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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-30824(P2017-30824A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】ブリスタシート及びブリスタ包装機
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20170120BHJP
   B65D 75/34 20060101ALI20170120BHJP
   B65B 9/04 20060101ALI20170120BHJP
   A61J 1/03 20060101ALI20170120BHJP
【FI】
   B65D83/04 D
   B65D75/34
   B65B9/04
   A61J1/00 370B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-154112(P2015-154112)
(22)【出願日】2015年8月4日
(11)【特許番号】特許第6040295号(P6040295)
(45)【特許公報発行日】2016年12月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊二
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂井田 憲彦
【テーマコード(参考)】
3E050
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050BA09
3E050BA12
3E050CA01
3E050DA01
3E050DD04
3E050DE01
3E050FB01
3E050GA05
3E050GB09
3E050GC07
3E067AB82
3E067AC04
3E067BA02A
3E067BB14A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB07
3E067EC08
3E067EE60
3E067FA01
3E067FB04
3E067GD10
4C047AA25
4C047BB11
4C047BB17
4C047BB22
4C047CC15
4C047CC16
4C047JJ02
(57)【要約】
【課題】チャイルドレジスタンス機能を備えつつ、各種コストの増大防止等をより確実に図ることができるブリスタシート等を提供する。
【解決手段】ブリスタシート1は、ポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有する。両フィルム3,4は合成樹脂製であり、カバーフィルム4は容器フィルム3よりも薄肉である。ブリスタシート1には、両フィルム3,4を貫通し、ポケット部2の手前まで延びる切込部8が、各ポケット部2に少なくとも一対ずつ形成される。一対の切込部8からポケット部2側に捻り応力を加えることで、切込部8からポケット部2側に両フィルム3,4を破断するとともに、ポケット部2に対応する位置において少なくともカバーフィルム4を破断し、カバーフィルム4の破断部分から錠剤5が取出可能となっている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を収容する複数のポケット部を備えた容器フィルムと、
前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを有するブリスタシートであって、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムは、それぞれ合成樹脂製であるとともに、
前記カバーフィルムは、前記容器フィルムよりも薄肉であり、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部が、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成され、
前記一対の切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加えることで、前記切込部から前記ポケット部側に前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを破断するとともに、前記ポケット部に対応する位置において少なくとも前記カバーフィルムを破断し、前記カバーフィルムの破断部分から前記内容物を取出可能としたことを特徴とするブリスタシート。
【請求項2】
少なくとも前記容器フィルムには、所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリット又は切離用ミシン目が形成され、
前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目は、前記切込部と交差するように延びていることを特徴とする請求項1に記載のブリスタシート。
【請求項3】
前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目のうち少なくとも前記切込部と交差する部分は、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通することを特徴とする請求項2に記載のブリスタシート。
【請求項4】
前記一対の切込部が、1のポケット部に対し複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスタシート。
【請求項5】
前記一対の切込部が、ほぼ同一直線上に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブリスタシート。
【請求項6】
前記切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加える旨の前記内容物の取出方法に関する情報が表示されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブリスタシート。
【請求項7】
帯状をなす合成樹脂製の容器フィルムに形成されたポケット部に対し錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を充填した後、前記容器フィルムに対し前記ポケット部を塞ぐようにして、帯状をなし前記容器フィルムよりも薄肉で合成樹脂製のカバーフィルムを取着することにより帯状のブリスタフィルムとし、当該ブリスタフィルムをシート単位に打ち抜くことによってブリスタシートを製造するブリスタ包装機であって、
前記容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムが取着されてなる前記ブリスタフィルムをシート単位に打抜く打抜手段とを備えるとともに、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部を、前記ブリスタフィルムに対し、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成する切込部形成手段を有することを特徴とするブリスタ包装機。
【請求項8】
少なくとも前記容器フィルムに対し、前記切込部と交差する方向に延びるとともに、前記ブリスタシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離用スリット又は切離用ミシン目を形成する切離部形成手段を備えることを特徴とする請求項7に記載のブリスタ包装機。
【請求項9】
前記切込部形成手段を、前記切離部形成手段と一体化させてなることを特徴とする請求項8に記載のブリスタ包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤やカプセルを収容するブリスタシート及びブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリスタシートは、各種内容物が充填されるポケット部の形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備える。また、カバーフィルムを構成する素材としては、比較的破れやすいアルミニウム箔などが採用される。すなわち、ポケット部を押すことにより、アルミニウム箔が破れ、内容物(例えば、錠剤やカプセル等)が取出される。
【0003】
ところで、このようなブリスタシートは、内容物を非常に容易に取り出せるため、利便性に優れるものの、その一方で、小さな子供や老人であっても内容物を容易に取り出せてしまう。そのため、内容物の誤飲などを招いてしまうおそれがある。そこで、ブリスタシートに対し、小さな子供等が容易に取り出せない機能(チャイルドレジスタンス機能)を付与すべく、カバーフィルムに対し保護層を設ける手法が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−170464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記手法では、保護層を余分に設ける必要があるため、材料費の増大や製造時の工程の複雑化を招いてしまい、各種コストの増大を招いてしまうおそれがある。また、保護層を余分に設けることは、環境面から決して好ましいとは言えない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、チャイルドレジスタンス機能を備えつつ、各種コストの増大防止等をより確実に図ることができるブリスタシート及びブリスタ包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を収容する複数のポケット部を備えた容器フィルムと、
前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを有するブリスタシートであって、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムは、それぞれ合成樹脂製であるとともに、
前記カバーフィルムは、前記容器フィルムよりも薄肉であり、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部が、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成され、
前記一対の切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加えることで、前記切込部から前記ポケット部側に前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを破断するとともに、前記ポケット部に対応する位置において少なくとも前記カバーフィルムを破断し、前記カバーフィルムの破断部分から前記内容物を取出可能としたことを特徴とするブリスタシート。
【0009】
上記手段1によれば、容器フィルム及びカバーフィルムは、合成樹脂製であり、破れにくいものとなっている。そのため、ポケット部を押したとしても、カバーフィルム等が破れてしまうことが起こりにくく、内容物がカバーフィルム等を破って飛出してしまうという事態を効果的に抑制することができる。これにより、ブリスタシートに、チャイルドレジスタンス機能を具備させることができる。
