特開2017-24277(P2017-24277A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-24277樹脂搬送方法、樹脂成形方法および樹脂成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-24277(P2017-24277A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】樹脂搬送方法、樹脂成形方法および樹脂成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/02 20060101AFI20170113BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20170113BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20170113BHJP
   B29K 105/20 20060101ALN20170113BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20170113BHJP
【FI】
   B29C45/02
   B29C45/26
   H01L21/56 T
   H01L21/56 R
   B29K105:20
   B29L9:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-145665(P2015-145665)
(22)【出願日】2015年7月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅志
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AA34
4F202AA41
4F202AC01
4F202AC07
4F202AD20
4F202AD29
4F202AG03
4F202AH37
4F202AM32
4F202CA09
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB17
4F202CK18
4F202CK52
4F202CK75
4F202CN01
4F202CN18
4F202CN24
4F202CQ01
4F202CQ07
4F206AA34
4F206AA41
4F206AC01
4F206AC07
4F206AD20
4F206AD29
4F206AG03
4F206AH37
4F206AM32
4F206JA02
4F206JB17
4F206JE06
4F206JF01
4F206JF05
4F206JL02
4F206JQ81
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA04
5F061CA21
5F061DD04
5F061DD14
5F061DE04
(57)【要約】
【課題】効率良く樹脂を搬送することのできる技術を提供する。
【解決手段】面(80a)および面(80b)を有するワーク(W1)の面(80a)上に樹脂(Rb)を供給する。次いで、樹脂(Rb)に熱を加え、樹脂(Rb)の表面部分(Rbs)を溶融させる。次いで、表面部分(Rbs)が溶融した樹脂(Rb)と共にワーク(W1)を型開きした金型内に搬送して供給する。次いで、型閉じした金型において、圧縮成形によって全体が溶融した樹脂(Rb)を金型の一方のキャビティで充填してワーク(W1)の面(80a)で成形する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一方および他方の面を有する板状のワークの前記一方の面上に樹脂を供給する工程と、
(b)前記樹脂の表面部分を溶融させるように前記樹脂に熱を加える工程と、
(c)表面部分が溶融した前記樹脂と共に前記ワークを搬送する工程と、
を含むことを特徴とする樹脂搬送方法。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂搬送方法において、
前記(a)工程では、前記ワークとして孔の空いた基板を用いることを特徴とする樹脂搬送方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の樹脂搬送方法において、
前記(a)工程では、前記樹脂としての顆粒樹脂を盛り上げて前記一方の面上に供給することを特徴とする樹脂搬送方法。
【請求項4】
(a)一方および他方の面を有する板状のワークの前記一方の面上に圧縮成形用樹脂を供給する工程と、
(b)前記圧縮成形用樹脂の表面部分を溶融させるように前記圧縮成形用樹脂に熱を加える工程と、
