特開2017-29053(P2017-29053A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ストロー株式会社の特許一覧

特開2017-29053スティック付冷菓および冷菓用スティック
<>
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000003
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000004
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000005
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000006
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000007
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000008
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000009
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000010
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000011
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000012
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000013
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000014
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000015
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000016
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000017
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000018
  • 特開2017029053-スティック付冷菓および冷菓用スティック 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-29053(P2017-29053A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】スティック付冷菓および冷菓用スティック
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/00 20060101AFI20170120BHJP
   A23G 9/26 20060101ALI20170120BHJP
【FI】
   A23G9/00
   A23G9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-151815(P2015-151815)
(22)【出願日】2015年7月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000177209
【氏名又は名称】日本ストロー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 敬次
(72)【発明者】
【氏名】今村 光伸
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GE08
4B014GP08
4B014GP12
4B014GP27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通常時は全長を短くしつつ、飲食の際には十分な長さの持ち手部分を確保するスティック付き冷菓の提供。
【解決手段】スティック20が、冷菓10内に埋設一体化されたガイド筒部材21と、ガイド筒部材21内に摺動自在に嵌合されると共にその抜けが規制されたスライド部材22と、を有するスティック付き冷菓1。スティック20の縮長状態において、スライド部材22の一部がガイド筒部材21および冷菓10の外部に位置され、この縮長状態で包装紙でもって包装することができ、スライド部材22をガイド筒部材21から大きく引き出した伸長状態でもって、スライド部材22を手指によって把持して冷菓10が飲食され、ガイド筒部材21を合成樹脂で形成すると共にその先端部21aを閉じた状態とし、またスライド部材22を、合成樹脂により筒状に形成するのが好ましいスティック付き冷菓。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スティックの一端部が冷菓内に埋設一体化されると共にスティックの他端部が該冷菓の外部に伸びて、該スティックの他端部を手指で把持して冷菓を飲食するようにしたスティック付冷菓であって、
前記スティックが、前記冷菓内に埋設されて冷菓に一体化されたガイド筒部材と、該ガイド筒部材内に摺動自在に嵌合されると共に該ガイド筒部材からの抜けが規制されたスライド部材と、を有し、
