ
15 ブラケット
16 ブラケット
101 鋳型反転装置
102 固定ローラコンベヤ
103 金枠
104 反転ローラコンベヤ
105 反転タイヤ
106 ツバ付きの受けローラ
109 駆動ローラ
111 踏面清掃用のスクレーパ
図1
図2
図3
図4
図5