(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-32834(P2017-32834A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】地図情報の処理システムおよび処理方法
(51)【国際特許分類】
G09B 29/10 20060101AFI20170120BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20170120BHJP
G06F 3/048 20130101ALI20170120BHJP
【FI】
G09B29/10 A
G09B29/00 A
G06F3/048 651A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-153798(P2015-153798)
(22)【出願日】2015年8月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000121844
【氏名又は名称】応用地質株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096862
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 千春
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 理説
(72)【発明者】
【氏名】富田 正裕
【テーマコード(参考)】
2C032
5E555
【Fターム(参考)】
2C032HA03
2C032HB05
2C032HC27
5E555AA04
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC18
5E555CA03
5E555CB10
5E555CB45
5E555CC11
5E555DB55
5E555DB56
5E555DC09
5E555FA02
(57)【要約】
【課題】印刷された地図上をデジタルペンで手書きすることによって得られた筆跡を容易かつ迅速にデジタルデータ化してデジタル地図上に表示させることが可能になる地図情報の処理システムおよび処理方法を提供する。
【解決手段】地図情報の処理プログラムが、地図表示範囲の画像データおよびデジタルペン用のドットパターンを出力地図に印刷させるとともに、地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報を格納するデータ出力ステップと、デジタルペン内の画像データの印刷部分を手書きしてドットパターンの座標として記録された位置情報を入力ベクトルデータとして保存するデータ変換ステップと、入力ベクトルデータのドットパターンの座標を、上記四隅の緯度経度の情報に基づいてデジタル地図データ上の位置情報に変換してデジタル地図データの地図表示範囲の画像データに重ねて上記表示装置に表示させる表示ステップを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPU(主制御部)に入出力制御部を介して記憶装置、入力装置、表示装置およびプリンタが接続されたデータ処理システムと、このデータ処理システムから上記プリンタによって出力された出力地図と、この出力地図に地図情報を手書きするデジタルペンと、このデジタルペン内のデータを上記データ処理システムに送信する送信装置を備えてなり、
上記記憶装置は、地図情報の処理プログラム、出力範囲管理データベースおよびデジタル地図データが格納されるとともに、
上記地図情報の処理プログラムは、上記デジタル地図データに対して上記入力装置から入力された地図表示範囲の画像データおよび上記デジタルペンで手書きされた筆跡の位置情報を取得するためのドットパターンを上記プリンタに出力して上記出力地図を印刷させるとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報を格納するデータ出力ステップと、
上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記画像データの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報を入力ベクトルデータとして上記記憶装置に保存するデータ変換ステップと、
上記入力ベクトルデータの上記ドットパターンの座標を、上記出力範囲管理データベースに格納された上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記デジタル地図データ上の位置情報に変換して、GIS位置データとして上記記憶装置に取り込むデータ取込ステップと、
上記デジタル地図データの上記地図表示範囲の画像データに上記GIS位置データを重ねて上記表示装置に表示させる表示ステップと、を実行することを特徴とする地図情報の処理システム。
【請求項2】
上記データ出力ステップは、上記地図表示範囲の画像データ、上記ドットパターンおよび上記出力地図のIDを出力して上記出力地図を印刷させるとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報、印刷位置を定義する出力位置情報および上記出力地図のIDを格納し、
