【解決手段】流体圧シリンダ10を構成するシリンダチューブ12の内部には、圧力流体の供給作用下に軸方向に沿って変位するピストンユニット18が設けられ、前記ピストンユニット18は、ピストンロッド20の一端部に連結される。また、シリンダチューブ12の他端部にはロッドカバー16が設けられ、その中央に前記ピストンロッド20を変位自在に支持する円筒状のホルダ54が設けられる。このホルダ54は、半径外方向に拡径したフランジ部58がロッドカバー16の内壁面16bに当接した状態で、複数の第1リベット60によって一体的に固定される。
内部にシリンダ室を有したシリンダチューブと、該シリンダチューブの端部に装着されるカバー部材と、前記シリンダ室に沿って変位自在に設けられるピストンと、前記ピストンに連結されるピストンロッドとを有する流体圧シリンダにおいて、
前記カバー部材には、前記ピストンロッドを軸方向に沿って変位自在に支持するロッドホルダが設けられ、該ロッドホルダは、前記カバー部材に対してリベットによって固定されることを特徴とする流体圧シリンダ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る流体圧シリンダについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係る流体圧シリンダを示す。
【0020】
この流体圧シリンダ10は、
図1に示されるように、円筒状のシリンダチューブ12と、該シリンダチューブ12の一端部に装着されるヘッドカバー14と、前記シリンダチューブ12の他端部に装着されるロッドカバー(カバー部材)16と、前記シリンダチューブ12の内部に変位自在に設けられるピストンユニット(ピストン)18と、前記ピストンユニット18に連結されるピストンロッド20とを含む。
【0021】
シリンダチューブ12は、例えば、金属製材料から形成され軸方向(矢印A、B方向)に沿って一定断面積で延在した筒体からなり、その内部にはピストンユニット18の収容されるシリンダ室22a、22bが形成される。また、シリンダチューブ12の両端部には、環状溝を介してリング状のシール部材(図示せず)がそれぞれ装着される。
【0022】
ヘッドカバー14は、
図1〜
図3A、
図4Aに示されるように、例えば、金属製材料から断面略矩形状に形成されたプレート体であり、シリンダチューブ12の一端部を閉塞するように設けられる。この際、シリンダチューブ12の端部に設けられたシール部材(図示せず)がヘッドカバー14へと当接することで、前記シリンダチューブ12と前記ヘッドカバー14との間を通じたシリンダ室22aからの圧力流体の漏れが防止される。
【0023】
また、
図4Aに示されるように、ヘッドカバー14の四隅近傍には、後述する連結ロッド88が挿通される4つの第1孔部26がそれぞれ形成されると共に、前記第1孔部26に対してヘッドカバー14の中央側となる位置には第1連通孔28が形成される。第1孔部26及び第1連通孔28は、
図1及び
図2に示されるヘッドカバー14の厚さ方向(矢印A、B方向)にそれぞれ貫通している。
【0024】
このヘッドカバー14の外壁面14aには、圧力流体を供給・排出するための第1ポート部材30が設けられ、図示しない配管を介して圧力流体供給源と接続される。この第1ポート部材30は、例えば、金属製材料から形成されたブロック体からなり溶接等によって固定される。また、第1ポート部材30の内部には、断面L字状に形成されたポート通路32が形成され、その開口部がシリンダチューブ12の軸線と直交方向に開口した状態でヘッドカバー14の外壁面14aに対して固定される。
【0025】
そして、第1ポート部材30は、ポート通路32がヘッドカバー14の第1連通孔28と連通することで、前記第1ポート部材30とシリンダチューブ12の内部とが連通する。
【0026】
なお、第1ポート部材30を設ける代わりに、例えば、第1連通孔28に対して配管接続用の継手を直接接続するようにしてもよい。
【0027】
一方、シリンダチューブ12側(矢印A方向)となるヘッドカバー14の内壁面14bには、
図1、
図2及び
図4Aに示されるように、前記シリンダチューブ12の内周径に対して小径となる円周ピッチ上に複数(例えば、3個)の第1ピン孔34が形成され、前記第1ピン孔34にはそれぞれ第1インローピン36が挿入される。第1ピン孔34は、ヘッドカバー14の中心に対する所定直径上に形成され、周方向に沿って互いに等間隔離間するように形成される。
【0028】
この第1インローピン36は、第1ピン孔34と同数となるように複数設けられ、断面円形状で形成された鍔部38と、該鍔部38に対して小径で第1ピン孔34へ挿入される軸部40とからなる。そして、第1インローピン36は、軸部40が第1ピン孔34へと圧入されることで、それぞれヘッドカバー14の内壁面14bに対して固定され、鍔部38がヘッドカバー14の内壁面14bに対して突出した状態となる。