【0010】
また、上記手段1によれば、別材(例えば保護層)を設けたりする必要がない。従って、チャイルドレジスタンス機能を具備させるがために、各種コストが増大してしまったり、環境面での悪影響が生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
【0011】
加えて、上記手段1によれば、一対の切込部からポケット部側に捻り応力を加えることで、切込部からポケット部側へと容器フィルム及びカバーフィルムが破断されるとともに、ポケット部に対応する位置では、両フィルムのうち少なくとも比較的薄肉なカバーフィルムが破断される。そして、カバーフィルムの破断部分から内容物を取出すことができる。従って、内容物の取出しに過度に手間がかかるということはなく、利便性を十分に確保することができる。一方、内容物を取出すためには、ブリスタシートにおける切込部の近傍部分を掴んだ上で、さらにポケット部側に捻り応力を加える必要がある。すなわち、内容物を取出すためには少なくとも2つのアクションが必要となる〔一般的なブリスタシート(PTPシート)では、ポケット部を押すという1アクションのみで内容物が取出せる〕。これにより、一層優れたチャイルドレジスタンス機能を実現することができる。
【0012】
手段2.少なくとも前記容器フィルムには、所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリット又は切離用ミシン目が形成され、
前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目は、前記切込部と交差するように延びていることを特徴とする手段1に記載のブリスタシート。
【0013】
上記手段2によれば、切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切離し、シート小片としたときに、シート小片の端縁部に切込部が現れることとなる。その上で、シート小片における切込部の近傍部分を掴んだ上で、さらにポケット部側に捻り応力を加えることにより、内容物を取出すことができる。従って、内容物を取出すために、切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切離すというアクションが余計に必要となる。換言すれば、切離さなければ、少なくとも一方の切込部が縁部に出現せず、捻り応力による破断は行われない。そのため、内容物の取出しにより多くのアクションが必要となり、その結果、チャイルドレジスタンス機能をより向上させることができる。
【0014】
手段3.前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目のうち少なくとも前記切込部と交差する部分は、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通することを特徴とする手段2に記載のブリスタシート。
【0015】
切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切断しているときに、ブリスタシートが切込部まで切断された状態になると、当該切断部分の先端から当該切断部分と交差する方向に切込部が延びたような状態となる。この状態で、ブリスタシートの切離しをさらに進めるべくブリスタシートへと力を加えると、切込部は両フィルムを貫通するものであるため、切離用スリット又は切離用ミシン目へと力がうまく加わらず、切込部側へと力が逃げてしまいやすい。そのため、ブリスタシートの切離しに手間がかかってしまったり、逃げた力によってブリスタシートが誤って切断されてしまったりするおそれがある。
【0016】
この点、上記手段3によれば、切離用スリット又は切離用ミシン目のうち少なくとも切込部と交差する部分は、容器フィルム及びカバーフィルムを貫通している。従って、切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切断しているときに、ブリスタシートが切離用スリット又は切離用ミシン目の前記貫通部分まで切断された状態となると、当該貫通部分と切込部とが交差した状態となる。そして、この状態では、ブリスタシートの切離しをさらに進めるべくブリスタシートへと力を加えたときに、切離用スリット又は切離用ミシン目(の前記貫通部分)へと力が加わりやすくなり、切込部へと力が逃げにくくなる。これにより、ブリスタシートの切離しをより容易に行うことができ、利便性をより高めることができる。
【0017】
また、ブリスタシートの切離時に、ブリスタシートが誤って切断されてしまうといった事態をより生じにくくすることができる。これにより、ブリスタシートが誤って切断されてしまうことに伴う不具合(例えば、内容物が外気に曝されてしまったり、内容物が飛び出してしまったりすることなど)をより確実に防止することができる。
【0018】
手段4.前記一対の切込部が、1のポケット部に対し複数設けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスタシート。
【0019】
上記手段4によれば、1のポケット部に対し複数対の切込部が設けられているため、任意の切込部から捻り応力を加えることができる。従って、内容物を取出す際の利便性をより一層高めることができる。
【0020】
手段5.前記一対の切込部が、ほぼ同一直線上に設けられていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のブリスタシート。
【0021】
尚、「ほぼ同一直線上」とあるのは、一対の切込部が厳密に同一直線上に設けられている場合のみならず、両切込部が同一方向に延びるものの、当該方向と直交する方向に沿って両切込部が若干ずれている場合も含むという趣旨である。
【0022】
上記手段5によれば、切込部からポケット部側に対し捻り応力をより加えやすくなり、容器フィルム及びカバーフィルムをより容易に破断することができる。従って、内容物を一層容易に取出すことができる。また、切込部を形成するための機構を簡素化することができ、コストの増大抑制をより図ることができる。
【0023】
手段6.前記切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加える旨の前記内容物の取出方法に関する情報が表示されてなることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のブリスタシート。
【0024】
上記手段6によれば、ブリスタシートには、切込部からポケット部側に捻り応力を加えることによって内容物を取出すことができる旨の情報が表示されている。従って、当該ブリスタシートを初めて扱う者は、当該情報を確認することで、正しい取出方法を容易に理解することができる。これにより、利便性の一層の向上を図ることができる。また、誤った取出方法(例えば、ポケット部を押す方法など)が行われることによる不具合(例えば、内容物の破損など)をより確実に防止することができる。
【0025】
手段7.帯状をなす合成樹脂製の容器フィルムに形成されたポケット部に対し錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を充填した後、前記容器フィルムに対し前記ポケット部を塞ぐようにして、帯状をなし前記容器フィルムよりも薄肉で合成樹脂製のカバーフィルムを取着することにより帯状のブリスタフィルムとし、当該ブリスタフィルムをシート単位に打ち抜くことによってブリスタシートを製造するブリスタ包装機であって、
前記容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムが取着されてなる前記ブリスタフィルムをシート単位に打抜く打抜手段とを備えるとともに、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部を、前記ブリスタフィルムに対し、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成する切込部形成手段を有することを特徴とするブリスタ包装機。
【0026】
上記手段7によれば、上記手段1による作用効果が奏されるブリスタシートを製造することができる。
【0027】
手段8.少なくとも前記容器フィルムに対し、前記切込部と交差する方向に延びるとともに、前記ブリスタシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離用スリット又は切離用ミシン目を形成する切離部形成手段を備えることを特徴とする手段7に記載のブリスタ包装機。
【0028】
上記手段8によれば、上記手段2による作用効果の奏されるブリスタシートを製造することができる。
【0029】
手段9.前記切込部形成手段を、前記切離部形成手段と一体化させてなることを特徴とする手段8に記載のブリスタ包装機。
【0030】
上記手段9によれば、切込部形成手段と切離部形成手段とが一体化されているため、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ブリスタシートの平面図である。
図2】ブリスタシートの拡大断面図である。
図3】ブリスタフィルムの平面図である。
図4】ブリスタ包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】スリット形成装置等の構成を示す断面模式図である。
図6】スリット形成装置等の構成を示す斜視模式図である。
図7】切離用スリットの形成時における、スリット形成刃や容器フィルム等を示す断面模式図である。
図8】切込部の形成時における、切込部形成刃や容器フィルム等を示す断面模式図である。
図9】ペア小片に切離した状態を示す斜視図である。
図10】錠剤を取出す際の取出方法を説明するためのペア小片の斜視図である。
図11】錠剤を取出す際の取出方法を説明するためのペア小片の断面模式図である。
図12】別の実施形態における切込部の構成を示す部分拡大平面図である。
図13】別の実施形態における切込部の構成を示す部分拡大平面図である。
図14】別の実施形態におけるブリスタシートを示す平面図である。
図15】別の実施形態において、交差切込部の形成されたブリスタシートを示す平面図である。
図16】別の実施形態における切込部形成装置を示す斜視模式図である。
図17】別の実施形態におけるスリット・切込部形成装置を示す斜視模式図である。
図18】別の実施形態におけるスリット・切込部形成装置を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、ブリスタシートの構成について詳しく説明する。図1及び図2に示すように、ブリスタシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態のブリスタシート1においては、5個のポケット部2からなるポケット列が2列形成されている。
【0033】
容器フィルム3は、所定の合成樹脂〔例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の熱可塑性樹脂材料〕によって形成されている。
【0034】
カバーフィルム4は、所定の合成樹脂(例えば、容器フィルム3がPP製であれば、PP等が、容器フィルム3がPVCであれば、ポリアミド系の合成樹脂が好適に用いられる)により形成されている。
