【解決手段】アイウェアは、フレームと、フレームから遠位に延びる1つ以上のステムとを含む。1つ以上のプロセッサがフレームとステムとのうちの1つ以上の中に配置され、1つ以上の近接センサ部品が、ステムの中に配置され、後部に対向する方向に向けられた熱受信光線を画定する。各近接センサ部品は、物体からの赤外線放出を受信するための赤外線信号受信器を含むことが可能である。1つ以上のプロセッサは、近接センサ部品が物体からの赤外線放出を受信したときに制御動作を実行可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示による実施形態を説明する。当業者は、図中の要素が、簡潔さ及び明瞭さのために例示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを認識し得る。本開示の実施形態をより良く理解するために、例えば、図中の幾つかの要素の寸法は他の要素に対して誇張されている場合がある。
【0009】
本開示による実施形態は、主として、方法ステップ及び装置構成部品の組み合わせにあり、これらの方法ステップ及び装置構成部品は、電子装置に対して異なる方向から物体を検出するための近接センサ部品を使用することに関連する。フローチャートにおける任意のプロセスの説明又はブロックは、特定の論理的機能又はプロセスのステップを履行するための1つ以上の実行可能な命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は一部分を表すものとして理解されるべきである。
【0010】
本開示の実施形態は、ビジネス情報の処理を目的とした一般的なビジネス方法の履行を詳しく述べるものではなく、また既知のビジネスプロセスをインターネットの特別な技術環境に適用するものでもない。また、本開示の実施形態は、一般的なコンピュータ機能や従来のネットワーク動作を用いた契約上の関係を創作又は変更するものではない。むしろ、本開示の実施形態は、電子装置及び/又はユーザインターフェース技術に適用された場合に、電子装置自体の機能を改善しユーザ全体の経験を改善することによって、電子装置のユーザ対話に関連付けられた技術領域で特定的に生じる問題を克服する方法を採用する。
【0011】
代替実施例も含まれることが、以下の説明によって明らかになる。即ち、機能は、図示又は説明されるものから順序不同で実行してもよく、関連する機能性に依存して実質的に同時に、又は逆の順番で実行してもよい。従って、装置構成部品及び方法ステップは、適切な場合には、図面における符号によって表されたものであるが、これらの図面は、本開示が詳細な説明によって不明確とならないよう本開示の実施形態を理解することに直接関係のある特定の詳細だけを示していることが当業者には容易に明らかとなる。
【0012】
本明細書で説明される開示の実施形態は、1つ以上の汎用のプロセッサ及び一意に格納されたプログラム命令で構成してもよい。これらのプログラム命令は、1つ以上のプロセッサを制御して、受信した赤外線放出を近接センサ部品によって検出し、また任意でその赤外線放出がどの方向から生じたかを決定する機能のうちの幾つか、殆ど、又は全てを、非プロセッサ回路と協働して実行させるものである。非プロセッサ回路は、以下に限定されるものではないが、無線受信器、無線送信器、信号駆動器、クロック回路、電源回路、及びユーザ入力装置を含んでもよい。そのため、これらの機能は、赤外線放出を検出し、及び/又は赤外線放出がどの方向から受信されるかを検出するための方法のステップとして解釈することができる。或いは、幾つかの又は全ての機能は、格納されたプログラム命令を持たないステートマシンによって実行することも可能である。又は、幾つかの又は全ての機能は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)において実行することも可能である。特定用途向け集積回路(ASIC)において、各機能又は機能の幾つかの組み合わせは、カスタムロジックとして履行される。もちろん、2つのアプローチの組み合わせを使用することも可能である。これら機能のための方法及び手段は、本明細書に説明されている。当業者は、本明細書で開示された概念及び原理によって導かれる場合、例えば、利用可能な時間、現在の技術、経済的考慮によって動機付けられるおそらくは相当の努力及び多くの設計選択候補があるにせよ、最小の実験によってそのようなソフトウェア命令及びプログラム並びにASICを容易に生成することが可能である。
【0013】
以下、本開示の実施形態を、詳細に説明する。図面において、同じ符号は同じ部分を示す。本明細書及び請求の範囲で使用される以下の用語は、文脈がそうでないことを明瞭に規定していない限り、本明細書で明確に関連付けられた意味を持つ。第1や第2、頂部や底部などの用語は、1つの実体又は行為を、別の実体又は行為と単に区別するために使用している場合があり、そのような実体又は行為の間における実際的な関係又は順序等を必ずしも要求又は意味するものではない。また、本明細書において括弧書きで示す参照符号は、説明している図以外の図において示される構成部品を指し示す。例えば、
図Aを説明している際に装置(10)について言及する場合、
図A以外の図で示される要素10を示す。
【0014】
本開示の実施形態は、ユーザが見ていない方向に沿った物体からの熱放出を検出するための近接センサ部品を備えたアイウェア(eyewear)を提供する。このアイウェアは、メガネ、サングラス、ゴーグル、マスク、シールド、バイザーなどを含む数多くの異なるタイプのもので構成することが可能である。一実施形態において、アイウェアは、開位置にある場合、フレームと、そのフレームから遠位に延びる1つ以上のステム(stem)とを備える。ステムは、任意でフレームに対して旋回して、閉位置から、放射状に変位した開位置まで開くように構成される。この放射状に変位した開位置では、ステムはフレームから遠位に延びている。しかしながら、他の実施形態において、ステムはフレームに対して固定されていてもよい。更に他の実施形態において、マスク又はゴーグルの場合には、ステムは、フレキシブルな材料又は伸縮性の材料から製造されてもよく、装着者によって装着された場合にのみフレームから遠位に延びてもよい。
【0015】
一実施形態において、アイウェアは、携帯用電子装置を定義する。例えば、アイウェアは、1つ以上のプロセッサを含むことが可能である。それらのプロセッサは、フレームの1つ以上の中に、又は1つ以上のステムの中に配置することができる。一実施形態において、アイウェアは、1つ以上のプロセッサとともに動作可能な1つ以上の近接センサ部品を更に含むことが可能である。一実施形態において、1つ以上の近接センサ部品は、各々受信器のみを備え、対応する送信器を含まない。本明細書で使用される「近接センサ部品」は信号受信器のみを備え、この信号受信器は、物体からの反射に関する信号を信号受信器に放出するための対応する送信器を含まない。ユーザの体、或いはユーザによって装着されるウェアラブル電子装置などの装置の外部にある他の熱発生物体が送信器となるという事実により、信号受信器のみを使用することができる。
【0016】
