(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-24771(P2017-24771A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】注出栓
(51)【国際特許分類】
B67D 3/04 20060101AFI20170113BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20170113BHJP
【FI】
B67D3/04 B
B65D47/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-147155(P2015-147155)
(22)【出願日】2015年7月24日
(71)【出願人】
【識別番号】391046481
【氏名又は名称】幸立化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 章夫
【テーマコード(参考)】
3E082
3E084
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082CC01
3E082DD05
3E082FF01
3E082FF05
3E084CA01
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC05
3E084EA03
3E084EC05
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB01
3E084HD04
3E084KA20
3E084KB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衛生性をより向上できる注出栓を提供する。
【解決手段】液体容器100の排出口102に着脱自在に取り付けられる注出栓10であって、上下端が開口された略筒状の外筒部20と、排出口102と外筒部20の側部とを接続する接続部22と、を有した本体12と、本体12の上端開口から挿入される円筒状の内筒部40と、外筒部20の外周囲に形成された雄ネジに螺合する螺合部42と、を有し、単一部材からなるキャップ体14と、を備え、内筒部40の先端は、前記キャップ体14を回転させて前記キャップ体14を前記本体12に対して進退させることで、注出口を閉鎖または開放する第一シール部50として機能する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器の排出口に着脱自在に取り付けられる注出栓であって、
上下端が開口された略筒状の外筒部と、前記排出口と前記外筒部の側部とを接続する接続部と、を有した本体と、
前記本体の上端開口から挿入される円筒状の内筒部と、前記外筒部の外周囲に形成された雄ネジに螺合する螺合部と、を有し、単一部材からなるキャップ体と、
を備え、
前記内筒部の先端は、前記キャップ体を回転させて前記キャップ体を前記本体に対して進退させることで、前記注出口を閉鎖または開放する第一シール部として機能する、
ことを特徴とする注出栓。
【請求項2】
請求項1に記載の注出栓であって、
前記内筒部の上端側の外周面は、前記キャップ体を締めた際に、前記外筒部の上端側の内周面に面で当接して前記液体の前記上端開口からの流出を阻害する第二シール部として機能する、ことを特徴とする注出栓。
【請求項3】
請求項2に記載の注出栓であって、
前記キャップ体を閉栓状態から開栓状態に切り替えるとき、前記第一シール部によるシールが解除された後に、前記第二シール部のシールが解除される、
ことを特徴とする注出栓。
【請求項4】
請求項2または3に記載の注出栓であって、
前記内筒部のうち、前記第二シール部の下側には、径方向外側に突出する環状突起であって、前記外筒部の内周面に線で当接することで、前記第二シール部への液体の流出を阻害する第三シール部が形成されている、ことを特徴とする注出栓。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の注出栓であって、
前記本体のうち、少なくとも前記液体と接触する部位は、単一部材からなる、ことを特徴とする注出栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した容器の排出口に取り付け可能で、当該液体の排出を制御できる注出栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を収容した容器の排出口に取り付け可能で、当該液体の排出を制御できる注出栓が広く知られている。例えば、特許文献1〜4には、こうした注出栓が開示されている。かかる注出栓を用いることで、容易に液体容器から所望量の液体を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4269275号