【0035】
また、容器フィルム3には、2つのポケット部2が含まれるようにペア小片6(シート小片に相当する)に切り離すことができるように複数の切離用スリット7が形成されている。本実施形態において、切離用スリット7は、ブリスタシート1の短辺方向と平行な方向に延びる溝状をなしている。
【0036】
さらに、ブリスタシート1には、容器フィルム3及びカバーフィルム4を貫通する切込部8が設けられている。切込部8は、切離用スリット7と直交する方向に沿ってポケット部2の手前(直前)まで延びている。また、切込部8は、切離用スリット7と交差した状態、又は、ブリスタシート1の端縁に貫通した状態となっている。これにより、ブリスタシート1がペア小片6に切り離されたとき、切込部8は、各ポケット部2の長手方向の略中央において、ペア小片6の両端縁からポケット部2の手前(直前:例えばポケット部2から10mm以内の位置)まで延びるようになっている。つまり、切込部8は、個々のポケット部2を挟むようにしてポケット部2ごとに少なくとも一対ずつ形成されている。また、一対の切込部8は、同一直線上に形成されている。尚、ブリスタシート1の端部には、ロットナンバー等の識別情報が刻印されたタグ部が設けられている。
【0037】
ブリスタシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のブリスタフィルム9(図3参照)がシート状に打抜かれることで製造される。
【0038】
次に、上記ブリスタシート1を製造するためのブリスタ包装機10の概略構成について図4を参照して説明する。
【0039】
図4に示すように、ブリスタ包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に捲回されている。ロール状に捲回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0040】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。本実施形態では、加熱装置15及びポケット部形成装置16が、ポケット部形成手段に相当する。
【0041】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0042】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0043】
錠剤充填装置21とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、検査装置22が配設されている。この検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行うためのものである。
【0044】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に捲回されている。
【0045】
ロール状に捲回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が融着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のブリスタフィルム9が製造される。
【0046】
フィルム受けロール20から送り出されたブリスタフィルム9は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。
【0047】
間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、ブリスタフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール27は、ブリスタフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるブリスタフィルム9の弛みを防止してブリスタフィルム9を常時緊張状態に保持する。
【0048】
フィルム受けロール20とテンションロール27との間には、ブリスタフィルム9の搬送経路に沿って、検査装置29が配設されている。この検査装置29は、主としてカバーフィルム4における亀裂や破断等の破損についての検査を行うものである。
【0049】
間欠送りロール28から送り出されたブリスタフィルム9は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。
【0050】
間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、ブリスタフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール31は、ブリスタフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのブリスタフィルム9の弛みを防止する。
【0051】
間欠送りロール28とテンションロール31との間におけるブリスタフィルム9の移送経路に沿って、スリット形成装置33と、切込部形成装置34と、刻印装置35とが順に配設されている。スリット形成装置33は、切離部形成手段を構成し、ブリスタフィルム9の所定位置に前記切離用スリット7を形成する機能を有する。切込部形成装置34は、切込部形成手段を構成し、ブリスタフィルム9の所定位置に切込部8を形成する機能を有する。また、刻印装置35はブリスタフィルム9の所定位置(例えば前記タグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0052】
間欠送りロール32から送り出されたブリスタフィルム9は、その下流側においてテンションロール36及び連続送りロール37の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール36との間には、ブリスタフィルム9の搬送経路に沿って、打抜手段としてのシート打抜装置38が配設されている。シート打抜装置38は、ブリスタフィルム9をブリスタシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0053】
シート打抜装置38によって打抜かれたブリスタシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。なお、上記各検査装置22,29によって不良品と判定されたブリスタシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0054】
前記連続送りロール37の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置38による打抜き後に帯状に残ったスクラップ部42は、前記テンションロール36及び連続送りロール37に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、前記連続送りロール37は従動ロールが圧接されており、前記スクラップ部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、スクラップ部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。裁断されたスクラップ部42は、スクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0055】
尚、上記各ロール14,19,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、各ロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が各ロール14等の凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0056】
ブリスタ包装機10の概略構成は以上のとおりであるが、次いで、スリット形成装置33及び切込部形成装置34の構成についてより具体的に説明する。まず、スリット形成装置33及び切込部形成装置34が、それぞれ共通して有している機構について説明する。
【0057】
図5に示すように、スリット形成装置33及び切込部形成装置34は、それぞれ基台51と、基台51に立設された一対のマスト52と、マスト52の上部に固定された固定プレート53とを備えている。固定プレート53には、受板54が垂下状態で支持されている。尚、スリット形成装置33の有する受板54は、下端面がフラット面となっているが、切込部形成装置34の有する受板54は、下端面に窪み状の穴部55を複数備えている(図8参照)。また、各受板54内には冷却機構を構成する冷却水通路(図示せず)が形成されており、当該冷却水通路を循環する冷却水によって、受板54が常には冷却状態に維持されるようになっている。
【0058】
マスト52は、スライドベース56のベアリング機構に挿通されており、スライドベース56は、図示しない駆動装置によって上下動可能となっている。スライドベース56の上面には加熱機構を具備するヒータブロック57が載置固定されている。当該ヒータブロック57及び受板54間において、ブリスタフィルム9は間欠搬送される。また、ヒータブロック57の両端縁には、ストッパ58が立設固定されている。
【0059】
続いて、スリット形成装置33及び切込部形成装置34の相違点について説明する。
【0060】
まず、スリット形成装置33においては、図6に示すように、ヒータブロック57の上面に複数のスリット形成刃59が配設されている。各スリット形成刃59は、ブリスタフィルム9の搬送方向に沿って延びるとともに、当該搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置されている。また、スリット形成刃59は、前記ヒータブロック57からの伝達熱によって常には加熱状態で維持されるようになっている。さらに、スリット形成刃59は、ストッパ58の上面よりもほんの少しだけ突出しており、その突出量は、容器フィルム3の厚さよりも小さなものとなっている。
【0061】
一方、切込部形成装置34においては、ヒータブロック57の上面に複数の切込部形成刃60が配設されている。各切込部形成刃60は、ブリスタフィルム9の搬送方向と直交する方向に延びるとともに、当該直交する方向に沿って等間隔に並べて設けられている。また、切込部形成刃60は、ヒータブロック57からの伝達熱によって常には加熱状態で維持されるようになっている。さらに、切込部形成刃60は、ストッパ58の上面よりも突出しており、その突出量は、容器フィルム3及びカバーフィルム4の厚さよりも十分に大きなものとなっている。尚、各切込部形成刃60と相対する位置に、前述した受板54の穴部55がそれぞれ形成されている。
【0062】
次いで、上記ブリスタ包装機10によりブリスタシート1を製造する工程のうち、特に、錠剤5がポケット部2に投入されてブリスタフィルム9が形成された後の主要な工程について説明する。
【0063】
形成されたブリスタフィルム9は、まずスリット形成工程を経る。かかるスリット形成工程では上述したスリット形成装置33が使用される。この工程では、まず、間欠搬送されるブリスタフィルム9が所定位置で停止させられると、スライドベース56がマスト52に沿って上動させられる。そして、ストッパ58が受板54に当たり、スライドベース56のそれ以上の上動が規制された状態になると、ブリスタフィルム9は、図7に示すように、スリット形成刃59及び受板54間に挟み込まれた格好となる。このとき、スリット形成刃59の先端が容器フィルム3におけるポケット部2を挟む部分に入り込み、容器フィルム3が所定量だけ切られる。これにより、容器フィルム3に対し切離用スリット7が形成される。切離用スリット7の形成後、スライドベース56は元の位置に戻る。
