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特開2017-32105電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-32105(P2017-32105A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/68 20060101AFI20170120BHJP
   F16D 3/12 20060101ALI20170120BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20170120BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20170120BHJP
【FI】
   F16D3/68
   F16D3/12 A
   B62D5/04
   H02K7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-154484(P2015-154484)
(22)【出願日】2015年8月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】山口 修市
(72)【発明者】
【氏名】中川 昇
【テーマコード(参考)】
3D333
5H607
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB12
3D333CD13
3D333CD14
3D333CD18
3D333CD23
3D333CD37
3D333CE06
3D333CE12
3D333CE16
3D333CE49
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD07
5H607DD18
5H607FF01
(57)【要約】
【課題】回転軸と回転伝達部材との径方向の衝突を回避でき、運転者に不快な操舵感覚を与える異音の発生を抑止できる電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構を提供すること。
【解決手段】電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構1は、回転軸2に連結された連結基体3と、回転軸4に連結された連結基体5と、両連結基体3及び5を介して回転軸2と回転軸4との間に配されていると共に回転軸2の軸心線Oを中心とした軸心周りの方向Rの回転を回転軸4に伝達する剛性の回転伝達部材6と、回転伝達部材6を軸方向Xにおいて挟んで当該回転伝達部材6に軸方向Xにおいて重ね合わされた一対の弾性部材7及び8と、弾性部材7及び8の軸方向Xの相互の離反を禁止するように、弾性部材7及び8を相互に結合する結合手段9とを具備している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の回転軸の回転を第二の回転軸に伝達するように、第一及び第二の回転軸の間に配されていると共に第一及び第二の回転軸を連結する軸連結機構であって、回転伝達部材と、この回転伝達部材を軸方向において挟んで当該回転伝達部材に軸方向において重ね合わされた一対の弾性部材とを具備しており、回転伝達部材は、円筒状の第一の内周面及び第一の外周面を有した第一の基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に第一の外周面から径方向に伸びた少なくとも一対の第一の径方向突部とを有しており、一対の弾性部材の夫々は、軸方向において第一の基部に重ね合わされていると共に円筒状の第二の内周面及び第二の外周面を有した第二の基部と、軸方向において第一の径方向突部に重ね合わされていると共に第二の外周面から径方向に伸びた少なくとも一対の第二の径方向突部とを有しており、第二の基部の夫々は、第一の基部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、各対の第二の径方向突部の夫々は、一対の第一の径方向突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ、当該第二の径方向突部に軸方向において挟まれていると共に当該第二の径方向突部に軸方向において重ね合わされている第一の径方向突部における軸心周りの方向の幅よりも大きな幅を有しており、第一の基部を軸方向において挟んだ第二の基部の夫々の第二の内周面は、第一の内周面の径よりも小さな径を有している軸連結機構。
【請求項2】
第二の外周面の夫々は、第一の外周面の径よりも大きな径を有している請求項1に記載の軸連結機構。
【請求項3】