【0029】
この第1インローピン36の鍔部38は、その外周面がヘッドカバー14に対してシリンダチューブ12を組み付ける際、
図4Aに示されるように該シリンダチューブ12の内周面に対してそれぞれ内接することで、ヘッドカバー14に対するシリンダチューブ12の位置決めがなされる。すなわち、複数の第1インローピン36は、ヘッドカバー14に対してシリンダチューブ12の一端部を位置決めするための位置決め手段として機能する。
【0030】
換言すれば、第1インローピン36は、その外周面がシリンダチューブ12の内周面に内接するような所定直径の円周上に配置されている。
【0031】
ヘッドカバー14の内壁面14bにはリング状の第1ダンパ42が設けられる。この第1ダンパ42は、例えば、ゴム等の弾性材料から所定厚さで形成され、その内周面が第1連通孔28よりも半径外方向となるように配置される(
図2及び
図4A参照)。
【0032】
また、第1ダンパ42には、その外周面から半径内方向に向かって断面略円形状に窪んだ複数の切欠部44を有し、前記切欠部44には第1インローピン36が挿入される。すなわち、切欠部44は、第1インローピン36と同数且つ同一円周上に同ピッチで設けられる。そして、第1ダンパ42は、
図2に示されるように、第1インローピン36の鍔部38によってヘッドカバー14の内壁面14bとの間に挟持されることで、該内壁面14bに対して所定高さだけ突出した状態で保持される。
【0033】
すなわち、第1インローピン36は、シリンダチューブ12の一端部をヘッドカバー14に対して所定位置へ位置決めする位置決め手段(インロー手段)であると同時に、第1ダンパ42を前記ヘッドカバー14へ固定するための固定手段としても機能する。
【0034】
そして、ピストンユニット18がヘッドカバー14側(矢印B方向)へと変位した際、その端部が第1ダンパ42へと当接することで、前記ピストンユニット18が前記ヘッドカバー14に対して直接接触することが回避され、接触に伴う衝撃及び衝撃音の発生が好適に防止される。
【0035】
また、ヘッドカバー14には、第1連通孔28に対してさらに中央側となる位置に、後述するガイドロッド124の支持される第1ロッド孔46が形成される。なお、第1ロッド孔46は、ヘッドカバー14の内壁面14b側(矢印A方向)に開口し外壁面14aまでは貫通していない。
【0036】
ロッドカバー16は、
図1、
図3B、
図4B及び
図6に示され、ヘッドカバー14と同様に、例えば、金属製材料から断面略矩形状に形成されたプレート体であり、シリンダチューブ12の他端部を閉塞するように設けられる。この際、シリンダチューブ12の端部に設けられたシール部材(図示せず)がロッドカバー16へと当接することで、前記シリンダチューブ12と前記ロッドカバー16との間を通じたシリンダ室22bからの圧力流体の漏れが防止される。
【0037】
このロッドカバー16の中央には軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通したロッド孔48が形成されると共に、その四隅には後述する連結ロッド88が挿通される4つの第2孔部50が形成される。また、ロッドカバー16には、第2孔部50に対して中心側となる位置に第2連通孔52が形成される。このロッド孔48、第2孔部50及び第2連通孔52は、それぞれロッドカバー16の厚さ方向(矢印A、B方向)に貫通して形成される。
【0038】
このロッド孔48には、ピストンロッド20を変位自在に支持するホルダ(ロッドホルダ)54が設けられる。このホルダ54は、
図1及び
図6に示されるように、例えば、金属製材料から絞り加工等によって形成され、円筒状のホルダ本体56と、該ホルダ本体56の一端部に形成され半径外方向に拡径したフランジ部58とを有し、前記ホルダ本体56の一部が前記ロッドカバー16から外側に突出するように設けられる(
図1参照)。
【0039】
そして、ロッドカバー16のロッド孔48にホルダ本体56が挿通され、フランジ部58がシリンダチューブ12側(矢印B方向)に配置された状態で、前記フランジ部58をロッドカバー16の内壁面16bに当接させ複数(例えば、4本)の第1リベット(リベット)60を前記フランジ部58の第1貫通孔62を介して前記ロッドカバー16の第1リベット孔64へ挿入して係合させる。これにより、ロッドカバー16のロッド孔48に対してホルダ54が固定される。この際、ホルダ54は、ロッド孔48と同軸上となるように固定される。
【0040】