前記スライド部材が前記ガイド筒部材内に深く挿入された前記スティックの最縮長状態において、該スライド部材の一部が該ガイド筒部材および冷菓の外部に位置され、
前記スライド部材を前記ガイド筒部材から大きく引き出した前記スティックの伸長状態でもって、該スライド部材を手指によって把持して冷菓が飲食される、
ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項2】
請求項1において、
前記スライド部材が筒状とされている、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記ガイド筒部材およびスライド部材がそれぞれ合成樹脂によって形成されている、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記ガイド筒部材の先端部が閉じられており、
前記ガイド筒部材の基端部が、前記冷菓の外部に位置されている、
ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項5】
請求項4において、
前記ガイド筒部材の先端部が偏平状に潰れ変形されると共にシールされることにより閉じられており、
前記ガイド筒部材のうち、前記偏平状の部分の幅がその他の部分の外径よりも大きくされている、
ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記ガイド筒部材の基端部に、内向きとされた外側ストッパ部と、該外側ストッパ部よりも軸方向内方側でかつ該外側ストッパ部付近において内向きとされた内側ストッパ部と、が形成され、
前記スライド部材の先端部に、拡大部が形成され、
前記スライド部材を該ガイド筒部材から引き出す過程において、前記拡大部が前記内側ストッパ部を乗り越えた直後に前記外側ストッパ部に当接して、該拡大部が該内側ストッパ部と外側ストッパ部との間に位置した状態が維持される、
ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項7】
請求項6において、
前記外側ストッパ部が、前記ガイド筒部材の縮径部によって形成され、
前記内側ストッパ部が、前記ガイド筒部材の周方向一部を径方向内方側に膨出させることにより形成されている、
ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
前記ガイド筒部材の外表面が全体的に微細な凹凸を有している、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記ガイド筒部材の外表面に、該ガイド筒部材を取り巻くように螺旋状の突状部が形成されている、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記ガイド筒部材の外表面に、軸方向に伸びる直線状の溝が形成されている、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、
前記スライド部材の外表面が全体的に微細な凹凸を有している、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、
前記スライド部材の基端部側に拡大部が形成されている、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項において、
前記スティックが前記最縮長状態とされた状態でもって、該スティックと冷菓とが包装されている、ことを特徴とするスティック付冷菓。
【請求項14】
一端部が冷菓内に埋設一体化されると共に他端部が手指によって把持される把持部とされる冷菓用スティックであって、
冷菓が一体化される部分となるガイド筒部材と、該ガイド筒部材内に摺動自在に嵌合されると共に該ガイド筒部材からの抜けが規制されて前記把持部となるスライド部材と、からなり、
前記スライド部材が前記ガイド筒部材内に深く挿入された縮長状態において、該スライド部材の基端部が該ガイド筒部材の外部に位置され、
前記ガイド筒部材および前記スライド部材がそれぞれ合成樹脂によって形成されている、
ことを特徴とする冷菓用スティック。
【請求項15】
請求項14において、
前記スライド部材が筒状とされ、
前記ガイド筒部材の先端部が閉じられている、
ことを特徴とする冷菓用スティック。
【請求項16】
請求項15において、
前記ガイド筒部材の先端部が偏平状に潰れ変形されると共にシールされることにより閉じられており、
前記ガイド筒部材のうち、前記偏平状の部分の幅がその他の部分の外径よりも大きくされている、
ことを特徴とする冷菓用スティック。
【請求項17】
請求項14ないし請求項16のいずれか1項において、
前記ガイド筒部材の基端部に、内向きとされた外側ストッパ部と、該外側ストッパ部よりも軸方向内方側でかつ該外側ストッパ部付近において内向きとされた内側ストッパ部と、が形成され、
前記スライド部材の先端部に、拡大部が形成され、
前記スライド部材を該ガイド筒部材から引き出す過程において、前記拡大部が前記内側ストッパ部を乗り越えた直後に前記外側ストッパ部に当接して、該拡大部が該内側ストッパ部と外側ストッパ部との間に位置した状態が維持される、
ことを特徴とする冷菓用スティック。
【請求項18】
請求項14ないし請求項17のいずれか1項において、
