-O-〕 を有する(メタ)アクリレート化合物(A)と、リン酸エステル化合物であって炭素数8以上の炭化水素基およびエチレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物(B)とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物。
ε-カプロラクトンを開環した構造 〔-C(=O)-(CH
2)
5-O-〕 を有する(メタ)アクリレート化合物が一般式(A1)
【化2】
(式中、R
3はアルコールまたは多価アルコールの水酸基からb個の水素原子を取り除いた残基、イソシアヌル酸よりb個の水素原子を取り除いた残基の何れかから選ばれる基である。夫々のaは独立して0〜5であり、aの合計はa≧1である。bは1〜20である。R
4は夫々独立して単結合、炭素数1〜20のアルキレン基、アルキレンオキサイド基、又はポリアルキレンオキサイド基の何れかである。R
5は夫々独立してアクリロイル基又はメタクリロイル基またはHである。)
又は一般式(A2)
【化3】
(式中、R
6は水素原子又はメチル基を示す。R
4aはアルキレンオキサイド基又はポリアルキレンオキサイド基を示す。a1は2以上である。)
で表される請求項1〜3の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、硬化膜表面の防曇性が持続し、且つ表面平滑性を有する活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物および硬化膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく検討を重ねた結果、ε-カプロラクトンを開環した構造 〔-C(=O)-(CH
2)
5-O-〕を有する(メタ)アクリレート化合物と、炭化水素基およびエチレンオキサイド基を含有するリン酸エステル化合物との樹脂組成物の硬化膜表面は防曇性が持続し、かつ十分な膜硬度を有することを見出した。すなわち、本発明は下記のコーティング樹脂組成物及び硬化膜に関する。
項1. ε-カプロラクトンを開環した構造〔-C(=O)-(CH
2)
5-O-〕 を有する(メタ)アクリレート化合物(A)と、リン酸エステル化合物であって炭素数8以上の炭化水素基およびエチレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物(B)とを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物。
項2. リン酸エステル化合物のエチレンオキサイド基の繰返し単位数が3以上である項1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物。
項3. リン酸エステル化合物が一般式(B1)
【0006】
【化1】
【0007】
(R
1は炭素数8〜20の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基である。該飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基は分岐していてもよく、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合を有していてもよい。pは3〜20であり、mは1〜3である。nは0〜2、(3−m−n)≧0である。R
2はアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する1価の有機基である。)
で表される化合物又はその塩である、項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物。
項4. ε-カプロラクトンを開環した構造 〔-C(=O)-(CH
2)
5-O-〕 を有する(メタ)アクリレート化合物が一般式(A1)
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R
3はアルコールまたは多価アルコールの水酸基からb個の水素原子を取り除いた残基、イソシアヌル酸よりb個の水素原子を取り除いた残基の何れかから選ばれる基である。夫々のaは独立して0〜5であり、aの合計はa≧1である。bは1〜20である。R
4は夫々独立して単結合、炭素数1〜20のアルキレン基、アルキレンオキサイド基、又はポリアルキレンオキサイド基の何れかである。R
5は夫々独立してアクリロイル基又はメタクリロイル基またはHである。)
又は一般式(A2)
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、R
6は水素原子又はメチル基を示す。R
4aはアルキレンオキサイド基又はポリアルキレンオキサイド基を示す。a1は2以上である。)
で表される項1〜3の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物。
項5. さらに硬化性モノマーまたはオリゴマーを含有する項1〜4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物。
項6. 項1〜5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
【発明の効果】
【0012】
本発明の活性エネルギー線硬化型コーティング樹脂組成物によると、この組成物を硬化させた硬化膜表面は、持続的な防曇性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施形態において、本発明では一般式(A1)もしくは(A2)で表わされる成分、一般式(B1)で表わされる成分を用いることを特徴とする。
【0014】
本明細書中、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0015】
一般式(A1)、(A2)を以下に示す。
【0017】
a、a1はε-カプロラクトンを開環した構造〔-C(=O)-(CH
2)
5-O-〕の繰返し単位数であり、aは夫々独立して0〜5である。ただし、化合物(A1)において夫々のaの合計はa≧1であり、好ましくは3≦a≦6である。a1は、1〜10、好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜5である。
【0018】
R3は、アルコールまたは多価アルコールの水酸基からb個の水素原子を取り除いた残基、イソシアヌル酸よりb個の水素原子を取り除いた残基から選ばれる基である。
【0019】
多価アルコールは、2個以上の水酸基を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ネオペンチルグリコールモノ(ヒドロキシピバレート)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジメチロールプロパンなどが挙げられ、さらに多価アルコールからb個の水素原子を除いた基として、下記式