【0064】
次に、切離用スリット7の形成されたブリスタフィルム9は切込部形成工程を経る。切込部形成工程では、上述した切込部形成装置34が使用される。この工程では、上記スリット形成工程と同様に、間欠搬送されるブリスタフィルム9が所定位置で停止させられると、ストッパ58が受板54に接触するまで、スライドベース56が上動させられる。これにより、図8に示すように、切込部形成刃60の先端部は、ブリスタフィルム9のうちポケット部2を挟む部分を貫通し、穴部55へと入り込む。その結果、ブリスタフィルム9における切離用スリット7と交差する部分に、両フィルム3,4を貫通する切込部8が形成される。切込部8の形成後、スライドベース56は元に位置に戻る。尚、本実施形態では、各装置33,34のスライドベース56が同時期に移動することで、切離用スリット7及び切込部8が隣接するブリスタシート1単位で同時期に形成されるようになっている。
【0065】
尚、スリット形成刃59及び切込部形成刃60は、ヒータブロック57からの伝達熱によって加熱されているため、スリット形成刃59及び切込部形成刃60の円滑な切れ込みが促進され、切離用スリット7及び切込部8をより精度よく形成することができる。また、受板54は冷却水にて冷却されるため、スリット形成刃59及ぶ切込部形成刃60からの熱が容器フィルム3及びカバーフィルム4の全般に行き渡ってしまうのが抑制される。従って、それぞれ樹脂からなる容器フィルム3及びカバーフィルム4が切断されたり、融解されたりするといった事態が回避される。
【0066】
スリット形成工程及び切込部形成工程が終了すると、刻印工程へ移行する。この刻印工程では、刻印装置35が使用される。この刻印工程では、刻印装置35の有する可動型が所定の待機位置から所定の作業位置へと移動するのに伴い、ブリスタフィルム9における前記タグ部に対応する位置にロットナンバー等の識別情報が刻印される。
【0067】
刻印工程が終了すると、シート打抜工程へ移行する。シート打抜工程では、シート打抜装置38が使用される。このシート打抜工程では、シート打抜装置38の有する可動型が所定の待機位置から作業位置へと移動することにより、ブリスタフィルム9をシート単位に打抜く。その結果、ブリスタシート1を得ることができる。
【0068】
次に、このようにして得られたブリスタシート1が、その使用に際してどのように扱われるかについて説明する。
【0069】
使用にあたって、まず、ブリスタシート1は、図9に示すように、切離用スリット7において、所定の(本実施の形態では2つの)ポケット部2単位のペア小片6に切離される。かかるペア小片6において、切込部8は、ペア小片6の両側端縁からポケット部2の方へ延びている。
【0070】
そして、前記ペア小片6における切込部8の近傍部分がオペレータ(使用者)の手によって掴まれた状態で、捻り応力が加えられる。これにより、図10に示すように、切込部8の先端からポケット部2側に向けて容器フィルム3及びカバーフィルム4を破断される。そして、さらに捻り応力が加えられることで、図11に示すように、ポケット部2に対応する位置において容器フィルム3及びカバーフィルム4(少なくともカバーフィルム4)が破断される。その結果、ポケット部2内から錠剤5が容易に取り出される。
【0071】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器フィルム3及びカバーフィルム4は、合成樹脂製であり、破れにくいものとなっている。そのため、ポケット部2を押したとしても、カバーフィルム4等が破れてしまうことが起こりにくく、錠剤5がカバーフィルム4等を破って飛出してしまうという事態を効果的に抑制することができる。これにより、ブリスタシート1に、チャイルドレジスタンス機能を具備させることができる。
【0072】
また、チャイルドレジスタンス機能を具備させるがために、別材(例えば保護層)を設けたりする必要がない。従って、各種コストが増大してしまったり、環境面での悪影響が生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
【0073】
加えて、上記実施形態によれば、錠剤5の取出しに過度に手間がかかるということはなく、利便性を十分に確保することができる。一方、錠剤5を取出すためには、ブリスタシート1における切込部8の近傍部分を掴んだ上で、さらにポケット部2側に捻り応力を加える必要がある。すなわち、錠剤5を取出すためには少なくとも2つのアクションが必要となる。これにより、一層優れたチャイルドレジスタンス機能を実現することができる。
【0074】
さらに、本実施形態では、錠剤5を取出すために、切離用スリット7においてブリスタシート1を切離すというアクションが余計に必要となる。換言すれば、切離さなければ、少なくとも一方の切込部8が縁部に出現せず、捻り応力による破断は行われない。そのため、錠剤5の取出しにより多くのアクションが必要となり、その結果、チャイルドレジスタンス機能をより向上させることができる。
【0075】
併せて、一対の切込部8がほぼ同一直線上に設けられているため、切込部8からポケット部2側に対し捻り応力をより加えやすくなり、両フィルム3,4をより容易に破断することができる。従って、錠剤5を一層容易に取出すことができる。また、切込部形成装置34においては、切込部形成刃60がほぼ同一直線上に並ぶように配置される。従って、切込部形成装置34の構成を簡素化することができ、コストの増大抑制をより図ることができる。
【0076】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0077】
(a)上記実施形態において、一対の切込部8は、ペア小片6の両側端縁からポケット部2の方へと同一直線上に延びるよう構成されている。しかしながら、切込部の構成は、必ずしも上記のようなものに限定されるものではなく、切込部は、ポケット部2側に捻り応力を加えることでカバーフィルム4等を破断可能とするものであればよい。
【0078】
従って、例えば、図12に示すように、平面円形状のポケット部71を有するような場合、1のポケット部71に対し複数対の切込部72,73を形成することとしてもよい。この場合、オペレータの所望する任意の切込部72,73から捻り応力を加えることができる。結果として、取扱性の向上を図ることができる。
【0079】
また、例えば、図13に示すように、ペア小片6のコーナー部又はその近傍等から、切込部74が、その延長線がポケット部75の長手方向略中心を通るようにして、斜めに延びるよう形成してもよい。このように構成しても、基本的には上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0080】
(b)上記実施形態において、ブリスタシート1は、5個のポケット部2からなるポケット列が2列形成されたものとなっているが、ブリスタシートにおけるポケット部の配列は特に限定されるものではない。従って、例えば、図14に示すように、ブリスタシート76が、所定個数のポケット部77からなるポケット列が1列形成されてなるものであってもよい。この場合、切込部78は、ブリスタシート76の両端縁部からポケット部77の手前まで延びるとともに、ポケット部77を挟むようにして形成されていればよい。すなわち、切込部は、少なくとも使用時(錠剤5を取出すとき)に、容器フィルム3及びカバーフィルム4からなるシート部分の端縁からポケット部側へと延びるように構成されるものであればよい。
【0081】
(c)上記実施形態において、切離用スリット7は溝状をなしており、容器フィルム3及びカバーフィルム4をそれぞれ貫通しない構成とされているが、図15に示すように、切離用スリット7のうち切込部8と交差する部分を、両フィルム3,4を貫通する交差切込部79(図15中、太線で示す部位)としてもよい。この場合には、切離用スリット7においてブリスタシート1を切断しているときに、ブリスタシート1が交差切込部79まで切断された状態となると、当該交差切込部79と切込部8とが交差した状態となる。そして、この状態では、ブリスタシート1の切離しをさらに進めるべくブリスタシート1へと力を加えたときに、切離用スリット7(交差切込部79)へと力が加わりやすくなり、切込部8へと力が逃げにくくなる。これにより、ブリスタシート1の切離しをより容易に行うことができ、利便性をより高めることができる。
【0082】
また、ブリスタシート1の切離時に、ブリスタシート1が誤って切断されてしまうといった事態をより生じにくくすることができる。これにより、ブリスタシート1が誤って切断されてしまうことに伴う不具合(例えば、錠剤5が外気に曝されてしまったり、錠剤5が飛び出してしまったりすることなど)をより確実に防止することができる。
【0083】
尚、交差切込部79は、例えば、図16に示すように、切込部形成装置34において、切込部形成刃60と交差し、かつ、スリット形成刃59と同一方向に延びる交差刃61を設けることにより、切込部8と同時に形成されるようにしてもよい。
【0084】
(d)上記実施形態において、スリット形成装置33及び切込部形成装置34は、ブリスタフィルム9の搬送方向に沿って直列的に設けられているが、両者を一体化してもよい。例えば、図17に示すように、スリット形成刃59及び切込部形成刃63を互いに交差するように配置することで、スリット形成装置及び切込部形成装置が一体化されてなるスリット・切込部形成装置62としてもよい。この場合には、スリット形成装置及び切込部形成装置を別々に設けた場合と比べて、ブリスタ包装機10の小型化を図ることができる。
【0085】
また、交差切込部79を設ける場合には、図18に示すように、交差切込部79を形成するための交差刃64をスリット形成刃59と一体に設けることとしてもよい。
【0086】
(e)上記実施形態では特に言及していないが、錠剤5の取出方法に関する情報をブリスタシート1に表示することとしてもよい。具体的には、ブリスタシート1の所定部位(例えば、前記タグ部等)に、切込部8からポケット部2側に捻り応力を加えることでカバーフィルム4等を破断することにより、錠剤5が取出される旨の文字、絵等を設けることとしてもよい。この場合、ブリスタシート1を初めて扱う者は、当該情報を確認することで、正しい取出方法を容易に理解することができる。これにより、利便性の一層の向上を図ることができる。また、誤った取出方法(例えば、ポケット部2を押す方法など)が行われることによる不具合(例えば、錠剤5の破損など)をより確実に防止することができる。
【0087】
尚、前記情報とともに、ポケット部2の押圧禁止を示す旨の情報をブリスタシート1に表示させることとしてもよい。この場合には、ポケット部2が押圧されることに伴う不具合(例えば、錠剤5の破損等)を一層確実に防止することができる。
【0088】
また、これらの情報は、例えば、前記刻印装置35により設けることとしてもよいし、例えば、所定の印刷装置により設けることとしてもよい。
【0089】