この第1リベット60は、例えば、円形状の鍔部66と、該鍔部66に対して縮径した軸状のピン部68とを有した自己穿孔式リベットである。そして、第1リベット60を、フランジ部58側から第1貫通孔62へと挿入し、その鍔部66を前記フランジ部58に係合させた状態で、前記ピン部68を前記ロッドカバー16の第1リベット孔64へと打ち込むことで、該ピン部68が第1貫通孔62に対して係合されフランジ部58がロッドカバー16に対して固定される。
【0041】
なお、第1リベット60は、自己穿孔式リベットに限定されるものではなく、例えば、ピン部68をロッドカバー16の外壁面16a側まで突出させた後に押し潰して変形させ固定する一般的なリベットであってもよい。
【0042】
このホルダ54の内部には、軸方向(矢印A、B方向)に沿って並ぶようにブッシュ70及びロッドパッキン72が設けられ、後述するピストンロッド20が内部に挿通されることで、前記ブッシュ70によって軸方向に沿ってガイドされると同時に、ロッドパッキン72が摺接することで前記ホルダ54と前記ロッドパッキン72との間を通じた圧力流体の漏れが防止される。
【0043】
このロッドカバー16の外壁面16aには、
図1、
図3B及び
図6に示されるように、圧力流体を供給・排出するための第2ポート部材74が設けられ、図示しない配管を介して圧力流体供給源と接続される。この第2ポート部材74は、例えば、金属製材料から形成されたブロック体からなり溶接等によって固定される。また、第2ポート部材74の内部には、断面L字状に形成されたポート通路76が形成され、その開口部がシリンダチューブ12の軸線と直交方向に開口した状態でロッドカバー16の外壁面16aに対して固定される。
【0044】
そして、第2ポート部材74は、ポート通路76がロッドカバー16の第2連通孔52と連通することで、前記第2ポート部材74とシリンダチューブ12の内部とが連通する。
【0045】
なお、第2ポート部材74を設ける代わりに、例えば、第2連通孔52に対して配管接続用の継手を直接接続するようにしてもよい。
【0046】
一方、シリンダチューブ12側(矢印B方向)となるロッドカバー16の内壁面16bには、
図1、
図4B及び
図6に示されるように、前記シリンダチューブ12の内周径に対して小径となる円周ピッチ上に複数(例えば、3個)の第2ピン孔78が形成され、前記第2ピン孔78にはそれぞれ第2インローピン80が挿入される。すなわち、第2インローピン80は、第2ピン孔78と同数となるように複数設けられる。
【0047】
第2ピン孔78は、ロッドカバー16の中心に対する所定直径上に形成され、周方向に沿って互いに等間隔離間するように形成される。なお、第2インローピン80は、第1インローピン36と同一形状で形成されるため、その詳細な説明については省略する。
【0048】
そして、第2インローピン80の軸部40が第2ピン孔78へと圧入されることで、前記第2インローピン80がそれぞれロッドカバー16の内壁面16bに対して固定され、鍔部38がロッドカバー16の内壁面16bに対して突出した状態となる。
【0049】
また、第2インローピン80の鍔部38は、その外周面がロッドカバー16に対してシリンダチューブ12を組み付ける際、
図4Bに示されるように、該シリンダチューブ12の内周面に対してそれぞれ内接することで、ロッドカバー16に対するシリンダチューブ12の位置決めがなされる。すなわち、複数の第2インローピン80は、ロッドカバー16に対してシリンダチューブ12の他端部を位置決めするための位置決め手段として機能する。
【0050】
換言すれば、第2インローピン80は、その外周面がシリンダチューブ12の内周面に内接するような所定直径の円周上に配置されている。
【0051】
ロッドカバー16の内壁面16bにはリング状の第2ダンパ82が設けられる。この第2ダンパ82は、例えば、ゴム等の弾性材料から所定厚さで形成され、その内周面が第2連通孔52よりも半径外方向となるように配置される。
【0052】
また、第2ダンパ82には、その外周面から半径内方向に向かって断面略円形状に窪んだ複数の切欠部84を有し、前記切欠部84には第2インローピン80が挿入される。そして、第2ダンパ82は、第2インローピン80の鍔部38によってロッドカバー16の内壁面16bとの間に挟持されることで、該内壁面16bに対して所定高さだけ突出した状態で保持される。
【0053】
すなわち、切欠部84は、第2インローピン80と同数且つ同一円周状に同ピッチで設けられる。
【0054】
このように、第2インローピン80は、シリンダチューブ12の他端部をロッドカバー16に対して所定位置へ位置決めする位置決め手段(インロ―手段)であると同時に、第2ダンパ82を前記ロッドカバー16へ固定するための固定手段としても機能する。