【0021】
の基などを挙げることができる。多価アルコールの水酸基の数は、2〜10個、好ましくは2〜6個である。
【0022】
bはR
3によって決まりうる数であり1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。例えば、R
3がアルコールまたは多価アルコールの水酸基から水素原子を取り除いた残基である場合、bはアルコールの価数と同じ値である。また、イソシアヌル酸より水素原子を取り除いた残基である場合はbは3である。
【0023】
R4は夫々独立して単結合、炭素数1〜20のアルキレン基、アルキレンオキサイド基、又はポリアルキレンオキサイド基である。R
4aは単結合、アルキレンオキサイド基、又はポリアルキレンオキサイド基である。炭素数1〜20、好ましくは1〜8,より好ましくは1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等を挙げることができる。アルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基を挙げることができ、ポリアルキレンオキサイド基としてはポリエチレンオキサイド基、ポリプロピレンオキサイド基、ポリブチレンオキサイド基、またはこれらの組合せ、例えば−(ポリエチレンオキサイド)−(ポリプロピレンオキサイド)−を挙げることができる。R4として好ましくは単結合、アルキレンオキサイド基であり、より好ましくは単結合である。
【0024】
R5は夫々独立してアクリロイル基又はメタクリロイル基またはHであり、ε-カプロラクトンを開環した構造 〔-C(=O)-(CH
2)
5-O-〕 を有する(メタ)アクリレート化合物(A)は分子中に1以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する。
【0025】
式(A1)として好ましい化合物は例えばa=3、b=6、R3としてジペンタエリスリトール、R4として単結合、R5としてアクリロイル基を有する化合物である。
【0026】
式(A1)で表わされるε-カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物は、アルコール又は多価アルコール、イソシアヌル酸と、ε-カプロラクトンを反応させ、その反応生成物に(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ハライド等を反応させることにより製造することができる。
【0027】
式(A2)で表わされるε-カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物は、アクリル酸又はメタクリル酸とε-カプロラクトンを反応させることにより製造することができる。
【0028】
ε-カプロラクトンの付加反応は公知の方法により行うことができ、例えばチタン化合物等を触媒として、50℃〜300℃の温度において窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。
【0029】
また、(メタ)アクリル酸との反応も公知のエステル化の反応によって行うことができる。
【0030】
式(A1)、(A2)のε-カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物は上述の反応により製造してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0031】
式(A1)、(A2)で表わされるポリグリセリンエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化物の市販品としては、日本化薬株式会社製KAYARAD DPCAシリーズ(DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120)、KAYARAD HXシリーズ(HX-220、HX-620)、新中村化学工業株式会社製 ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート(A-9300-1CL、A-9300-3CL)、株式会社ダイセル製プラクセルFA-2D、FA-10A等を挙げることができる。化合物(A1)、(A2)の量は、化合物(A1)、(A2)、及びその他硬化性モノマーの合計100重量部に対して通常25〜100重量部、好ましくは50〜100重量部程度とすればよい。
【0032】
式(B1)で表される化合物は、エチレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物又はその塩である。
【0034】
R
1は炭素数8〜20の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基である。該飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基は分岐鎖を有していてよく、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合を有することがある。pは3〜20である。mは1〜3である。nは0〜2である。(3−m−n)≧0である。
【0035】
R
2はアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する1価の有機基である。
【0036】
炭素数8〜20の飽和炭化水素基としては、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イソオクタデシル(イソステアリル)、エイコシルなどの直鎖又は分岐を有する炭素数8〜20、好ましくは炭素数12〜18の飽和炭化水素基が挙げられる。
【0037】
炭素数8〜20の不飽和炭化水素基としては、オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル(パルミトオレイル)、オクタデセニル(オレイル)、エイコセニルなどの直鎖又は分岐を有する炭素数8〜20、好ましくは炭素数12〜18の不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0038】
好ましいR
1で表わされる基は、ラウリル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基などの炭素数12〜18の直鎖又は分岐を有する飽和または不飽和炭化水素基、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができる。
【0039】
pは3〜20であり、好ましくは3〜10である。
【0040】