第一の回転軸に連結される第一の連結基体と、第二の回転軸に連結される第二の連結基体とを更に具備しており、第一の連結基体は、第一の連結基部と、この第一の連結基部から軸方向に一体的に突出した第一の軸方向突部とを具備しており、第二の連結基体は、第二の連結基部と、この第二の連結基部から軸方向に一体的に突出した第二の軸方向突部とを具備しており、第一及び第二の連結基体のうちの少なくとも一方は、その軸方向の一方の端面の中央部から軸方向に伸びると共に第一の内周面及び一対の弾性部材のうちの少なくとも一方の弾性部材の第二の内周面で規定される貫通孔に貫通した軸を具備しており、第一の軸方向突部は、軸心周りの方向における一対の第一の径方向突部間のうちの一方の径方向突部間及び軸心周りの方向における各対の第二の径方向突部間のうちの一方の径方向突部間に配されており、第二の軸方向突部は、軸心周りの方向における一対の第一の径方向突部間のうちの他方の径方向突部間及び軸心周りの方向における各対の第二の径方向突部間のうちの他方の径方向突部間に配されている請求項1又は2に記載の軸連結機構。
【請求項4】
第一及び第二の軸方向突部は、軸心周りの方向のその各側面で、第一及び第二の回転軸の一定以下の相対回転では、軸心周りの方向において対面する各対の第二の径方向突部の軸心周りの方向の側面に接触している一方、軸心周りの方向において対面する第一の径方向突部の軸心周りの方向の側面に、第一及び第二の回転軸の一定以下の相対回転では非接触となり、第一及び第二の回転軸の一定以上の相対回転では接触するようになっている請求項3に記載の軸連結機構。
【請求項5】
軸は、第一及び第二の連結基体のうちの少なくとも一方の軸方向の端面の中央部に一体的に設けられた軸部からなっている請求項3又は4に記載の軸連結機構。
【請求項6】
軸は、第一及び第二の回転軸のうちの少なくとも一方の軸方向の軸端部からなっている請求項3又は4に記載の軸連結機構。
【請求項7】
一対の弾性部材の軸方向の相互の離反を禁止するように当該一対の弾性部材を相互に結合する結合手段を更に具備している請求項1から6のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【請求項8】
電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構であって、第一の回転軸は、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、第二の回転軸は、自動車のステアリング軸に連結されるようになっている請求項1から7のいずれか一項に記載の軸連結機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式パワーステアリング装置における電動モータ等の回転源側の回転軸と自動車のステアリング軸等の作動側の回転軸とを連結するに適した軸連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
手動操作されるステアリングホイール(ハンドル)の回転に基づく回転力に電動モータの出力回転軸の回転に基づく回転力を付加してステアリングホイールの手動による操舵を容易に行い得るようにする電動式パワーステアリング装置においては、ステアリングホイール側のステアリング軸と電動モータの出力回転軸側の回転軸とを軸連結機構(カップリング)を介して連結している。
【0003】
軸連結機構を介してステアリング軸と回転軸とを連結する場合、電動モータの出力回転軸の反転時の衝撃、電動モータのブラシ振動が軸連結機構及びステアリング軸を介してステアリングホイールに伝達されて運転者に不快な操舵感を生じさせる虞があり、これを回避するために軸連結機構にゴム又は軟質樹脂等のスペーサを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−518242号公報
【特許文献2】特開2004−148990号公報
【特許文献3】特開2004−149070号公報
【特許文献4】特開2006−183676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献4には、電動モータ側の回転軸とステアリング側の回転軸との間に配されていると共に電動モータ側の回転軸の回転をステアリング側の回転軸に伝達する一対の剛性の回転伝達部材とこの一対の回転伝達部材間に配されている弾性の弾性部材とが回転軸に装着された軸連結機構が開示されているが、斯かる軸連結機構では、両回転軸間において軸心変位(心ずれ)が生じて回転軸と回転伝達部材とが径方向において衝突すると、これら回転軸と回転伝達部材とが互いに剛性であるために、異音(衝突音)が生じ、斯かる軸連結機構が自動車の電動式パワーステアリング装置に用いられると、自動車の乗員に不快感、特に、運転者に不快な操舵感覚を与えることになる。
