【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るボルトは、
ボルトの頭部と、ネジ溝が形成された軸部とが、一体に形成されたボルトであって、
頭部と軸部とからなるボルト全体が、
ボルトの中心軸を中心として、ボルトの軸方向に沿って3以上に、
分割されている
ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るボルトは、被接合部材に開けられた穴の手前側(片面側)からのみの作業によってボルトを締結するために用いられるボルトであって、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ねて組み合わせ、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込み、穴の手前側からの作業のみによってボルトを締結できるようにしたものである。
【0009】
そして、これを実現するため、本発明に係るボルトは、頭部と、ネジ溝が形成された軸部とが、一体に形成されたボルトであって、頭部と軸部とからなるボルト全体が、ボルトの軸方向に沿って、ボルトの中心軸を中心として3以上に分割されているものとする。
分割数を3以上に限定した趣旨は、ボルトの軸部は挿入できてもボルトの頭部を挿入できない穴が開けられた被接合部材に対して、分割された1のボルトの頭部の最大径が穴の直径よりも小さくなるようにして、分割された全てのボルトの頭部が穴を通過できるようにしたことにある。
そのため、例えば、3に分割してもなお、分割後の1のボルトの頭部の最大径が穴の直径よりも大きい場合は、4以上に分割されたボルトを使用する必要がある。
このように、本発明は、ボルトの軸部は挿入できてもボルトの頭部を挿入できない穴が開けられた被接合部材に対しても、ボルトの頭部の最大径が穴の直径よりも小さくなるように、分割されたボルトである。
【0010】
しかし、仮に、2に分割された各ボルトの頭部が穴の直径よりも小さくなり、2に分割されたボルトの1を、被接合部材に空けられた穴に挿入できる場合は、2に分割することで、本発明の目的を果たすことができる。
また、分割された各ボルトの頭部が被接合部材に開けられた穴の直径よりも小さいわけではないが、ボルト頭部の厚さが薄いために、ボルト頭部を穴に対して斜めに挿し込み、最終的にボルト頭部を穴に挿入できるような場合も、2に分割することで本発明の目的を果たすことができる。
そのため、本発明は、このような実施例の場合には、2に分割することを積極的に除く趣旨ではない。
【0011】
本発明に係るボルトは、ボルト頭部の形状は、六角頭、丸頭、なべ頭など、いずれの形状であっても良い。
また、軸部は、長さを限定されず、ネジ溝の形状、種類についても限定されない。
【0012】
ボルトは、ボルトの中心軸を中心として、外周方向に向かって分割された形状をなしている。
分割されたボルトを組み合わせる際に、分割面に接着剤などの薬剤を塗布して、分割されたボルト同士を固着させることもできる。
【0013】
本発明に係るボルトによれば、穴の向こう側からボルトの軸部を挿入できないような現場でも、完全に穴の手前側のみ、つまり片面からのみの作業で、ボルトの締め付けを完了させることができる。
【0014】
また、ボルトの軸部にスリーブが外嵌されたワンサイドボルトのように、ボルトの頭部と被接合部材との間でスリーブを鍔状に変形させてボルトを抜け止めする方法を採用する必要が無いため、スリーブが必要ないことはもちろん、締め付けのための専用の工具も必要ない。
【0015】
本発明に係るボルトは、単純にボルトを分割しただけであるため、ボルトの軸部の直径よりもボルトの頭部の直径が大きいボルトで、且つ、ボルトの軸部は挿入できてもボルトの頭部が挿入できない穴に挿入して被接合部材を締結するボルトであれば、どのような形状のボルトでも製造することができるほか、既存のボルトを加工することもできる。
【0016】
以下の発明における説明では、上記発明との繰り返しを避けるため、上記発明と同じ説明部分は省略する。
【0017】
本発明に係るボルトは、