前記ガイド筒部材の外表面に、軸方向に伸びる直線状の溝が形成されている、ことを特徴とする冷菓用スティック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック付冷菓および冷菓用スティックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アイスキャンディやアイスクリーム等の冷菓内にスティックの一端部を埋設一体化した状態で、スティックの他端部を手指で把持して冷菓を飲食するようにしたスティック付冷菓が数多く市販されている。従来のスティックは、自然木を加工した細長い薄板状のものが多く、一部には特許文献1に開示のように合成樹脂によって細長い薄板状としたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−306080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスティック付冷菓は、スティックのうち冷菓の外部に伸びて手指で把持される部分(持ち手部分)の長さが相当に長く、このため、スティック付冷菓を包装する際にはかなり長い(面積の大きい)包装紙を使用する必要があり、またスティック付冷菓の箱詰めや運搬に際してもかなりかさばってしまうことになる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、通常時は全長を短くしつつ飲食の際には十分な長さの持ち手部分を確保することができるようにしたスティック付冷菓および冷菓用スティックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、冷菓用スティックを伸縮可能として、通常はスティックを縮長状態としておく一方、冷菓を飲食する際にスティックを伸長できるようにしてある。具体的には、本発明におけるスティック付冷菓にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
スティックの一端部が冷菓内に埋設一体化されると共にスティックの他端部が該冷菓の外部に伸びて、該スティックの他端部を手指で把持して冷菓を飲食するようにしたスティック付冷菓であって、
前記スティックが、前記冷菓内に埋設されて冷菓に一体化されたガイド筒部材と、該ガイド筒部材内に摺動自在に嵌合されると共に該ガイド筒部材からの抜けが規制されたスライド部材と、を有し、
前記スライド部材が前記ガイド筒部材内に深く挿入された前記スティックの最縮長状態において、該スライド部材の一部が該ガイド筒部材および冷菓の外部に位置され、
前記スライド部材を前記ガイド筒部材から大きく引き出した前記スティックの伸長状態でもって、該スライド部材を手指によって把持して冷菓が飲食される、
ようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば、飲食される前の状態ではスティックを縮長状態として、包装紙の使用量低減、箱詰めや運搬時における容積減少を図る上で好ましいものとなる。また、飲食する際には、スティックを伸長状態とすることにより、長く伸びるスライド部材を把持して、従来と同様に冷菓を飲食することができる。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2〜請求項13に記載のとおりである。すなわち、
前記スライド部材が筒状とされている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、全体として軽量化やコスト低減等の上で好ましいものとなる。
【0009】
前記ガイド筒部材およびスライド部材がそれぞれ合成樹脂によって形成されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、請求項2に対応した効果をより一層十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
【0010】
前記ガイド筒部材の先端部が閉じられており、
前記ガイド筒部材の基端部が、前記冷菓の外部に位置されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、ガイド筒部材内への液状の冷菓が不用意に侵入されてしまう事態を防止することができる.このことは、例えば、スティック付冷菓の製造工程において、ガイド筒部材内に進入した液状の冷菓が固化して、スティックを伸長させる妨げになってしまうような事態や、飲食の際に液状化した冷菓がガイド筒部材を通して外部に漏れ出ることを防止する上で好ましいものとなる。
【0011】
前記ガイド筒部材の先端部が偏平状に潰れ変形されると共にシールされることにより閉じられており、
前記ガイド筒部材のうち、前記偏平状の部分の幅がその他の部分の外径よりも大きくされている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、ガイド筒部材の先端部を閉じるのに別途栓部材等を用いることなく行うことができ、また冷菓とガイド筒部材との相対回転防止や、ガイド筒部材からの冷菓の抜け落ち防止等の上で好ましいものとなる。
【0012】
前記ガイド筒部材の基端部に、内向きとされた外側ストッパ部と、該外側ストッパ部よりも軸方向内方側でかつ該外側ストッパ部付近において内向きとされた内側ストッパ部と、が形成され、
前記スライド部材の先端部に、拡大部が形成され、
