【解決手段】リング中間部(1a)を介してキーリング(1)を装着することが可能なケース(22)と、ケース(22)に対して変位可能に収容されるスライド部材(21)と、を備え、スライド部材(21)は、キーリング(1)のリング中間部(1a)のロックが解除される解除位置と、リング中間部(1a)がロックされるロック位置と、の間を、ケース(22)に装着されたキーリング(1)と独立して変位するようにケース(22)に対して収容され、上記解除位置においては、スライド部材(21)のロックボタン(21a)がケース(22)の一端から突出し、上記ロック位置においては、スライド部材(21)のロックボタン(21a)がケース(22)の内部に収容される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、ケースに対するスライド体の相対位置の変化が、スライド体に装着された状態で追随して可動する線状部材に隠れて見えづらい構成なので、線状部材がロックされているのか、ロックが解除されているのかが外部から判別しづらいという問題点がある。このため、上記従来技術では、線状部材の両端部のロックが解除された状態で(ロックをし忘れた状態で)、鍵ホルダが鍵管理装置に返却されてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、以上の問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、キーリングのリング中間部のロックし忘れを抑制することができる封緘具などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る封緘具は、鍵の着脱が可能なキーリングにおいて端部よりも中間側に位置するリング中間部をロックする封緘具であって、上記リング中間部を介して上記キーリングを装着することが可能なケースと、上記ケースに対して変位可能に収容されるスライド部材と、を備え、上記スライド部材は、上記キーリングの上記リング中間部のロックが解除される解除位置と、上記リング中間部がロックされるロック位置と、の間を、上記ケースに装着された上記キーリングと独立して変位するように上記ケースに対して収容され、上記解除位置においては、上記スライド部材の一部が上記ケースの一端から突出し、上記ロック位置においては、上記スライド部材の一部が上記ケースの内部に収容されることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、キーリングのリング中間部のロックが解除される解除位置においては、スライド部材の一部がケースの一端から突出する。一方、リング中間部がロックされるロック位置においては、スライド部材の一部がケースの内部に収容される。このため、スライド部材の一部がケースの一端から突出しているか、スライド部材の一部がケースの内部に収容されているかによって、キーリングのリング中間部がロックされているのか、リング中間部のロックが解除されているのかが外部から判別し易い。
【0009】
また、上記構成によれば、スライド部材は、上記解除位置と、上記ロック位置と、の間を、ケースに装着されたキーリングと独立して変位するようにケースに対して収容されている。言い換えれば、スライド部材は、キーリングと独立して可動するように構成されており、上記特許文献1に記載された技術のように、ケースに対するスライド部材の相対位置の変化が、スライド部材に装着された状態で追随して可動するキーリングに隠れて見えづらいという問題は生じない。以上により、キーリングのリング中間部のロックし忘れを抑制することができる。
【0010】
本発明の一態様に係る封緘具は、上記スライド部材の上記一部と反対側には、上記ケースの内部に形成された係合孔に係合する係合部が形成されており、上記ロック位置においては、上記係合部は上記係合孔に係合しても良い。上記構成によれば、ケースに対するスライド部材の相対位置が変位して、ユーザの意図に反して、ロックが解除されることを阻止することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る封緘具は、向かい合う磁石同士が互いに反発して変位可能なよう、上記封緘具の内部において対向する位置に配置された複数の磁石を備え、上記ロック位置においては、一方の磁石が上記係合部の上記係合孔に対する係合の解除を阻止する位置に移動しても良い。