【解決手段】前身頃2と後身頃3を有する衣料1であって、前身頃2は、吸水性布材4に不透水部5が設けられており、前身頃2の不透水部5A,5Bは、着用者の胸部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられている。
前記後身頃の不透水部は、着用者の背中の肩甲骨より下方で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けられている請求項5に記載の衣料。
前記前身頃および/または前記後身頃には、樹脂が吸水性布材を貫通せず肌側面に塗工されて形成された散点状の不透水部がさらに設けられている請求項1〜8のいずれか一項に記載の衣料。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来、汗による濡れ感やべたつきを低減するための布材として、撥水性繊維や撥水層を含む布材や撥水剤で処理した布材が様々提案されている。しかし、それを衣料に適用した場合に、身体の発汗部位や衣料との関係からどのように適用するのが好ましいか、具体的に検討された例は少ない。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用者からの汗の流れを好適に制御して、快適な着用感を維持することができる衣料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、衣料を着用して大量の汗をかいたときに、上半身のどの部分で特に着用感が低下するのか検討した。そうしたところ、上半身では、左右の胸部で大量に発汗し、しかも当該部分で衣料が肌に貼り付くことにより、肌と衣料の間に汗が滞留して不快感が増すことが明らかになった。一方、左右の胸部の間、すなわち胸部の身幅方向の中央部では、発汗量は多いものの、衣料の肌への貼り付きは起こりにくく、それほど不快には感じないことが明らかになった。これらの検討結果から、本発明者は、大量の汗による不快感を低減するためには、首などを伝って落ちた汗ができるだけ左右の胸部に移行しないようにするとともに、左右の胸部の汗を胸部の身幅方向の中央部に集めるようにすることにより、汗が好適に排除され、着用感を快適に維持できるのではないかと考えた。
【0006】
そこで本発明では、前身頃を吸水性布材から構成し、吸水性布材から構成された前身頃の胸部に、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状の不透水部を設けるようにした。すなわち、前記課題を解決することができた本発明の衣料とは、前身頃と後身頃を有する衣料であって、前身頃は、吸水性布材に不透水部が設けられており、前身頃の不透水部が、着用者の胸部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられているところに特徴を有する。本発明の衣料は、このように前身頃の吸水性布材に不透水部を設けることにより、着用者の胸部の汗が、ストライプ状の不透水部の延在方向に沿って移動して、胸部の身幅方向の中央部に集まり、着用者の邪魔にならないように汗を胸部の下方に好適に導くことができる。また、着用者の首や肩から落ちた汗は、左右の胸部を避けるようにして、胸部の身幅方向の中央部に集まりやすくなる。その結果、左右の胸部に移行したり、左右の胸部で滞留する汗の量が低減し、左右の胸部で衣料が肌に貼り付きにくくなり、衣料の着用感を快適に維持することができる。
【0007】
前身頃の不透水部はさらに、着用者の腹部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けられていることが好ましい。着用者の腹部にこのように不透水部が設けられていれば、胸部の不透水部から下方に落ちてきた汗が、腹部の不透水部で身幅方向の外方に広がるように拡散し、汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。これにより、前身頃の速乾性を高めることができる。
【0008】
腹部の不透水部は、胸部の不透水部よりも、広いピッチのストライプ状に設けられていることが好ましい。このように腹部の不透水部と胸部の不透水部を形成することにより、腹部の不透水部では汗の拡散性が高まり、一方胸部の不透水部では、汗をストライプの延在方向に沿って移行させやすくなる。
【0009】
腹部の不透水部は、ストライプを構成する各線の少なくとも一部が断続的に設けられていることが好ましい。このように腹部の不透水部を形成することにより、腹部の不透水部での汗の拡散性を高めることができる。
【0010】