上記データ変換ステップは、上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記IDの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報をテキスト形式に変換して入力テキストデータとして保存し、
上記データ取込ステップは、上記入力テキストデータのIDに対応する上記出力範囲管理データベースに格納された上記出力地図のID、出力位置情報および上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記入力ベクトルデータの上記座標を上記デジタル地図データベース上の位置情報に変換して取り込むことを特徴とする請求項1に記載の地図情報の処理システム。
【請求項3】
上記送信装置は、上記デジタルペン内のデータを無線通信で上記データ処理システムに送信する機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の地図情報の処理システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の地図情報の処理システムを用いて地図情報を処理する方法であって、
上記データ処理システムにおいて、上記デジタル地図データに対して上記入力装置から地図表示範囲を入力し、上記プリンタにより当該地図表示範囲の画像データと上記ドットパターンを印刷させて上記出力地図を得るとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報を格納させ、
次いで、上記出力地図を上記デジタルペンで手書きすることにより上記デジタルペン内に手書きした筆跡の位置情報を上記ドットパターンの座標として入力した後に、上記送信装置を用いて上記デジタルペン内の上記位置情報を上記データ処理システムに送信し、
上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記画像データの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報を入力ベクトルデータとして上記記憶装置に保存させた後に、上記入力ベクトルデータの上記ドットパターンの座標を、上記出力範囲管理データベースに格納された上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記デジタル地図データ上の位置情報に変換して、GIS位置データとして上記記憶装置に取り込ませ、
次いで、上記デジタル地図データの上記地図表示範囲の画像データに、上記GIS位置データを重ねて上記表示装置に表示させることを特徴とする地図情報の処理方法。
【請求項5】
上記プリンタにより、上記地図表示範囲の画像データ、上記ドットパターンおよび上記出力地図のIDを印刷させて上記出力地図を得るとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報、印刷位置を定義する出力位置情報および上記出力地図のIDを格納させ、
上記出力地図の上記画像データの印刷部分およびIDの印刷部分を上記デジタルペンで手書きすることにより上記デジタルペン内に手書きした筆跡の位置情報を上記ドットパターンの座標として入力し、
上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記IDの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報をテキスト形式に変換して入力テキストデータとして保存させるとともに、
上記入力テキストデータのIDに対応する上記出力範囲管理データベースに格納された上記出力地図のID、出力位置情報および上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記入力ベクトルデータの上記座標を上記デジタル地図データ上の位置情報に変換して取り込ませることを特徴とする請求項4に記載の地図情報の処理方法。
【請求項6】
上記デジタルペン内のデータを無線通信で上記データ処理システムに送信することを特徴とする請求項4または5に記載の地図情報の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙等に印刷された地図上に手書きされた筆跡の位置情報を、そのままデジタル情報として取り込んでデジタル地図に重ねて表示させることが可能になる地図情報の処理システムおよび処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば鷲やフクロウ等の猛禽類の飛翔経路について現地で野外調査を行う場合には、予め印刷した調査区域の地図を画板等に貼り付けて現地に携帯し、調査時に上記地図上に対象となる猛禽類の飛翔経路を手書きで記入して、帰社後に手書きした飛翔経路をオペレータが手作業でデジタル地図上に逐一入力する方法が採られている。
【0003】
また、環境調査における踏査経路や、災害時におけるがけ崩れ範囲の観測記録を調査する場合等、地図上に観察した情報を入力してデジタル化する場合にも、一般的に同様の方法が採用されている。
【0004】
