特開2017-33162(P2017-33162A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-33162水泳帽子および遊泳者の状態を判定する判定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-33162(P2017-33162A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】水泳帽子および遊泳者の状態を判定する判定システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20170120BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20170120BHJP
【FI】
   G06T7/60 150P
   G06T7/00 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-150726(P2015-150726)
(22)【出願日】2015年7月30日
(71)【出願人】
【識別番号】515209024
【氏名又は名称】有限会社新保加工
(74)【代理人】
【識別番号】715007141
【氏名又は名称】新保 隆
(72)【発明者】
【氏名】新保 隆
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA02
5L096BA18
5L096CA02
5L096FA03
5L096FA62
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA38
5L096GA55
5L096JA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プールにおける遊泳者の状態を、カメラを使った画像情報で判定するシステムを提供する。
【解決手段】遊泳者に遊泳者識別できる互いに異なる有彩色を持つ複数の区域を備える水泳帽子を着用させる。有彩色の色IDにより、揺らぎが多い水面上の画像情報からでも色フィルター処理により、容易に検出と識別ができ特定の人を追従できる。水面下に潜ったりして一時的に視界から消えても、浮上すれば直ぐに複数の遊泳者の中から特定の人を検出できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる有彩色を持つ複数の区域を備える水泳帽子であって、次の構成および条件を充足する水泳帽子。
A その水泳帽子は、遊泳者の頭部を被う本体部と、
前記本体部の縁に沿って周方向に走る第1のライン部とを備え、
前記第1のライン部は、
前記周方向に沿って複数に分かれたセグメント部分から構成されており、
各セグメントは互いに異なる有彩色であること。
B 前記互いに異なる有彩色とは、色フィルター処理により、各有彩色の区域、
あるいはセグメント部分を残りの区域、
あるいはセグメント部分から抜き出すことができることをいい、
さらに、これらの区域あるいはセグメント部分から次の各情報を得ることができ、
前記第1のライン部における各セグメント部分の組み合わせにより、
水泳帽子を被る人を特定することができる。
C 前記本体部からの仮想中心と、
前記第1のライン部との間の距離情報を得ることができる。
【請求項2】
前記互いに異なる有彩色からなり、前記第1のライン部に隣接し平行する、
前記 周方向に走る第2のライン部をさらに備える、請求項1に記載の水泳帽子。
【請求項3】
遊泳者の状態を検出し判定するシステムであって、請求項1及び2の水泳帽子と、
前記水泳帽子を被る遊泳者が泳ぐ場所に対して配置した少なくとも1台のカメラと、
前記カメラが得る画像情報に基いて、前記遊泳者の状態を判定する判定装置を備え、
前記判定装置によって、
前記仮想中心と第1のライン部との関係から前記水泳帽子を被る遊泳者の頭の向きを検出し、
その遊泳者が直立しているのか、浮上しているのかを判定する判定システム。
【請求項4】
前記判定装置によって、
前記浮上している状態が所定時間以上続くとき、
あるいは、浮上せずに潜水状態の時間が所定時間以上続くとき、
のいずれかの状態のとき、遊泳者が溺れている状態と判定する請求項3に記載の判定システム。
【請求項5】
前記判定装置において、前記カメラによる画像情報を色フィルター処理することを含む、請求項3あるいは請求項4の判定システム。
【請求項6】
前記所定時間より短い第2の所定時間を超えるとき、溺れの疑いがある状態と判定する請求項4あるいは請求項5に記載の判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水泳プール等における水泳者の状態をカメラにて監視するための状態判定システムとそれに使用する水泳帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