後身頃は、吸水性布材の肌面側に不透水部が設けられており、後身頃の不透水部が、着用者の肩甲骨で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられていることが好ましい。背中では、左右の肩甲骨周りで多く汗をかきやすく、しかも当該部分で衣料が肌に貼り付くことにより、肌と衣料の間に汗が滞留して不快感を覚えやすい。一方、左右の肩甲骨の間の部分は、発汗量は多いものの衣料の肌への貼り付きは起こりにくく、それほど不快には感じにくい。そのため、着用者の肩甲骨で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に不透水部を設けることにより、肩甲骨周りの汗が背中の身幅方向の中央部に集まりやすくなり、着用者の邪魔にならないように肩甲骨の下方に汗を好適に導くことができる。また、着用者の首や肩から背中側に汗が落ちても、汗が左右の肩甲骨を避けるようにして、背中の身幅方向の中央部に集まりやすくなるため、左右の肩甲骨周りに移行したり、当該部分で滞留する汗の量が低減し、左右の肩甲骨周りで衣料が肌に貼り付きにくくなる。その結果、後身頃における衣料の着用感も快適に維持することができる。
【0011】
後身頃の不透水部はさらに、着用者の背中の肩甲骨より下方で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けられていることが好ましい。着用者の背中の肩甲骨の下方にこのように不透水部が設けられていれば、肩甲骨の不透水部から下方に落ちてきた汗が、肩甲骨の下方の不透水部で身幅方向の外方に広がるように拡散し、汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。これにより、後身頃の速乾性を高めることができる。
【0012】
不透水部は、吸水性布材に樹脂を塗工することにより形成されていることが好ましい。このように不透水部が形成されていれば、不透水部をある程度の厚みで形成したり、不透水部を吸水性布材よりも剛性が高くなるように形成することができる。そのため、不透水部が形成された部分がその他の部分よりも着用者の肌に接しやすくなり、汗が不透水部の延在方向に沿って移動しやすくなる。
【0013】
ストライプ状の不透水部は、吸水性布材の肌側面から表側面に貫通して設けられていることが好ましい。このように不透水部が形成されていれば、吸水性布材の内部で汗が不透水部を越えて拡散せず、汗を不透水部の延在方向に確実に導きやすくなる。
【0014】
前身頃および/または後身頃には、樹脂が吸水性布材を貫通せず肌側面に塗工されて形成された散点状の不透水部がさらに設けられていることが好ましい。このように散点状の不透水部を設けることにより、衣料が着用者の肌に貼り付きにくくなり、着用感が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の衣料は、着用者の胸部で、不透水部が、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられているため、上半身において大量に発汗し、衣料が肌に貼り付いて不快感を覚えやすい左右胸部で、汗を胸部の身幅方向の中央部に集めて、着用者の邪魔にならないように汗を胸部の下方に好適に導くことができる。また、着用者の首や肩から落ちた汗も、左右の胸部を避けるようにして、胸部の身幅方向の中央部に集まりやすくなる。その結果、左右の胸部に移行したり、左右の胸部で滞留する汗の量が低減し、左右の胸部で衣料が肌に貼り付きにくくなり、衣料の着用感を快適に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は衣料に関するものである。本発明の衣料は前身頃と後身頃を有しており、少なくとも上半身に着用する部分を含んでいる。衣料は、前身頃と後身頃に加え、例えば袖を有していてもよく、またフードが取り付けられていたり、下半身に着用する部分を含んでいてもよい。
【0018】
前身頃と後身頃とは、胴体の前側と後側を覆う部分をそれぞれ意味し、前身頃と後身頃は身体の真横で区分される。衣料を構成するパーツ(縫製前のパーツ)は、前身頃と後身頃の区分と一致するように必ずしも形成されていなくてもよい。
【0019】
衣料は身長方向と身幅方向を有する。身長方向とは、着用者の頭から足にかけての方向に相当し、身幅方向とは、着用者の左右方向に相当する。衣料の身長方向と身幅方向は、着用者が衣料を着用した状態で定められる。身長方向に対しては上方と下方が定められ、身幅方向に対しては、身幅方向の中心線(着用者の左右方向の中心線に対応)を基準に、内方と外方が定められる。衣料はまた、肌側面と表側面を有する。肌側面は、衣料を着用した際に着用者に向く側の面を表し、表側面は、衣料を着用した際に着用者とは反対側に向く面を表す。
【0020】
本発明の衣料は、スポーツ等により大量に汗をかいた際に、汗によって着用感ができるだけ低下しないように、所望の箇所に汗を導くことを可能にするものである。従って、本発明の衣料は、着用者の肌に直接接触する用途に好適に用いられ、例えば、肌着、Tシャツ、スポーツ用ウェア等に適用される。
【0021】
