特開2017-2448(P2017-2448A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社チャイルドの特許一覧

<>
  • 特開2017002448-補正下着 図000003
  • 特開2017002448-補正下着 図000004
  • 特開2017002448-補正下着 図000005
  • 特開2017002448-補正下着 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-2448(P2017-2448A)
(43)【公開日】2017年1月5日
(54)【発明の名称】補正下着
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/00 20060101AFI20161209BHJP
【FI】
   A41C3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-120448(P2015-120448)
(22)【出願日】2015年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】594159010
【氏名又は名称】株式会社チャイルド
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】安藤 宏
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA11
3B131AB02
3B131AB03
3B131AB05
3B131AB09
3B131BA12
3B131BA41
3B131BA50
3B131BB11
3B131BB34
(57)【要約】
【課題】本発明は、乳房を押し潰しつつ、より長時間の着用を可能とする補正下着を提供する。
【解決手段】補正下着1は、前身頃6と、該前身頃に連続された後身頃7と、を備えたサポート部材2と、サポート部材の着用者側に重ねられるとともに、前身頃と後身頃との境界に位置する一方の脇はぎ9から他方の脇はぎ9まで連続して、乳房を押し潰すための乳房押さえ部3と、を備え、乳房押さえ部が、左右の乳房を覆う一対の覆い部4と、これら一対の覆い部間に位置する間部5と、を備え、前身頃が、一対の覆い部それぞれを被覆する一対の覆い部相当部61と、間部を被覆する間部相当部62と、を有し、サポート部材が、覆い部相当部それぞれと後身頃とに架け渡される一対の肩吊り紐8をさらに有し、肩吊り紐の覆い部相当部への付け根は、覆い部相当部の間部相当部側の端部3aから覆い部相当部の上縁部61aに沿っている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と、該前身頃に連続された後身頃と、を備えて、着用者の体形を補正するためのサポート部材と、
前記サポート部材の着用者側に重ねられるとともに、前記前身頃と前記後身頃との境界に位置する一方の脇はぎから他方の脇はぎまで連続して、乳房を押し潰すための乳房押さえ部と、を備え、
前記乳房押さえ部が、左右の乳房の少なくとも一部を覆う一対の覆い部と、これら一対の覆い部間に位置する間部と、を備え、
前記前身頃が、前記一対の覆い部それぞれを被覆する一対の覆い部相当部と、前記間部を被覆する間部相当部と、を有し、
前記サポート部材が、前記覆い部相当部それぞれと前記後身頃とに架け渡される一対の肩吊り紐をさらに有し、
前記肩吊り紐の前記覆い部相当部への付け根は、前記覆い部相当部の前記間部相当部側の端部から前記覆い部相当部の上縁部に沿って設けられていることを特徴とする補正下着。
【請求項2】
前記覆い部と前記間部とが、前記乳房押さえ部の上縁部から下縁部まで直線状に連続形成された一対の第1接合部により接合されてシート状に一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補正下着。
【請求項3】
前記覆い部は、乳首に略対向する位置に設けられて当該覆い部の上縁部から下縁部まで連続形成された第2接合部により接合された2枚の部材から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補正下着。