水難事故防止策として、小学校のプールなどには施設管理者が常時教師や監視員を配備し事故防止に万全を期している。しかし、不幸にも監視体制が行き届かない場所で水難事故が発生している。監視員を増やすなどの対策はあるが、施設によっては必ずしも十分ではなく、監視員の負担が増大している。水中において水泳、水遊び中に何らかの事由で人が溺れてしまった場合、それを装置によって監視し、監視員を補佐するシステムが求められている。
【0003】
特許文献1参照
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−128680号
【特許文献2】特開2001−184574号
【特許文献3】特開平7−271986号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水面上の物体を画像処理にて検出し追跡する場合、水面の揺らぎが大きく、遊泳者を特定することが困難である。これは、物体を画像処理にて追跡する場合、前の画像と今回の画像の差から物体を検出するが、背景である水面が絶えず揺らいでいるので差分検出が難しい課題がある。
【0006】
特許文献1にあるように、泳いでいる人を特定しその位置の分散から遊泳者の状態を判定する方法が知られているが、プールが浅い場合、遊泳者が溺れて浮かびそこに停滞しているのか、立ち止まり休息しているのかの区別ができないという課題がある。
【0007】
特許文献3にあるように、泳いでいる人と直立している場合の判別を画像パターン認識で行う方法が知られているが、100程度の代表パターンが必要となり、安価なシステムでは迅速な判定が難しいという課題がある。また、パターン認識の場合、誤認識を完全に防ぐことは難しく、間違った警報を発信してしまう課題がある。
【0008】
溺れ検出の場合、遊泳者が水面下に潜り視界から消えた消失時間を計測して危険を知らせるが、複数の遊泳者の中から特定の人を検出できないと、正確に時間を計測できない課題がある。
【0009】
例えば、近接したAさんとBさんの2人がプールで泳いでいる時。AさんとBさんが交互に水面下に潜って常に水面の上には一人しか見えないとすると、二人が交互に浮上・潜水したのか、Aさんだけが浮上・潜水を繰り返したのか検出できない。これは、画像から物体を追跡する場合に一旦画像から見失うと再検出した時、見失う前の物体か新規に検出した物体なのかを判断できないからである。
【0010】
そこで、本発明は揺らぎの多い水面上で瞬時に遊泳者の状態検出を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するための本発明に係る水泳帽子の第一の特徴は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如く、互いに異なる有彩色を持つ複数の区域を備える水泳帽子であって、次の構成および条件を充足する水泳帽子。
A その水泳帽子は、遊泳者の頭部を被う本体部と、
前記本体部の縁に沿って周方向に走る 第1のライン部とを備え、
前記 第1のライン部は、
前記周方向に沿って複数に分かれたセグメント部分から構成されており、
各セグメントは互いに異なる有彩色であること。
B 前記互いに異なる有彩色とは、色フィルター処理により、各有彩色の区域、
あるいはセグメント部分を残りの区域、
あるいはセグメント部分から抜き出すことができることをいい、
さらに、これらの区域あるいはセグメント部分から次の各情報を得ることができ、
前記第1のライン部における各セグメント部分の組み合わせにより、
水泳帽子を被る人を特定することができる。
C 前記本体部からの仮想中心と、
前記第1のライン部との間の距離情報を得ることができる。
【0012】
同第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記互いに異なる有彩色からなり、前記第1のライン部に隣接し平行する、前記 周方向に走る第2のライン部をさらに備え、水泳帽子の向きすなわち、遊泳者の向き判定することができることにある。
【0013】
本発明の遊泳者の状態を判定する判定システムの第一の特徴は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した如く、遊泳者の状態を検出し判定するシステムであって、上記第一と、第二の特徴構成を持つ水泳帽子と、前記水泳帽子を被る遊泳者が泳ぐ場所に対して配置した少なくとも1台のカメラと、前記カメラが得る画像情報に基いて、前記遊泳者の状態を判定する判定装置を備え、前記判定装置によって、前記仮想中心と第1のライン部との関係から前記水泳帽子を被る遊泳者の頭の向きを検出し、その遊泳者が直立しているのか、浮上しているのかを判定することを特徴とする。