【特許文献2】特許第4269276号
【特許文献3】実開平6−76096号公報
【特許文献4】実開昭61−101151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の注出栓の多くは、複数の部材から構成されており、分解や組み立てが困難であるという問題があった。例えば、特許文献1に開示の注出栓は、液体容器の排出口に連結可能で下端が開口した縦型円筒形のハウジングと、ハウジングの外周囲に螺合されるとともにハウジングの内周面に液密に接する円筒状の支持体を有する操作手段と、支持体の内周面に固着されるとともに下部に流出口に密着する弁部が形成された弁体と、を備えている。注出栓を用いるときには、このハウジング、操作手段、弁体を組み合わせて液体容器の排出口にとりつける。かかる注出栓は、部材と部材との間に微小な隙間が生じている。こうした微小な隙間に、容器内の液体が付着したまま残ると、液体が腐敗して衛生上の問題を招いたり、液体が結晶化して注出栓の正常な動きを阻害したりする。こうした問題を避けるためには、定期的に注出栓を分解して洗浄することが望まれるが、特許文献1の注出栓の場合、分解しても細かい隙間が多く、十分に洗浄することが困難であった。また、そもそも、特許文献1の注出栓では、操作手段と弁体とを嵌合固着しており、分解することが非常に困難であった。結果として、特許文献1の注出栓では、衛生性を保つことが困難であった。特許文献2−4の注出栓においても、分解が困難であり、同様の問題を有していた。
【0005】
そこで、本発明では、衛生性をより向上できる注出栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の注出栓は、液体容器の排出口に着脱自在に取り付けられる注出栓であって、上下端が開口された略筒状の外筒部と、前記排出口と前記外筒部の側部とを接続する接続部と、を有した本体と、前記本体の上端開口から挿入される円筒状の内筒部と、前記外筒部の外周囲に形成された雄ネジに螺合する螺合部と、を有し、単一部材からなるキャップ体と、を備え、前記内筒部の先端は、前記キャップ体を回転させて前記キャップ体を前記本体に対して進退させることで、前記注出口を閉鎖または開放する第一シール部として機能する、ことを特徴とする。
【0007】
好適な態様では、前記内筒部の上端側の外周面は、前記キャップ体を締めた際に、前記外筒部の上端側の内周面に面で当接して前記液体の前記上端開口からの流出を阻害する第二シール部として機能する。この場合、前記キャップ体を閉栓状態から開栓状態に切り替えるとき、前記第一シール部によるシールが解除された後に、前記第二シール部のシールが解除される、ことが望ましい。また、前記内筒部のうち、前記第二シール部の下側には、径方向外側に突出する環状突起であって、前記外筒部の内周面に線で当接することで、前記第二シール部への液体の流出を阻害する第三シール部が形成されている、ことも望ましい。
【0008】
他の好適な態様では、前記本体のうち、少なくとも前記液体と接触する部位は、単一部材からなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャップ体と本体とは、螺合により着脱自在に締結されているため、容易に分解することができる。また、キャップ体は、単一部材からなるため、汚れが溜まりにくい。結果として、容易に分解して洗浄でき、また、汚れが溜まりにくいため、注出栓の衛生性をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態である注出栓の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2は、本発明の実施形態である注出栓10の断面図であり、
図1は、閉栓時を、
図2は、開栓時を示している。
図3は、注出栓10の上面図である。また、
図4は、注出栓10の本体12の断面図であり、
図5は、注出栓10のキャップ体14の断面図である。
【0012】
この注出栓10は、液体容器100の排出口102に取り付けられる。液体容器100は、樹脂等からなる成形容器で、種々の液体を収容する。収容される液体は、特に、限定されず、例えば、醤油や油、牛乳等の液状食品でもよいし、洗剤や化粧品、溶媒等の薬液でもよい。こうした液体容器100は、容易に変形する軟質性でも、形状を変えない硬質性でもよい。液体容器100の下方壁面には、硬質性材料からなる排出口102が設けられている。排出口102の外周面には、注出栓10と螺合するための雄ネジ(図示せず)が形成されている。