例として説明すると、一実施形態において、近接センサ部品は、アイウェアのフレーム及びステムの外部にある物体からの信号を受信する信号受信器を備える。一実施形態において、物体がアイウェアの熱受信半径内にある場合、信号受信器は、人間などの物体からの赤外線放出を受信する赤外線信号受信器である。1つ以上の実施形態において、近接センサ部品は、約4マイクロメートルから約10マイクロメートルの赤外波長を受信するように構成される。この波長範囲は、人間の体によって放出される熱の波長に対応するという点において、1つ以上の実施形態において有利である。また、この範囲にある波長の検出は、例えば、送信器及び受信機のペアを含む能動的近接検出部品の送信器からの反射信号を検出する場合よりも、更に遠い距離からの検出が可能である。
【0017】
1つ以上の実施形態において、1つ以上の近接センサ部品は、アイウェアのステムの中に配置される。本開示の実施形態は、視覚に関して人々は限られた視野を有するということを考慮する。従って、アイウェアを装着している場合、人は、例えばフレームに配置されたレンズを通して、一般に、120度〜180度の間の角度で、前方方向を見ることが可能である。しかしながら、人は「自分の頭の後部を」見ることはできない。従って、近接センサ部品を戦略的に位置決めすることによって、これらの装置は、背後から近づいてくる物体を検出することが可能になる。
【0018】
1つ以上の実施形態において、物体の存在を検出する1つ以上の近接センサにより物体が検出される場合に、アイウェア、又はスマートフォンのようなコンパニオン電子装置は制御動作を実行可能である。以下でより詳細に説明するが、制御動作は多くの異なる形態を取ることが可能である。例えば、一実施形態において、制御動作は、ユーザにアラートを送達することを含む。アラートは、誰かが自分の背後にいることをユーザに通知することができる。1つ以上の実施形態において、このアラートは、人がいる場所の方向の指示を含むこともできる。アラートは、人がより速く歩くべきであることを指し示す緩やかなアラートから、誰かが背後から急速に近づいているので危険な状態にあり得ることを指し示すより深刻なアラートまで、多くの異なる形態を取り得る。
【0019】
一実施形態において、アイウェアを装着しているユーザの背後からの物体のより最適な検出を提供するために、1つ以上の近接センサ部品は、アイウェアのフレームから離れたステムの遠位端に配置される。一実施形態において、各ステムは、こめかみ部分と耳係合部分とを備える。こめかみ部分は耳係合部分とフレームとの間に配置される。一実施形態において、1つ以上の近接センサ部品は、耳係合部分に沿って配置されることで、ユーザの背後において、最後部に対向する「視野」を有する。そのように配置される場合、近接センサ部品の赤外線信号受信器は、後部に対向する方向に沿った物体からの赤外線放出又は熱放出を受信する位置にある。
【0020】
一実施形態において、アイウェアは、2つのステム、即ち第1ステム及び第2ステムを備える。一実施形態において、1つの近接センサ部品は、各ステムの耳係合部分に配置される。例えば、一実施形態において、第1近接センサ部品は第1ステムに沿って配置可能である一方で、第2近接センサ部品は第2ステムに沿って配置される。これらの場所は、髪が各近接センサ部品を完全に覆う可能性を低減するという点において有利であり得る。これらの場所はまた、近接センサ部品の後部における受信妨害を回避可能とする人間工学的設計を提供する。
【0021】
2つ以上のそのような近接センサ部品が使用される場合、赤外線放出が受信された方向を決定することができる。例えば、第1近接センサ部品は、第1方向に少なくとも部分的に向けられた少なくとも第1受信光線を画定する一方、第2近接センサ部品は、第2方向に少なくとも部分的に向けられた少なくとも第2受信光線を画定し得る。第1方向と第2方向は異なる方向とすることができる。どちらの近接センサ部品が赤外線放出を受信したかを判定することによって赤外線放出がどの方向から受信されたかという指示を得ることができる。また、以下でより詳細に説明するが、方向の決定を更に向上させるべく、格子及び/又はレンズを使用して複数の熱受信光線を画定することも可能である。各熱受信光線には、受信角度を関連付けることが可能である。一実施形態では、1つの近接センサ部品の受信角度が他の近接センサ部品の受信角度と重なるように各受信角度が鈍角である(即ち、90度よりも大きい)。
【0022】
1つ以上の実施形態においては、二次電池のような小さなエネルギー蓄積装置を充電するために、太陽電池のような光起電力装置をアイウェアの中に含めることが可能である。シミュレーションによれば、一群の赤外線信号受信器は、わずか数マイクロアンペアの合計電流流出によって動作可能である。従って、一方のこめかみ部分又は両方のこめかみ部分に沿って配置された小さな光起電力装置は、1つ以上のプロセッサ、近接センサ部品、及び無線通信装置(任意)に電力供給するのに十分である。他の実施形態においては、これらの構成部品に電力を供給するために、アイウェアを装着した人の機械的運動から電力を生成する圧電装置などのエネルギー採取エンジンを使用することができる。
【0023】
本開示の実施形態は、様々な方法で使用することができる。例えば、一実施形態において、近接センサ部品がユーザの後方の物体を検出する場合、制御動作は、ユーザにアラートを送達することを含み得る。このアラートは、一実施形態において、触覚応答の形態、例えば、ユーザの頭の側面に送達される微小振動であり得る。アラートは、他の実施形態において、可聴出力、例えば、ユーザの耳の背後に送達される低音量の音であり得る。1つ以上の実施形態において、可聴出力は、方向を指し示すことさえも可能である。例えば、右耳に送達された可聴出力は、右から人が近づいていることを指し示すようにしてもよく、その一方で、左耳に送達された可聴出力は、その反対のことを指し示すようにしてもよい。もちろん、これらの接近の組み合わせも同様に使用可能である。更に他のタイプのアラートが以下で説明されるが、この開示の恩恵を受ける当業者には、更なる他のアラートであってもよいことが明らかである。
【0024】
別の実施形態において、人が近づいている及び/又は背後に立っている場合にユーザのアラート度を上げるために、アイウェアは、1つ以上の近接センサ部品が物体からの赤外線放出を受信するとコンパニオン電子装置に通知を送信するための無線通信装置を含むことが可能である。他の電子装置における1つ以上のプロセッサは、その通知を受信したときに制御動作を実行することができる。例えば、もしコンパニオン装置がスマートフォンであるならば、1つ以上の近接センサ部品がユーザの背後の存在を指し示した場合、制御動作は、ディスプレイの「視認性」を制限することを含み得る。別の実施形態において、誰かがユーザの背後にいる場合、コンパニオン装置は、ネットワーク上における遠隔サーバ、即ち、「クラウド内」のサーバに通知やアラートを送信してもよい。
【0025】
更に別の実施形態において、コンパニオン装置は、ユーザがコンパニオン装置を一時的に使用することを防止するために装置自体を「ロック」し、それによって、ユーザに背後の存在を通知し、ユーザの注意を電子装置よりもむしろ物体に向けさせることが可能となる。もしアイウェアが音声取り込み装置及び/又は映像取り込み装置を備える場合は、人がユーザの背後にいる場合、音声及び/映像を取り込むために、これらの装置を作動させることも可能である。もし人が、ユーザを襲うことを意図する犯罪者である場合、後々の犯罪者の特定のために、この取り込まれた映像及び/又は音声を緊急職員に送信することができる。他の使用法及び本明細書で説明される実施形態の恩恵は、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。
