特開2017-24380(P2017-24380A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-24380(P2017-24380A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】ラベル分離装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/00 20060101AFI20170113BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20170113BHJP
   B26D 1/14 20060101ALI20170113BHJP
   B26D 1/15 20060101ALI20170113BHJP
【FI】
   B29B17/00ZAB
   B26D3/00 603Z
   B26D1/14 A
   B26D1/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-148695(P2015-148695)
(22)【出願日】2015年7月28日
(71)【出願人】
【識別番号】515206067
【氏名又は名称】株式会社トベ商事
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】戸部 昇
(72)【発明者】
【氏名】戸部 智史
【テーマコード(参考)】
3C027
4F401
【Fターム(参考)】
3C027LL00
4F401AA22
4F401AC11
4F401AC13
4F401BA06
4F401CA13
4F401CA26
4F401CA48
4F401CB40
(57)【要約】
【課題】 合成樹脂製容器の自然落下時の自重を利用して、容器の投入、切断、ラベル分離及び排出が可能な簡易な構造のラベル分離装置を提供すること。
【解決手段】 ラベル分離装置は、ラベル110が装着された合成樹脂製の容器100を自然落下させるシューター10と、シューター内を落下する容器をラベルとともに落下方向に沿って切断する回転切断部20と、シューター内を落下する切断された容器を局所的に押圧して、容器とラベルとの間に空気層を形成する押圧部30と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルが装着された合成樹脂製の容器を自然落下させるシューターと、
前記シューター内を落下する前記容器を前記ラベルとともに落下方向に沿って切断する回転切断部と、
前記シューター内を落下する切断された前記容器を局所的に押圧して、前記容器と前記ラベルとの間に空気層を形成する押圧部と、
を有することを特徴とするラベル分離装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記シューター内に位置する前記回転切断部の回転軌跡の接線方向の向きは、前記落下方向の向きと同一となる向きを含むことを特徴とするラベル分離装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記落下方向と平行な前記接線方向での前記回転切断部の速度は、前記容器の自然落下速度よりも速いことを特徴とするラベル分離装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記シューターは、前記容器を前記回転切断部と接触させる位置に前記容器を案内するガイド部材を含むことを特徴とするラベル分離装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記押圧部は、前記回転切断部により一部が切断されている前記容器の他の一部を押圧する位置に配置されることを特徴とするラベル分離装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記ガイド部材及び前記押圧部は、前記容器のサイズに応じて、前記シューターの内壁より突出する位置が調整可能であることを特徴とするラベル分離装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記押圧部は、回転部と、前記回転部により前記シューター内の前記容器を押圧する位置に移動して前記容器を押圧する押圧片と、を含むことを特徴とするラベル分離装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記シューターに設けられた揺動支点と、前記揺動支点の周りに揺動する揺動板と、前記揺動板に固定されたモーターと、をさらに有し、前記回転切断部は前記揺動板に回転自在に支持されて前記モーターにより回転駆動され、前記揺動板は、前記回転切断部が前記容器を切断可能な切断位置と、前記回転切断部が前記シューターの外に配置される退避位置とに揺動させることを特徴とするラベル分離装置。
