特開2017-28853(P2017-28853A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-28853(P2017-28853A)
(43)【公開日】2017年2月2日
(54)【発明の名称】発電機
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/04 20060101AFI20170113BHJP
   H02P 101/25 20150101ALN20170113BHJP
【FI】
   H02P9/04 J
   H02P101:25
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-144816(P2015-144816)
(22)【出願日】2015年7月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊和
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 和哉
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA15
5H590CA07
5H590CC24
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE04
5H590CE08
5H590EA01
5H590FA08
5H590FB03
5H590GA02
5H590HA02
5H590JB02
(57)【要約】
【課題】 負荷の始動時におけるインバータの出力実効電圧値の変動を小さくできる発電機を提供すること。
【解決手段】 エンジン12により駆動され交流電流を発電するオルタネータ11と、オルタネータ11が発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータ14と、コンバータ14で変換された直流電流を蓄電するキャパシタ16と、コンバータ14で変換された直流電流とキャパシタ16に充電された電荷を任意の周波数の交流電流に変換し負荷に供給する三相インバータ15とを有し、三相インバータ15が、PWM制御における変調率を変化させることにより、負荷に供給する交流電力を制御する発電機10において、三相インバータ15へ入力するインバータ入力電圧を計測し、インバータ入力電圧に変調率係数を乗じること、変調率係数は、基礎変調率に、インバータの定格入力電圧/入力電圧を乗じたものであること、を特徴とする。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより駆動され交流電流を発電するオルタネータと、前記オルタネータが発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータと、前記コンバータで変換された直流電流を蓄電するキャパシタと、前記コンバータで変換された直流電流と前記キャパシタに充電された電荷を任意の周波数の交流電流に変換し負荷に供給するインバータとを有し、
前記インバータが、PWM制御における変調率を変化させることにより、前記負荷に供給する前記交流電流を制御する発電機において、
前記インバータへ入力するインバータ入力電圧を計測し、前記インバータ入力電圧に変調率係数を乗じること、
前記変調率係数は、基礎変調率に、インバータの定格入力電圧/入力電圧を乗じたものであること、
を特徴とする発電機。
【請求項2】
請求項1に記載する発電機において、
前記変調率係数の変化を、前記PWM制御の搬送波の周期で行うこと、
を特徴とする発電機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する発電機において、
前記変調率を、前記インバータの出力電圧実効値と、前記発電機の設定電圧との大小関係で判断して、補正すること、
前記変調率の補正を、前記PWM制御の基本波の周期毎に行うこと、
を特徴とする発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンにより駆動され交流電流を発電するオルタネータと、オルタネータが発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータと、コンバータで変換された直流電流を蓄電するキャパシタと、コンバータで変換された直流電流とキャパシタに充電された電荷を任意の周波数の交流電流に変換し負荷に供給するインバータとを有し、インバータが、PWM制御における変調率を変化させることにより、負荷に供給する交流電流を制御する発電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、エンジンにより駆動され交流電流を発電するオルタネータと、オルタネータが発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータと、コンバータで変換された直流電流を蓄電するキャパシタと、コンバータで変換された直流電流とキャパシタに充電された電荷を任意の周波数の交流電流に変換し負荷に供給するインバータとを有する発電機が広く使用されている。
