【解決手段】会議システム1は、複数の端末30と、主装置10とを備え、各端末30は、自らの仮想的位置に基づいて送話音量及び/又は受話音量を操作する音量調整手段を有し、主装置10は、各端末の仮想的位置を反映する送話音量管理テーブル及び受話音量管理テーブルを備え、主装置10は、1つの端末が音量調整手段によって第1の仮想的位置から第2の仮想的位置へ移動したとき、第2の仮想的位置に基づいて送話音量管理テーブル及び/又は受話音量管理テーブルを書換え、書換えられた送話音量管理テーブル及び/又は受話音量管理テーブルに従って1つの端末と他の端末との間の送話音量及び/又は受話音量を振分ける。
各端末の前記操作部が前記主装置から送信された前記送話音量、前記受話音量及び前記左右バランスの少なくとも1つを表示する表示部を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の会議システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0014】
(会議システムの構成)
図1に、本実施形態に係る会議システム1のシステム構成図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る会議システム1は、サーバあるいは交換機等からなる主装置10と、複数個配置された会議システム用の端末30(端末A(30a),端末B(30b),端末C(30c),端末D(30d),端末E(30e),・・・端末O(30o))が電話回線20経由で接続されている。主装置10は、会議に参加する全ての端末間での相互通話による会議を可能とし、また、専用回線を使用することなく端末30間での秘話通話も可能とする。
【0015】
(端末の構成)
図2に、端末30の内部構成が示されている。
図2に示すように、端末30は、制御部31と、記憶部32と、操作部33と、表示部34と、回線制御部35と、音声入出力部36と、を含む。
【0016】
制御部31は、汎用の1チップCPUで構成され、端末30の制御中枢となる。制御部31は、記憶部32に格納された端末プログラムを読み出して逐次実行することにより、自らの仮想的位置に基づいて送話音量、受話音量を操作する音量調整のための送話(受話)音量設定GUI(以下、このGUIを実行する手段を音量調整手段311という)、ならびに音量の左右バランスを調整する音量バランス調整のための送話(受話)音量設定GUI(以下、このGUIを実行するための手段を音量バランス調整手段312という)を提供する。具体的には、後述する
図3,
図4(a)(b)にそれぞれ示す受話音量設定GUI画面、送話音量設定GUI画面を表示部34に表示して各会議参加者に操作部33による特定の操作を促す。
【0017】
ある端末30(制御部31)の音量調整手段311が、操作部33の操作を検知して、例えば、
図3,
図4(a)(b)のマトリクステーブルの各セル(正方マス目)で示される仮想的位置を移動(第1の仮想的位置から第2の仮想的位置へ)させたとき、又は音量バランス調整手段312が、操作部33の操作を検知して左右バランスを変化(第1の左右バランスから第2の左右バランスへ)させたとき、主装置10の制御に基づき、他の端末30との間において、第2の仮想的位置、又は第2の左右バランスに基づく送話音量、受話音量、並びに左右バランスが振分け可能に構成されている。
【0018】
記憶部32には、上記した端末プログラムの他に、端末プログラム実行途中に生成される各種データを記憶するワーク領域が割り当てられている。このため、記憶部32に、バッテリバックアップされたSRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等が実装されている。
【0019】
操作部33は、テンキーや操作ボタンからなり、これらが使用者によって押下されると、当該テンキーや操作ボタンが押下されたことを示す操作信号が制御部31に出力される。制御部31は、入力される操作信号に基づいて、どのテンキーや操作ボタンが操作されたかを特定し、操作されたテンキーや操作ボタンに応じた動作を行う。
【0020】
表示部34は、例えば、液晶表示パネルあるいは有機EL(Electro-Luminescence)パネルであって、制御部31によって生成される文字、記号、図形などの各種情報を表示する。ここでは、例えば、
図3,
図4(a)(b)に示す画面情報が表示される。
【0021】