上記構成によれば、ユーザの意図に反して、係合部の係合孔に対する係合が解除されてスライド部材のケースに対する相対位置が変位してしまうことを阻止することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る鍵ホルダは、上記封緘具の上記ケースに装着される上記キーリングが取り付けられる鍵ホルダであって、鍵管理装置の鍵返却部の差込口に差し込まれる差込部、および該差込部の上記差込口に差し込まれる側と反対側に延出する延出部、を備えたホルダ本体を備え、上記キーリングは、上記延出部に対して回動可能に取付けられ、上記キーリングが装着された上記ケースの一端から突出した上記スライド部材の一部が上記差込部に当接する状態において上記キーリングの上記延出部に対する回動が阻止されることが好ましい。上記構成によれば、ケースの一端から突出したスライド部材の一部がホルダ本体の差込部に当接する状態においてキーリングの延出部に対する回動が阻止される。また、キーリングのリング中間部のロックが解除される解除位置においては、スライド部材の一部がケースの一端から突出する。このため、キーリングの延出部に対する回動が阻止されることにより、キーリングのリング中間部のロックが解除されていること(ロックし忘れ)をユーザは認識することができる。
【0013】
本発明の一態様に係るロック解除装置は、上記鍵ホルダに取付けられた上記キーリングの上記リング中間部のロックを解除するロック解除装置であって、上記封緘具が挿入される挿入口を備え、上記挿入口に上記封緘具を挿入することで、上記キーリングの上記リング中間部のロックが解除された状態となっても良い。上記構成によれば、ロック解除装置の挿入口に封緘具を挿入するだけで、キーリングまたは封緘具を破壊することなく簡単にロックを解除することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る鍵管理装置は、上記ロック解除装置を備えた鍵管理装置であって、上記鍵ホルダの上記差込部を差し込むことが可能な差込口が形成されており、上記差込口に上記差込部が差し込まれた状態で、上記封緘具の一部が上記差込口に入り込んだ状態となることが好ましい。上記構成によれば、差込口に差込部が差し込まれ、封緘具の一部が差込口に入り込んだ状態では、キーリングの延出部に対する回動が阻止される。これにより、リング中間部のロックが解除できなくなるため、不正なロック解除を抑制することができる。上記特許文献1に記載の技術では、鍵ホルダが鍵管理装置に返却されている状態でも連結部材本体(封緘具)が露出しているため不正なロック解除が行われる可能性があるが、上記本発明の一態様に係る鍵管理装置によれば、このような問題を回避することができる。
【0015】
また、上記構成によれば、キーリングのリング中間部のロックが解除される解除位置においては、スライド部材の一部がケースの一端から突出する。一方、リング中間部がロックされるロック位置においては、スライド部材の一部がケースの内部に収容される。このため、スライド部材の一部がケースから突出しているのか、あるいはケースの内部に収容されているのかによって、キーリングのリング中間部がロックあるいは解除されているのかが外部から判別し易い。以上により、キーリングのリング中間部のロックし忘れを抑制することができる鍵管理装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、キーリングのリング中間部のロックし忘れを抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について
図1〜
図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。以下、特定の実施形態で説明する構成以外の構成については、必要に応じて説明を省略する場合があるが、他の実施形態で説明されている場合は、その構成と同じである。また、説明の便宜上、各実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0019】
〔実施形態1〕
図1に基づき、本発明の実施形態1に係る鍵ホルダ10について説明する。
図1の(a)は、鍵ホルダ10の付属品を示す図である。同図に示すように、本実施形態の鍵ホルダ10の付属品には、ホルダ本体3、キーリング1および封緘具2がある。