ボルトの頭部と、ネジ溝が形成された軸部とが、一体に形成されたボルトであって、
頭部と軸部とからなるボルト全体が、
ボルトの中心軸を中心として、ボルトの軸方向に沿って3以上に、
等分に分割されている
ことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るボルトは、ボルトの軸部は挿入できてもボルトの頭部を挿入できない穴が開けられた被接合部材に対して、分割後の1つのボルト頭部の最大径が穴の直径よりも小さくなるようにボルトを分割することで、ボルト頭部を穴に挿入できるようにしたものである。
そのため、例えば、3に分割されていてもなお、分割された1のボルト頭部の最大径が被接合部材に開けられた穴の直径よりも大きい場合は、4以上に分割することが必要になる。
特に、分割されたボルトのうち、1つでもボルト頭部の最大径が穴の直径よりも大きい場合は、そのボルトだけ更に分割するか、ボルト全体が使えないことになってしまう。
【0019】
しかし、分割されたボルトの全てが、等分に分割されたものであれば、1つだけ穴の直径よりも大きいということはない。
そこで、本発明に係るボルトは、単に3以上に分割されているというだけでなく、3以上で、且つ、等分に分割されたものとした。
【0020】
なお、2以上に分割されたボルトの場合、それが等分に分割されたものであっても、結局、いずれか一方のボルトは、その頭部の最大径は、分割前のボルト頭部の最大径と同じになるから、2以上に分割されたボルトの場合、等分であることは意味をなさない。
【0021】
本発明に係るボルトは、
ボルトの中心軸を中心として、外周方向に向かって分割された分割面が、
ボルトの回転方向に屈曲している
ことを特徴とする。
【0022】
本発明に係るボルトは、ボルトの中心軸を中心として、外周方向に向かって分割された分割面が、外周方向に向かって直線状に分割された形状ではなく、外周方向に向かう途中で屈曲したように分割されたものである。
本発明に係るボルトは、分割されていないボルトと同様、被接合部材に開けられた穴に挿し込んで締結する際は、ボルトの軸の回転方向に力が加わるが、そのときのボルトの分割面が、ボルトの中心軸を中心として外周方向に向かって直線状に分割された分割面であった場合、外周方向に加わる力が大きいため、組み合わされた個々の分割されたボルトが、ずれてしまうおそれがある。
そこで、本発明に係るボルトは、ボルトの中心軸を中心として、外周方向に向かう途中で屈曲した形状の分割面を有するように分割したもので、これにより、ボルトを締めるときに、軸の回転方向に加わる力が隣接するボルトを覆うように伝わり、組み合わされた個々の分割されたボルトが、ずれないように締結できるようにした。
【0023】
本発明に係るボルトは、
分割されている各ボルトの分割面のうち、一面または全ての面に、
分割面同士を嵌め合わせるための凹部または凸部が形成されている
ことを特徴とする。
【0024】
分割されたボルトを使用する場合、挿入した穴の向こう側で分割前の状態に束ねる(組み合わせる)作業が必要になる。
そして、その際には、分割されたボルトの分割面同士がずれないように正確に束ねる(組み合わせる)ことが必要になる。
そこで、本発明に係るボルトは、分割されたボルトの分割面同士を、簡単に且つ確実に嵌め合わせて束ねられるように、ボルトの分割面に凹部または凸部を形成した。
【0025】
凹部または凸部は、凹状の溝または凸状の突起であり、分割面のどの位置に形成されていても良いし、大きさ、形状は限定しない。
また、ボルトを簡単に且つ確実に組み合わせて束ねられるためには、全ての分割面に凹部または凸部を形成することが望ましいが、必ずしも全ての分割面に形成する必要はなく、組み合わせ易くする程度に、幾つかの分割面にのみ凹部または凸部が形成されていれば良いし、1の分割面に凹部と凸部の両方を1以上形成することもできる。
これにより、分割されたボルト同士を、簡単に且つ確実に嵌め合わせ、束ねることができる。
【0026】
本発明に係るボルトは、
分割された1以上のボルトの軸部先端(頭部側とは反対側の端)の角部に、
切欠溝が形成されている
ことを特徴とする。
【0027】
