【課題】乗り込み時に手をついてもぐらつかず、また衝突時に不用意にボディから外れないようにし、さらにエアバッグが装備された場合は飛び出し角度が安定して、安全性向上,品質向上に貢献するシートバックサイド用基材を提供する。
【解決手段】ボディ7に固定される樹脂製基材の外面をパッド4、さらに表皮5で被って、リアシート90の起立位置のシートバック92に対し車幅方向外側に配されるシートバックサイドに係る基材であって、基材1は、その本体部2から該本体部を構成する車幅方向外側の外側部24よりも外方へ向けて延在する先端部分34の板片面34aが、ボディ7の周縁部に張り出すフランジ部72aのフランジ面PTにその基端側から先端縁側へ向けて寄り添うように、該本体部2に張出し形成された板片状突起部3を具備し、フランジ部72aをウェザーストリップ96で締結する際、フランジ面PTに寄り添う突起部3の先端部分34を一緒に締結できるようにした。
ボディに固定される樹脂製基材の外面をパッド、さらに表皮で被って、リアシートの起立姿勢のシートバックに対し車幅方向外側に配されるシートバックサイドに係る前記基材であって、
前記基材は、その本体部から該本体部を構成する車幅方向外側の外側部よりも外方へ向けて延在する先端部分の板片面が、ボディの周縁部に張り出すフランジ部のフランジ面にその基端側から先端縁側へ向けて寄り添うように、該本体部に張出し形成された板片状突起部を具備し、
前記フランジ部にウェザーストリップを装着する際、前記フランジ面に寄り添う前記突起部の先端部分を一緒に挟着できるようにしたことを特徴とするシートバックサイド用基材。
前記突起部が、前記外側部の側縁に沿って配設され、該外側部から外方へ突出する長さよりも該外側部の側縁沿い長さの方が長い鍔形に形成されてなる請求項1又は2に記載のシートバックサイド用基材。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るシートバックサイド及びシートバックサイド用基材について詳述する。
図1〜
図10は本発明に係るシートバックサイド及びシートバックサイド用基材の一形態で、
図1はそのシートバックサイド用基材とブラケットの分解斜視図、
図2は
図1のブラケットを組付けた基材とエアバッグの外面側斜視図、
図3はシートバックサイドの横断面図、
図4は(イ)が
図3のフランジ面へ突起部を寄り添わす前の部分拡大図、(ロ)は
図3の部分拡大図、
図5はボディへ第一ブラケットを固定させる様子を示す部分斜視図、
図6はボディへ第二ブラケットを固定させる様子を示す部分斜視図、
図7は
図2のブラケット付き基材に代わる別態様の基材の斜視図、
図8は基材にパッド,表皮を被せる様子を示すシートバックサイドの分解斜視図、
図9は他態様のシートバックサイドの横断面図、
図10は
図3のシートバックサイドに代わる参考図である。尚、図面を判り易くするため、各図はエアバッグ8を含め、基材1の要部以外の補強リブ等を省いて全体形状を簡略化し、断面を示すハッチングを一部省略する。また本体部2,突起部3等の厚みは強調して大きめに描く。
【0011】
(1)シートバックサイド用基材
図11のごとく、車両用リアシート90の起立姿勢のシートバック92に対し車幅方向外側にシートバックサイド93が配される場合がある。シートバック92が座部たるシートクッション91に対し傾倒自在であるのに対し、シートバックサイド93はボディ7へ固定保持される。
本発明は、ボディ7への固定を盤石にするシートバックサイドBSを企図する。そのシートバックサイド用基材1(以下、単に「基材」ともいう。)は、該基材1に直接設けた爪部や別体のブラケット6を介したボディ7への固定に加え、突起部3によるボディ7への固定強化が図られている(
図3)。本実施形態の基材1はボディ7へ固定する二つのブラケット6の取付け用透孔を設ける。
【0012】