【0055】
そして、ピストンユニット18がロッドカバー16側(矢印A方向)へと変位した際、その端部が第2ダンパ82へと当接することで、前記ピストンユニット18が前記ロッドカバー16に対して直接接触することが回避され、接触に伴う衝撃及び衝撃音の発生が好適に防止される。
【0056】
また、第2連通孔52に対してさらにロッドカバー16の中心側となる位置に、後述するガイドロッド124の支持される第2ロッド孔86が形成される。なお、第2ロッド孔86は、
図1に示されるように、ロッドカバー16の内壁面16b側(矢印B方向)に開口し外壁面16aまでは貫通していない。
【0057】
そして、シリンダチューブ12の一端部にヘッドカバー14の内壁面14bを当接させ、他端部にロッドカバー16の内壁面16bを当接させた状態で、4つの第1及び第2孔部26、50に連結ロッド88をそれぞれ挿通させ、その両端部に締結ナット90(
図1、
図3A、
図3B参照)を螺合させ前記ヘッドカバー14及びロッドカバー16の外壁面14a、16aに当接するまで締め付ける。これにより、シリンダチューブ12がヘッドカバー14とロッドカバー16との間に挟持された状態で固定される。
【0058】
また、連結ロッド88には、
図5に示されるように、ピストンユニット18の位置を検出するための検出センサ92を保持するセンサ保持体94が設けられる。このセンサ保持体94は、連結ロッド88の延在方向に対して略直交するように設けられ、該連結ロッド88に沿って移動可能に設けられると共に、該連結ロッド88に保持された部位から延在して検出センサ92の装着される装着部96を有している。装着部96には、例えば、断面円形状で連結ロッド88と略平行な溝部が形成され、該溝部に検出センサ92が収納され保持される。
【0059】
この検出センサ92は、後述するリング体100のマグネット122が有している磁気を検出可能な磁気センサである。なお、この検出センサ92を含むセンサ保持体94は必要に応じた数量だけ選択的に設けられる。
【0060】
ピストンユニット18は、
図1、
図2及び
図6に示されるように、ピストンロッド20の一端部に連結される円盤状のプレート体98と、該プレート体98の外縁部に連結されるリング体100とを含む。
【0061】
プレート体98は、例えば、弾性を有した金属製の板材から略一定厚さで形成され、その中央部には厚さ方向に貫通した複数(例えば、4個)の第2貫通孔102が設けられる。そして、第2貫通孔102には第2リベット104が挿入され、その先端がピストンロッド20の一端部に形成された第2リベット孔106へ挿入され係合されることで、前記ピストンロッド20の一端部にプレート体98が略直交するように連結される。
【0062】
この第2リベット104は、第1リベット60と同様に、例えば、自己穿孔式リベットであり、その鍔部66がプレート体98のヘッドカバー14側(矢印B方向)となるように挿入した後、ピン部68を前記ピストンロッド20の内部へと打ち込むことで第2リベット孔106に対して係合させ、プレート体98がピストンロッド20に対して係止される。
【0063】
また、プレート体98の外縁部には、厚さ方向に貫通した複数(例えば、4個)の第3貫通孔108が設けられ、前記第3貫通孔108は、前記プレート体98の周方向に沿って互いに等間隔離間して形成されると共に、前記プレート体98の中心に対して同一直径上となるように形成される。
【0064】
さらに、プレート体98には、第3貫通孔108より内周側となる位置に、厚さ方向に貫通したロッド挿通孔110が形成され、後述するガイドロッド124が挿通される。
【0065】
さらにまた、プレート体98には、ピストンロッド20に固定される中心部と外縁部との間となる位置に、例えば、断面湾曲状に突出したリブ112を有し、前記リブ112は、周方向に沿った環状に形成されると共に、ピストンロッド20側とは反対側(矢印B方向)に向かって突出するように形成される。また、リブ112は、ピストンロッド20側(矢印A方向)に向かって突出するように形成してもよい。なお、リブ112は、ロッド挿通孔110より内周側となる位置に形成される。
【0066】
このリブ112を設けることで弾性を有したプレート体98の撓み具合を所定量に設定している。換言すれば、このリブ112の位置や形状を適宜変更することで、プレート体98の撓み量を自在に調整することが可能となる。また、上述したリブ112を設けなくてもよい。
【0067】
なお、このプレート体98は、ピストンロッド20の端部に第2リベット104で連結される場合に限定されるものではなく、例えば、前記ピストンロッド20の端部に加締めたり、溶接することで連結してもよいし、圧接や接着によって連結したり、ねじ込むことで連結するようにしてもよい。さらに、ピンを圧入して端部を塑性変形させることで連結するようにしてもよい。