本発明者は、衣料を着用して大量の汗をかいたときに、上半身のどの部分で特に着用感が低下するのか検討した。そうしたところ、上半身では、左右の胸部で大量に発汗し、しかも当該部分で衣料が肌に貼り付くことにより、肌と衣料の間に汗が滞留して不快感が増すことが明らかになった。一方、左右の胸部の間、すなわち胸部の身幅方向の中央部では、発汗量は多いものの、衣料の肌への貼り付きは起こりにくく、それほど不快には感じないことが明らかになった。これらの検討結果から、本発明者は、大量の汗による不快感を低減するためには、首などを伝って落ちた汗ができるだけ左右の胸部に移行しないようにするとともに、左右の胸部の汗を胸部の身幅方向の中央部に集めるようにすることにより、汗が好適に排除され、衣料の着用感を快適に維持できるのではないかと考えた。
【0022】
そこで本発明では、前身頃を吸水性布材から構成し、吸水性布材から構成された前身頃の胸部に、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状の不透水部を設けるようにした。すなわち本発明の衣料は、前身頃が、吸水性布材に不透水部が設けられて構成され、前身頃の不透水部が、着用者の胸部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられることが好ましい。このように前身頃の吸水性布材にストライプ状の不透水部を設けることにより、着用者の胸部の汗が、ストライプ状の不透水部の延在方向に沿って移動して、胸部の身幅方向の中央部に集まり、着用者の邪魔にならないように汗を胸部の下方に好適に導くことができる。また、着用者の首や肩から落ちた汗も、左右の胸部を避けるようにして、胸部の身幅方向の中央部に集まりやすくなる。その結果、左右の胸部に移行したり、左右の胸部で滞留する汗の量が低減し、左右の胸部で衣料が肌に貼り付きにくくなり、衣料の着用感を快適に維持することができる。以下、本発明の衣料について、詳しく説明する。
【0023】
前身頃は、少なくとも胸部(左右の胸部とその間の部分)が吸水性布材から構成されており、好ましくは、少なくとも胸部から腹部にかけて吸水性布材から構成されている。前身頃は、胴体の前側を覆う全体が吸水性布材から構成されていてもよい。
【0024】
後身頃も吸水性布材から構成されていることが好ましい。この場合は、例えば、少なくとも左右の肩甲骨とその間の部分が吸水性布材から構成されていることが好ましく、少なくとも肩甲骨を含む背中の部分が吸水性布材から構成されていることがより好ましい。後身頃は、胴体の後側を覆う全体が吸水性布材から構成されていてもよい。
【0025】
吸水性布材は、少なくとも一部が、衣料の肌側面と外側面の両面を構成するように設けられる。衣料は、吸水性布材を通して汗が衣料の肌側面から表側面に浸透できるように構成されていることが好ましい。ストライプ状の不透水部が設けられた部分では、ストライプを構成する線状の不透水部の間で、吸水性布材が汗を所望の方向に導く通液路として機能し得る。
【0026】
吸水性布材は、汗等の水分を吸収できるものであれば特に限定されず、例えば、織布、編布、不織布等を用いることができる。吸水性布材を構成する繊維としては、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維を親水化剤(例えば、界面活性剤)により親水化したものを用いることができる。また、親水性繊維と疎水性繊維を組み合わせて用いて吸水性布材を構成したり、疎水性繊維単独で吸水性布材を構成することもできる。疎水性繊維を用いれば吸水性布材の速乾性を高めることができ、そのような布材として、東レ社のフィールドセンサー(登録商標)やボディシェルドライ(登録商標)、東洋紡STC社のアルティマ(登録商標)やメガテックドライ(登録商標)、帝人ファイバー社のドライエスト(登録商標)やカルキュロ(登録商標)、クラレ社のブリーズライト(登録商標)やスペースマスター(登録商標)、三菱レイヨンテキスタイル社のベントクール(登録商標)やベントドライ(登録商標)、ユニチカトレーディング社のルミエース(登録商標)やスポッツケア(登録商標)等が知られている。
【0027】
不透水部は、吸水性布材の一部が不透水性に形成されるものであれば、その形成方法は特に限定されない。不透水部は、例えば、吸水性布材に撥水剤や樹脂を塗工したり、吸水性布材の一部を加熱したり超音波を当てることにより溶融したり、吸水性布材の一部に不透液性のテープ等を設けたりすることにより形成することができる。不透水部は、吸水性布材の肌側面および/または外側面に設けてもよく、吸水性布材の内部に設けてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0028】
不透水部は、好ましくは、少なくとも吸水性布材の肌側面に設けられる。不透水部が吸水性布材の肌側面に設けられれば、汗が不透水部の表面を、不透水部の延在方向に沿って移動しやすくなる。そのため汗を所望の方向に導きやすくなる。また、不透水部が設けられた部分で衣料が着用者の肌に貼り付きにくくなり、衣料の着用感が向上する。
【0029】