【0020】
鍵の着脱が可能なキーリング1は、金属材料で構成されている。また、キーリング1は、端部よりも中間側に位置するリング中間部1aを有しており、キーリング1の終端側は、互いに背を向けて対向し、互いに逆向きに屈曲した屈曲部1bとなっている。
【0021】
封緘具2は、ケース22、およびスライド部材21〔
図2の(b)参照〕を備えている。ケース22は、樹脂材料で構成され、直方体形状を為しており、
図1の(a)に示す裏側の側面には、キーリング1のリング中間部1aが嵌合されるリング中間部嵌合孔22aが形成されている。ケース22のリング中間部嵌合孔22aにキーリング1のリング中間部1aを嵌合させることで、キーリング1を封緘具2に装着することが可能になっている。なお、本実施形態では、ケース22は、樹脂材料で構成されているものとして説明するが、ケース22の構成材料は、樹脂材料に限定されない。例えば、ケース22の構成材料を金属材料としても良い。
【0022】
また、スライド部材21は樹脂材料で構成されており、その一端には、ロックボタン(一部)21aが形成されており、
図1の(a)に示す例では、ケース22の一端から突出している。なお、本実施形態では、スライド部材21は、樹脂材料で構成されているものとして説明するが、スライド部材21の構成材料は、樹脂材料に限定されない。例えば、スライド部材21の構成材料を金属材料としても良い。
【0023】
封緘具2は、キーリング1のリング中間部1aをロックすることが可能になっている。詳細は後述するが、リング中間部1aをロックされた状態にするには、リング中間部1aをケース22のリング中間部嵌合孔22aに嵌合させた状態(キーリング1をケース22に装着した状態)で、ロックボタン21aを押してケース22の内部に収容させれば良い。
【0024】
一方、リング中間部1aをリング中間部嵌合孔22aに嵌合させた状態で、ケース22の一端からロックボタン21aを突出させれば、リング中間部1aはロックが解除された状態となる。
【0025】
ホルダ本体3は、樹脂材料で構成されており、鍵管理装置のホルダ返却部50〔
図1の(d)参照〕の差込口51に差し込まれる差込部31と、差込部31の差込口51に差し込まれる側と反対側に延出する延出部32と、を備える。差込部31と延出部32とは一体に成形されている。差込部31は、縦断面が縦長矩形状となる直方体形状を為しており、
図1の(a)に示す表裏の側面には、樹脂変形防止のための複数の溝が形成されている。また、
図1の(a)に示す延出部32の下面側には、キーリング1の屈曲部1bが取り付けられる屈曲部装着孔3aが形成されている。なお、本実施形態では、ホルダ本体3は、樹脂材料で構成されているものとして説明するが、ホルダ本体3の構成材料は、樹脂材料に限定されない。例えば、ホルダ本体3の構成材料を金属材料としても良い。
【0026】
鍵ホルダ10の付属品の組立ての手順は、以下のとおりである。
(1)キーリング1の屈曲部1bをホルダ本体3の延出部32の屈曲部装着孔3aに取付ける。
(2)キーリング1のリング中間部1aを封緘具2のケース22のリング中間部嵌合孔22aに嵌合させた状態で、ロックボタン21aを押して(スライド部材21をケース22に対して相対的に変位させて)ケース22の内部に収容させる。
【0027】
以上のような手順により、鍵ホルダ10は、
図1の(b)に示す状態となる。
図1の(b)は、キーリング1のリング中間部1aがロックされた状態における鍵ホルダ10の状態を示す図である。この状態では、キーリング1(または封緘具2)が、延出部32に対して手前側から奥側まで、ホルダ本体3とは別個独立に、約180°回動可能に支持されている。なお、キーリング1(または封緘具2)の回動範囲は、上記の形態に限定されず、例えば、キーリング1(または封緘具2)が、延出部32に対して手前側から下側まで、ホルダ本体3とは別個独立に約90°回動可能に支持されていても良い。
【0028】
次に、
図1の(c)は、キーリング1のリング中間部1aのロックが解除された状態における鍵ホルダ10の状態を示す図である。リング中間部1aのロックが解除された状態では、
図1の(c)に示すように、封緘具2のケース22の一端から突出したスライド部材21のロックボタン21aがホルダ本体3の差込部31に当接する状態においてキーリング1の延出部32に対する回動が阻止される。言い換えれば、