【請求項4】
前記第2接合部は、乳首に略対向する位置から前記覆い部の上縁部に向かうに従って、前記間部から離れる方向に湾曲されていることを特徴とする請求項3に記載の補正下着。
【請求項5】
前記乳房押さえ部において、その上縁部における前記覆い部と前記間部との境界部は、前記脇はぎの上端よりも上方側に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の補正下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の体形を補正するための補正下着に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳房を引き締めフラットな男性体形に矯正し、女性の体形を男性に近いものにする女性用体形補正下着としての胸部サポーターが特許文献1に開示されている。一方、女性の胸部をサポートする帯状の胸部サポーターが特許文献2に開示されている。特許文献2に開示された胸部サポーターは、胸部に重ねて装着される左右一対のホールド部と、左右一対のホールド部を背側において連結するフレキシブル部と、これらの一対のホールド部及びフレキシブル部を被覆するラウンドカバー部と、を有して構成されている。右側のホールド部とフレキシブル部と左側のホールド部とは、内面側部分を構成する。この内面側部分とラウンドカバー部とは、その幅方向(上下方向)の両端部分がゴム部で接合されている。ゴム部は、やや引き伸ばした状態で内面側部分とラウンドカバー部とに縫合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−281944号公報
【特許文献2】特開2008−150722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示された胸部サポーターは、着用前の状態において、ゴム部が引き伸ばされた状態にあり、着用時には、ゴム部がさらに引き伸ばされて着用者の体を締め付けるとともに乳房を圧迫し続ける。このため、胸部サポーターを着用の際に苦痛を感じて、長時間の着用に耐え難い。
【0005】
本発明は、乳房を押し潰しつつ、より長時間の着用を可能とする補正下着を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために本発明は以下の構成を備える。
即ち、本発明は、前身頃と、該前身頃に連続された後身頃と、を備えて、着用者の体形を補正するためのサポート部材と、前記サポート部材の着用者側に重ねられるとともに、前記前身頃と前記後身頃との境界に位置する一方の脇はぎから他方の脇はぎまで連続して、乳房を押し潰すための乳房押さえ部と、を備え、前記乳房押さえ部が、左右の乳房を覆う一対の覆い部と、これら一対の覆い部間に位置する間部と、を備え、前記前身頃が、前記一対の覆い部それぞれを被覆する一対の覆い部相当部と、前記間部を被覆する間部相当部と、を有し、前記サポート部材が、前記覆い部相当部それぞれと前記後身頃とに架け渡される一対の肩吊り紐をさらに有し、前記肩吊り紐の前記覆い部相当部への付け根は、前記覆い部相当部の前記間部相当部側の端部から前記覆い部相当部の上縁部に沿って設けられていることを特徴とする補正下着である。
【0007】
本発明においては、前記覆い部と前記間部とが、前記乳房押さえ部の上縁部から下縁部まで直線状に連続形成された一対の第1接合部により接合されてシート状に一体に形成されているのがよい。
【0008】
また、本発明においては、前記覆い部は、乳首に略対向する位置に設けられて当該覆い部の上縁部から下縁部まで連続形成された第2接合部により接合された2枚の部材から構成されているのがよい。
【0009】
さらに、本発明においては、前記第2接合部は、乳首に略対向する位置から前記覆い部の上縁部に向かうに従って、前記間部から離れる方向に湾曲されているのがよい。
【0010】
