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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-29560(P2017-29560A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】副葬用装飾品
(51)【国際特許分類】
   A61G 17/04 20060101AFI20170120BHJP
【FI】
   A61G17/04 N
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-154804(P2015-154804)
(22)【出願日】2015年8月5日
(11)【特許番号】特許第5970733号(P5970733)
(45)【特許公報発行日】2016年8月17日
(71)【出願人】
【識別番号】511151318
【氏名又は名称】有限会社黒田デザイン事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100154782
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 知二
(72)【発明者】
【氏名】黒田 篤
(72)【発明者】
【氏名】山田 りく
(57)【要約】      (修正有)
【課題】火葬前の遺体を容易且つ美麗に装飾することを可能とする、副葬用装飾品を提供する。
【解決手段】火葬の対象物である遺体30に固定されて遺体を装飾する、易燃性材料又は可燃性材料により作成されてなる副葬用装飾品1。載置された状態の対象物の目視可能な部分を装飾する装飾面を有する装飾本体部と、装飾本体部を対象物に固定する固定本体部21とを備え、装飾本体部は、載置された状態の対象物の、目視可能な部分にて対象物に固定されている、副葬用装飾品。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火葬の対象物に固定されて前記対象物を装飾する、易燃性材料又は可燃性材料により形成された副葬用装飾品。
【請求項2】
載置された状態の前記対象物の目視可能な部分を装飾する装飾面を有する装飾本体部と、
前記装飾本体部を前記対象物に固定する固定部とを備え、
前記装飾本体部は、載置された状態の前記対象物の、目視可能な部分にて前記対象物に固定されている、
請求項1に記載の副葬用装飾品。
【請求項3】
前記装飾本体部は、
少なくとも前記固定部が、
載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分に係合、係止、嵌合若しくは嵌着する、
又は前記対象物の前記目視可能な部分を挟持する
ことにより、前記対象物に固定されている、
請求項2に記載の副葬用装飾品。
【請求項4】
前記装飾本体部は、
少なくとも前記固定部が、載置された状態の前記対象物の前記部分に接着又は粘着することにより、前記対象物に固定されている、
請求項2又は3に記載の副葬用装飾品。
【請求項5】
前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、装着時に環状の形状を有する装飾品の、前記環状の形状の一部を模した弧状の外形を有する、
請求項2から4のいずれかに記載の副葬用装飾品。
【請求項6】
前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分に接触する接触面を有し、
前記接触面は、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分の外形に対応した形状を有する、
請求項2から5のいずれかに記載の副葬用装飾品。
【請求項7】
前記対象物は人の遺体であって、
前記遺体にかかる前記人が生前に着用を希望した身飾品を模した形状を有する、
請求項1から6のいずれかに記載の副葬用装飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間や愛玩動物等の火葬の際に当該火葬前の遺体、遺骸を装飾するのに用いられる副葬用装飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
亡くなった人の葬儀は我が国の国内法においては火葬で行う事が定められており、その際、故人の遺体と共に納棺され、火葬される副葬品が存在する。副葬品の例としては、眼鏡、ゴルフクラブ等の故人の愛用品、ゆかりの物品等が挙げられる。
【0003】