【0013】
注出栓10は、排出口102に取り付けられる本体12と、本体12に取り付けられるキャップ体14と、注出口24を覆うカバー体16と、を備えている。
【0014】
本体12は、低密度ポリエチレン等、比較的柔らかい合成樹脂で一体成型された単一部材である。この本体12は、上下端が開口された略円筒形の外筒部20と、この外筒部20の側部から水平方向に延びる接続部22と、に大別される。外筒部20は、上下に延びる円筒形である。この外筒部20の下端開口が、液体が吐出する注出口24となる。注出口24のすぐ上側には、径が急激に変化する肩部26が設けられている。この肩部26の内周面は、下方に近づくにつれ小径になるような、内側に凸の円弧面となっている。
【0015】
外筒部20の内周面のうち肩部26より上側部44には、上端に近づくにつれ径が僅かに大きくなるような、非常に緩やかな角度のテーパーが施されている。このテーパー面に後述する第二シール部52が擦り合いながら食い込むことで、上方への液体の漏れが防止される。外筒部20の上端近傍の外周面には、キャップ体14が螺合するための雄ネジ28が形成されている。また、外筒部20の下端外周面には、カバー体16が係合するための係合突起30が全周に亘って形成されている。
【0016】
接続部22は、水平方向に延びる筒状体で、接続部22の内部空間は、外筒部20の内部空間と繋がっている。接続部22の先端は、同心異径の二つの環状壁、すなわち、締結キャップ部32とインナーリング34とが形成された二重管状となっている。締結キャップ部32の内周面には、排出口102の雄ネジに螺合するための雌ネジが形成されている。インナーリング34は、排出口102の内径とほぼ同じ大きさの外径を有しており、締結キャップ部32を排出口102に取り付けた際、排出口102の内周面に液密に密着する。かかるインナーリング34を設けることで、締結キャップ部32と排出口102との螺合を緩めても液漏れを防止でき、ひいては、本体12を適切な姿勢に保つことができる。すなわち、注出栓10を適切に使用するためには、本体12を、注出口24が下方を向く起立姿勢で保つことが必要となる。この本体12の姿勢は、締結キャップ部32のネジ締め量によって変化し、締結キャップ部32を完全に締めたとき、本体12が起立姿勢を取らない場合も多い。インナーリング34を設ければ、締結キャップ部32を完全に締めなくても液漏れを防止できるため、本体12を起立姿勢に保ちつつも液漏れを防止できる。
【0017】
キャップ体14は、ポリプロピレンなど、本体12よりも硬い合成樹脂で一体成型された単一部材である。このキャップ体14は、有底円筒状の内筒部40と、外筒部20の雄ネジ28に螺合する螺合部42と、に大別される。螺合部42は、内筒部40の上端の外周囲に設けられた環状壁である。螺合部42の内周面には、外筒部20の雄ネジ28と螺合する雌ネジが形成されている。
【0018】
内筒部40は、外筒部20の上端開口から挿入される有底円筒状の部位である。内筒部40は、上端側から順に、非常に緩やかな角度のテーパーが施された上側部44、急なテーパーが施された急変部46、やや急なテーパーが施された下側部48、肩部26に当接する第一シール部50を有している。
【0019】
上側部44は、上方に近づくにつれ、径が僅かに大きくなる非常に緩やかなテーパーが施された部位である。この上側部44は、外筒部20の内周面に面で密着して、液体の上方への漏れを阻害する第二シール部52として機能する。
図6は、
図1におけるX部の拡大図である。
図6に示すように、第二シール部52の外径は、外筒部20の内径より僅かに大きく、注出栓10を閉栓した際、第二シール部52の外周面が、外筒部20の内周面に面状に密着する。
【0020】
また、急変部46のすぐ上側には、第三シール部54が設けられている。
図7は、
図5のY部拡大図である。
図7に示すように、第三シール部54は、全周に亘って径方向外側に突出して環状突起である。この第三シール部54は、外筒部20の内周面に線で当接することで、第二シール部52側への液体の流出を阻害する。
【0021】
急変部46より下側は、外筒部20よりも大幅に小径となっており、外筒部20の内周面との間に、液体が流れる流路空間58を形成する。内筒部40の下端に設けられた第一シール部50は、外筒部20の肩部26の内周面に面で当接することで注出口24を閉鎖して液体の流出を阻害する。第一シール部50の外周面は、肩部26の内周面に対応した形状、すなわち、内側に凸の円弧面形状となっており、下方に近づくにつれ小径となっている。