【0006】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、回転軸と回転伝達部材との径方向の衝突を回避でき、運転者に不快な操舵感覚を与える異音の発生を抑止できる電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の回転軸の回転を第二の回転軸に伝達するように、第一及び第二の回転軸の間に配されていると共に第一及び第二の回転軸を連結する本発明による軸連結機構は、回転伝達部材と、この回転伝達部材を軸方向において挟んで当該回転伝達部材に軸方向において重ね合わされた一対の弾性部材とを具備しており、回転伝達部材は、円筒状の第一の内周面及び第一の外周面を有した第一の基部と、軸心周りの方向において互いに離間していると共に第一の外周面から径方向に伸びた少なくとも一対の第一の径方向突部とを有しており、一対の弾性部材の夫々は、軸方向において第一の基部に重ね合わされていると共に円筒状の第二の内周面及び第二の外周面を有した第二の基部と、軸方向において第一の径方向突部に重ね合わされていると共に第二の外周面から径方向に伸びた少なくとも一対の第二の径方向突部とを有しており、第二の基部の夫々は、第一の基部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、各対の第二の径方向突部の夫々は、一対の第一の径方向突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ、当該第二の径方向突部に軸方向において挟まれていると共に当該第二の径方向突部に軸方向において重ね合わされている第一の径方向突部における軸心周りの方向の幅よりも大きな幅を有しており、第一の基部を軸方向において挟んだ第二の基部の夫々の第二の内周面は、第一の内周面の径よりも小さな径を有している。
【0008】
本発明による軸連結機構によれば、第二の内周面の夫々が第一の内周面の径よりも小さな径を有しているために、第一の内周面で規定される貫通孔に第一及び第二の回転軸のうちの一方の回転軸が挿入された場合に、第一及び第二の回転軸間において軸心ずれが生じても、第一の内周面への一方の回転軸の接触、衝突を一対の弾性部材のうちの少なくとも一方で阻止でき、而して、一方の回転軸と回転伝達部材との径方向の衝突を回避でき、運転者に不快な操舵感覚を与える異音の発生を抑止できる。
【0009】
加えて、本発明による軸連結機構によれば、各対の第二の径方向突部の夫々は、一対の第一の径方向突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ、当該第二の径方向突部に軸方向において重ね合わされている第一の径方向突部における軸心周りの方向の幅よりも大きな幅を有しているために、一方の回転軸の回転の他方の回転軸への伝達が各対の第二の径方向突部の弾性変形を介して行われる結果、一方の回転軸の微小な回転の他方の回転軸への伝達を各対の第二の径方向突部の弾性変形で低減又は阻止できると共に一方の回転軸の他方の回転軸に対する大きな相対回転の他方の回転軸への伝達を各対の第二の径方向突部よりも大きな剛性を有している一対の第一の径方向突部を介してそのまま行い得、しかも、各対の第二の径方向突部における軸心周りの方向の一定以上の弾性変形では大きい剛性をもった一対の第一の径方向突部で各対の第二の径方向突部の夫々の大きな変形を阻止できるために、各対の第二の径方向突部の大きな変形による機械的疲労を低減でき、各対の第二の径方向突部に対して柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を用いた場合には、樹脂材料のクリープによる各対の第二の径方向突部の永久的な変形をも低減できる上に、各対の第二の径方向突部の弾性変形を介して一方の回転軸の回転の他方の回転軸への伝達を行うので、各対の第二の径方向突部を柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を用いることができると共に一方の一対の第二の径方向突部のへたりによる一方の回転軸の微小な回転の他方の回転軸への伝達の低減又は阻止効果の減退又は消失を他方の一対の第二の径方向突部で補填できるので、長期に亘って当該低減又は阻止効果を維持できる。
【0010】
本発明において、回転伝達部材は、好ましくは、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質の樹脂から形成されるが、その他の剛性を呈する硬質の樹脂から形成されていてもよく、一方、一対の弾性部材の夫々は、その全体がウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から形成されているとよいが、これに代えて、回転伝達部材と同様の硬質の樹脂から形成された芯部と、この芯部を覆ていると共にウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴムからなる被覆部とを有した、所謂、二色成形体からなっていてもよく、例えば、一対の弾性部材の夫々の第二の基部は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の剛性を呈する硬質の樹脂から形成された芯部と、第一の基部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であるウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体からなって、芯部を覆う被覆部とを有していてもよく、斯かる第二の基部の被覆部で、剛性の回転伝達部材の第一の内周面への一方の回転軸の接触、衝突を弾性的に阻止するようにしてもよく、同様に、各対の第二の径方向突部の夫々は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の硬質の樹脂から形成された芯部と、第一の径方向突部の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であるウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体からなって、芯部を覆う被覆部とを有していてもよく、斯かる各対の第二の径方向突部の夫々の被覆部の弾性変形で、一方の回転軸の微小な回転の他方の回転軸への伝達を低減又は阻止するようにしてもよく、また、各対の第二の径方向突部の全体又はその被覆部がウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から形成されている必要はなく、例えば、軸心周りの方向で弾性撓み変形できるように、径方向に伸びた隙間をもって各対の第二の径方向突部の夫々が形成されていてもよい。
【0011】
本発明の好ましい例では、第二の外周面の夫々は、第一の外周面の径よりも大きな径を有している。
【0012】
本発明による軸連結機構は、軸心周りの方向のスペーサとして二つの回転軸の間に配した回転伝達部材とこの回転伝達部材を軸方向において挟んだ一対の弾性部材とを少なくとも具備していればよいのであるが、好ましい例では、第一の回転軸に連結される第一の連結基体と、第二の回転軸に連結される第二の連結基体とを更に具備しており、第一の連結基体は、第一の連結基部と、この第一の連結基部から軸方向に一体的に突出した第一の軸方向突部とを具備しており、第二の連結基体は、第二の連結基部と、この第二の連結基部から軸方向に一体的に突出した第二の軸方向突部とを具備しており、第一及び第二の連結基体のうちの少なくとも一方は、その軸方向の一方の端面の中央部から軸方向に伸びると共に第一の内周面及び一対の弾性部材のうちの少なくとも一方の弾性部材の第二の内周面で規定される貫通孔に貫通した軸を具備しており、第一の軸方向突部は、軸心周りの方向における一対の第一の径方向突部間のうちの一方の径方向突部間及び軸心周りの方向における各対の第二の径方向突部間のうちの一方の径方向突部間に配されており、第二の軸方向突部は、軸心周りの方向における一対の第一の径方向突部間のうちの他方の径方向突部間及び軸心周りの方向における各対の第二の径方向突部間のうちの他方の径方向突部間に配されており、この場合、一方の回転軸の他方の回転軸に対する相対的な初期回転で遊びが生じないようにするために、第一及び第二の軸方向突部は、軸心周りの方向のその各側面で、第一及び第二の回転軸の一定以下の相対回転では、軸心周りの方向において対面する各対の第二の径方向突部の軸心周りの方向の側面に接触している一方、軸心周りの方向において対面する第一の径方向突部の軸心周りの方向の側面に、第一及び第二の回転軸の一定以下の相対回転では非接触となり、第一及び第二の回転軸の一定以上の相対回転では接触するようになっていてもよい。
【0013】
本例の場合、第一の連結基体は、一方の回転軸に直接的に連結されて固着されていてもよいが、歯車機構等の他の回転伝達機構を介して一方の回転軸に間接的に連結されていてもよく、第二の連結基体の他方の連結基体も同様である。
【0014】
上記の例で、軸は、第一及び第二の連結基体のうちの少なくとも一方の軸方向の端面の中央部に一体的に設けられた軸部からなっていても、第一及び第二の回転軸のうちの少なくとも一方の軸方向の軸端部からなっていてもよく、この場合、第二の外周面の夫々が、第一の外周面の径よりも大きな径を有していると、第一及び第二の回転軸間において軸心ずれが生じても、第一及び第二の軸方向突部の夫々の径方向の内面の第一の外周面への接触を回避でき、而して、これによっても運転者に不快な操舵感覚を与える異音の発生を抑止できる。
【0015】
本発明による軸連結機構は、好ましい例では、一対の弾性部材の軸方向の相互の離反を禁止するように当該一対の弾性部材を相互に結合する結合手段を更に具備しており、この結合手段は、好ましい例では、第一の径方向突部の軸方向の一方の端面から軸方向に突出して当該一方の端面に一体的に設けられた第一の鉤部と、第一の径方向突部の軸方向の他方の端面から軸方向に突出して当該他方の端面に一体的に設けられた第二の鉤部と、第一の径方向突部の軸方向の一方の端面に軸方向において対面する第二の径方向突部に設けられていると共に第一の鉤部を受容する第一の貫通孔と、この第一の貫通孔において第二の径方向突部に設けられていると共に第一の鉤部が引っかけられる第一の段部と、第一の径方向突部の軸方向の他方の端面に軸方向において対面する第二の径方向突部に設けられていると共に第二の鉤部を受容する第二の貫通孔と、この第二の貫通孔において第二の径方向突部に設けられていると共に第二の鉤部が引っかけられる第二の段部とを具備している。