図3に受話音量設定GUI画面の一例を示す。ここで、自分を含む会議参加者は、自らの端末30の操作部33を操作して、表示部34に受話音量設定GUI画面として表示されるマトリクステーブル上に、自分を含む各会議参加者の仮想的位置を配置する。すなわち、マトリクステーブル上の任意のセルに、会議参加者である自分Oと、他の会議参加者A〜Eとを配置(マッピング)し、その間の距離によって受話音量の設定を可能にする。また、自らの位置Oを中心に、X軸方向の左右の偏りを音声の左右のバランスデータとしてもよい。なお、左右の音声バランスは、スピーカを2個搭載した端末30においてのみ有効である。このように、表示部34に表示されたマトリクステーブルに会議参加者をマッピングして仮想的な位置を形成することにより会議参加者A〜Eに聞こえる音量を調整し、電話会議での臨場感をもたせるとともに、会議参加者A〜Eの特定を容易にしている。
【0022】
具体的に、受話音量は、マトリクステーブル上、距離1(自分と隣接するセル)に位置する参加者Cの受話音量を最大音量“10”とし、自分との距離が離れるにつれて音量を低減していく。ここでは、マトリクステーブルのセルX個につき音量を“X−1”だけ低減するものとする。
図3に示す例では、EはY軸の距離が“2”であるため、音量は“1”だけ低減して“9”になる。また、参加者Bは、X軸の距離が“3”,Y軸の距離が“4”であるため距離は“5”となって音量は“4”だけ低減して“6”になる。
【0023】
なお、左右バランスはX軸と対応づける。具体的に、X軸が自分と同じ場合(参加者E)は、左右バランスは“1:1”で同じとし、自分とX軸上差分がある場合、その差分に合わせて左右バランスを変更する。すなわち、プラス(+)方向に差分がある場合、差がある分だけ左のバランスを低減する。また、マイナス(−)方向に差分がある場合、差がある分だけ右のバランスを低減する。ここではマトリクステーブルセル1個につき、“0.1”低減させるものとする。具体的に、参加者Dは、自分Oとプラス方向に5セル分だけ差があるため、左右バランスは、“0.5:1”、参加者Bはマイナス方向に3セル分だけ差があるため、左右バランスは、“1:0.7”とする。
【0024】
図4(a)(b)に送話音量設定GUI画面を示す。
図3と同様、自分を含む会議参加者は、自らの端末30の操作部33を操作することにより、表示部34に送話音量設定GUI画面として表示されるマトリクステーブル上に、自分を含む各会議参加者の仮想的位置を配置する。すなわち、マトリクステーブル上の任意のセルに、会議参加者である自分Oと他の会議参加者A〜Dとをマッピングすることにより、自分の位置Oを中心に、各会議参加者に聞こえる音量が、例えば色で表現される。自分の発言により、音量が色で表示されるため、会議参加者の各々が、自分の発言した音声が、聞こえる位置にいるかあるいは聞こえない位置にいるかを画面によって確認できる。
図4(b)に示すように、自分の位置Oを調整することにより、会議参加者全員に発言し、あるいは各会議参加者のうちの特定の会議参加者に対してのみ発言することも可能になる。
【0025】
具体的に、
図4(a)の送話音量設定GUI画面において、Oは自分であり、A〜Dは会議通話の参加者を示す。各会議参加者は、表示部34に表示されるマトリクステーブルを使用して仮想的な位置を自由に移動させることができる。なお、送話音量設定GUI画面は、受話と異なり、自分Oの位置も移動させることができる(
図4(b))。自分Oが発言した際、自分Oを中に送話音量をカラーリングにより目視することができる。例えば、網掛け表記された赤色を“音量大”、間隔が密のハッチング表記された黄色を“音量中”、間隔が疎のハッチング表記された青色を“音量小”とする3段階で示してある。従って、会議参加者Aは音量大、会議参加者Bは音量中、会議参加者Dは音量小でそれぞれ送話音量が聞こえるように仮想的な位置がマッピングされ、また、会議参加者Cには送話がされていないように仮想的な位置のマッピングがなされている。
【0026】
なお、
図4(b)は、
図4(a)の状態から自分Oを移動したマトリクステーブルの仮想的位置のマッピング例を示す。このマッピング例によれば、自分Oは、会議参加者AとBとCに送話することとなり、特定の人に対してのみ送話を行いたい場合に、それぞれの送話音量を調整することなく各参加者に対する送話音量を調整することが可能であることがわかる。また、ここでは、自分Oが仮想的位置を移動することができる場合のみ例示したが、他の会議参加者Dを音量が大である網掛け表記した赤領域に移動させてもよい。
【0027】
説明を
図2に戻す。なお、操作部33は、表示部34と一体形成されたタッチパネルで代替してもよい。タッチパネルは、例えば、投影型静電容量方式のタッチパネルであって、表示部34の表示面(画面)に対する使用者の操作を検出する。タッチパネルは、表示面に貼り付けられており、互いに対向配置されたシート状の2つの電極センサーを備えている。2つの電極センサーは透明粘着性シートによって貼り合わされている。