一方、近年では焼却にともなうダイオキシン等の有害ガスの発生が環境に与える影響や、焼却炉への負担を軽減する目的から、副葬品の種別は制限されており、例えば金属、ガラスを材料として含む物品を副葬品として遺体とともに納棺することは禁じられるようになってきている。
【0004】
このような事情に鑑みて、例えば特許文献1においては、可燃性材料としての生分解性熱可塑樹脂により眼鏡やゴルフクラブといった故人の愛用品を模した代用品を、副葬品として作成する技術が開示されている。かかる特許文献1の技術によれば、焼却されても有害ガスの発生も無く、また、遺体に損傷を与えることもなく、遺族にとっても、安心して故人を送る事が出来るとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−116734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のような従来の副葬品においては、以下のような課題があった。すなわち、近年、生活スタイルの多様化に伴い、葬儀においても、遺族又は故人の遺志に基づく演出が重要視されるようになり、遺体に一般的な白装束を着用させることのみならず、故人の愛用着等を着用させることも一般化してきている。とりわけ女性の場合は、生前から衣類の他にネックレスや指輪等の身飾品を常用することは珍しくなく、死後においても遺体をそのような身飾品によって装飾したいという要請があることを、本発明者は見いだした。
【0007】
これに対し、上記従来の技術における副葬品は、単に遺体に隣接して納棺される物品に止まり、故人の遺志又は遺族の意思を反映して遺体を装飾するには充分とは言えなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、火葬前の遺体を容易且つ美麗に装飾することが可能な副葬用装飾品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、火葬の対象物に固定されて前記対象物を装飾する、易燃性材料又は可燃性材料により形成された副葬用装飾品である。
【0010】
本発明の第2の側面は、載置された状態の前記対象物の目視可能な部分を装飾する装飾面を有する装飾本体部と、前記装飾本体部を前記対象物に固定する固定部とを備え、前記装飾本体部は、載置された状態の前記対象物の、目視可能な部分にて前記対象物に固定されている、本発明の第1の側面の副葬用装飾品である。
【0011】
本発明の第3の側面は、前記装飾本体部は、少なくとも前記固定部が、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分に係合、係止、嵌合若しくは嵌着する、又は前記対象物の前記目視可能な部分を挟持することにより、前記対象物に固定されている、本発明の第2の側面の副葬用装飾品である。
【0012】
本発明の第4の側面は、前記装飾本体部は、少なくとも前記固定部が、載置された状態の前記対象物の前記部分に接着又は粘着することにより、前記対象物に固定されている、本発明の第2又は第3の側面の副葬用装飾品である。
【0013】
本発明の第5の側面は、前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、装着時に環状の形状を有する装飾品の、前記環状の形状の一部を模した弧状の外形を有する、本発明の第2から第4のいずれかの側面の副葬用装飾品である。
【0014】
本発明の第6の側面は、前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分に接触する接触面を有し、前記接触面は、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分の外形に対応した形状を有する、本発明の第2から第5のいずれかの側面の副葬用装飾品である。
【0015】
本発明の第7の側面は、前記対象物は人の遺体であって、前記遺体にかかる前記人が生前に着用を希望した身飾品を模した形状を有する、本発明の第1から第6のいずれかの側面の副葬用装飾品である。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明は、火葬前の遺体を容易且つ美麗に装飾することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品の構成を示す正面図
図2】本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品の構成を示す底面図
図3】本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品の構成を示す側面図
図4】(a)図1のA−A断面図(b)図1のB−B断面図