【0016】
回転伝達部材及び一対の弾性部材を具備した本発明の軸連結機構の好ましい例において、上記のように、一対の弾性部材が結合手段を介して相互に且つ回転伝達部材に結合されていると、組み付け性を向上できると共に一対の弾性部材の軸方向の相互の離反をなくし得て一対の弾性部材の軸方向の広がりを一定に抑えることができる。
【0017】
本発明では、第一及び第二の軸方向突部の夫々は、第二の外周面の夫々に接触する径方向の内面を有していてもよい。
【0018】
本発明の軸連結機構は、電動式パワーステアリング装置用のものであってもよく、この場合、第一の回転軸は、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、第二の回転軸は、自動車のステアリング軸に連結されるようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、回転軸と回転伝達部材との径方向の衝突を回避でき、運転者に不快な操舵感覚を与える異音の発生を抑止できる電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、図2に示す例の分解斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態の好ましい例の正面説明図である。
図3図3は、図2の正面断面説明図である。
図4図4は、図2の回転伝達部材と弾性部材との正面断面説明図である。
図5図5は、図2のV−V線矢視断面説明図である。
図6図6は、図4のVI−VI線矢視断面説明図である。
図7図7は、図2の電動モータ側の連結基体の右側面説明図である。
図8図8は、図2のステアリング軸側の連結基体の左側面説明図である。
図9図9は、図2の回転伝達部材の側面説明図である。
図10図10は、図9のX―X線矢視断面説明図である。
図11図11は、図2の一方の弾性部材の側面説明図である。
図12図12は、図11のXII―XII線矢視断面説明図である。
図13図13は、図2の他方の弾性部材の側面説明図である。
図14図14は、図13のXIV―XIV線矢視断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態を、図に示す好ましい例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0022】
図1から図14において、本例の電動式パワーステアリング装置用の軸連結機構1は、回転軸2に連結された連結基体3と、回転軸4に連結された連結基体5と、両連結基体3及び5を介して回転軸2と回転軸4との間に配されていると共に回転軸2の軸心線Oを中心とした軸心周りの方向Rの回転を回転軸4に伝達する剛性の回転伝達部材6と、回転伝達部材6を軸方向Xにおいて挟んで当該回転伝達部材6に軸方向Xにおいて重ね合わされた一対の弾性部材7及び8と、弾性部材7及び8の軸方向Xの相互の離反を禁止するように、弾性部材7及び8を相互に結合する結合手段9とを具備している。
【0023】
回転軸2は、電動式パワーステアリング装置の電動モータ側の回転軸であり、例えば、電動モータの出力回転軸に連結されるようになっており、回転軸4は、自動車のステアリング軸側の回転軸であり、例えば、自動車のステアリング軸に連結されるようになっている。
【0024】
剛性の連結基体3は、円板状の連結基部11と、連結基部11の円筒状の外周面12及び連結基部11の軸方向Xの一方の円形の端面13に、外周面12から径方向Aの外方に且つ端面13から軸方向Xに夫々一体的に突出していると共に方向Rにおいて90°の等角度間隔をもって一体的に設けられた二対の軸方向突部14と、端面13の中央部に当該端面13の中央部から軸方向Xに突出して一体的に設けられていると共に径r1の円筒状の外周面15aを有した軸としての円柱状の軸部15と、連結基部11の軸方向Xの他方の円形の端面16の中央部に、当該端面16の中央部から軸方向Xに突出して一体的に設けられている円筒状の突部17と、連結基部11及び突部17に設けられていると共に回転軸2の一端部がキー及びキー溝を介して嵌着された凹所18とを具備している。
【0025】
軸方向突部14の夫々は、方向Rにおいて互いに対向する一対の剛性回転伝達面としての側面21及び22と、側面21及び22の夫々に連接されていると共に径方向Aにおいて互いに対向する円弧凸状の外周面23及び径r1よりも大きい径r2を有した円弧凹状の内周面24と、側面21及び22並びに外周面23及び内周面24に連接されている一方の軸方向端面25と、側面21及び22並びに外周面23及び端面16に連接されていると共に端面16に面一の他方の軸方向端面26とを有している。
【0026】