【0028】
一方の電極センサーには、それぞれがX軸方向に沿って延在し、かつ互いに平行に配置された複数の細長いX電極が形成されている。他方の電極センサーには、それぞれがY軸方向に沿って延在し、かつ互いに平行に配置された複数の細長いY電極が形成されている。表示面に対して使用者の指が接触すると、その接触箇所の下にあるX電極及びY電極の間の静電容量が変化することによって、タッチパネルにおいて表示面に対する操作が検出される。タッチパネルにおいて生じる、X電極及びY電極の間の静電容量変化は制御部31に伝達され、制御部31は当該静電容量変化に基づいて表示面に対して行われた操作の内容を特定し、それに応じた動作を行う。
【0029】
回線制御部35は、電話回線20に接続される主装置10、あるいは主装置10の内線インタフェース16,17,18(後述する
図5に示す)経由で接続される他の端末30からの信号を受信し、当該受信信号に対して憎幅処理及びダウンコンバートを行って制御部31に出力する。このとき制御部31は、入力される受信信号に対して復調処理等を行って、当該受信信号に含まれる音声信号などを取得する。また回線制御部35は、制御部31で生成された音声情報等を含む送信信号に対してアップコンバート及び憎幅処理を行って、処理後の送信信号を送信する。送信信号は、電話回線20を通じて他の端末30で受信される。
【0030】
音声入出力部36は、マイクを介して入力される音声信号や、スピーカから出力される音声信号の入出力処理を行う。すなわち、マイクから入力される音声を増幅し、アナログ−デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部31に出力する。また、制御部31から出力される音声データに復号化、デジタル−アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してステレオスピーカ(L−SP,R−SP)に出力する。
【0031】
(主装置の構成)
図5に主装置10の内部構成が示されている。
図5に示すように、主装置10は、制御部11と、記憶部12と、音声合成部13と、時分割スイッチ14と、回線インタフェース15と、内線インタフェース16,17,18と、を含み構成される。
【0032】
主装置10は、一般公衆網等の外線(電話回線20)に接続されている。このため、回線インタフェース15と、内線インタフェース16,17,18を有する。回線インタフェース15は、電話回線20から着信、もしくは発言した呼に対し、時分割スイッチ14の接続や切断等を制御する。また、内線インタフェース16,17,18は、時分割スイッチ14との接続や、切断等の制御を行う。上記した端末30は、電話回線20経由で回線インタフェース15又は内線インタフェース16,17,18に接続される。
【0033】
なお、回線インタフェース15は1個に制限されず、複数設けても良い。さらに、内線インタフェース16,17,18も同様、3個に限るものではなく、多数設けても良い。主装置10の交換能力に要求される能力に応じて適宜必要数定められる。以下に説明する本実施形態に係る会議システム1において、端末30は、内線インタフェース16,17,18のそれぞれに接続されるものとして説明する。すなわち、主装置10は、交換機とし、構内にある企業等の組織内において電話会議を行うものとして説明する。
【0034】
時分割スイッチ14は、制御部11の制御に従い、外線と内線との間の接続、及び内線相互間の通話路を形成している。時分割スイッチ14は、デジタル交換方式に用いられる一般的な時分割スイッチと同様である。その内容は、通話メモリとその通話メモリのアドレスをタイムスロットに合わせて制御する周辺制御回路とを有する。これらの通話メモリや周辺制御回路もまた一般的な時分割スイッチと同様に大規模集積回路(LSI)に集積化され、1個の汎用ICとして提供される。なお、その動作内容については例えば公開公報(特開2000−333279)を援用して、詳細な説明を省略する。
【0035】
音声合成部13は、制御部11により制御され、会議通話の際の双方向通話を行う回線の音声を、時分割スイッチ14から入力してこの音声を合成する機能を有する。音声合成部13は、音声合成のためにAND回路、OR回路、及びゲート回路から成る加算(減算)器を基本構成とし、さらに加算(減算)器を大規模に集積してタイムスロットに合わせて制御する周辺制御回路と併せて集積されたLSI(大規模集積回路)として一般に使用される。
【0036】