しかしながら、これらの現地で取得した手書きの地図情報をデジタル化して表示させる方法にあっては、入力作業に多くの手間を要するために、特に多数の調査員によって広範囲を調査する場合には膨大な作業量になってしまい、利用できるまでに長時間を要するという問題点があった。
【0005】
そこで、タブレット等のデジタル機器を野外調査の現地に携帯する方法の考えられるものの、重量が嵩むとともに破損や損傷する虞がある。
【0006】
一方、下記特許文献1に見られるように、手書きした情報をデジタルデータ化するための機器として、デジタルペンが開発されている。
このデジタルペンは、予めポストスクリプトプリンター(PSプリンタ)によって用紙にドットパターンを印刷しておき、当該用紙上をデジタルペンで手書きした際に、デジタルペンに内蔵されたカメラによって手書きした筆跡に沿って上記ドットを撮影し、上記筆跡をこれらドットの座標の集合データとして蓄積するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−109025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまで、上記デジタルペンは、例えばアンケート用紙に記入された文字や数字を、作業員が目視によって読み取ってパーソナルコンピュータ(PC)に入力する手間を削減するために用いられるなど、もっぱら文字データの読み取りおよびデジタルデータ化に用いられており、用紙上に描いた図形をデジタルデータ化する用途については、未だ開発されていないのが実情である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、印刷された地図上をデジタルペンで手書きすることによって得られた筆跡を容易かつ迅速にデジタルデータ化してデジタル地図上に表示させることが可能になる地図情報の処理システムおよび処理方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る地図情報の処理システムは、CPU(主制御部)に入出力制御部を介して記憶装置、入力装置、表示装置およびプリンタが接続されたデータ処理システムと、このデータ処理システムから上記プリンタによって出力された出力地図と、この出力地図に地図情報を手書きするデジタルペンと、このデジタルペン内のデータを上記データ処理システムに送信する送信装置を備えてなり、上記記憶装置は、地図情報の処理プログラム、出力範囲管理データベースおよびデジタル地図データが格納されるとともに、上記地図情報の処理プログラムは、上記デジタル地図データに対して上記入力装置から入力された地図表示範囲の画像データおよび上記デジタルペンで手書きされた筆跡の位置情報を取得するためのドットパターンを上記プリンタに出力して上記出力地図を印刷させるとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報を格納するデータ出力ステップと、上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記画像データの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報を入力ベクトルデータとして上記記憶装置に保存するデータ変換ステップと、上記入力ベクトルデータの上記ドットパターンの座標を、上記出力範囲管理データベースに格納された上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記デジタル地図データ上の位置情報に変換して、GIS位置データとして上記記憶装置に取り込むデータ取込ステップと、上記デジタル地図データの上記地図表示範囲の画像データに上記GIS位置データを重ねて上記表示装置に表示させる表示ステップと、を実行することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、 上記データ出力ステップは、上記地図表示範囲の画像データ、上記ドットパターンおよび上記出力地図のIDを出力して上記出力地図を印刷させるとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報、印刷位置を定義する出力位置情報および上記出力地図のIDを格納し、
上記データ変換ステップは、上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記IDの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報をテキスト形式に変換して入力テキストデータとして保存し、
上記データ取込ステップは、上記入力テキストデータのIDに対応する上記出力範囲管理データベースに格納された上記出力地図のID、出力位置情報および上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記入力ベクトルデータの上記座標を上記デジタル地図データベース上の位置情報に変換して取り込むことを特徴とするものである。