【0068】
リング体100は、例えば、金属製材料から断面円形状に形成され、ヘッドカバー14側(矢印B方向)となる端面にプレート体98の外縁部が当接し、複数の第3リベット114によって固定されている。この第3リベット114は、第1及び第2リベット60、104と同様に、例えば、自己穿孔式リベットであり、その鍔部66をプレート体98のヘッドカバー14側(矢印B方向)となるように挿入した後、ピン部68を前記リング体100の第3リベット孔115へと打ち込むことで内部に係合され係止される。
【0069】
また、リング体100には、
図2に示されるように、外周面に形成された環状溝を介してピストンパッキン116及びウェアリング118が設けられ、前記ピストンパッキン116が前記シリンダチューブ12の内周面に摺接することで、前記リング体100と前記シリンダチューブ12との間を通じた圧力流体の漏出を防止し、前記ウェアリング118が前記シリンダチューブ12の内周面に摺接することで、前記リング体100が前記シリンダチューブ12に沿って軸方向(矢印A、B方向)に案内される。
【0070】
さらに、
図1及び
図2に示されるように、ヘッドカバー14に臨むリング体100の側面には、軸方向に沿って開口した複数(例えば、4個)の孔部120が形成され、その内部には円柱状のマグネット122がそれぞれ圧入される。このマグネット122の配置は、ピストンユニット18をシリンダチューブ12の内部に設けた際、
図5に示されるように、4本の連結ロッド88に臨む位置となるように設けられ、前記連結ロッド88に設けられたセンサ保持体94の検出センサ92によって前記マグネット122の磁気が検出される。
【0071】
ガイドロッド124は、
図1、
図2、
図4A〜
図6に示されるように、断面円形状で軸状に形成され、その一端部がヘッドカバー14の第1ロッド孔46へ挿入され、他端部がロッドカバー16の第2ロッド孔86へと挿入されると共に、プレート体98のロッド挿通孔110へ挿通される。これにより、ガイドロッド124は、シリンダチューブ12の内部において、ヘッドカバー14及びロッドカバー16に固定されピストンユニット18の軸方向(変位方向)と平行に設けられると共に、前記ピストンユニット18が軸方向に変位する際に回転してしまうことが防止される。換言すれば、ガイドロッド124はピストンユニット18の回り止めとして機能する。
【0072】
また、ロッド挿通孔110にはОリングが設けられ、該ロッド挿通孔110とガイドロッド124との間を通じた圧力流体の漏れを防止している。
【0073】
ピストンロッド20は、
図1に示されるように、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有した軸体からなり、略一定径で形成された本体部126と、該本体部126の他端部に形成された小径な先端部128とを有し、前記先端部128がホルダ54を介してシリンダチューブ12の外側に露出するように設けられる。この本体部126の一端部は、ピストンロッド20の軸方向と直交した略平面状に形成され、プレート体98が連結されている。
【0074】
本発明の実施の形態に係る流体圧シリンダ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、ピストンユニット18がヘッドカバー14側(矢印B方向)に変位した状態を初期位置として説明する。
【0075】
先ず、図示しない圧力流体供給源から圧力流体を第1ポート部材30へと導入する。この場合、第2ポート部材74は、図示しない切換弁による切換作用下に大気開放状態としておく。これにより、圧力流体が、第1ポート部材30からポート通路32及び第1連通孔28へと供給され、前記第1連通孔28からシリンダ室22aへと導入された圧力流体によってピストンユニット18がロッドカバー16側(矢印A方向)へと押圧される。そして、ピストンユニット18と共にピストンロッド20がホルダ54に案内されながら変位し、リング体100の端面が第2ダンパ82へと当接することで変位終端位置となる。
【0076】
一方、ピストンユニット18を前記とは反対方向(矢印B方向)に変位させる場合には、第2ポート部材74へ圧力流体を供給すると共に、第1ポート部材30を切換弁(図示せず)の切換作用下に大気開放状態とする。そして、圧力流体が、第2ポート部材74からポート通路76及び第2連通孔52を通じてシリンダ室22bへと供給され、該シリンダ室22bへと導入された圧力流体によってピストンユニット18がヘッドカバー14側(矢印B方向)へと押圧される。
【0077】
