【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成27年5月19日及び20日に、THE 51th EYE GLASSES FAIR 2015年にて展示
【解決手段】跳ね上げ式の眼鏡は保持枠とフロントバーと蝶番を備える。保持枠は第一レンズを保持する。蝶番は保持枠を回動自在に支持する。フロントバーは第一バー部と第二バー部と第一屈曲部と第二屈曲部と第三バー部によって形成される。第二バー部は幅方向の中央の側から端の側に向けて前後方向の後側に湾曲又は傾斜した形状とされる。第一屈曲部は、第一バー部に繋がり、前後方向の後側に屈曲した形状とされる。第二屈曲部は、第二バー部に繋がり、前後方向の前側に屈曲した形状とされる。第三バー部は第一屈曲部と第二屈曲部を繋ぐ。蝶番は第一駒片と第二駒片と軸部を備える。第一駒片は、幅方向において第三バー部と隣り合った状態で、第二バー部に固定される。第二駒片は保持枠に固定される。軸部は、第一駒片と第二駒片を連結し、回動する第二駒片の回動軸となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0018】
<眼鏡>
跳ね上げ式の眼鏡10について、
図1〜
図9を参照して説明する。実施形態では、眼鏡10を特定するために用いる各方向は、眼鏡10を装着した装着者を基準とした方向に準ずる。即ち、幅方向は、眼鏡10を装着した装着者の顔の幅に対応する。幅方向の左側は、この装着者の左側であり、幅方向の右側は、この装着者の右側である。幅方向の左右は、眼鏡10の正面図である
図1を正面視したときの左右とは反対となる。前後方向は、眼鏡10を装着した装着者の前後に対応する。前後方向の前側は、この装着者の前側であり、前後方向の後側は、この装着者の後側である。装着者の前側は、装着者の正面側であって、例えば、装着者の顔の側である。装着者の後側は、装着者の背面側であって、例えば、装着者の後頭部の側である。上下方向は、眼鏡10を装着した装着者の上下に対応する方向である。上下方向は、鉛直方向となる。上下方向の上側は、この装着者の上側であり、上下方向の下側は、この装着者の下側である。
【0019】
跳ね上げ式の眼鏡としては、単式跳ね上げ式の眼鏡と複式跳ね上げ式の眼鏡がある。実施形態では、単式跳ね上げ式の眼鏡10を例として説明する。単式跳ね上げ式の眼鏡10では、第一レンズ11L,11Rが跳ね上げられていない状態(
図1(A)、
図2及び
図3(A),(B)参照)で、装着者の左眼及び右眼に対応してそれぞれ設けられるレンズの枚数は、各眼当たり1枚とされる。
【0020】
眼鏡10は、第一レンズ11L,11Rと、保持枠20と、フロントバー30と、蝶番50L,50Rと、ヨロイ70L,70Rと、テンプル71L,71Rと、蝶番72L,72Rを備える。実施形態では、第一レンズ11L,11Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「第一レンズ11」という。蝶番50L,50Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「蝶番50」という。「第一レンズ」との名称について、後述する複式跳ね上げ式の眼鏡における「第二レンズ」と区別するため、眼鏡10におけるレンズを、便宜的に「第一レンズ11」という。
【0021】
第一レンズ11Lは、装着者の左眼用のレンズであり、第一レンズ11Rは、装着者の右眼用のレンズである(
図1(A)及び
図2上段参照)。第一レンズ11は、公知の跳ね上げ式の眼鏡が備えるレンズと同様である。従って、第一レンズ11に関するこの他の説明は、省略する。
【0022】
保持枠20は、第一レンズ11を保持する。実施形態では、保持枠20は、公知のハーフリム式の眼鏡におけるハーフリムと同様の構成とされている。このような構成の保持枠20は、保持部21L,21Rと、連結部23と、ナイロール25L,25Rによって形成される(
図1参照)。保持部21L,21Rは、連結部23によって連結される。保持部21L,21Rと連結部23は、金属材料によって一体的に形成される。金属材料としては、チタン合金が例示される。実施形態では、保持部21L,21Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「保持部21」という。