【0012】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記送信装置は、上記デジタルペン内のデータを無線通信で上記データ処理システムに送信する機能を有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の本発明に係る地図情報の処理方法は、請求項1ないし3のいずれかに記載の地図情報の処理システムを用いて地図情報を処理する方法であって、上記データ処理システムにおいて、上記デジタル地図データに対して上記入力装置から地図表示範囲を入力し、上記プリンタにより当該地図表示範囲の画像データと上記ドットパターンを印刷させて上記出力地図を得るとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報を格納させ、次いで、上記出力地図を上記デジタルペンで手書きすることにより上記デジタルペン内に手書きした筆跡の位置情報を上記ドットパターンの座標として入力した後に、上記送信装置を用いて上記デジタルペン内の上記位置情報を上記データ処理システムに送信し、上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記画像データの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報を入力ベクトルデータとして上記記憶装置に保存させた後に、上記入力ベクトルデータの上記ドットパターンの座標を、上記出力範囲管理データベースに格納された上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記デジタル地図データ上の位置情報に変換して、GIS位置データとして上記記憶装置に取り込ませ、次いで、上記デジタル地図データの上記地図表示範囲の画像データに、上記GIS位置データを重ねて上記表示装置に表示させることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記プリンタにより、上記地図表示範囲の画像データ、上記ドットパターンおよび上記出力地図のIDを印刷させて上記出力地図を得るとともに、上記出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報、印刷位置を定義する出力位置情報および上記出力地図のIDを格納させ、上記出力地図の上記画像データの印刷部分およびIDの印刷部分を上記デジタルペンで手書きすることにより上記デジタルペン内に手書きした筆跡の位置情報を上記ドットパターンの座標として入力し、上記送信装置から受信した上記デジタルペン内のデータのうち、上記IDの印刷部分を手書きすることにより上記ドットパターンの座標として記録された筆跡の位置情報をテキスト形式に変換して入力テキストデータとして保存させるとともに、上記入力テキストデータのIDに対応する上記出力範囲管理データベースに格納された上記出力地図のID、出力位置情報および上記四隅の緯度経度の情報に基づいて上記入力ベクトルデータの上記座標を上記デジタル地図データ上の位置情報に変換して取り込ませることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、上記デジタルペン内のデータを無線通信で上記データ処理システムに送信することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜3のいずれかに記載の地図情報の処理システムまたは請求項4〜6のいずれかに記載の処理方法によれば、デジタルペンで手書きされた筆跡の位置情報を取得するためのドットパターンと指定した地図表示範囲の画像データを印刷した出力地図を調査の現地に携帯し、調査結果を上記出力地図上にデジタルペンで手書きして上記デジタルペン内に筆跡の位置情報をドットパターンの座標として記録し、当該データを調査終了後にデータ処理システムに送信して、予め出力範囲管理データベースに格納した上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報に基づいて上記ドットパターンの座標をデジタル地図データ上の位置情報に変換し、上記地図表示範囲の画像データに重ねて表示させているために、調査現地には、印刷された出力地図とデジタルペンのみを携帯すれば良く、かつ調査終了後は人手による入力を行うことなくデジタル地図上に表示させることが可能になる。
【0017】
この結果、従来と同様に印刷された地図を用いた簡易な調査手法によって、高いコストを要することなく、容易かつ迅速にデジタルデータ化してデジタル地図上に表示させることができる。
【0018】
この際に、上記出力図面の記載様式が一種類であれば、出力範囲管理データベースに保存した地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報を基に、ドットパターンの座標として送信された筆跡の位置情報をデジタル地図データの位置情報に変換することができるが、上記出力図面として、印刷する用紙の大きさ、画像データの入力スペースの位置や面積等の記載様式が異なる複数の種類の出力図面を取り扱う場合には、地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報のみに基づいてデジタル図面データの位置情報に変換することができない。
【0019】
