【解決手段】サーバ1の属性情報処理部12は、ユーザ端末2から、内部の楽曲フォルダ25に保存されている楽曲ファイルの属性情報の送信を受け付けて、ユーザの音楽の好みを表す分析情報がユーザの固有情報に紐付けられて格納された分析テーブルを作成し、分析テーブル記憶部10Bに登録する。配信依頼受付部15は顧客端末3から音楽の好みに関する条件によるターゲットの指定情報を含む配信依頼通知を受け付ける。ターゲット抽出部16は、分析テーブル記憶部10Bを検索して指定情報に適合する内容の分析テーブルを抽出し、当該分析テーブルに紐付けられているユーザの固有情報によりターゲットを特定する。配信処理部18は、特定されたターゲットのユーザ端末2に、依頼された情報を配信する。
複数人の配信先候補者に関する固有情報が登録された登録手段と、配信依頼者の端末装置からの配信依頼通知に応じて前記登録手段に登録された配信先候補者の中から前記配信依頼通知の内容に適合するターゲットを抽出するターゲット抽出手段と、抽出されたターゲットに関して前記登録手段に登録されている固有情報に基づき、当該ターゲットの端末装置に前記配信依頼通知により依頼された情報を配信する情報配信手段とを具備するサーバであって、
前記登録手段に登録されている配信先候補者の端末装置との通信により当該端末装置に保存されている楽曲ファイルの属性情報を取得し、取得した属性情報又は当該属性情報から求めた配信先候補者の音楽の好みを表す分析情報を、前記配信先候補者の固有情報に紐付けて保存する属性情報処理手段を、さらに具備し、
前記ターゲット抽出手段は、前記配信依頼者の端末装置から音楽の好みに関する条件によるターゲットの指定情報を含む配信依頼通知を受け付けたことに応じて、前記属性情報処理手段により保存された配信先候補者毎の情報の中から前記指定情報に適合する情報を抽出し、抽出された情報に紐付けられている固有情報によりターゲットを特定する、
情報配信用サーバ。
前記属性情報処理手段は、配信先候補者の端末装置に保存されている楽曲ファイルの属性情報のうち、少なくとも当該ファイルに格納されている楽曲のジャンルに関する情報を取得し、
前記ターゲットの指定情報には、好みの音楽のジャンルに関する指定が含まれる、
請求項1に記載された情報配信用サーバ。
前記ターゲット抽出手段は、受け付けた配信依頼通知中の前記ターゲットの指定情報に適合する属性情報を所定回数以上取得している配信先候補者をターゲットとして抽出する、請求項1に記載された情報配信用サーバ。
前記登録手段に登録された配信先候補者の端末装置又は登録のためのアクセスをした端末装置に対し、その装置に保存されている楽曲ファイルから属性情報を抽出して前記サーバに送信する機能を当該端末装置に付与するプログラムを送信するプログラム提供手段を、さらに具備する請求項1又は2に記載された情報配信用サーバ。
配信依頼者からの配信依頼通知に応じて、複数人の配信先候補者の中から前記配信依頼通知の内容に適合するターゲットを抽出し、抽出されたターゲットに対して前記配信依頼者から依頼された情報を配信する方法であって、
各配信先候補者の端末装置からそれぞれ当該端末装置に保存されている楽曲ファイルの属性情報の送信を受け付けて、受け付けた属性情報又は当該属性情報から求めた配信先候補者の音楽の好みを表す分析情報を配信先候補者毎にその固有情報に紐付けて保存し、
前記配信依頼者から音楽の好みに関する条件によるターゲットの指定情報を含む配信依頼通知を受け付けて、保存されている配信先候補者毎の情報の中から前記配信依頼通知中の指定情報に適合する情報を抽出し、抽出された情報に紐付けられている固有情報によりターゲットを特定する、情報配信方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法では、配信される情報に関連する分野に関する情報が取得されていなければ、ターゲットの特定に必要な分析を行うのは困難である。このため、様々な情報に対するターゲットを的確に特定するには、多量の情報を収集する必要があり、データベースの構成や分析のアルゴリズムが複雑になる。また、配信依頼者自身にターゲットの条件を指定させる場合でも、発信する情報の分野に関する指定を自由に受け付けることは困難である。
【0005】