図5】本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品による遺体の装飾状態を示す正面図
図6】本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品による遺体の装飾状態を示す背面図
図7】本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品による遺体の装飾状態を説明するための模式的平面図
図8】本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品による遺体の装飾状態を説明するための模式的側面図
図9】本発明の他の実施の形態に係る副葬用装飾品の構成を示す正面図
図10】(a)本発明の他の実施の形態に係る副葬用装飾品の要部の構成を示す側面図(b)本発明の他の実施の形態に係る副葬用装飾品の要部の構成を示す背面図
図11】本発明の他の実施の形態に係る副葬用装飾品による遺体の装飾状態を示す底面図
図12】本発明の他の実施の形態に係る副葬用装飾品の装飾状態を示す斜視図
図13】(a)本発明の他の実施の形態に係る副葬用装飾品の構成例を示す図(b)本発明の他の実施の形態に係る副葬用装飾品の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る、ペンダントを模した副葬用装飾品の構成を示す正面図であり、図2は正面図であり、図3は側面図である。なお、各図を定義する方向は図中に示すX軸、Y軸、Z軸に基づき、図2図1のY軸方向に沿った方向から見た図であり、図3図1のX軸方向に沿った方向からみた図である。また、X−Y平面は、副葬用装飾品により装飾される、後述する遺体の正面及び背面に対応し、X−Z平面は、遺体の上面(平面)に対応し、Y−Z平面は、遺体の側面に対応する。
【0020】
図1〜3に示すように、副葬用装飾品1は、ビジュー部10と、ビジュー部10の両端にそれぞれ設けられた固定部20とを主要な構成として備える。
【0021】
ビジュー部10は、ペンダントのペンダントトップ部分を模して作成された部材であって、図2及び3に示すように、外部に露出する装飾面11と、装飾面11の裏面であって遺体に接触する接触面12とを備える。
【0022】
更に、ビジュー部10は、図4(a)の、図1のA−A断面図及び図4(b)の、図1のB−B断面図に示すように、装飾面11及び接触面12が、インジェクション成形又は削りだし等の周知の技術的手段により一体成形されてなる基材の表面の起伏として形成される。装飾面11は、ペンダントトップにおける宝飾品の本体部分である宝石等に対応した色彩で着色され、通常のペンダントトップと類似した外観を有する。ただし、ビジュー部10は装飾面11及び/又は接触面12を複数の部品を組み合わせることにより形成される構成としてもよい。
【0023】
固定部20は、副葬用装飾品1の模造元であるペンダントのチェーン部分の、着用時に形成される外形L1の一部を切り出した外形を模して作成された部材であって、遺体の胸部にビジュー部10を位置決め固定させる手段である。固定部20は可撓性を有さない紐状の外形を有し、これにより定型性を保持した状態で遺体上の所定位置に固定される。
【0024】
更に、固定部20は、図2及び3に示すように、ビジュー部10からX−Y平面、X−Z平面及びY−Z平面内をそれぞれ湾曲した固定本体部21と、固定本体部21から屈曲して互いにZ軸に平行に延出する係止端部22とを備える。固定部20も、ビジュー部10の装飾面11と同様、通常のペンダントチェーンの材質に対応した色彩で着色され、これと類似した外観を有する。更に、固定部20は図中には紐状の外形を有するものとして示したが、革紐、チェーン、ワイヤー等の任意の外形及びディテールを模したものとすることができる。
【0025】
なお、ビジュー部10及び固定部20はいずれも易燃性材料又は可燃性材料により作成され、具体例としては、木材、布、糸、蝋、粘土、MAPKA(登録商標)、ラクティ(登録商標)等の生分解性樹脂その他、有色又は無色透明の材料を用いることができる。また、装飾面11の彩色においては、水彩絵具、アクリル絵具等の環境負荷が小さい材料を用いることが好ましい。要するに、副葬用装飾品1は、火葬場にて副葬品として納棺することができる物品に用いられる易燃性材料又は可燃性材料であれば、形成の具体的な手法にかかわらず、任意の材料を用いて形成することができる。
【0026】
以上の構成において、副葬用装飾品1は本発明の副葬用装飾品1に相当し、ビジュー部10は本発明の装飾本体部に相当し、固定部20は、本発明の固定部に相当する。