【0023】
保持部21Lには、ナイロール25Lが取り付けられ、保持部21Rには、ナイロール25Rが取り付けられる(
図1(B)参照)。保持枠20において、第一レンズ11Lは、保持部21Lとナイロール25Lによって保持され、第一レンズ11Rは、保持部21Rとナイロール25Rによって保持される(
図1、
図3及び
図4参照)。保持枠20による第一レンズ11の保持は、前述した公知のハーフリム式の眼鏡と同様である。従って、これに関するこの他の説明は、省略する。
【0024】
フロントバー30は、装着者の顔を左右に横断する状態で、装着者の顔の前方に配置される(
図2上段参照)。フロントバー30は、例えば、金属材料によって一体的に形成される。フロントバー30を形成する金属材料としては、チタン合金が例示される。フロントバー30は、第一バー部31と、第二バー部33L,33Rと、第一屈曲部35L,35Rと、第二屈曲部37L,37Rと、第三バー部39L,39Rによって形成される(
図1(B)、
図2及び
図5参照)。フロントバー30は、左右対称の形状とされる。
【0025】
実施形態では、第二バー部33L,33Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「第二バー部33」という。第一屈曲部35L,35Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「第一屈曲部35」という。第二屈曲部37L,37Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「第二屈曲部37」という。第三バー部39L,39Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「第三バー部39」という。
【0026】
第一バー部31は、幅方向においてフロントバー30の中央部を形成する(
図2参照)。第一バー部31には、鼻パッド41L,41Rが設けられる(
図1(B)及び
図3(C)参照)。鼻パッド41Lは、眼鏡10が装着者に装着された状態で、装着者の鼻の左側に接する。鼻パッド41Rは、眼鏡10が装着者に装着された状態で、装着者の鼻の右側に接する。鼻パッド41L,41Rを第一バー部31に設けることで、第一レンズ11の跳ね上げに関わらず、鼻パッド41L,41Rが装着者の鼻の所定の位置に接することとなり、テンプル71L,71Rと共に、眼鏡10を、装着者の頭部に支持することができる。
【0027】
第二バー部33は、第一バー部31より幅方向の端の側となるフロントバー30の側端部を形成する。第二バー部33は、幅方向の中央の側から端の側に向けて前後方向の後側に湾曲した形状とされる。即ち、第二バー部33Lは、第一バー部31より幅方向の左側となるフロントバー30の左側端部を形成し、幅方向の中央の側から左側に向けて、前後方向の後側に湾曲した形状とされる(
図2参照)。第二バー部33Rは、第一バー部31より幅方向の右側となるフロントバー30の右側端部を形成し、幅方向の中央の側から右側に向けて、前後方向の後側に湾曲した形状とされる(
図2参照)。
【0028】
第一バー部31と第二バー部33は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態において、前後方向に隣り合う保持枠20の部分に沿った形状とされる(
図2参照)。従って、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態では、保持枠20と第二バー部33の前後方向の間隔は、保持枠20と第一バー部31の前後方向の間隔より広くなる。
【0029】
第一屈曲部35は、第一バー部31に繋がる。即ち、第一屈曲部35Lは、第一バー部31の幅方向の左側に繋がり、第一屈曲部35Rは、第一バー部31の幅方向の右側に繋がる(
図2及び
図5参照)。第一屈曲部35Lは、前後方向の後側に屈曲した形状とされ、第一屈曲部35Rは、前後方向の後側に屈曲した形状とされる(
図2及び