(f)上記実施形態のブリスタシート1には切離用スリット7が設けられているが、切離用スリット7に代えて、ミシン目状の貫通切線である切離用ミシン目を設けることとしてもよい。また、切離用ミシン目を設ける場合、切離用ミシン目を形成するための切離部形成手段としてのミシン目形成装置をブリスタ包装機10に設けてもよい。尚、ミシン目形成装置としては、例えば、スリット形成装置33において、スリット形成刃59に代えて、ブリスタフィルム9に対し切離用ミシン目を貫通形成するためのミシン目形成刃(例えば、鋸状の刃等)が設けられたものを挙げることができる。
【0090】
(g)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物は、カプセル(医薬品や栄養食品等)であってもよい。
【0091】
(h)容器フィルム3及びカバーフィルム4の材料は上記実施形態にて挙げたものに限定されず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0092】
1…ブリスタシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、6…ペア小片(シート小片)、7…切離用スリット、8…切込部、9…ブリスタフィルム、10…ブリスタ包装機、15…加熱装置(ポケット部形成手段)、16…ポケット部形成装置(ポケット部形成手段)、20…フィルム受けロール(取着手段)、21…錠剤充填装置(充填手段)、25…加熱ロール(取着手段)、33…スリット形成装置(切離部形成手段)、34…切込部形成装置(切込部形成手段)、38…シート打抜装置(打抜手段)、79…交差切込部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2016年5月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を収容する複数のポケット部を備えた容器フィルムと、
前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを有するブリスタシートであって、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムは、それぞれ合成樹脂製であるとともに、
前記カバーフィルムは、前記容器フィルムよりも薄肉であり、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部が、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成され、
前記一対の切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加えることで、前記切込部から前記ポケット部側に前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを破断するとともに、前記ポケット部に対応する位置において少なくとも前記カバーフィルムを破断し、前記カバーフィルムの破断部分から前記内容物を取出可能とし
少なくとも前記容器フィルムには、所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリット又は切離用ミシン目が形成され、
前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目は、前記切込部と交差するように延びており、
前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目のうち少なくとも前記切込部と交差する部分は、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通することを特徴とするブリスタシート。
【請求項2】
前記一対の切込部が、1のポケット部に対し複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のブリスタシート。
【請求項3】
前記一対の切込部が、ほぼ同一直線上に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブリスタシート。
【請求項4】
前記切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加える旨の前記内容物の取出方法に関する情報が表示されてなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のブリスタシート。
【請求項5】
帯状をなす合成樹脂製の容器フィルムに形成されたポケット部に対し錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を充填した後、前記容器フィルムに対し前記ポケット部を塞ぐようにして、帯状をなし前記容器フィルムよりも薄肉で合成樹脂製のカバーフィルムを取着することにより帯状のブリスタフィルムとし、当該ブリスタフィルムをシート単位に打ち抜くことによってブリスタシートを製造するブリスタ包装機であって、
前記容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムが取着されてなる前記ブリスタフィルムをシート単位に打抜く打抜手段とを備えるとともに、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部を、前記ブリスタフィルムに対し、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成する切込部形成手段を有し、
少なくとも前記容器フィルムに対し、前記切込部と交差する方向に延びるとともに、前記ブリスタシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離用スリット又は切離用ミシン目を形成する切離部形成手段を備え、
前記切離部形成手段は、前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目のうち少なくとも前記切込部と交差する部分において、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通するよう前記切離用スリット又は切離用ミシン目を形成することを特徴とするブリスタ包装機。
【請求項6】
前記切込部形成手段を、前記切離部形成手段と一体化させてなることを特徴とする請求項に記載のブリスタ包装機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤やカプセルを収容するブリスタシート及びブリスタシートを製造するためのブリスタ包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリスタシートは、各種内容物が充填されるポケット部の形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備える。また、カバーフィルムを構成する素材としては、比較的破れやすいアルミニウム箔などが採用される。すなわち、ポケット部を押すことにより、アルミニウム箔が破れ、内容物(例えば、錠剤やカプセル等)が取出される。
【0003】
ところで、このようなブリスタシートは、内容物を非常に容易に取り出せるため、利便性に優れるものの、その一方で、小さな子供や老人であっても内容物を容易に取り出せてしまう。そのため、内容物の誤飲などを招いてしまうおそれがある。そこで、ブリスタシートに対し、小さな子供等が容易に取り出せない機能(チャイルドレジスタンス機能)を付与すべく、カバーフィルムに対し保護層を設ける手法が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−170464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記手法では、保護層を余分に設ける必要があるため、材料費の増大や製造時の工程の複雑化を招いてしまい、各種コストの増大を招いてしまうおそれがある。また、保護層を余分に設けることは、環境面から決して好ましいとは言えない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、チャイルドレジスタンス機能を備えつつ、各種コストの増大防止等をより確実に図ることができるブリスタシート及びブリスタ包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を収容する複数のポケット部を備えた容器フィルムと、
前記ポケット部を塞ぐようにして前記容器フィルムに取着されたカバーフィルムとを有するブリスタシートであって、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムは、それぞれ合成樹脂製であるとともに、
前記カバーフィルムは、前記容器フィルムよりも薄肉であり、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部が、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成され、
前記一対の切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加えることで、前記切込部から前記ポケット部側に前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを破断するとともに、前記ポケット部に対応する位置において少なくとも前記カバーフィルムを破断し、前記カバーフィルムの破断部分から前記内容物を取出可能とし
少なくとも前記容器フィルムには、所定のポケット部単位のシート小片に切離し可能とするための切離用スリット又は切離用ミシン目が形成され、
前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目は、前記切込部と交差するように延びており、
前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目のうち少なくとも前記切込部と交差する部分は、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通することを特徴とするブリスタシート。
【0009】
上記手段1によれば、容器フィルム及びカバーフィルムは、合成樹脂製であり、破れにくいものとなっている。そのため、ポケット部を押したとしても、カバーフィルム等が破れてしまうことが起こりにくく、内容物がカバーフィルム等を破って飛出してしまうという事態を効果的に抑制することができる。これにより、ブリスタシートに、チャイルドレジスタンス機能を具備させることができる。
【0010】
また、上記手段1によれば、別材(例えば保護層)を設けたりする必要がない。従って、チャイルドレジスタンス機能を具備させるがために、各種コストが増大してしまったり、環境面での悪影響が生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
【0011】