不透水部は、吸水性布材の内部に設けられることも好ましい。このように不透水部が設けられれば、吸水性布材が汗を吸収しても、吸水性布材の不透水部が設けられた部分で汗が不透水部の延在方向に沿って拡散しやすくなり、汗を所望の方向に導きやすくなる。
【0030】
不透水部は、吸水性布材の肌側面から吸水性布材の内部にかけて設けられることが好ましく、吸水性布材の肌側面から外側面に貫通して設けられることがより好ましい。このように不透水部が設けられれば、汗が吸水性布材の肌側面(すなわち衣料の肌側面)で、不透水部の表面を不透水部の延在方向に沿って移行しやすくなるとともに、汗の一部が吸水性布材に吸収されても、汗が不透水部の延在方向に沿って拡散しやすくなる。特に、不透水部が、吸水性布材の肌側面から外側面に貫通して設けられていれば、吸水性布材の内部で汗が不透水部を越えて拡散せず、汗を不透水部の延在方向により確実に導きやすくなる。
【0031】
不透水部は、吸水性布材に樹脂を塗工することにより形成されることが好ましい。このように不透水部が形成されていれば、吸水性布材の表面から内部にかけて不透水部が形成されやすくなり、不透水部をある程度の厚みで形成したり、不透水部を吸水性布材よりも剛性が高くなるように形成することができる。その結果、吸水性布材の表面に不透水部の形状に対応した凹凸を形成したり、衣料を着用の際に、吸水性布材に不透水部の形状に対応した凹凸やしわが形成されやすくなる。そのため、不透水部が形成された部分がその他の部分よりも着用者の肌に接しやすくなり、汗が不透水部の延在方向に沿って移動しやすくなる。
【0032】
樹脂は、少なくとも吸水性布材の肌側面に設けられることが好ましい。この場合、不透水部は、吸水性布材の肌側面に樹脂を塗工することにより形成されることが好ましい。このように樹脂を設けることにより、吸水性布材の肌側面で不透水部が樹脂によって盛り上がって形成され、不透水部が設けられた部分で衣料が着用者の肌に貼り付きにくくなる。また、汗を所望の方向に導きやすくする点から、樹脂は吸水性布材の肌側面から表側面に貫通して設けられることが好ましい。
【0033】
不透水部を形成する樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が好ましく用いられる。これらの樹脂を用いれば、不透水部に撥水性を付与したり、不透水部に適度な弾性を付与しやすくなる。これらの樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。樹脂の塗工方法も特に限定されず、公知の方法を用いればよく、例えば、スクリーンプリント法、ロータリープリント法、グラビアプリント法等を用いることができる。
【0034】
本発明の衣料では、不透水部をストライプ状に設けることにより、着用者からの汗をストライプの延在方向に沿って導くようにしており、この際、身体の部分に応じてストライプの延在方向を適切に定めている。具体的には、上半身では左右の胸部で大量に発汗し、衣料が肌に貼り付きやすいことから、首や肩から落ちた汗ができるだけ左右の胸部に移行しないようにするとともに、左右の胸部の汗が胸部の身幅方向の中央部に集まるように、ストライプ状の不透水部の延在方向を定めている。すなわち、着用者の胸部で、不透水部を、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けている。このように不透水部を設けることにより、左右の胸部の汗が胸部の身幅方向の中央部に集まり、着用者の邪魔にならないように汗を胸部の下方に好適に導くことができる。また、胸部の身幅方向の中央部では比較的発汗量が多くなるところ、このように不透水部を設けることにより、胸部の身幅方向の中央部の汗が左右の胸部に移行しにくくなり、この点でも好適に汗の流れが制御されることとなる。なお、本発明において、着用者の胸部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられた不透水部を、「胸部不透水部」と称する。
【0035】
胸部不透水部により胸部の身幅方向の中央部に集められた汗は、重力に従って胸部より下方に移行するが、胸部の下方に位置する腹部では、吸水性布材の平面方向に汗が拡散するように形成されていることが好ましい。腹部では、左右の胸部に比べて衣料の肌への貼り付きが起こりにくく、腹部で汗を拡散させることで、吸水性布材が吸収した汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。これにより、前身頃の速乾性を高めることができる。また、汗をできるだけ下半身に移行させないようにすることが、着用者の不快感低減にも繋がる。従って、着用者の腹部では、不透水部を、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けることが好ましい。このように不透水部を設けることにより、腹部において汗が身幅方向の外方に広がるように拡散し、汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。なお、本発明において、着用者の腹部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けられた不透水部を、「腹部不透水部」と称する。