図1の(c)に示す状態で、封緘具2(またはキーリング1)を手前側から下側へ90°回転させようとしても、ホルダ本体3の差込部31と封緘具2のロックボタン21aとが接触して回動が阻止される。このように、キーリング1の延出部32に対する回動が阻止されることにより、キーリング1のリング中間部1aのロックが解除されていること(ロックし忘れ)を鍵のユーザは認識することができる。
【0029】
次に、
図1の(d)は、鍵ホルダ10を鍵管理装置(
図4参照)のホルダ返却部(鍵返却部)50に返却したときの状態を示す図である。同図に示す状態では、ホルダ返却部50の差込口51に対して、ホルダ本体3の差込部31が差し込まれた状態になっている(この状態では、差込部31は差込口51に隠れて見えない)。この状態では、封緘具2の一部が差込口51に入り込んでいるため、キーリング1(または封緘具2)を延出部32に対して回動(または回転)させることができない。これにより、リング中間部1aのロックが解除できなくなるため、不正なロック解除を抑制することができる。上記特許文献1に記載の技術では、鍵ホルダが鍵管理装置に返却されている状態でも連結部材本体(封緘具)が露出しているため不正なロック解除が行われる可能性があるが、本実施形態の鍵管理装置によれば、このような問題を回避することができる。
【0030】
また、ホルダ返却部50の差込口51に対して、ホルダ本体3の差込部31が完全に挿入されると、鍵ホルダ10にロックが掛り、鍵ホルダ10をホルダ返却部50から抜き取ることができなくなる。ホルダ返却部50から鍵ホルダ10を抜き取るには、個人認証により、鍵ホルダ10のロックを解除する必要がある。
【0031】
なお、鍵ホルダ10を鍵管理装置のホルダ返却部50に返却しているときは、
図1の(b)に示すように、キーリング1全体を含む面と、ホルダ本体3の差込部31の手前側の側面とが平行な状態にあるので、キーリング1のリング中間部1aのロック状態を解除することはできない(ロックボタン21aが外部から見えない状態になっている)。このため、不正な鍵交換を防止することができる。
【0032】
次に、鍵ホルダ10が
図1の(c)に示す状態にあるときは、延出部32に対する封緘具2の手前側から下側への90°の回動が阻止されるため、鍵ホルダ10をホルダ返却部50に返却することができない。これにより、鍵交換の際に、封緘具2のロックボタン21aを押してロックボタン21aをケース22の内部に収納させなければ、ホルダ本体3をホルダ返却部50に返却できないので、確実な鍵交換操作を実現できる。
【0033】
次に、
図2に基づき、キーリング1のリング中間部1aをロックしたときと、キーリング1のリング中間部1aのロックを解除したときと、における封緘具2の状態について説明する。
図2の(a)は、本発明の実施形態2に係るロック解除装置40の挿入口41に鍵ホルダ10の封緘具2を挿入する前の状態を示す図である。ロック解除装置40の構成の詳細については後述する。ロック解除装置40の筐体40aの手前側の側面には、挿入口41が形成されており、挿入口41の上部には、ストッパー41aが設けられている。
図2の(a)に示す状態で、ホルダ本体3の延出部32および封緘具2を挿入口41に挿入しようとしても通常の状態では、ストッパー41aにロックが掛っているので、延出部32がストッパー41aに接触して、延出部32および封緘具2を挿入口41に挿入することができない。個人認証により鍵交換操作が可能になった場合、ストッパー41aのロックが解除されて、ストッパー41aが筐体40aの奥側に可動になるので、延出部32および封緘具2を挿入口41に挿入することが可能になる。封緘具2を挿入口41に完全に挿入すると、キーリング1のリング中間部1aの封緘具2によるロックが解除される。これにより、ロック解除装置40の挿入口41に封緘具2を挿入するだけで、キーリング1または封緘具2を破壊することなく簡単にロックを解除することができる。
【0034】
なお、
図2の(a)に示すように、延出部32および封緘具2を挿入口41に挿入する場合、キーリング1を含む面と、差込部31の上側の側面と、が為す角は、約90°にしておく必要がある。
【0035】
次に、