図5参照)。第二屈曲部37は、第二バー部33に繋がる。即ち、第二屈曲部37Lは、第二バー部33Lの幅方向の右側に繋がり、第二屈曲部37Rは、第二バー部33Rの幅方向の左側に繋がる(
図2及び
図5参照)。第二屈曲部37Lは、前後方向の前側に屈曲した形状とされ、第二屈曲部37Rは、前後方向の前側に屈曲した形状とされる(
図2及び
図5参照)。第三バー部39は、第一屈曲部35と第二屈曲部37を繋ぐ。即ち、第三バー部39Lは、第一屈曲部35Lと第二屈曲部37Lを繋ぎ、第三バー部39Rは、第一屈曲部35Rと第二屈曲部37Rを繋ぐ(
図2及び
図5参照)。
【0030】
蝶番50は、保持枠20とフロントバー30にそれぞれ固定される。即ち、蝶番50Lは、第一バー部31を基準として幅方向の左側に設けられ、保持部21Lと第二バー部33Lにそれぞれ固定される(
図2及び
図5(A)参照)。蝶番50Rは、第一バー部31を基準として幅方向の右側に設けられ、保持部21Rと第二バー部33Rにそれぞれ固定される(
図2及び
図5(B)参照)。蝶番50は、フロントバー30に対して、第一レンズ11を保持した保持枠20を回動自在に支持する(
図6及び
図7参照)。蝶番50L,50Rは、左右対称の形状とされる。蝶番50Lは、第一駒片51Lと、第二駒片57Lと、軸部60Lを備える(
図5(A)参照)。蝶番50Rは、第一駒片51Rと、第二駒片57Rと、軸部60Rを備える(
図5(B)参照)。
【0031】
実施形態では、第一駒片51L,51Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「第一駒片51」という。第二駒片57L,57Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「第二駒片57」という。軸部60L,60Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「軸部60」という。
【0032】
第一駒片51Lは、幅方向の右側において第三バー部39Lと隣り合った状態で、第二バー部33Lの前後方向の後側に湾曲した部分に固定される(
図5(A)参照)。ここで、第一駒片51Lが固定される第二バー部33Lの部分は、前後方向の前側となる面とされる。第一駒片51Rは、幅方向の左側において第三バー部39Rと隣り合った状態で、第二バー部33Rの前後方向の後側に湾曲した部分に固定される(
図5(B)参照)。ここで、第一駒片51Rが固定される第二バー部33Rの部分は、前後方向の前側となる面とされる。第二バー部33への第一駒片51の固定は、例えば、ろう付けによって行われる。第一駒片51では、平面視した形状が、前後方向の前側が開口したコ字状とされる(
図5及び
図8参照)。
【0033】
第二駒片57Lは、保持部21Lに固定され、第二駒片57Rは、保持部21Rに固定される(
図5参照)。ここで、第二駒片57Lが固定される保持部21Lの部分は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、前後方向の後側となる面とされる。第二駒片57Rが固定される保持部21Rの部分は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、前後方向の後側となる面とされる。保持枠20への第二駒片57の固定は、例えば、ろう付けによって行われる。
【0034】
第一駒片51を第二バー部33の前後方向の前側の面に固定し、第二駒片57を保持部21の前後方向の後側の面に固定することで、次のような視覚的効果を得ることができる。即ち、眼鏡10を正面視したとき、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態では、蝶番50を、保持枠20に隠した状態とすることができる(
図1(A)参照)。第一レンズ11が跳ね上げられていない状態の眼鏡10を装着している装着者を正面から視認した第三者に、眼鏡10が、跳ね上げ式ではない、通常の眼鏡であるといった印象を与えることができる。
【0035】
第二駒片57では、第二駒片57の後端部の上側部は、前後方向の後側に向けて、上下方向の下側に湾曲した面(曲面)を含む(
図4及び