mは1〜3であり、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
【0041】
R
2はアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する1価の有機基であり、ε-カプロラクトンを開環した構造〔-C(=O)-(CH
2)
5-O-〕を有する(メタ)アクリレート化合物や硬化性モノマーやオリゴマー等の他の成分と結合し得る。
【0042】
R
2として具体的には以下の(b−1)〜(b−6)を例示できる。
【0044】
nは0〜2の数、好ましくは0〜1の数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
【0045】
式(B1)で表わされるエチレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物はR
4またはR
5に(メタ)アクリロイル基を有することがあり、組成物中の他の成分と結合して親水効果をより持続させることができる。化合物(B1)の量は、化合物(A1)、(A2)及びその他硬化性モノマーの合計100重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好ましくは2〜5重量部程度とすればよい。
【0046】
式(B1)で表されるエチレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物又はその塩として、具体的には以下の化合物又はその塩を例示することができる。
【0048】
式(B1)で表されるエチレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物の市販品としては例えば東邦化学工業株式会社製フォスファノールシリーズ(ML−220、RD−510Y、RB−410、RD−720N、RL−210、RL−310、RS−410、RS−610、RS−710)、ニッコーケミカルズ株式会社製NIKKOL DLP−6、DLP−10、DOP−8NV、DDP−2、DDP−4、DDP−6、DDP−8、DDP−10等を例示することができる。
【0049】
(3−m−n)が0でない場合、本発明のリン酸エステル化合物は、塩基性金属化合物、アミン化合物、アンモニア等と反応させることによって、金属塩、アミン塩、アンモニウム塩を形成することができる。金属塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩等が挙げられ、具体的にはLi、Na、K、Ca、Mg、Cu、Co、Ni、Zn、Mn、Fe、Pb、Hg、Zr等との塩を例示できる。アミン塩、アンモニウム塩としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミン、メチルベンジルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等の塩を例示できる。化合物(A1)、及び(A2)に対する化合物(B1)の割合は、化合物(A1)、及び(A2)との合計を100重量部とした場合、化合物(B1)は通常0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部とすればよい。
【0050】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、化合物(A)と化合物(B)の他に、硬化性モノマーおよびオリゴマー、溶媒、微粒子、フィラー、着色剤、各種添加剤、重合開始剤等をさらに含有することができる。
【0051】
硬化性モノマー等としては、例えば、各種アクリレートやアクリルウレタン等のアクリル系モノマー、ウレタン系モノマー、エポキシ系モノマー、シリコーン系モノマー、およびそれらのオリゴマー等の反応性化合物が挙げられ、好ましくはアクリル系モノマーおよび/またはそれらのオリゴマーが用いられる。特に、本実施態様の組成物は、硬化膜の製造に用いられることが有用なため、2官能以上の反応性官能基を有する硬化性モノマー等を用いることが好ましい。
【0052】
2官能以上の反応性官能基を有する好ましい硬化性モノマー等は、例えば、多官能アクリレート系モノマーおよび多官能アクリルウレタン系モノマーならびにそれらのオリゴマーである。
【0053】
多官能アクリレート系モノマーは、一分子中、2個以上のアクリロイルオキシ基を有する有機化合物である。多官能アクリレート系モノマーおよびオリゴマーの具体例として、例えば、以下の化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、グリセリンEO変性トリアクリレート、ジグリセリンEO変性テトラアクリレート、ポリグリセリンEO変性ポリアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチールプロパンPO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレートおよびそれらのオリゴマー。多官能アクリレート系モノマーおよびオリゴマーは、通常、用途に併せて取捨選択し、単一または複数の組合せで使用するものである。
【0054】
多官能アクリレート系モノマーおよびオリゴマーは市販品として入手可能である。例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート等は、東亞合成(株)製 アロニックスシリーズ、新中村化学工業(株)製 Aシリーズ、大阪有機化学工業(株)製 ビスコートシリーズ、日立化成工業(株)製 ファンクリルシリーズとして市販されている。
【0055】
多官能アクリルウレタン系モノマーは、一分子中、2個以上のアクリロイルオキシ基を有する有機化合物である。多官能アクリルウレタン系モノマーおよびオリゴマーの具体例として、例えば、以下の化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない:フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等。
【0056】
多官能アクリルウレタン系モノマーおよびオリゴマーは市販品として入手可能である。例えば、東亞合成(株)製 アロニックスシリーズ、新中村化学工業(株)製 NKシリーズ、共栄社化学(株)製 UA・A・UFシリーズ、日本合成化学工業(株)製 紫光シリーズ、根上工業(株)製 アートレジンシリーズ、荒川化学工業(株)製 ビームセットシリーズとして市販されている。
【0057】
硬化性モノマー等は1種類でも使用できるが、構造の異なる2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
【0058】
本実施態様の組成物に含有させてもよい重合開始剤は、従来公知のものが使用でき、例えば、光重合開始剤を使用することができる。