そして、負荷を始動した時に発生する突入電力を供給するためにキャパシタを利用することも特許文献2に記載されている。
また、特許文献3には、インバータの出力電力を制御するために、インバータの入力電圧を制御するための直流電圧補償信号について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-013308号公報
【特許文献2】特開2011-256729号公報
【特許文献3】特開2014-042381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の発電機には、次のような問題があった。
すなわち、負荷を始動した時に発生する突入電力は、キャパシタにより供給しているが、負荷の始動時にキャパシタから大きな電流が流れると、キャパシタの電圧が急速に下がるため、インバータの入力電圧が下がる。これにより、インバータの出力電圧が降下し負荷に対して問題となる。例えば、負荷に照明器具がある場合には、インバータの出力電圧の降下により照明の明かりが一時的に暗くなり使用者に不安感を与える問題がある。
特許文献3の技術では、インバータが入力電圧の急速な変化に追従しきれず、負荷の始動時に発生する突入電力に迅速に対応できない問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決して、負荷の始動時におけるインバータの出力実効電圧値の変動を小さくできる発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の発電機は、次の構成を有している。
(1)エンジンにより駆動され交流電流を発電するオルタネータと、オルタネータが発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータと、コンバータで変換された直流電流を蓄電するキャパシタと、コンバータで変換された直流電流とキャパシタに充電された電荷を任意の周波数の交流電流に変換し負荷に供給するインバータとを有し、インバータが、PWM制御における変調率を変化させることにより、負荷に供給する交流電流を制御する発電機において、前記インバータへの入力するインバータ入力電圧を計測し、前記インバータ入力電圧に変調率係数を乗じること、前記変調率係数は、基礎変調率に、インバータの定格入力電圧/入力電圧を乗じたものであること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する発電機において、前記変調率係数の変化を、前記PWM制御の搬送波の周期で行うこと、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載する発電機において、前記変調率を、前記インバータの出力電圧実効値と、前記発電機の設定電圧との大小関係で判断して、補正すること、前記変調率の補正を、前記PWM制御の基本波の周期毎に行うこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の発電機は、次のような作用、効果を奏する。
(1)エンジンにより駆動され交流電流を発電するオルタネータと、オルタネータが発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータと、コンバータで変換された直流電流を蓄電するキャパシタと、コンバータで変換された直流電流とキャパシタに充電された電荷を任意の周波数の交流電流に変換し負荷に供給するインバータとを有し、インバータが、PWM制御における変調率を変化させることにより、負荷に供給する交流電流を制御する発電機において、前記インバータへ入力するインバータ入力電圧を計測し、前記インバータ入力電圧に変調率係数を乗じること、前記変調率係数は、基礎変調率に、インバータの定格入力電圧/入力電圧を乗じたものであること、を特徴とするので、負荷を始動した時に発生する突入電流をキャパシタが供給することにより、キャパシタから大きな電流が流れて、キャパシタの出力電圧(インバータの入力電圧)が急速に下がった場合であっても、変調率係数を上昇させ、変調率を上昇させることにより、速やかにインバータ出力電圧を上昇させることができるため、インバータの出力電圧が大きく変動することを防止できる。
【0008】