制御部11は、例えば、汎用の1チップCPUで構成され、記憶部12の所定の領域に記憶された主装置プログラムを逐次読み出して実行することにより、外線と内線との間、及び内線相互間の交換動作を制御する機能を有する。また、制御部11は、複数の端末30のうちの1つの音量調整手段311によって、会議参加者の仮想的な位置が移動したとき(第1の仮想的位置から第2の仮想的位置へ)、その第2の仮想的位置に基づき、記憶部12の所定の領域に格納された送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122の内容を書換えることにより、書換えられた送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122に従って端末30の一つと他の端末30との間の送話音量及び/又は受話音量を振分ける。
【0037】
また、制御部11は、端末30のうち1つが操作され、音量バランス調整手段312によって第1の左右バランスから第2の左右バランスに変化したとき、第2の左右バランスに基づいて、記憶部12の所定の領域に格納された送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122を更新することにより、更新された送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122に従って端末30の一つと他の端末30との間の左右バランスを振分けてもよい。
【0038】
このため、制御部11は、制御部11が実行する主装置プログラムの機能がブロック展開され示されているように、管理テーブル更新手段110と、送話音量振分け手段111と、受話音量振分け手段112とを含む。
【0039】
管理テーブル更新手段110は、音量調整手段311の一つにより、会議参加者の仮想的な位置が変化(第1の仮想的位置から第2の仮想的位置に移動)した場合、変化後の仮想的位置(第2の仮想的位置)に基づき、記憶部12の所定の領域に格納された送話音量管理テーブル121と受話音量管理テーブル122を書換える機能を持つ。なお、管理テーブル更新手段110は、音量バランス調整手段312によって、左右バランスが変化したとき、変化後の左右バランスに基づいて、送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122を更新してもよい。
【0040】
送話音量振分け手段111は、管理テーブル更新手段110により書換えられた送話音量管理テーブル121の内容に従って端末30の一つと他の端末30との間の送話音量を振分ける機能を実行する。また、受話音量振分け手段112は、管理テーブル更新手段110により書換えられた受話音量管理テーブル122の内容に従って端末30の一つと他の端末30との間の受話音量を振分ける機能を実行する。なお、送話音量振分け手段111、受話音量振分け手段112は、管理テーブル更新手段110により更新された送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122に従って端末30の一つと他の端末30との間の左右バランスを振分けてもよい。
【0041】
記憶部12は、上記した主装置プログラムを記憶するプログラム領域の他に、送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122、及びプログラム実行過程で生成される各種データを記憶するワーク領域が割り当てられている。これらの情報を記憶するためにSRAM等のメモリ素子をバッテリバックアップして用い、また、ワーク領域のためにDRAMを用いる。さらに、プログラムを起動するブートプログラム用にフラッシュメモリと、そのプログラムを記憶するためのカードメモリ等を使用するものとする。上記したメモリ構成は最小限のシステム構成をするための一例であって、構内交換機の機能によってはさらに増加する。
【0042】
送話音量管理テーブル121のデータ構造の一例を
図6(a)に、受話音量管理テーブル122のデータ構造の一例を
図6(b)に示す。
【0043】
図6(a)の送話音量管理テーブル121には、会議参加者の一人が発言者になった場合の各会議参加者に対する送話音量のレベルがデータとして記憶されている。例えば、会議参加者Oが他の会議参加者A,B,C,Dに対する送話音量のレベルは、それぞれ、“0”,“5”,“4”,“0”である。また、会議参加者Aが他の会議参加者O,B,C,Dに対する送話音量のレベルは、それぞれ、“3”,“3”,“2”,“1”である。ここで、レベル“0”は送話無し、レベル“3”は初期値、レベル“5”は最大音量とする。なお、送話音量管理テーブル121に設定される音量レベルは、各々の端末30の音量調整手段311による仮想的位置のマッピング操作により、都度、更新される。