加えて、上記手段1によれば、一対の切込部からポケット部側に捻り応力を加えることで、切込部からポケット部側へと容器フィルム及びカバーフィルムが破断されるとともに、ポケット部に対応する位置では、両フィルムのうち少なくとも比較的薄肉なカバーフィルムが破断される。そして、カバーフィルムの破断部分から内容物を取出すことができる。従って、内容物の取出しに過度に手間がかかるということはなく、利便性を十分に確保することができる。一方、内容物を取出すためには、ブリスタシートにおける切込部の近傍部分を掴んだ上で、さらにポケット部側に捻り応力を加える必要がある。すなわち、内容物を取出すためには少なくとも2つのアクションが必要となる〔一般的なブリスタシート(PTPシート)では、ポケット部を押すという1アクションのみで内容物が取出せる〕。これにより、一層優れたチャイルドレジスタンス機能を実現することができる。
【0012】
また、切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切離し、シート小片としたときに、シート小片の端縁部に切込部が現れることとなる。その上で、シート小片における切込部の近傍部分を掴んだ上で、さらにポケット部側に捻り応力を加えることにより、内容物を取出すことができる。従って、内容物を取出すために、切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切離すというアクションが余計に必要となる。換言すれば、切離さなければ、少なくとも一方の切込部が縁部に出現せず、捻り応力による破断は行われない。そのため、内容物の取出しにより多くのアクションが必要となり、その結果、チャイルドレジスタンス機能をより向上させることができる。
【0013】
また、切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切断しているときに、ブリスタシートが切込部まで切断された状態になると、当該切断部分の先端から当該切断部分と交差する方向に切込部が延びたような状態となる。この状態で、ブリスタシートの切離しをさらに進めるべくブリスタシートへと力を加えると、切込部は両フィルムを貫通するものであるため、切離用スリット又は切離用ミシン目へと力がうまく加わらず、切込部側へと力が逃げてしまいやすい。そのため、ブリスタシートの切離しに手間がかかってしまったり、逃げた力によってブリスタシートが誤って切断されてしまったりするおそれがある。
【0014】
この点、上記手段によれば、切離用スリット又は切離用ミシン目のうち少なくとも切込部と交差する部分は、容器フィルム及びカバーフィルムを貫通している。従って、切離用スリット又は切離用ミシン目においてブリスタシートを切断しているときに、ブリスタシートが切離用スリット又は切離用ミシン目の前記貫通部分まで切断された状態となると、当該貫通部分と切込部とが交差した状態となる。そして、この状態では、ブリスタシートの切離しをさらに進めるべくブリスタシートへと力を加えたときに、切離用スリット又は切離用ミシン目(の前記貫通部分)へと力が加わりやすくなり、切込部へと力が逃げにくくなる。これにより、ブリスタシートの切離しをより容易に行うことができ、利便性をより高めることができる。
【0015】
また、ブリスタシートの切離時に、ブリスタシートが誤って切断されてしまうといった事態をより生じにくくすることができる。これにより、ブリスタシートが誤って切断されてしまうことに伴う不具合(例えば、内容物が外気に曝されてしまったり、内容物が飛び出してしまったりすることなど)をより確実に防止することができる。
【0016】
手段.前記一対の切込部が、1のポケット部に対し複数設けられていることを特徴とする手段1に記載のブリスタシート。
【0017】
上記手段によれば、1のポケット部に対し複数対の切込部が設けられているため、任意の切込部から捻り応力を加えることができる。従って、内容物を取出す際の利便性をより一層高めることができる。
【0018】
手段.前記一対の切込部が、ほぼ同一直線上に設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載のブリスタシート。
【0019】
尚、「ほぼ同一直線上」とあるのは、一対の切込部が厳密に同一直線上に設けられている場合のみならず、両切込部が同一方向に延びるものの、当該方向と直交する方向に沿って両切込部が若干ずれている場合も含むという趣旨である。
【0020】
上記手段によれば、切込部からポケット部側に対し捻り応力をより加えやすくなり、容器フィルム及びカバーフィルムをより容易に破断することができる。従って、内容物を一層容易に取出すことができる。また、切込部を形成するための機構を簡素化することができ、コストの増大抑制をより図ることができる。
【0021】
手段.前記切込部から前記ポケット部側に捻り応力を加える旨の前記内容物の取出方法に関する情報が表示されてなることを特徴とする手段1乃至のいずれかに記載のブリスタシート。
【0022】
上記手段によれば、ブリスタシートには、切込部からポケット部側に捻り応力を加えることによって内容物を取出すことができる旨の情報が表示されている。従って、当該ブリスタシートを初めて扱う者は、当該情報を確認することで、正しい取出方法を容易に理解することができる。これにより、利便性の一層の向上を図ることができる。また、誤った取出方法(例えば、ポケット部を押す方法など)が行われることによる不具合(例えば、内容物の破損など)をより確実に防止することができる。
【0023】
手段5.帯状をなす合成樹脂製の容器フィルムに形成されたポケット部に対し錠剤及びカプセルの少なくとも一方である内容物を充填した後、前記容器フィルムに対し前記ポケット部を塞ぐようにして、帯状をなし前記容器フィルムよりも薄肉で合成樹脂製のカバーフィルムを取着することにより帯状のブリスタフィルムとし、当該ブリスタフィルムをシート単位に打ち抜くことによってブリスタシートを製造するブリスタ包装機であって、
前記容器フィルムに前記ポケット部を形成するポケット部形成手段と、
前記ポケット部に前記内容物を充填する充填手段と、
前記ポケット部に前記内容物が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして前記カバーフィルムを取着する取着手段と、
前記容器フィルムに対し前記カバーフィルムが取着されてなる前記ブリスタフィルムをシート単位に打抜く打抜手段とを備えるとともに、
前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通し、前記ポケット部の手前まで延びる切込部を、前記ブリスタフィルムに対し、個々の前記ポケット部を挟むようにして前記ポケット部ごとに少なくとも一対ずつ形成する切込部形成手段を有し、
少なくとも前記容器フィルムに対し、前記切込部と交差する方向に延びるとともに、前記ブリスタシートを所定のポケット部単位のシート小片に切離すための切離用スリット又は切離用ミシン目を形成する切離部形成手段を備え、
前記切離部形成手段は、前記切離用スリット又は前記切離用ミシン目のうち少なくとも前記切込部と交差する部分において、前記容器フィルム及び前記カバーフィルムを貫通するよう前記切離用スリット又は切離用ミシン目を形成することを特徴とするブリスタ包装機。
【0024】
上記手段によれば、上記手段1による作用効果が奏されるブリスタシートを製造することができる。
【0025】
手段.前記切込部形成手段を、前記切離部形成手段と一体化させてなることを特徴とする手段に記載のブリスタ包装機。
【0026】
上記手段によれば、切込部形成手段と切離部形成手段とが一体化されているため、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ブリスタシートの平面図である。
図2】ブリスタシートの拡大断面図である。
図3】ブリスタフィルムの平面図である。
図4】ブリスタ包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】スリット形成装置等の構成を示す断面模式図である。
図6】スリット形成装置等の構成を示す斜視模式図である。
図7】切離用スリットの形成時における、スリット形成刃や容器フィルム等を示す断面模式図である。
図8】切込部の形成時における、切込部形成刃や容器フィルム等を示す断面模式図である。
図9】ペア小片に切離した状態を示す斜視図である。
図10】錠剤を取出す際の取出方法を説明するためのペア小片の斜視図である。
図11】錠剤を取出す際の取出方法を説明するためのペア小片の断面模式図である。
図12】別の実施形態における切込部の構成を示す部分拡大平面図である。
図13】別の実施形態における切込部の構成を示す部分拡大平面図である。
図14】別の実施形態におけるブリスタシートを示す平面図である。
図15】別の実施形態において、交差切込部の形成されたブリスタシートを示す平面図である。
図16】別の実施形態における切込部形成装置を示す斜視模式図である。
図17】別の実施形態におけるスリット・切込部形成装置を示す斜視模式図である。
図18】別の実施形態におけるスリット・切込部形成装置を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、ブリスタシートの構成について詳しく説明する。図1及び図2に示すように、ブリスタシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態のブリスタシート1においては、5個のポケット部2からなるポケット列が2列形成されている。
【0029】
容器フィルム3は、所定の合成樹脂〔例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の熱可塑性樹脂材料〕によって形成されている。
【0030】
カバーフィルム4は、所定の合成樹脂(例えば、容器フィルム3がPP製であれば、PP等が、容器フィルム3がPVCであれば、ポリアミド系の合成樹脂が好適に用いられる)により形成されている。
【0031】
また、容器フィルム3には、2つのポケット部2が含まれるようにペア小片6(シート小片に相当する)に切り離すことができるように複数の切離用スリット7が形成されている。本実施形態において、切離用スリット7は、ブリスタシート1の短辺方向と平行な方向に延びる溝状をなしている。
【0032】
さらに、ブリスタシート1には、容器フィルム3及びカバーフィルム4を貫通する切込部8が設けられている。切込部8は、切離用スリット7と直交する方向に沿ってポケット部2の手前(直前)まで延びている。また、切込部8は、切離用スリット7と交差した状態、又は、ブリスタシート1の端縁に貫通した状態となっている。これにより、ブリスタシート1がペア小片6に切り離されたとき、切込部8は、各ポケット部2の長手方向の略中央において、ペア小片6の両端縁からポケット部2の手前(直前:例えばポケット部2から10mm以内の位置)まで延びるようになっている。つまり、切込部8は、個々のポケット部2を挟むようにしてポケット部2ごとに少なくとも一対ずつ形成されている。また、一対の切込部8は、同一直線上に形成されている。尚、ブリスタシート1の端部には、ロットナンバー等の識別情報が刻印されたタグ部が設けられている。
【0033】
ブリスタシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のブリスタフィルム9(図3参照)がシート状に打抜かれることで製造される。
【0034】
次に、上記ブリスタシート1を製造するためのブリスタ包装機10の概略構成について図4を参照して説明する。
【0035】