【0026】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態によるアイウェア100の一実施形態を例示している。
図1の例示的なアイウェア100は、一対のメガネとして構成されている。しかしながら、これは単に例示目的に過ぎず、アイウェア100は、他の方法でも同様に構成することができる。上記したように、アイウェア100は、サングラス、ゴーグル、マスク、シールド、又はバイザーのいずれかとして構成することも可能である。アイウェア100の他の形態は、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。
【0027】
図1のアイウェア100は、フレーム101と、1つ以上のステム102、103とを含む。ここで、1つ以上のステム102、103は、第1ステム102と第2ステム103とを含む。1つ以上のレンズ104、105は、フレーム101の中に配置される。レンズ104、105は、処方品でも非処方品でもよく、明るいもの、色みがかったもの、又は暗いものであり得る。この例示的な実施形態において、ステム102、103は、第1位置107から第2位置(
図1に示した、放射状に変位した開位置)まで旋回可能106である。しかしながら、他の実施形態において、ステム102、103は、フレーム101に固定されていてもよい。更に他の実施形態において、アイウェア100がゴーグルであった場合、ステム102、103は曲げやすくてもよく、又は柔軟であってもよい。例えば、ゴーグルのステムは、しばしば伸縮性の布であり、柔軟であり、曲げやすく、しなやかであり、伸縮性がある。他のタイプのステム102、103も、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。
【0028】
1つ以上の実施形態において、ステム102、103は、第1端部108、109でフレーム101に取り付けられ、フレーム101から第2遠位端部110、111まで遠位に延びる。一実施形態において、各ステム102、103は、こめかみ部分112と、耳係合部分113とを含む。こめかみ部分112は、フレーム101から装着者のこめかみを通り過ぎるステム102、103の部分であり、耳係合部分113は、アイウェアを装着者の頭に保持するために装着者の耳に係合される。
【0029】
1つ以上の実施形態において、アイウェア100は、電子装置として構成される。従って、フレーム101とステム102、103とのうちの一方又はその両方は、1つ以上の電気的構成部品を備える。これらの電気的構成部品は、
図1における概略的ブロック
図115にて例示的に示される。この開示の恩恵を受ける当業者には明らかであるが、電気的構成部品及び関連付けられたモジュールは、異なる組み合わせで使用することが可能であり、その場合、幾つかの構成部品及びモジュールは含まれ、且つ他は省略されてもよい。構成部品又はモジュールは、必要性又は応用に基づいて適宜含まれるか除外される。
【0030】
電子構成部品は、1つ以上のプロセッサ116を含み得る。1つ以上のプロセッサ116は、ステム102、103とフレーム101とのうちの1つ以上に配置することができる。1つ以上のプロセッサ116は、メモリ118と共に動作可能としてもよい。1つ以上のプロセッサ116(1つ以上のマイクロプロセッサ、プログラマブル・ロジック、特定用途向け集積回路装置、又は他の類似装置のいずれであってもよい)は、プログラム命令及び本明細書で説明される方法を実行することができる。プログラム命令及び方法は、1つ以上のプロセッサ116に内蔵されて格納されてもよいし、メモリ118に格納されてもよいし、又は1つ以上のプロセッサ116に結合された他のコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。1つ以上のプロセッサ116は、アイウェア100の様々な機能を動作させるように構成可能であり、更に、メモリ118のようなコンピュータ可読媒体に格納され得るソフトウェア・アプリケーション又はファームウェア・アプリケーション及びモジュールを実行するように構成可能である。1つ以上のプロセッサ116は、このソフトウェア又はファームウェアを部分的に実行して、装置の機能を提供する。メモリ118は、スタティックメモリ構成部品及びダイナミックメモリ構成部品のうちのいずれか又はその両方を含んでもよく、これらは、埋め込まれたコード及びユーザデータの両方を格納するために使用してもよい。
【0031】
一実施形態において、1つ以上の近接センサ部品119は、1つ以上のプロセッサ116と共に動作可能であり得る。1つ以上の近接センサ部品119は、1つ以上のステム102、103の中に配置することができる。一実施形態において、近接センサ部品119は、信号受信器のみを備える。一実施形態において、近接センサ部品119は、赤外フォトダイオードのような赤外線信号受信器117を備える。例えば、一実施形態では、近接センサ部品119は、約860ナノメートルの赤外波長を受信する信号受信器を備える。一実施形態において、予め定義された熱受信半径内に人がいる場合、近接センサ部品119は、人の体から発する熱を検出できるように比較的長い検出範囲を有する。例えば、1つ以上の実施形態において、近接センサ部品は、約10フィートの距離から人の体の熱を検出することが可能であってもよい。10フィートの寸法は、設計された光学系、センサ活性エリア、利得、レンズ利得などに応じて、延長することができる。
【0032】
一実施形態において、各近接センサ部品119は、人からの赤外線放出を検出できるように赤外線信号受信器を備える。これは「受動的IRシステム」と呼ばれることがあるが、それは、人が能動的送信器であるということによる。従って、ハウジングの外部に配置された物体が、赤外線信号受信器117によって受信される放出を送達するため、近接センサ部品119は送信器を必要としない。送信器を必要としないので、各近接センサ部品119は、非常に低い電力レベルで動作可能である。シミュレーションによれば、一群の赤外線信号受信器は、例えば約8マイクロアンペアよりも小さい、わずか数マイクロアンペアの合計電流流出によって動作することができる。
【0033】
一実施形態において、各近接センサ部品119の信号受信器は、少なくとも1つの近接センサ部品119が異なる距離からの赤外線放出を受信するよう動作可能とさせるべく、様々な感度レベルで動作することができる。例えば、1つ以上のプロセッサ116は、各近接センサ部品119が第1距離からの赤外線放出を受信できるように各近接センサ部品119を第1「有効」感度で動作させることが可能である。同様に、1つ以上のプロセッサ116は、各近接センサ部品119を第2感度で動作させることが可能である。この第2感度は第1感度よりも小さく、これによって、第1距離よりも小さい第2距離からの赤外線放出を受信する。1つ以上のプロセッサ116が近接センサ部品119からの読み出しを異なって解釈することにより感度変化をもたらすことも効果的である。
【0034】