【請求項9】
ラベルが装着された合成樹脂製の容器を自然落下させる2本のシューターと、
前記2本のシューター内を落下する前記容器を前記ラベルとともに落下方向に沿って切断する2つの回転切断部と、
前記2本のシューター内を落下する切断された前記容器を回転される押圧片により局所的に押圧して、前記容器と前記ラベルとの間に空気層を形成する2つの押圧部と、
前記2つの回転切断部の駆動に共用される第1モーターと、
前記2つの押圧部の駆動に共用される第2モーターと、
を有することを特徴とするラベル分離装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記2本のシューターに支持された揺動支点と、前記揺動支点の周りに揺動する揺動板と、をさらに有し、前記2つの回転切断部及び前記第1モーターは前記揺動板に支持され、前記揺動板は、前記2つの回転切断部が前記容器を切断可能な切断位置と、前記2つの回転切断部が前記シューターの外に配置される退避位置とに揺動されることを特徴とするラベル分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルを破砕する前に、再資源化可能な有用なボトル材料(例えばポリエチレンテレフタレート樹脂材料)からラベルを分離させるラベル分離装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ミネラルウォーターやソフトドリンク等の包装容器として、生産性及び安全性の面から合成樹脂製容器(以下「ボトル」という)が普及している。ボトルの胴部には、ボトルとは異種材料から成るラベルが貼付されている。包装リサイクル法の施行により、使用済みの回収ボトルは、ラベルと分離されて、資源として再利用される。
【0003】
従来、ラベル付きボトルを予め破砕し、比重が異なるラベル片とボトル片とを一緒に選別装置に投入して、水中にて分離するもの(特許文献1)、あるいは風力にて分離するもの(特許文献2)等があった。
【0004】
ラベルをボトルから分離可能とするために、ボトルを破砕する前に、ラベル付きボトルを長手方向に沿って送り移動させる途中でラベル付きボトルまたはラベルをボトルの長手方向に沿って切断するもの(特許文献3−5)も提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−276258号公報
【特許文献2】特開2010−99910号公報
【特許文献3】特開2011−16290号公報
【特許文献4】特開2015−100949号公報
【特許文献5】特開2013−934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2のようにラベル付きボトルを予め破砕し、その後に水中や風力を利用して比重分離する方法は、ボトルを大量処理するのに適している。しかし、近年はボトルもラベルも薄くなる傾向にあるので、比重による分離が困難となっている。また、水槽やブロワー等の大掛かりな設備が必要となる上、特にブロワーは騒音の問題もある。
【0007】
特許文献3では、上下一対の二軸の回転処理刃でボトルを送り移動する途中にて切断刃によりラベル付きボトルを切断している。特許文献4では、チェーンコンベアで構成される搬送路に沿って送られてくるラベル付きボトルに、付勢部材の付勢力に抗して搬送方向前方に回動する刃部を接触させている。特許文献4によると、ボトルの搬送方向後方に付勢されている刃部に大きな力がかかることがないので、ボトルを切断することなくラベルだけを切断できる。特許文献5では、ラベル付きボトルを滑り台に沿って自重により落下させ、ラベル付きボトルを回転スパイクに突き刺して搬送する途中で固定刃によりラベル付きボトルを切断している。特許文献5によると、切断されたボトルはその自重により回転スパイクから離れる一方で、ラベルは回転スパイクに突き刺さったまま係留されて、ラベルをボトルより分離している。
【0008】
しかし、特許文献3−5では上下一対の二軸の回転処理刃(特許文献3)、チェーンコンベア(特許文献4)または回転スパイク(特許文献5)等のボトル送り装置が不可欠であるので、装置が大型化してしまう。なお、特許文献5では投入時やラベル分離時にはボトルの自重を利用しているが、切断時には回転スパイクによるボトルの送り移動が不可欠である。
【0009】