(c)表面部分が溶融した前記圧縮成形用樹脂と共に前記ワークを型開きした金型内に搬送して供給する工程と、
(d)型閉じした前記金型において、圧縮成形によって全体が溶融した前記圧縮成形用樹脂を前記金型の一方のキャビティで充填して前記ワークの前記一方の面で成形する工程と、
を含むことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項5】
請求項4記載の樹脂成形方法において、
(e)前記(d)工程の前で型開きした前記金型のポット内にトランスファ成形用樹脂を供給する工程と、
(f)型閉じした前記金型において、トランスファ成形によって前記ポット内で溶融した前記トランスファ成形用樹脂を圧送して前記金型の他方のキャビティに充填して前記ワークの前記他方の面で成形する工程と、
を更に含むことを特徴とする樹脂成形方法。
【請求項6】
一方および他方の面を有する板状のワークに対して樹脂成形を行う金型と、
前記金型外に設けられ、前記ワークが前記他方の面側でセットされるステージと、
前記金型外に設けられ、前記ステージにセットされた前記ワークの前記一方の面上に圧縮成形用樹脂を供給する樹脂供給部と、
前記金型外に設けられ、前記ワークに供給された前記圧縮成形用樹脂の表面部分を溶融させるよう前記一方の面上の前記圧縮成形用樹脂と離れた位置から熱を加える加熱部と、
前記ステージから型開きした前記金型内へ、表面部分が溶融した前記圧縮成形用樹脂と共に前記ワークを搬送して供給するローダと、
を備え、
前記ワークおよび前記圧縮成形用樹脂が供給されて型閉じした前記金型において、圧縮成形によって全体が溶融した前記圧縮成形用樹脂が前記金型の一方のキャビティで充填され前記ワークの前記一方の面に成形されることを特徴とする樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項6記載の樹脂成形装置において、
型開きした前記金型のポット内にトランスファ成形用樹脂が前記ローダによって供給されて型閉じした前記金型において、トランスファ成形によって前記ポット内で溶融した前記トランスファ成形用樹脂が圧送され前記金型の他方のキャビティに充填され、前記ワークの前記他方の面に成形されることを特徴とする樹脂成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂搬送方法、樹脂成形方法および樹脂成形装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−249605号公報(以下、「特許文献1」という。)には、第1の金型でリードフレーム上に第1の樹脂を成形し、第2の金型で成形した第1の樹脂およびリードフレームの一部を覆う第2の樹脂を成形する技術が記載されている(特に、その請求項2、明細書段落[0034]、[0037]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−249605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板および樹脂を効率良く金型に供給するにあたり、基板上に樹脂を搭載した状態で金型まで搬送させることが考えられるが、その際に基板から樹脂を落下させないように工夫する必要がある。特に、樹脂が顆粒樹脂の場合、基板上に搭載した顆粒樹脂が搬送中に転がり、落下してしまうので問題となる。
【0005】
特許文献1に記載の技術のように、リードフレーム上に第1の樹脂がトランスファ成形された状態であれば、第1の樹脂の落下を考慮せずに第2の金型へリードフレームおよび第1の樹脂を搬送することができる。しかしながら、リードフレーム上で第1の樹脂を成形する場合には、そのための第1の金型が必要となるし、ひいては樹脂を搬送(供給)する効率が悪くなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、効率良く樹脂を搬送することのできる技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一解決手段に係る樹脂搬送方法は、(a)一方および他方の面を有する板状のワークの前記一方の面上に樹脂を供給する工程と、(b)前記樹脂の表面部分を溶融させるように前記樹脂に熱を加える工程と、(c)表面部分が溶融した前記樹脂と共に前記ワークを搬送する工程と、を含むことを特徴とする。これによれば、表面部分が溶融した樹脂がワークに接着するため、搬送時の樹脂落下を防止することができ、ワーク搬送の際に樹脂も搬送することができる。したがって、効率良く樹脂を搬送することができる。
【0008】