この例示的な実施形態において、1つ以上の近接センサ部品119は、第1ステム102に沿って配置された第1近接センサ部品120と、第2ステム103に沿って配置された第2近接センサ部品121とを備える。一実施形態において、第1近接センサ部品120及び第2近接センサ部品121は、各々、第1ステム102及び第2ステム103のそれぞれの耳係合部分113に沿うと共に、第1ステム102及び第2ステム103の遠位端部110、111に向かって配置される。上記したように、一実施形態において、
図1で示した開位置にある場合、ステム102、103は、後部に対向する方向114においてフレーム101から遠位に延びる。これによって、各近接センサ部品119の赤外線信号受信器117は、後部に対向する方向114に沿った物体からの1つ以上の赤外線放出を受信することが可能になる。
【0035】
1つ以上の実施形態において、アイウェア100はまた、任意で、無線通信装置125を含む。無線通信装置125が含まれる場合、無線通信装置125は、1つ以上のプロセッサ116と共に動作可能であり、1つ以上の電子装置、又はネットワーク上のサーバ若しくは他の通信装置との電子通信を促進するために使用される。なお、1つ以上のプロセッサ116、メモリ118、及び無線通信装置125を単一の装置に結合してもよく、或いは構成部分の機能性を保持しながらより少ない部分を有する装置に結合してもよい。
【0036】
無線通信装置125(受信器又は送信器の1つであってもよく、或いはトランシーバであってもよい)は、通信ネットワークを通して電子的に通信するために1つ以上のプロセッサ116と協働して動作する。例えば、一実施形態において、無線通信装置125は、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク又は移動通信用グローバルシステム(GSM(登録商標))ネットワークなどの、伝統的な移動電話システムのネットワークを通して通信するように構成可能である。通信回路が通信し得るネットワークの他の例としては、プッシュ・ツー・トーク(PTT)ネットワーク、固有ネットワーク、デュアルバンドCDMAネットワーク、デュアルバンド・ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)ネットワーク、及び直接通信ネットワークが含まれる。他の実施形態において、無線通信装置125は、近接無線ネットワーク又はローカル・エリア・ネットワークと通信可能である。適切な近接通信回路の例としては、ブルートゥース(登録商標)通信回路、IEEE801.11通信回路、赤外通信回路、磁界変調回路、及びWi−Fi(登録商標)回路が含まれる。1つ以上の実施形態において、無線通信装置125は、電子メッセージを遠隔装置に送達するためのメッセージ機能性を提供するように構成可能である。
【0037】
アイウェア100の様々な構成部品に対して電力を供給するために、バッテリ122又は他のエネルギー蓄積装置を含めることが可能である。
図1にはバッテリ122が示されているが、マイクロ燃料電池又は電気化学キャパシタを含む他のエネルギー蓄積装置がバッテリ122の代わりに使用され得ることは、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。バッテリ122は、リチウムイオン電池又はニッケル金属水素化物電池を含むことが可能であり、そのような電池は、十分なエネルギー容量、広い動作温度範囲、多数回の充電サイクル、及び長い有効寿命を有する。バッテリ122はまた、過電圧保護及び過電流保護、並びに充電回路構成を含んでもよい。一実施形態において、バッテリ122は、小さなリチウムポリマー電池を備える。
【0038】
1つ以上の実施形態において、バッテリ122を再充電するために、太陽電池のような光起電力装置123を含めることが可能である。一実施形態において、光起電力装置123は、ステム102、103のこめかみ部分112に沿って配置することができる。この例示的な実施形態においては、2つの太陽電池126、127が、各ステム102、103のこめかみ部分112にそれぞれ配置されている。
【0039】
また、アイウェア100には、他の構成部品124を任意で含めることが可能である。例えば、一実施形態において、1つ以上のマイクロフォンを、音声取り込み装置128として含めることが可能である。この音声取り込み装置は、音声入力を受信するために、1つ以上のプロセッサ116と共に動作可能であり得る。加えて、1つ以上の実施形態において、近接センサ部品119がアイウェア100のユーザの背後の誰かを検出する場合には、音声取り込み装置128は周囲の音声ノイズを取り込むことが可能である。1つ以上の実施形態において、もしユーザの背後の人が脅威であると分かった場合、1つ以上のプロセッサ116は、後々の同定のために、この取り込まれた音声を緊急職員に送信することができる。1つ以上の実施形態において、音声取り込み装置128は、音声をメモリ118に記録して、無線通信装置125を通してネットワーク上のサーバ複合体に送信してもよい。
【0040】
他の構成部品124はまた、触覚通知又は振動通知をユーザに提供するためのモーション生成装置を含むことが可能である。例えば、圧電トランスデューサ、回転モータ、又は他の電気機械装置は、ステム102、103のこめかみ部分112上で力又は振動を与えるように、或いはフレーム101に沿って力又は振動を与えるように構成することができる。モーション生成装置は、強い打撃、揺さぶり、振動、又はユーザに対する他の物理的感覚を提供することができる。1つ以上のプロセッサ116は、触覚出力又は振動出力を単独で、又は音声出力のような他の出力との組み合わせにおいて送達するべくモーション生成装置を作動させるように構成することができる。
【0041】
また、1つ以上の実施形態において、アイウェアは、撮像素子などの映像取り込み装置129を含むことが可能である。撮像素子は、ステム102、103の中に配置することが可能であり、これにより、近接センサ部品119が近接センサ部品119の熱受信半径内に物体の存在を検出する場合、後部に対向する方向114に沿った画像を取り込むことが可能である。1つ以上の実施形態において、映像取り込み装置は、後部に対向する方向114に沿った、アイウェア100の近傍での光学強度、色、光、又は影における変化を検出するための装置として機能することも可能である。音声取り込み装置128と同様に、近接センサ部品によって検出された物体が脅威であると分かった場合には、取り込まれた映像情報を緊急職員に送信することができる。
【0042】
他の任意の構成部品としては、アイウェア100が何処に位置するかを決定するための全地球測位システム装置130が含まれる。全地球測位システム装置130は、おおよその場所を決定するための一群の地球軌道衛星又は地上基地局のネットワークと通信可能である。本発明の実施形態で使用するのに適した衛星位置決めシステムの例としては、とりわけ、米国における全地球測位システム(GPS)である、時間及び範囲ナビゲーションシステム(NAVSTAR)、ロシアにおける全地球軌道ナビゲーションシステム(GLONASS)、及び他の同様な衛星位置決めシステムが含まれる。全地球測位システム装置130が、場所決定モジュールの一例であるのに対して、電子コンパス又はジャイロスコープのような他の場所決定装置が同様に使用できることは、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。