本発明の幾つかの態様は、合成樹脂製容器の自然落下時の自重を利用して、容器の投入、切断、ラベル分離及び排出が可能な簡易な構造のラベル分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の一態様は、
ラベルが装着された合成樹脂製の容器を自然落下させるシューターと、
前記シューター内を落下する前記容器を前記ラベルとともに落下方向に沿って切断する回転切断部と、
前記シューター内を落下する切断された前記容器を局所的に押圧して、前記容器と前記ラベルとの間に空気層を形成する押圧部と、
を有するラベル分離装置に関する。
【0011】
本発明の一態様によれば、ラベルが装着された合成樹脂製の容器は、その容器の自重を利用して、シューター内に投入され、シューター内にて回転切断部によりラベルと共に切断され、シューター内にて局所的な押圧により容器とラベルとの間に空気層が形成されてラベルが容器から分離され、その後シューターから排出される。よって、特許文献3〜5に示す装置が必要としていた動力源を要する大掛かりな容器移送装置は不要となる。また、投入される容器の容量が同じであれば容器サイズはほぼ等しくなり、回転切断部は位置調整せずに容器を連続して確実に切断できる。切断後に容器を押圧することで、切断されたラベルと容器との間に空気層が形成されて、切断されたラベルは例えば落下速度の相違等により容器から容易に剥離される。なお、回転切断部は、機械的に切断する回転刃の他、熱により切断する回転ヒーター等であってもよい。シューターは鉛直方向に対して平行であることが好ましいが、鉛直方向に対して傾斜していても良い。
【0012】
(2)本発明の一態様では、前記シューター内に位置する前記回転切断部の回転軌跡の接線方向の向きは、前記落下方向の向きと同一となる向きを含むことができる。つまり、回転切断部は上から下に向けて回転される。こうすると、回転切断部により切断される容器は、落下方向とは逆方向に大きな反力が作用することがなく、回転切断部が円滑に容器と接触して切断することができる。
【0013】
(3)本発明の一態様では、前記落下方向と平行な前記接線方向での前記回転切断部の速度を、前記容器の自然落下速度よりも速くすることができる。こうすると、回転切断部により切断される容器は、落下方向とは逆方向に反力が作用することがなく、しかも回転切断部の速度と自然落下速度との差分に基づく相対速度により切断される。
【0014】
(4)本発明の一態様では、前記シューターは、前記容器を前記回転切断部と接触させる位置に前記容器を案内するガイド部材を含むことができる。それにより、シューターの寸法は容器を投入できる大きさとしながら、容器の切断位置においてガイド部材により容器を回転切断部側に偏移させることで、容器を確実に切断することができる。
【0015】
(5)本発明の一態様では、前記押圧部は、前記回転切断部により一部が切断されている前記容器の他の一部を押圧する位置に配置することができる。こうすると、押圧部もガイド部材と同様に、回転切断部と接触させる位置に容器を案内する機能を有することができる。
【0016】
(6)本発明の一態様では、前記ガイド部材及び前記押圧部は、前記容器のサイズに応じて、前記シューターの内壁より突出する位置を調整可能とすることができる。こうすると、回転切断部を必ずしも変更することなく、ガイド部材及び押圧部の位置調整によってさまざまなサイズの容器を切断することができ、汎用性が高まる。
【0017】
(7)本発明の一態様では、前記押圧部は、回転部と、前記回転部により前記シューター内の前記容器を押圧する位置に移動して前記容器を押圧する押圧片と、を含むことができる。押圧部は、押圧片を回転(公転)することで、直線往復移動等と比較すると簡易な機構で押圧片を移動させることができる。回転盤あるいは放射状アーム等の回転部に設けられる押圧片は、好ましくは自転可能なローラーや弾性体等として、容器と接触する際の衝撃を和らげるものとすることができる。また、回転部は、落下方向と直交する第1仮想平面と平行な面内で回転するもの、あるいは、落下方向と平行な第2仮想平面と平行な面内で回転するものであってもよい。
【0018】
(8)本発明の一態様では、前記シューターに設けられた揺動支点と、前記揺動支点の周りに揺動する揺動板と、前記揺動板に固定されたモーターと、をさらに有し、前記回転切断部は前記揺動板に回転自在に支持されて前記モーターにより回転駆動され、前記揺動板は、前記回転切断部が前記容器を切断可能な切断位置と、前記回転切断部が前記シューターの外に配置される退避位置とに揺動させることができる。こうすると、退避位置では、シューターと干渉せずに例えば回転切断部の交換などのメンテナンス作業を容易に実施することができる。この際、揺動板上にて回転切断部はモーターよりも揺動支点から離れた位置に支持されると、小さな揺動角により回転切断部を退避位置まで退避させることができる。
