(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-26733(P2017-26733A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】ライブカラオケシステム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20170113BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20170113BHJP
G10H 1/36 20060101ALI20170113BHJP
【FI】
G10H1/00 102B
G10K15/04 302D
G10H1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-143841(P2015-143841)
(22)【出願日】2015年7月21日
(71)【出願人】
【識別番号】515198544
【氏名又は名称】オトン スティーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】オトン スティーブ
【テーマコード(参考)】
5D108
5D378
5D478
【Fターム(参考)】
5D108BA06
5D108BA11
5D108BA24
5D108BA36
5D108BA39
5D108BF20
5D108BH10
5D378MM22
5D378MM33
5D378MM35
5D378MM56
5D378MM97
5D478EB00
5D478EB34
5D478EB41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構成で、ライブ感に溢れたパフォーマンスを実現ならしめ、同席者を含むユーザに新たなエンターテインメントを提供する。
【解決手段】ライブカラオケシステムは、演奏者グループによる楽曲演奏の映像から所望の演奏者の映像を消去して、代わりに背景を映し出した映像を大型ディスプレイ1に等身大で再生するとともに、前記演奏者の音声を消去してスピーカ2から再生する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の演奏者による楽曲演奏の映像及び音声を記録したデータである第1データが格納されている第1データ格納部と、
前記演奏者のうちの少なくとも1人の選択を受け付ける選択受付部と、
前記第1データに記録されている映像及び音声から、前記選択受付部が受け付けた演奏者の映像及び音声を消去し、消去した演奏者の映像の代わりに背景が表示されるようにした第2データを生成する第2データ生成部と、
前記第2データのうちの音声データが示す音声を再生するスピーカと、
前記第2データのうちの映像データが示す映像を略等身大で再生するディスプレイとを具備することを特徴とするライブカラオケシステム。
【請求項2】
前記第1データのうちの映像データは、分離可能に構成した背景データと演奏者映像データとからなり、
前記データ生成部は、前記背景データを消去することなく、選択された演奏者の映像データを前記演奏者映像データから消去するものである請求項1記載のライブカラオケシステム。
【請求項3】
前記演奏者映像データが、分離可能に構成した各演奏者の個別映像データからなるものである請求項2記載のライブカラオケシステム。
【請求項4】
演奏者グループによる楽曲演奏の映像データ及び音声を記録したデータである第1データが格納されている第1データ格納部と、
前記演奏者グループのうちの1人を選択する選択受付部と、
前記第1データが示す映像データ及び音声から、前記選択手段によって選択された演奏者の映像データ及び音声を消去するとともに、映像データについては、消去した演奏者の代わりに背景が表示されるようにした第2データを生成する第2データ生成部と、
前記第2データのうちの音声データをスピーカに送信して再生させるとともに、前記第2データのうちの映像データデータをディスプレイに送信して略等身大で再生させるデータ送信部とを具備することを特徴とするライブカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライブ感をもって楽しめるカラオケシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラオケとは、一般的には、音声を除いた録音伴奏が流れるなかで、ユーザがマイクを持って曲を歌えるようにしたものとして知られている。広義には、1つのパートを除いた他のパートをスピーカーから再生するシステムのことをカラオケと指すようである。例えばリードギターを除いた楽曲を再生するシステムも、カラオケと呼ぶ場合がある。このような広義のカラオケは、従来、楽器練習用として用いられている。