たとえば、上記の特許文献1には、サーバでの分析処理により割り出されたターゲット属性を配信依頼者(広告主)に通知して、その通知に基づくターゲットを配信依頼者が自動的に選択できるようにしているが、配信依頼者自身がターゲットの具体像を指定できるような工夫は示されていない。
【0006】
本発明は、上記の問題に着目し、様々な分野における関心の傾向と相関性を有する情報を、ターゲットの指定や絞り込みに活用することによって、簡易なシステム構成で各種分野の情報の配信に関するターゲットを特定できるようにすること、および配信依頼者自身がターゲットの条件を簡単に指定できるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる情報配信用サーバは、複数人の配信先候補者に関する固有情報が登録された登録手段と、配信依頼者の端末装置からの配信依頼通知に応じて登録手段に登録された配信先候補者の中から前記配信依頼通知の内容に適合するターゲットを抽出するターゲット抽出手段と、抽出されたターゲットに関して登録手段に登録されている固有情報により基づき、当該ターゲットの端末装置に前記配信依頼通知により依頼された情報を配信する情報配信手段とを具備する。
【0008】
上記のサーバには、さらに、登録手段に登録されている配信先候補者の端末装置との通信により当該端末装置に保存されている楽曲ファイルの属性情報を取得し、取得した属性情報又は当該属性情報から求めた配信先候補者の音楽の好みを表す分析情報を、配信先候補者の固有情報に紐付けて保存する属性情報処理手段が設けられる。また、ターゲット抽出手段は、配信依頼者の端末装置から音楽の好みに関する条件によるターゲットの指定情報を含む配信依頼通知を受け付けたことに応じて、属性情報処理手段により保存された配信先候補者毎の情報の中から指定情報に適合する情報を抽出し、抽出された情報に紐付けられている固有情報によりターゲットを特定する。
【0009】
上記構成によれば、配信先候補者の端末装置において、配信先候補者が自身の好みに従って音楽配信サイトなどから取得した楽曲ファイルの属性情報が抽出されてサーバに送信され、配信先依頼者の端末装置において、音楽の好みに関する条件によるターゲットの指定情報を含む配信依頼通知をサーバに送信することにより、配信依頼者の要望に応じたターゲットを特定して依頼された情報を配信することができる。また、音楽分野に関する情報に限らず、その他の芸術や、ファッション、雑貨、サービス事業など、音楽の好みに対する相関性が認められる情報の配信に関して、ターゲットを的確に特定することができる。
【0010】
上記サーバの好ましい一実施形態では、属性情報処理手段は、配信先候補者の端末装置に保存されている楽曲ファイルの属性情報のうち、少なくとも当該ファイルに格納されている楽曲のジャンルに関する情報を取得する。また、ターゲットの指定情報にも、好みの音楽のジャンルに関する指定が含まれる。
【0011】
上記の実施形態によれば、配信依頼者は、「音楽のジャンルに関する好み」という具体的な情報と自身が配信したい情報との相関性をふまえて、ターゲットの条件を設定することができる。また、サーバでは、元の属性情報のジャンル分けを利用でき、属性情報の複雑な分析を行う必要がない。
【0012】
上記サーバの他の実施形態におけるターゲット抽出手段は、受け付けた配信依頼通知中の前記ターゲットの指定情報に適合する属性情報を所定回数以上取得している配信先候補者をターゲットとして抽出する。この実施形態によれば、複数の楽曲ファイルの属性情報からユーザの好みを表す数値情報を求めて、ターゲットを容易に抽出することができる。
【0013】
上記のサーバの他の実施形態には、登録手段に登録された配信先候補者の端末装置又は登録のためのアクセスをした端末装置に対し、その装置に保存されている楽曲ファイルから属性情報を抽出してサーバに送信する機能を当該端末装置に付与するプログラムを送信するプログラム提供手段が設けられる。この実施形態によれば、ユーザが登録後又は登録の際に上記のプログラムをダウンロードすることによって、端末装置に保存されている楽曲データの属性情報を適宜サーバに送信することが可能になる。
【0014】
本発明による情報配信方法では、各配信先候補者の端末装置からそれぞれ当該端末装置に保存されている楽曲ファイルの属性情報の送信を受け付けて、受け付けた属性情報又は当該属性情報から求めた配信先候補者の音楽の好みを表す分析情報を配信先候補者毎にその固有情報に紐付けて保存する。そして、配信依頼者から音楽の好みに関する条件によるターゲットの指定情報を含む配信依頼通知を受け付けて、保存されている配信先候補者毎の情報の中から前記配信依頼通知中の指定情報に適合する情報を抽出し、抽出された情報に紐付けられている固有情報によりターゲットを特定する。