前記スライド部材を該ガイド筒部材から引き出す過程において、前記拡大部が前記内側ストッパ部を乗り越えた直後に前記外側ストッパ部に当接して、該拡大部が該内側ストッパ部と外側ストッパ部との間に位置した状態が維持される、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、スライド部材が飲食のために引き出される際に、所定位置まで確実に引き出せるようにしつつ、この所望位置となった状態を維持させる上で好ましいものとなる。
【0013】
前記外側ストッパ部が、前記ガイド筒部材の縮径部によって形成され、
前記内側ストッパ部が、前記ガイド筒部材の周方向一部を径方向内方側に膨出させることにより形成されている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、各ストッパ部の具体的な構成を提供することができ、特にガイド筒部材の簡単な加工によって各ストッパ部を形成することができる。
【0014】
前記ガイド筒部材の外表面が全体的に微細な凹凸を有している、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、冷菓とガイド筒部材との結合を高めて、しっかりとした一体化を得る上で好ましいものとなる。
【0015】
前記ガイド筒部材の外表面に、該ガイド筒部材を取り巻くように螺旋状の突状部が形成されている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、上記請求項8に対応した効果をより一層十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
【0016】
前記ガイド筒部材の外表面に、軸方向に伸びる直線状の溝が形成されている、ようにしてある(請求項10対応)。この場合、溝内に冷菓が入り込むため、冷菓のガイド筒部材に対する回り止めや、冷菓のガイド筒部材からの落下防止の上で好ましいものとなる。
【0017】
前記スライド部材の外表面が全体的に微細な凹凸を有している、ようにしてある(請求項11対応)。この場合、スライド部材を手指で把持した際に、不用意に滑ってしまう事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0018】
前記スライド部材の基端部側に拡大部が形成されている、ようにしてある(請求項12対応)。この場合、スティックを伸長状態とするためにスライド部材を引き出しする際に、指先を拡大部に引っ掛けて行うことができ、伸長作業(引き出し作業)が容易となる。また、スティックを伸長状態とした後は、スライド部材がこれを把持している手指から不用意に滑り落ちてしまう事態を防止する上でも好ましいものとなる。
【0019】
前記スティックが前記最縮長状態とされた状態でもって、該スティックと冷菓とが包装されている、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、包装された状態のスティック付冷菓の全長を極めて短くして、包装紙の使用量低減や、スティック付冷菓を箱詰めしたり運搬する際の容積減少の上で極めて好ましいものとなる。
【0020】
前記目的を達成するため、本発明における冷菓用スティックにあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項14に記載のように、
一端部が冷菓内に埋設一体化されると共に他端部が手指によって把持される把持部とされる冷菓用スティックであって、
冷菓が一体化される部分となるガイド筒部材と、該ガイド筒部材内に摺動自在に嵌合されると共に該ガイド筒部材からの抜けが規制されて前記把持部となるスライド部材と、からなり、
前記スライド部材が前記ガイド筒部材内に深く挿入された縮長状態において、該スライド部材の基端部が該ガイド筒部材の外部に位置され、
前記ガイド筒部材および前記スライド部材がそれぞれ合成樹脂によって形成されている、
ようにしてある。
【0021】
上記解決手法によれば、請求項1、請求項3に対応したスティック付冷菓に用いる冷菓用スティックを提供することができる。
【0022】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項15以下に記載のとおりである。すなわち、
前記スライド部材が筒状とされ、
前記ガイド筒部材の先端部が閉じられている、
ようにしてある(請求項15対応)。この場合、
請求項2に対応したスティック付冷菓に用いる冷菓用スティックを提供することができ、またその先端部からガイド筒部材内に液状の冷菓が不用意に侵入してしまう事態を防止できるものが提供される。
【0023】
前記ガイド筒部材の先端部が偏平状に潰れ変形されると共にシールされることにより閉じられており、
前記ガイド筒部材のうち、前記偏平状の部分の幅がその他の部分の外径よりも大きくされている、
ようにしてある(請求項16対応)。この場合、請求項5に対応したスティック付冷菓に用いて好適な冷菓用スティックを提供することができる。
【0024】
前記ガイド筒部材の基端部に、内向きとされた外側ストッパ部と、該外側ストッパ部よりも軸方向内方側でかつ該外側ストッパ部付近において内向きとされた内側ストッパ部と、が形成され、
前記スライド部材の先端部に、拡大部が形成され、
前記スライド部材を該ガイド筒部材から引き出す過程において、前記拡大部が前記内側ストッパ部を乗り越えた直後に前記外側ストッパ部に当接して、該拡大部が該内側ストッパ部と外側ストッパ部との間に位置した状態が維持される、
ようにしてある(請求項17対応)。この場合、請求項6に対応したスティック付冷菓に用いて好適な冷菓用スティックを提供することができる。