近時では、このカラオケがさらに進化して、特許文献1に示すように、自身の演奏をカメラで撮像し、区画された画面上に表示できるようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-167574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こういった従来のカラオケに足りないものは、バンドメンバーとともに演奏するときのような臨場感やライブ感である。
【0005】
例えば、一般的なカラオケは、録音伴奏が流れる中で歌うだけであって、もちろん、小さなディスプレイに歌詞やイメージ映像が映し出される場合もあるが、実際の演奏の中で歌うといった臨場感やライブ感を望むべくもない。
【0006】
特許文献1に示されるものも、小さなディスプレイ上の区画された一領域に自身の映像の一部が再生されるだけであって、臨場感やライブ感をユーザや同席者に実感させるものではない。
【0007】
本発明はかかる課題を解決すべくなされたものであって、カラオケシステムにおいて、簡単な構成で、ライブ感に溢れたパフォーマンスを実現ならしめ、同席者を含むユーザに新たなエンターテインメントを提供すべく図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係るライブカラオケシステムは、
a)複数の演奏者による楽曲演奏の映像及び音声を記録したデータである第1データが格納されている第1データ格納部と、
b)前記演奏者のうちの少なくとも1人の選択を受け付ける選択受付部と、
c)前記第1データに記録されている映像及び音声から、前記選択受付部が受け付けた演奏者の映像及び音声を消去し、消去した演奏者の映像の代わりに背景が表示されるようにした第2データを生成するデータ生成部と、
d)前記第2データのうちの音声データが示す音声を再生するスピーカと、前記第2データのうちの映像データが示す映像を略等身大で再生するディスプレイと
を具備することを特徴とする。
【0009】
なお、「演奏者の選択」には、演奏者を個人名で直接選択することの他、演奏者のパート名や楽器等で選択することも含まれる。
また、「消去した演奏者の映像の代わりに表示される背景」とは、他の領域の背景と、不自然でない程度の連続性をもった背景のことである。具体的にいえば、例えば全体の背景が黒であれば、「消去した演奏者の映像の代わりに表示される背景」は黒となるし、全体の背景がライブ会場であれば、「消去した演奏者の映像の代わりに表示される背景」もライブ会場となる。演奏者を消してその代わりに上述した背景を表示すること自体は、近年の画像合成技術を用いれば実現可能である。
【発明の効果】
【0010】
このように構成した本発明によれば、ディスプレイに等身大で映し出された演奏者グループの演奏映像から、選択された演奏者が消えて代わりに背景となった状態での演奏者グループの演奏シーンが等身大でディスプレイ上に表示される。消えた演奏者の代わりにディスプレイの前に立ち、演奏することによって、グループの一員としてあたかもライブさながらに演奏している感覚を得ることができる。この感覚は、これをそばで視ている視聴者にとっても同じであり、ライブさながらの臨場感を楽しむことができるようになる。
【0011】
また、例えば、有名演奏者とセッションしたかのような写真や動画を撮ることもできるし、ディスプレイ前での演奏や動きに工夫を加えて、楽曲本来のものとは異なったイメージを作り出すといったクリエイティブな楽しみ方もできるようになる。
【0012】
かかる効果は、曲を歌うことだけに制限された従来のカラオケでは全く得られないものである。
しかも、本発明に係るカラオケシステムに必要なのは、演奏者を消すといった映像データ編集機能や音声編集機能だけである。このような機能は、現在の一般的なコンピュータであれば十分実現できるし、等身大表示が可能な大型ディスプレイも実存するので、安価で簡単に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカラオケライブシステムの機器構成を示す模式図。
【
図2】同実施形態における情報処理装置の機能ブロック図。
【
図3】同実施形態における第1データのデータ構造図。
【
図4】同実施形態における操作装置の画面構成を示す画面図。
【
図5】同実施形態において、演奏者を選択せずに、原曲をそのままディスプレイに映し出した状態を示す使用状態図。
【
図6】同実施形態におけるカラオケライブシステムを用いてユーザが演奏している一例を示す使用状態図。
【
図7】同実施形態におけるカラオケライブシステムを用いてユーザが演奏している一例を示す使用状態図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るライブカラオケシステムの一実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