【0044】
図6(b)の受話音量管理テーブル122には、会議参加者の一人の他の会議参加者からの受話音量のレベルがデータとして記憶されている。例えば、会議参加者Oの他の会議参加者A,B,C,Dからの受話音量のレベルは、それぞれ、“0”,“3”,“5”,“0”である。また、会議参加者Aの他の会議参加者O,B,C,Dからの受話音量のレベルは、“4”,“3”,“2”,“1”である。ここで、レベル“0”は受話無し、レベル“3”は初期値、レベル“5”は最大音量とする。なお、受話音量管理テーブル122に設定される音量レベルは、各々の端末30の音量調整手段311による仮想的位置のマッピング操作により、都度、更新される。
【0045】
主装置10は、送話音量管理テーブル121と受話音量管理テーブル122からなる音量管理テーブルを備え、各会議参加者の音量調整を管理することは上記した通りである。各会議参加者が、自らの端末30の音量調整手段311,音量バランス調整手段312を用い、表示部34に表示された受話音量設定GUI画面、送話音量設定GUI画面のマトリクステーブルに自分を含む会議参加者をマッピングして受話音量と送話音量を調整することにより、主装置10は、制御部11(管理テーブル更新手段110)が、送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122の内容を随時更新する。
【0046】
続いて、主装置10は、会議参加者からの発言音声に対し、送話音量管理テーブル121を参照し、また、受話音量管理テーブル122を参照することにより、会議参加者に対して各々設定された音声レベルで発話内容を配信する。このとき、制御部11は、送話音量振分け手段111、受話音量振分け手段112が、端末30の一つと他の端末30との間の送話音量、受話音量をそれぞれ振分ける。このように制御することで、発言者の音声に臨場感を持たせるとともに会議参加者に発言者の特定を容易にすることが可能になる。
【0047】
(会議システムの動作)
図8に、本実施形態に係る会議システム1の動作シーケンス図が示されている。以下の説明では、各会議参加者は、事前に各自の端末30に表示される送話音量設定GUI画面、受話音量設定GUI画面のマトリクステーブルに自分を含む会議参加者の仮想的な位置割り当てを行なっているものとし、また、主装置10は、例えば、
図7に示す音量調整値に基づいて音量調整を行うものとして説明する。
図7に示す例では、送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122値が、“0”の場合ミュート、“1”の場合音量を“−3レベル減”、“2”の場合音量を“−1レベル減”、“3”の場合“±0”、“4”の場合音量を“+1レベル増”、“5”の場合“+3レベル増”となるように調整する。
【0048】
以下の説明は、簡略化のため、左右バランスは一定で音量の増減のみを調整するものとする。実際は音量バランスについても同様に上記した音量調整方法に従って音量調整を行う。以下、
図8の動作シーケンス図を参照しながら、本実施形態に係る会議システム1の動作について詳細に説明する。
【0049】
端末30は、会議参加者が、各自、自らの端末30の表示部34に表示される、受話音量設定GUI画面、送話音量設定GUI画面を用い、マトリクステーブル上に自分を含む会議参加者の仮想位置のマッピングを変更する都度、主装置10に対してその情報を送信する。そしてそれを受けた主装置10は、会議参加者の端末30毎に音量振分けを行い、送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122にそれぞれ保存して管理する。
【0050】
まず、会議参加者Oが自らの端末30oを用いて音量レベル5で発言したとする(ステップS01)。主装置10は、会議参加者Oの発言を受けてOの送話音量管理テーブル121による音量調整を行う。ここでは、Oの送話音量管理テーブル121において、会議参加者A,Dはともに“0”になっているため、会議参加者A,Dに対する音声合成出力は“0(ミュート)”、会議参加者Bに対する音量は、
図7に示す音量調整値にしたがい“+3増”、会議参加者Cに対する音量は“+1増”することになる(ステップS02)。
【0051】