前記一解決手段に係る樹脂搬送方法において、前記(a)工程では、前記ワークとして孔の空いた基板を用いることがより好ましい。このように、孔の空いた基板を用いたとしても、その孔に表面部分が溶融しているため、樹脂(顆粒や粉末)が落下してしまうのを防止することができる。
【0009】
前記一解決手段に係る樹脂搬送方法において、前記(a)工程では、前記樹脂としての顆粒樹脂を盛り上げて前記一方の面上に供給することがより好ましい。これによれば、盛り上げられた顆粒樹脂全体としての表面部分が溶融して接着するため、顆粒樹脂をワークと共に搬送する場合であっても顆粒樹脂の転がりを防止することができる。
【0010】
本発明の一解決手段に係る樹脂成形方法は、(a)一方および他方の面を有する板状のワークの前記一方の面上に圧縮成形用樹脂を供給する工程と、(b)前記圧縮成形用樹脂の表面部分を溶融させるように前記圧縮成形用樹脂に熱を加える工程と、(c)表面部分が溶融した前記圧縮成形用樹脂と共に前記ワークを型開きした金型内に搬送して供給する工程と、(d)型閉じした前記金型において、圧縮成形によって全体が溶融した前記圧縮成形用樹脂を前記金型の一方のキャビティで充填して前記ワークの前記一方の面で成形する工程と、を含むことを特徴とする。これによれば、樹脂表面を溶融させてワークに接着させることで、搬送時の樹脂落下を防止することができ、ワーク搬送の際に樹脂も搬送することができる。したがって、効率良く樹脂を搬送することができ、また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0011】
前記一解決手段に係る樹脂成形方法において、(e)前記(d)工程の前で型開きした前記金型のポット内にトランスファ成形用樹脂を供給する工程と、(f)型閉じした前記金型において、トランスファ成形によって前記ポット内で溶融した前記トランスファ成形用樹脂を圧送して前記金型の他方のキャビティに充填して前記ワークの前記他方の面で成形する工程と、を更に含むことがより好ましい。これによれば、別の金型を準備することなく、1つの金型でワークの両面にそれぞれ異なる性質の樹脂を効率良く成形することができる。
【0012】
本発明の一解決手段に係る樹脂成形装置は、一方および他方の面を有する板状のワークに対して樹脂成形を行う金型と、前記金型外に設けられ、前記ワークが前記他方の面側でセットされるステージと、前記金型外に設けられ、前記ステージにセットされた前記ワークの前記一方の面上に圧縮成形用樹脂を供給する樹脂供給部と、前記金型外に設けられ、前記ワークに供給された前記圧縮成形用樹脂の表面部分を溶融させるよう前記一方の面上の前記圧縮成形用樹脂と離れた位置から熱を加える加熱部と、前記ステージから型開きした前記金型内へ、表面部分が溶融した前記圧縮成形用樹脂と共に前記ワークを搬送して供給するローダと、を備え、前記ワークおよび前記圧縮成形用樹脂が供給されて型閉じした前記金型において、圧縮成形によって全体が溶融した前記圧縮成形用樹脂が前記金型の一方のキャビティで充填され前記ワークの前記一方の面に成形されることを特徴とする。これによれば、搬送時の樹脂落下を防止することができ、ワーク搬送の際に樹脂も搬送することができる。したがって、効率良く樹脂を搬送することができ、また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0013】
前記一解決手段に係る樹脂成形装置において、型開きした前記金型のポット内にトランスファ成形用樹脂が前記ローダによって供給されて型閉じした前記金型において、トランスファ成形によって前記ポット内で溶融した前記トランスファ成形用樹脂が圧送され前記金型の他方のキャビティに充填され、前記ワークの前記他方の面に成形されることがより好ましい。これによれば、別の金型を準備することなく、1つの金型でワークの両面にそれぞれ異なる性質の樹脂を効率良く成形することができる。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一解決手段に係る樹脂搬送方法によれば、効率良く樹脂を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置の概略構成図である。
図2図1に示す樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図3図2に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図4図3に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図5図4に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図6図5に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図8図7に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図9図8に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図10図9に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図11図10に続く樹脂成形装置の要部の動作工程の模式的断面図である。