図9参照)。第二駒片57の後端部は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、前後方向の後側となる第二駒片57の部分である。
図9と後述する
図11に付された黒丸のドット模様は、第二駒片57の後端部の上側部における湾曲した面を示す。第二駒片57では、第二駒片57の後端部の下側部は、前後方向の後側となる後端面に平面を含む(
図4及び
図9参照)。第二駒片57の後端部の下側部は、第二駒片57の後端部の上側部より上下方向の下側となる、第二駒片57の後端部の部分である。
図9と後述する
図11に付された格子模様は、第二駒片57の後端部の下側部における平面を示す。
【0036】
軸部60Lは、第一駒片51Lと第二駒片57Lを連結し、軸部60Rは、第一駒片51Rと第二駒片57Rを連結する(
図8参照)。第一レンズ11が跳ね上げられた状態(
図1(B)及び
図3(C)参照)とする場合、軸部60Lは、回動する第二駒片57Lの回動軸となり、軸部60Rは、回動する第二駒片57Rの回動軸となる(
図6及び
図7参照)。軸部60は、例えば、所定のねじのねじ部によって形成される。
【0037】
第二駒片57Lは、第一駒片51Lの互いに対向する第一辺部52Lと第二辺部54Lの間の収容室TLに嵌め込まれる(
図8(A)参照)。第二駒片57Lが収容室TLに嵌め込まれた状態で、軸部60Lは、第一辺部52Lに形成された貫通穴53Lと、第二駒片57Lに形成された貫通穴58Lに通され、第二辺部54Lに形成されたねじ穴55Lにねじ止めされる。第二駒片57Rは、第一駒片51Rの互いに対向する第一辺部52Rと第二辺部54Rの間の収容室TRに嵌め込まれる(
図8(B)参照)。第二駒片57Rが収容室TRに嵌め込まれた状態で、軸部60Rは、第一辺部52Rに形成された貫通穴53Rと、第二駒片57Rに形成された貫通穴58Rに通され、第二辺部54Rに形成されたねじ穴55Rにねじ止めされる。
【0038】
蝶番50は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態では、
図4に示す状態となる。即ち、蝶番50Lでは、第二駒片57Lの後端部の下側部における後端面内の平面が、この後端面に対向する第一駒片51Lの底面56Lに面接触する(
図4(A)参照)。蝶番50Rでは、第二駒片57Rの後端部の下側部における後端面内の平面が、この後端面に対向する第一駒片51Rの底面56Rに面接触する(
図4(B)参照)。実施形態では、底面56L,56Rを区別せず、又はこれらを総称する場合、「底面56」という。
【0039】
第一レンズ11が跳ね上げられていない状態から第一レンズ11を跳ね上げるとする(
図6及び
図7参照)。この場合、蝶番50Lでは、第二駒片57Lが軸部60Lを中心として回動し、第二駒片57Lの前端部が上下方向の上側に移動する(
図6(I),(II)参照)。蝶番50Rでは、第二駒片57Rが軸部60Rを中心として回動し、第二駒片57Rの前端部が上下方向の上側に移動する(
図7(I),(II)参照)。第二駒片57の前端部は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、前後方向の前側となる第二駒片57の部分である。このとき、第二駒片57Lの後端部の上側部は、底面56Lに沿って、上下方向の下側に移動し、第二駒片57Rの後端部の上側部は、底面56Rに沿って、上下方向の下側に移動する。
【0040】
その後、第二駒片57Lでは、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、上下方向の上側となる面の所定の位置が、底面56Lの上下方向の上側の端部に接触する(
図6(III)参照)。第二駒片57Rでは、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、上下方向の上側となる面の所定の位置が、底面56Rの上下方向の上側の端部に接触する(
図7(III)参照)。
図9と後述する
図11に付された白丸のドット模様は、第二駒片57の上下方向の上側の面を示す。これに伴い、軸部60Lを中心とした第二駒片57Lの回動と軸部60Rを中心とした第二駒片57Rの回動は、共に規制され停止する。眼鏡10は、
図1(B)及び