【0015】
上記の方法において、配信依頼者からの配信依頼通知の受け付けは、配信依頼者の端末装置との通信により行うことができるが、これに限らず、配信依頼者からの口頭又は書面による通知に応じてその通知の内容をサーバに入力する方法を採用してもよい。またターゲットとして特定された配信先候補者への情報の配信は、楽曲ファイルの属性情報の送信が行われた端末装置に対して行う場合のほか、パスワードを用いた認証や電子メールの通知などを介して任意の端末装置から配信対象の情報にアクセスできるようにしてもよい。またデータ送信に代えて、配信情報が印刷された紙媒体をターゲットとなった配信先候補者に送付するための情報処理を行ってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各配信先候補者が自身の好みに従って取得した楽曲データの属性情報を利用することにより、様々な分野の情報配信に関するターゲットを配信依頼者自身が容易に指定して、その指摘に適合するターゲットを抽出することが可能になる。また、配信依頼者から様々な分野に関する情報を集める必要がないので、データベースの構成や情報処理を簡単にすることができ、システム開発が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明が適用された情報配信サーバ1の機能を、端末装置との関係と共に示したものである。この情報配信サーバ1(以下、単に「サーバ1」という。)は、様々な事業者(以下「顧客」という。)から商品やサービスに関する情報の配信依頼を受けて、依頼された情報を依頼者から指定された条件に適合する人に配信するサービスを実行する目的で開発されたものである。
【0019】
このサーバ1には、情報の配信先候補者である一般ユーザの端末装置2(以下「ユーザ端末2」という。)と、顧客の端末装置3(以下「顧客端末3」という。)とが、インターネットを介して接続される。いずれの端末装置2,3とも、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末など、入出力の機能を有し、サーバ1から送信された情報を表示することができるものであれば、種別を問わない。
【0020】
ユーザ端末2には、サーバ1から提供されたプログラムによって、配信のターゲットを特定するのに必要な情報をサーバ1に提供するための機能(楽曲属性情報抽出部21,楽曲属性情報送信部22)や、具体的な情報であるコンテンツデータの配信をサーバ1から受けて、この情報によるコンテンツを再生する機能(コンテンツ受信部23,コンテンツ再生処理部24)を有するアプリケーション20が組み込まれる。一方、顧客端末3には特別な機能は設けられず、後述する入力フォーム(
図5を参照。)を介してサーバ1に配信依頼の通知が送信される。
【0021】
サーバ1は、前述のプログラムをユーザ端末2に送信するアプリケーション提供部13のほか、ユーザ情報記憶部10A,分析テーブル記憶部10B,配信情報記憶部10C,配信管理テーブル記憶部10D,顧客情報記憶部10Eなどによるデータベース機能と、ユーザ登録処理部11,属性情報処理部12,顧客登録処理部14,配信依頼受付部15,ターゲット抽出部16,管理テーブル作成部17,配信処理部18などを有する。なお、サーバ1は、配信先の条件の指定を受けて行う情報配信のほか、登録された全てのユーザに共通の情報を、各ユーザに一斉に配信することもできる。
【0022】
アプリケーション提供部13は、新規のユーザ端末2からのダウンロード要求に応じて当該ユーザ端末2にアプリケーションを構成するプログラムを送信する。ユーザ登録処理部11は、プログラムの配信を受けたユーザ端末2に、情報配信のための登録手続を促すメッセージを送り、このメッセージに応じてユーザ端末2から送信されたユーザの固有情報を、ユーザ情報記憶部10Aに登録する。さらにユーザ登録処理部11は、登録が完了したユーザ端末2からのログインに対し、ユーザ情報記憶部10Aの登録情報を用いた認証処理を実行する。なお、ユーザ登録時の処理については、上記とは逆に、ユーザ情報記憶部10Aへの登録を完了させてから、アプリケーションプログラムを提供することもできる。