図12】本発明の他の実施形態に係る成形品の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0017】
(実施形態1)
本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置10について図1図6を参照して説明する。図1は樹脂成形装置10の概略構成図であり、上面視における各機構部の配置を示している。図2図6は、樹脂成形装置10の要部の動作工程の模式的断面図である。なお、図5および図6では、プレス部16が一点鎖線を中心に左右対称の構成であるが、図中左側を省略して示している。
【0018】
図1に示すように、樹脂成形装置10は、装置正面側に配置される部材収納部12、樹脂搭載部14、プレス部16、および成形品収納部18と、装置背面側に配置される搬送部20とを備えている。樹脂成形装置10は、後述するがトランスファ成形および圧縮成形を実施可能なハイブリッド構造に構成されている。部材収納部12では、ワークW1およびトランスファ成形用の樹脂Ra(例えば、タブレット樹脂)が収納される。また、樹脂搭載部14では、板状のワークW1に圧縮成形用の樹脂Rb(例えば、顆粒樹脂)が搭載される。本実施形態では、プレス部16外に樹脂搭載部14が設けられており、ここから樹脂RbおよびワークW1が同時にプレス部16内へ搬送されて供給される。本実施形態では、これら樹脂Ra、Rbが熱硬化性である場合を主に説明する。
【0019】
また、金型40を備えるプレス部16(図5参照)では、金型40によってクランプされたワークW1に対して樹脂Raおよび樹脂Rbを用いて樹脂成形される。また、成形品収納部18では、成形品としてのワークW2が収納される。そして、ローダ22およびアンローダ24を備える搬送部20では、共通のレール(図示せず)上を移動するローダ22やアンローダ24によってワークW1などが搬送される。なお、図1に示す樹脂成形装置10では、プレス部16を複数(2つ)設けているが、1つだけ設けてもよい。
【0020】
本実施形態に係る樹脂成形装置10の動作方法(樹脂搬送方法や樹脂成形方法が含まれる)について説明する。図1に示すように、部材収納部12に収納されている成形前のワークW1をローダ22によって樹脂搭載部14へ搬送する。ワークW1(図2参照)は、一方の面80aおよびこの反対側の他方の面80bを有する基板80(例えば、リードフレームなど)である。ワークW1の面80a、80bのそれぞれには、例えば、電子部品82(例えば、半導体チップ)がワイヤボンディング実装されている。なお、電子部品82としては、チップコンデンサやインダクタといった素子であってよいし、バンプやピラーのような導電部材であってもよい。
【0021】
樹脂搭載部14は、図2に示すように、ステージ30を備えている。このステージ30のセット面には凹部30aが設けられている。凹部30aは、ワークW1がセットされる際に面80b側の電子部品82を収容する逃げ部となる。樹脂搭載部14では、ローダ22によって搬送されてきたワークW1を面80b側でステージ30上にセット(供給)する。また、樹脂搭載部14は、樹脂供給部32(例えば、トラフ)を備えている。樹脂搭載部14では、樹脂供給部32によってステージ30にセットされたワークW1の面80a上に樹脂Rbを供給する(図3参照)。
【0022】
樹脂搭載部14は、図3に示すように、加熱部34(例えば、カートリッジヒータ)を備えている。樹脂搭載部14では、加熱部34によって樹脂Rbの表面部分Rbs(図4参照)を溶融させるように樹脂Rbに熱を加える。例えば、加熱部34は、ワークW1に供給された樹脂Rbの表面部分Rbsを溶融させるよう面80a上の樹脂Rbと離れた位置から非接触で輻射熱により加熱する。ここでは、選定された加熱条件(温度、時間など)が用いられる。図4に示すように、輻射熱によって樹脂Rbの表面部分Rbsを溶融させることができる。これにより、樹脂Rbにおいて表面部分Rbsから粉末が巻き上げられて拡散してしまうのを防止することができる。また、樹脂Rbを事前に加熱することで予熱して、プレス部16における成形時間を短縮することもできる。なお、内蔵加熱部を備えるステージ30(例えば、ホットプレート)によってワークW1に熱を加えることもできる。これによれば、ステージ30側からも加熱してワークW1(特に、リードフレームのような金属板)および樹脂Rbを均一に加熱することができる。