そして、ピストンユニット18の変位作用下にピストンロッド20がホルダ54に案内されることで変位し、前記ピストンユニット18のリング体100がヘッドカバー14の第1ダンパ42へと当接することで初期位置へと復帰する。
【0078】
また、上述したようにピストンユニット18がシリンダチューブ12に沿って軸方向(矢印A、B方向)に変位する際、ピストンユニット18の内部に挿通されたガイドロッド124に沿って変位することで回転変位してしまうことがなく、該ピストンユニット18に設けられたマグネット122が検出センサ92に臨む位置となり、ピストンユニット18の変位が検出センサ92によって確実に検出される。
【0079】
以上のように、本実施の形態では、流体圧シリンダ10において、ロッドカバー16に設けられピストンロッド20を変位自在に保持するホルダ54を設け、板材から形成されたホルダ54のフランジ部58をロッドカバー16の内壁面16bに当接させた状態で第1リベット60によって固定する構成としている。そのため、ロッドカバーを所定厚さで形成し、その内部にピストンロッドを支持可能なロッド孔を設けていた従来の流体圧シリンダと比較し、前記ロッドカバー16の軸方向(矢印A、B方向)に沿った厚さを薄く形成することが可能となり、それに伴って、流体圧シリンダ10の軸方向(矢印A、B方向)に沿った長さを小型化することができる。
【0080】
また、第1リベット60の鍔部66は、一般的なねじ等の頭部と比較して薄いため、ロッドカバー16におけるピストンユニット18側(矢印B方向)への突出量を低減することが可能となり、前記ロッドカバー16側(矢印A方向)へピストンユニット18が変位する際のストローク量を大きく確保することができる。換言すれば、同一のストローク量を有する流体圧シリンダを構成する際、ロッドカバー16をよりシリンダチューブ12側(矢印B方向)へ接近させて配置することができるため、前記流体圧シリンダ10の全長の低減を図ることができる。
【0081】
さらに、それぞれ板状となるロッドカバー16とホルダ54のフランジ部58とをねじ等によって締結する場合と比較し、第1リベット60によって締結することで容易に行うことができる。
【0082】
さらにまた、第1リベット60として自己穿孔式リベットを用いることで、前記第1リベット60をホルダ54のフランジ部58側からロッドカバー16側(矢印A方向)に向かって打ち込むだけで容易に締結することが可能となるため、例えば、ボルト等で締結する場合と比較して組付工数の削減を図ることが可能となる。
【0083】
またさらに、ホルダ54の内部にブッシュ70及びロッドパッキン72を保持可能な構成としているため、ブッシュ等を装着するための溝加工をロッド孔へ行っていた従来の流体圧シリンダと比較し、製造工数及び製造コストの削減を図ることができる。
【0084】
また、ピストンロッド20を変位自在に支持するためのホルダ54は、上述した構成に限定されるものではなく、例えば、
図7Aに示されるホルダ130のように、ブッシュ70を保持する第1ホルダ部132と、ロッドパッキン72を保持する第2ホルダ部134とから構成されてもよい。
【0085】
この第1ホルダ部132は、
図7Aに示されるように、例えば、金属製材料から絞り加工等によって円筒状に形成された第1ホルダ本体136と、該第1ホルダ本体136の一端部に形成され半径外方向に拡径した第1フランジ部138とを有し、第2ホルダ部134は、前記第1ホルダ部132と同様に、金属製材料から絞り加工等によって円筒状に形成された第2ホルダ本体140と、該第2ホルダ本体140の一端部に形成され半径外方向に拡径した第2フランジ部142とを有する。
【0086】
この第1ホルダ部132の第1フランジ部138が、ロッドカバー16の内壁面16bに当接するように設けられ、第1ホルダ本体136の内部にはブッシュ70が設けられる。
【0087】
一方、第2ホルダ部134は、その第2フランジ部142がロッドカバー16の外壁面16aに当接するように設けられ、第2ホルダ本体140の内部には、第1ホルダ本体136の一部が挿入されると共にロッドパッキン72が設けられる。なお、ロッドパッキン72は、第2ホルダ本体140の端部に形成された段部144に係合され、該段部144と第1ホルダ本体136の端部との間の挟持されることで軸方向(矢印A、B方向)に保持される。
【0088】
すなわち、第1ホルダ本体136が、第2ホルダ本体140より小径となるように形成されている。
【0089】
そして、第1ホルダ部132の第1フランジ部138、ロッドカバー16及び第2ホルダ部134の第2フランジ部142が互いに当接した状態で、シリンダチューブ12側から複数の第1リベット60を軸方向(矢印A方向)に打ち込むことで、前記第1フランジ部138、ロッドカバー16及び第2フランジ部142が積層された状態で一体的に固定される。これにより、ロッドカバー16のロッド孔48に対して第1及び第2ホルダ部132、134からなるホルダ130が固定され、その内部にピストンロッド20が変位自在に支持される。