【0043】
また、任意でユーザインターフェース131を含めることが可能である。ユーザインターフェース131は、例えば、回路構成部品をアクティブにする、回路構成部品の電源を切る、近接センサ部品の感度を制御する、などのために使用することができる。ユーザインターフェース131が含まれる場合、ユーザインターフェース131は、ユーザに情報を送信したりユーザから情報を受信したりするために、1つ以上のプロセッサ116と共に動作可能であり得る。ユーザインターフェース131は、ロッカースイッチ、スライダパッド、ボタン、タッチセンシティブ表面、又は他の制御器を含むことが可能であり、且つ任意で音声コマンド・インターフェースを含むことが可能である。これらの様々な構成部品は一体に統合することも可能である。
【0044】
1つ以上の実施形態において、拡声器又は他のトランスデューサなどの音声出力装置132は、音声出力をユーザに送達することができる。例えば、圧電トランスデューサは、ステム102、103の中で動作可能に配置することができる。圧電トランスデューサの作動は、ステム102、103を振動させることによって音響出力を放出することができる。また、拡声器などのより伝統的な音声出力装置132も使用可能である。
【0045】
触覚フィードバックをユーザに提供するために触覚装置133を含めることもできる。触覚装置133は、触覚応答をユーザに送達するためのモーション生成装置を含むことができる。例えば、圧電トランスデューサ又は他の電気機械装置を、ステム102、103に含めることができる。トランスデューサは、強い強度、揺さぶり、振動、又はユーザに対する他の物理的感覚をユーザに提供するために、ユーザの頭に対して力を与えるように作動することができる。近接センサ部品119が熱検出半径内に物体を検出する場合、音声出力装置132及び触覚装置133の両方を含むことによって、音声フィードバック及び触覚フィードバックの両方を送達することができる。
【0046】
図1のアイウェア100は、1つ以上の実施形態において、スタンドアロンの電子装置として動作可能である。しかしながら、別の実施形態では、アイウェア100は、コンパニオン電子装置と協働して動作してアイウェアシステムを形成することができる。1つのそのような電子装置200が
図2に例示されている。
【0047】
図2の電子装置200は携帯用電子装置であり、ここでは例示目的のためにスマートフォンとして示されている。しかしながら、他の電子装置を
図2の説明的なスマートフォンと置き換えてもよいことは、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。例えば、電子装置200と等価なものとしては、汎用のデスクトップ・コンピュータ、パームトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、ゲーム機、メディアプレーヤー、又は他の装置であり得る。
【0048】
この例示的な電子装置200は、ディスプレイ202を含み、これは任意でタッチセンシティブであってもよい。ディスプレイ202は、電子装置200の全てのユーザインターフェース205のうちの1つの構成部品として設けることが可能である。ユーザは、ユーザ入力をディスプレイ202又はインターフェース205に送達することができる。
【0049】
図2の説明的な電子装置200は、ハウジング201も含む。一実施形態において、ハウジング201は、2つのハウジング部材、即ち、ディスプレイ202の周辺近くに配置されたフロントハウジング部材と、電子装置200の後側近くに配置されたリヤハウジング部材とを含む。制御装置215やコネクタ216などを含む機能品を、ハウジング201の中に組み込むことが可能である。
【0050】
図2には、電子装置200の概略的ブロック
図204も示されている。一実施形態において、電子装置200は、1つ以上のプロセッサ203を含む。1つ以上のプロセッサ203は、アプリケーション・プロセッサ、及び任意で1つ以上の補助プロセッサを含むことが可能である。これらは、マイクロプロセッサ、一群の処理構成部品、1つ以上のASIC、プログラマブル・ロジック、又は他のタイプの処理装置であり得る。1つ以上のプロセッサ203は、電子装置200の様々な機能を実施するための実行可能ソフトウェア・コードを処理及び実行するように構成することができる。メモリ209のような記憶装置は、動作の間、1つ以上のプロセッサ203によって使用される実行可能ソフトウェア・コードを任意で格納することができる。
【0051】
この例示的な実施形態において、電子装置200は無線通信装置206も含み、無線通信装置206は、1つ以上の他の装置又はネットワークと有線通信又は無線通信を行うように構成することができる。ネットワークは、ワイド・エリア・ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、及び/又はパーソナル・エリア・ネットワークを含むことが可能である。ワイド・エリア・ネットワークの例として、GSM(登録商標)、CDMA、W−CDMA(登録商標)、CDMA−2000、iDEN、TDMA、2.5世代3GPP−GSMネットワーク、第3世代3GPP−WCDMA(登録商標)ネットワーク、3GPP長期進化(LTE)ネットワーク、及び3GPP2−CDMA通信ネットワーク、UMTSネットワーク、E−UTRAネットワーク、GPRSネットワーク、iDENネットワーク、及び他のネットワークが含まれる。
【0052】
また、無線通信装置206は、以下に限定されるものではないが、HomeRF、ブルートゥース(登録商標)、IEEE802.11(a,b,g又はn)などのピア・ツー・ピア通信又はアドホック通信や、赤外技術などの他の形態の無線通信など、通信のための無線技術を利用してもよい。無線通信装置206は、無線通信回路構成と、受信器、送信器、又はトランシーバと、1つ以上のアンテナ207とを含み得る。
【0053】
一実施形態において、1つ以上のプロセッサ203は電子装置200の主な機能の実行を担うことが可能である。例えば、一実施形態において、1つ以上のプロセッサ203はディスプレイ202上でユーザに情報を提示することができる。1つ以上のプロセッサ203によって使用される実行可能ソフトウェア・コードは、1つ以上のプロセッサ203と共に動作可能な1つ以上のモジュール210として構成することができる。そのようなモジュール210は、命令を格納したりアルゴリズムを制御したりすること等が可能である。
【0054】
電子装置200はまた、1つ以上のセンサ回路208を含むことができる。これらのセンサ回路208は、マイクロフォン、ボタン又はキー選択センサのような機械的入力構成部品、タッチパッドセンサ、タッチスクリーンセンサ、静電容量センサ、及びスイッチを含んでもよい。タッチセンサは、装置が側面縁部においてタッチされたかどうかを指し示すために、即ち、ある配向又は運動がユーザによる故意のものであるか否かを指し示すために使用されてもよい。センサ回路208はまた、表面/ハウジング容量性センサ、音声センサ、及び(カメラのような)映像センサを含むことが可能である。センサ回路208はまた、加速度計又はジャイロスコープなどの運動検出器を含むことが可能である。
【0055】