【0036】
本発明の衣料は、後身頃にストライプ状の不透水部を設けることも好ましい。背中では、左右の肩甲骨周りで多く汗をかきやすく、しかも当該部分で衣料が肌に貼り付くことにより、肌と衣料の間に汗が滞留して不快感を覚えやすい。一方、左右の肩甲骨の間の部分は、発汗量は多いものの衣料の肌への貼り付きは起こりにくく、それほど不快には感じにくい。従って、本発明の衣料においては、後身頃が、吸水性布材に不透水部が設けられて構成され、後身頃の不透水部が、着用者の肩甲骨で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられていることが好ましい。このように後身頃の吸水性布材に不透水部を設けることにより、肩甲骨周りの汗が背中の身幅方向の中央部に集まりやすくなり、着用者の邪魔にならないように肩甲骨の下方に汗を好適に導くことができる。また、着用者の首や肩から背中側に落ちた汗も、左右の肩甲骨を避けるようにして、背中の身幅方向の中央部に集まりやすくなる。その結果、左右の肩甲骨周りに移行したり、当該部分で滞留する汗の量が低減し、左右の肩甲骨周りで衣料が肌に貼り付きにくくなり、衣料の後身頃における着用感を快適に維持することができる。なお、本発明において、着用者の肩甲骨で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられた不透水部を、「背中上部不透水部」と称する。
【0037】
背中上部不透水部により背中の身幅方向の中央部に集められた汗は、重力に従って肩甲骨より下方に移行するが、背中の肩甲骨下方の部分では、吸水性布材の平面方向に汗が拡散するように形成されていることが好ましい。背中の肩甲骨下方の部分では、肩甲骨周りに比べて衣料の肌への貼り付きが起こりにくく、背中の肩甲骨下方の部分で汗を拡散させることで、吸水性布材が吸収した汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。これにより、後身頃の速乾性を高めることができる。また、汗をできるだけ下半身に移行させないようにすることが、着用者の不快感低減にも繋がる。従って、着用者の背中の肩甲骨より下方では、不透水部を、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けることが好ましい。このように不透水部を設けることにより、背中の肩甲骨より下方において汗が身幅方向の外方に広がるように拡散し、汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。なお、本発明において、着用者の背中の肩甲骨より下方で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けられた不透水部を、「背中下部不透水部」と称する。
【0038】
背中上部不透水部は、胸部不透水部とともに設けられることが好ましいが、例えば、着用者の背中側で特に汗の流れを制御する必要がある場合などは、胸部不透水部を設けずに、背中上部不透水部のみを設けてもよい。なお、腹部不透水部は胸部不透水部とともに設けることが好ましく、背中下部不透水部は背中上部不透水部とともに設けることが好ましい。
【0039】
胸部不透水部と背中上部不透水部は、身長方向に対して、腋部よりも上方から下方の高さに延びるように設けられることが好ましい。腹部不透水部と背中下部不透水部は、身長方向に対して、腋部よりも下方の高さの部分のみに設けられることが好ましい。
【0040】
ストライプ状の不透水部は、線状の不透水部が複数並行して設けられることにより形成される。ストライプの延在方向は、ストライプを構成する各線の延在方向により定めることができる。胸部不透水部と背中上部不透水部では、着用者の胸部と肩甲骨において、ストライプ状の不透水部が全体として身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるように設けられていればよい。腹部不透水部と背中下部不透水部では、着用者の腹部と肩甲骨の下方において、ストライプ状の不透水部が全体として身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるように設けられていればよい。
【0041】