【0027】
このような構成を有する本実施の形態の副葬用装飾品1は、ビジュー部10及び固定部20が、遺体の表面形状に対応するとともに当該遺体に表面から容易に装着させて固定することが可能な形状を備えたことを特徴とする。
【0028】
以下、図5及び図6を更に参照して、更に説明を行う。ただし、図5は、図1に対応して図中X−Y平面に平行をなす棺内又は寝台等の載置面に載置された遺体に装着された副葬用装飾品1を示す正面図であり、図6は載置面を透視して示した背面図である。
【0029】
図5に示すように、載置面上に仰向けに載置された遺体30は、通常白装束等の衣類(図示省略)を着用していることにより肩部33の一部、胴部34及び胸部35並びに背部36が覆われ、外部からは目視不可能な状態に置かれる。一方、副葬用装飾品1は、図中直線Xにより衣類と区画され外部に露出して目視可能な領域である、頸部32、及び肩部33の一部を含む露出領域30x内にて遺体表面に固定される。
【0030】
このとき、副葬用装飾品1の固定部20は、露出領域30xの前面において固定本体部21のみが目視可能な状態となり、一対の係止端部22は遺体30の肩部33上にてZ軸方向、すなわち図中X−Y平面に直行する向きに一致して、図6に示すように、遺体30の背面において、遺体30の頸部32を挟んで先端が載置面に正対するように配置される。
【0031】
換言すれば、固定部20における固定本体部21の湾曲の態様は、遺体30の前面において衣類から露出した体表部分の形状に対応している。また、係止端部22の屈曲の態様は、遺体30の前面と背面とを結ぶ、載置面の垂線に対応している。
【0032】
更に、固定部20における固定本体部21と係止端部22との境界は、遺体30の、頸部32を間に挟んだ一対の肩部33上を通過する、図1中の基準線S1に基づくよう定められる。
【0033】
更に、ビジュー部10の、遺体30の体表に正対する接触面12も固定本体部21と同様、体表部分に対応した形状を有し、胸部35の間に面接触する。
【0034】
以上のような構成を有することにより、副葬用装飾品1は、ビジュー部10及び固定部20が一体として遺体30の体表部分に形状良く追従した状態で配置されるとともに、固定部20の係止端部22が遺体30の肩部33に係止されることにより遺体30に固定される。これにより、遺体30の移動や棺搬送等に際しても位置ずれを生ずることなく、通常のペンダントが人体を装飾するのと同様にして遺体30を美麗に装飾することが可能となっている。
【0035】
更に、本実施の形態の副葬用装飾品1は、遺体30への装着、固定を容易に行うことができることを特徴とする。すなわち、図1に示すように、固定部20の平面形状は副葬用装飾品1の模造元であるペンダントチェーンの外形L1の一部を切り出すことにより定められるととともに、図2に示すように、遺体30の前後方向に沿って平行に延出する一対の係止端部22を備えたことにより、遺体30の前面に対して開放された弧状の外形を有する。
【0036】
これにより、副葬用装飾品1の遺体30への装着は、図7の平面図及び図8の側面図にそれぞれ模式的に示すように、一対の係止端部22を遺体30の頸部32を挟むように配置して、図中矢印Dに示すように遺体30の前後方向に沿って挿入させることのみにより行われる。
【0037】
すなわち、通常のペンダントの着用は、可撓性を有するペンダントチェーンをプレートと引き輪との組合せにより首の後ろ側(背面)にて脱着自在に結合することによるところ、遺体30に対してペンダントを着用させるためには、とりわけ既に棺内に載置された遺体30を対象とする場合は、遺体30の前面から背面に手をまわして操作を行う、チェーンを頸部32の周囲に引き回す、等の作業が必要となる。
【0038】
しかしながら、当該作業は遺体30の頭部31、頸部32等を移動させる操作を伴うものであって、遺体の損傷、汚損等を招く恐れが大きく、実際には実行不可能な作業と言える。
【0039】
これに対し、本実施の形態の副葬用装飾品1は、載置面S2に載置した状態の遺体30に対し、頭部31その他の各部を一切動かすことなく装着させることができ、損傷、汚損等の恐れを生じさせることなく容易に遺体30を装飾することが可能となる。
【0040】
更に、副葬用装飾品1は、衣類を着用させた後の遺体30における露出領域30x内を固定箇所としているため、衣類の着用時期の前後を問わず装着させることができる。したがって、通夜時や出棺前等の任意のタイミングで遺体30を装飾することが可能となり、特に、故人に希望がない場合等における、遺族の自発的意思を反映させた演出を補助することができる。
【0041】
