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  • 特開2017029975-被覆されたPTFE膜 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-29975(P2017-29975A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】被覆されたPTFE膜
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20170120BHJP
   B01D 71/36 20060101ALI20170120BHJP
   B01D 71/32 20060101ALI20170120BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20170120BHJP
【FI】
   C02F1/44 D
   B01D71/36
   B01D71/32
   B01D69/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-98053(P2016-98053)
(22)【出願日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】14/814,996
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】アマルナート シング
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ティー. シッタラー
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA41
4D006HA01
4D006HA21
4D006HA41
4D006HA61
4D006HA71
4D006JA25A
4D006JA25C
4D006MA01
4D006MA02
4D006MA03
4D006MA21
4D006MA31
4D006MB20
4D006MC28X
4D006MC30X
4D006NA46
4D006NA63
4D006PA01
4D006PB02
4D006PB09
4D006PB12
4D006PB52
4D006PB55
4D006PB70
4D006PC01
4D006PC02
4D006PC11
4D006PC41
4D006PC80
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低い流れ抵抗をもちながら、金属捕捉又は金属除去効率を示すことができる多孔質PTFE膜の提供。
【解決手段】ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含み、少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有する、多孔質PTFE膜。エレクトロニクス産業で使用される流体である硫酸過酸水素水混合物(SPM)流体を前記多孔質PTFE膜を用いてろ過し、第2族金属及び/又は遷移金属を除去する方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を含有する流体をろ過する方法であって、前記方法がペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含む多孔質PTFE膜に金属を含有する流体を通過させるステップを含み、前記膜が少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有し、前記流体から金属を除去する、方法。
【請求項2】
硫酸過酸化水素水混合物(SPM)流体をろ過する方法であって、前記方法がペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含む多孔質PTFE膜に前記流体を通過させるステップを含み、前記膜が少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有し、前記流体から粒子を除去する、方法。
【請求項3】
前記流体がエレクトロニクス産業で使用される流体である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記流体から第2族金属及び/又は遷移金属を除去するステップを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含み、少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有する多孔質PTFE膜。
【請求項6】
ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含むコーティングで多孔質PTFE基材を被覆するステップ;及び前記コーティングを約200℃未満の温度で硬化させるステップを含む、金属を除去する膜を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[0001]PTFE膜、特に延伸PTFE(ePTFE)膜は、腐食性又は化学的に活性な液体などの浸漬・負荷流体の処理を含む用途を含めて種々の液体及び気体のろ過用途で使用される。しかし、低い流れ抵抗をもちながら、金属捕捉又は金属除去効率を示すことができる多孔質PTFE膜に対するニーズがある。