ここで、インバータの出力電圧実効値をフィードバックして変調率を変化させていたのでは、遅れが生じるためインバータの出力電圧の変動を十分防止することができないのに対し、本発明では、インバータに入力する直流電圧を計測し、それが低下した時に変調率係数を用いて速やかに変調率を変化させているため、インバータへの入力電圧の降下に対して迅速に対応できる。
(1)では、変調率係数を入力電圧に基づいて算出しているが、入力電圧と変調率係数とをマップで記憶しておき、マップを用いて変調率係数を取得しても良い。
【0009】
(2)(1)に記載する発電機において、前記変調率係数の変化を、前記PWM制御の搬送波の周期で行うこと、を特徴とする。負荷を始動した時に発生する突入電流は、一般的には、4秒以内に定常電流値に戻る。その4秒間において、搬送波(数kHz〜数10kHz)の周期毎に変調率を変化させているため、迅速に対応することができ、インバータの出力電圧が大きく変動することを防止できる。
【0010】
(3)(1)または(2)に記載する発電機において、前記変調率を、前記インバータの出力電圧実効値と、前記発電機の設定電圧との大小関係で判断して、補正すること、前記変調率の補正を、前記PWM制御の基本波の周期毎に行うこと、を特徴とする。負荷の稼働が定常状態の時には、出力電流によって出力電圧が下がってしまう。本発明では、変調率を、インバータの出力電圧実効値と、発電機の設定電圧との大小関係を判断して、補正しているので、例えば、負荷電流による出力電圧の降下を補正できるため、インバータの出力電圧を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1実施例である発電機10の構成を示す図である。
図2】発電機10の作用、効果を示すデータ図である。
図3】従来の発電機の作用、効果を示すデータ図である。
図4】インバータ制御手段181の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発電機10の一実施の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1に、発電機10の基本構成を示す。
エンジン12の駆動軸に、交流電流を発電するオルタネータ11が接続している。エンジン12には、エンジン制御装置であるECU13が接続している。
オルタネータ11には、交流電流を直流電流に変換するコンバータ14が接続している。コンバータ14には、直流電流を蓄電するキャパシタ16、及び直流電流を任意の周波数の交流電流に変換し、負荷17に供給する三相インバータ15が接続している。キャパシタ16は、三相インバータ15にも接続している。三相インバータ15には、負荷17が接続されている。
三相インバータ15、ECU13には、制御装置18が接続している。発電機10は、オルタネータ11、エンジン12、ECU13、コンバータ14、三相インバータ15、キャパシタ16、及び制御装置18を備えている。
【0013】
三相インバータ15は、入力電圧を計測する電圧センサを備え、計測された入力電圧は、制御装置18に読み込まれる。制御装置18は、インバータ制御手段181を有している。
インバータ制御手段181の内容を、図4にフローチャートで示し、説明する。スタートした後、インバータ入力電圧の計測、具体的には、三相インバータ15の電圧センサが計測した電圧値を読み込む(S11)。この読み込みは、三相インバータ15のPWM制御の三角波(数kHz〜数10kHz)の周期毎に行っている。
【0014】
次に、変調率係数を算出する(S12)。変調率係数は、計測した入力電圧をVIとし、三相インバータ15の定格入力電圧をVTとした時に、基礎変調率/VTで算出する。
ここで、基礎変調率は、三相インバータ15への定格入力電圧VT=400Vとしたときに、出力電圧実効値200Vが出力されるときの変調率であり、具体的には、70.7%(0.707)としている。
次に、前回の変調率補正値計算から基本波(50Hzまたは60Hzの正弦波)の1周期分の時間が経過したか否か判断する(S14)。時間が経過していなければ(S14;NO)、S22に進む。S22では、変調率を、変調率+補正値として算出する。ここで、三相インバータ15への入力電圧が変化した時には、S22の変調率(S13で求めた変調率)が変化するため、数kHz〜数10kHzの周波数に対応する周期で速やかに変調率を変化させることができる。
【0015】
一方、S14において、1周期分の時間が経過していれば(S14;YES)、三相インバータ15の出力電圧実効値が設定電圧値を越えているか否か判断する(S15)。出力電圧実効値が設定電圧を越えていれば(S15;YES)、現在の補正値から所定のステップ数をマイナスして新たな補正値とする(S16)。出力電圧実効値が設定電圧を越えていなければ(S15;NO)、現在の補正値に所定のステップ数をプラスして新たな補正値とする(S17)。