【0090】
このように、第1ホルダ部132と第2ホルダ部134という2つの部材からなるホルダ130を第1リベット60のみでロッドカバー16に対して容易且つ確実に固定することができる。その結果、第1ホルダ部132と第2ホルダ部134をそれぞれ別のボルト等でロッドカバー16に対して締結する場合と比較し、その組み付け作業が容易であり、しかも、部品点数の削減を図ることが可能となる。換言すれば、ロッドカバー16に対して積層された第1フランジ部138、第2フランジ部142を第1リベット60によって容易且つ確実に締結して固定することができる。
【0091】
また、ロッドパッキン72を第1ホルダ部132と第2ホルダ部134との間に挟持して保持する構成としているため、ロッドカバー16に対して前記ロッドパッキン72を装着するための溝加工を行う必要がなく、流体圧シリンダ10の製造工数及び製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0092】
さらに、ロッドカバー16を挟んで第1ホルダ部132と第2ホルダ部134とをそれぞれ反対側から組み付けているため、第1及び第2フランジ部138、142がそれぞれロッドカバー16に対する抜け止めとなり、第1及び第2ホルダ部132、134のロッドカバー16からの脱落が防止される。
【0093】
さらにまた、流体圧シリンダ10に対してロッドカバー16側から他の装置等を組み付ける際、ロッドカバー16の外側に突出した第2ホルダ部134の第2ホルダ本体140をインローとして用いることで容易に同軸上に位置決めすることができる。
【0094】
また、
図7Bに示されるホルダ150は、クッション機構を有した流体圧シリンダ10に用いられ、該クッション機構を構成するクッション部材152がフランジ部58に対して一体的に固定される。このクッション部材152は、例えば、円筒状に形成され、その一端部には外周面から半径外方向に延在した環状の取付フランジ154が形成されると共に他端部が開口している。
【0095】
そして、クッション部材152の取付フランジ154を、ホルダ150のフランジ部58に当接させた状態とし、複数の第1リベット60をシリンダチューブ12側から軸方向(矢印A方向)に打ち込むことで、前記取付フランジ154、フランジ部58及びロッドカバー16が積層された状態で一体的に固定される。これにより、ロッドカバー16のロッド孔48に対してホルダ150が固定されると同時に、前記ロッドカバー16から離間する方向(矢印B方向)に向かって突出したクッション部材152が固定される。
【0096】
そして、図示しないピストンユニット18がロッドカバー16側へ変位し、該ピストンユニット18に形成された凹部(図示せず)にクッション部材152が徐々に挿入されていくことで、第2ポート部材74から排出される圧力流体の流量が図示しない調整弁によって絞られ、それに伴って、前記ピストンユニット18の変位速度が変位終端位置に近づくにつれて徐々に低下するクッション機能を営む。
【0097】
このように、ホルダ150のフランジ部58を第1リベット60によってロッドカバー16の内壁面16bへ固定する際、クッション部材152の取付フランジ154を共に締結することで、前記クッション部材152を容易に追加することができるため、クッション機構を有した流体圧シリンダ10に対応させることが可能となる。また、クッション機構の特性に応じたクッション部材152を適宜選択して装着することが可能となる。
【0098】
また、クッション部材152は、ホルダ150とロッドカバー16とを連結するための第1リベット60を利用して固定できるため、リベットの数量が増加してしまうことがなく部品点数の増加を抑制できると共に、組付工数の削減を図ることが可能となる。
【0099】
さらに、クッション部材152をボルト等によってロッドカバー16へと固定する場合と比較し、第1リベット60を用いて固定することで、その組み付け作業が容易であり、しかも、シリンダチューブ12側への突出量を低減することができる。換言すれば、ロッドカバー16に対して積層されたフランジ部58、取付フランジ154を第1リベット60によって容易且つ確実に締結して固定することができる。
【0100】
さらに、
図7Cに示されるホルダ160には、そのシリンダチューブ12側においてロッドパッキン72を保持するための保持プレート162が設けられている。この保持プレート162は、