【0002】
[0002]本発明のこれら及びその他の利点は以下の説明から明らかとなろう。
【0003】
[発明の簡単な概要]
[0003]本発明の実施形態は、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含み、少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有する、多孔質PTFE膜を提供する。
【0004】
[0004]別の実施形態においては、金属を含有する流体をろ過する方法が提供され、上記方法はペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含む多孔質PTFE膜に金属を含有する流体を通過させるステップを含み、上記膜は少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有し、流体から金属を除去する。
【0005】
[0005]別の実施形態においては、硫酸過水素水混合物(SPM)流体をろ過する方法が提供され、上記方法はペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含む多孔質PTFE膜に流体を通過させるステップを含み、上記膜は少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有し、流体から粒子を除去する。
【0006】
[0006]上記膜を含む装置、及び上記膜を作製する方法も、本発明の実施形態に従って提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、未処理のPTFE膜、及び市販のUV処理されたPTFE膜と比較した、本発明によるPFSAで被覆されたPTFE膜の様々な実施形態に対する金属吸収を示すグラフである。
図2図2は、未処理のPTFE膜と比較した本発明によるPFSAで被覆されたPTFE膜の様々な実施形態に対する金属吸収を示すグラフであり、吸収が篩い分けではなくコーティングに起因することを示している。
【0008】
[発明の詳細な説明]
[0009]本発明の実施形態によると、多孔質PTFE膜は、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含み、上記膜は少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有する。
【0009】
[0010]本発明の実施形態による金属を含有する流体をろ過する方法は、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含む多孔質PTFE膜に金属を含有する流体を通過させるステップを含み、上記膜は、少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有し、流体から金属を除去する(例えば、金属を含有する流体から第2族金属(例えば、Mg及び/又はCa)、多価金属及び/又は遷移金属(例えば、Cr、Mn、Fe、及び/又はNi)を除去する)。
【0010】
[0011]別の実施形態において、硫酸過酸化水素水混合物(SPM)流体をろ過する方法が提供され、上記方法はペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含む非架橋コーティングを有する多孔質PTFE基材を含む多孔質PTFE膜に流体を通過させるステップを含み、上記膜は少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)のCWSTを有し、流体から粒子(シリカを含有する粒子などの)を除去する。
【0011】
[0012]実施形態において、金属を除去する膜を作製する方法が提供され、前記方法は、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含むコーティングで多孔質PTFE基材を被覆するステップ、及び250℃未満、好ましくは約200℃未満の温度でコーティングを硬化させるステップを含む。
【0012】
[0013]さらに別の実施形態において、金属を除去する膜を作製する方法が提供され、上記方法は、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーを含むコーティングで多孔質PTFE基材を被覆するステップであって、ここで、架橋剤は使用せず、上記コーティングは室温で製造するステップ;及び250℃未満の温度で上記コーティングを硬化させるステップを含む。硬化は約25℃〜約200℃の温度で行うのが好ましい。
【0013】
[0014]金属作用剤が使用され、(例えば、マイクロエレクトロニクス産業において)規格を満たすために後洗浄プロセスで(例えば、HClを用いて)上記金属作用剤を除去する幾つかの用途向けの膜の製造と対照的に、本発明による膜は金属作用剤を含まないコーティングと共に製造することができて有利である。加えて、膜は本発明に従って製造に都合のよいプロセスで製造することができ、例えば、製造は現存する製造プロセスに容易に組み込むことができ、結果として製造速度が速くなる。
【0014】