このような場合には、請求項2または5に記載の発明のように、予め出力図面に上記地図表示範囲の画像データ、上記ドットパターンおよび上記出力地図のIDを印刷するとともに、出力範囲管理データベースに上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報、印刷位置を定義する出力位置情報および上記出力地図のIDを格納しておき、デジタルペンで手書きする際に、地図情報と共にIDも手書きして、データ処理システムにおいて上記IDに対応する上記出力範囲管理データベースに格納された上記出力地図のID、出力位置情報および上記四隅の緯度経度の情報を参照することにより、記載様式が異なる複数の種類の出力図面に対しても、上記入力ベクトルデータの座標をデジタル地図データ上の位置情報に変換して取り込むことができる。
【0020】
さらに、請求項3または6に記載の発明によれば、デジタルペン内のデータを、無線通信機能を有する送信装置によってデータ処理システムに送信することにより、調査後に現地から直接データ処理システムに地図情報を送って表示処理することが可能になり、一層処理の迅速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の地図情報の処理システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の地図情報の処理方法を説明するためのフロー図である。
【
図3】
図2のデータ変換ステップのフローを具体的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図3は、本発明に係る地図情報の処理システムの一実施形態を示すもので、
この処理システムは、例えば事務所等に設置されて地図情報のデジタルデータ化の処理を行うデータ処理システム1と、調査の現地に携帯するデジタルペン2および任意帳票(出力地図)3と、デジタルペン2のデータをデータ処理システム1に送信するクレードル(送信装置)とから概略構成されたものである。
【0023】
そして、上記データ処理システム1は、CPU(主制御部)に入出力制御部を介してRAM等の一時記憶メディア4およびHDD等の記憶装置、キーボードやマウス等の入力装置およびモニタ等の表示装置が接続された汎用のパーソナルコンピュータ(PC)5と、このPC5に接続されたポストスクリプトプリンタ(PSプリンタ)6とから構成されたものである。
【0024】
上記記憶装置には、地図情報の処理プログラム、出力範囲管理データベース7およびデジタル地図の画像データ8が格納されている。
また、任意帳票3は、PC5から出力された地図の画像データおよび調査日時・場所等の書誌的事項の記入欄並びに任意帳票3のIDと、デジタルペン2によって手書きされた筆跡の位置情報を取得するためのドットパターンとが印刷されたものである。
【0025】
ちなみに、
図3に示すように、画像データと上記IDおよび書誌的事項の記入欄とは、各々後述する出力位置情報に設定されているイメージ認識エリア9および文字認識エリア10に印刷されている。
【0026】
さらに、デジタルペン2は、任意帳票3上に調査結果となる地図情報および日時場所等の書誌的事項並びに任意帳票3のIDを手書きするたびに、ペン先の筆圧を感知して当該ペン先の位置に印刷された上記ドットパターンを光学モジュールによって読み取り、読み取った筆跡をドットパターンの位置情報に変換して内蔵メモリに蓄積するものである。
【0027】
次に、以上の構成からなる処理システムを用いた地図情報の処理方法の一実施形態を、上記地図情報の処理プログラムの機能とともに説明する。
先ず、本実施形態が対象としている任意帳票は、予め調査場所や調査目的等に応じて、画像データの印刷位置やその面積および調査場所や日時等の書誌的事項の記入欄の様式等が異なる複数種類のものが用意されており、各々の任意帳票に対して、上記様式が印刷位置を定義する出力位置情報として設定されている。
【0028】
そして、予め用意されている任意帳票のうちの1つの任意帳票3を作成するには、PC1にデジタル地図を表示させて、マウス等の入力装置から地図表示範囲を入力する。すると、処理プログラムは、入力された地図表示範囲の画像データ、任意帳票3のIDおよび上記ドットパターンをPSプリンタ6に出力して、任意帳票3を印刷させるとともに、出力範囲管理データベース7に上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報、上記出力位置情報および上記IDを格納する(データ出力ステップ)。
【0029】
次いで、調査を行うに際して、デジタルペン2および任意帳票3を携帯して現地に移動し、例えば猛禽類の飛翔経路等の調査対象となる地図情報をデジタルペン2で任意帳票3のイメージ認識エリア9に印刷されている画像データの印刷部分に手書きする。また、文字認識エリア10に印刷されているIDをなぞるとともに、記入欄に書誌的事項を記入する。
【0030】
すると、イメージ認識エリア9に手書きした筆跡の位置情報および文字認識エリア10に手書きした筆跡の位置情報が、各々上記ドットパターンの座標としてデジタルペン2内に入力されて保存される。
【0031】
そして、上記調査が完了した後に、上記デジタルペン2をクレードルに差し込んで、内部のデータをPC5に送信する。これに対して、上記処理プログラムは、デジタルペン2から受信したデータを、一次記憶メディア4に手書き入力データ11として保存するとともに、データ変換ステップ12を起動する。
【0032】