剛性の連結基体5は、円筒状の外周面30を有した円環状の連結基部31と、連結基部31の軸方向Xの一方の円環状面32に、当該円環状面32から軸方向Xに一体的に突出していると共に方向Rに90°の等角度間隔をもって一体的に設けられた二対の軸方向突部33と、回転軸4の一端部がキー及びキー溝を介して嵌着された貫通孔34とを具備している。
【0027】
軸方向突部33の夫々もまた、方向Rにおいて互いに対面する一対の剛性回転伝達面としての側面41及び42と、外周面30並びに側面41及び42の夫々に連接されている円弧凸状の外周面43と、径方向Aにおいて外周面43と対向すると共に内周面24の径r2と同じ径r2を有した円弧凹状の内周面44と、側面41及び42並びに外周面43及び内周面44に連接されている軸方向端面45とを有している。
【0028】
ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等から一体に形成されている剛性の回転伝達部材6は、軸心線Oに関して連結基部11及び31と同心に配されていると共に径r1よりも大きく径r2よりも小さい径r3を有した円筒状の内周面51及び内周面51の径r3よりも大きく内周面24及び44の径r2よりも小さい径r4を有した円筒状の外周面52並びに内周面51及び外周面52に連接した軸方向Xの一方及び他方の円環状の端面53及び54を有した円環状の基部55と、外周面52から径方向Aの外方に伸びて基部55に一体的に設けられていると共に方向Rにおいて45°の等角度間隔で互いに離間して配されていると共に方向Rにおいて幅dを有した四対の径方向突部56とを具備している。
【0029】
径方向突部56の夫々は、端面53に面一の軸方向Xの一方の端面57及び端面54に面一の軸方向Xの他方の端面58に加えて、外周面52並びに端面57及び58に連接されていると共に方向Rにおいて一対の剛性回転伝達面としての側面61及び62を有している。
【0030】
互いに同様に形成されている弾性部材7及び8の夫々は、連結基体3及び5並びに回転伝達部材6よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であってウレタンゴム、ポリエステルエラストマー等のゴム弾性体から一体形成されている。
【0031】
弾性部材7は、基部55と同心をもって軸方向Xの一方の端面71で端面53に重ね合わされていると共に内周面51の径r3よりも小さく軸部15の径r1と同じ径r1をもった円筒状の内周面72並びに内周面24及び44の径r2と同じであって外周面52の径r4よりも大きな径r2をもった円筒状の外周面73を有した円環状の基部74と、基部55の剛性よりも小さな剛性を有して弾性変形可能である基部74の外周面73から径方向Aに伸びて基部74に一体的に設けられていると共に方向Rにおいて45°の等角度間隔で互いに離間して配されており、且つ、径方向突部56の剛性よりも小さな剛性を有して弾性変形可能であり、しかも、軸方向Xにおいて重ね合わされる径方向突部56における方向Rの幅dよりも大きな幅Dを有した四対の径方向突部75とを具備している。
【0032】
四対の径方向突部75の夫々は、端面71と面一な軸方向Xの一方の端面76と、基部74の軸方向Xの他方の端面77と面一な軸方向Xの他方の端面78と、外周面73並びに端面76及び78に連接していると共に方向Rにおいて側面79及び80とを具備している。
【0033】
弾性部材8は、基部55と同心であって軸方向Xの一方の端面81で端面54に重ね合わされていると共に内周面72の径r1と同じ径r1をもった円筒状の内周面82並びに外周面73の径r2と同じ径r2をもった円筒状の外周面83を有した円環状の基部84と、基部55の剛性よりも小さな剛性を有して弾性変形可能である基部84の円筒状の外周面83から径方向Aに伸びて基部84に一体的に設けられていると共に方向Rにおいて45°の等角度間隔で互いに離間して配されており、且つ、径方向突部56の剛性よりも小さな剛性を有して弾性変形可能であり、しかも、軸方向Xにおいて重ね合わされる径方向突部56における方向Rの幅dよりも大きく径方向突部75の幅Dと同じ幅Dを有した四対の径方向突部85とを具備している。
【0034】
四対の径方向突部85の夫々は、端面81と面一な軸方向Xの一方の端面86と、基部84の軸方向Xの他方の端面87と面一な軸方向Xの他方の端面88と、外周面83並びに端面86及び88に連接していると共に方向Rにおいて側面89及び90とを具備している。
【0035】
基部74及び84は、基部55を、そして、径方向突部75及び85は、径方向突部56を夫々軸方向Xにおいて挟んでおり、径方向突部56、75及び85の夫々は、夫々同一の外周面12、30及び43の径と同径の円弧凸状の外周面95、96及び97を夫々有している。
【0036】