【0025】
前記ガイド筒部材の外表面に、軸方向に伸びる直線状の溝が形成されている、ようにしてある(請求項18対応)。この場合、請求項10に対応したスティック付冷菓に元居て好適な冷菓用スティックを提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、通常時は全長を短くしつつ飲食の際には十分な長さの持ち手部分を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明によるスティック付冷菓の一例を示すもので、スティックが縮長状態のときの側面図。
図2図1に示すスティック付冷菓の斜視図。
図3図2の状態からスティックを伸長させた状態を示す斜視図。
図4図1の状態でもって包装した状態を、冷菓のみを断面して示す側面断面図。
図5】縮長状態でのスティックの平面図。
図6図5の右側面図。
図7図5の左側面図。
図8図5のX8−X8線相当断面図。
図9】スティックを伸長させた状態を示す側面図。
図10図8のX10−X10線相当での拡大断面図。
図11図9の矢印Cで示す部分の要部拡大断面図。
図12】スティックの別の例を示すもので、図8に対応した側面断面図。
図13図12に示すスティックを用いたスティック付冷菓の斜視図。
図14図13の状態からスティックを伸長させた状態を示す斜視図。
図15】スティックのさらに別の例を示す側面図。
図16】スティックのさらに別の例を示す平面図。
図17】スティックのさらに別の例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1図3に示すスティック付冷菓1は、固化状態の冷菓10と、冷菓10を保持したスティック20と、を有する。冷菓10は、アイスキャンディ、アイスクリーム等を所定形状に型成形したものとされている。
【0029】
スティック20は、ガイド筒部材21と、ガイド筒部材21内に摺動自在に挿入されたスライド部材22とを有する。ガイド筒部材21とスライド部材22とはそれぞれ、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)等の合成樹脂によって筒状(実施形態では円筒状)として形成されている。そして、後述するように、スライド部材22は、ガイド筒部材21からの抜けが規制されている。
【0030】
ガイド筒部材21は、その基端部(図1右方側端部)を除いて殆どの部分が冷菓10内に埋設されて冷菓10に一体化されている。ガイド筒部材21の基端部は冷菓10の外部に位置(延在)しており、このガイド筒部材21の基端部からスライド部材22がさらに外部へと短く伸びている。なお、ガイド筒部材21への冷菓10を一体化するには、例えば、型内に液状の冷菓を充填すると共にガイド筒部材21を挿入した状態で、液状の冷菓を固化することにより、固化後の冷菓10内にガイド筒部材21が埋設、一体化されることになる。
【0031】
図1図2は、スライド部材22がガイド筒部材21内にもっとも奥深く挿入された状態つまりスティック20の縮長状態を示し、この縮長状態では、スライド部材22のうち冷菓10やガイド筒部材21の外部に伸びる部分の長さは指先でつまんで把持できる程度(例えば15mm〜30mm程度)とされていて、冷菓10とスティック20とを含む全長(図1左右方向長さ)が短いものとされる。
【0032】
スティック付冷菓1は、図4に示すように、スティック20を縮長状態とした状態でもって、図中一点鎖線で示す包装紙30によって密閉状態で包装される。なお、包装紙30は、一般的には少なくとも内面側に気密性を確保するための気密層を有するものが使用されているが、従来から使用されている適宜のものを使用することができる。このように、スティック付冷菓1の全長が短い状態で包装できるので、使用する包装紙を低減でき、また複数本のスティック付冷菓を箱詰めする際の容積減少や運搬容積減少となる。
【0033】
一方、図3は、スライド部材22がガイド筒部材21内からもっとも引き出された状態つまりスティック20の伸長状態を示す。この伸長状態では、スライド部材22のうち冷菓10から外部に伸びる部分の長さが、複数本の手指でもってしっかりと把持できる十分な長さ(例えば60mm〜100mm程度)とされる。包装紙30からスティック付冷菓1を取り出すと共に、スティック20を図3に示す伸長状態とすることにより、スライド部材22を手指でもってしっかりと把持しつつ、冷菓10を飲食することができる。
【0034】
次に、ガイド筒部材21とスライド部材22とからなる冷菓用スティック20について、図5図11を参照しつつ詳細に説明する。まず、冷菓用スティック20の長さは、図5図8に示すような縮長状態(図2対応)では例えば60mm〜90mm程度とされ、図9に示すような伸長状態(図3対応)では例えば130mm〜160mm程度とされる。また、ガイド筒部材21は、その外径が例えば5mm〜13mm程度で、その肉厚が例えば0.25mm〜0.6mm程度とされる。スライド部材22においては、その外径がガイド筒部材21の内径に応じて選択されて、例えば3.5mm〜12mm程度で、その肉厚が例えば0.25mm〜0.6mm程度とされる。なお、特にスライド部材22の外径や肉厚は、冷菓10の大きさや重量を勘案してこれを支える強度が十分確保できるように設定される。
【0035】