そして、このデータ変換ステップ12において、手書き入力データ11を一時記憶メディア4から読み出し、出力範囲管理データベース7に保存されている印刷位置を定義する出力位置情報に従って、イメージ認識エリア9に手書きした筆跡の位置情報をイメージとして認識し、SVG形式の図形データに変換して一時記憶メディア4に入力ベクトルデータ13として保存する。また、文字認識エリア10に手書きした筆跡の位置情報を、文字と認識してCSV形式に変換し、入力テキストデータ14として保存する。
【0033】
次に、上記処理プログラムは、データ取込ステップ15を起動する。このデータ取込ステップ15においては、先ず一時記憶メディア4から入力テキストデータ14および入力ベクトルデータ13を読み出し、入力テキストデータ14に順番に配列された文字を、後述する表示画面における表示形式に合うように再配列してGIS属性データ16として保存する。
【0034】
次いで、出力範囲管理データベース7の情報を読み込み、GIS属性データ16に保存されている任意帳票3のIDと、出力範囲管理データベース7に保存されているIDを照合する。そして、照合した任意帳票3のIDからその四隅の緯度経度情報を参照し、入力ベクトルデータ13の座標変換を行ってGIS位置データ17として保存する。
【0035】
そして、上記調査した結果の地図情報をデジタル地図上に表示させる際には、上記処理プログラムにより、PC5のモニタにデジタル地図の画像データであって、出力範囲管理データベース7に保存されている地図表示範囲の画像データを表示させ、これにGIS位置データ17を重ねて表示させるとともに、GIS属性データ16を、上記画像データと並列的に設定された記入欄に表示させる(表示ステップ)。
【0036】
以上説明したように、上記構成からなる地図情報の処理システムおよび処理方法によれば、デジタルペン2で手書きされた筆跡の位置情報を取得するためのドットパターンと指定した地図表示範囲の画像データを印刷した任意帳票3を調査の現地に携帯し、調査結果を上記任意帳票3上にデジタルペン2で手書きして、その筆跡の位置情報をドットパターンの座標として記録し、調査終了後に当該データをデータ処理システム1に送信して、予め出力範囲管理データベース7に格納した地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報に基づいてドットパターンの座標をデジタル地図データ上の位置情報に変換して地図表示範囲の画像データに重ねて表示させているために、調査現地には、印刷された任意帳票3とデジタルペンのみを携帯すれば良く、かつ調査終了後は人手による入力を行うことなくデジタル地図上に表示させることが可能になる。
【0037】
この結果、従来と同様に印刷された任意帳票3を用いた簡易な調査手法によって、高いコストを要することなく、容易かつ迅速にデジタルデータ化してデジタル地図上に表示させることができる。
【0038】
加えて、予め任意帳票3に上記地図表示範囲の画像データ、ドットパターンおよび任意帳票3のIDを印刷するとともに、出力範囲管理データベース7に地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報、印刷位置を定義する出力位置情報および任意帳票3のIDを格納しておき、デジタルペン2で手書きする際に、地図情報と共にIDも手書きして、データ処理システム1において上記IDに対応する出力範囲管理データベース7に格納された任意帳票3のID、出力位置情報および四隅の緯度経度の情報を参照しているために、印刷する用紙の大きさ、画像データの入力スペースの位置や面積等の記載様式が異なる複数の種類の任意帳票3に対しても、確実に入力ベクトルデータ14の座標をデジタル地図データ上の位置情報として変換して取り込むことができる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、出力図面として複数の記載様式が準備されている任意帳票3を用いた場合に付いてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上記記載様式が一種類である専用帳票に適用する場合には、当該専用帳票にIDを印刷せず、かつ出力範囲管理データベース7には地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報のみを保存することにより、デジタルペン2にドットパターンの座標として保存された筆跡の位置情報を、上記地図表示範囲の四隅の緯度経度の情報のみからデジタル地図データの位置情報に変換することが可能である。
【0040】
また、表示ステップにおいては、調査した結果の地図情報をデジタル地図上に表示させる表示装置としてモニタを用いた場合に付いて示したが、これに限らず、上記表示装置としてプリンタを用いて、上記地図情報とデジタル地図の画像データとを重ねて印刷して表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 データ処理システム
2 デジタルペン
3 任意帳票(出力図面)
4 一時記憶メディア
5 PC
6 PSプリンタ
7 出力範囲管理データベース
8 デジタル地図の画像データ
12 データ変換ステップ
13 入力ベクトルデータ
14 入力テキストデータ
15 データ取込ステップ
16 GIS属性データ
17 GIS位置データ