このライブカラオケシステム100は、
図1に示すように、ディスプレイ1、スピーカ2、操作装置3、情報処理装置4などを具備するものであり、例えばカラオケボックスに設置される。
【0016】
ディスプレイ1は、画面自身が発光する、例えば液晶型やLED型のものである。プロジェクターなどの投影型のものは本発明には適さない。このディスプレイ1は、高さ方向には、少なくとも男性の(平均)身長以上の寸法を有し、幅方向には、楽器を演奏する3〜4名が同時に入り得る寸法を有する大型のものである。このディスプレイ1は、室内の床面または室内に設けたステージ上に置かれて、その画面が床面又はステージ面に近接するように構成してある。なお、ディスプレイ1の画面はフラットのみならず、中央が凹んだ湾曲型のものでもよい。
スピーカ2は、既存のものでよいが、臨場感を出すためには、5.1ch以上のものが好ましい。
【0017】
操作装置3は、
図1、
図4に示すように、ユーザが曲を選ぶべく、手元で操作するための携帯可能なものである。この操作装置3には、従来のカラオケシステム同様、例えば曲目選択画面(
図4(a)参照)が設けてあり、ユーザは、その曲目選択画面において、演奏したい曲目を選べるようにしてある。曲目は曲名による直接的な検索の他、演奏者や作曲家、作詞家、年代、ジャンル、人気などからも検索できるようにしてある。さらにこの実施形態では、
図4(b)に示すように、選択した曲目のうちから、演奏したいパートをも選択できるように構成してある。そして、この操作装置3は、ユーザが選択した曲目及びパートを示す選択データを情報処理装置4に送信する機能を具備している。
【0018】
情報処理装置4は、ハードウェア的にいえば、
図1に示すように、CPU、メモリ、音声制御回路、映像制御回路、通信制御回路などを具備したものである。一方、この情報処理装置4は、メモリに記憶された所定のプログラムにしたがってCPUやその他の周辺機器が協働することにより、ソフトウェア的にいえば、
図2に示すように、第1データ格納部41、選択受付部42、第2データ生成部43、データ送信部44等としての機能を担うものである。
【0019】
第1データ格納部41は、メモリの所定領域に設定されたものである。この第1データ格納部41には、例えば、ジャズバンドなどの演奏者グループがライブ演奏したときのオリジナル映像及びオリジナル音声を記録したデータである第1データが格納されている。
【0020】
この第1データは、
図3に示すように、予め施された編集・追加操作によって階層構造化してある。すなわち、この第1データは、インデックスデータ、音声データ及び映像データから少なくとも構成してある。このように第1データを構成しているのは、後述する第2データの生成を容易にするためである。
【0021】
インデックスデータは、楽曲の書誌事項を示すものであり、ここでは、曲名を示す曲名データ、演奏者名(演奏グループ名)を示す演奏者名データ、曲に含まれるパートを示すパートデータなどから構成されている。
【0022】
音声データは、各演奏者又は各パートの音声をそれぞれ示す個別音声データからなる。個別音声データはそれぞれ独立して抽出したり削除することが可能なように、いわゆるトラック別に構成されている。
【0023】
映像データは、演奏者の背景を写した背景データと、演奏者グループの演奏映像を示す演奏映像データとからなる、この背景データと演奏映像データとは、それぞれ独立して抽出したり削除することが可能なように構成されている。さらにこの演奏映像データは、各演奏者の演奏を示す個別映像データからなる。この個別映像データも、それぞれ独立して抽出したり削除することが可能なように、トラック別に構成されている。
前記選択受付部42は、前記操作装置3から送信されてきた選択データを受け付けるものである。
【0024】
第2データ生成部43は、前記選択データの示す曲を前記第1データ記憶部から抽出し、そこから演奏者の映像と音声を消した第2データを生成するものである。
前記データ送信部44は、前記第2データ生成部43が生成した第2データを、前記ディスプレイ1及びスピーカ2に送信して再生させるものである。
次に、このように構成されたライブカラオケシステム100の動作及び使い方の一例を説明する。
【0025】
ユーザは、まず、前記操作装置3の検索画面を用いて曲目を選択する。曲目の検索にあたっては、前記操作装置3は情報処理装置4の第1データ格納部41にアクセスし、そのインデックスデータを取得して検索画面を表示する。この例でのユーザは、
図4(a)に示すように、ジャンルと人気順検索によって候補曲を絞り込み、その中から"C Jam Blues"を選択したとする。
次に、前記操作装置3は、