【0014】
本発明の遊泳者の状態を判定する判定システムの第二の特徴は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載した如く、上記遊泳者の状態を検出し判定するシステムの第一の特徴に加え、前記判定装置によって、前記浮上している状態が所定時間以上続くとき、あるいは、浮上せずに潜水状態の時間が所定時間以上続くとき、のいずれかの状態のとき、遊泳者が溺れている状態と判定することを特徴とする。
【0015】
本発明の遊泳者の状態を判定する判定システムの第三の特徴は、特許請求の範囲の欄の請求項5に記載した如く、上記遊泳者の状態を検出し判定するシステムの第一と第二の特徴に加え、前記判定装置において、前記カメラによる画像情報を色フィルター処理することを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の遊泳者の状態を判定する判定システムの第四の特徴は、特許請求の範囲の欄の請求項6に記載した如く、上記遊泳者の状態を検出し判定するシステムの第 二と第三の特徴に加え、前記所定時間より短い第2の所定時間を越えるとき、溺れの疑いがある状態と判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、安価な水泳帽子と複数台のカメラにより、システムを構築でき早期に監視員に救助を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の溺れ判定システムの第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の水泳帽子を示す説明図である。
図3】本発明の溺れ判定システムの第1の実施形態の動作を示すブロック図である。
図4】本発明の遊泳者状態判定を示すフローチャートである。
図5】本発明の遊泳者の頭の向きから遊泳者の状態判定の判定方法を示す説明図である。
図6】本発明の色ID検出と水泳帽子の仮想中心と垂線ベクトルを求める方法を示す説明図である。
図7】本発明の色フィルターに用いる判定閾値を示す表である。
図8】本発明の色の組み合わせによる色IDを示す表である。
図9】本発明の溺れ判定システムの第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の水泳帽子1は遊泳者の状態を判定する判定システム内で使用される。その判定システムは、直角方向に配置された複数台のカメラ4と判定装置5とを含み構成され、使用する遊泳者6全員が水泳帽子1を着用する。水泳帽子1の特徴は、互いに異なる有彩色7−1を持つ複数の区域を備える水泳帽子1であって、次の構成および条件を充足する水泳帽子である。
A その水泳帽子は、遊泳者の頭部を被う本体部3と、
本体部3の縁に沿って周方向に走る 第1のライン部10とを備え、
第1のライン部10は、
周方向に沿って複数に分かれたセグメント部分2から構成されており、
各セグメントは互いに異なる有彩色7−1であること。
B 互いに異なる有彩色7−1とは、
色フィルター処理3−5により、各有彩色7−1の区域、
あるいはセグメント部分を残りの区域、
あるいはセグメント部分から抜き出すことができることをいい、
さらに、これらの区域あるいはセグメント部分から次の各情報を得ることができ、
第1のライン部10における各セグメント部分の組み合わせにより、
水泳帽子1を被る人を特定することができる。
C 本体部3からの仮想中心8と、
第1のライン部10との間の距離情報17を得ることができる。
さらに、水泳帽子1の特徴は、互いに異なる有彩色7−1からなり、
第1のライン部10に隣接し平行する、
周方向に走る第2のライン部11をさらに備える。
また、周方向に走る第1のライン部10と第2のライン部11は、必ずしも連続している必要はない。第2のライン部11の色でコード化されていて、本発明装置内でユニークな特定の色の組み合わせでコード化されている。例えば、図8に示す色ID8−1の組み合わせの水泳帽子1を着用させた遊泳者6を識別することができる。
【0021】
次に、本発明の第1の実施形態の動作を説明する。
【0022】
図3に示すように、遊泳者IDテーブル3−2は、遊泳者6である人物のID番号と人物の氏名と、遊泳者6が着用する水泳帽子1の色ID8−1を含み構成されている。この遊泳者IDテーブル3−2は、事前に作成しておく。入場者テーブル3−3は、遊泳者6が本発明装置を利用を開始する時に登録するテーブルである。この入場者テーブル3−3は、遊泳者6のID番号と遊泳者6の経過観察をしている時間と遊泳者6の状態を含み構成されている。カメラ3−Aと3−Bは監視対象プール3−1に対して直角になるように配置されている。