【0023】
この実施例のユーザ情報記憶部10Aには、ユーザ毎に、
図2(A)に示すように、ログインのためのユーザIDおよびパスワード、ユーザ名、Eメールアドレスの4種類が基本情報として登録されている。ユーザ情報記憶部10Aには、基本情報以外の任意の情報を登録することもできる。
【0024】
属性情報処理部12は、ユーザ端末2の楽曲属性情報送信部22から楽曲ファイルの属性情報(詳細は後述する。)の送信を受け付ける。さらに属性情報処理部12は、取得した属性情報を分析して、
図2(B)に示すような分析テーブルを作成し、これを分析テーブル記憶部10Bに保存する。分析テーブルは、ユーザIDをキーとして基本情報に紐付けられる。
【0025】
顧客登録処理部14は、新規の顧客端末3からのアクセスに応じて、顧客ID、パスワード、事業所名、Eメールアドレスなどの固有情報を受け付け、これらを顧客情報記憶部10Eに登録する。また、登録済みの顧客端末3からのログインに応じて、顧客情報記憶部10Eの登録情報を用いた認証処理を実行する。
【0026】
配信依頼受付部15は、上記の認証が完了した顧客端末3から配信対象の情報や配信条件の指定情報を受け付ける。配信対象の情報には、画像データや音声データなどのコンテンツデータと通知用のメール文書データとが含まれる。配信依頼受付部15は、依頼毎に固有の識別コード(以下「コンテンツID」という。)を付したフォルダを配信情報記憶部10Cに設定し、このフォルダ内に、受け付けたコンテンツデータやメール文書データのデータファイルを保存する(
図2(C)を参照。)。
【0027】
配信条件の指定情報は、情報の配信先であるターゲットを表す情報と、最初の通知の日時とが含まれる。ターゲット抽出部16は、分析テーブル記憶部10Bからターゲットの指定情報に適合する内容の分析テーブルを抽出し、抽出されたテーブルに保存されているユーザIDを、ターゲットを表す情報として特定する。管理テーブル作成部17は、
図2(D)に示すように、配信情報記憶部10Cに保存された各情報のコンテンツIDと通知日時およびターゲットの指定との対応関係を表す配信管理テーブルを作成する。
【0028】
配信処理部18は、上記の配信管理テーブルを参照して、通知日時が到来した情報のターゲットに、配信対象のコンテンツデータの格納場所(アドレス)へのリンク情報を含む電子メールを配信する。この電子メールを受信したユーザ端末2においてリンク先へのアクセスが実行されると、サーバ1でのユーザ認証の後に、リンク先に保存されていたコンテンツデータがサーバ1の配信処理部18から送信される。コンテンツデータを受信したユーザ端末2では、コンテンツ再生処理部24によって、コンテンツデータの種別に応じた再生処理(画像の表示や音声の出力など)が実行される。
【0029】
この実施例における分析テーブルの元情報となる属性情報は、ユーザ端末2の楽曲属性情報抽出部21によって、当該ユーザ端末2の楽曲フォルダ25に保存されている楽曲ファイルから抽出されたものである。楽曲フォルダ25はユーザ端末2に標準装備されているもので、楽曲ファイルは、ユーザ自身が楽曲提供サイトなどから取得したものである。
【0030】
楽曲ファイルの属性情報には、曲名、作曲者名、実演者名、ジャンル、リリース年、演奏時間などの複数種の情報が含まれる。ユーザ端末2からは、属性情報全体が抽出されてサーバ1に送信されるが、サーバ1の属性情報処理部12は、受信した属性情報の中からジャンルに関する情報とリリース年に関する情報とを抽出して分析テーブルを作成する。
【0031】
分析テーブルは、
図2(B)に示すように、ジャンルとリリースの年度との組み合わせを複数のグループに分けて、各グループにあてはまる属性情報を取得した頻度を格納した構成である。ただし、図示例の「クラシック」のように、年代による区分けをせずに、ジャンルのみで1つのグループが設定される場合もある。
【0032】
配信依頼受付部15が受け付けるターゲットの指定でも、上記の分析テーブルの構成に従って、ジャンル、またはジャンルと年代との組み合わせによりターゲットを特定する(
図5のターゲット指定欄33を参照。)。しかし、配信対象として受け付けることができる情報は、音楽分野に限らず、服飾、雑貨、家具、書籍、映画、演劇など、音楽の好みによりターゲットに適した人を表現することが可能な様々な分野の情報を受け付けることができる。