ストライプを構成する各線は、直線であってもよく、曲線であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。胸部不透水部や背中上部不透水部のストライプが曲線状に設けられる場合、曲線状のストライプは身幅方向の中央に向かって凸となるように配されることが好ましい。このように胸部不透水部や背中上部不透水部を設ければ、左右の胸部や左右の肩甲骨の汗を、胸部や背中の身幅方向の中央部を通って胸部の下方や肩甲骨の下方に好適に導きやすくなる。腹部不透水部や背中下部不透水部のストライプが曲線状に設けられる場合も、曲線状のストライプは身幅方向の中央に向かって凸となるように配されることが好ましい。このように腹部不透水部や背中下部不透水部を設ければ、汗をできるだけ下半身に移行させずに、着用者の腹部や背中の肩甲骨下方の部分で身幅方向の外方に拡散させやすくなる。
【0042】
ストライプを構成する各線の幅やストライプのピッチは、汗をストライプの延在方向に沿って好適に導きやすくする点から、次のように設定することが好ましい。すなわち、ストライプを構成する各線の幅は、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、また15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、8mm以下がさらに好ましい。ストライプのピッチ(ストライプを構成する線の離間距離)は、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、また20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、12mm以下がさらに好ましい。
【0043】
ストライプを構成する各線は、連続的に設けられてもよく、断続的に設けられてもよい。例えば、腹部不透水部および/または背中下部不透水部では、ストライプを構成する各線の少なくとも一部が断続的に設けられることが好ましく、これにより腹部不透水部や背中下部不透水部での汗の拡散性を高めることができる。なお、ストライプを構成する線を断続的に設ける場合、その中断部分の長さは、線の実在部分の長さよりも短いことが好ましい。一方、胸部不透水部および/または背中上部不透水部では、ストライプを構成する各線は連続的に設けられることが好ましく、これによりストライプの延在方向に沿って汗を移行させやすくなる。
【0044】
腹部不透水部は、胸部不透水部よりも、広いピッチのストライプ状に設けられることが好ましい。すなわち、腹部不透水部は、胸部不透水部よりも、ストライプを構成する線の離間距離が広く形成されていることが好ましい。このように腹部不透水部と胸部不透水部を形成することにより、腹部不透水部では汗の拡散性を高めることができ、一方胸部不透水部では、汗をストライプの延在方向に沿って移行させやすくなる。また同様の観点から、背中下部不透水部は、背中上部不透水部よりも、広いピッチのストライプ状に設けられることが好ましい。例えば、胸部不透水部や背中上部不透水部では、ストライプのピッチを10mm以下とすることが好ましく、8mm以下とすることがより好ましく、6mm以下とすることがさらに好ましい。
【0045】
上記のようなストライプ状の不透水部(すなわち、胸部不透水部、腹部不透水部、背中上部不透水部、背中下部不透水部)は、樹脂が吸水性布材の肌側面から表側面に貫通して設けられることにより形成されていることが好ましい。このように不透水部を形成することにより、吸水性布材の肌側面で汗が不透水部の表面を不透水部の延在方向に沿って流れやすくなるとともに、吸水性布材の内部においても、汗が不透水部の延在方向に沿って拡散しやすくなる。
【0046】
一方、前身頃および/または後身頃には、上記のストライプ状の不透水部とは別に、散点状の不透水部が設けられてもよい。この場合、散点状の不透水部は、樹脂が吸水性布材を貫通せず肌側面に塗工されて形成されることが好ましく、これにより、散点状の不透水部が設けられた部分で衣料が着用者の肌に貼り付きにくくなり、衣料の着用感が向上する。また、散点状の不透水部を、吸水性布材を厚み方向に貫通しないように設けることにより、散点状の不透水部が汗の流れを大きく阻害しにくくなり、散点状の不透水部を、ストライプ状の不透水部が設けられた領域(すなわちストライプを構成する各線の間)に設けることも可能となる。
【0047】
散点状の不透水部の各形状や配置は特に限定されない。散点状の不透水部の各形状は、円形、楕円形、多角形、不定形等、特に限定されない。散点状の不透水部は、胸部不透水部、腹部不透水部、背中上部不透水部、または背中下部不透水部が設けられた領域の少なくとも1つと重なって設けられてもよく、それ以外の部分に設けられてもよい。
【0048】
散点状の不透水部は、衣料の着用者の肌への貼り付きを効果的に抑える点から、前身頃と後身頃の広い領域にわたって設けられることが好ましい。例えば、散点状の不透水部は、前身頃(または後身頃)の50%以上(より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは80%以上)の領域に設けられることが好ましい。なお、散点状の不透水部が設けられた領域では、不透水部は当該領域の5%〜20%の面積(より好ましくは7%〜15%の面積)で設けられることが好ましい。
【0049】