【0023】
図6に示す色フィルター処理3−5は、各有彩色7−1の区域があるいはセグメント部分を残りの区域あるいはセグメント部分から抜き出すことがことをいい、直角方向に配置されたカメラ4から取得した画像情報16から背景と水泳帽子1とを分離し水泳帽子1だけを通過させる。これは、画像を色相(色合い)、彩度(鮮やかさ)、明度(明るさ)の数値で示す表色系であるHSV色空間に分解して、図7に示す検出したい目的の有彩色7−1に合わせ、色相範囲7−2、彩度範囲7−3、明度範囲7−4の値でマスク処理を行う。この時、水泳帽子1で使用する各有彩色7−1の彩度を80%以上で構成し、色フィルター処理3−5の通過させる彩度範囲の下限値を70%程度とすれば、目的の有彩色7−1だけを通過させることができる。
【0024】
図6に示す帽子検出処理3−6は、複数の水泳帽子1の仮想中心8を取得する。これは、色フィルター処理3−5で、本体部3の色を検出し、n×nの局所領域における濃度値を小さい順に並べ、 真ん中にくる濃度値を領域中央の画素の出力濃度とする処理であるメディアンフィルターを用いて平滑化を行った後に、画像をある閾値を境として、白、黒のいずれかである2値画像に変換する処理である二値化処理を行い、その領域の画像から輪郭を検出し、その輪郭に対して楕円フィッティング15を行う処理である楕円検出を行う。複数の遊泳者が存在する場合、複数の楕円が検出できる。その、楕円検出した複数の領域が特定の面積以上の領域から求めた中心を仮想中心8とする。
また、ここで仮想中心8を求める方法は、面積領域からその重心を求める処理で、数1で求める画像のモーメントを使用しても良い。
【数1】
【0025】
図6に示す色ID検出処理3−7は、第2のライン部11の色と第3以降のライン部18の色を検出し色ID8−1を生成し遊泳者識別3−12を照合処理3−8へ渡す。その詳細は図6図2を用いて説明する。
【0026】
図2に示す水泳帽子1の各基準点である、第1のライン部の基準点13と第2のライン部の基準点14と第3以降のライン部の基準点19とを求め、以下の手順で色ID8−1を生成する。
1)図6の垂線ベクトルの求め方6−1は、
まず、色フィルター処理3−5で第1のライン部10の色を通過させ、
領域の中心からの位置で重み付けを変えて移動平均を行う処理である、
ガウシアンフィルターを用いて平滑化させ二値化する。
仮想中心8から算出した位置から決められた範囲内で検出した、
第1のライン部10の色を直線近似処理する。
得られた第1のライン部10の直線近似12と、
仮想中心8からの垂線ベクトル9を求める。
2)複数存在する直線近似12と仮想中心8からの垂線ベクトル9の足の位置と、仮想中心8間の距離情報17を求め、
仮想中心8に最も近い点を、第1のライン部の基準点13とする。
これは、近くにいる複数の遊泳者6との誤認識を防止するために行うもので、
もし範囲内に無ければ、無効とする。
3)同様に、他の有彩色7−1について1)と同じ方法で求め、
第2のライン部の基準点14とする。
4)第1のライン部の基準点13の近傍にある第2のライン部の基準点14と、
第3以降のライン部の基準点19を、
仮想中心点8からの距離順で並べて色ID8−1を求める。
【0027】
図3に示す照合処理3−8は、色ID検出処理3−7で得た複数の色ID8−1を帽子検出結果テーブル3−4に格納する。そして、入場者テーブル3−3と照合して検出できた遊泳者6を水上にいる4−6とし、入場者テーブル3−3に登録があるが、帽子検出結果テーブル3−4に存在しない場合、存在するはずの遊泳者を消失4−7として、照合結果3−13を遊泳者状態判定処理3−11へ渡す。
【0028】
図3に示す位置の分散処理3−9は、色ID検出処理3−7で得た遊泳者6が装着している水泳帽子1の仮想中心8の位置の分散から、動いている4−8のか止まっている4−9のかを検出し動き検出結果3−14を遊泳者状態判定処理3−11へ渡す。
【0029】
図3に示す頭の向き判定処理3−10は、直角方向に配置されたカメラ3−Aから得られた画像情報16により、垂線ベクトルの求め方6−1で求めた方法で垂線ベクトル9を求める。次に直角方向に配置されたカメラ3−Bから得られた画像情報16も同様に、垂線ベクトルの求め方6−1で求めた方法で垂線ベクトル9を求める。
これは、泳ぐ方向が規制されていないプールの場合、カメラ4に対して前方又は後方から撮影した場合、水面に浮上している4−11のか、直立している4−10のか区別が付かなくなることを防ぐために、直角方向に配置された複数のカメラ3−A、3−Bで監視を行う。この様に、仮想中心8と本体部3の縁に沿って周方向に走る 第1のライン部10との関係から水泳帽子1を被る遊泳者6頭の向きを検出する。
【0030】