なお、図2に示す、固定部20における一対の係止端部22の間隔Wは、故人の生前の肩部33の寸法より大きく又は小さくとることが好ましい。これは、遺体30が長期間の載置状態にあって身体が死後硬直、弛緩等の原因により図中X方向に沿って変形している状態にあることに鑑みて、頸部32や肩部33との干渉を防ぎ、装着をより容易せしめる効果を奏する。
【0042】
また、上記の説明においては、副葬用装飾品1は、可撓性を有さない紐状の外形を有する固定部20を備えた構成としたが、本発明は、可撓性を有する部材を用いて遺体30に固定される構成を有するものとしてもよい。
【0043】
図9に示す本実施の形態の副葬用装飾品2は、副葬用装飾品1と同一のビジュー部10及び一対の模擬チェーン23を備える。模擬チェーン23は、本発明の固定部に相当し、固定部20同様、可燃性材料により作成され、副葬用装飾品1の模造元であるペンダントのチェーン部分の、着用時に形成される外形L1の一部を切り出した外形を模して作成された鎖状の部材である。模擬チェーン23は、端部が遺体30の、頸部32を間に挟んだ一対の肩部33上を通過する基準線S1を僅かに越える程度の全長を有し、当該端部には装着部24が設けられる。
【0044】
装着部24は、ビジュー部10と同様の可燃性材料により作成され、図10(a)及び(b)に示すように、粘着剤が塗布された平面である粘着面24aを有する。
【0045】
このような構成を備えた副葬用装飾品2は、図11の背面図に示すように、遺体30の背面側の露出領域30yにおいて肩部33に装着部24の粘着面24aを貼り付けることにより、遺体30に固定される。模擬チェーン23は通常のペンダントのチェーン部分と同様、自在に変形することにより遺体30の体表の形状に追従して美感が整えられる。さらに、装着部24の粘着面24aの貼り付け固定により、副葬用装飾品2は位置ずれすることなく遺体30に固定される。なお、ビジュー部10の接触面12にも粘着材を設けて、ビジュー部10も遺体30に貼り付け固定するようにしてもよく、更に位置ずれを起こしにくく、遺体30を美麗に装飾できる。
【0046】
更に、模擬チェーン23による固定は、遺体30において外部から目視可能な露出領域30x及び30y上において、肩部33越しの操作により行うことができ、頸部32と干渉することなく、遺体の損傷、汚損等を防いで安全且つ簡易に行うことができる。
【0047】
以上のように、本発明の実施の形態に係る副葬用装飾品1又は2によれば、ビジュー部10及び固定部20又は模擬チェーン23が、当該遺体に表面から容易に装着させて固定することが可能な形状を備えたことにより、火葬前の遺体を容易且つ美麗に装飾することが可能となるという効果を奏する。ひいては、故人の遺志又は遺族の意思を反映して遺体を容易且つ美麗に装飾することを通して葬儀の演出効果を高めることができ、いわゆる「終活」への意識を高めることが可能となる。
【0048】
しかしながら、本発明は上記の実施の形態により限定されるものではない。
【0049】
上記の説明においては、副葬用装飾品1及び2は、いずれもペンダントを模した形態を有するものとしたが、本発明の副葬用装飾品は、固定されることにより遺体を装飾するものであれば、任意の身飾品、装飾品を模した形態を有するものであってよい。
【0050】
以下、本発明の他の実施の形態として、図12に、遺体30の手の指37に装着、固定された、指輪を模した副葬用装飾品3と、手首38に装着、固定された、腕時計を模した副葬用装飾品4とを示す。
【0051】
副葬用装飾品3は、図13(a)の、指37の延伸方向に直交する断面図に示すように、指輪の石座を模した形状の石座部300と、石座部300が接合されるとともに指37に装着、固定される、指輪のアームを模したアーム部301とを備える。ただし、アーム部301は、通常の指輪のアームの輪郭の一部形状のみを模した弧状の外形を有し、石座部300を直接固定するアーム本体301aと、アーム本体301aの端部であって、指37の長径に対応する基準線S3より下方に延出する嵌合端301bとを備える。
【0052】
かかる副葬用装飾品3においては、石座部300の表面が、副葬用装飾品1のビジュー部10と同様、通常の指輪の石座同様の形状、彩色を施された装飾面302を形成するとともに、アーム部301の内周面303が、接触面12と同様の接触面として構成される。これにより、図中矢印D方向に沿った、指37の表面側からの挿入操作により、遺体30の各部を一切動かすことなくアーム部301を容易に装着、固定させて、遺体30を美麗に装飾することが可能となる。なお、石座部300は本発明の装飾本体部に相当し、アーム部301は本発明の固定部に相当する。
【0053】