図2の(b)は、キーリング1のリング中間部1aがロックされた状態における封緘具2の内部の様子を示す断面図である。同図に示すように、封緘具2は、ケース22、スライド部材21を備える。ケース22の上側の側面には、キーリング1のリング中間部1aが嵌合されるリング中間部嵌合孔22aが形成されている。また、ケース22の内部の右上側には、後述する係合部21bが係合する係合孔22cが形成されている。
【0036】
スライド部材21は、ケース22に装着されたキーリング1と独立して、キーリング1のリング中間部1aのロックが解除される解除位置〔
図2の(d)参照〕と、リング中間部1aがロックされるロック位置〔
図2の(b)参照〕と、の間を変位するようにケース22に対して収容されている。
【0037】
上記解除位置においては、スライド部材21のロックボタン21aがケース22の一端から突出し、上記ロック位置においては、スライド部材21のロックボタン21aがケース22の内部に収容される。
【0038】
スライド部材21の左端には、ロックボタン21aが形成されており、スライド部材21のロックボタン21aと反対側には、上述したケース22の係合孔22cに係合する係合部21bが形成されている。上記ロック位置においては、係合部21bがケース22の内部に形成された係合孔22cに係合する。このため、ケース22に対するスライド部材21の相対位置が変位して、ユーザの意図に反して、ロックが解除された状態となることを阻止することができる。
【0039】
次に、スライド部材21の右側には、磁石23が収納される磁石収納室21cが形成されている。複数の磁石23のそれぞれは、向かい合う磁石同士が互いに反発して変位可能なよう、封緘具2の内部(磁石収納室21c)において対向する位置に配置されている。
【0040】
また、スライド部材21の上側側面には、キーリング1のリング中間部1aが嵌合されるリング中間部嵌合孔21dが形成されている。リング中間部嵌合孔22aの左側の壁面には、蓋部21fが形成されている。なお、本実施形態では、磁石23を2つ用いた形態について説明しているが、磁石23を3つ以上用いた形態を採用しても良い。
【0041】
上記ロック位置においては、
図2の(b)に示すように、スライド部材21は、ケース22に対して相対的に右側一杯にスライドし、ロックボタン21aがケース22の内部に完全に収納された状態になる。また、このとき、スライド部材21の係合部21bは、ケース22の係合孔22cに完全に係合した状態になる。
【0042】
また、ケース22のリング中間部嵌合孔22aは、スライド部材21の蓋部21fによって塞がれた状態になるため、これによりキーリング1のリング中間部1aは、ロックされ、キーリング1を封緘具2から取り外すことができない状態になる。
【0043】
また、上記ロック位置においては、磁石収納室21cに収納されている複数の磁石23は、磁石23同士が反発して離間し、一方の磁石23が、係合部21bの係合孔22cに対する係合の解除を阻止する位置に(右側に)移動している。このため、ユーザの意図に反して、係合部21bの係合孔22cに対する係合が解除されてスライド部材21のケース22に対する相対位置が変位してしまうことを阻止することができる。
【0044】
次に、
図2の(c)は、ロック解除装置40の挿入口に、鍵ホルダ10の延出部32および封緘具2を完全に挿入した後の状態を示す図である。この状態で、キーリング1のリング中間部1aのロックは解除される。
【0045】
次に、
図2の(d)は、キーリング1のリング中間部1aのロックが解除された状態における封緘具2の内部の様子を示す断面図である。同図に示すように、キーリング1のリング中間部1aのロックが解除された状態では、スライド部材21は、ケース22に対して相対的に左側にスライドし、ロックボタン21aがケース22の一端から突出した状態になる。
【0046】
また、このとき、スライド部材21の係合部21bは、ケース22の係合孔22cに対する係合状態が解除される。また、ケース22のリング中間部嵌合孔22aは、スライド部材21の蓋部21fによって塞がれた状態が解除されるため、これによりキーリング1のリング中間部1aのロックが解除され、キーリング1を封緘具2から取り外し可能な状態になる。
【0047】
磁石収納室21cに収納されている複数の磁石23は、右側の磁石23と、ロック解除装置40の内部に設けられた磁石44とが、反発して離間し、右側の磁石23が、磁石収納室21cの左端一杯に移動している。これにより、係合部21bの係合孔22cに対する係合が解除可能になる。