散点状の不透水部の各形状の大きさ(最大長さ)は、ストライプ状の不透水部を構成する各線の幅よりも小さいことが好ましい。例えば、散点状の不透水部の各形状の大きさは、1mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましい。なお、散点状の不透水部によって衣料の肌への貼り付きを抑える点から、散点状の不透水部の各形状の大きさは、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。
【0050】
次に、本発明の衣料の構成例について、図面を参照して説明する。なお、本発明の衣料は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1〜
図4には本発明の衣料の一例を示した。
図1と
図2は本発明の衣料の第1の構成例を表し、
図1は衣料を裏返した状態で見た前身頃の肌側面の平面図を表し、
図2は衣料を裏返した状態で見た後身頃の肌側面の平面図を表す。
図3と
図4は本発明の衣料の第2の構成例を表し、
図3は衣料を裏返した状態で見た前身頃の肌側面の平面図を表し、
図4は衣料を裏返した状態で見た後身頃の肌側面の平面図を表す。
【0051】
衣料1は、前身頃2と後身頃3を有する。前身頃2は、吸水性布材4に不透水部5が設けられて形成されている。前身頃2の不透水部5は、胸部不透水部5A,5Bと腹部不透水部5Cを有している。
【0052】
胸部不透水部5A,5Bは、右側の胸部不透水部5Aと左側の胸部不透水部5Bとから構成されている。胸部不透水部5A,5Bは、着用者の胸部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられている。
図1では、胸部不透水部5A,5Bのストライプが曲線状に設けられており、
図3では折れ曲がった直線状に設けられている。また、胸部不透水部5A,5Bは、ストライプを構成する各線が連続的に設けられている。胸部不透水部5A,5Bにより、上半身において大量に発汗し、衣料が肌に貼り付いて不快感を覚えやすい左右胸部で、汗を胸部の身幅方向の中央部に集めて、着用者の邪魔にならないように汗を胸部の下方に好適に導くことができる。
【0053】
図1および
図3に示すように、右側の胸部不透水部5Aと左側の胸部不透水部5Bは身幅方向に離間して設けられることが好ましい。この場合、右側の胸部不透水部5Aと左側の胸部不透水部5Bの間に、不透水部非存在領域が形成されることとなる。右側の胸部不透水部5Aと左側の胸部不透水部5Bの間に不透水部非存在領域を設けることにより、当該不透水部非存在領域で、汗を、吸水性布材を伝って胸部の下方に好適に導きやすくなる。右側の胸部不透水部5Aと左側の胸部不透水部5Bの離間距離は、例えば、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、また50mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましい。
【0054】
腹部不透水部5Cは、胸部不透水部5A,5Bの下方に設けられている。腹部不透水部5Cは、着用者の腹部で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けられている。腹部不透水部5Cのストライプは、
図1では曲線状に設けられており、
図3では折れ曲がった直線状に設けられている。また、腹部不透水部5Cは、ストライプを構成する各線の少なくとも一部が断続的に設けられている。腹部不透水部5Cにより、胸部不透水部5A,5Bで前身頃2の身幅方向の中央部に集められた汗が、腹部不透水部5Cで身幅方向の外方に広がるように拡散し、汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。これにより、衣料1の前身頃2における速乾性を高めることができる。
【0055】
図1および
図3に示すように、胸部不透水部5A,5Bと腹部不透水部5Cの間には不透水部非存在領域(身幅方向に延びる不透水部非存在領域)が設けられることが好ましい。胸部不透水部5A,5Bと腹部不透水部5Cの間に不透水部非存在領域を設けることにより、当該不透水部非存在領域で汗が吸水性布材の内部へ浸透して、前身頃2から水分が蒸散しやすくなる。また、当該不透水部非存在領域で、汗の身幅方向への拡散が促される。
【0056】
腹部不透水部5Cは、
図1および
図3に示すように、胸部不透水部5A,5Bよりも広いピッチのストライプ状で設けられることが好ましい。このように胸部不透水部5A,5Bと腹部不透水部5Cを形成することにより、腹部不透水部5Cで汗の拡散性が高まるとともに、胸部不透水部5A,5Bでは汗をストライプの延在方向に沿って移行させやすくなる。
【0057】
前身頃2には、胸部不透水部5A,5Bと腹部不透水部5C以外の不透水部が設けられていてもよい。