【0023】
ところで、本実施形態では、ワークW1として孔80cの空いた基板80(例えば、リードフレーム)を用いることができる。孔80cの空いた基板80を用いたとしても、その孔80cに表面部分Rbsが溶融しているため、顆粒や粉末が落下してしまうようなことはない。具体的には、顆粒や粉末の樹脂Rbが溶融することで粘度が下がりすぎず高粘度な液状となったり、樹脂Rbの顆粒や粉末が相互に接合したりすることで、孔80cからの樹脂Rbの落下を防止することができるからである。なお、孔80cよりも大きい樹脂Rb(例えば、径が大きい顆粒樹脂)を供給すれば、ワークW1への樹脂供給の際に、孔80cからの樹脂Rbの落下を防止することもできる。
【0024】
特に、樹脂Rbとして顆粒樹脂を用いる場合、ワークW1の面80aの外周縁から顆粒樹脂がこぼれ落ちないように、面80aの中央部で顆粒樹脂が盛り上げて供給される。顆粒樹脂全体の内部が顆粒状態のままであっても表面部分Rbsが溶融すれば、顆粒樹脂をワークW1と共に搬送する際に、顆粒樹脂の転がり(転落)を防止することができる。なお、顆粒樹脂の他に樹脂Rbとしてシート樹脂を用い、ワークW1の面80a上に積み上げた状態とした場合であっても、シート樹脂全体のうち表面部分(換言すれば、露出部分)が溶融するため、露出部分が他のシート樹脂と密着して各シート樹脂のずれを防止して落下を防止することができる。また、シート樹脂を予熱することで、ワークW1上においてシート樹脂をワークW1上の電子部品82の形状に倣うように変形させて、シート樹脂の落下を防止することもできる。
【0025】
続いて、図1に示すように、樹脂Rb(表面部分Rbsが溶融したもの)と共にワークW1をローダ22によって樹脂搭載部14からプレス部16へ搬送(供給)する。本実施形態では、表面部分Rbsが溶融して樹脂RbがワークW1に接着するため、搬送時の樹脂落下を防止することができ、ワーク搬送の際に樹脂Rbも搬送することができる。したがって、ワークW1と共に樹脂Rbを効率良く搬送することができる。また、樹脂Raをローダ22によって部材収納部12からプレス部16へ搬送(供給)する。
【0026】
プレス部16は、図5に示すように、金型40を備えている。型開閉可能な金型40は、対をなす一方の上型42と他方の下型44を備えており、上型42および下型44が接離動する。本実施形態では、金型40が、公知のプランジャ機構によって樹脂Raを用いるトランスファ成形方式と、公知のプレス機構(型開閉機構)によって樹脂Rbを用いた圧縮成形方式とを組み合わせて樹脂成形を行える構造である。この点で、本実施形態では、トランスファ成形用の樹脂Raと圧縮成形用の樹脂Rbとを別ものとして取り扱っている。
【0027】
金型40の一方の上型42は、ベース46、クランパ48、およびインサート50の各ブロックを備えて組み付けられ、クランプ面(パーティング面)にキャビティC1(凹部)が設けられている。ベース46には、クランパ48およびインサート50が組み付けられている。クランパ48には、中央部のクランプ面で窪むカル48aと型開閉方向に貫通する貫通孔48bとが設けられている。
【0028】
クランパ48がベース46に対して弾性部材52を介して組み付けられている(吊り下げ支持されている)一方、インサート50が貫通孔48bに挿入されてベース46に対して一体に組み付けられている。このため、上型42では、型開閉動作の作用によって弾性部材52が伸縮することで、クランパ48とインサート50とが相対的に移動する(図5および図6参照)。また、上型42では、クランプ面側で拡径した貫通孔48bの内壁面とインサート50の下端面とで囲まれて設けられているキャビティC1の容積も、型開閉動作の作用によって増減することとなる。すなわち、金型40が、キャビティC1で圧縮成形される構造である。なお、成形後のワークW2の離型性の向上や、クランパ48とインサート50との間の樹脂の進入防止を図るために、上型42のクランプ面にはフィルムFが図示しない吸引機構によって吸引されて張り付けられている。
【0029】
金型40の他方の下型44は、ベース54、およびポット56の各ブロックを備えて組み付けられ、クランプ面(パーティング面)にキャビティC2(凹部)が設けられ、ポット56内にプランジャ58が挿入されている。ベース54には、型閉じした際に上型42のカル48aと連通するように対向してポット56が組み付けられている。また、ベース54には、型閉じした際に上型42のカル48aとキャビティC2とに連通するランナゲート54aが設けられている。すなわち、金型40が、キャビティC2でトランスファ成形される構造である。