図4(b)に示すように、その画面をパートを選ぶための画面に遷移させる。
【0026】
この画面において前記操作装置3は、ユーザが選択した曲を示す第1データのパートデータを参照して、パート名(ここでは楽器名)を選択可能に表示する。そして、ユーザが演奏したいパート(ここでは例えばベース)を選択して、送信ボタンを押すと、選択された曲のインデックスデータとユーザが選択したパートを示す選択パートデータとからなる前記選択データが、この操作装置3から情報処理装置4に無線(または有線)で送信される。
これを、情報処理装置4の選択受付部42が受け付ける。
【0027】
次に、情報処理装置4の第2データ生成部43が、送信されてきたインデックスデータから第1データを特定し、当該第1データを前記第1データ格納部41から取得する。
【0028】
次に、第2データ生成部43は、送信されてきた選択パートデータの示すパートの個別映像データと個別音声データを、取得した第1データから消して、第2データを生成する。
【0029】
次に、データ送信部44が、この第2データに含まれる演奏映像データを前記ディスプレイ1に送信して略等身大の映像として再生させるとともに、その音声データをスピーカ2に送信して音声を映像と同期再生させる。
【0030】
その結果、ディスプレイ1では、ユーザの選択した演奏者のみが消えてその代わりに、他の領域の背景と連続する背景が写った映像が表示されるとともに、スピーカ2からは、ユーザの選択した演奏者のパート音声のみが消去された音声が再生されることとなる。
【0031】
しかして、ユーザがこのディスプレイ1の前に立ち、消去された演奏者の代わりに演奏すれば、
図6に示すように、グループの一員としてあたかもライブさながらに演奏しているかのように見える。したがって、同席した他のユーザとともに、ライブさながらの臨場感を楽しむことができるようになる。
図6はユーザがベースを選んで演奏している状態を示し、
図7は、同曲でユーザがサックスを選んで演奏している状態を示す。
【0032】
ちなみに、原曲、すなわち第1データをそのままディスプレイ1に表示すれば、
図5のようになる。これに対し、
図6では、
図5のベーシストが消去され、その代わりに、該ベーシストで隠されていた背景(例えば、ピアノの背面)が映し出されているのがわかる。また、
図7ではサックソフォニストの代わりに、該サクソフォニストで隠されていた背景(例えばドラムの一部)が映し出されているのがわかる。
【0033】
さらに、この演奏光景を、例えば写真やビデオで撮影すれば、有名演奏者とセッションしたかのような写真や動画を作ることができるし、ディスプレイ1前での演奏や動きに工夫を加えて、楽曲本来のものとは異なったイメージを作り出すといったクリエイティブな楽しみ方もできるようになる。
かかる効果は、曲を歌うことだけに制限された従来のカラオケでは全く得られないものである。
【0034】
しかも、本実施形態のライブカラオケシステム100に必要なのは、演奏者を消すといった映像データ編集機能や音声データ編集機能だけである。このような機能は、現在の一般的なコンピュータであれば十分実現できるし、等身大表示が可能な大型ディスプレイ1もリーゾナブルな価格で存在する。したがって、その実現に莫大な投資や特殊な技術は不要である。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限られない。
例えば、前記実施形態では、ユーザが選択できるパートはピアノ、ベース、サックス、ドラムの4種類であったが、ボーカルやギターなど、曲に応じて種々のパートの増減があるのはもちろんである。パートとしては、楽器で指定するのが一般的ではあるが、例えば、コーラスなどであれば、ソプラノやテナーなど声楽パートで選択できるようにすればよい。
また、前記実施形態では、消去したい演奏者をパート(あるいは楽器名)で選択していたが、演奏者名で選択できるようにしてもよい。
【0036】
さらに、例えば複数のパート又は演奏者を選択できるようにしてもよい。このようにすれば、例えば、2人のユーザが、バンドメンバーの2人に代わって演奏できることとなる。
【0037】
また、
図5に示すように、消去したい演奏者を選択せず、すなわち第1データをそのままディスプレイ1及びスピーカ2で再生してもよいし、選択した演奏者の映像はそのままで、音声だけを消去したり、その逆で、演奏者の映像は消して、音声はそのまま再生できるようにしてもよい。
このようにすれば、楽しみ方がさらに増えることになる。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
100・・・ライブカラオケシステム
1・・・ディスプレイ
2・・・スピーカ
3・・・操作装置
4・・・情報処理装置
41・・・第1データ格納部
42・・・選択受付部
43・・・第2データ生成部