また、副葬用装飾品4は、図13(b)の、手首38の延伸方向に直交する断面図に示すように、腕時計のケースを模した形状のケース部400と、ケース部400に接合されるとともに手首38に装着、固定される、腕時計のバンドを模したバンド部401とを備える。ただし、バンド部401は、通常の時計のバンドの輪郭の一部形状のみを模した弧状の外形を有し、ケース部400に固定されるバンド本体401aと、バンド本体401aの端部であって、手首38の長径に対応する基準線S4より下方に延出する嵌合端401bとを備える。
【0054】
かかる副葬用装飾品4も、副葬用装飾品4と同様、ケース部400の表面が、通常の時計の文字盤、ベゼル等の装飾に対応した形状、彩色を施された装飾面402を形成するとともに、ケース部400の裏面403及びバンド部401の内周側が、接触面12と同様の接触面として構成される。これにより、図中矢印D方向に沿った、手首38の表面側からの挿入操作により、遺体30の各部を一切動かすことなく容易に装着、固定させて、遺体30を美麗に装飾することが可能となる。なお、ケース部400は本発明の装飾本体部に相当し、バンド部401は本発明の固定部に相当する。
【0055】
なお、副葬用装飾品3及び4におけるアーム部301の嵌合端301b及びバンド部401の嵌合端401bは、遺体30の、生前の形状からの変形に追従して、指37又は手首38にアーム部301又はバンド部401を嵌合させて位置ずれを防ぐものであるが、省略してアーム本体301a及びバンド本体401aのみからなる構成としてもよい。また、アーム部301の内周面303、ケース部400の裏面403、バンド部401の内周側が、遺体30の表面に粘着することにより固定される構成としてもよい。
【0056】
更に、本発明の副葬用装飾品としては、このほか、ネックレス、イヤリング、ピアス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ティアラ等のヘアアクセサリーその他身飾品に適用することができる。さらに、眼鏡、サングラス、かつら、ウィッグ等、更にはウェストバッグ等の身体に固定して用いられる任意の物品に適用するようにしてもよい。
【0057】
なお、これらの身飾品等において本発明を実施する場合、副葬用装飾品1〜4のように、本発明の装飾本体部と固定部とが分離した構成であってもよいし、ネックレスやブローチ等の場合のように、装飾本体部と固定部とが一体化して看取される態様として、遺体に固定される構成であるとしてもよい。また、上記の説明においては、本発明の装飾本体部としてのビジュー部10は遺体30の表面に接触面12を介して接触するものとしたが、固定部により固定されていれば、装飾本体部は遺体の表面から離隔して配置されるものであってもよい。
【0058】
要するに、本発明の副葬用装飾品は、遺体に固定されることによりこれを装飾する機能を有するものであれば、装飾の模倣対象物となる物品の具体的な構成や目的に限定されるものではない。また、遺体30に係る故人が生前愛用していた身飾品を模したものとしてもよいし、遺体30に係る故人に縁のある者の希望による身飾品を模したものとしてもよい。
【0059】
更には、遺体30に係る故人が、葬儀において参列者に見られることを考慮する等の事情に基づき、生前は使用していないが死後においてのみ使用することを意識した身飾品を模したものとしてもよい。これにより、特に「終活」に特化したアクセサリーとして本発明を用いることができ、ひいては、そのような意識を醸成することで死への恐怖を軽減させる効果を奏する。
【0060】
また、上記の説明においては、副葬用装飾品1は、固定部20の肩部33への挿入により係止端部22が肩部33に係止されることで遺体30に固定されるものとしたが、本発明は、対象物としての遺体に固定されていればよく、固定部の構成は係止のほか、遺体の体表に係合する突起、鈎等として実現するものであってもよい。これは特に副葬用装飾品をヘアアクセサリーとして実現した場合の、遺体30の頭部31における装着、固定に好適である。更に、本発明の固定部は、遺体を挟持することにより固定する構成としてもよく、例えば副葬用装飾品1において係止端部22又は固定本体部21が頸部32を挟持する構成であるとしてもよい。
【0061】
また、上記の説明においては、固定部20は、副葬用装飾品の模造対象物としてのペンダント等の身飾品の一部形状のみを模した弧状の外形を有するものとしたが、本発明の固定部は、遺体の体表に嵌合又は嵌着することにより固定する構成であってもよい。したがって、身飾品や装飾品の全部の形状を模した環状の外形を有するようにしてもよい。
【0062】