図3(C)に示す状態となる。
【0041】
ヨロイ70Lは、フロントバー30(第二バー部33L)の幅方向の左側の端部に設けられ、ヨロイ70Rは、フロントバー30(第二バー部33R)の幅方向の右側の端部に設けられる(
図1下段及び
図2参照)。ヨロイ70Lとテンプル71Lは、蝶番72Lを介して連結され、ヨロイ70Rとテンプル71Rは、蝶番72Rを介して連結される(
図2参照)。テンプル71Lは、蝶番72Lによって、ヨロイ70L(フロントバー30)に対して所定の範囲を回動自在となる。テンプル71Rは、蝶番72Rによって、ヨロイ70R(フロントバー30)に対して所定の範囲を回動自在となる。装着者は、例えば、眼鏡10を装着しない場合、公知の眼鏡と同様、テンプル71L,71Rを折り畳み閉じることができる(
図2下段参照)。ヨロイ70L,70Rとテンプル71L,71Rと蝶番72L,72Rは、公知の眼鏡も備える構成である。従って、これらに関するこの他の説明は、省略する。
【0042】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0043】
(1)フロントバー30は、第一バー部31と、第二バー部33と、第一屈曲部35と、第二屈曲部37と、第三バー部39によって形成される(
図1(B)、
図2及び
図5参照)。第一バー部31は、幅方向においてフロントバー30の中央部を形成する。第二バー部33は、第一バー部31より幅方向の端の側となるフロントバー30の側端部を形成し、且つ幅方向の中央の側から端の側に向けて、装着者の前後に対応する前後方向の後側に湾曲した形状とされる。第一屈曲部35は、第一バー部31に繋がり、且つ前後方向の後側に屈曲した形状とされる。第二屈曲部37は、第二バー部33に繋がり、且つ前後方向の前側に屈曲した形状とされる。第三バー部39は、第一屈曲部35と第二屈曲部37を繋ぐ。眼鏡10では、蝶番50の第一駒片51は、幅方向において第三バー部39と隣り合った状態で、第二バー部33に固定される。蝶番50の第二駒片57は、保持枠20(保持部21)に固定される。
【0044】
そのため、フロントバー30では、前後方向における保持枠20と第二バー部33の間隔を、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、保持枠20と第一バー部31の間隔より広くすることができる。従って、幅方向の端の側の領域において、保持枠20とフロントバー30の間隔を広くすることができる。前後方向においてフロントバー30が前側に移動できる空間が広くなり、フロントバー30の変形量を大きくすることができる。フロントバー30が変形した際の保持枠20とフロントバー30の接触を抑制することができる。
【0045】
(2)第一駒片51では、平面視した形状が、前後方向の前側が開口したコ字状とされる(
図5及び
図8参照)。第二駒片57では、後端部の上側部は、前後方向の後側に向けて、上下方向の下側に湾曲した面を含み、後端部の下側部は、後端面に平面を含む(
図4及び
図9参照)。第二駒片57の後端部の下側部における後端面内の平面は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、底面56に面接触する(
図4、
図6、
図7及び
図9参照)。そのため、第一レンズ11を、スムーズに跳ね上げることができる。第一レンズ11を跳ね上げ時と反対の側に回動させ、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態とする場合(
図6及び
図7で、(III),(II),(I)の順参照)、第二駒片57の後端部の下側部における後端面内の平面が底面56に面接触することで、この回動を規制し停止することができる。第一レンズ11が跳ね上げられていない状態において、第一レンズ11を、装着者の眼の前方の所定の位置に配置することができる。
【0046】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0047】