【0033】
具体例として、たとえば、ビンテージジーンズのショップの商品紹介を配信するターゲットとして「1970年代のロックの愛好家」を指定し、バーボンウイスキーの広告を配信するターゲットとして「1960年代のジャズの愛好家」を指定し、高級輸入家具の展示会の案内を配信するターゲットとして「クラシック愛好家」を指定することができる。これらの例のように、配信対象の情報への関心度と音楽の好みとの間に相関性が認められる情報に関しては、年齢や職業や居住地域などの一般的な項目に基づいてターゲットを絞り込むよりはるかに高い確率で、配信される情報に対するユーザ側からの反応を獲得することができる。
【0034】
また、楽曲ファイルの属性情報という特定の情報を収集することによって、他の様々な分野に関するユーザの情報を収集しなくとも、それらの分野に関する情報配信のターゲットを抽出することができる。サーバ1では、各ユーザ端末2から収集した属性情報からジャンルと年代との組み合わせ毎の頻度データという簡単な構成の分析テーブルを作成することにより、ターゲットの抽出に必要なデータソースを構築でき、ターゲットの抽出のために複雑な情報処理を行う必要もないので、システム開発の労力を軽減することができる。
【0035】
図3は、ユーザ端末2のアプリケーション20により実行される処理の手順と、ユーザ端末2からのログインに応じてサーバ1で実行される処理の手順とを、関連づけて表したものである。
【0036】
ユーザ端末2からサーバ1へのログインは、電子メールのリンク情報に対するアクセスが行われた時のほか、ユーザ登録の完了直後に行われる。以下の説明は、ユーザ登録直後のログインに関するものである。
【0037】
ユーザ端末2からのログイン(ステップS1)と、サーバ1における認証処理(ステップS11)とが完了すると、ユーザ端末2では、楽曲属性情報抽出部21が楽曲フォルダ25の検索を実行する(ステップS2)。初回のログイン時の検索で見つかった楽曲ファイルは全て新規のファイルと判定され(ステップS3が「YES」)、それぞれの楽曲ファイルの属性情報が楽曲属性情報抽出部21により抽出される(ステップS4)。楽曲属性情報送信部22は、抽出された属性情報をサーバ1に送信し(ステップS5)、その送信の日時をユーザ端末2の図示しないメモリに保存する(ステップS6)。
【0038】
サーバ1では、属性情報処理部12が上記の送信を受け付けて(ステップS12が「YES」)、受信した属性情報からジャンルおよびリリース年に関する情報を抽出する(ステップS13)。
【0039】
ここで属性情報処理部12は、ステップS11で認証されたユーザIDを含む分析テーブルが分析テーブル記憶部10Bに登録されているか否かをチェックする。初回のログインを受け付けた直後には該当する分析テーブルは登録されていないため、ステップS14は「NO」となる。この判定を受けて属性情報処理部12は、認証されたユーザIDとステップ13での抽出結果に基づく頻度データが格納された新規の分析テーブルを作成し、分析テーブル記憶部10Bに登録する。
【0040】
初回のログイン時のユーザ端末2では、上記ステップS1〜S6が実行された後のステップS7が「YES」となって処理を終了する。ログインを受けたサーバ1でも、ステップS15での分析テーブルの登録をもって、初回ログインに対する処理を終了する。
【0041】
図4は、サーバ1が顧客端末3からのログインに対して実行する処理の流れを示すものである。この処理では、ログインをした顧客端末3に対する認証(ステップS21)の後に、配信依頼受付部15が顧客端末3に入力フォームを送信し、コンテンツデータおよびメール文書データの送信や、ターゲットおよび通知日時の指定を受け付ける(ステップS22)。
【0042】
図5は、顧客端末3に送られる入力フォームの構成例を示すもので、メール文書データの入力欄30、コンテンツデータのアップロード用のボタン31、通知日時の指定入力欄32、ターゲットの指定入力欄33などが設けられている。通知日時の指定入力欄32は、現在の日時が選択された初期状態から、その選択を自由に変更できるように構成されている。ターゲットの指定入力欄33は、ジャンルを必須の選択項目として1つ選択させると共に、選択されたジャンルに関する年代を任意で選択できる(複数の選択が可能)ように構成されている。なお、