次に、新たな補正値が補正最大値を越えていないか判断し(S18)、越えている場合には(S18;YES)、補正値を補正最大値とする(S20)。越えていなければ(S18;NO)、補正値が補正最小値より小さいか否か判断する(S19)。補正値が補正最小値より小さい場合には(S19;YES)、補正値を補正最小値とする(S21)。補正値が補正最小値より小さくない場合には(S19;NO)、補正値は、S16またはS17で算出された値とする。
次に、現在の変調率に新たな補正値を加算したものを新たな変調率とする(S22)。
【0016】
次に、上記構成を有する発電機の作用及び効果について説明する。
始めに、従来の発電機の作用及び効果について説明する。図3に変調率を一定とした場合の従来の作用を示す。いずれのグラフも横軸は時間経過を示し、T1は負荷投入タイミングを示し、T2はキャパシタ16への充電開始タイミングを示す。
(a)の縦軸は三相インバータ15への入力電圧値または入力電流値を示し、Aは入力電流値を示し、Bは入力電圧値を示す。また、(b)の縦軸は変調率の変化を示し、(c)の縦軸は三相インバータ15の出力電圧実効値を示し、(d)の縦軸は負荷電力を示す。
【0017】
(d)に示すように、負荷17、例えば建築現場において、送風機用のモータがT1のタイミングで始動された場合、始動後突入電力が5秒程度の期間、最大電力値7000W流れる。
この負荷に対して、(a)のAに示すように、突入電流が3秒程度の期間、最大電流値15A流れる。この電流は主として、キャパシタ16から供給される。キャパシタ16は数秒間突入電流を流すのには適しているが、Bに示すように、電流値が増加すると共に、定格電圧400Vから270V程度まで急速に降下する。
これにより、(c)に示すように、三相インバータ15の出力電圧実効値が定格電圧実効値である200Vrmsから130Vrmsまで急速に降下する。負荷が排水ポンプの場合には、あまり問題とはならないが、照明で使用している場合には、瞬間的に暗くなるため、使用上問題となる。
【0018】
T3は、キャパシタ16の充電が完了したタイミングを示す。T2のタイミングから、負荷17が定常状態となり、コンバータ14の電力に余裕が生じるため、キャパシタ16の充電が開始される。(c)に示すように、キャパシタ16の電圧は充電されていくに連れて上昇する。T3以降は、負荷電流による電圧降下分だけ低い電圧が三相インバータ15から出力され、定格電圧である200Vを維持できない場合がある。
【0019】
次に、本発明の発電機10の作用及び効果について図2を用いて説明する。図2においては、いずれのグラフも横軸は時間経過を示し、T1は負荷投入タイミングを示し、T2はキャパシタ16への充電開始タイミングを示す。
(a)の縦軸は三相インバータ15への入力電圧値または入力電流値を示し、Aは入力電流値を示し、Bは入力電圧値を示す。また、(b)の縦軸は変調率の変化を示し、(c)の縦軸は三相インバータ15の出力電圧実効値を示し、(d)の縦軸は負荷電力を示す。
【0020】
(d)に示すように、負荷、例えば、建築現場における送風機用のモータがT1のタイミングで始動された場合、始動後突入電力が5秒程度の期間、最大電力値7000W流れる。
この負荷に対して、(a)のAに示すように、突入電流が3秒程度の期間、最大電流値15A流れる。この電流は主として、キャパシタ16から供給される。キャパシタ16は数秒間突入電流を流すのには適しているが、Bに示すように、電流値が増加すると共に、定格電圧400Vから270V程度まで急速に降下する。
三相インバータ15への入力電圧が400Vから270V程度まで急速に降下するが、図4のフローチャートに示すように、三相インバータ15への入力電圧が降下すると、インバータ入力電圧を計測し(S11)、変調率係数を算出し(S12)、変調率=入力電圧×変調率係数として処理し(S13)、その変調率で三相インバータ15を制御する。
【0021】
ここで、変調率係数は、計測した入力電圧をVIとし、三相インバータ15の定格入力電圧をVTとした時に、基礎変調率/VTで算出する。
ここで、基礎変調率は、三相インバータ15への定格入力電圧VT=400Vとしたときに、出力電圧実効値200Vが出力されるときの変調率であり、具体的には、70.7%(0.707)としている。
(b)に示すように、変調率は、100%を越える場合もある。これは過変調制御と呼ばれ、歪が出る問題があるが、本実施例のように、短い時間では歪は問題とならない。