更に、固定部20は、図9の副葬用装飾品2の装着部24同様、粘着することにより遺体30に固定される構成としてもよい。また、粘着剤による粘着の他、接着剤による接着にて固定する構成としてもよい。
【0063】
更に、上記の説明においては、副葬用装飾品1等は、遺体30の、衣類にて覆われていない体表に固定されるものとして説明を行ったが、本発明の火葬の対象物は、副葬用装飾品が固定出来ればよく、当該対象物の表面状態によって限定されるものではない。したがって、本発明の副葬用装飾品は、遺体が着用する衣類の上から当該遺体に固定される構成であるとしてもよい。ただし、載置された遺体において目視可能な部分を対象とすることは、遺体の損傷や汚損等の恐れを低減することができ、より好適である。
【0064】
更に、上記の説明においては、遺体30として、人体を例に説明を行ったが、本発明は火葬の対象物に固定されてこれを装飾するものであればよい。したがって、本発明の対象物は、人間の他、犬、猫等の愛玩動物が含まれるようにしてもよく、特に所謂ペットロスの負担を低減する効果を奏する。
【0065】
要するに、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内であれば、以上説明したものを含め、上記実施の形態に種々の変更を加えたものとして実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のような本発明は、火葬前の遺体を容易且つ美麗に装飾することが可能になるというという効果を奏し、例えば終活といった生前の葬儀等の備えにおいて有用である。
【符号の説明】
【0067】
1、2、3、4 副葬用装飾品
10 ビジュー部
11、302、402 装飾面
12 接触面
20 固定部
21 固定本体部
22 係止端部
23 模擬チェーン
24 装着部
24a 粘着面
30 遺体
30x、30y 露出領域
31 頭部
32 頸部
33 肩部
34 胴部
35 胸部
36 背部
37 指
38 手首
300 石座部
301 アーム部
301a アーム本体
301b、401b 嵌合端
303 内周面
400 ケース部
401 バンド部
401a バンド本体
403 裏面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2016年1月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火葬の対象物に固定されて前記対象物を装飾する、易燃性材料又は可燃性材料により形成された副葬用装飾品であって、
載置された状態の前記対象物の目視可能な部分を装飾する装飾面を有する装飾本体部と、
前記装飾本体部を、前記対象物の載置面に略直交する向きからの装着により前記対象物に固定する固定部とを備え、
少なくとも前記装飾本体部に、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分の外形に対応した形状を保持して接触する接触面が形成されている、
副葬用装飾品。
【請求項2】
前記装飾本体部は、
少なくとも前記固定部が、
載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分に係合、係止、嵌合若しくは嵌着する、
又は前記対象物の前記目視可能な部分を挟持する
ことにより、前記対象物に固定されている、
請求項に記載の副葬用装飾品。
【請求項3】
前記装飾本体部は、
少なくとも前記固定部が、載置された状態の前記対象物の前記部分に接着又は粘着することにより、前記対象物に固定されている、
請求項又はに記載の副葬用装飾品。
【請求項4】
前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、装着時に環状の形状を有
する装飾品の、前記環状の形状の一部を模した弧状の外形を有する、
請求項からのいずれかに記載の副葬用装飾品。
【請求項5】
前記対象物は人の遺体であって、
前記遺体にかかる前記人が生前に着用を希望した身飾品を模した形状を有する、
