特開2017-26784(P2017-26784A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アオヤギの特許一覧

<>
  • 特開2017026784-眼鏡 図000003
  • 特開2017026784-眼鏡 図000004
  • 特開2017026784-眼鏡 図000005
  • 特開2017026784-眼鏡 図000006
  • 特開2017026784-眼鏡 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-26784(P2017-26784A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/00 20060101AFI20170113BHJP
   G02C 5/12 20060101ALI20170113BHJP
   G02C 5/16 20060101ALI20170113BHJP
【FI】
   G02C5/00
   G02C5/12
   G02C5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-144494(P2015-144494)
(22)【出願日】2015年7月22日
(71)【出願人】
【識別番号】394006521
【氏名又は名称】株式会社アオヤギ
(74)【代理人】
【識別番号】100110814
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】牧田 達雄
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AA03
2H006AB02
(57)【要約】
【課題】 汗や運動によってもずれたり脱落しにくい眼鏡を提供する。
【解決手段】 眼鏡フレームを構成する一部又は全部の構成部材を、眼鏡装着者の肌に対する滑り止め用の部材で形成した。フロントフレームとテンプルとを一体に形成し、前記フロントフレームと前記テンプルとの間に、肉厚を薄くしたヒンジ部分を形成してもよい。滑り止め用の部材がウレタン樹脂又はシリコン樹脂で形成し、前記滑り止め用の部材を前記構成部材の形状を維持するための形状維持部材に取り付けてもよい。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームを構成する一部又は全部の構成部材を、眼鏡装着者の肌に対する滑り止め用の部材で形成したことを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
前記構成部材が、フロントフレームと鼻パッドとを一体に形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡。
【請求項3】
前記構成部材が、フロントフレームとテンプルとを一体に形成したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡。
【請求項4】
前記フロントフレームと前記テンプルとの間に、肉厚を薄くしたヒンジ部分を形成したことを特徴とする請求項3に記載の眼鏡。
【請求項5】
前記滑り止め用の部材がウレタン樹脂又はシリコン樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の眼鏡。
【請求項6】
前記滑り止め用の部材を、前記構成部材の形状を維持するための形状維持部材に取り付けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の眼鏡。
【請求項7】
前記形状維持部材がポリアミド樹脂で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の眼鏡。
【請求項8】
前記形状維持部材で前記構成部材の外郭を形成し、前記滑り止め用の部材を前記構成部材の内側に一体に取り付けたことを特徴とする請求項6又は7に記載に眼鏡。
【請求項9】
前記構成部材がフロントフレームである場合に、前記形状維持部材と前記滑り止め用の部材とでレンズを保持することを特徴とする請求項8に記載の眼鏡。
【請求項10】
前記形状維持部材と前記滑り止め用の部材との形状、模様、色彩を相違させて組み合わせ、これらの相違がアクセントとして外観に出現させたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の眼鏡。
【請求項11】