[0015]本発明による被覆された多孔質PTFE膜は、高い金属捕捉又は金属除去効率と低い流れ抵抗の組合せを示しつつ、処理される流体中で湿ったままでいる(すなわち、膜はプロセス流体中で脱湿されない)のが有利であり、滅菌ろ過用途を含む広範囲の液体、及び気体(空気を含む)のろ過用途に有用である。代表的な用途には、例えば、診断用途(例えば、サンプル調製及び/又は診断用側方流装置を含む)、インクジェット用途、リソグラフィー、例えば、HD/UHMW PEベースの媒体の代替として、医薬品産業用のろ過流体、金属除去、超純水の生産、工業用水及び地表水の処理、医学用のろ過流体(家庭用及び/又は患者用の使用、例えば、静脈内用途を含み、また例えば血液などの生物学的流体のろ過(例えば、ウィルス除去)も含む)、エレクトロニクス産業用ろ過流体(例えば、マイクロエレクトロニクス産業のフォトレジスト流体及び熱い硫酸過酸化水素水混合物(SPM)流体のろ過)、食品及び飲料産業用ろ過流体、ビールろ過、浄化、抗体及び/又はタンパク質を含有する流体のろ過、核酸を含有する流体のろ過、細胞検出(インサイチュを含む)、細胞収穫、及び/又は細胞培養流体のろ過が挙げられる。代わりに、又は加えて、本発明の実施形態による多孔質膜は、空気及び/又は気体をろ過するのに使用することができ、及び/又は通気用途(例えば、空気及び/又は気体は通過させるが、液体は通さない)に使用することができる。本発明の実施形態による多孔質膜は、例えば眼科手術用品などの手術用装置及び製品を含む、種々の装置に使用することができる。本発明の膜は寸法的に安定である。幾つかの実施形態において、多孔質PTFE膜は、個別に、例えば支持されない膜として利用することができ、他の実施形態では、多孔質PTFE膜はその他の多孔質エレメント及び/又は別の構成要素と組み合わせて、例えば複合物品、フィルター素子、及び/又はフィルターなどの物品を提供することができる。
【0015】
[0016]コーティングを製造するのに使用される適切なPFSAポリマー分散液の1つの例はSolvay Specialty Polymers(Borger、Texas)からアクイヴィオン(AQUIVION)(登録商標)PFSA(例えば、アクイヴィオンPFSA D83−24B、アクイヴィオンPFSA D83−06A、及びアクイヴィオンPFSA D79−20BS)として入手可能であり、これはテトラフルオロエチレンとスルホニルフルオリドビニルエーテル(SFVE)F2C=CF−O−CF2−CF2−SO2Fの短い側鎖(SSC)のコポリマーをベースとしている。アイオノマー分散液はそのスルホン酸形態を含有している。適切なPFSAポリマー分散液の別の例はデュポン(DuPont)(商標)ナフィオン(Nafion)(登録商標)PFSAポリマー分散液である。
【0016】
[0017]コーティングを製造する際、コーティング溶液中のPFSAの濃度はいろいろな用途に合わせて変えることができる。通例、濃度は約0.1%〜約3%の範囲であり、約0.12%〜約2.2%の範囲がより好ましい。
【0017】
[0018]様々な多孔質PTFE基材及び膜(市販の基材及び膜を含む)を本発明に従って被覆することができる。
【0018】
[0019]膜及び基材は当技術分野で公知のように、例えば、限定はしないが、ディップ被覆又は噴霧により被覆することができる。
【0019】
[0020]膜は、任意の適切な細孔構造、例えば、細孔サイズ(例えば、バブルポイントにより、又は例えば米国特許第4,340,479号に記載されているようにKにより証明されるか、又は毛管凝縮フローポロメーターにより証明される)、平均フローポア(MFP)サイズ(例えば、ポロメーター、例えばPorvairポロメーター(Porvair plc、Norfolk、英国)、又は商標ポロルクス(POROLUX)(Porometer.com;ベルギー)で入手可能なポロメーターを用いて特性決定されたとき)、細孔等級、細孔直径(例えば、例えば米国特許第4,925,572号に記載されている改良型OSU F2試験を用いて特性決定されたとき)、又は除去等級媒体を有することができる。使用される細孔構造は、利用される粒子のサイズ、処理される流体の組成、及び処理される流体の所望の流出レベルに依存する。
【0020】
[0021]通例、本発明による被覆された多孔質PTFE膜は約1マイクロメートル又はそれ以下の細孔等級を有し、(特に脱湿されない適用の場合)約0.05マイクロメートル〜約0.02マイクロメートル、又はそれ以下の範囲であるのが好ましい。例えば、膜はナノ多孔質膜、例えば1nm〜100nmの範囲の直径の細孔を有する膜であってもよい。
【0021】
[0022]通例、被覆された膜は約0.2〜約5.0ミル(約5〜約127ミクロン)の範囲の厚さを有し、約0.5〜約1.0ミル(約13〜約25ミクロン)の範囲が好ましいが、膜はこれらの値より厚くても又は薄くてもよい。
【0022】
[0023]多孔質膜はある所望の臨界湿潤表面張力(例えば米国特許第4,925,572号に定義されているCWST)を有することができる。CWSTは一定の組成の一組の溶液を用いて測定することができる。各々の溶液は特定の表面張力を有する。溶液の表面張力は小さい不等価な増分で25〜92ダイン/cmの範囲である。膜の表面張力を測定するために、膜を白色光テーブルの上に置き、一定の表面張力の一滴の溶液を膜の表面に付け、その液滴が膜を貫通して透過し、光が膜を通り抜けたことを示す明るい白色になるのにかかった時間を記録する。液滴が膜を透過するのにかかる時間が≦10秒であるとき、瞬時の湿潤と考えられる。この時間が>10秒の場合、その溶液は膜を部分的に湿潤すると考えられる。CWSTは、当技術分野で公知のように、さらに例えば米国特許第5,152,905号、同第5,443,743号、同第5,472,621号、及び同第6,074,869号に開示されているように選択することができる。