さらに、また、本発明においては、前記乳房押さえ部において、その上縁部における前記覆い部と前記間部との境界部は、前記脇はぎの上端よりも上方側に位置しているのがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、前身頃と、該前身頃に連続された後身頃と、を備えて、着用者の体形を補正するためのサポート部材と、サポート部材の着用者側に重ねられるとともに、前身頃と後身頃との境界に位置する一方の脇はぎから他方の脇はぎまで連続して、乳房を押し潰すための乳房押さえ部と、を備え、乳房押さえ部が、左右の乳房の少なくとも一部を覆う一対の覆い部と、これら一対の覆い部間に位置する間部と、を備え、前身頃が、一対の覆い部それぞれを被覆する一対の覆い部相当部と、間部を被覆する間部相当部と、を有し、サポート部材が、覆い部相当部それぞれと後身頃とに架け渡される一対の肩吊り紐をさらに有し、肩吊り紐の覆い部相当部への付け根は、覆い部相当部の間部相当部側の端部から覆い部相当部の上縁部に沿って設けられている。即ち、本発明の補正下着は、乳房押さえ部からはみ出した乳房の一部が、肩吊り紐により、着用者側に押し付けられつつ潰されることとなる。ここで、従来技術の胸部サポーターは、着用前の状態において、ゴム部が引き伸ばされた状態にあり、着用時には、ゴム部がさらに引き伸ばされて着用者の体を締め付けるとともに、乳房を圧迫し続けるが、本発明の補正下着が肩吊り紐を有することにより、乳房の膨らみが広範囲にて押し潰される。これにより、本発明における補正下着を長時間着用することによる苦痛が軽減され、より長時間の着用を可能とする補正下着を提供することができるとともに、着用者の胸全体が平らになるように体形を補正することができる。
【0012】
また、本発明において、覆い部と間部とが、乳房押さえ部の上縁部から下縁部まで直線状に連続形成された第1接合部により接合されてシート状に一体に形成されていることで、第1接合部により、覆い部と間部とが平面的に接合されるから、乳房の膨らみが、間部を含む広範囲にて、着用者側に押し付けられつつ、潰されることとなる。従って、本発明における補正下着を長時間着用することによる苦痛が、より一層軽減され、より長時間の着用を可能とすることができる。
【0013】
さらに、また、本発明において、覆い部は、乳首に略対向する位置に設けられて当該覆い部の上縁部から下縁部まで連続形成された第2接合部により接合された2枚の部材から構成されていることで、第2接合部により、着用者の乳房に対する乳房押さえ部の位置ずれを抑制することができる。
【0014】
また、本発明において、第2接合部は、乳首に略対向する位置から覆い部の上縁部に向かうに従って、間部から離れる方向に湾曲されていることで、覆い部が乳房の形状に沿って立体的に接合されることとなり、覆い部の乳房に対する位置ずれを抑制することができる。また、第2接合部が湾曲して設けられていることにより、乳房の膨らみを、第2接合部よりも脇はぎ側(着用者の前中心から離れた側)に誘導しつつ、乳房を着用者側に押し付けることができる。従って、乳房に対する位置ずれを抑制しつつ、乳房の膨らみを押し潰して、着用者の胸全体が平らになるように体形を補正することができる。
【0015】
また、本発明において、乳房押さえ部において、その上縁部における覆い部と間部との境界部は、脇はぎの上端よりも上方側に位置することで、間部における上下の幅寸法が確保されることと成り、乳房の膨らみが、より一層、広範囲にて、着用者側に押し付けられつつ、潰されることとなる。従って、本発明における補正下着を長時間着用することによる苦痛が、より一層軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態にかかる補正下着を着用した状態で正面側から見た正面図である。
図2図1に示された着用状態の補正下着を背面側から見た背面図である。
図3図1に示された補正下着を構成する乳房押さえ部を表面側から見た平面図である。
図4図1に示された補正下着を構成する乳房押さえ部を裏面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的一態様である実施形態にかかる補正下着としてのブラジャーを図1図4を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる補正下着を着用した状態で正面側から見た正面図である。図2は、図1に示された着用状態の補正下着を背面側から見た背面図である。図3は、図1に示された補正下着を構成する乳房押さえ部を表面側から見た平面図である。図4は、図1に示された補正下着を構成する乳房押さえ部を裏面側から見た平面図である。