ガイド筒部材21は、その先端部21aが閉じられている(特に図7図8参照)。具体的には、ガイド筒部材21の先端部21aは、円筒形部分を径方向に潰れ変形させてシールされた状態でもって閉じられている。これにより、ガイド筒部材21内には、先端部21aから溶けた冷菓10が不用意に侵入してしまう事態が防止されて、スライド部材22のガイド筒部材21内でのスムーズな摺動(スライド動)が確保される。なお、ガイド筒部材21の基端部側を冷菓10の外部に位置させておくことにより、この基端部側からガイド筒部材21内へ溶けた冷菓10が侵入してしまう事態が防止される。
【0036】
上記先端部21aをシールする場合、ガイド筒部材21を例えばポリプロピレン(PP)で形成する場合は、ヒートシール性が劣ることを考慮して、あらかじめ先端部21aに相当する部分に予熱を加えた状態で、超音波をあてて溶着によってシールするのが好ましい(シール界面での振動による摩擦熱による溶着)。また、ガイド筒部材21を、合成樹脂による内外2重層として、その内側層を溶着性の優れた合成樹脂でもって形成するようにしてもよい。具体的には、ガイド筒部材21の外側層を剛性に優れた例えばポリプロピレンで形成する一方、その内側層をヒートシール性に優れた例えばポリエチレン(PE)、特に低密度ポリエチレン(LDPE)や連鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)でもって形成することができる。この場合、上記内外2重層からなるガイド筒部材21を押し出し成形した後に、その先端部21aを容易にヒートシールすることが可能である(ヒートシールの条件は、例えば、圧着シールバーの温度設定を210℃〜300℃、圧着圧力3〜5kg/平方cm、圧着時間を1〜3秒程度)。なお、内外2重層の構成材料の関係を、上記とは逆の関係としてもよい。
【0037】
ガイド筒部材21の先端部21aは、径方向に潰れ変形されて太幅な偏平状とされるが、その外周縁部は丸みを有するように(鋭利な角部を有しないように)、略円弧状に滑らかに連なる形状となるように加工される(特に図5参照)。偏平状とされた先端部21aの存在により、ガイド筒部材21の冷菓10からの抜け防止や、冷菓10に対する相対回転防止の上で好ましいものとなる(特に、冷菓10が若干溶けた場合)。
【0038】
ガイド筒部材21の基端部は、縮径された縮径部21bとされている。これにより、縮径部21b(これに連なる大径部21cとの段差部21d)が、後述するスライド部材22のガイド筒部材21からの抜けを規制する抜け防止用ストッパ壁(外側ストッパ部)を構成することとなる。また、縮径部21bから若干先端部21a側の位置において、径方向内方側に膨出する内向きストッパ部21eが形成されている。この内向きストッパ部21eは、内側ストッパ部となるもので、実施形態では、径方向反対側位置において、それぞれ周方向に伸びるように一対形成されている。
【0039】
一方、スライド部材22は、その先端部側が、ガイド筒部材21(の大径部21c)に対して摺動される拡大部としての拡径部22aを有する。この拡径部22aの外径は、ガイド筒部材21の大径部21cの内径とほぼ同じで、縮径部21bおよび内向きストッパ部21eの各内径よりも大きいものとされる。そして、拡径部22aの長さは、縮径部21bと内向きストッパ部21eとの軸方向間隔とほぼ同じか若干小さくなるように設定されている。
【0040】
上記拡径部22aは、先端に向かうにつれて徐々に拡径する部分を有するラッパ状とされている。具体的には、拡径部22aのうち、その基端部側に向かう部分の断面外周径が、当該基端部側に向けて徐々に縮径されている。この徐々なる縮径部(徐々なる拡径部とみることもできる)を、図11において符号22cで示してある。これに対して、拡径部22aのうちその先端側に向かう部分は、縮径されることなく、ガイド筒部材21の大径部21cの内径形状と殆ど一致する大きな外径を有するものとされている(拡大部22aの最大外径部となっている)。これにより、拡径部22aは、内向きストッパ部21eに対しては、ガイド筒部材21からの引き出し方向については比較的容易に乗り超えることができる一方、挿入方向へは乗り越えにくい設定とされる。
【0041】
スライド部材22をガイド筒部材21内にもっとも深く挿入した状態(例えば図2図5図8に示す状態)から、スライド部材22の基端部を例えば指先でつまんでガイド筒部材21から引き出す場合を考える。このとき、引き出し途中において、スライド部材22の拡径部22aが、ガイド筒部材21の内向きストッパ部21eを乗り越え、このときにクリック感が付与される。この内向きストッパ部21eを乗り越えた直後に、拡径部22aが縮径部21b(によって形成される段差部21d)に当接して、それ以上の引き出しが規制されることになる。この規制状態が図11に示され、この状態でスライド部材22をガイド筒部材21内に挿入しようとしたときは、拡径部22aの先端が内向きストッパ部22eに当接して、図11の状態(図11の状態に対応した図3図9の状態)が維持される。このように、スライド部材22は、外側ストッパ部としての縮径部21b(段差部21d)と内側ストッパ部としての内向きストッパ部21fとの間にほぼがたつきなく位置されて、これ以上の引き出しや挿入が規制されるようになっている。
【0042】