【0023】
[0024]通例、被覆されたPTFE膜は少なくとも約27ダイン/cm(約27×10−5N/cm)、より好ましくは少なくとも約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)、幾つかの実施形態では少なくとも約35ダイン/cm(約35×10−5N/cm)のCWSTを有する。例えば、被覆されたPTFE膜は約30ダイン/cm(約30×10−5N/cm)〜約40ダイン/cm(約40×10−5N/cm)、又はそれ以上の範囲のCWSTを有してもよい。
【0024】
[0025]被覆された多孔質PTFE膜を含むフィルター、フィルター素子及び/又は複合物品などの物品は、異なる構造及び/又は機能を有することができる追加の素子、層、又は構成要素、例えば、以下の:予備ろ過、支持、排出、スペーシング及び緩衝作用のいずれか1つ又はそれ以上の少なくとも1つを含むことができる。実例として、フィルターはメッシュ及び/又はスクリーンなどの少なくとも1つの追加の素子も含むことができる。
【0025】
[0026]本発明の実施形態によると、膜、フィルター素子、複合物品及び/又はフィルターは平面状、プリーツ状、らせん状、及び/又は中空円筒状を含めて種々の構成形状を有することができる。
【0026】
[0027]膜、フィルター素子、複合物品及び/又はフィルターは、通例、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を含み、入口と出口との間に少なくとも1つの流体流路を定めるハウジング内に配置され、ここで、膜は流体流路を横切って、ろ過装置を実現する。交差流用途の場合、膜、複合物品及び/又はフィルターは、少なくとも1つの入口及び少なくとも2つの出口を含み、入口と第1の出口との間に少なくとも第1の流体流路を、入口と第2の出口との間に第2の流体流路を定めるハウジング内に配置され、ここで、膜は第1の流体流路を横切って、ろ過装置を実現するのが好ましい。このろ過装置は滅菌可能である。適切な形状及び少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備える任意のハウジングを使用することができる。
【0027】
[0028]ハウジングは、処理される流体と適合できるあらゆる不浸透性の熱可塑性材料を含めて任意の適切な硬い不浸透性の材料から製作することができる。例えば、ハウジングはステンレス鋼などの金属、又はポリマーから製作することができる。ある実施形態において、ハウジングはアクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート樹脂などのポリマーである。
【0028】
[0029]以下の実施例は本発明をさらに例証するが、もちろん、いかなる意味でもその範囲を限定するものと考えるべきではない。
【0029】
実施例1
[0030]この実施例は、本発明の実施形態に従って膜を製造する方法を説明する。
【0030】
[0031]0.25%のPFSA溶液(アクイヴィオンPFSA 24;D83−24B Solvay Plastics)をメタノール−水媒体中で調製してポリマー溶液を得る。市販のPTFE基材((膜)Sumitomo Electric Fine Polymer,Inc.、公称細孔径50nm)をポリマー溶液で十分に濡れるまでディップ被覆し、溶液から取り出し、約2分間水気を切り、抑止し、150℃で10分間乾燥した後、室温のDI水で12時間洗浄し、試験する。
【0031】
[0032](未処理の(コントロール)PTFE膜及び市販のUV処理したPTFE膜と比較した)結果は以下の通り。
【表1】
【0032】
[0033]この実施例は、本発明の実施形態によると、流れは殆ど低下しないで、CWSTが増大する(従って、膜は脱湿されない)ことを示している。
【0033】
実施例2
[0034]この実施例は、本発明の実施形態による2つのPFSAで被覆されたPTFE膜(異なる濃度のPFSAを用いて調製)に対する金属除去効率を、未処理の(コントロール)PTFE膜、及び市販のUV処理したPTFE膜と比較して示す。
【0034】
[0035]2つのPFSAで被覆されたPTFE膜を実施例1に一般的に記載されているようにして製造する。1つの膜は、メタノール−水媒体中で調製した0.25%のPFSA溶液(アクイヴィオンPFSA D83−24B)でディップ被覆し、別の膜は、メタノール−水媒体中で調製した0.5%PFSA溶液(アクイヴィオンPFSA D83−24B)でディップ被覆する。
【0035】
[0036]流体サンプルはそれぞれ別に、以下の金属:Li、Na、K(第1族金属);Mg、Ca(第2族金属);Al、Pb(第3族金属)、及びCr、Mo、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn(遷移金属)を含有する。
【0036】
[0037]図1に示されているように、本発明による膜の実施形態は、未処理の膜及び市販のUV処理した膜と比較して、様々な第2族金属及び様々な遷移金属を効率的に除去する。
【0037】
実施例3
[0038]この実施例は、本発明の実施形態による2つのPFSAで被覆されたPTFE膜(異なる濃度のPFSAを用いて製造)についての金属除去効率を示す。
【0038】