【0019】
(9)本発明の一態様は、
ラベルが装着された合成樹脂製の容器を自然落下させる2本のシューターと、
前記2本のシューター内を落下する前記容器を前記ラベルとともに落下方向に沿って切断する2つの回転切断部と、
前記2本のシューター内を落下する切断された前記容器を回転される押圧片により局所的に押圧して、前記容器と前記ラベルとの間に空気層を形成する2つの押圧部と、
前記2つの回転切断部の駆動に共用される第1モーターと、
前記2つの押圧部の駆動に共用される第2モーターと、
を有するラベル分離装置に関する。
【0020】
本発明の他の態様によれば、駆動源を共用しながら本発明の一態様に係るラベル分離装置を2本のシューターを用いて同時に容器を処理することができるので、省エネルギーでありながら処理能力が倍増される。
【0021】
(10)本発明の他の態様では、前記2本のシューターに支持された揺動支点と、前記揺動支点の周りに揺動する揺動板と、をさらに有し、前記2つの回転切断部及び前記第1モーターは前記揺動板に支持され、前記揺動板は、前記2つの回転切断部が前記容器を切断可能な切断位置と、前記2つの回転切断部が前記シューターの外に配置される退避位置とに揺動させることができる。こうすると、退避位置では、2本のシューターと干渉せずに例えば2つの回転切断部の交換などのメンテナンス作業を容易に実施することができる。この際、揺動板上にて2つの回転切断部は第1モーターよりも揺動支点から離れた位置に支持されると、小さな揺動角により2つの回転切断部を退避位置まで退避させることできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施携帯に係るラベル分離装置の正面図である。
図2】ラベル分離装置の右側面図である。
図3】ラベル分離装置の平面図である。
図4】ラベル分離装置を図2に示す矢印A方向から見た平面図である。
図5】揺動機構により退避位置に配置された回転切断部を示す図である。
図6】揺動機構により切断位置に配置された回転切断部を示す図である。
図7】回転切断部により切断された容器とボトルとを示す図である。
図8】ガイド部材の位置調整機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0024】
図1において、ラベル分離装置は、大別して、シューター10と、回転切断部20(図2も参照)と、押圧部30(図3も参照)とを有する。シューター10に投入される合成樹脂製例えばPET製の容器100は、図7に示すように、開口する口部101と、口部101に続いて径が拡大される肩部102と、肩部102に続いて最大径となる胴部103と、胴部103の端部を閉鎖する底部104とを有する。容器100の胴部103にラベル110が取り付けられる。図7では、回転切断部20により切断された容器100及びラベル110が示されている。容器100には、例えば肩部102の途中から胴部103を経て底部104に至る長さに亘って切断された切断線105が形成される。ラベル110も容器100と共に切断され、図7ではループ状のラベル110が切断されて2つの端辺111が形成される。
【0025】
図1において、下部フレーム1には、例えば2本のシューター10が、例えば垂直に設置される。シューター10の上端は例えば斜めに切断されて開口され、容器の投入口10Aとして機能する(図2)。シューター10の下部の側面も開口され、容器の排出口10Bとして機能する(図1)。シューター10は、図4に示すように例えば輪郭が正方形の中空筒体であり、対向する内壁間の長さは容器の直径よりも大きい。シューター10は、ラベル110(図7参照)が装着された合成樹脂製の容器100(図2及び図7参照)が投入され、容器100の自然落下を案内する。排出口10Bより排出された容器100及びラベル110は、図示しないベルトコンベアにより搬送され、例えばバキューム吸着などによって容器100とラベル110とに分別される。
【0026】
回転切断部20は、シューター10内を落下する容器100をラベル110とともに落下方向に沿って切断する。これにより、図7に示すように、切断線105を有する容器100の胴部103に、2つの端辺111を有するラベル110が巻き付いた形で残存している。押圧部30は、シューター10内を落下する切断された容器100を局所的に押圧する。このとき、容器100が変形する過程や変形後に、容器100とラベル110との間に空気層が形成される。空気層の形成により、あるいは押圧時の衝撃により、ラベル110の一部または全部は容器100から剥離される。
【0027】