【0022】
以上の説明から明らかな通り、キャップ体14は、三つのシール部、すなわち、第一シール部50、第二シール部52、第三シール部54を有している。既述した通り、第一シール部50の外径は、肩部26の内径より僅かに大きくなっている。そのため、第一シール部50は、螺合部42のネジを締めたときには、ネジの力で肩部26に面で圧接され、高いシール性を発揮する。同様に、第二シール部52の外径も、内筒部40の上端側の内径より僅かに大きくなっている。そのため、第二シール部52の螺合部42のネジを締めたときには、ネジの力で内筒部40の内周面に面で圧接され、高いシール性を発揮する。
【0023】
また、第一、第二シール部50,52は、いずれも、テーパーを有しているが、本実施形態では、第一シール部50のテーパー角度より第二シール部52のテーパー角度を小さくしている。その結果、螺合部42のネジを緩めるとき、第一シール部50のシールが解除された後に、第二シール部52のシールが解除されることになる。
【0024】
カバー体16は、注出口24への塵芥の付着を防止するために、注出口24を覆う部材である。このカバー体16は、外筒部20の下端に連結される固定部60と、当該固定部60にヒンジ結合された可動部62とに大別される。固定部60は、上下が開口された円筒形で、外筒部20の下端に係合される。可動部62は、有底の円筒形部材である。この可動部62は、固定部60にヒンジ結合されており、固定部60に対して揺動自在となっている。また、可動部62には、固定部60に対して着脱自在の係止部64が設けられており、
図1に示すように、可動部62を固定部60に係止することで、注出口24が覆われ、塵芥の付着が防止される。一方、
図2に示すように、可動部62と固定部60との係合を解除し、可動部62を固定部60に対して回転させることで、注出口24が外部に露出し、液体を外部に放出できる。
【0025】
次に、こうした注出栓10の取り扱いについて説明する。注出口24を使用する場合には、予め、本体12、キャップ体14、カバー体16を組み立てておく。すなわち、内筒部40を、外筒部20の上端開口から挿入するとともに、螺合部42を、外筒部20の雄ネジに螺合しておく。また、外筒部20の下端に、カバー体16を係合しておく。
【0026】
注出口24が組み立てできれば、本体12の締結キャップ部32を、液体容器100の排出口102に螺合する。このとき、注出口24が下方を向くように、締結キャップ部32のネジ締め量を調整する。本実施形態では、締結キャップ部32を完全に締めなくても、インナーリング34が、排出口102の内周面に液密に密着するため、締結キャップ部32のネジ締め量を自由に調整できる。
【0027】
液体容器100に液体を収容する際には、予め、注出栓10を閉栓しておく。すなわち、キャップ体14のネジを完全に締めて、第一シール部50を肩部26に、第二シール部52、第三シール部54を外筒部20の内周面に密着させておく。また、カバー体16も締めておく。
【0028】
この状態で、液体容器100内に液体を供給すれば、液体容器100内の液体は、排出口102から接続部22の内部空間を経て、外筒部20と内筒部40との間の(流路空間58)へと流れ込む。ただし、キャップ体14を完全に締めている状態では、外筒部20の下端は第一シール部50に、外筒部20の上端は、第二シール部52、第三シール部54によりシールされている。その結果、液体は、流路空間58内に留まり、外部には漏れない。
【0029】
この状態で、放置しておくと、外筒内の圧力が、外部より高くなることがある。このとき、注出栓10のシール性能が低いと、流路空間58内の液体が外部に漏れることがある。しかし、本実施形態の第一シール部50、第二シール部52は、いずれも、外筒部20の内周面に面で接触してシールする構成であるため、シール性能が高い。そのため、外筒内の圧力が高くなっても、液体の漏れを効果的に防止できる。
【0030】
次に、注出口24から液体を吐出する場合を説明する。注出口24から液体を吐出したい場合には、まず、カバー体16の可動部62と固定部60との係合を解除する。そして、可動部62を固定部60に対して揺動させて、注出口24を外部に露出させる。その状態で、キャップ体14を回して、螺合部42の螺合を緩める。螺合を緩める方向にキャップ体14を回転させると、キャップ体14は、上方へと直進移動する。この直進移動に伴い、第一シール部50が肩部26から離間し、注出口24が開放される。また、直進移動に伴い第二シール部52も外筒部20の内周面から離間し、シールが解除される。そして、流路空間58内の液体が、開放された注出口24から外部へと放出される。