【0030】
このような金型40を備えるプレス部16では、搬送されてきた樹脂RbおよびワークW1を型開きした金型40内にセット(供給)する(図5参照)。具体的には、表面部分Rbsが溶融した樹脂Rbと共にワークW1を下型44のセット部にセットする。ワークW1がセットされる際には、面80b側の電子部品82がキャビティC2に収容される。また、搬送されてきた樹脂Raを型開きした金型40のポット56内にセット(供給)する(図5参照)。
【0031】
ここで、樹脂Rbが金型40で溶融される温度と樹脂搭載部14における加熱部34で溶融される温度(例えば、70〜100℃)とは異なり、金型40の温度(例えば、150℃)が高くなっている。このため、金型40からの熱的影響を受けないよう、ステージ30、樹脂供給部32および加熱部34を備える樹脂搭載部14(図2図3参照)はプレス部16の金型40外に設けられ、相互に断熱されている。
【0032】
次いで、金型40を型閉じしていき、図5に示すように、ワークW1を上型42と下型44とでクランプする。ワークW1がクランプされる際には、面80a側の電子部品82がキャビティC1に収容される。成形後のボイド発生の防止などを図るために、図示しない減圧機構によって金型40内のキャビティC1、C2が減圧される。また、金型40内にセットされた樹脂Ra、Rbは、金型40が所定の温度(例えば、成形温度)に加熱されているため溶融される。
【0033】
次いで、型閉じした状態の金型40から、更に金型40を型閉じしていき、図6に示すように、圧縮成形によって全体が溶融した樹脂Rbを上型42のキャビティC1で充填してワークW1の面80aで成形する。また、この型閉じした金型40において、トランスファ成形によってポット56内で溶融した樹脂Raを圧送して下型44のキャビティC2に充填してワークW1の面80bで成形する。樹脂Ra、Rbに熱硬化性樹脂を用いた場合には、金型40の成形温度によって樹脂Ra、Rbが熱硬化してキャビティC1、C2の形状に成形される。また、ワークW1として孔80cの空いた基板80を用いたとしても、樹脂搭載部14で樹脂Rbの表面部分Rbsが溶融して孔80cを塞いでいるので、樹脂Raに樹脂Rbが流されたり、樹脂Rbが孔80cから落下して樹脂Raの充填される領域に混ざり込んでしまったりすることはなく、これらが過度に混ぜ合わされてしまうのを防止することができる。そして、金型40を型開きして金型40から離型させた成形後のワークW2を、図1に示すように、アンローダ24によって成形品収納部18へ搬送して収納する。
【0034】
本実施形態では、面80a側の電子部品82が樹脂Rbで封止され、面80b側の電子部品82が樹脂Raで封止された成形品(ワークW2)が製造される。前述したように、搬送時の樹脂落下を防止することができ、ワーク搬送の際に樹脂Rbも搬送することができる。したがって、効率良く樹脂Rbを搬送することができ、樹脂成形の生産性を向上させることができる。また、別の金型を準備することなく、1つの金型40でワークW2の両面にそれぞれ異なる性質の樹脂Ra、Rbを効率良く成形することができる。例えば、トランスファ成形用の樹脂Raに対して、圧縮成形用の樹脂Rbには、高放熱性、高強度、高耐熱性といったものを用いることができる。
【0035】
(実施形態2)
前記実施形態1では、基板80の両面(面80aおよび面80b)で樹脂成形がなされた成形品(両面パッケージ)について説明した。本発明の実施形態では、基板80の片面(面80a)のみに樹脂成形がなされた成形品(片面パッケージ)について図7図12を参照して説明する。図7図11は、樹脂成形装置10の要部(プレス部16)の動作工程の模式的断面図である。また、図12は、成形品であるワークW2の模式的断面図である。なお、樹脂成形装置10の概略構成図として図1を参照することができる。
【0036】
本実施形態に係る樹脂成形装置10の動作方法(樹脂搬送方法や樹脂成形方法が含まれる)について説明する。部材収納部12に収納されている成形前のワークW1をローダ22によって樹脂搭載部14へ搬送する。ワークW1(図7参照)は、一方の面80aおよびこの反対側の他方の面80bを有する基板80である。ワークW1の面80aには、電子部品82がワイヤボンディング実装されている。
【0037】
樹脂搭載部14は、図7に示すように、ステージ30を備えている。樹脂搭載部14では、ローダ22によって搬送されてきたワークW1を面80b側でステージ30上にセット(供給)する。また、樹脂搭載部14は、樹脂供給部32を備えている。樹脂搭載部14では、樹脂供給部32によってステージ30にセットされたワークW1の面80a上に樹脂Rbを供給する(図8参照)。
【0038】