[0039]2つのPFSAで被覆されたPTFE膜を実施例1に一般的に記載されているようにして製造する。1つの膜は、メタノール−水媒体中で調製した0.25%のPFSA溶液(アクイヴィオンPFSA D83−24B)でディップ被覆し、別の膜は、メタノール−水媒体中で調製した0.5%のPFSA溶液(アクイヴィオンPFSA D83−24B)でディップ被覆する。
【0039】
[0040]流体サンプルはそれぞれ別に、以下の金属:Li、Na、K(第1族金属);Mg、Ca(第2族金属);Al、Pb(第3族金属)、及びCr、Mo、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn(遷移金属)を含有する。
【0040】
[0041]図2に示されているように、本発明による膜の実施形態は、未処理の膜と比較して、第2族金属、並びに様々な第3族及び様々な遷移金属をより効率的に除去しており、吸収が篩い分けではなくコーティングによるものであることを示している。
【0041】
実施例4
[0042]この実施例は、コーティングが溶媒中に浸漬することによって除去されないので、PTFE膜上のPFSAコーティングは架橋されていないことを示す。
【0042】
[0043]PTFE膜を、7桁天秤を用いて秤量する。
【0043】
[0044]実施例1に一般的に記載されている24% w/w(ストック)PFSA溶液を用いて膜を被覆して非架橋膜を生成する。
【0044】
[0045]24% w/w(ストック)PFSA溶液を用いて架橋膜を製造し、これらの膜を約260℃で乾燥する。
【0045】
[0046]乾燥したコントロール、非架橋、及び架橋膜を秤量する。
【0046】
[0047]膜を、被覆された膜を作製するのに使用したのと同じ溶媒(メタノール)溶液に浸漬する。1組の被覆された膜を室温の溶媒溶液に浸漬し、別の1組の被覆された膜を40℃の溶媒溶液に浸漬する。40℃の溶媒溶液の使用はあらゆる副産物の溶媒和の加速を助ける。
【0047】
[0048]膜を新たな溶媒で3回濯ぎ、乾燥し、再度秤量する。
【0048】
[0049]室温及び40℃の溶媒溶液に浸漬したコントロール膜及び非架橋の被覆された膜の重量は元の重量と同じであるが、室温及び40℃の溶媒溶液に浸漬した架橋され被覆された膜の重量は元の重量より小さく、膜が架橋されていることを示している。
【0049】
[0050]本明細書中で引用した刊行物、特許出願、及び特許を含めて全ての文献は、参照により、各々の文献が参照により組み込まれることが個別且つ具体的に示され、しかもその全体が本明細書中に記載されているのと同程度に本明細書に組み込まれる。
【0050】
[0051]本発明を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、単数形態の用語「a」、「an」、「the」及び「少なくとも1つ」及び類似の指示対象の使用は、本明細書中で他に示さない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を含むものと考えられる。1つ又はそれ以上の項目のリストに続く用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)は、本明細書中で他に示さない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、リストされた項目から選択される1つの項目(A又はB)又はリストされた項目の2つ若しくはそれ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈されたい。用語「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」は、他に示さない限り、非限定的な用語として解釈されたい(すなわち、「含むが、限定されない」を意味する)。本明細書中で値の範囲の記載は、本明細書中で他に示さない限り、単にその範囲内に入る各々の別個の値に個別に言及することの簡略表記方法として役立たせることを意図しており、各々の別個の値はあたかも本明細書中に個別に記載されているかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載されている方法は全て、本明細書中で他に示さない限り、又は他に文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書中に挙げるいずれかの及びあらゆる例、又は代表的な原語(例えば、「などの」)の使用は、単に本発明をより良好に明らかにすることを意図しており、他に断らない限り本発明の範囲に制限を課すことはない。本明細書中のいかなる原語も、特許請求の範囲に記載されてないいずれかの要素を本発明を実施するのに必須であるとして示すものと解釈されるべきではない。
【0051】
[0052]本明細書には、本発明者が知る、本発明を実施するための最良の態様を含めて本発明の好ましい実施形態が記載されている。これら好ましい実施形態の変形は以上の説明に接した当業者には明らかとなるであろう。本発明者は当業者がかかる変形を適宜使用することを期待し、また本発明者は本発明が本明細書中に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。従って、本発明は、適用可能な法律により許されるように後続の特許請求の範囲に記載の主題のあらゆる修正及び等価物を包含する。さらにまた、本明細書中で他に示さない限り、又は他に文脈により明らかに矛盾しない限り、上記要素のあらゆる可能な変形における任意の組合せが本発明に包含される。
図1
図2
【外国語明細書】
2017029975000001.pdf