図5では、図示の都合上、選択できるジャンルを1つのみとしているが、複数のジャンルを指定することも可能である。
【0043】
図4に参照を戻す。上記の入力フォームを介した受付処理が終了すると、配信依頼受付部15は、受け付けたコンテンツデータおよびメール文書データに共通のコンテンツIDを付与すると共に、このコンテンツIDをフォルダ名とする新規のフォルダを配信情報記憶部10Cに設定し、当該フォルダ内に上記のコンテンツデータおよびメール文書データを保存する(ステップS23)。
【0044】
ターゲット抽出部16は、分析テーブル記憶部10Bを対象に、ステップS22で受け付けられたターゲットの指定情報に適合する内容の分析テーブルを探す検索を実施する。具体的には、ターゲットの指定情報が示すジャンル、又はジャンルと年代との組み合わせを検索キーとして、分析テーブル記憶部10Bにおいて、検索キーに対してあらかじめ定めた基準値以上の頻度が格納されている分析テーブルを検索する。そして、見つかった分析テーブルからユーザIDを抽出する(ステップS24)。
【0045】
管理テーブル作成部17は、ステップS23で設定されたコンテンツIDと、ステップ22で受け付けた通知日時と、ステップS24で抽出されたユーザIDとを含む新規のレコードを作成して、これを配信管理テーブル記憶部10D(
図2(D)を参照。)に保存する(ステップS25)。この保存をもって、顧客端末3のログインに対する処理が終了する。
【0046】
図6は、上記
図4の手順によりターゲットとして特定されたユーザに、電子メールによる通知を送信する処理の手順を示すものである。
【0047】
この処理は、主として配信処理部18により実行される。配信処理部18は、適宜、配信管理テーブルの通知日時をチェックしており(ステップS31)、いずれかの通知日時の到来までの残り時間が所定の閾値範囲(たとえば数分間程度)に入ったと判別すると(ステップ32が「YES」)、ステップS33〜S36を実行する。
【0048】
ステップS33では、通知日時が閾値範囲に入っているレコードからコンテンツIDおよびユーザIDを読み出す。ステップS34では、読み出されたユーザIDによりユーザ情報記憶部10Aを検索して、当該ユーザIDに対応するEメールアドレスを取得する。
【0049】
ステップS35では、ステップS33で読み出されたコンテンツIDにより配信情報記憶部10Cを検索し、当該コンテンツIDをフォルダ名とするフォルダからメール文書データを読み出すと共に、当該フォルダ内のコンテンツデータのアドレス(url)を取得する。
【0050】
ステップS36では、上記のメール文書データとコンテンツデータのアドレスへのリンク情報とを含む電子メールを作成して、ステップS34で取得したEメールアドレス宛に送信する。
【0051】
ここで再び
図3を参照して、上記のメールを受信したユーザ端末2でリンク先へのアクセスが実行されたときに、ユーザ端末2およびサーバ1で実行される処理について説明する。
【0052】
この場合のユーザ端末2でも、サーバ1へのログイン後に楽曲属性情報抽出部21によって楽曲フォルダ25が検索される。この検索において前回のログイン時のステップS6で保存された送信日時より後にダウンロードされた楽曲ファイルが見つかると(ステップS3が「YES」)、当該楽曲ファイルの属性情報が抽出されてサーバ1に送信され(ステップS4,S5)、その送信日時が保存される(ステップS6)。
【0053】
サーバ1では、初回のログインを受け付けたときと同様に、属性情報処理部12が属性情報を受信した後(ステップS12が「YES」)、受信した属性情報からジャンルおよびリリース年に関する情報を抽出する(ステップS13)。さらに、属性情報処理部12は、分析テーブル記憶部10Bを検索してログイン中のユーザIDに対応する分析テーブルを見つけ(ステップS14が「YES」)、この分析テーブルをステップS13で抽出された情報により更新する(ステップS16)。
【0054】
なお、ユーザ端末2に新規の楽曲ファイルが保存されていない場合には、ユーザ端末2のステップ4〜S6の処理はスキップされ、サーバ1でもステップS12が「NO」となって、ステップS13,S14,S16がスキップされる。
【0055】