(1)上記では、単式跳ね上げ式の眼鏡10を例として説明した。フロントバー30と蝶番50による実施形態の跳ね上げ構造は、複式跳ね上げ式の眼鏡に採用することもできる。複式跳ね上げ式の眼鏡では、左眼及び右眼のそれぞれに対するレンズの数は、各2枚とされる。即ち、複式跳ね上げ式の眼鏡は、保持枠20に保持される第一レンズ11L,11Rに対応する2枚の第一レンズに加え、左眼用及び右眼用の第二レンズを備える。第二レンズは、第一レンズが跳ね上げられていない状態では、第一レンズの前後方向の後側に設けられる。
【0048】
左眼用及び右眼用の第二レンズは、フロントバーを形成する所定の構造によって保持される。複式跳ね上げ式の眼鏡のフロントバーは、フロントバー30と同様、第一バー部31と第二バー部33L,33Rと第一屈曲部35L,35Rと第二屈曲部37L,37Rと第三バー部39L,39Rに対応する各部を備える。更に、このフロントバーには、フロントバー30と同様、2個の鼻パッドが、第一バー部31に対応する部分に設けられる。複式跳ね上げ式の眼鏡が装着された場合、左眼用の第二レンズは、跳ね上げられることなく、装着者の左眼の前方に配置され、右眼用の第二レンズは、跳ね上げられることなく、装着者の右眼の前方に配置される。複式跳ね上げ式の眼鏡は、公知の跳ね上げ式の眼鏡であるため、これに関するこの他の説明は、省略する。
【0049】
(2)上記では、第二バー部33は、幅方向の中央の側から端の側に向けて、前後方向の後側に湾曲した形状とされる(
図2参照)。第二バー部は、幅方向の中央の側から端の側に向けて、前後方向の後側に傾斜した形状(直線的な形状)としてもよい。この場合、幅方向の左側に設けられる第二バー部は、幅方向の中央の側から左側に向けて、前後方向の後側に傾斜した形状とされる。幅方向の右側に設けられる第二バー部は、幅方向の中央の側から右側に向けて、前後方向の後側に傾斜した形状とされる。
【0050】
(3)上記では、前後方向における保持枠20と第一バー部31の間隔は、一定の寸法とされる。前後方向における保持枠20と第二バー部33の間隔は、一定の寸法とされる。保持枠及び/又はフロントバーは、前後方向における保持枠と第一バー部の間隔が、所定の範囲で変化する形状としてもよい。保持枠及び/又はフロントバーは、前後方向における保持枠と第二バー部の間隔が、所定の範囲で変化する形状としてもよい。例えば、第二バー部は、幅方向の中央の側から左側及び右側に向かうに従い、前後方向における保持枠との間隔が漸次増加する形状としてもよい。この場合、保持枠とフロントバーは、前後方向における保持枠と第二バー部の間隔の最小値が、前後方向における保持枠と第一バー部の間隔の最大値より広くなる形状とされる。
【0051】
(4)上記では、第二駒片57の後端部の上側部は、前後方向の後側に向けて、上下方向の下側に湾曲した面(曲面)とされる(
図4及び
図9参照)。第二駒片の後端部の上側部は、前後方向の後側に向けて、上下方向の下側に傾斜した面(平面)を含むようにしてもよい。この他、第二駒片の後端部の上側部は、
図9のような、凸状の湾曲した面とは異なり、凹状の湾曲した面(曲面)を含むようにしてもよい。
【0052】
(5)上記では、保持枠20の材質を金属とし、保持枠20と蝶番50(第二駒片57)の固定を、ろう付けによって行う構成を例として説明した。第一レンズ11を保持する保持枠は、ろう付けが行えない材質で形成されることもある。例えば、樹脂製の保持枠とされることがある。そこで、保持枠が樹脂製である場合を例として、樹脂製の保持枠と蝶番の固定構造の概略を、
図10及び
図11を参照して説明する。この説明では、上述した実施形態との対応を明らかにするため、各部に対する符号は、上記と同じとする。
【0053】
第二駒片57Lには、前後方向の前側となる第二駒片57Lの前端部に、埋込部59Lが形成される(
図10(A)参照)。第二駒片57Rには、前後方向の前側となる第二駒片57Rの前端部に、埋込部59Rが形成される(
図10(B)参照)。保持枠20が樹脂製である場合、第二駒片57L,57Rは、埋込部59L,59Rが保持枠20に埋め込まれた状態で、保持枠20に固定される。即ち、第二駒片57Lでは、埋込部59Lが保持部21Lに埋め込まれ、第二駒片57Rでは、埋込部59Rが保持部21Rに埋め込まれる。
【0054】
保持部21Lでは、埋込部59Lが埋め込まれる部分を、前後方向に肉厚とし、保持部21Rでは、埋込部59Rが埋め込まれる部分を、前後方向に肉厚としてもよい。