樹脂搭載部14は、図8に示すように、加熱部34を備えている。樹脂搭載部14では、加熱部34によって樹脂Rbの表面部分Rbs(図9参照)を溶融させるように樹脂Rbに熱を加える。例えば、加熱部34は、ワークW1に供給された樹脂Rbの表面部分Rbsを溶融させるよう面80a上の樹脂Rbと離れた位置から非接触で輻射熱により加熱する。ここでは、選定された加熱条件(温度、時間など)が用いられる。図9に示すように、輻射熱によって樹脂Rbの表面部分Rbsを溶融させることができる。これにより、樹脂Rbにおいて表面部分Rbsから粉末が巻き上げられて拡散してしまうのを防止することができる。また、樹脂Rbを事前に加熱することで予熱して、プレス部16における成形時間を短縮することもできる。
【0039】
続いて、樹脂Rb(表面部分Rbsが溶融したもの)と共にワークW1をローダ22によって樹脂搭載部14からプレス部16へ搬送(供給)する。本実施形態では、表面部分Rbsが溶融して樹脂RbがワークW1に接着するため、搬送時の樹脂落下を防止することができ、ワーク搬送の際に樹脂Rbも搬送することができる。したがって、ワークW1と共に樹脂Rbを効率良く搬送することができる。
【0040】
プレス部16は、図10に示すように、金型40を備えている。型開閉可能な金型40は、対をなす一方の上型42と他方の下型44を備えており、上型42および下型44が接離動する。本実施形態では、金型40が、公知のプレス機構(型開閉機構)によって樹脂Rbを用いた圧縮成形方式の樹脂成形を行える構造である。プレス部16では、搬送されてきた樹脂RbおよびワークW1を型開きした金型40内にセット(供給)する(図10参照)。具体的には、表面部分Rbsが溶融した樹脂Rbと共にワークW1を下型44のセット部にセットする。
【0041】
次いで、金型40を型閉じしていき、図10に示すように、ワークW1を上型42と下型44とでクランプする。ワークW1がクランプされる際には、面80a側の電子部品82がキャビティC1に収容される。成形後のボイド発生の防止などを図るために、図示しない減圧機構によって金型40内のキャビティC1、C2が減圧される。また、金型40内にセットされた樹脂Rbは、金型40が所定の温度(例えば、成形温度)に加熱されているため溶融される。
【0042】
次いで、型閉じした状態の金型40から、更に金型40を型閉じしていき、図11に示すように、圧縮成形によって全体が溶融した樹脂Rbを上型42のキャビティC1で充填してワークW1の面80aで成形する。樹脂Rbに熱硬化性樹脂を用いた場合には、金型40の成形温度によって樹脂Rbが熱硬化してキャビティC1の形状に成形される。そして、金型40を型開きして金型40から離型させた成形後のワークW2を、図1に示すように、アンローダ24によって成形品収納部18へ搬送して収納する。
【0043】
本実施形態では、図12に示すように、面80a側の電子部品82が樹脂Rbで封止された成形品(ワークW2)が製造される。前述したように、ワークW1上の樹脂Rbの表面部分Rbsを溶融させてワークW1に接着することにより搬送時の樹脂落下を防止することができ、ワーク搬送の際に樹脂Rbも搬送することができる。したがって、効率良く樹脂Rbを搬送することができ、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0044】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、次のとおり、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0045】
例えば、前記実施形態1、2では、ワークとして孔の空いた基板に適用した場合について説明したが、孔の空いていない基板にも適用することができる。
【0046】
例えば、前記実施形態1では、ポット内に供給するトランスファ成形用の樹脂としてタブレット樹脂を適用した場合について説明したが、顆粒樹脂、液状樹脂、シート樹脂、粉状樹脂を適用することもできる。
【0047】
また、圧縮成形用の樹脂Rbとしては、所定温度以下にすることで硬化する熱可塑性樹脂を用いてもよい。この場合、金型40に冷却部を設けることで、樹脂Rbの温度を下げて硬化させてから成形後のワークW2を金型40から取り出すこともできる。樹脂Rbとして、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、不飽和ポリエステル又は液晶ポリマーといったエンジニアリングプラスチック(スーパーエンジニアリングプラスチック)を用いることもできる。
【符号の説明】
【0048】
Rb 樹脂
Rbs 表面部分
W1 ワーク
図1
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図12