図4に示すように、ブリスタ包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に捲回されている。ロール状に捲回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0036】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。本実施形態では、加熱装置15及びポケット部形成装置16が、ポケット部形成手段に相当する。
【0037】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0038】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21が配設されている。錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0039】
錠剤充填装置21とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、検査装置22が配設されている。この検査装置22は、例えば錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、錠剤5の異常の有無、ポケット部2への異物混入の有無など、主として錠剤不良に関する検査を行うためのものである。
【0040】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に捲回されている。
【0041】
ロール状に捲回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3にカバーフィルム4が融着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のブリスタフィルム9が製造される。
【0042】
フィルム受けロール20から送り出されたブリスタフィルム9は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。
【0043】
間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、ブリスタフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール27は、ブリスタフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるブリスタフィルム9の弛みを防止してブリスタフィルム9を常時緊張状態に保持する。
【0044】
フィルム受けロール20とテンションロール27との間には、ブリスタフィルム9の搬送経路に沿って、検査装置29が配設されている。この検査装置29は、主としてカバーフィルム4における亀裂や破断等の破損についての検査を行うものである。
【0045】
間欠送りロール28から送り出されたブリスタフィルム9は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。
【0046】
間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、ブリスタフィルム9を間欠的に搬送する。テンションロール31は、ブリスタフィルム9を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのブリスタフィルム9の弛みを防止する。
【0047】
間欠送りロール28とテンションロール31との間におけるブリスタフィルム9の移送経路に沿って、スリット形成装置33と、切込部形成装置34と、刻印装置35とが順に配設されている。スリット形成装置33は、切離部形成手段を構成し、ブリスタフィルム9の所定位置に前記切離用スリット7を形成する機能を有する。切込部形成装置34は、切込部形成手段を構成し、ブリスタフィルム9の所定位置に切込部8を形成する機能を有する。また、刻印装置35はブリスタフィルム9の所定位置(例えば前記タグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0048】
間欠送りロール32から送り出されたブリスタフィルム9は、その下流側においてテンションロール36及び連続送りロール37の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール36との間には、ブリスタフィルム9の搬送経路に沿って、打抜手段としてのシート打抜装置38が配設されている。シート打抜装置38は、ブリスタフィルム9をブリスタシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0049】
シート打抜装置38によって打抜かれたブリスタシート1は、取出しコンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。なお、上記各検査装置22,29によって不良品と判定されたブリスタシート1は、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0050】
前記連続送りロール37の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置38による打抜き後に帯状に残ったスクラップ部42は、前記テンションロール36及び連続送りロール37に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、前記連続送りロール37は従動ロールが圧接されており、前記スクラップ部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、スクラップ部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。裁断されたスクラップ部42は、スクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0051】
尚、上記各ロール14,19,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、各ロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が各ロール14等の凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0052】
ブリスタ包装機10の概略構成は以上のとおりであるが、次いで、スリット形成装置33及び切込部形成装置34の構成についてより具体的に説明する。まず、スリット形成装置33及び切込部形成装置34が、それぞれ共通して有している機構について説明する。
【0053】
図5に示すように、スリット形成装置33及び切込部形成装置34は、それぞれ基台51と、基台51に立設された一対のマスト52と、マスト52の上部に固定された固定プレート53とを備えている。固定プレート53には、受板54が垂下状態で支持されている。尚、スリット形成装置33の有する受板54は、下端面がフラット面となっているが、切込部形成装置34の有する受板54は、下端面に窪み状の穴部55を複数備えている(図8参照)。また、各受板54内には冷却機構を構成する冷却水通路(図示せず)が形成されており、当該冷却水通路を循環する冷却水によって、受板54が常には冷却状態に維持されるようになっている。
【0054】
マスト52は、スライドベース56のベアリング機構に挿通されており、スライドベース56は、図示しない駆動装置によって上下動可能となっている。スライドベース56の上面には加熱機構を具備するヒータブロック57が載置固定されている。当該ヒータブロック57及び受板54間において、ブリスタフィルム9は間欠搬送される。また、ヒータブロック57の両端縁には、ストッパ58が立設固定されている。
【0055】
続いて、スリット形成装置33及び切込部形成装置34の相違点について説明する。
【0056】
まず、スリット形成装置33においては、図6に示すように、ヒータブロック57の上面に複数のスリット形成刃59が配設されている。各スリット形成刃59は、ブリスタフィルム9の搬送方向に沿って延びるとともに、当該搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置されている。また、スリット形成刃59は、前記ヒータブロック57からの伝達熱によって常には加熱状態で維持されるようになっている。さらに、スリット形成刃59は、ストッパ58の上面よりもほんの少しだけ突出しており、その突出量は、容器フィルム3の厚さよりも小さなものとなっている。
【0057】
一方、切込部形成装置34においては、ヒータブロック57の上面に複数の切込部形成刃60が配設されている。各切込部形成刃60は、ブリスタフィルム9の搬送方向と直交する方向に延びるとともに、当該直交する方向に沿って等間隔に並べて設けられている。また、切込部形成刃60は、ヒータブロック57からの伝達熱によって常には加熱状態で維持されるようになっている。さらに、切込部形成刃60は、ストッパ58の上面よりも突出しており、その突出量は、容器フィルム3及びカバーフィルム4の厚さよりも十分に大きなものとなっている。尚、各切込部形成刃60と相対する位置に、前述した受板54の穴部55がそれぞれ形成されている。
【0058】
次いで、上記ブリスタ包装機10によりブリスタシート1を製造する工程のうち、特に、錠剤5がポケット部2に投入されてブリスタフィルム9が形成された後の主要な工程について説明する。
【0059】
形成されたブリスタフィルム9は、まずスリット形成工程を経る。かかるスリット形成工程では上述したスリット形成装置33が使用される。この工程では、まず、間欠搬送されるブリスタフィルム9が所定位置で停止させられると、スライドベース56がマスト52に沿って上動させられる。そして、ストッパ58が受板54に当たり、スライドベース56のそれ以上の上動が規制された状態になると、ブリスタフィルム9は、図7に示すように、スリット形成刃59及び受板54間に挟み込まれた格好となる。このとき、スリット形成刃59の先端が容器フィルム3におけるポケット部2を挟む部分に入り込み、容器フィルム3が所定量だけ切られる。これにより、容器フィルム3に対し切離用スリット7が形成される。切離用スリット7の形成後、スライドベース56は元の位置に戻る。
【0060】
次に、切離用スリット7の形成されたブリスタフィルム9は切込部形成工程を経る。切込部形成工程では、上述した切込部形成装置34が使用される。この工程では、上記スリット形成工程と同様に、間欠搬送されるブリスタフィルム9が所定位置で停止させられると、ストッパ58が受板54に接触するまで、スライドベース56が上動させられる。これにより、図8に示すように、切込部形成刃60の先端部は、ブリスタフィルム9のうちポケット部2を挟む部分を貫通し、穴部55へと入り込む。その結果、ブリスタフィルム9における切離用スリット7と交差する部分に、両フィルム3,4を貫通する切込部8が形成される。切込部8の形成後、スライドベース56は元に位置に戻る。尚、本実施形態では、各装置33,34のスライドベース56が同時期に移動することで、切離用スリット7及び切込部8が隣接するブリスタシート1単位で同時期に形成されるようになっている。
【0061】