【0031】
ここで、既述した通り、本実施形態では、螺合部42を緩めた場合、第一シール部50のシールが解除された後に、第二シール部52のシールが解除される。かかる構成としているのは、開栓直後における液体の上側への漏れを防止するためである。すなわち、外筒部20の内圧が高い状態で、螺合部42を緩めると、流路空間58内の液体は、シールの弱い箇所から外部に出ていく。したがって、第一シール部50のシール解除前に第二シール部52のシールが解除されると、第二シール部52(注出栓10の上側)から、液体が外部に漏れることになる。本実施形態では、こうした問題を避けるために、第一シール部50のシール解除後でないと、第二シール部52のシールが解除できないようになっている。
【0032】
なお、キャップ体14を開栓した後は、第二シール部52のシールが解除されるが、第三シール部54のシールは、維持されたままとなる。したがって、開栓後であっても、液体の上方への漏れ、すなわち、意図しない箇所からの液体の漏れは、防止される。ここで、第三シール部54は、外筒部20の内周面に線状に接触するシール部であり、シール力は、第一、第二シール部50,52に比べて小さい。しかし、第三シール部54のシール力が必要なときは、開栓時であり、流路空間58内の圧力は、比較的小さいときが多い。そのため、第三シール部54については、シール力が弱くても問題ない。
【0033】
次に、注出栓10を洗浄する場合について説明する。注出栓10は、長期間使用することができるが、注出する液体の種類によっては、定期的に洗浄をすることが望ましい。特に、醤油や油、牛乳等の液状食品を取り扱う場合には、定期的に洗浄し、高い衛生性を保つことが求められる。本実施形態の注出栓10は、容易に分解できるため、効率的に洗浄することができ、高い衛生性を保つことができる。
【0034】
すなわち、従来の注出栓10の多くは、多数の部品から構成されており、また、一部の部品は固着されていた。そのため、従来の注出栓10では、分解できなかったり、分割できるとしても、手間がかかったりしていた。こうした注出栓10を、分解せずに洗浄した場合、部品間の微小な隙間に汚れが残存し、十分に洗浄することができず、衛生性に問題があった。
【0035】
一方、本実施形態では、これまでの説明で明らかな通り、本体12、キャップ体14、カバー体16という僅か三つの部材でのみ構成されている。また、本体12とキャップ体は、螺合締結、本体12とカバー体16は、係合締結という着脱自在の締結方式で締結されている。そのため、注出栓10を容易に分解することができ、汚れの溜まりやい隙間も容易に洗浄することができる。結果として、注出栓10の衛生性を高く保つことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、分解の手間を低減するために、本体12を単一部材で構成しているが、本体12のうち、液体に接触する部分が単一部材で構成されるのであれば、液体に接触しない箇所は、別部材として構成してもよい。例えば、
図8に示すように、本体12のうち、締結キャップ部32を、別部材として構成してもよい。換言すれば、本体12は、二部材構成としてもよい。かかる構成とすれば、締結キャップ部32に対して、外筒部20を自由に回転することができる。その結果、締結キャップ部32を完全にネジ締めしても、外筒部20を起立姿勢に保つことができる。
【0037】
また、本実施形態では、第一シール部50、第二シール部52のテーパー角度を変更することで、両者のシール解除のタイミングをずらしているが、第二シール部52より第一シール部50のほうが先にシール解除できるのであれば、他の構成を採用してもよい。例えば、第一シール部50および第二シール部52の位置(高さ)を変更して、シール解除のタイミングをずらすようにしてもよい。さらに、本実施形態では、カバー体16を設けているが、カバー体16は、省略されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 注出栓、12 本体、14 キャップ体、16 カバー体、20 外筒部、22 接続部、24 注出口、26 肩部、28 雄ネジ、30 係合突起、32 締結キャップ部、34 インナーリング、40 内筒部、42 螺合部、44 内筒部の上側部、46 急変部、48 内筒部の下側部、50 第一シール部、52 第二シール部、54 第三シール部、58 流路空間、60 固定部、62 可動部、64 係止部、100 液体容器、102 排出口。