【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために手段1として、筐体と、同筐体に挿貫され同筐体に対して相対的に長手方向に進退可能とされる長尺体と、同長尺体の長手方向の位置変位を検出する前記長尺体に隣接して配置される検出手段と、を備え、前記筐体を足場側に連結固定するとともに前記長尺体の一端側を固定物側に連結固定し、前記足場の揺れによる前記足場と前記固定物との間の位置変位を前記長尺体の前記筐体に対する相対的な位置変位とし、前記検出手段によって相対的な位置変位によって移動する前記長尺体の被検出部を検出するようにした。
このような構成では、筐体を足場側に連結固定するとともに長尺体の一端側を固定物側に連結固定するため、実際には長尺体は固定物側に固定的に支持されているが、足場と固定物との接近又は離間に伴って相対的に筐体との間で長手方向に進退して位置が変位する。この変位に伴って移動する長尺体の被検出部を検出手段によって検出することで足場と固定物との間の間隔の変化を検出する。これによって揺れ幅の大きな足場について、その揺れの量を筐体と長尺体の間の相対的な位置変位と捉えることができるので検出手段を使用した揺れの検出が可能となる。
【0006】
ここに「足場」とは一般的には架設足場であることが多いが、恒常的に設置されている足場を排除するものではない。また、用途としては広く構築物の施工あるいは修理に使用されるものであればよい。また、一般に足場は金属鋼管で骨組みを構築することが多いが、一部あるいは全部を金属鋼管以外で骨組みとする場合を排除するものではない。
また、「検出手段」とは被検出部との実際の接触状態による検出する場合のみならず、例えば磁気や光による無接触の検出等でもよく、検出手法について限定されるものではない。「長尺体」の形状、長さ、材質等は特に限定されるものではない。
【0007】
また、手段2として、前記被検出部は長手方向において前記検出手段が連続的に検出状態となる領域と連続的に非検出状態となる領域を有しているようにした。
このような構成とすることで、2つの領域の境界を挟んで例えば検出手段が連続的に検出状態となる領域を検出していれば、検出信号が途切れることなくその間出力されることになる。これによって例えば頻繁に検出信号が入り切りされればそれほど揺れは大きくはないが、一回の出力時間が長くなると揺れが大きいと判断することができる。
「連続的に検出状態となる領域と連続的に非検出状態となる領域」とは、例えば長尺体の径や太さを二段階とし検出手段までの距離を2つのパターンで構成したり、一方の領域にのみ磁性体を配設したりして長尺体全体の形状はフラットでも領域毎で属性を変える等することが可能である。
また、手段3として、前記連続的に検出状態となる領域と前記連続的に非検出状態となる領域との境界部分の位置は変更可能であるようにした。
このようにしきい値位置となる境界部分の位置を変更できるとすると、検出手段の感度を任意に変更することが簡単にできる。また、このような構成とすれば、検出手段の初期配置する際にも便利である。例えば、連続的に検出状態となる領域からは遠く、かつ非検出状態となる領域内に検出手段を配置するようにすることで少しの外力では検出状態とはならないように設定することができるわけである。
【0008】
また、手段4として、前記検出手段は前記筐体に装着されているようにした。
つまり、逆にいえば検出手段は筐体に装着されていなくとも足場のどこかに筐体とは別個に配設することで長尺体の被検出部を検出することは可能である。しかし、当初から筐体に装着することで検出手段と被検出部との位置合わせや筐体とは別個に固定する手間等の作業がなくなるため、このように構成することで作業効率が向上する。
【0009】
また、手段5として、前記固定物は固定構築物の壁部であるようにした。
固定構築物の壁部は足場の柱材に沿って立設されており、足場からの距離がほぼ一定しているため、長尺体の一端側を連結させやすいからである。
また、手段6として、前記筐体を前記足場側に連結固定ための連結手段はクランプ装置であるようにした。
クランプ装置を使用して筐体を固定するのであれば、筐体は足場側の任意の位置に取り付けることができ、例えば上記の手段3の実現が容易である。また、固定物の形状や位置の応じた位置に筐体を取り付けることができるので足場における筐体の設置条件が悪くとも対応しやすくなる。