入力電圧が急速に降下した場合に、変調率を(b)に示すように、迅速に上昇できるため、(c)に示すように、三相インバータ15の出力電圧実効値が定格電圧実効値である200Vrmsから180Vrmsまでの降下で抑えることができる。
これにより、負荷の始動時に突入電力が流れても、三相インバータ15の出力実効電圧値がわずかしか降下しないため、照明が瞬間的にでも暗くなることがない。
【0022】
T3は、キャパシタ16の充電が完了したタイミングを示す。T2のタイミングから、負荷17が定常状態となり、コンバータ14の電力に余裕が生じるため、キャパシタ16の充電が開始される。(c)に示すように、キャパシタ16の電圧は充電されていくに連れて上昇する。
T2以降の期間では、図4のフローチャートのS14からS21のステップが実行されており、変調率を、インバータの出力電圧実効値と、発電機の設定電圧との大小関係で判断して、補正しているので、例えば、負荷電流による出力電圧の降下分を、補正できるため、インバータの出力電圧を一定に維持することができる。
【0023】
以上詳細に説明したように、本実施例の発電機によれば、
(1)エンジン12により駆動され交流電流を発電するオルタネータ11と、オルタネータ11が発電した交流電流を直流電流に変換するコンバータ14と、コンバータ14で変換された直流電流を蓄電するキャパシタ16と、コンバータ14で変換された直流電流とキャパシタ16に充電された電荷を任意の周波数の交流電流に変換し負荷に供給する三相インバータ15とを有し、三相インバータ15が、PWM制御における変調率を変化させることにより、負荷に供給する交流電流を制御する発電機10において、三相インバータ15へ入力するインバータ入力電圧を計測し、インバータ入力電圧に変調率係数を乗じること、変調率係数は、基礎変調率に、インバータの定格入力電圧/入力電圧を乗じたものであること、を特徴とするので、負荷17を始動した時に発生する突入電流をキャパシタ16が供給することにより、キャパシタ16から大きな電流が流れて、キャパシタ16の出力電圧(インバータの入力電圧)が急速に下がった場合であっても、変調率係数を上昇させ、変調率を上昇させることにより、速やかにインバータ出力電圧を上昇させることができるため、三相インバータ15の出力電圧が大きく変動することを防止できる。
【0024】
ここで、三相インバータ15の出力電圧実効値をフィードバックして変調率を変化させていたのでは、遅れが生じるためインバータの出力電圧の変動を十分防止することができないのに対し、本実施例では、三相インバータ15に入力する直流電圧を計測し、それが低下した時に変調率係数を用いて速やかに変調率を変化させているため、三相インバータ15への入力電圧の降下に対して迅速に対応できる。
本実施例では、変調率係数を入力電圧に基づいて算出しているが、入力電圧と変調率係数とをマップで記憶しておき、マップを用いて変調率係数を取得しても良い。
【0025】
(2)(1)に記載する発電機10において、変調率係数の変化を、PWM制御の搬送波の周期(数kHz〜数10kHz)で行うこと、を特徴とする。負荷17を始動した時に発生する突入電流は、一般的には、4秒以内に定常電流値に戻る。その4秒間において、搬送波(数kHz〜数10kHz)の周期毎に変調率を変化させているため、迅速に対応することができ、インバータの出力電圧が大きく変動することを防止できる。
【0026】
(3)(1)または(2)に記載する発電機において、変調率を、三相インバータ15の出力電圧実効値と、発電機10の設定電圧との大小関係で判断して、補正すること、変調率の補正を、PWM制御の基本波(50Hzまたは60Hz)の周期毎に行うこと、を特徴とする。負荷17の稼働が定常状態の時には、負荷電流により出力電圧が降下する。本実施例では、変調率を、三相インバータ15の出力電圧実効値と、発電機10の設定電圧(本実施例では、200Vrms)との大小関係で判断して、補正しているので、例えば、負荷電流よる出力電圧の降下分を、補正できるため、三相インバータ15の出力電圧を一定に維持することができる。
【0027】
本発明の発電機10については、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば本実施例では、搬送波の周期を用いて三相インバータ15の入力電圧計測、変調率の変更を行っているが、搬送波の周波数より高周波の周波数であれば、他の周波数を用いて制御を行っても良い。
また、三相インバータ15の出力電圧実効値と設定電圧との大小関係の判断を基本波の周期で行っているが、同程度の周期であれば、他の周波数の周期を用いても良い。
【符号の説明】
【0028】
10 発電機
11 オルタネータ
12 エンジン
14 コンバータ
15 三相インバータ
16 キャパシタ
17 負荷
18 制御装置
181 インバータ制御手段
図1
図2
図3
図4