【0048】
なお、上記の構造では、スライド部材21のケース22に対する相対位置を変位させても、リング中間部嵌合孔22a(およびリング中間部嵌合孔21d)に嵌合(装着)されたキーリング1のリング中間部1aの、ケース22に対する相対位置は、変化しないようになっている。言い換えれば、スライド部材21は、キーリング1と独立して可動するように構成されており、上記特許文献1に記載された技術のように、ケースに対するスライド部材の相対位置の変化が、スライド部材に装着された状態で追随して可動するキーリングに隠れて見えづらいという問題は生じない。
【0049】
また、上記構成によれば、ケース22の一端からスライド部材21のロックボタン21aが突出してキーリングのリング中間部1aのロックが解除され、ロックボタン21aがケース22の内部に収容されてキーリング1のリング中間部1aがロックされる。このため、スライド部材21のロックボタン21aがケース22の一端から突出しているか、スライド部材21のロックボタン21aがケース22の内部に収容されているかによって、キーリング1のリング中間部1aがロックされているのか、ロックが解除されているのかが外部から判別し易い。以上により、キーリング1のリング中間部1aのロックし忘れを抑制することができる。
【0050】
〔実施形態2〕
次に、
図3に基づき、本発明の実施形態2に係るロック解除装置40の構造について説明する。
図3の(a)は、ロック解除装置40の内部の構造を示す透視図である。
図3の(b)は、ストッパー41aのロック解除時におけるロック解除装置40の内部の状態を示す図である。一方、
図3の(c)は、ストッパー41aのロック時におけるロック解除装置40の内部の状態を示す図である。
【0051】
これらの図に示すように、ロック解除装置40は、筐体40a、ストッパー41a、バネ41b、ソレノイド42、プランジャー42a、掛け金43、および支持軸43bを備える。掛け金43は、支持軸43bによって回動可能に支持されており、バネ41bは、ストッパー41aを
図3の(b)に示す奥側向きに付勢している。掛け金43の下方端部には、プランジャー挿入孔43cが形成されており、ソレノイド42のプランジャー42aが挿入されている。ソレノイド42のプランジャー42aが右側に移動すると、掛け金43は、支持軸43bを中心として反時計まわりに回動する。一方、ソレノイド42のプランジャー42aが左側に移動すると、掛け金43は、支持軸43bを中心として時計まわりに回動する。
【0052】
図3の(b)に示すように掛け金43が支持軸43bを中心として反時計まわりに回転して、先端部43aがストッパー41aの手前側の面から離間した状態(ロック解除時)では、ストッパー41aは可動状態にあり、ホルダ本体3の延出部32の侵入は阻止されない。一方、
図3の(c)に示すように、掛け金43が支持軸43bを中心として時計まわりに回転して、先端部43aがストッパー41aの手前側の面を覆うように近づいた状態(ロック時)では、ストッパー41aの可動が掛け金43の先端部43aで阻止された状態になり、ホルダ本体3の延出部32の侵入は阻止される。
【0053】
鍵交換を行う際に、特定の認証操作を行うと、
図3の(b)に示すようにソレノイド42のプランジャー42aが右側に移動し、掛け金43の先端部43aが、ストッパー41aの手前側の面から離間した状態(ロック解除時)になる。
【0054】
〔実施形態3〕
次に、
図4に基づき、本発明の実施形態3に係る鍵管理装置60について説明する。
図4は、鍵管理装置60の構成を示す図である。同図に示すように鍵管理装置60は、ホルダ返却部50を複数備えており、複数の鍵ホルダ10のそれぞれが対応するホルダ返却部50に返却される。また、鍵管理装置60は、上述したロック解除装置40を備えている。上記構成によれば、キーリング1のリング中間部1aのロックが解除される解除位置においては、スライド部材21のロックボタン21aがケース22の一端から突出する。一方、リング中間部1aがロックされるロック位置においては、スライド部材21の一部がケース22の内部に収容される。このため、スライド部材21のロックボタン21aがケース22の一端から突出しているか、スライド部材21のロックボタン21aがケース22の内部に収容されているかによって、キーリング1のリング中間部1aがロックされているのか、リング中間部1aのロックが解除されているのかが外部から判別し易い。