【0018】
ブラジャーは、図1図4に示すように、サポート部材2と、このサポート部材2の着用者側に重ねられるとともに、乳房を押し潰すための乳房押さえ部3(図4)と、を備えて構成されている。このブラジャー1は、比較的乳房の大きい(例えばB〜Hカップ)女性が、男性キャラクターにコスチュームプレーをする際に用いられる補正下着であり、乳房を押し潰しつつ、より長時間の着用を可能とするように構成されている。乳房押さえ部3は、図4に示すように、着用者の左右の乳房それぞれを覆う一対の覆い部4と、これら一対の覆い部4間に位置するとともに上方に向かうに従って左右の幅が広くなる略逆三角形状に形成された間部5と、を備えている。
【0019】
サポート部材2は、図3に示すように、乳房押さえ部3を着用者側に重ねて支持する前身頃6と、この前身頃6の左右の両端に連続される一対のバック部7(後身頃)と、前身頃6と各バック部7とに架け渡される一対の肩吊り紐8と、を有して構成されている。ここで、ブラジャー1は、前身頃6と各バック部7との境界に位置する脇はぎ9が、着用者の脇線に重なるように着用される。一対のバック部7には、その先端部同士を背中心位置にて係脱自在に係止する係止手段10(図2に示す)が設けられている。また、サポート部材2は、乳房の膨らみを上下に逃がして、乳房の膨らみを広範囲にて押し潰すように、左右方向(矢印X方向)よりも上下方向(矢印Y方向)に大きな伸縮性を有するように構成されている。前身頃6は、乳房押さえ部3の一対の覆い部4それぞれを被覆する一対の覆い部相当部61と、一対の覆い部相当部61間に設けられて間部5を被覆する間部相当部62と、を有して構成されている。覆い部相当部61と間部相当部62とは乳房押さえ部3の覆い部4の後述する第1接合部31に対向する位置で接合され、各覆い部相当部61と各バック部7とは、脇はぎ9にて接合されている。覆い部相当部61は、2部材から構成されていて、覆い部4の後述する第2接合部32に対向する位置で接合されている。
【0020】
ここで、本明細書では、ブラジャー1を着用した状態で、前身頃6に対して一対のバック部7が連続される着用者の胴周り方向(左右方向と記す場合がある)を矢印Xで示し、着用者の起立方向(上下方向(矢印Y方向)と記す場合がある)を矢印Yで示す。胴回り方向と起立方向は互いに直交する方向である。
【0021】
乳房押さえ部3は、図4に示すように、一対の覆い部4と間部5とが一対の第1接合部31により接合されて、シート状に一体に構成されている。これにより、乳房の膨らみが、間部5を含む広範囲にて、着用者側に押し付けられつつ、潰されることになる。また、乳房押さえ部3は、所定の厚みを有する不織布から構成されている。一対の第1接合部31は、覆い部4と間部5との境界に位置し、乳房押さえ部3の上縁部33から下縁部34まで直線状に連続形成されているとともに、上方に向かうに従って脇はぎ9側(着用者の前中心から離れた側)に傾斜して設けられている。この第1接合部31により、覆い部4と間部5とが平面的に接合されるから、乳房の膨らみが、間部5を含む広範囲にて、着用者側に押し付けられつつ、潰されることとなる。
【0022】
本実施形態において、「接合」との語は、隣り合う部材同士を縫合することでつなぎ合わせることを意味する。しかしながら、本発明はこれに限らず、「接合」との語は、隣り合う部材同士を接着によりつなぎ合わされていることを含むものとする。
【0023】