【0059】
光重合開始剤としては、多種多様なものが知られており、適宜選択して使用すればよい。例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ベンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、アントラキノン、アントロン、ジベンゾスベロン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、P−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、2−(P−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、3,3−カルボニルービス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テトラゾール等が挙げられる。
【0060】
樹脂モノマー、樹脂オリゴマーを硬化させる活性エネルギー線としては、放射線、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。放射線、電子線による硬化では電磁波のエネルギーが高いため、重合性二重結合のみで重合が可能である。紫外線、可視光線をエネルギー源とする場合には、重合開始剤成分を配合することが好ましい。
【0061】
重合開始剤を使用する場合、1種類単独での使用も可能であるが、2種以上を任意に配合して使用してもよい。重合開始剤の添加量は、硬化性モノマー等の合計量100重量部に対して、通常0.1〜50重量部程度、好ましくは0.5〜40重量部程度、より好ましくは1〜30重量部程度とすればよい。
【0062】
溶媒としては、ε-カプロラクトンを開環した構造を有する(メタ)アクリレート化合物、リン酸エステル化合物および硬化性モノマー等を溶解する限り特に限定されず、従来公知の溶媒を使用すればよい。 例えば、親水撥油性付与剤の前記した有機溶媒が使用できる。好ましい溶媒として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、1−メトキシ―2−プロパノールアセタート等のエステル等が挙げられる。溶媒は1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
【0063】
溶媒を使用する場合、本実施態様の組成物中の溶媒の使用量は、硬化性モノマー等の合計量100重量部に対して、通常25〜5000重量部程度、好ましくは40〜2000重量部程度、より好ましくは60〜1000重量部程度とすればよい。
【0064】
微粒子としては、カーボンナノチューブ、ナノシリカ粒子、金属粒子、セラミックス粒子、無機粒子等が挙げられる。
【0065】
フィラーとしては、各種顔料、カーボンブラック、各種合成樹脂、有機無機複合体等が挙げられる。
【0066】
着色剤としては、塗料の分野で使用される公知の顔料が挙げられる。
【0067】
本発明においては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗液とし、該塗液を基材に塗布した後、光照射等を行うことにより硬化膜とすることができる。
【0068】
本発明の硬化膜を得るための手順としては、エチレンオキサイド基を有するリン酸エステル化合物と、ε-カプロラクトンを開環した構造を有する(メタ)アクリレート化合物、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、さらに、必要に応じて、重合開始剤成分、溶剤成分、微粒子、フィラー等を適当な配合比で混合溶解させて、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液として調製する。ついで、基材上に塗液を一定の膜厚となるよう塗布し、温風乾燥、真空乾燥等により溶媒成分を除去した後、放射線、電子線、紫外線、可視光線等のエネルギー線を照射することにより硬化膜を得ることができる。
【0069】
塗液の塗工方法は特に限定されないが、例えば、ウェットコーティングにより塗布され、その方式として例えばグラビア方式、バーコート方式、ワイヤーバー方式、スピンコート方式、ドクターブレード方式、ディップコート方式、スリットコート方式等が挙げられる。
【0070】
硬化膜を作製する基材としては、硬化膜の支持が可能であれば特に限定されないが、例えば、光学用途向けハードコートとして利用する場合には透明性を有するシートが望ましい。透明性シートの材質としては、ガラス、プラスチック等が挙げられ、特にプラスチックシートが好ましい。プラスチックとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ブチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらのシートは必要に応じて、バインダー処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の易着処理を行ってもよい。
【0071】
本発明の硬化膜の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。通常は、100nm〜30μm程度とすることができる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものでない。
(実施例1〜18、比較例1〜14)
樹脂組成物は表1、表2に示す配合で全量を10gとなるように調液した。
【0073】
樹脂組成物を、PETフィルム(100μm厚)にバーコーター(No.5)によりコーティング処理を施した。その後、100℃で1分間乾燥させた。その後、UV照射装置を用いて塗膜を十分に硬化させた。硬化後の塗膜を試験片として用い、評価を実施した。評価結果を表1、2に示す。硬化後の塗膜の膜厚は4〜5μmであった。いずれの塗膜もすべて平滑で外観として良好な塗膜が得られた。
[評価方法]
<初期防曇性>
常温で呼気を吹きかけ、曇りの有無を目視で評価した。曇りが認められないものを○、曇りが認められたものを×とした。
<防曇持続性>
塗膜を水に一分間浸漬した後、水より引き上げ室温で3時間風乾させた後、上記同様呼気防曇性の評価を行った。曇りが認められないものを○、曇りが認められたものを×とした。
<耐水性>
塗膜を水に1分間浸漬した後、水より引き上げ室温で3時間乾燥させ、塗膜の外観を目視で観察した。試験前の外観と比較し、変化がないものを○、白化やシミが認められたものを×とした。
<ヘイズ値>
ヘイズメーター(日本電色(株)製 NDH-5000)を用いて塗膜のヘイズ値を測定した。ヘイズ値が1未満を○、1以上を×とした。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】