前記形状維持部材で前記構成部材の外郭を形成するとともに前記滑り止め用の部材を前記構成部材の内側に一体に取り付け、前記外郭の一部に貫通孔を形成し、この貫通孔から前記外郭と色の異なる前記形状維持部材を露出させたことを特徴とする請求項10に記載の眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡を構成するテンプルやフロントフレームなどの構成部材を、ウレタン樹脂やシリコン樹脂等の滑り止め部材で形成した眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡の材料として一般に用いられている樹脂材料や金属材料は、硬質で表面平滑性の高いものが多く、眼鏡装着者の肌に対して滑りやすいことから、汗をかいたり運動をしたりしたときなどは、眼鏡がずれたり脱落したりするという問題がある。特に、近年では軽量かつ丈夫でコスト的に優れるポリアミド樹脂(例えばスイス国EMSChemieAG社製の「グリルアミド(登録商標)TR90」)が眼鏡フレームの材料として多用されるに至っている(特許文献1〜3参照)が、このような材料は従来の樹脂よりも表面平滑性が高いことから、上記の問題点がより顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−287297号公報(要約及び請求項15の記載参照)
【特許文献2】実用新案登録第3170613号公報(段落0020の記載参照)
【特許文献3】特開2012−137703号公報(段落0017の記載参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような問題を解決するべく、眼鏡フレームの表面に滑り止めのための塗料を塗布又はメッキしたり、コーティングしたりすることが行われているが、塗装やメッキ、コーティング等の表面処理は長期の使用によって剥がれやすく、剥がれによって外観品質を著しく低下させるという問題がある。本発明はこのような問題に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の眼鏡は、眼鏡フレームを構成する一部又は全部の構成部材を、眼鏡装着者の肌に対する滑り止め用の部材で形成した構成としてある。前記構成部材は、フロントフレームと鼻パッドとを一体に形成したものとしてもよい。
また、前記構成部材は、フロントフレームとテンプルとを一体に形成したものであってもよく、前記フロントフレームと前記テンプルとの間に、肉厚を薄くしたヒンジ部分を形成することで、テンプル折り畳みのための機械的なヒンジ機構が不要にできる。
【0006】
前記滑り止め用の部材としては、ウレタン樹脂やシリコン樹脂を好適に用いることができる。ウレタン樹脂やシリコン樹脂は軽量で眼鏡装着者の肌触りがソフトでフィット性も高く、汗をかいても滑りにくい。また、運動等で多少の振動が加わっても、容易にずれることがない。
ウレタン樹脂やシリコン樹脂だけでは眼鏡の構成部材としての形状の維持が困難であるため、形状維持部材を取り付けるようにするとよい。このような形状維持部材としては種々の樹脂や金属、木材、竹材などを挙げることができるが、光沢性がありコストも安く近年人気が高まっているポリアミド樹脂を用いるのが好ましい。このような形状維持部材で前記構成部材の外郭を形成し、前記滑り止め用の部材を前記構成部材の内側に一体に取り付けてもよい。また、前記構成部材がフロントフレームである場合に、前記形状維持部材と前記滑り止め用の部材とでレンズを挟持するようにしてもよい。
【0007】
さらに、前記形状維持部材と前記滑り止め用の部材との形状、模様、色彩を相違させて組み合わせ、これらの相違がアクセントとして外観に出現させるようにすることで、眼鏡のデザイン性を高めることができる。また、デザインのバリエーションを拡げることができる。また、前記形状維持部材で前記構成部材の外郭を形成するとともに前記滑り止め用の部材を前記構成部材の内側に一体に取り付け、前記外郭の一部に貫通孔を形成し、この貫通孔から前記外郭と色の異なる前記形状維持部材を露出させるようにしてもよい。露出させた前記滑り止め用の部材がデザイン上のアクセントになるほか、前記外郭の外側において部分的に滑り止め機能を備えさせることができる。また、前記滑り止め用の部材と前記構成部材との密着性も高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態を以下に説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる眼鏡の全体構成を示す斜視図、図2はこの実施形態の眼鏡におけるヒンジ部の拡大図である。
【0009】
図1に示すように、眼鏡1はレンズ14,14を保持するフロントフレーム12と、このフロントフレーム12の両端に折り畳み自在に取り付けられたテンプル11,11と、フロントフレーム12の中央に形成された鼻バッド13とを有する。
この実施形態では、鼻パッド13が一体に形成されたフロントフレーム12とテンプル11は、滑り止め用の部材であるウレタン樹脂やシリコン樹脂等の樹脂で形成されている。これら樹脂は、眼鏡装着者の肌とのフィット性が高く肌触りがソフトなうえ汗をかいても滑りにくく、運動による振動でも眼鏡が脱落しにくいという特徴がある。なお、このような特徴を有する樹脂であれば、ウレタン樹脂やシリコン樹脂に限らず、他の樹脂を用いてもよい。