基材1は樹脂製で、本体部2に突起部3が延出する。ボディ7に固定される基材1は、表皮5の裏面5b側でリアシート90の起立状態の縦長さに合わせた縦長の樹脂成形品で、その外面1aをパッド4、さらに表皮5で被ってシートバックサイドBSとする。本シートバックサイドBSの外観は、起立状態にあるシートバック92から車幅方向外側のドア口近くの車室側壁までのスペースを埋める
図11のようなシートバックサイド93の外観と略同じであり、基材1は表皮5の裏面5b側で、パッド4を介してシートバックサイドBSの形状を保形する芯材になっている。ここで、本発明でいう「車幅方向」,「上方」,「車両前方」は、
図11のシートバックサイド93に組み込まれた基材の姿勢に合わせて図示した
図2の基材1の斜視図でいえば、「紙面左右方向」,「紙面上方」,「紙面手前方向」を指す。本基材1が車両進行方向に対しリアシート90の右側に位置するシートバックサイドBSであり、「シートバックから車幅方向外側」は
図2の紙面左方側になる。
【0013】
基材1の本体部2は前面部21と内側部23と外側部24とを具備し、さらに本実施形態はエアバッグ8(詳しくはエアバッグ装置)が装備されるシートバックサイドBSであり、前面部21にエアバッグ収納用の窪み22が設けられる。
前面部21は、表皮5の裏面5b側でリアシート90の起立状態の縦長さに合わせた
図1,
図2ごとくの縦長板状部で、下部領域には外面1a側から内面1b側に向けて凹むエアバッグ収納用窪み22が形成される。エアバッグ8が収納される前面部21の一部は、外面1a側から内面1b側に立壁222が向かい、その先端縁が前面部21よりも一段低い平板状底壁221につながって
図2ごとくの窪み22になる。底壁221には、エアバッグ8の取付孔22e,22fを設けている。符号220は抜孔を示す。
【0014】
本体部2には、前記ブラケット6の取付け用透孔として、前面部21の上域に第一ブラケット61用透孔21b,21c,21fが形成され、窪み22の底壁221に帯板状の第二ブラケット62用透孔22b〜22d,22hが形成される。ボディ7へ基材1を固定するにあたって、前面部21上域の透孔21b,21cに、第一ブラケット61の爪61b,61cが夫々嵌入し、透孔21fに孔61fを合わせてビス挿着する。該第一ブラケット61の本体61aから突出する軸状突起61dを、
図5のごとくボディ側部材Kの孔K1に掛止することによって、基材1の上部がボディ7に固定される。
また、底壁221の透孔22b,22cに、第二ブラケット62に設けた透孔62b,62cを合わせてねじ固定すると共に、透孔22dや透孔22hに第二ブラケット62の先端爪62dや図示しない爪を嵌入させる。該第二ブラケット62の本体62aから突出する屈曲先端部62gに設けた孔に、
図6のごとくスクリューねじVを通してボディ7に螺着することによって、基材1の下部がボディ7に固定される。該第一ブラケット61,第二ブラケット62は共に基材1の内面1b側に配される。
尚、本実施形態は、ブラケット6を介在させてボディ7に固定するため、ブラケット6の取付け用透孔を設けたが、これに代え、例えば特許第5408360号のごとくボディ7へ係止する直接的な爪部(図示せず)を、基材1に一体成形で設けることもできる。
【0015】
内側部23は、前面部21の車幅方向内側の側縁から屈曲延在する側板部で、起立姿勢のシートバック92の外側面と対向する。前面部21の車幅方向内側の側縁から屈曲延在した内側部23は、主要部分がシートバック92の外側面に接する平らな板面を形成する。符号23fは内側部23に設けた外鍔、符号231はシートバック92を傾動可能にする支軸の貫通用切欠を示す。
外側部24は、本体部2の車幅方向外側の側縁から屈曲延在する側板部である。外側部24は、後部ドア95のサイドボディ71側に配され、側縁24mが緩やかにカーブする。この外側部24に突起部3が設けられる。
【0016】