属性情報に関する処理を終えたユーザ端末2では、ステップS7が「NO」となってステップS8に進み、コンテンツ受信部23によって、サーバ1にコンテンツデータの送信要求を送信する。この送信要求には、先のサーバ1からのメール受信に対するアクセスに対応するアドレスが含まれる。
【0056】
サーバ1では、配信処理部18が上記の送信要求を受け(ステップS17が「YES」)、送信要求中のアドレスに対応するコンテンツIDにより配信管理テーブルを参照して、送信要求を行ったユーザ端末2が正当なターゲットであるか否かをチェックする。ここで正当なターゲットであると確認すると(ステップS18が「YES」)、配信処理部18は、要求されたコンテンツデータを配信情報記憶部10Cから読み出し、ユーザ端末2に送信する(ステップS19)。なお、ステップS18の判定は必ずしも必要ではなく、送信要求へのリンク先に該当するコンテンツデータが保存されていることの確認をもって、当該コンテンツデータを送信してもよい。
【0057】
ユーザ端末2では、コンテンツ受信部23によって上記のコンテンツデータを受信した後に(ステップS9が「YES」)、コンテンツ再生処理部24によって、当該コンテンツデータに基づくコンテンツを再生する(ステップS10)。
【0058】
なお、上記の実施例では、ユーザ端末2において、サーバ1へのログインが行われる都度、楽曲フォルダ25を検索し、新規の楽曲ファイルの属性情報が見つかった場合には、すぐにこれをサーバ1に送信するようにしたが、これに限らず、前回の送信から所定の期間が経過している場合にのみ、検索や送信を行うようにしてもよい。
【0059】
また、上記の実施例では、ユーザ端末2が保有する楽曲ファイル中の属性情報の全てをサーバ1に送信する一方で、サーバ1において分析テーブルの作成に必要な情報(ジャンルおよびリリース年に関する情報)のみを抽出しているが、ユーザ端末2の側で、分析テーブルの作成に必要な情報のみを抽出するようにしてもよい。
【0060】
分析テーブルの作成に用いる情報は、ジャンル、リリース年に限らず、たとえば、作曲者や実演家の具体的な名称毎に頻度を求めてもよい。その場合には、ターゲットの指定において、作曲者や実演家の名称をもった指定を受け付け、その指定された名称に関して基準値以上の頻度が格納されている分析テーブルを検索する方法により、ターゲットのユーザを特定することができる。
【0061】
図2(B)に示した構成の分析テーブルと共に、元の属性情報をユーザID毎に読み出せる形式で保存しておき、詳細な指定を受け付けた場合に、保存されている属性情報群を分析して指定内容に適合するユーザを特定してもよい。または、分析テーブルを設けることなく、ユーザ端末2から送信された属性情報そのものをユーザ毎に蓄積し、これらの蓄積情報を分析して顧客端末3からの指定の内容に適合するユーザを特定してもよい。
【0062】
ユーザ情報記憶部10Aに基本情報以外の情報(年齢、性別、職業、居住地など)が登録されている場合には、これらの情報に関する条件を楽曲の好みに関する条件に加えて指定することによって、ターゲットの条件をより詳細に絞り込んでもよい。また、ユーザ端末2がGPS機能を有する装置である場合には、顧客端末3からの配信対象の地域の指定を受け付けるか、又は配信依頼者の事業所が属する地域を取得し、これら指定又は取得した地域と各ユーザ端末2から取得した位置情報とに基づきターゲットを特定してもよい。
【0063】
上記の実施例では、ターゲットとして抽出されたユーザに確実に情報を配信すると同時に当該ユーザが新規に保存した楽曲ファイルの属性情報を取得するために、コンテンツデータへのリンクが設定された電子メールを送信し、リンクへのアクセスに対してログイン認証を行ったが、その目的を考慮する必要がなければログイン認証をなくし、リンクへのアクセスに応じて直ちにコンテンツデータを送信してもよい。
【0064】
ターゲットとして抽出されたユーザに対する情報の配信方法も、上記実施例のような2段階方式の通知に限定されるものではない。たとえば、ログインの認証後に、認証されたユーザIDにより配信管理テーブルを検索し、このユーザIDがターゲットとして紐付けられ通知の時期が到来しているコンテンツデータがあれば、それを読み出してユーザ端末2に送信するようにしてもよい。また、このような変更をする場合には、顧客端末3から通知の日時の指定を受け付けることなく、配信管理テーブルに格納されてから一定期間以内にあるデータを有効として(または顧客端末3からデータを有効にする期間の指定を受けて)、有効なデータのみを配信してもよい。また各ユーザについてユーザ情報記憶部10Aに住所が登録される場合には、コンテンツデータの配信に代えて、配信対象の情報が記された印刷物をターゲットとなるユーザ宛に郵便で送付してもよい。