本発明に係るボルトは、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ね、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込み、被接合部材に開けられた穴の手前側(片面側)からの作業のみによってボルトを締結できるようにしたものである。
しかし、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻した後は、穴の手前側からナット等を使ってボルトを締めることになるが、ボルト頭部が穴の向こう側にあるため、手前側、つまりボルトの軸部先端側(頭部側とは反対側の端)にはボルトを押さえるところがない。
そこで、本発明に係るボルトは、ボルトの軸部先端の角部に切欠溝を形成し、その切欠溝に嵌る工具などを使って固定し、ナットで締める際にボルトが回転しないようにした。
【0028】
この切欠溝は、ボルトを締める際に、ボルトが回転しないように押さえるために使用できるほか、一旦締めた後でも、ボルトを緩めることもできる。
通常、片面施工できるボルトというものは、締め付けた後に取り外すことを想定して作られていない。
しかし、一般に、締め付けたボルトを、締結後に取り外す必要が生じることは少なくなく、締め付けた後に取り外すことができれば、非常に使い勝手が良い。
そこで、本発明は、手前側からボルトを締める作業に際して、ボルトが回転しないように押さえる目的のほか、一旦締め付けたボルトを緩める目的にも使用できる切欠溝を形成した。
【0029】
切欠溝は、軸部先端の外周部分に設けても良いし、軸部先端の先端面に設けても良い。
また、切欠溝は、1つだけでなく、2以上設けても良いし、軸部先端の外周部分と先端面などのように、異なる場所に複数設けても良い。
【0030】
本発明に係るボルトは、
分割されたボルトのそれぞれの軸部先端(頭部側とは反対側の端)の端面に、
凹部または凸部が形成されている
ことを特徴とする。
【0031】
本発明に係るボルトは、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ね、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込み、被接合部材に開けられた穴の手前側(片面側)からの作業のみによってボルトを締結できるようにしたものである。
しかし、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ねて組み合わせ、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込む作業は、ボルトの頭部とネジ溝が形成された軸部とが一体に形成されたボルトのみでは実現できない。
そこで、本発明に係るボルトは、ボルトの軸部先端(頭部側とは反対側の端)に、細棒などの付属物を取り付け、その付属物を摘まんで前記作業を行うことができるように、分割されたボルトのそれぞれの軸部先端(頭部側とは反対側の端)の端面に、凹部または凸部を形成した。
【0032】
ボルトの軸部先端(頭部側とは反対側の端)に、細棒などの付属物を取り付け、その付属物を摘まんで作業することによって、分割されたボルトを完全に穴の向こう側に挿し込んでも、ボルトが穴の向こう側に落ちてしまうことなく、また、穴の向こう側で分割されたボルトを束ねて分割前の状態に組み合わせ、その後、穴の向こう側から穴の手前側にボルトの軸部だけを引き戻して、穴に挿し込む作業を簡単に行うことができるようになる。
分割されたボルトのそれぞれの軸部先端(頭部側とは反対側の端)の端面に形成する凹部または凸部は、凹状の溝または凸状の突起からなり、ボルトの軸部先端(頭部側とは反対側の端)に取り付ける付属物によって、種々の形状、大きさにすることができる。
【0033】
本発明に係るボルト挿入補助具は、
分割されたボルトのそれぞれの軸部先端(頭部側とは反対側の端)の端面に、凹状の溝が形成されたボルトを、被接合部材に開けられた穴に挿し込むことを補助するボルト挿入補助具であって、
ボルトの軸方向に、ボルトと同じ数に分割された細棒体からなり、