覆い部4は、図4に示すように、乳房の少なくとも一部を覆うことが可能な程度の面積を有するシート状に形成されている。この覆い部4は、間部5に連続される第1部材41と、第1部材41と脇はぎ9との間にて両者に連続される第2部材42と、を有し、これらの部材41、42が第2接合部32により接合されて構成されている。この第2接合部32は、乳房押さえ部3の上縁部33から下縁部34(覆い部の上縁部から下縁部)まで連続形成されているとともに、バストトップ(乳首)に対向する位置である覆い部4の略中央部を通る位置に設けられている。また、第2接合部32は、下縁部34から上縁部33に向かうに従って、間部5から脇はぎ9側に離れる方向に湾曲して設けられている。さらに、第2接合部32は、覆い部4の略中央部よりも上方側の部分32Aが、第1部材41と第2部材42とが立体的になるように接合され、覆い部4の略中央部にバストトップが位置するように設けられている。このような第2接合部32が形成されていることにより、ブラジャー1の着用状態において、覆い部4が乳房にフィットして装着されるとともに、乳房の膨らみを脇はぎ9側(着用者の前中心から離れた側)に誘導しつつ、乳房を着用者側に押し付けている。
【0024】
さらに、乳房押さえ部3は、図4に示すように、上縁部33と、バージスライン(乳房下の輪郭線)に沿って左右方向(矢印X方向)に沿って設けられる直線状の下縁部34と、サポート部材2の一対の脇はぎ9に重なる左右一対の脇はぎ重ね部35と、を有している。上縁部33は、間部5の上縁部を成す第1上縁部36と、第1部材41の上縁部を成す第2上縁部37と、第2部材42の上縁部を成す第3上縁部38及び各脇はぎ9に連続されるサイドカット部39と、を有している。下縁部34は、一対の脇はぎ重ね部35の下端に連続されている。一対の脇はぎ重ね部35は、サポート部材2の脇はぎ9とともに縫合され、着用した状態で脇線に沿うように設けられている。
【0025】
第1上縁部36は、図4に示すように、下方に向けて凸になる円弧状となるように形成されている。第1上縁部36の両端は、一対の第1接合部31の上端3aと重なる位置に設けられている。第2上縁部37は、上方に向けて凸となる円弧状に形成されているとともに、第1上縁部36の円弧に沿った滑らかな円弧状に形成されている。第2上縁部37の両端は、第1接合部31の上端3a及び第2接合部32の上端3bに重なる位置に設けられている。第3上縁部38は、第2上縁部37との境界に位置する第2接合部32の上端3bが最も高い位置になるようにサイドカット部39に向けて連続されている。
【0026】
また、乳房押さえ部3において、その上縁部33における覆い部4と間部5との境界部(「第1接合部31の上端3a」と同じ位置)は、脇はぎ重ね部35の上端3c(「脇はぎの上端」と同じ位置)よりも上方側に位置している。これにより、間部5における上下の幅寸法が確保され、乳房の膨らみが、より一層、広範囲にて、着用者側に押し付けられつつ、潰される。
【0027】
サポート部材2は、図1図2に示すように、下縁部21が、乳房押さえ部3の下縁部34よりも、所定の寸法だけ下方側において、左右方向(矢印X方向)に沿って、前身頃6からバック部7まで延在形成されている。この下縁部21は、サポート部材2の下縁が折り返されて構成されたものであり、当該下縁は、前身頃6においては、乳房押さえ部3の下縁部34とともに縫合され、バック部7においては、補強部材として機能する平ゴム11とともに縫合されて、裁ち目が始末されている。平ゴム11は、帯板状に設けられ、その長手方向に伸縮するゴム素材から構成されているとともに、乳房押さえ部3の下縁部34の左右方向(矢印X方向)に延長する位置において、バック部7の全長に設けられている。
【0028】
一対の肩吊り紐8は、図1に示すように、その覆い部相当部61への付け根が、覆い部相当部61の間部相当部62側の端部3a(「第1接合部31の上端3a」と同じ位置であるので同一符号を付す)から覆い部相当部61の上縁部61aに沿って第2接合部32の上端3bを超える位置まで設けられている。また、各肩吊り紐8は、覆い部相当部61の間部相当部62側の端部3aから、着用者の肩線に対向する肩線対向部8a(図1に示す)に向かうに従って幅狭になるように直線状に設けられ、肩線対向部8aからバック部7の下縁部21に向かうに従って、幅広になるように直線状に設けられている。このようなに肩吊り紐8は、サポート部材2の下縁部21に向かうに従って幅広になるように形成されているから、脇線近傍部に付いた肉や背中の肉を着用者側に押し付けて、着用者の体形を補正する。また、各肩吊り紐8において、覆い部相当部61の間部相当部62側の端部3aに連続される端80は、生地端が、折り返し縫いせずにそのまま用いられている。このため、肩吊り紐8の端80は、縫い目がなく、段差であるブラジャー1の輪郭がアウターウエア側に表れ難くする。また、肩吊り紐8におけるアームホール側の端81は、補強部材として機能する平ゴム11とともに縫合されて、裁ち目が始末されている。この肩吊り紐8は、端80が第1接合部31に延長する直線状に設けられている。