本実施形態では、ラベル110が装着された合成樹脂製の容器100は、その容器100の自重を利用して、投入口10Aよりシューター10内に投入され、シューター10内にて回転切断部20によりラベル110と共に切断される。さらに、シューター10内にて押圧部30による局所的な押圧により、容器100とラベル110との間に空気層が形成されてラベル110が容器100から分離され、その後シューター10の排出口10Bから容器100とラベル110とが例えば別々に排出される。
【0028】
よって、本実施形態によれば、特許文献3〜5に示す装置が必要としていた動力源を要する大掛かりな容器移送装置は不要となる。また、投入される容器100の容量が同じであれば容器サイズはほぼ等しくなり、回転切断部20は位置調整せずに容器100を連続して確実に切断できる。切断後に容器100を押圧することで、切断されたラベル110と容器100との間に空気層が形成されて、切断されたラベル110は例えば落下速度の相違等により容器100から容易に剥離される。
【0029】
ここで、回転切断部20は、図2に示すように、矢印B方向に回転する回転刃21を有することができる。矢印B方向に回転する回転刃21の一部は、シューター10に設けられた開口を介してシューター10内に位置する。つまり、シューター10内に位置する回転切断部20(回転刃21)の回転軌跡の接線方向の向きは、落下方向の向きと同一となる向き(鉛直下向き)を含む。こうして、回転切断部20(回転刃21)は上から下に向けて回転されると、回転切断部20(回転刃21)により切断される容器100は、落下方向とは逆方向に大きな反力が作用することがなく、回転切断部20(回転刃21)が円滑に容器100と接触して切断することができる。
【0030】
また、落下方向と平行な接線方向(鉛直下向き)での回転切断部20(回転刃21)の速度は、容器100の自然落下速度よりも速くすることができる。こうすると、回転切断部20(回転刃21)により切断される容器100は、回転切断部20(回転刃21)の速度と自然落下速度の差分に基づく相対速度により切断される。
【0031】
ここで、本実施形態では、回転切断部20は、図1及び図2に示すように、2つの回転刃21を固定した軸22と、軸22に固定された小径プーリー23と、モーター24と、モーター24の出力軸に固定された大径プーリー25と、小径プーリー23及び大径プーリー25に架け渡されたベルト26とを有することができる。本実施形態ではモーター24は毎分当たりの回転数(rpm)を調整可能であり、例えば3500rpmである。小径プーリー23及び大径プーリー25による減速比は71/100である。よって、毎分当たりの回転刃21の回転数は、約5000(≒3500÷71/100)rpmである。回転刃21の接線方向の速度V1は、回転刃21の半径をr=8.25cmとすると、V1=2πr×回転数rpm/60≒43.2m/secとなる。
【0032】
一方、例えば質量m=100gの容器100が拒理h=0.5mを落下した時の自然落下速度V2は、空気抵抗係数k=0.24kg/m、重力加速度g=9.8m/sとして、V2=(mg/k)1/2×tanh[t/(m/gk)1/2]=1.92m/secである。よって、本実施形態では回転刃21の接線方向の速度V1は容器100の自然落下速度V2よりも十分に速い(V1≫V2)。
【0033】
本実施形態では、シューター10は、容器100を回転切断部20に接触させる位置に容器100を案内するガイド部材40(図2)を含むことができる。ガイド部材40は、例えば、シューター10の内壁に設けられ、下方に向かうに従い内壁からシューター内側に向かうように傾斜する傾斜部とすることができる。それにより、シューター10の寸法は容器100を投入できる大きさとしながら、容器100の切断位置においてガイド部材40により容器100を回転切断部20(回転刃21)側に偏移させることで、容器100を確実に切断することができる。また、シューター10は、切断された容器100及びラベル110を排出口10Bに案内するガイド部材41を備えることができる(図2)。
【0034】
本実施形態では、押圧部30は、図2に示すように、回転切断部20により一部が切断されている容器100の他の一部を押圧する位置に配置することができる。こうすると、押圧部30もガイド部材40と同様に、回転切断部20と接触させる位置に容器100を案内する機能を有することができる。これにより、切断途中の容器100の下端部側を切断位置にガイドすることができ、容器100をラベル110と共に確実に切断することができる。
【0035】