各細棒体の先端には、分割されたボルトのそれぞれの軸部先端(頭部側とは反対側の端)の端面に形成された凹部または凸部に、嵌合させるための凸部または凹部が形成されており、
この凸部または凹部を、ボルトの凹部または凸部に嵌めて、細棒体をボルトに連結させた状態にすることで、
被接合部材に開けられた穴の径が小さい場合でも、ボルトを穴の向こう側まで通過させて、穴の向こう側で分割されたボルト同士を嵌め合わせてから、被接合部材に開けられた穴にボルトを挿し込むことができる
ことを特徴とする。
【0034】
前記発明に係る分割されたボルトは、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ね、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込み、被接合部材に開けられた穴の手前側(片面側)からの作業のみによってボルトを締結できるようにしたものである。
しかし、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ねて組み合わせ、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込む作業は、ボルトの頭部とネジ溝が形成された軸部とが一体に形成されたボルトのみでは実現できない。
そこで、本発明に係るボルト挿入補助具は、上記作業を補助する補助具であって、ボルトの軸部先端(頭部側とは反対側の端)に形成された凹部または凸部に嵌合させてボルトと連結した状態にして上記作業を行えるように、細棒体からなり、細棒体の先端に凸部または凹部を形成した。
【0035】
ボルト挿入補助具の先端にボルトを連結させた状態で作業を行うことで、分割されたボルトを完全に穴の向こう側に挿し込むことができ、また、穴の向こう側で分割されたボルトを束ねて分割前の状態に組み合わせ、その後、穴の向こう側から穴の手前側にボルトの軸部だけを引き戻して、穴に挿し込むことができるようになる。
凸部または凹部は、分割された各ボルトに連結するそれぞれの細棒体に形成されている。
凸部または凹部は、細棒体の先端に形成され、凸状の突起または凹状の溝からなり、ボルトの軸部先端(頭部側とは反対側の端)の端面に形成された凹部または凸部に嵌合する位置、形状、大きさにする。
凸状の突起の側面や凹状の溝の内周にネジ溝を形成することもできる。
その場合、ボルトの軸部先端に形成した凹状の溝の内周や、凸状の突起の側面にもネジ溝を設けることで、ボルトとボルト挿入補助具との連結を強固にすることができる。
【0036】
本発明に係るボルト挿入補助具は、
分割された各細棒体の、ボルトに連結させる側とは反対側の端部に、ボルト挿入補助具を摘まみ易くするための外周方向に突出した把持部が設けられており、
細棒体をボルトに連結させた状態で被接合部材に空けられた穴にボルトを挿し込む際、
把持部を摘まんでボルトを穴の向こう側まで通過させ、穴の向こう側で分割されたボルト同士を嵌め合わせてから、被接合部材に開けられた穴にボルトを挿し込むことができる
ことを特徴とする。
【0037】
被接合部材に開けられた穴の手前側からのみの作業によって分割されたボルトを締結するには、全ての分割されたボルトを穴に挿し込んで、穴の向こう側で分割されたボルト同士を組み合わせる作業を行う必要があるが、穴の大きさは小さいため、細棒体を摘んで行う作業は慎重さが要求される。
しかし、細棒体の1つ1つは、全ての細棒体を穴に挿入できる程度に細くなければならないため、細棒体を摘まんで上記作業を行うことは容易ではない。
そこで、本発明に係るボルト挿入補助具は、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ねて組み合わせ、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込む作業の簡便のため、ボルト挿入補助具の端部に、ボルトの外周方向に突出した把持部を設けた。
これにより、ボルトを連結したボルト挿入補助具が細くても、把持部を摘まんで、簡単に且つ確実に、上記作業を行うことができる。
【0038】
本発明に係るボルト挿入補助具は、