1つ以上のプロセッサ203と共に動作可能な他の構成部品211は、映像出力、音声出力、及び/又は機械的出力のような出力構成要素を含むことが可能である。バッテリ212又は他のエネルギー蓄積装置は、電子装置200を動作させるための電力を送達することができる。
【0056】
図1及び
図2の双方において、例示されている要素は、本開示の実施形態に従って単に例示目的のために提供されていることが理解されるべきである。どの要素についても、要求される様々な構成部品の完全な概略図であることは意図されていない。従って、本開示の実施形態に従う他の電子装置は、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかな(
図1には示されていない)他の様々な構成部品を含んでもよいし、2つ以上の構成部品の組み合わせを含んでもよいし、又は特別な構成部品を2つ以上の別個の構成部品に分割したものを含んでもよい。これらの構成部品も、依然として本開示の範囲内にある。
【0057】
図3は、
図1のアイウェア100を装着しているユーザ301を例示している。アイウェア100は、
図2の電子装置200と無線通信状態302となることで、アイウェアシステム300を形成する。
【0058】
1つ以上の実施形態において、ステム103の遠位端部111の拡大
図303に示されるように、各近接センサ部品121は、1つ以上の開口部305を画定する格子304の背後に配置され、これらの開口部305を介して赤外線放出306が受信される。一実施形態において、この格子304は、1つ以上の受信光線307、308、309、310を画定することができ、これらの光線によって赤外線放出306が受信され得る。このような受信光線307、308、309、310を画定することによる利点は、近接センサ部品121が、アイウェア100に対する物体の場所を検出可能となるだけでなく、1つ又は複数の物体が熱検出半径内にあるかどうかについても検出可能となることである。本開示の実施形態は、アイウェア100の熱検出半径内にある物体の存在又は運動を検出することだけでなく、アイウェア100に対するユーザの正確な位置を決定することについても、高い価値があるという点を考慮する。格子304及びそれに対応する受信光線307、308、309、310を使用することにより、後部に対向する方向114に沿った複数の人が互いに近接している場合でも、それら複数の人の検出が可能となる。1つ以上の実施形態において、近接センサ部品121はまた、運動を検出するために、受信光線307、308、309、310における変化を検出することも可能である。
【0059】
一実施形態において、受信光線307、308、309、310の画定を容易とし、及び/又は水や埃のシールとして機能するように、格子304の背後に、外側に、又は格子304と一体で、レンズを配置することができる。例えば、ポリカーボネート・レンズを格子304の背後に配置し、かつ受信光線の画定を容易とするために、5つ又は7つ等の所定数のスリットを有する複合フレネルレンズとして、このレンズを構成することができる。
【0060】
先に説明したように、1つ以上の実施形態において、近接センサ部品121が物体311からの赤外線放出306を受信する場合に、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)及び/又は電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)は、制御動作を実行するように構成することができる。この例示的な実施形態において、近接センサ部品121が赤外線放出306を受信する場合には、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)は、その無線通信装置(125)に、電子装置200の無線通信装置206へ通知312を送信させる。そして、無線通信装置(206)が通知312を受信すると、電子装置の1つ以上のプロセッサ(203)が制御動作を実行する。この制御動作は、電子装置200のディスプレイ202上にプロンプト313を提示することを含む。
【0061】
プロンプト313は、様々な指標を含むことが可能である。ここでは、プロンプト313は、例えば「警告!あなたの背後に誰かいる!」と表示する。従って、もしユーザ301が通りを歩きながらニュース配信を読んでおり、ユーザ301が電子装置200以外に何も注意を払っていない場合、プロンプト313は、ユーザ301に背後に人がいることを気付かせる。別の実施形態において、例えば、もし電子装置200がユーザ301の背後にいる人のコンパニオン電子装置をそのユーザの友人として認識する場合、プロンプト313は「驚いた!友人がきみの背後にいる!」と表示し得る。更に別の実施形態において、例えば混雑した歩道の上で有用となり得るが、プロンプト313は、例えば「急げ!あなたの背後に多くの人がいる!」などのように、もっと速く歩く又は走るための指示を単に提示するかもしれない。これらの例は、単に例示的であり、他のことも、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。
【0062】
図4は、本開示の1つ以上の実施形態で使用するのに適した、1つの方法400を例示している。ステップ401で示されるように、ユーザ301は、本開示の1つ以上の実施形態に従って構成されるアイウェア100を装着している。また、ユーザ301は、コンパニオン電子装置200を有している。なお、電子装置200は任意であり、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)は、電子装置200がなくても制御動作を実行することが可能であり、これは、以下で説明する図についても同様である。
【0063】
1つ以上の近接センサ部品(120,121)は、1つ以上のステム(102,103)の中に配置される。各近接センサ部品(120,121)は、赤外線信号受信器(117)を備え、ユーザ301の背後にいる人403のような物体からの赤外線放出306を受信する。
【0064】
この例示的な実施形態において、第1ステム102の中に配置された第1近接センサ部品(120)は、第1方向406に少なくとも部分的に向けられた少なくとも第1受信光線404を画定する。同様に、第2近接センサ部品(121)は、第2方向407に少なくとも部分的に向けられた少なくとも第2受信光線405を画定する。ここで、第2方向407は第1方向406と異なり、これにより、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)は、ユーザ301の背後にいる人403だけでなく、人403がユーザ301の背後のどこにいるかも決定することができる。
【0065】
この場合、ステップ402に示されるように、制御動作408が実行され得る。一実施形態において、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)は、制御動作408を実行する。例えば、アイウェア100が音声出力装置(132)を含む場合、制御動作408は、近接センサ部品(121)の赤外線信号受信器(117)が人403からの赤外線放出306を受信したときに音声出力装置(132)に可聴音を放出させることを含み得る。この例は、
図5に示される。
【0066】