図7Cに示されるように、ホルダ160のフランジ部58と略同一の直径で形成された円盤状であり、その中心部にはピストンロッド20の挿通可能な孔部164が形成される。また、保持プレート162とホルダ160との間には円盤状のスペーサ166が設けられ、該スペーサ166の内周側にロッドパッキン72が設けられる。なお、スペーサ166の外周径もフランジ部58及び保持プレート162と略同一直径で形成される。
【0101】
そして、ホルダ160のフランジ部58をロッドカバー16の内壁面16bに当接させた状態で、スペーサ166、保持プレート162の順番に積層させ、複数の第1リベット60をシリンダチューブ12側から軸方向(矢印A方向)に打ち込むことで、前記保持プレート162、スペーサ166、フランジ部58が積層された状態で一体的に固定される。
【0102】
これにより、ホルダ160がロッドカバー16に対して固定されると同時に、該ホルダ160のフランジ部58、スペーサ166及び保持プレート162によってロッドパッキン72が挟持され保持される。この際、ロッドパッキン72は、ホルダ160及び保持プレート162によって軸方向(矢印A、B方向)への変位が規制された状態で保持される。
【0103】
このように、ホルダ160の端部にロッドカバー16を保持可能な保持プレート162及びスペーサ166を設ける際、第1リベット60を軸方向に打ち込むことで容易且つ確実にロッドカバー16に対して固定することができる。その結果、保持プレート162及びスペーサ166とホルダ160とをそれぞれ別のボルト等でロッドカバー16に対して締結する場合と比較し、その組み付け作業が容易であり、しかも、部品点数の削減を図ることが可能となる。換言すれば、ロッドカバー16に対して積層されたフランジ部58、スペーサ166及び保持プレート162を第1リベット60によって容易且つ確実に締結して固定することができる。
【0104】
また、ロッドパッキン72を設けるためにロッド孔の溝加工を行う必要がないため、従来の流体圧シリンダと比較し、流体圧シリンダ10の製造工数及び製造コストの削減を図ることができる。
【0105】
さらに、上述した流体圧シリンダ10には、例えば、製造ライン等において他の装置や設置面等に固定するための固定用ブラケットを備えるものがある。例えば、
図8Aの流体圧シリンダ170では、断面略L字状に形成された固定用ブラケット172を有し、ロッドカバー16の外壁面16aに対して当接させた状態で第4リベット174によって前記ロッドカバー16に固定される。この場合、第4リベット174は、その鍔部66がロッドカバー16の内壁面16b側となり、該ロッドカバー16側から固定用ブラケット172側(矢印A方向)に向かって打ち込まれる。
【0106】
そして、流体圧シリンダ170の軸線と略平行な固定用ブラケット172の底壁部176に形成されたボルト孔178に固定用ボルト180が挿通され、例えば、設置面182に前記固定用ボルト180を螺合させることで流体圧シリンダ170が固定される。
【0107】
また、上述した断面略L字状の固定用ブラケット172の代わりに、
図8Bに示されるような平板状の固定用ブラケット190を複数の第4リベット174でロッドカバー16の外壁面16aに対して固定するようにしてもよい。この固定用ブラケット190には、流体圧シリンダ192の軸方向(矢印A、B方向)に沿ったボルト孔194を有し、前記ボルト孔194に挿通された固定用ボルト180を、該軸線と直交した設置面196に対して螺合させることで流体圧シリンダ192が固定される。
【0108】
なお、上述した説明では、固定用ブラケット172、190をロッドカバー16に対して固定する場合について説明したが、ヘッドカバー14の外壁面14aに対して同様に固定するようにしてもよい。
【0109】
このように、流体圧シリンダ170、192のロッドカバー16に対して固定用ブラケット172、190を固定する際、前記ロッドカバー16と前記固定用ブラケット172、190とを積層させ第4リベット174を打ち込むことで容易且つ確実に互いに固定することが可能となる。
【0110】
また、従来の流体圧シリンダでは、固定用ブラケット172、190を連結ロッド88を用いてロッドカバー16(ヘッドカバー14)に対して共締めしていたが、本実施の形態では、前記連結ロッド88を用いることなく第4リベット174で固定することができる。そのため、ヘッドカバー14及びロッドカバー16をシリンダチューブ12に固定している連結ロッド88の締結状態を解除することなく、固定用ブラケット172、190の取付作業、交換作業を行うことが可能となる。
【0111】
なお、本発明に係る流体圧シリンダは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。