【0065】
ユーザ端末2がサーバ1にアクセスする場合のログイン認証をなくす場合には、ユーザ端末2の識別番号(以下「端末ID」という。)によって各ユーザを特定できるようにしてもよい。たとえば、ユーザ情報記憶部10Aに基本情報として端末IDを保存すると共に、この端末IDをキーとして各ユーザの分析テーブルを基本情報に紐付けし、ターゲットの特定も端末IDにより行うことができる。このケースにおいて、基本情報をユーザ端末IDのみとしても、ユーザ端末2がサーバ1にアクセスしたときにその端末IDにより配信管理テーブルを検索し、当該端末IDがターゲットして紐付けられているコンテンツデータをユーザ端末2に配信することができる。
【0066】
コンテンツデータとして、標準的な画像データや音声データを送信する場合には、コンテンツ受信部23やコンテンツ再生処理部24を専用のアプリケーション20に設けずに、ユーザ端末2に標準装備されている機能を用いてコンテンツデータの受信や再生を行ってもよい。しかし、拡張現実表示などの特殊なコンテンツによる情報配信を行う場合には、配信されるコンテンツデータに応じた専用のコンテンツ受信部23やコンテンツ再生処理部24を含むアプリケーションプログラムを提供するのが望ましい。
【0067】
拡張現実表示のコンテンツによる情報配信を行う場合には、各ユーザに、あらかじめ拡張現実表示のトリガとなるパターンが記された物体(たとえば会員登録証)を提供し、撮影機能を有するユーザ端末2で上記のパターンが撮影されたことに応じて、サーバ1への自動ログインが実行され、このログインで認証されたユーザIDによる検索により見つかったコンテンツデータを、ユーザ端末2に送信してもよい。このような方法によれば、同じパターンを撮影しても、その撮影者や撮影の日時によって異なる内容の情報が配信されるので、ユーザの関心が高められ、サーバ1への積極的なアクセスを促すことができる。
【0068】
このほか、ユーザ端末2のアプリケーション20に、オンラインゲーム、SNS用のアプリケーション、ニュースなどの一般的情報の配信用のアプリケーションなど、ユーザにとって魅力のあるツールを含めることによって、サーバ1へのアクセスを促すこともできる。このようにすれば、適宜、アクセスしたユーザ端末2から楽曲ファイルの属性情報を取得したり、当該ユーザ端末2がターゲットに設定された情報を配信することができる。
【0069】
各ユーザから、音楽以外の分野に関する好みに関する情報を取得できる場合には、これらの情報および楽曲ファイルの属性情報の双方をユーザ毎に蓄積し、蓄積された情報を分析することによって、各ジャンルの音楽を好む人々が関心を持つ可能性が高い商品やサービスなどを割り出し、その分析結果をふまえて、各種分野の情報配信のターゲット像を音楽の好みのジャンルにより特定することもできる(年代まで特定してもよい。)。
【0070】
さらに上記の特定の結果に基づき、音楽のジャンル毎に、そのジャンルの音楽を好む人々が関心を持つ可能性が高い情報を収集して配信することができる。その逆に、音楽以外の所定の分野に関してある共通の好みを持つ人々に対し、その人々が好む可能性が高い音楽ジャンルの情報を配信してもよい。これらの情報の配信はサーバ1に登録されているユーザに限定することなく、配信先として特定された内容に適合する好みを持つ登録外の人々に配信してもよい。
【0071】
さらに、上記特定の結果に基づき、各種分野の事業者らに、それぞれの情報の配信先に適した人の人物像を好みの音楽ジャンルにより表して紹介し、販促活動に役立ててもらうこともできる。たとえば、店舗を運営する事業者に対し、その店舗が取り扱う商品やサービスに関心を持つ人々が好む可能性が高い音楽のジャンルを知らせて、そのジャンルの音楽をBGMとして利用するように提案することができる。また、所定のイベントへの来場者が関心を持つ可能性が高い音楽ジャンルについてのコンサートの主催者に、そのイベントの会場でコンサートのチラシを配布するように提案することもできる。