突起部3は、本体部2から、該本体部を構成する前面部21や外側部24等のなかの該外側部よりも外方へ向けて張り出す板片状体である。本実施形態は、本体部2に係る外側部24を起点に、ここから、車幅方向外側の該外側部よりも外方へ向けて張出し形成された板片状体である。突起部3は互いに離間して外側部24の側縁沿いに複数(ここでは三個)形成される。本体部2と一体成形される樹脂製の各突起部3は、それぞれ外側部24から、車幅方向外方へ向けて延在する先端部分34がボディ7周縁部に在るフランジ部72aにその基端721側から先端縁722側へ向けて寄り添うように、張出し形成される。具体的には、
図4のごとく外側部24から車幅方向外方へ向けてまず突起部3の突き出し用第一板片部31が延在した後、方向を変え車両後方側へ向けて退去板片部32が延びる。そして、再び車幅方向外方へ向かう第二板片部33が延在した後、今度は車両前方へ向けて進出する先端部分34の板片部が延びる。後部ドア口の車両後方側を形成するボディ周縁部に位置するフランジ部72aに、先端部分34の板片面34aがそのフランジ面PTの基端721側から先端縁722側へ向けて寄り添うよう、外側部24から張出し形成される突起部3とする。二つのボディ71,72に在る鍔状フランジ部71a,72aが後部ドア口の車両後方側を形成するが、車室側に配されるフランジ部72aのフランジ面PTに先端部分34の板片面34aが車両後方側から車両前方へ向けて寄り添う。
【0017】
そうして、フランジ部71a,72aにウェザーストリップ96を装着する際、フランジ面PTに寄り添う先端部分34を該フランジ部と一緒に挟着できるようにしている。突起部3は、樹脂の有する可撓性に加え、外側部24から外方へ向けて第一板片部31が延在して後部ドア口を形成するフランジ部72aに近づき、且つ退去板片部32と第二板片部33と先端部分34とでコ字状形にして変形追随性を持たせる。先端部分34の動きに融通性があり、ウェザーストリップ96でフランジ部71a,72aと共に先端部分34を挟んで取付け易くなっている。先端部分34の板片面34aがフランジ部72aに基端721側から先端縁722側へ向けて寄り添い、さらにフランジ面PTに当接する状態で、ウェザーストリップ96が
図3のごとく二つのフランジ部71a,72aと先端部分34とを締結する。
図4(イ)でウェザーストリップ96が、その口960を開け、上顎962と下顎961で二つのフランジ部71a,72aを挟着するが、先端部分34をフランジ部72aに沿わせて、
図4(ロ)のごとく二つのフランジ部と一緒に突起部3の先端部分34が挟着、締結される基材1になる。ドア用ウェザーストリップ96が、両フランジ部71a,72aと一緒に突起部3を締結することにより、ドア周りの隙間から風雨,埃等が侵入することを防ぐと同時に、突起部3がボディ7のフランジ部に固定される。前記第一ブラケット61,第二ブラケット62の二箇所以外に、三箇所目の突起部3によるボディ7への基材1の固定が確保される。第一,第二ブラケット61,62から離れた三箇所目の固定地点が得られることで、基材1がぐらつくことなくボディ7に安定した状態で固定される。
【0018】
突起部3は互いに離間させ、外側部24の側縁24mに沿って複数箇所に設けられており、各突起部3が二つのフランジ71a,72aと一緒にウェザーストリップ96に挟着、締結される。第一ブラケット61,第二ブラケット62による基材1の固定に加え、これらと離れた地点で複数の突起部3によるボディ7への基材1の固定が確保されるので、互いに離れた箇所での固定地点が増え、ボディ7により強固に固定される所望の基材1となる。
また、
図2のごとく三個の突起部3を設けたが、これに代え、例えば上方側の二つを連結した
図7のような突起部3とすることもできる。
図7の突起部3は、外側部24の側縁24mに沿って配設され、該外側部24から外方へ突出する長さL2よりも該外側部24の側縁沿い長さL1の方が長い鍔形に形成されている。斯かる構成にすると、ウェザーストリップ96によって突起部3がフランジ部71a,72aに固定される固定域は、外側部24の側縁沿いの突起部長さL1全域に広がる。ウェザーストリップ96によって、ボディ7の広範囲領域でライン状に固定される所望の基材1となる。