図12図14は、冷菓用スティックの変形例を示すもので、前記実施形態と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する(このことは以下のさらに別の変形例においても同じ)。本例における冷菓用スティック20B(20対応)では、スライド部材22の基端部に、丸みを有する拡径部22bを形成してある。この拡径部22bを有することにより、縮長状態にあるスティック20を伸長状態とする際に、拡径部22bに指先の一部が引っかかるようにして行うことにより、スライド部材22を把持する手指が滑ることなく、スライド部材22をガイド筒部材21から引き出す作業が容易となる。また、スライド部材22を十分に引き出し後の伸長状態では、拡径部22bに指先が引っかかることで、スライド部材22が手指からあやまってすり抜けてしまうような事態を防止する上でも好ましいものとなる。
【0043】
図15は、冷菓用スティックのさらに別の変形例を示すものである。すなわち、本例におけるスティック20C(20、20B対応)では、ガイド筒部材21の外周面に、ガイド筒部材21を取り巻くようにして、螺旋状の突状部21fを形成してある。この突状部21は、ガイド筒部材21を螺旋状に径方向外方側に膨出させることにより行うことができる。また、螺旋状の突状部21fは、ガイド筒部材21の外周に、別部材からなる紐状部材を巻き付け、一体化することにより形成することもできる。本例の場合、ガイド筒部材21と冷菓10との結合を高める上で好ましいものとなる。
【0044】
図16は、冷菓用スティックのさらに別の変形例を示すものである。すなわち、本例における冷菓用スティック20Dは、図5に示すものに対して、そのガイド筒部材21の外表面(側面)に、軸方向に伸びる直線状(略直線状を含む)の溝21gを形成したものとなっている。溝21gの形成により、冷菓10が溝21g内に入り込んで、冷菓10のガイド筒部材21に対する回り止めや、ガイド筒部材21からの落下防止の上で好ましいものとなる。
【0045】
上記溝21gの長さは、例えばガイド筒部材21の長さの1/3程度とすることができるが、ガイド筒部材21のほぼ全長に渡って形成する等、その長さは適宜選択できる。溝21gは、ガイド筒部材21の径方向内方側に向けて膨出させることにより形成されているが、その深さは、スライド部材22の摺動を妨げない範囲でもって深く形成するのが好ましい。このような溝21gは、1本のみ形成してもよいが、周方向に間隔をあけて複数本形成することもできる。
【0046】
図17は、冷菓用スティックのさらに別の変形例を示すものである。すなわち、本例における冷菓用スティック20Eは、図12に示すものに対して、そのガイド筒部材21の外表面(側面)に、軸方向に伸びる直線状(略直線状を含む)の溝21gを形成したものとなっている。この溝21gを形成した意味合いは、図16の場合と同様である。なお、図16図17の場合共に、ガイド筒部材21に対して、溝21gに代えてあるいは加えて、直線状(略直線状を含む)の凸部(突状)を形成することもできる。
【0047】
ここで、ガイド筒部材21と冷菓10との結合を高めるために、ガイド筒部材21の外周面を、全体的に微細な凹凸を有する態様(ざらつきを有する態様)とすることができる。具体的には、ガイド筒部材21を構成する合成樹脂に、例えばタルクを10〜20重量%、あるいは商品名スムースマスター(株式会社大日精化製)を3〜5重量%混入して、ガイド筒部材21を成型することにより、上記微細な凹凸が形成される。このような微細な凹凸(ざらつき−梨地感)は、スライド部材22の外表面においても形成することができ、この場合は、スライド部材22の滑り防止(手指による確実な把持)の上で好ましいものとなる。なお、ガイド筒部材21やスライド部材22の外表面が微細な凹凸(ざらつき)を有するようにするには、上記の他、例えば、米粉とポリプロピレン(PP)とを混合させたバイオマス材料を用いたり、後加工によって微細な凹凸を施す等、適宜の手法でなし得る。
【0048】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。スライド部材22を、筒状でなく、中実の部材として形成してもよい。冷菓10の形状や種類は適宜変更、選択できる。ガイド筒部材21は、円筒状に限らず、例えば4角形の角筒状等、適宜の断面形状の筒形状とすることができる(スライド部材22の断面外周形状は、ガイド筒部材21の断面内周形状に合わせて選択)。冷菓用スティック20(20B、20C)の色、特にスライド部材22の色を、冷菓10の色に応じて適宜変更して、色の組み合わせによるファッション性を高めたものとすることもできる(例えばスライド部材22を、所望の色に応じた着色剤(MB)を混入して成形する)。ガイド筒部材21の先端部を閉じるのに、別途線部材を利用して閉じるようにしてもよい。筒状とされたスライド部材22の基端部をシール状態で閉じるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、スティック付冷菓の分野において適用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0050】
1:スティック付冷菓
10:冷菓
20:スティック
21:ガイド筒部材
21a:先端部
21b:縮径部(外側ストッパ部)
21c:大径部
21d:段差部
21e:内向きストッパ部(内側ストッパ部)
21f:螺旋状の突状部
21g:溝
22:スライド部材
22a:拡径部(拡大部)
22b:拡径部(拡大部)
22c:徐々なる縮径部(徐々なる拡径部)
30:包装紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17