【0029】
ブラジャー1は、図4に示すように、乳房押さえ部3において、下縁部34から上縁部33における覆い部4と間部5との境界部(「第1接合部31の上端3a」と同じ位置)までの寸法L1を126mm、下縁部34から脇はぎ9の上端(脇はぎ重ね部35の上端3cと同じ位置)までの寸法L2を110mm、下縁部34における一方の脇はぎ重ね部35(一方の脇はぎ9と同じ位置)から他方の脇はぎ重ね部35(他方の脇はぎ9と同じ位置)までの寸法L3を320mmとなるように形成した。
【0030】
尚、本実施形態において、上記各寸法等はあくまでも一例であり、本発明においては用途に応じて適宜設計すればよく、ブラジャー1としては、図4に示すように、乳房押さえ部3において、下縁部34から上縁部33における覆い部4と間部5との境界部(「第1接合部31の上端3a」と同じ位置)までの寸法L1を120mm以上130mm以下、下縁部34から脇はぎ9の上端(脇はぎ重ね部35の上端3cと同じ位置)までの寸法L2を100mm以上120mm以下、下縁部34における一方の脇はぎ重ね部35(一方の脇はぎ9と同じ位置)から他方の脇はぎ重ね部35(他方の脇はぎ9と同じ位置)までの寸法L3を300mm以上350mm以下となるように形成されていることが好ましい。
【0031】
上述した実施形態によれば、肩吊り紐8の覆い部相当部61への付け根が、覆い部相当部61の間部相当部62側の端部3a(「第1接合部31の上端3a」と同じ位置であるので同一符号を付す)から覆い部相当部61の上縁部61aに沿って第2接合部32の上端3bを超える位置まで設けられている。即ち、本発明のブラジャー1は、乳房押さえ部3からはみ出した乳房の一部が、肩吊り紐8により、着用者側に押し付けられつつ潰されることとなる。ここで、本発明のブラジャー1が肩吊り紐8を有することにより、乳房の膨らみが広範囲にて押し潰される。これにより、本発明におけるブラジャー1を長時間着用することによる苦痛が軽減され、より長時間の着用を可能とする補正下着を提供することができるとともに、着用者の胸全体が平らになるように体形を補正することができる。
【0032】
なお、本発明の補正下着としては、比較的乳房の大きい(例えばB〜Hカップ)女性が、男性キャラクターにコスチュームプレーをする際に用いられる補正下着であり、乳房を押し潰しつつ、より長時間の着用を可能とするブラジャー1の一例を説明したが、補正下着として、各種のスポーツウエアのインナーウエアとして用いてもよく、和装下着として用いてもよく、日常、家庭の中などで着用する衣服のインナーウエアとして用いてもよい。即ち、補正下着は、着用者の胸全体が平らになるように体形を補正するあらゆる場面で用いることができる。
【0033】
また、本実施形態では、ブラジャー1の一例を説明したが、本発明の補正下着は、これに限定されるものではなく、例えば、ボディスーツやビスチェにも適用することもできる。
【0034】
前述した各実施形態は本発明の好ましい形態を示したに過ぎず、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々改変して実施することができる。かかる改変によってもなお本発明の補正下着の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0035】
1 ブラジャー(補正下着)
3 乳房押さえ部
3a 覆い部相当部の間部相当部側の端部
4 (一対の)覆い部
5 間部
6 前身頃
7 後身頃
8 (一対の)肩吊り紐
9 脇はぎ
31 第1接合部
32 第2接合部
61 覆い部相当部
61a 覆い部相当部の上縁部
62 間部相当部
図1
図2
図3
図4