別の実施形態において、アイウェア100が触覚装置(133)を含む場合、制御動作408は、近接センサ部品(121)の赤外線信号受信器(117)が人403からの赤外線放出306を受信したときに触覚装置(133)に触覚出力を送達させることを含み得る。この例は、
図6に示される。
【0067】
更に別の実施形態において、先の
図3に示したように、制御動作408は、近接センサ部品(121)の赤外線信号受信器(117)が人403からの赤外線放出306を受信したときにアイウェア100の無線通信装置(125)にコンパニオン電子装置200への通知(312)を送信させることを含み得る。この例示的な実施形態において、赤外線放出306は、第2受信光線405に沿って受信され、第1受信光線404に沿っては受信されない。従って、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)は、人403の方向を決定することができる。そのため、通知(312)は、赤外線放出306が第1受信光線404から受信されたのか、それとも第2受信光線405から受信されたのかについての指示を含み得る。電子装置200は、例えば、電子装置200のディスプレイ(202)上にプロンプト(313)を提示して、ユーザ301に左肩よりもむしろ右肩越しに見渡すように知らせる際に、この情報を使用することができる。
【0068】
他の実施形態において、電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)も制御動作408を実行可能である。一実施形態において、電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)は、電子装置200をロックすることによって制御動作408を実行することができる。このアクションは、電子装置200のディスプレイ(202)の電源をオフにすることによって、電子装置200を見るよりもむしろ顔を上げることをユーザ301に強いるものであってもよい。別の実施形態において、制御動作408は、電子装置200のディスプレイ(202)上に提示される情報の可視性を少なくとも部分的に制限することを含むものであってもよく、これも同じ効果を奏するものとなる。赤外線放出306が受信される方向が知られる場合、制御動作408は、赤外線放出が受信された方向の指示をディスプレイ上のプロンプト(313)に提示することを含み得る。更に別の実施形態では、制御動作408は、1つ以上の通知メッセージをネットワーク上のサーバに送信することを含み得る。
【0069】
他の制御動作408は、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)と電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)とのうちのいずれか又はその両方によって実行することができる。本開示の実施形態は、ユーザ301の背後にいる人403が脅威であり得る場合にユーザ301に危険が及ぶことを考慮する。本開示の実施形態は、わずかな驚きでの緊急状況が前兆無しに頻繁に生じることを考慮する。安全は最高の関心であるため、制御動作408は安全に関連したものとなり得る。例えば、一実施形態では、制御動作408は、電子装置200のディスプレイ(202)を非アクティブにすることを含み得る。これは、実際上ではディスプレイ(202)が見えない状態とする。
【0070】
別の実施形態において、制御動作408は、電子装置200のユーザインターフェース(205)を非アクティブにすることを含み得る。これは、電子装置200を任意のキーアクションに対して無反応にさせる。ディスプレイ(202)の非アクティブ化とユーザインターフェース(205)の非アクティブ化の組み合わせは、背後の人403(襲撃者であり得る)に対してあたかもバッテリ(212)が切れているかのように電子装置200を見せる。また、ユーザインターフェースの非アクティブ化は、一般的技術を用いて電子装置200の電源が切れないことを保証するように機能する。
【0071】
一実施形態において、人403がユーザ301の背後で検出される場合、制御動作408は、位置情報をサーバ複合体に送信させることを含み得る。一実施形態において、制御動作408は、1つ以上のアクティブ状態のアプリケーションを終了させること、及び/又は、バッテリ(212)に蓄積されたエネルギーを節約するために電子装置上で起動している必須でないサービスを停止することを含み得る。
【0072】
電子装置200及び/又はアイウェアが、音声記録装置若しくは音声取り込み装置、又は、映像記録装置若しくは映像取り込み装置を含む場合には、人403がユーザ301の背後で検出される時、制御動作408は、これらの装置をアクティブにすることを含み得る。音声記録をメモリ(118,209)に格納することで、周囲環境において何が起こっているかの記録を取り込むための仮想的な「ブラックボックス」を形成することができる。取り込まれた音声又は映像は、サーバ複合体又は緊急職員に送信することができる。他の制御動作408は、この開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。
【0073】
アイウェア100及びアイウェアシステム(300)の基本的な理解に関して説明した。以下では、
図5〜
図10を参照して、可能な幾つかの制御動作408をより詳細に例示する。
図5において、アイウェア100は、触覚装置(133)を備えている。1つ以上のプロセッサ(116)は、1つ以上の近接センサ部品(119)が物体311からの赤外線放出306を受信すると、制御動作408を実行するように動作可能である。この実施形態において、制御動作408は、1つ以上の近接センサ部品(119)の赤外線信号受信器(117)が物体311からの赤外線放出306を受信した場合に触覚装置(133)に触覚出力501を送達させることを含む。
【0074】
一実施形態において、触覚出力501は、アイウェア100の背後に位置する物体311までの距離に応じて出力される。例えば、物体311が10フィート離れている場合、触覚出力501は、軽く叩くものであってもよい。しかしながら、物体が2フィート離れている場合、触覚出力501は、強い打撃を与えることであってもよい。
【0075】
図6では、アイウェア100は、音声出力装置(132)を備えている。上記したように、1つ以上のプロセッサ(116)は、1つ以上の近接センサ部品(119)が物体311からの赤外線放出306を受信すると、制御動作408を実行するように動作可能である。この実施形態において、制御動作408は、1つ以上の近接センサ部品(119)の赤外線信号受信器(117)が物体311からの赤外線放出306を受信した場合に音声出力装置(132)に可聴音601を放出させることを含む。
【0076】
一実施形態において、可聴音601は、アイウェア100の背後に位置している物体311までの距離に応じて放出される。例えば、物体311が10フィート離れている場合、可聴音601は、小さなブザー音であってもよい。しかしながら、物体が2フィート離れている場合、可聴音601は、大きなノイズ音であってもよい。1つ以上の実施形態において、可聴音601は、音声からなるものであってもよい。例えば、可聴音601は「危ない!あなたのすぐ背後に誰かがいる」のようなメッセージであってもよい。
【0077】
図7は、