本実施形態では、押圧部30は、図3に示すように、2つの回転部例えば回転円盤31と、回転円盤31によりシューター10内の容器100を押圧する位置に移動して容器100を押圧する押圧片32と、を含むことができる。回転円盤31の一部及び複数お押圧片32の一部は、開口を介してシューター10の内部に配置される。押圧部30は、回転円盤31により押圧片32を回転(公転)することで、直線往復移動等と比較すると簡易な機構で押圧片32を移動させることができる。回転円盤あるいは放射状アーム等の回転部31に設けられる押圧片32は、好ましくは自転可能なローラーや弾性体等として、容器100と接触する際の衝撃を和らげるものとすることができる。また、回転部31は、落下方向と直行する第1仮想平面と平行な面内で回転するもの、あるいは、落下方向と平行な第2仮想平面と平行な面内で回転するものであってもよい。
【0036】
本実施形態では、図2と、図2の矢印A方向から見た図4とに示すように、2つの回転円盤31の一方の下方に、モーター取付金具33Aに固定されたモーター33を有する。2つの回転円盤31の各軸部にはプーリー34が固定される。2つの回転円盤31の一方の軸部はモーター33により回転される。2つの回転円盤31の他方の軸部には、2つのプーリー34とテンションプーリー35、およびそれらのプーリー34,35に架け渡されるベルト36を介して、モーター33の回転力が伝達される。
【0037】
本実施形態では、ガイド部材40及び押圧部30は、容器100のサイズに応じて、シューター10の内壁より突出する位置を調整可能とすることができる。こうすると、回転切断部20を必ずしも変更することなく、ガイド部材40及び押圧部30の位置調整によってさまざまなサイズの容器100を切断することができ、汎用性が高まる。
【0038】
そのために、ガイド部材40は、図8に示すように例えば揺動支点50に揺動自在に支持される。シューター10の壁部にはボルト51が螺合され、ナット52によりボルト51の突出量が調整される。ボルト51の突出量を調整することで、ガイド部材40がシューター10の内壁より内方に突出する量Hが調整される。
【0039】
一方、押圧部30は、図3及び図4に示すように、シューター10に対して水平移動可能な可動板60に取付けられる。可動板60は、シューター10に固定された固定板61に対する水平位置を、ボルト62やナットにより、図8と同じ要領で調整される。
【0040】
本実施形態では、図2図5及び図6に示すように、シューター10に設けられた揺動支点70と、揺動支点70の周りに揺動する揺動板71とをさらに有することができる。揺動板71には、モーター24と回転刃21とが搭載される。揺動板71は、回転切断部20(回転刃21)が容器100を切断可能な切断位置(図2及び図6)と、回転切断部20(回転刃21)がシューター10の外に配置さえる退避位置(図5)とに揺動させることができる。そのために、揺動板71には取っ手72を設けることができる。こうして、退避位置(図5)では、シューター10と干渉せずに例えば回転切断部20(回転刃21)の交換などのメンテナンス作業を容易に実施することができる。この際、揺動板71上にて回転切断部20(回転刃21)はモーター24よりも揺動支点70から離れた位置に支持されると、小さな揺動角により回転切断部20(回転刃21)を退避位置まで退避させることができる。また、図2及び図5に示す切断位置にて揺動板71を固定するために、図1に示す固定ピン80を、シューター10に設けた孔81と揺動板71に設けた孔82(図5参照)に挿通させることができる。
【0041】
なお、上記のように本実施形態について説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書及び図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0042】
例えば、シューター10は鉛直方向に平行でなくても良くも鉛直方向に対して傾斜していても良い。その場合、図2において回転切断部20が配置されるシューター10の壁部が下向き、押圧部30が配置されるシューター10の壁部が上向きとなるように傾斜される。傾斜角度によっては、ガイド部材40は不要となり、容器100の重力で回転切断部20に案内される。
【符号の説明】
【0043】
1 下部フレーム、10 シューター、10A 投入口、10B 排出口、20 回転切断部、21 回転刃、24,33 モーター、30 押圧部、40,41 ガイド部材、50、70 揺動支点、51,62 ボルト、52 ナット、60 可動板、61 固定板、71 揺動板、72 取っ手、100 容器、101 口部、102 肩部、103 胴部、104 底部、110 ラベル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8