また、
図9に
図1〜
図6に代わる他態様の突起部3を示す。
図9の突起部3は本体部2に係る前面部21の内面を起点に、ここから車幅方向外側の外側部24よりも外方へ向けて張出し形成された突起部3になっている。突起部3は
図3のように本体部2の外側部24からでなく、
図9のごとく前面部21に張出し形成され、また
図3に存在した第一板片部31がない。具体的には、本体部2たる前面部21の内面から車両後方側へ向けて退去板片部32が延在した後、方向を変え車幅方向外方へ向かう第二板片部33が延在する。第二板片部33は、基端側第二板片部331から先端側第二板片部332へ至る部位で車両後方側に段差状に後退して表皮6の先端をかわす。そして、車幅方向外方へ向かう第二板片部33が延在した後、今度は車両前方へ向けて進出する先端部分34の板片部が延び、フランジ部72aのフランジ面PTの基端721側から先端縁722側へ寄り添う。樹脂製突起部3の有する可撓性に加え、退去板片部32と第二板片部33と先端部分34とでコ字状形にして変形追随性を持たせ、先端部分34がフランジ面72aの基端721側から先端縁722側へ寄り添い易くなる突起部3にしている。
図9の突起部3を有する基材1の他の構成は、
図1〜
図6と同様であり、その説明を省く。
図9で、
図1〜
図6と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0019】
(2)シートバックサイド
本シートバックサイドBSは、樹脂製基材1をボディ7に固定するようにして、リアシート90の起立姿勢のシートバック92に対し車幅方向外側に配される
図11ごとくのシートバックサイド93にあって、基材1に前記(1)の基材1が採用される。
図11中、符号97はヘッドレスト、符号98はピラー、符号99はパッケージトレイ、符号BTはシートベルトを示す。
基材1は、リアシート90の起立状態の縦長さに合わせた縦長の本体部2に係る車幅方向外側の外側部24から外方へ向けて延在し、先端部分34の板片面34aをボディ7のフランジ部72aの基端721側から先端縁722側に向かうフランジ面PTに寄り添わせる板片状突起部3を突出形成した樹脂成形品である。二つのボディ7のフランジ部71a,72aにウェザーストリップ96を装着する際、前記フランジ面PTに寄り添う突起部3の先端部分34を一緒に挟着できるようにしている。突起部3が外側部24の側縁24mに沿って互いに離間して複数形成され、また、本体部2に外面1a側から内面1b側に向けて凹むエアバッグ装着用窪み22が形成された基材1である。基材1は(1)の基材1の構成と同じであり、その詳細説明を省く。
【0020】
シートバックサイドBSは基材1の他、パッド4と表皮5とを具備する。
パッド4は基材1の外面1aを被うクッション体である。ポリウレタン材料等の発泡樹脂原料を用いて、シートバックサイド形状に成形された発泡成形品になっている。本実施形態は、エアバッグ8を装備したシートバックサイドBSにして、
図2のごとくエアバッグ8から突出する軸部82を基材1の孔22e,22f、さらに第二ブラッケットの孔62e,62fに通して、該エアバッグ8が図示しない止具で基材1に固着される。パッド4は、このエアバッグ8付き基材1の外面側を
図3のように被って、シートバックサイドBSの外形を形成する。パッド4には、車両衝突時にエアバッグ8のバッグ本体81が膨張展開できるよう、バッグ本体81が膨張する側にスリット40が形成される。
【0021】
表皮5は少なくともパッド4の乗員当接側の外面を被うシートで、例えば通気性を有するファブリック表皮や小孔を多数設けた孔開きレザー表皮が用いられる。そして、エアバッグ8を装備したシートバックサイドBSである場合は、前記パッド4のスリット40の外面位置に