尚、スリット形成刃59及び切込部形成刃60は、ヒータブロック57からの伝達熱によって加熱されているため、スリット形成刃59及び切込部形成刃60の円滑な切れ込みが促進され、切離用スリット7及び切込部8をより精度よく形成することができる。また、受板54は冷却水にて冷却されるため、スリット形成刃59及ぶ切込部形成刃60からの熱が容器フィルム3及びカバーフィルム4の全般に行き渡ってしまうのが抑制される。従って、それぞれ樹脂からなる容器フィルム3及びカバーフィルム4が切断されたり、融解されたりするといった事態が回避される。
【0062】
スリット形成工程及び切込部形成工程が終了すると、刻印工程へ移行する。この刻印工程では、刻印装置35が使用される。この刻印工程では、刻印装置35の有する可動型が所定の待機位置から所定の作業位置へと移動するのに伴い、ブリスタフィルム9における前記タグ部に対応する位置にロットナンバー等の識別情報が刻印される。
【0063】
刻印工程が終了すると、シート打抜工程へ移行する。シート打抜工程では、シート打抜装置38が使用される。このシート打抜工程では、シート打抜装置38の有する可動型が所定の待機位置から作業位置へと移動することにより、ブリスタフィルム9をシート単位に打抜く。その結果、ブリスタシート1を得ることができる。
【0064】
次に、このようにして得られたブリスタシート1が、その使用に際してどのように扱われるかについて説明する。
【0065】
使用にあたって、まず、ブリスタシート1は、図9に示すように、切離用スリット7において、所定の(本実施の形態では2つの)ポケット部2単位のペア小片6に切離される。かかるペア小片6において、切込部8は、ペア小片6の両側端縁からポケット部2の方へ延びている。
【0066】
そして、前記ペア小片6における切込部8の近傍部分がオペレータ(使用者)の手によって掴まれた状態で、捻り応力が加えられる。これにより、図10に示すように、切込部8の先端からポケット部2側に向けて容器フィルム3及びカバーフィルム4を破断される。そして、さらに捻り応力が加えられることで、図11に示すように、ポケット部2に対応する位置において容器フィルム3及びカバーフィルム4(少なくともカバーフィルム4)が破断される。その結果、ポケット部2内から錠剤5が容易に取り出される。
【0067】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器フィルム3及びカバーフィルム4は、合成樹脂製であり、破れにくいものとなっている。そのため、ポケット部2を押したとしても、カバーフィルム4等が破れてしまうことが起こりにくく、錠剤5がカバーフィルム4等を破って飛出してしまうという事態を効果的に抑制することができる。これにより、ブリスタシート1に、チャイルドレジスタンス機能を具備させることができる。
【0068】
また、チャイルドレジスタンス機能を具備させるがために、別材(例えば保護層)を設けたりする必要がない。従って、各種コストが増大してしまったり、環境面での悪影響が生じてしまったりすることをより確実に防止できる。
【0069】
加えて、上記実施形態によれば、錠剤5の取出しに過度に手間がかかるということはなく、利便性を十分に確保することができる。一方、錠剤5を取出すためには、ブリスタシート1における切込部8の近傍部分を掴んだ上で、さらにポケット部2側に捻り応力を加える必要がある。すなわち、錠剤5を取出すためには少なくとも2つのアクションが必要となる。これにより、一層優れたチャイルドレジスタンス機能を実現することができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、錠剤5を取出すために、切離用スリット7においてブリスタシート1を切離すというアクションが余計に必要となる。換言すれば、切離さなければ、少なくとも一方の切込部8が縁部に出現せず、捻り応力による破断は行われない。そのため、錠剤5の取出しにより多くのアクションが必要となり、その結果、チャイルドレジスタンス機能をより向上させることができる。
【0071】
併せて、一対の切込部8がほぼ同一直線上に設けられているため、切込部8からポケット部2側に対し捻り応力をより加えやすくなり、両フィルム3,4をより容易に破断することができる。従って、錠剤5を一層容易に取出すことができる。また、切込部形成装置34においては、切込部形成刃60がほぼ同一直線上に並ぶように配置される。従って、切込部形成装置34の構成を簡素化することができ、コストの増大抑制をより図ることができる。
【0072】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0073】
(a)上記実施形態において、一対の切込部8は、ペア小片6の両側端縁からポケット部2の方へと同一直線上に延びるよう構成されている。しかしながら、切込部の構成は、必ずしも上記のようなものに限定されるものではなく、切込部は、ポケット部2側に捻り応力を加えることでカバーフィルム4等を破断可能とするものであればよい。
【0074】
従って、例えば、図12に示すように、平面円形状のポケット部71を有するような場合、1のポケット部71に対し複数対の切込部72,73を形成することとしてもよい。この場合、オペレータの所望する任意の切込部72,73から捻り応力を加えることができる。結果として、取扱性の向上を図ることができる。
【0075】
また、例えば、図13に示すように、ペア小片6のコーナー部又はその近傍等から、切込部74が、その延長線がポケット部75の長手方向略中心を通るようにして、斜めに延びるよう形成してもよい。このように構成しても、基本的には上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0076】
(b)上記実施形態において、ブリスタシート1は、5個のポケット部2からなるポケット列が2列形成されたものとなっているが、ブリスタシートにおけるポケット部の配列は特に限定されるものではない。従って、例えば、図14に示すように、ブリスタシート76が、所定個数のポケット部77からなるポケット列が1列形成されてなるものであってもよい。この場合、切込部78は、ブリスタシート76の両端縁部からポケット部77の手前まで延びるとともに、ポケット部77を挟むようにして形成されていればよい。すなわち、切込部は、少なくとも使用時(錠剤5を取出すとき)に、容器フィルム3及びカバーフィルム4からなるシート部分の端縁からポケット部側へと延びるように構成されるものであればよい。
【0077】
(c)上記実施形態において、切離用スリット7は溝状をなしており、容器フィルム3及びカバーフィルム4をそれぞれ貫通しない構成とされているが、図15に示すように、切離用スリット7のうち切込部8と交差する部分を、両フィルム3,4を貫通する交差切込部79(図15中、太線で示す部位)としてもよい。この場合には、切離用スリット7においてブリスタシート1を切断しているときに、ブリスタシート1が交差切込部79まで切断された状態となると、当該交差切込部79と切込部8とが交差した状態となる。そして、この状態では、ブリスタシート1の切離しをさらに進めるべくブリスタシート1へと力を加えたときに、切離用スリット7(交差切込部79)へと力が加わりやすくなり、切込部8へと力が逃げにくくなる。これにより、ブリスタシート1の切離しをより容易に行うことができ、利便性をより高めることができる。
【0078】
また、ブリスタシート1の切離時に、ブリスタシート1が誤って切断されてしまうといった事態をより生じにくくすることができる。これにより、ブリスタシート1が誤って切断されてしまうことに伴う不具合(例えば、錠剤5が外気に曝されてしまったり、錠剤5が飛び出してしまったりすることなど)をより確実に防止することができる。
【0079】
尚、交差切込部79は、例えば、図16に示すように、切込部形成装置34において、切込部形成刃60と交差し、かつ、スリット形成刃59と同一方向に延びる交差刃61を設けることにより、切込部8と同時に形成されるようにしてもよい。
【0080】
(d)上記実施形態において、スリット形成装置33及び切込部形成装置34は、ブリスタフィルム9の搬送方向に沿って直列的に設けられているが、両者を一体化してもよい。例えば、図17に示すように、スリット形成刃59及び切込部形成刃63を互いに交差するように配置することで、スリット形成装置及び切込部形成装置が一体化されてなるスリット・切込部形成装置62としてもよい。この場合には、スリット形成装置及び切込部形成装置を別々に設けた場合と比べて、ブリスタ包装機10の小型化を図ることができる。
【0081】
また、交差切込部79を設ける場合には、図18に示すように、交差切込部79を形成するための交差刃64をスリット形成刃59と一体に設けることとしてもよい。
【0082】
(e)上記実施形態では特に言及していないが、錠剤5の取出方法に関する情報をブリスタシート1に表示することとしてもよい。具体的には、ブリスタシート1の所定部位(例えば、前記タグ部等)に、切込部8からポケット部2側に捻り応力を加えることでカバーフィルム4等を破断することにより、錠剤5が取出される旨の文字、絵等を設けることとしてもよい。この場合、ブリスタシート1を初めて扱う者は、当該情報を確認することで、正しい取出方法を容易に理解することができる。これにより、利便性の一層の向上を図ることができる。また、誤った取出方法(例えば、ポケット部2を押す方法など)が行われることによる不具合(例えば、錠剤5の破損など)をより確実に防止することができる。
【0083】
尚、前記情報とともに、ポケット部2の押圧禁止を示す旨の情報をブリスタシート1に表示させることとしてもよい。この場合には、ポケット部2が押圧されることに伴う不具合(例えば、錠剤5の破損等)を一層確実に防止することができる。
【0084】
また、これらの情報は、例えば、前記刻印装置35により設けることとしてもよいし、例えば、所定の印刷装置により設けることとしてもよい。
【0085】
(f)上記実施形態のブリスタシート1には切離用スリット7が設けられているが、切離用スリット7に代えて、ミシン目状の貫通切線である切離用ミシン目を設けることとしてもよい。また、切離用ミシン目を設ける場合、切離用ミシン目を形成するための切離部形成手段としてのミシン目形成装置をブリスタ包装機10に設けてもよい。尚、ミシン目形成装置としては、例えば、スリット形成装置33において、スリット形成刃59に代えて、ブリスタフィルム9に対し切離用ミシン目を貫通形成するためのミシン目形成刃(例えば、鋸状の刃等)が設けられたものを挙げることができる。
【0086】
(g)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物は、カプセル(医薬品や栄養食品等)であってもよい。
【0087】
(h)容器フィルム3及びカバーフィルム4の材料は上記実施形態にて挙げたものに限定されず、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…ブリスタシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤(内容物)、6…ペア小片(シート小片)、7…切離用スリット、8…切込部、9…ブリスタフィルム、10…ブリスタ包装機、15…加熱装置(ポケット部形成手段)、16…ポケット部形成装置(ポケット部形成手段)、20…フィルム受けロール(取着手段)、21…錠剤充填装置(充填手段)、25…加熱ロール(取着手段)、33…スリット形成装置(切離部形成手段)、34…切込部形成装置(切込部形成手段)、38…シート打抜装置(打抜手段)、79…交差切込部。