ボルトの軸部先端(頭部側とは反対側の端)との連結部付近の形状が、連結部側とは反対側に向かって縮径するテーパー状に形成されている
ことを特徴とする。
【0039】
ボルト挿入補助具は、ボルトに連結して、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを分割前の状態に束ねて組み合わせ、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込むという作業を行うための補助具として用いるものである。
そして、この作業を行う際にボルト挿入補助具を通す穴は、ボルトの軸部程度の大きさしかないため、ボルト挿入補助具である細棒体の1つ1つは、細くならざるを得ない。
しかし、それでは、ボルト挿入補助具の先端の端面に、ボルト軸部の先端面に形成された凹部または凸部に嵌合させるための凸部または凹部を形成することができないし、ボルトと連結させた状態の強度が弱く、穴の向こう側でボルトが脱落してしまうおそれがある。
そこで、ボルト挿入補助具の先端部分、つまり、ボルト軸部との連結部付近を太くし、その太くした連結部付近を、連結部側とは反対側に向かって縮径するテーパー状に形成した。
これにより、ボルト挿入補助具の先端の端面に、ボルト軸部の先端面に形成された凹部または凸部に嵌合させるための凸部または凹部を形成することができ、ボルトと連結させた状態でも強度を高くすることができる。
【0040】
本発明に係るボルト収容具は、
ボルト挿入補助具を収容し、または収容したボルト挿入補助具を挿し出すために一端が開口した、中空の円筒体からなり、
円筒体の側面には、長手方向に、収容したボルト挿入補助具の把持部を突出させるためのスライド溝が形成されており、
スライド溝から突出した把持部を摘まんでスライドさせることで、
ボルトを連結させた状態のボルト挿入補助具をボルト収容具に収容し、または収容したボルト挿入補助具を挿し出すことができ、
ボルトを被接合部材に開けられた穴に挿入する際、分割された各ボルトを連結させた状態のそれぞれのボルト挿入補助具を、その把持部を摘まんでスライドさせて挿し出すことで、被接合部材に開けられた穴に分割された各ボルトを挿し込む作業の効率と正確性を向上させることができる
ことを特徴とする。
【0041】
被接合部材に開けられた穴の手前側からのみの作業によって分割されたボルトを締結するには、全ての分割されたボルトを穴に挿し込んで、穴の向こう側で分割されたボルト同士を組み合わせる作業を行う必要があるが、穴の大きさは小さいため、ボルト挿入補助具の1つ1つを摘んで上記作業を行うには、高度な正確性が要求される。
また、本発明に係るボルトを被接合部材に開けられた穴に挿し込むには、1組の分割されたボルトと、分割された各ボルトに連結する1組の複数のボルト挿入補助具とが必要であるため、それぞれの組み合わせを用意したり、保管、管理が面倒である。
そこで、本発明に係るボルト収容具は、ボルト挿入補助具または先端にボルトを連結させた状態のボルト挿入補助具を予め収容しておくことで、ボルト挿入補助具やボルトの保管、管理を簡便にできる。
また、先端にボルトを連結した状態のボルト挿入補助具を1つ1つスライドさせてボルト収容具から挿し出すだけで、被接合部材に開けられた穴の手前側から1つ1つのボルトを穴に挿し込むことができる。
このようにして、分割された各ボルトを挿し込む作業の効率と正確性を向上させることができる。
ボルト収容具は、中空の円筒体からなり、一端は、ボルト挿入補助具を収容し、挿し出すために開口している。
また、円筒体の側面には、収容したボルト挿入補助具を、その把持部が突出した状態でスライドさせることができるように、長手方向に溝が形成されている。
把持部を摘まんだり、押し動かすことで、収容しているボルト挿入補助具を挿し出すことができる。
【0042】
本発明に係るボルト収容具は、
円筒体大のリング状をなし、円筒体の外周を長手方向にスライド自在に可動する補助リングが設けられており、
補助リングを、スライド溝から突出したボルト挿入補助具の把持部に引っ掛けてスライドさせることで、複数のボルト挿入補助具をまとめて収容できる
ことを特徴とする。
【0043】