請求項1からのいずれかに記載の副葬用装飾品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、火葬の対象物に固定されて前記対象物を装飾する、易燃性材料又は可燃性材料により形成された副葬用装飾品であって、載置された状態の前記対象物の目視可能な部分を装飾する装飾面を有する装飾本体部と、前記装飾本体部を、前記対象物の載置面に略直交する向きからの装着により前記対象物に固定する固定部とを備え、少なくとも前記装飾本体部に、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分の外形に対応した形状を保持して接触する接触面が形成されている、副葬用装飾品である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の第の側面は、前記装飾本体部は、少なくとも前記固定部が、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分に係合、係止、嵌合若しくは嵌着する、又は前記対象物の前記目視可能な部分を挟持することにより、前記対象物に固定されている、本発明の第の側面の副葬用装飾品である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の第の側面は、前記装飾本体部は、少なくとも前記固定部が、載置された状態の前記対象物の前記部分に接着又は粘着することにより、前記対象物に固定されている、本発明の第又は第の側面の副葬用装飾品である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の第の側面は、前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、装着時に環状の形状を有する装飾品の、前記環状の形状の一部を模した弧状の外形を有する、本発明の第から第のいずれかの側面の副葬用装飾品である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明の第の側面は、前記対象物は人の遺体であって、前記遺体にかかる前記人が生前に着用を希望した身飾品を模した形状を有する、本発明の第1から第のいずれかの側面の副葬用装飾品である。
【手続補正書】
【提出日】2016年5月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火葬の対象物に固定されて前記対象物を装飾する、易燃性材料又は可燃性材料により形成されるとともに、遺体にかかる人又は愛玩動物に関する、定型性を有さない部品を含む物品を模した形状を有する副葬用装飾品であって、
載置された状態の前記対象物の目視可能な部分を装飾する装飾面を有する装飾本体部と、
前記装飾本体部を、前記対象物の載置面に略直交する向きからの装着により前記対象物に固定する固定部とを備え、
前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、前記物品の定型性を有さない部品に対応する部分が定型性を有しており、
少なくとも前記装飾本体部に、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分の外形に対応した形状を保持して接触する接触面が形成されている、
副葬用装飾品。
【請求項2】
前記装飾本体部は、
少なくとも前記固定部が、
載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分に係合、係止、嵌合若しくは嵌着する、
又は前記対象物の前記目視可能な部分を挟持する
ことにより、前記対象物に固定されている、
請求項1に記載の副葬用装飾品。
【請求項3】
前記装飾本体部は、
少なくとも前記固定部が、載置された状態の前記対象物の前記部分に接着又は粘着することにより、前記対象物に固定されている、
請求項1又は2に記載の副葬用装飾品。
【請求項4】
前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、装着時に環状の形状を有する装飾品の、前記環状の形状の一部を模した弧状の外形を有する、
請求項1から3のいずれかに記載の副葬用装飾品。
【請求項5】
前記対象物は人の遺体であって、
前記遺体にかかる前記人が生前に着用を希望した身飾品を模した形状を有する、
請求項1から4のいずれかに記載の副葬用装飾品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、火葬の対象物に固定されて前記対象物を装飾する、易燃性材料又は可燃性材料により形成されるとともに、遺体にかかる人又は愛玩動物に関する、定型性を有さない部品を含む物品を模した形状を有する副葬用装飾品であって、載置された状態の前記対象物の目視可能な部分を装飾する装飾面を有する装飾本体部と、前記装飾本体部を、前記対象物の載置面に略直交する向きからの装着により前記対象物に固定する固定部とを備え、前記装飾本体部及び前記固定部の少なくともいずれか一方は、前記物品の定型性を有さない部品に対応する部分が定型性を有しており、少なくとも前記装飾本体部に、載置された状態の前記対象物の前記目視可能な部分の外形に対応した形状を保持して接触する接触面が形成されている、副葬用装飾品である。