内周面51によって規定される貫通孔98には、外周面15aと内周面51との間に{(r3−r1)/2}の隙間をもって軸部15が貫通されており、そして、内周面72によって規定される貫通孔99には、内周面72に対して挿入隙間を残して軸部15が貫通されており、内周面82によって規定される貫通孔99には、内周面82に対して挿入隙間を残して軸部15の一部が挿入されている。
【0037】
弾性部材7及び8と、軸方向Xにおいて弾性部材7及び8間に挟まれた回転伝達部材6とは、基部74及び84と基部55とが同心に配されて、しかも、これら基部74及び84と基部55とが、そして、径方向突部75及び85の夫々と径方向突部56の夫々とが夫々軸方向Xにおいて互いに対向して軸方向Xに一列に配列されるようにして、結合手段9を介して互いに連結されている。
【0038】
結合手段9は、各端面57に、各端面57から軸方向Xに突出して一体的に設けられた一方の鉤部101と、各端面58に、端面58から軸方向Xであって鉤部101と反対方向に突出して一体的に設けられた他方の鉤部102と、鉤部101の夫々に対応して径方向突部75の夫々に設けられた貫通孔103と、貫通孔103の夫々において径方向突部75に設けられた段部104と、鉤部102の夫々に対応して径方向突部85の夫々に設けられた貫通孔105と、貫通孔105の夫々において径方向突部85に設けられた段部106とを具備している。
【0039】
鉤部101及び102の夫々は、一端で端面57及び58の夫々に一体的に設けられた板状の鉤本体111と、鉤本体111の夫々に鉤本体111から径方向Aの外方に突出して一体的に設けられた爪112とを有している。
【0040】
結合手段9は、鉤部101の夫々の鉤本体111が対応の貫通孔103の夫々に挿入されて、その爪112の夫々が対応の段部104に引っ掛けられ、鉤部102の夫々の鉤本体111が対応の貫通孔105の夫々に挿入されて、その爪112の夫々が対応の段部106に引っ掛けられ、回転伝達部材6に弾性部材7及び8を、そして、弾性部材7及び8の相互を夫々結合していると共に回転伝達部材6に対して弾性部材7及び8を位置決めしている。
【0041】
軸方向突部14の夫々は、方向Rにおいて、径方向突部56間、径方向突部75間及び径方向突部85間のうちの一つおきの径方向突部56間、径方向突部75間及び径方向突部85間に配されており、軸方向突部33の夫々は、方向Rにおいて、径方向突部56間、径方向突部75間及び径方向突部85間のうちの残る一つおきの径方向突部56間、径方向突部75間及び径方向突部85間に配されており、回転軸2及び4の一定以下の方向Rの相対回転(捩じり)、即ち、{(D−d)/2}以下の方向Rの相対回転(捩じり)では、各軸方向突部14は、その各側面21及び22で、方向Rにおいて対面する側面80及び79並びに90及び89に夫々接触している一方、方向Rにおいて対面する側面62及び61に夫々非接触となっており、各軸方向突部33は、方向Rのその各側面41及び42で、方向Rにおいて対面する側面80及び79並びに90及び89に夫々接触している一方、方向Rにおいて対面する側面62及び61に夫々非接触となっている。
【0042】
以上の回転軸2の方向Rの回転を回転軸4に伝達するように、回転軸2及び4の間に配されていると共に回転軸2及び4を相互に連結する軸連結機構1を具備した電動式パワーステアリング装置では、ステアリングホイールが運転者により手動操作されると、回転軸4が方向Rに回転されて、回転軸4の方向Rの回転は、図示しない歯車等の伝達機構を介してドラッグ・リンク等に往復動として伝達されて操向輪(車輪)に対する操舵力を与える。運転者によるステアリングホイールの手動操作において、ステアリングホイールに加えられるトルクを検出するトルク検出器からの検出信号により制御される電動モータが作動されると、回転軸2が方向Rに回転されて、回転軸4に対して回転軸2が一定以上、すなわち幅Dと幅dとの差の半分程度以上に方向Rに相対回転されようとする場合には、軸方向突部14による径方向突部75及び85の方向Rの変形後における側面61への側面22の接触及び側面41への側面62の接触又は側面62への側面21の接触及び側面42への側面61の接触に基づく軸方向突部14による径方向突部56の方向Rへの押圧を介して連結基体3の方向Rの回転が軸方向突部33に伝達されて、軸方向突部33の方向Rの回転による連結基体5の方向Rの回転で、回転軸4の方向Rの回転力に対して回転軸2の方向Rの回転力を付加して運転者によるステアリングホイールの手動操作を補助するようになっている。
【0043】
このように、軸連結機構1を具備した電動式パワーステアリング装置では、回転軸4に対して回転軸2が一定以上、すなわち幅Dと幅dとの差の半分程度以上に方向Rに相対回転されようとする場合には、軸方向突部14による径方向突部56の方向Rへの押圧でもって斯かる一定以上の方向Rの相対回転に応答して回転軸2の方向Rの回転を回転軸4に伝達して回転軸4の回転を補助するようになる。
【0044】