図8のようなライン状縫合部50を配した縫製表皮5とする。本実施形態は、さらに
図3ごとくの力布Sを配し、その先端部位がスリット40位置に配される表皮5の縫い代51と一緒に縫合糸52で縫われる一方、力布Sの基端部位が基材1に固着した補強片Pの孔P1に通して係止保持される。衝突時にバッグ本体81がスムーズに前方へ膨張展開できるよう、力布Sがガイドサポートする。尚、
図3の上側力布Sも基端部位が図示しない補強片の孔に通して係止保持されている。車両衝突時は、バッグ本体81の膨張圧によって縫合糸52を切って、同図矢印のごとくシートバックサイドBSの前方へ向けてバッグ本体81が膨張する。リアシート90に着座した乗員の車幅方向外側に在る本シートバックサイドBSから車両進行方向の前方へバッグ本体81が膨張進出し、乗員を守る。
【0022】
斯かるシートバックサイドBSは、基材1の射出成形時に一体化する爪部(図示省略)か、又は基材1に透孔を利用して固定した
図5,
図6のようなブラケット6を、ボディ側部材に係止させて、基材1をボディ7に固定するだけでなく、新たなボディ7への固定手段たる突起部3を加えた車両内装品になっている。基材外側部24に突起部3を設けて、後部ドア95を形成するボディ7のフランジ部72aに沿わせ、
図4のごとくウェザーストリップ96で第一,第二ボディ71,72のフランジ部71a,72aを挟着、締結するときに、突起部3を一緒に挟着、締結して、突起部3がボディ7のフランジ部72aに固定される所望のシートバックサイドBSの固定構造とする。ウェザーストリップ96で突起部3が挟着されることにより、シートバックサイドBSは後部ドア95側に配置される外側部24がしっかりと固定される。さらに、エアバッグ8を装備するシートバックサイドBSにあっては、本体部2に外面1a側から内面1b側へ向けて凹むエアバッグ装着用窪み22を形成し、ここにエアバッグ8を取付け、且つその外面1a側に配されるパッド4、表皮5で、車両衝突時にバッグ本体81が膨張展開する部位にスリット40,縫合部50を備えたシートバックサイドBSの固定構造にしている。
【0023】
(3)効果
このように構成したシートバックサイドBS及びシートバックサイド用基材1は、外側部24から張出す突起部3を設けており、後部ドア95を形成する第一,第二ボディ71,72のフランジ部71a,72aにウェザーストリップ96を装着する際、両フランジ部と一緒に突起部3を挟着すれば、両フランジ部と突起部3が一体になるので、突起部3の地点で基材1をボディ7へしっかりと固定できる。本体部2の内面1b側を活用したこれまでの爪部やブラケット6では、シートバックサイドBSの形状及びその取付け場所の厳しさから、さらに締め付け工具スペースを設けるスペースなどもなく、せいぜい二箇所に制限されてきた。固定箇所を増やすには意匠面側表皮5に穴や切欠きを設けなければならず、設定不可になっている。特開2014-148251の差し込み突起や特許第4892585号の爪部も夫々二箇所しかない。基材1をボディ7に固定する箇所が二箇所では、その二箇所を結ぶ線の左右どちらか一方の側に外力が加わるとぐらついてしまう。
これに対し、本発明は基材1の内面1bを活用した二つのブラケット6(又は爪部)と離れた外側部24から張出す突起部3が三箇所目の地点としてボディ7に固定されるので、基材1がボディ7に対しぐらつくことがない。三箇所の各地点が互いに離れる三点固定で初めて物(基材1)が安定するので、外側部24から張出す突起部3は理にかなう構成配置になっている。後部ドア95からの昇降時、シートバックサイドBSに手をつくことが多いが、斯かる三点固定の基材1であると、前方から乗員が加える圧力をしっかりと受け止めることができる。しかも、突起部3を設けるにあたり、無理に意匠面側表皮5等に穴や切欠きを開けることもなく、基材1の樹脂成形時に、本体部2と一体成形で突起部3を簡便作製でき、極めて優れものになっている。