図5の触覚出力(501)又は
図6の可聴音(601)が、距離に応じてどのように変化し得るかを例示する。1つ以上の実施形態において、(静止している人又は動いている人に対して)受信した赤外線放出の強度を検出することによって、アイウェア100の1つ以上のプロセッサ(116)は、アイウェア100から離れている人までの距離704、及び/又は、その人のより正確な位置を決定することが可能である。人403が特定の近接センサ部品(121)のより近くに位置している場合、人403に向けられた近接センサ部品によって受信された赤外線放出306は、他の近接センサ部品(120)によって受信された他の赤外線放出604よりも強い。この情報を使用して、1つ以上のプロセッサ(116)は、人403の位置をより正確に決定することができる。なお、アイウェア100から離れている人403までの距離704を決定するために、各近接センサ部品(120,121)によって受信された赤外線放出の強度を使用することも可能である。
【0078】
図7において、この情報は、距離704及び/又は場所に応じて、ユーザ301に通知を送達するために使用される。例として説明すると、ステップ701では、人403は、アイウェア100を装着しているユーザ301から比較的離れた距離、例えば10フィート以上にいる。従って、制御動作408は、距離704に応じて、第1レベル705による触覚出力(501)又は可聴音(601)を送達することを含む。
【0079】
ステップ702では、人403はユーザ301から第2距離706にいる。この場合、距離706は距離704よりも小さい。例えば、距離706は約5フィートであってもよい。制御動作408は、減少した距離706に応じて、第2レベル707による増加した触覚出力(501)又は可聴音(601)を送達することを含む。ここで、第2レベル707は、第1レベル705よりも大きい。
【0080】
ステップ703では、人403はユーザ301のすぐ背後にいる。制御動作408は、例えば、2フィート以下の比較的短い距離708に応じて、第3レベル709による更に増加した触覚出力(501)又は可聴音(601)を送達することを含む。ここで、第3レベル709は、第1レベル705及び第2レベル707のいずれよりも大きい。
【0081】
図8は、ユーザ301の背後にいる人403を検出するアイウェア100の近接センサ部品(120,121)に応答して、電子装置200上で制御動作408を実行する方法を例示する。ステップ801では、ユーザ301の背後には誰もいない。電子装置200は通常通り動作しており、ユーザ301は、ディスプレイ202上で彼女の犬の写真803を見ることが可能である。
【0082】
ステップ802では、近接センサ部品(120,121)によってユーザ301の背後の人403が検出される。この実施形態において、近接センサ部品(121)の赤外線信号受信器(117)が人403からの赤外線放出306を受信すると、アイウェア100の無線通信装置(125)は、電子装置200に通知(312)を送信する。ステップ802の制御動作408は、電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)がディスプレイ202上に提示される情報の可視性を少なくとも部分的に制限するというものである。ここで、電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)は、犬の写真803上に、ぼんやりした挿し絵804を提示している。これは、ユーザ301に、誰かが彼女の背後にいるため、電子装置200よりむしろそれらに注意を払うべきである、というアラートを与えている。もちろん、電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)は、電子装置200の電源を単に切ることも可能である。
【0083】
図9では、制御動作408は、電子装置200のディスプレイ202上に指示901を提示することを含む。この指示901は、赤外線放出が受信された方向から、ユーザ301の背後の人403の位置を示すものである。上記したように、1つ以上の実施形態において、近接センサ部品(120,121)は、どの近接センサ部品(120,121)又はどの受信光線(307,308,309,310)が最も強い赤外線放出を受信するかを検出することによって方向を決定することができる。
図9の電子装置200は、ディスプレイ202上に指示901を提示するように構成されるアプリケーションを備え、この指示901は、人403がどこにいるかを示し、この場合は、人403が背後でしかも右側にいることを示している。
【0084】
指示901は、場所に基づいて変化するものであってもよい。例えば、人403が近づいて来る場合、ディスプレイ202上の指示901を大きくしてもよい。他の技術も同様に使用することができる。例えば、人403が近づいて来る場合、ディスプレイ202上の指示901を濃くしてもよい。なお、この例示的な指示901は、ディスプレイ202上の角部に提示されているが、この角部は、人403がユーザ301に対してどこにいるかに対応している。従って、もし人403が移動してユーザの左により近づくと、それに対応する指示901も同様に移動する。
【0085】
図10は、1つの追加的な制御動作408を例示している。ここでは、人403が近接センサ部品(120,121)によってユーザ301の背後で検出される場合、電子装置200の1つ以上のプロセッサ(203)は、電子装置200をロックする制御動作408を単に実行する。上記実施形態と同様に、この制御動作408は、ユーザ301に対して、誰かが彼女の背後にいるため、電子装置200よりむしろそれらに注意を払うべきである、というアラートを与えるものである。
【0086】
上記したように、
図4〜
図10の例示的な制御動作408は、多数の制御動作についての例として提供されている。これら多数の制御動作は、本開示の実施形態に従って構成されたアイウェア100又はアイウェアシステム300によって実施することが可能であり、それらが限定的であることは意図されていない。他の多くの制御動作がこの開示の恩恵を受ける当業者には明らかである。
【0087】
本開示の特定の実施形態について説明したが、当業者であれば理解し得るように、特許請求の範囲の記載に従って、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変形及び変更を行うことが可能である。従って、本開示の好ましい実施形態が例示されると共に説明された一方で、本開示が限定的でないことは明らかである。当業者であれば、特許請求の範囲によって定義される本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、数多くの修正例、変更例、変形例、代用例、及び等価例を実施し得る。従って、明細書及び図面は、限定的よりむしろ例示的な意味において考慮されるべきであり、全てのそのような変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。恩恵、利点、問題に対する解決法、及び、任意の恩恵、利益、若しくは解決法を生じさせる、又はより顕著にさせる任意の要素は、任意の又は全ての請求項の、重要な、必要な、若しくは必須の特徴、又は要素であると解釈されるべきではない。本開示は、請求項によってのみ定義される。