斯かる軸連結機構1によれば、内周面72及び82の夫々が内周面51の径r3よりも小さな径r1を有しているために、貫通孔98に軸部15が挿入された場合に、回転軸2及び4間において軸心ずれが生じても、内周面51への軸部15の接触、衝突を弾性部材7及び8のうちの少なくとも一方で阻止でき、而して、回転軸2と回転伝達部材6との径方向Aの衝突を回避でき、運転者に不快な操舵感覚を与える異音の発生を抑止できる。
【0045】
また、軸連結機構1では、ステアリングホイールが運転者により手動操作されないで回転軸4が方向Rに回転されない状態又はステアリングホイールが運転者により手動操作されて回転軸4が方向Rに回転される状態のいずれの状態においても、回転軸4に対する回転軸2の方向Rの相対回転が幅Dと幅dとの差の半分程度以内の微小なものである場合には、径方向突部75及び85が容易に圧縮変形する結果、斯かる回転軸4に対する回転軸2の微小な方向Rの相対回転は回転軸4には殆ど伝達されず、而して、軸連結機構1及び回転軸4を介する電動モータの反転時の衝撃、ブラシ振動のステアリングホイールへの伝達を低減でき操舵感覚を不快にさせないようにできる上に、径方向突部75及び85の一定以上の圧縮変形後、側面61への側面22の接触及び側面41への側面62の接触又は側面62への側面21の接触及び側面42への側面61の接触が生じて径方向突部75及び85のそれ以上の圧縮変形を抑止できる結果、径方向突部75及び85の夫々のクリープによるへたりを防止でき、軸方向突部14及び33と径方向突部75及び85との方向Rにおける側面21及び22並びに41及び42と側面80及び90並び79及び89との互いの接触を長期に亘って維持でき、回転軸4と回転軸2との間に方向Rについてのガタの発生をなくし得、而して、操舵感覚を不快にさせないと共に耐久性に優れ特性の安定したものとし得る。
【0046】
即ち、軸連結機構1では、径方向突部75及び85の夫々は、径方向突部56の剛性よりも小さな剛性を有すると共に弾性変形可能であり、且つ、当該径方向突部75及び85に軸方向Xにおいて重ね合わされている径方向突部56における方向Rの幅dよりも大きな幅Dを有しているために、回転軸2の方向Rの回転の回転軸4への伝達が径方向突部75及び85の弾性変形を介して行われる結果、回転軸2の微小な方向Rの回転の回転軸4への伝達を径方向突部75及び85の弾性変形で低減又は阻止できると共に回転軸2の回転軸4に対する大きな方向Rの相対回転の回転軸4への伝達を径方向突部75及び85よりも大きな剛性を有している径方向突部56を介してそのまま行い得、しかも、径方向突部75及び85における方向Rの一定以上の弾性変形では大きい剛性をもった径方向突部56で径方向突部75及び85の夫々の大きな変形を阻止できるために、径方向突部75及び85の大きな変形による機械的疲労を低減でき、径方向突部75及び85に対して柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を用いた場合には、樹脂材料のクリープによる径方向突部75及び85の永久的な変形をも低減できる上に、径方向突部75及び85の弾性変形を介して回転軸2の方向Rの回転の回転軸4への伝達を行うので、径方向突部75及び85を柔軟性のある剛性の小さい樹脂材料を用いることができると共に径方向突部75及び85のうちの一方のへたりによる回転軸2の微小な方向Rの回転の回転軸4への伝達の低減又は阻止効果の減退又は消失を径方向突部75及び85のうちの他方で補填できるので、長期に亘って当該低減又は阻止効果を維持でき、その上、弾性部材7及び8が結合手段9を介して相互に連結されているために、組み付け性を向上できる。
【0047】
また、軸連結機構1によれば、弾性部材7及び8が結合手段9を介して回転伝達部材6に対して方向R及び径方向Aに関して位置決めされているために、回転軸2及び4の相対的な方向Rの両方の回転に対して弾性部材7及び8による効果を均等に得ることができる。
【0048】
加えて、軸連結機構1においては、内周面24及び44に接触する外周面73及び83が外周面52の径r4よりも大きな径r2を有しているために、内周面24及び44と外周面52との衝突をも回避でき、斯かる衝突による運転者に不快な操舵感覚を与える異音の発生をも抑止できる。
【0049】
上記の例の軸連結機構1は、夫々一個の弾性部材7及び8からなっているが、これに代えて、夫々二個以上の弾性部材7及び8からなっていてもよく、回転伝達部材6の夫々もまた二個以上からなっていてもよい。また、連結基体3及び5の軸方向突部14及び33、回転伝達部材6の径方向突部56、弾性部材7及び8の径方向突部75及び85は、上記の個数に限らないのであり、また、軸部15を連結基部31に設けてもよく、更には、軸部15は、回転軸2又は4のうちの少なくとも一方の軸方向の軸端部からなっていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 軸連結機構
2、4 回転軸
3、5 連結基体
6 回転伝達部材
7、8 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14