図1では、腹部不透水部5Cの身長方向の下方に、腹部不透水部5Cと身幅方向に重なる位置に、連続的に延びる不透水部5Dが設けられている。不透水部5Dを設けることにより、前身頃2において、汗が下半身に移行するのを抑えることができる。
図1ではまた、前身頃2の両側部に、腹部不透水部5Cと身長方向に重なる位置に(好ましくは腹部不透水部5Cの身幅方向の外方端を封止するように)、身長方向に延びる不透水部5Eが設けられている。不透水部5Eを設けることにより、腹部不透水部5Cに沿って身幅方向の外方に移行した汗が、前身頃2の両側部に集まって下半身に移行するのを抑えることができる。
【0058】
図2および
図4に示すように、後身頃3は、吸水性布材4に不透水部5が設けられて形成されている。後身頃3の不透水部5は、背中上部不透水部5F,5Gと背中下部不透水部5Hを有している。
【0059】
背中上部不透水部5F,5Gは、右側の背中上部不透水部5Fと左側の背中上部不透水部5Gとから構成されている。背中上部不透水部5F,5Gは、着用者の肩甲骨で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の外方から内方へ延びるストライプ状に設けられている。背中上部不透水部5F,5Gのストライプは、
図2では曲線状に設けられており、
図4では折れ曲がった直線状に設けられている。また、背中上部不透水部5F,5Gは、ストライプを構成する各線が連続的に設けられている。背中上部不透水部5F,5Gにより、着用者の背中において大量に発汗し、衣料が肌に貼り付いて不快感を覚えやすい肩甲骨周りで、汗を背中の身幅方向の中央部に集めて、着用者の邪魔にならないように汗を肩甲骨の下方に好適に導くことができる。
【0060】
図2および
図4に示すように、右側の背中上部不透水部5Fと左側の背中上部不透水部5Gは身幅方向に離間して設けられることが好ましい。この場合、右側の背中上部不透水部5Fと左側の背中上部不透水部5Gの間に、不透水部非存在領域が形成されることとなる。右側の背中上部不透水部5Fと左側の背中上部不透水部5Gの間に不透水部非存在領域を設けることにより、当該不透水部非存在領域で、汗を、吸水性布材を伝って肩甲骨の下方に好適に導きやすくなる。右側の背中上部不透水部5Fと左側の背中上部不透水部5Gの離間距離は、例えば、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、また50mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましい。
【0061】
背中下部不透水部5Hは、背中上部不透水部5F,5Gの下方に設けられている。背中下部不透水部5Hは、着用者の背中の肩甲骨より下方で、身長方向の上方から下方に向かって身幅方向の内方から外方へ延びるストライプ状に設けられている。背中下部不透水部5Hのストライプは、
図2では曲線状に設けられており、
図4では折れ曲がった直線状に設けられている。また、背中下部不透水部5Hは、ストライプを構成する各線の少なくとも一部が断続的に設けられている。背中下部不透水部5Hにより、背中上部不透水部5F,5Gで左右の肩甲骨の間に集められた汗が、背中下部不透水部5Hで身幅方向の外方に広がるように拡散し、汗の水分が速やかに蒸散しやすくなる。これにより、衣料1の後身頃3における速乾性を高めることができる。
【0062】
図2および
図4に示すように、背中上部不透水部5F,5Gと背中下部不透水部5Hの間には不透水部非存在領域(身幅方向に延びる不透水部非存在領域)が設けられることが好ましい。背中上部不透水部5F,5Gと背中下部不透水部5Hの間に不透水部非存在領域を設けることにより、当該不透水部非存在領域で汗が吸水性布材の内部へ浸透して、後身頃3から水分が蒸散しやすくなる。また、当該不透水部非存在領域で、汗の身幅方向への拡散が促される。
【0063】
背中下部不透水部5Hは、
図2および
図4に示すように、背中上部不透水部5F,5Gよりも広いピッチのストライプ状に設けられていることが好ましい。このように背中上部不透水部5F,5Gと背中下部不透水部5Hを形成することにより、背中下部不透水部5Hで汗の拡散性が高まるとともに、背中上部不透水部5F,5Gでは汗をストライプの延在方向に沿って移行させやすくなる。
【0064】
後身頃3には、背中上部不透水部5F,5Gと背中下部不透水部5H以外の不透水部が設けられていてもよい。
図2では、背中下部不透水部5Hの身長方向の下方に、背中下部不透水部5Hと身幅方向に重なる位置に、連続的に延びる不透水部5Jが設けられている。不透水部5Jを設けることにより、後身頃3において、汗が下半身に移行するのを抑えることができる。
図2ではまた、後身頃3の両側部に、背中下部不透水部5Hと身長方向に重なる位置に(好ましくは背中下部不透水部5Hの身幅方向の外方端を封止するように)、身長方向に延びる不透水部5Kが設けられている。不透水部5Kを設けることにより、背中下部不透水部5Hに沿って身幅方向の外方に移行した汗が、後身頃3の両側部に集まって下半身に移行するのを抑えることができる。