これにより、キーリング1のリング中間部1aのロックし忘れを抑制することができる鍵管理装置60を実現することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、鍵管理装置60が、ロック解除装置40を一体的に備えている形態について説明したが、鍵管理装置60の形態はこのような形態に限定されず、ロック解除装置と鍵管理装置とを別体として構成し、ロック解除装置を鍵管理装置に対して外付け可能としても良い。この場合、ロック解除装置と鍵管理装置とは、有線または無線にて通信可能となっていても良い。
【0056】
(鍵交換の回数制限機能、鍵交換の可能日制限機能について)
鍵管理装置60に関し、1日に鍵交換できる回数や、鍵交換できる日に制限を設け、不正な鍵交換操作を抑止しても良い。
【0057】
例えば、鍵交換の回数制限機能では、以下の条件を設定する。
(1)1日に鍵交換できる回数を設定する。
(2)鍵毎に鍵交換回数を0時〜24時で監視して、設定されている鍵交換回数以内に鍵交換を制限する。
(3)0時を過ぎると、鍵交換回数がクリアされ、一から鍵交換回数をカウントし、設定されている鍵交換回数以内に鍵交換を制限する。
【0058】
具体的には、鍵交換回数設定が「1回」の場合、例えば、No.1の鍵の0時〜24時の鍵交換回数が1回目であれば、鍵交換は、有効とされる(OK)。
【0059】
次に、鍵交換の可能日制限機能では、以下の条件を設定する。
(1)鍵交換ができる鍵交換の可能日を予め設定する。
(2)鍵交換の可能日を監視して、鍵交換の権限がある人でも、設定されている鍵交換の可能日のみに鍵交換を制限する。
【0060】
具体的には、鍵交換可能日設定が、「2015年7月1日」の場合、例えば、No.1の鍵の「2015年6月15日」の鍵交換は禁止される(NG)。一方、No.1の鍵の「2015年7月1日」の鍵交換は、有効とされる(OK)。
【0061】
(鍵の同一人取り出し回数制限機能について)
金庫室の鍵、ATMの鍵など1日に数回しか使用しない鍵に取り出し回数制限を設ける。これにより、鍵の不正使用が抑止される。
【0062】
鍵の同一人取り出し回数制限機能では、以下の条件を設定する。
(1)鍵毎に同じ人が1日に鍵を取り出せる回数を設定し、鍵の取り出し回数を制限する。
(2)別の人が鍵を取り出すことは可能だが、別の人も鍵の取り出し回数を同様に制限する。
(3)24時間経過すると、個人毎にカウントした鍵の取り出し回数がクリアされ、一から鍵の取り出し回数をカウントし、鍵の取り出し回数を制限する。
(4)取り出し回数が、NGになった場合は、不正な鍵の使用の可能性があり、「(a)全部の鍵」、「(b)重要鍵」、および「(c)取り出しNGになった人が取り出し権限のある鍵」、の何れかの鍵を取り出し禁止にする。
【0063】
具体的には、No.6の鍵の取り出し回数設定が「3回」の場合、AさんがNo.6の鍵を取り出す場合に、取り出し回数が1回目〜3回目の場合、鍵の取り出し(鍵管理装置からの鍵ホルダの取り出し)は、有効とされる(OK)。一方、AさんがNo.6の鍵を取り出す場合に、取り出し回数が4回目の場合、鍵の取り出しは禁止される(NG)。
【0064】
〔変形例1〕
次に、
図5の(a)に基づき、キーリング1の変形例について説明する。同図に示すように、キーリング1のリング中間部1aは封緘具2に装着することで、広げられる形状になっており、キーリング1に封緘具2を装着しなければ、キーリング1の両端が閉じられ、ホルダ本体3からキーリング1が外れて落ちてしまうように構成しても良い。これにより、確実な封緘具2の装着が行われる。
【0065】
〔変形例2〕
次に、
図5の(b)に基づき、封緘具2のロックの解除方法の変形例について説明する。同図に示すように、ロック解除装置40の挿入口41のストッパー41aの下部に形成されている孔に、封緘具2のみを挿入して、ロック状態を解除しても良い。これにより、リング中間部嵌合孔22aにリング中間部1aを嵌合させることなく、間違ってロックした場合であっても、ロックを解除することが可能になる。
【0066】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。