【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明は、以下の構成を備える。
【0007】
即ち本発明は、ハウジングと、線状導体と導通接触する端子とを備えるコネクタについて、前記端子が、前記線状導体を挟んで保持する挟持片を有し、前記ハウジングが、ハウジング本体と、ハウジング本体に対する挿入方向への移動により線状導体を挟持片に押し込んで挟ませるスライダーとを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のコネクタによれば、スライダーをハウジング本体に対する挿入方向へ移動させることで、線状導体を端子の挟持片に押し込んで挟ませて確実に保持することができる。したがって本発明によれば容易なスライダーの移動操作によって線状導体の基板との導通接続を大幅に省力化することができる。
【0009】
前記スライダーは、ハウジング本体からの抜去方向への移動により線状導体を挟持片から押し出して保持を解除するものとすることができる。
【0010】
前述の従来技術によれば、線状導体を基板にはんだ付けするため、線状導体を有する電子部品に不具合が起きた場合に電子部品のみを交換することができず、基板ごと交換しなければならないため不経済である。
これに対して本発明によれば、スライダーが抜去方向への移動により線状導体を挟持片から押し出して保持を解除することができる。したがって、前述のような不具合が起きても線状導体とコネクタとの接続を解除して電子部品のみを交換することが可能である。しかも、スライダーを抜去方向へ移動させるだけなので、簡単な作業で保持を解除することができる。
【0011】
前記スライダーは線状導体に押し当たる当接部を有する。
【0012】
スライダーを移動させると当接部が線状導体に押し当たるので、スライダーの操作感と連動して線状導体を挟持片に挟み込ませることができ、確実に挟持片に線状導体を導通接続させることができる。
【0013】
前記当接部は、スライダーに設けた線状導体の挿通孔とすることができる。
【0014】
当接部が線状導体を通した挿通孔なので、スライダーと線状導体とを一体として移動させることができる。
【0015】
前記ハウジング本体は、挟持片が線状導体を挟持する接続位置でスライダーを内部に収容する収容部を有する。
【0016】
挟持片が線状導体を挟持する接続位置では、スライダーが収容部に収容されてハウジング本体の外部に突出しない。そのため線状導体が正しく端子に接続されていることを収容部に対するスライダーの位置によって目視で容易に確認することができる。
【0017】
前記ハウジング本体は、スライダーの挿通孔と連通する線状導体の導入口を有する。
【0018】
これによれば、ハウジング本体の導入口とスライダーの挿通孔とが連通するので、導入口に入れた線状導体を、そのまま送ることでスライダーの挿通孔に通すことができる。こうした構造は、特にハウジング本体の内部にスライダーを収容するハウジング構造を持ち、ハウジング本体に線状導体の導入口を設ける必要がある場合に有用である。この場合、ハウジング本体の導入口はスライダーの挿通孔よりも大きな孔として構成すると、挿入作業が容易となりより好ましい。
【0019】
前記挟持片は、スライダーにより押し込まれる線状導体の絶縁被覆を除去する接触縁を有する。
【0020】
線状導体は、通常、導電性材料でなる芯線と、芯線を保護する絶縁被覆とで形成される。前述の従来技術では、はんだ付けする前に線状導体の絶縁被覆を除去する作業が必要な場合がある。例えば導通接続用の導線として様々な電子部品に使用されている、いわゆるエナメル線(マグネットワイヤ)には、樹脂材でなる絶縁被覆が形成されており、サンドペーパー等でそれを除去して導通接続しなければならず面倒である。他方、エナメル線の中には、はんだ付けする際の熱により絶縁被覆を溶かすことができるものがあるが、電子部品の用途によっては、はんだ接続部の導通品質の信頼性を低下させる虞もある。
これに対して本発明は、挟持片がスライダーにより押し込まれる線状導体の絶縁被覆を除去する接触縁を有する。このためスライダーを移動させて線状導体を挟持片の接触縁に押し込ませれば線状導体の絶縁被覆を除去することができるので、絶縁被覆を除去するためだけの手間が掛からず、また除去した絶縁被覆が導通品質の信頼性を低下させることもない。
【0021】
前記挟持片は、線状導体を挟持する間隔が、線状導体が押し込まれる先端側で狭く、基端側で広く形成されている。
【0022】
挟持片で挟持する間隔が線状導体を押し込む方向に沿って一定である場合、換言すると挟持片の対向する接触縁が並行である場合、挟持片の先端側ほどばね長が長く撓みやすく広がり易いのに対し、挟持片の基端側ほどばね長が短くなり撓みにくく広がりにくくなる。したがって、線状導体の挿入が浅い段階(挿入初期)では、線状導体の被覆を除去できる程の接触力が得られず被覆を除去するのが難しい。被覆を除去することができる接触力を得られるのは、相当程度挿入が進んだ段階(挿入された線状導体が挟持片の基端に近づいた段階)となる。そのため被覆の除去を行える挿入距離を十分に確保することができず、被覆が残存してしまい、導通に悪影響を与えてしまうおそれがある。そして、線状導体を押し込めば押し込むほど挟持片の接触力が強くなり、誤って途中で押し込みを止めてしまうおそれもある。
これに対して、前記本発明では、挟持片に対する線状導体の押し込みが深くなるにつれて挟持する間隔を広げる形状、換言すると挟持片の対向する接触縁の間隔が、挟持片の先端側で狭く、基端側で広い形状としている。このような形状とした場合、挟持片の先端側では対向する接触縁の間隔が狭いため、線状導体を挿入して挟持片が線状導体を挟んだ挿入初期の段階から挟持片接触力(N)を高くすることができる。そして、対向する接触縁の間隔は、挟持片の先端側よりも基端側で広いため、対向する接触縁を平行にする場合と比べて、線状導体を押し込めば押し込むほど強くなる接触力の増加度合いを緩和することができる。したがって、挿入が過剰に硬くなり、誤って途中で押し込むのを止めてしまわないようにすることができる。
以上のようにして、本発明によれば、挿入初期の段階から最終的な接続位置まで、線状導体の被覆を破るのに必要な接触力を超える挿入初期の挟持片接触力(N)を維持して被覆を除去し続けることができるため、被覆の除去が不十分になるのを防止して、確実な導通接触を実現することができ、また挿入途中で止まることなく、最終的な接続位置まで線状導体を押し込むことができる。
【0023】
前記ハウジング本体は、前記コネクタの外観としてスライダーの挿通孔を露出させる開口部を有する。
【0024】
これによれば、ハウジング本体の開口部を通じてスライダーの挿通孔が露出されて、そこに線状導体が挿通されているかをコネクタの外観として目視で確認することができる。したがって、線状導体の接続作業を確実に行うことができる。