また、手段7として、前記筐体を前記足場側に連結固定ための連結手段は前記筐体に形成された係止手段であり、前記足場側の構成部材に形成された被係止手段に係止させるようにした。
このように係止手段と被係止手段の関係で筐体を固定させることができれば筐体の取り付け作業が効率化する。係止手段と被係止手段とは例えば、くさび部材とこのくさび部材が挿入される枠状体が挙げられる。
また、手段8として、前記長尺体の一端側と連結される前記足場側又は前記固定物側との間には自在継ぎ手機構が配設されているようにした。
長尺体は固定物に連結され筐体に対して相対的に進退するため、この進退方向以外の動きが加わると筐体に対する長尺体の相対的な位置変位(移動)に支障を来すおそれがある。しかし、このように自在継ぎ手機構を配置することで長尺体を筐体に対して相対的にスムーズに進退させることができる。
【0010】
また、手段9として、前記検出手段によって検出された検出値に基づいて制御手段は揺れ情報を報知手段から報知させるようにした。
このように構成することによって、検出手段によって検出した検出値に基づく揺れ情報を報知手段を介してユーザーが認識することができる。「揺れ情報」とは揺れの有無、ある一回の揺れ状態、継続したある揺れ状態、揺れの強弱等の様々な揺れに関する情報である。「報知手段」とは例えば、音声や光での報知やユーザーの情報端末装置のモニター画面上への表示や情報端末装置へのeメール送信等で行うことがよい。これらは単独でも組み合わせて報知するようにしてもよい。
また、手段10として、前記制御手段は前記検出手段によって検出されている時間と検出されてない時間の間隔が長いことによって揺れが大きいと判断するようにした。
つまり、上記のような検出手段を用いた場合ではこのようなインターバルの長さがそのまま揺れの大きさとなるからである。例えば、それほど揺れていなければ検出されている時間と検出されてない時間の短い繰り返しとして検出されるはずだからである。
また、手段11として、前記報知手段は情報端末装置であり、前記制御手段は通信ネットワークを介して前記揺れ情報を前記情報端末装置に送信するようにした。
報知手段が情報端末装置である場合にはユーザーは揺れ情報を通信ネットワークを介して送信することで足場の近くにいなくとも得ることができる。「通信ネットワーク」としては、例えば電話回線網やインターネット等を使用することがよい。「情報端末装置」としては、例えば電話機(固定、携帯のいずれでも。携帯電話であれば多機能携帯電話機(スマートフォン)がよい)、コンピュータ装置がよい。コンピュータ装置の場合には軽便なタブレット型やノートパソコン型がよい。
【0011】
また、手段12として、風速測定手段によって測定された測定値に基づいて前記制御手段は風速情報をモニター上に表示させるようにした。
風速情報を揺れ情報とともに報知することで風速との関係でより正確な揺れ状態を分析することができることとなる。例えば、風速が強くても揺れがないことが分かれば足場の補強の必要はないが、風速が弱くても揺れを検知するようであれば足場の補強を検討する必要がある。あるいは、異なる足場毎に揺れを検知する風速が異なれば相対的に早く揺れが検知される足場の補強をする必要がある。このように揺れ情報単独では分析できない内容を補完することができる。
ここに「風速情報」とは風速に関する情報であって具体的な数値だけでなく風速が強くなることによる注意度合いの報知も含む。
また、手段13として、前記モニターは情報端末装置に設けられ、前記制御手段は通信ネットワークを介して前記風速情報を前記情報端末装置に送信するようにした。
このように構成することで、ユーザーは風速情報を通信ネットワークを介して送信することで足場の近くにいなくとも得ることができる。特に揺れ情報を情報端末装置に送信する場合に一緒に情報として送ることができるので便利である。
また、手段14として、前記制御手段は前記情報端末装置からの通信ネットワークを介した指示によって前記揺れ情報の報知条件を変更するようにした。
これによって、揺れの報知条件や風速情報の報知条件を現場にいなくとも変更することができるため、便利である。