図10(A)に示す例では、保持部21Lは、幅方向の左側の領域が前後方向に肉厚とされ、埋込部59Lは、この肉厚とされた保持部21Lの部分に埋め込まれている。
図10(B)に示す例では、保持部21Rは、幅方向の右側の領域が前後方向に肉厚とされ、埋込部59Rは、この肉厚とされた保持部21Rの部分に埋め込まれている。第二駒片は、屈曲せずに、保持部に埋め込まれることとなる埋込部が、第二駒片の前端部に直線的に形成された形状としてもよい。
【0055】
保持部21Lへの埋込部59Lの埋め込みと、保持部21Rへの埋込部59Rの埋め込みは、例えば、保持枠20を樹脂成形する際に行われる。即ち、保持枠20の樹脂成形に際し、第二駒片57L,57Rが、成形金型の所定の位置に適宜セットされる。保持枠20の樹脂成形は、第二駒片57L,57Rが成形金型にセットされた状態で行われる。これによって、第二駒片57L,57Rが、保持枠20を形成する樹脂と一体成形され、所定の位置に埋め込まれた保持枠20とすることができる。但し、保持部21L,21Rに穴部を形成し、保持部21Lに形成された穴部に、埋込部59Lを嵌め込み、保持部21Rに形成された穴部に、埋込部59Rを嵌め込むようにしてもよい。この場合、各穴部への埋込部59L,59Rの嵌め込みは、圧入とされる。
【0056】
埋込部59Lでは、第二駒片57Lの屈曲位置から埋込部59Lが伸長する方向に垂直な断面は、多角形状とされる。埋込部59Rでは、第二駒片57Rの屈曲位置から埋込部59Rが伸長する方向に垂直な断面は、多角形状とされる。
図11に示す例では、埋込部59L,59Rは、前述した断面が長方形状とされている。埋込部59L,59Rは、前述した断面が三角形又は五角形以上の多角形状としてもよい。この構成によれは、第一レンズ11を保持した保持枠20が、埋込部59L,59Rに対して回動することを抑制することができる。
【0057】
第二駒片57Lでは、埋込部59Lの幅方向の左側の端部に凹凸が形成され、第二駒片57Rでは、埋込部59Rの幅方向の右側の端部に凹凸が形成されている(
図11参照)。この構成によれば、保持部21Lからの埋込部59Lの抜け強度を向上させ、保持部21Rからの埋込部59Rの抜け強度を向上させることができる。樹脂製の保持枠20に対して、蝶番50L,50Rを確実に固定することができる。埋込部59L,59Rに形成する抜け紡糸の構成は、
図11とは異なる形状としてもよい。埋込部59L,59Rの抜けが問題とならないこともある。このような場合、凹凸のような抜け防止の構成は、省略してもよい。
【0058】
(6)上記では、第一駒片51について、平面視した形状が、前後方向の前側が開口したコ字状とされる(
図5及び
図8参照)。第二駒片57では、後端部の上側部は、前後方向の後側に向けて、上下方向の下側に湾曲した面を含み、後端部の下側部は、後端面に平面を含む(
図4及び
図9参照)。第二駒片57の後端部の下側部における後端面内の平面は、第一レンズ11が跳ね上げられていない状態で、底面56に面接触する(
図4及び
図6(I)及び
図7(I)参照)。第一レンズ11の跳ね上げ構造を形成する蝶番としては、公知の蝶番を採用することもできる。
【0059】
(7)上記では、保持枠20を、公知のハーフリム式の眼鏡におけるハーフリムと同様の構成とした。保持枠は、公知のフルリム式の眼鏡におけるリムと同様の構成としてもよい。フルリム式の保持枠では、幅方向の左側に設けられる保持部と幅方向の右側に設けられる保持部は、環状とされ、連結部によって連結される。フルリム式の保持枠による第一レンズ11の保持は、公知のフルリム式の眼鏡と同様にして行われる。ナイロール25L,25Rは、省略される。
【0060】
(8)上述した実施形態によれば、フロントバー30の形状に関わらず、上記同様の蝶番50(
図8及び
図9〜
図11参照)を備える跳ね上げ式の眼鏡を特定することもできる。第一駒片51は、装着者の顔を左右に横断する状態で、装着者の顔の前方に配置される所定の形状のフロントバーの所定の位置に固定される。シンプルな構成で、第一レンズ11のスムーズな跳ね上げが可能となるといった、上述したような効果を得ることができる。