次に、主装置10は、会議参加者Aの受話音量管理テーブル122による音量調整、すなわち、会議参加者AがOから聞こえる音量レベル0に基づく音量調整(ミュート)を行ない(ステップS03)、会議参加者Aの端末30aに音量レベル0での振分けを行う(ステップS04)。続いて、主装置10は、会議参加者Bの受話音量管理テーブル122による音量レベル8に基づく音量調整(−1減じて音量レベル7)を行ない(ステップS05)、会議参加者Bの端末30bに音量7での振分けを行う(ステップS06)。
【0052】
同じように、主装置10は、会議参加者Cの受話音量管理テーブル122による音量レベル6に基づく音量調整(−3減じて音量レベル3)を行ない(ステップS07)、会議参加者Cの端末30cに音量レベル3での振分けを行う(ステップS08)。続いて、主装置10は、会議参加者Dの受話音量管理テーブル122による音量調整(ミュート)を行ない(ステップS09)、会議参加者Dの端末30dに音量レベル0での振分けを行う(ステップS10)。
【0053】
以上説明のように、主装置10は、会議参加者のそれぞれから音声を受信すると、送話音量管理テーブル121、受話音量管理テーブル122に振分けられた音量レベルに従い調整された音量レベルを会議参加者の各端末30宛に送信する。そして、各々の端末30(制御部31)は、音声入出力部30が、受信した音量レベルに従い合成音声を生成し、スピーカ(L−SP,R−SP)を介して出力する。なお、各々の端末30は、主装置10の送話音量管理テーブル121に従いミュート扱いになった場合、受話音量管理テーブル122による音量変更は行わず、ミュートのままで合成音声を出力する。
【0054】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る会議システム1は、複数の会議参加者が各別に用いる複数の端末30と、これら端末30を管理する主装置10とから構成され、各々の端末30は、自らの仮想的位置に基づいて送話音量及び/又は受話音量を操作する音量調整手段311を有し、主装置10は、各々の端末30の仮想的位置を反映する送話音量管理テーブル121と受話音量管理テーブル122とを備える。上記構成において、主装置10は、1つの端末30が音量調整手段311によって第1の仮想的位置から第2の仮想的位置へ移動したとき、第2の仮想的位置に基づいて送話音量管理テーブル121及び/又は受話音量管理テーブル122を更新する。そして、更新された送話音量管理テーブル121及び/又は受話音量管理テーブル122に従って1つの端末30と他の端末30との間の送話音量及び/又は受話音量を振分ける。
【0055】
したがって、各々の端末30が、例えば、表示部34に表示された送話音量設定GUI画面、受話音量設定GUI画面のマトリクステーブルに会議参加者をマッピングして仮想的な位置を形成すると、主装置10が、その仮想的な位置に基づき会議参加者の各々の端末30に聞こえる音量を調整し、各々の端末30にその音量調整を指示することで電話会議での臨場感を持たせ、このことにより、会議参加者の特定を容易にする仕組みを構築することができる。本実施形態に係る会議システム1によれば、電話会議での臨場感をもたらせることにより、あたかも同じ空間内で会議を行っている場合のように発言者を位置的に認識し易くすることを可能にする。このとき各会議参加者は、距離感をイメージした直観的な音量調整が可能である等の効果も得ることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る会議システム1によれば、各々の端末30が、音量の左右バランスを調整する音量バランス調整手段312をさらに有し、主装置10が、複数の端末30のうち1つの端末30が操作され、音量バランス調整手段312によってバランス移動(第1の左右バランスから第2の左右バランスへ)が指示された場合、第2の左右バランスに基づいて送話音量管理テーブル121及び/又は受話音量管理テーブル122を更新することにより、更新された送話音量管理テーブル121及び/又は受話音量管理テーブル122に従って1つの端末30と他の端末30との間の左右バランスを振分ける。したがって、音量のみならず、左右バランス調整により、一層電話会議での臨場感をもたらせることができ、あたかも同じ空間内で会議を行っている場合のように発言者を位置的に認識し易くすることができる。
【0057】
なお、端末30として、操作部33が、主装置10から送信された送話音量、受話音量及び左右バランスの少なくとも1つを表示する表示部34を兼ねる、例えば、ネットワーク接続環境を有するタブレット端末を用いることで、汎用的で、一層使い勝手の良い会議システム1を構築することができる。
【0058】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。