また、フロントフレーム12とテンプル11とはヒンジ部15によって折り畳み可能となっているが、ウレタン樹脂やシリコン樹脂等の材料は軟質であるため、例えばフロントフレーム12とテンプル11とを一体に形成し、図2に示すようにヒンジ部15の肉厚を薄くするだけでテンプル11の折り畳みが可能になる。そのため、一般の眼鏡で利用されているような機械的なヒンジ機構を不要にできる。
【0010】
図3は、本発明の第二の実施形態にかかる眼鏡の全体構成を示す斜視図、図4(a)は図3の眼鏡のI-I断面図、(b)は図3の眼鏡のII-II断面図である。
なお、図1の眼鏡と同一部位、同一部材には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
この実施形態では、テンプル11及びフロントフレーム12の形状に応じて形成された外郭11a,12aの内側に、ウレタン樹脂又はシリコン樹脂で形成された滑り止め用の部材11b,12aを一体的に取り付けている。外郭11a,12aを形成する材料としては、滑り止め用の部材11b,12aの形状を一定に維持することが可能で、加熱等することでその形状の微調整が可能であれば、金属や竹材、木材、樹脂などを用いることができる。超弾性で表面平滑性が高く硬質の「グリルアミド(登録商標)TR90」を好適に用いることができる。
【0011】
外郭11a,12aへの滑り止め部材11b,12bの取り付けは、予め前記凹部と一致する形状に形成した滑り止め部材11b,12bを、接着剤等によって外郭11a,12aに貼り付けるようにしてもよいが、例えば図4(a)に示すように、外郭11a,12aの内側の滑り止め部材11b,12bを取り付ける取付面に突起11cを形成し、前記取付面に溶融した滑り止め用の部材11b,12bの材料を流し込んで固化させることで、外郭11a,12aに対して滑り止め用の部材11b,12bが強固に取り付けられる。これにより、長期の使用によっても滑り止め部材11b,12bを外郭11a,12aに対して容易に剥がれないようにすることができる。
【0012】
本発明の眼鏡の第三の実施形態を、第二の実施形態にかかる図3及び図4(b)を参照しつつ説明する。
第三の実施形態の眼鏡では、外郭11a,12aと滑り止め用の部材11b,12bの形状、模様、色彩の一部又は全部を相違させて組み合わせてもよい。これらの相違をアクセントとして眼鏡1の外観に出現させることで、眼鏡1のデザイン性の幅を拡げることができる。
また、図4(b)に示すように、フロントフレーム12又はテンプル11(図示の例ではテンプル11)の外郭11aに窓状の貫通孔11dを形成し、滑り止め用の部材11bがこの貫通孔11dから外郭11aの外側表面に露出するようにする。外郭11aの色と滑り止め用の部材11bの色とを異ならせることで、外郭11aの表面の一部に滑り止め用部材11bが貫通孔11dの形状に応じた形状及び大きさの模様として浮き上がり、眼鏡1のデザインにアクセントを付与することができる。また、外郭11aの外側表面に滑り止め用の部材11bが露出することで、外郭11aの外側において部分的に滑り止め機能を備えさせることができる。さらに、滑り止め用の部材11bが貫通孔11dに入り込んで固化することで、外郭11aと滑り止め用の部材11bとの密着性も高めることができる。
なお、特に図示はしないが、このような貫通孔11dはフロントフレーム12の外郭12aに形成してもよい。
【0013】
本発明の眼鏡の第四の実施形態を、図5を参照しつつ説明する。
図5は、フロントフレーム12を図3のIII-III方向で切断した部分断面図である。
図示するように、一体に形成された外郭12aと滑り止め用の部材12bの内周面に溝12cを形成し、レンズ14のヤゲン14aをこの溝12cに嵌め込むようにしている。滑り止め用の部材12bをウレタン樹脂やシリコン樹脂等の軟質の材料で形成することで、フロントフレーム12へのレンズ14の着脱を容易に行えるようになる。
【0014】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、滑り止め用の部材11b,12bによる滑り止め効果をより高めるために、滑り止め部材11b,12bの表面に凹凸や突起、切り込み等を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一の実施形態にかかる眼鏡の全体構成を示す斜視図である
図2】本発明の第一の実施形態にかかる眼鏡のヒンジ部の拡大図である。
図3】本発明の第二の実施形態にかかる眼鏡の全体構成を示す斜視図である
図4】(a)は本発明の第二の実施形態にかかる眼鏡の図3におけるI−I方向断面図、(b)は本発明の第三の実施形態にかかる眼鏡の図3におけるII−II方向断面図である。
図5】本発明の第四の実施形態にかかる眼鏡の図3におけるIII−II方向断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 眼鏡
11 テンプル
11a 外郭
11b 滑り止め用の部材
11c 突起
11d 貫通孔
12 フロントフレーム
12a 外郭
12b 滑り止め用の部材
12c 溝
13 鼻パッド
14 レンズ
14a ヤゲン
図1
図2
図3
図4
図5