突起部3を外側部24の側縁24mに沿って設ければ足りるので、基材1は種々の形状に対応容易で、また基材1が合成樹脂製であることから強度増材の設定も可能である。
【0024】
本発明者等は、三箇所目の固定地点の確保のため、
図10のような基材の内面側から外面側へ凹む凹部930を設け、さらにボディ7にL形補強片Jのベース部J2をビス固定して、起立部J1を凹部930へ挿着可能にする基材93aを、本基材1に先立ち発明した。該凹部930よる三箇所目の固定によって基材93aはぐらつくことなく安定するが、ボディ7への固定は、凹部930への起立部J1の挿着が基材外面からあてがう盲作業であり、作業性が悪い。
これに対し、本発明のシートバックサイドBS及びその基材1は、突起部3が作業者による固定作業で見易い位置にある。突起部3はフランジ部71a,72aと一緒にウェザーストリップ96で締結し易く、作業性に優れる。もともとあるウェザーストリップ96によるフランジ部71a,72aの挟着作業に、突起部3の挟着作業を加えて締結すればよいので、特に作業負担とならない。車両ボディ7への基材1の取付け固定がいたって容易である。新たな作業工程を増やすことなく、ボディ7への基材1の安定強化が図られ、品質向上に貢献する。
【0025】
そして、ウェザーストリップ96にフランジ部71a,72aと共に突起部3が挟着されるので、基材1がボディ7に対し位置決めされることになり、シートバックサイドBSの車幅方向のバラツキが抑えられ、後部ドア口周りの各内装部品の見栄えが良くなる。さらにいえば、ウェザーストリップ96にフランジ部71a,72aと共に突起部3が挟着されることによって、ボディ7と突起部3、ひいては基材1が車両前後方向で位置決めされることになり、基材1の内面1b側の狭い空間に配設されるワイヤーハーネスWHとの干渉を防ぐ役割も担えるようになる(
図3)。
【0026】
また、突起部3は外側部24に設けられることから、該外側部の側縁沿いに離間させて複数設けることが可能であり、そうすると、複数の突起部3が離れる箇所で、ボディ7への基材1の固定地点ができ、ボディ7へ基材1を頑強且つ安定した状態で固定できる。
また、突起部3が、外側部24の側縁24mに沿って配設され、該外側部から外方へ突出する長さL2よりも該外側部の側縁沿い長さL1の方が長い鍔形に形成されると、ボディ7への突起部3の固定箇所が点から線状になるので、ボディ7へ基材1をより強力に固定できる。車両衝突時等でも、シートバックサイドBS,基材1がボディ7から外れる事態にならない。
【0027】
さらに、エアバッグ8を組み込んだシートバックサイドBSでは、基材1がぐらつくと、衝突時のバッグ本体81の飛び出し角度が安定しなくなるが、ブラケット6や爪部と離れて、ボディ7に固定する別地点の突起部3を確保できるので、車両取付け後のシートバックサイドBSのぐらつきをなくし、バッグ本体81の飛び出し角度を安定させる。安全対策に威力を発揮する。突起部3を複数個所設けたり、外側部24から外方へ突出する長さL2よりも外側部24の側縁沿い長さL1の方が長い突起部3にしたりすると、ボディ7に基材1が固定する地点,領域がさらに増えるので、バッグ本体81の飛び出し角度を安定させ、その精度を向上させる。加えて、飛び出しに伴うバッグ本体81の前方への移動する力に対しても、これに同伴せずに耐え、基材1がボディ7に固定された状態を保つことができる。
このように、本シートバックBS及びシートバックサイド用基材1は、上述のごとく、ボディ7へ基材1をぐらつきなしで固定する作業性の良さにとどまらず、品質面,安全面,コスト面等から極めて有益である。
【0028】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。基材1,本体部2,突起部3,パッド4,表皮5,ブラケット6,ボディ7,エアバッグ8等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。