被接合部材に開けられた穴に、分割されたボルトを挿し込むには、スライド溝から突出したボルト挿入補助具の把持部を押し動かして、ボルト収容具に収容しているボルト挿入補助具を1つ1つ挿し出す必要がある。
しかし、ボルト挿入補助具の全てを挿し出し、分割されたボルトの全てを穴に挿入したあとは、ボルト挿入補助具をボルト収容具に再び収容して、新しいボルトを連結させたり、次に使用する機会に備えることになる。
そこで、ボルト収容具の長手方向にスライド自在に可動する円筒体大の補助リングをボルト収容具に設けることにした。
これにより、ボルト挿入補助具をボルト収容具に再び収容する作業を簡便にできる。
【0044】
本発明に係るボルト収容具は、
開口部付近の内壁が、
開口部に向かって拡径するテーパー状に形成されている
ことを特徴とする。
【0045】
ボルト挿入補助具の先端部分、つまり、ボルト軸部との連結部付近が、連結部付近において太く、連結部側とは反対側に向かって縮径するテーパー状に形成されている場合、このボルト挿入補助具をボルト収容具に収容するには、ボルト収容具の開口部付近が大きく開口している必要がある。
また、ボルト挿入補助具の先端部分が太く、テーパー状に形成されていると否とにかかわらず、ボルト挿入補助具をボルト収容具に収容する際には、ボルト収容具の開口部が、中空になっている空間の内径に比べて大きい方が、ボルト挿入補助具を収容しやすい。
そこで、開口部付近の内壁を、開口部に向かって拡径するテーパー状に形成した。
これにより、ボルト挿入補助具をボルト収容具に収容しやすく、また、先端部分が太く、テーパー状に形成されているボルト挿入補助具でも、ボルト収容具に収めることができる。
【0046】
本発明に係るボルト締結用工具は、
ボルト軸部と同じ径の貫通孔を有し、
貫通孔の内周側に、ボルトの切欠溝に嵌め合わせる突起部が形成されており、
組み合わせた状態のボルトの切欠溝に突起部を嵌め合わせて固定した状態でナットでボルトを締めることで、ボルトが回転することなくナットを締めることができる
ことを特徴とする。
【0047】
本発明に係る分割されたボルトは、穴の手前側からボルトを挿入して穴の向こう側でボルトを束ねて組み合わせ、その後、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻して穴に挿し込み、被接合部材に開けられた穴の手前側(片面側)からの作業のみによってボルトを締結できるようにしたものである。
しかし、穴の向こう側からボルトの軸部だけを引き戻した後は、穴の手前側からナット等を使ってボルトを締めることになるが、ボルト頭部が穴の向こう側にあるため、手前側、つまりボルトの軸部先端側(頭部側とは反対側の端)にはボルトを押さえるところがない。
そこで、ボルト締結用工具を使うことで、容易にナットを締めることができるようにした。
ボルト締結用工具は、ボルト軸部と同じ径の貫通孔を有し、貫通孔の内周側に、ボルトを固定するための、ボルトの切欠溝に嵌め合わせる突起部が形成されている。
ボルト締結用工具の形状は、平板状のものでも、円筒状のものでも良い。
平板状の工具の場合、持ち手部の先に貫通孔を設け、ボルトの切欠溝に突起部を嵌め合わせてボルトに固定した状態のまま持ち手部を持ちながらナットを締めることができる。
円筒状の工具の場合、先端部分に貫通孔を設け、先端とは反対側を持ち手部とし、先端でボルトの切欠溝に突起部を嵌め合わせてボルトに固定した状態のまま、先端とは反対側の持ち手部を持ちながらナットを締めることができる。
組み合わせた状態のボルトの切欠溝に突起部を嵌め合わせて固定した状態でナットでボルトを締めることで、ボルトが回転することなくナットを締めることができる。
突起部の数は、ボルトの軸部先端の角部に形成した切欠溝と同数とする。
なお、ボルトの切欠溝は、ボルトを締める際に、ボルトが回転しないように押さえるために使用できるほか、一旦締めた後でも、ボルトを緩めることもできる。
そのため、ボルト締結用工具は、ボルトを緩めるときにも使用することができる。
使用方法は、締結時と同じように、ボルトの切欠溝に突起部を嵌め合わせてボルトに固定した状態のまま、ボルトを固定してナットを回転させる。