浮上状態3−15とは、直角方向に配置された複数のカメラ3−A、3−Bから得る画像情報16での水泳帽子1の垂線ベクトル9の向きから、直立している4−10か、浮上している4−11の値を取る。
【0031】
図3の遊泳者向き判定処理3−16は、頭の向き判定処理3−10が求めた2つの垂線ベクトル9から図5−1の浮上状態3−15の結果を遊泳者状態判定処理3−11へ渡す。
【0032】
図3に示す遊泳者状態判定処理3−11は、タイマー3−17に得られた時間と照合結果3−13と、動き検出結果3−14、浮上状態3−15を、図4で示す手順で、遊泳者6の状態を判定し、個々の遊泳者の状態と経過観察時間3−20を入場者テーブル3−3で管理する。以下に、図4の手順を示す。
a)照合結果3−13から、水上にいる4−6か、
存在するはずの遊泳者を消失4−7の場合、潜水状態4−12かを判断する。
潜水状態4−12の場合、潜水状態が連続して所定時間4−13以上続いたかの判定を行い、
超過していなければ遊泳者6の状態を経過観察状態4−3と判定し、
超過の場合は溺れている状態4−4と判定する。
b−1)水上にいる4−6場合、動き検出結果3−14から動いている4−8か、
止まっている4−9かを判断し、動いている4−8の場合は、
遊泳者6の状態を水泳状態4−1と判定する。
b−2)止まっている4−9の場合、浮上状態3−15から、直立している4−10か、
浮上している4−11を判定し、
直立している4−10の場合は遊泳者6の状態を立ち止まり状態4−2と判定する。
c)浮上している4−11の場合、
浮上している状態が所定時間4−13以上続いたかの判定を行い、
超過していなければ遊泳者6の状態を経過観察状態4−3と判定し、
超過の場合は溺れている状態4−4と判定する。
d)上記所定時間4−13の判定より短い第2の所定時間4−14を超えるとき、
溺れの疑いがある状態4−15と判断する。
【0033】
図4に示す遊泳者の瞬時状態4−15は、図5−1に示す様に、浮上状態3−15と照合結果3−13との結果から、直立している4−10又は浮上している4−11又は潜水状態4−12の状態になる。これは、カメラ3−Aの画像情報16から求めた垂線ベクトル9と、カメラ3−Bの画像情報16から求めた垂線ベクトル9とから、共に天井方向を向いていれば、直立している4−10とし、存在するはずの遊泳者を消失4−7であれば潜水状態4−12とし、それ以外を浮上している4−11とする。
【0034】
図3に示す遊泳者状態判定処理3−11は、溺水者7の状態を溺れ状態4−4と判定した場合、警報装置3−18に送り、監視員に助けを求める。
【0035】
図3に示す遊泳者状態判定処理3−11は、遊泳者6の状態を溺れの疑いがある状態4−15と判定した場合、注意情報発信装置3−19へ送る。注意情報発信装置3−19は、溺れの疑いがある遊泳者6の氏名を呼び掛け、本人と周囲の遊泳者6に溺れ状態を確認する。もし、誤認識であれば、氏名を呼び掛けられた本人が、無事であることを監視員に伝えることにより誤報を防止する。もし、呼び掛けられた本人に反応がない場合、周囲の遊泳者6と監視員は早期に注意喚起でき、警報装置3−18が発動する前に早期に対応が可能となる。
【0036】
このようにして、水面下に潜ったりして一時的に視界から消えても、個々の遊泳者の状態を管理することにより、浮上すれば直ぐに複数の遊泳者の中から特定の人を検出できる。
有彩色の色IDにより、揺らぎが多い水面上の画像情報からでも色フィルター処理により、容易に検出と識別ができ特定の人を追従できる。
【0037】
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。以下では、第1の実施形態との相違点について説明する。
【0038】
図9は、監視対象プール3−1を真上から見た図である。図9に示すように、監視対象プール3−1がコースロープ9−1等により泳ぐ方向が規制される場合、カメラ9−2は監視対象プール3−1に対して側面を撮影する。
【0039】
泳ぐ方向が規制されることにより、遊泳者6を前方又は後方から撮影した誤認識は発生しないので、側面方向から1台以上のカメラの画像情報16により図5−2に示すようにカメラ9−2の画像情報16だけで状態を判定することができる。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態では、簡単な構成で、瞬時に溺れている疑いのある遊泳者を監視員に知らせ、助けを求めることが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 水泳帽子
2 複数に分かれたセグメント部分
3 本体部
4、3−A、3−B、9−2 カメラ
5 判定装置
6 遊泳者
8 仮想中心
10 第1のライン部
11 第2のライン部
16 画像情報
17 距離情報
3−5 色フィルター処理
4−4 溺れている状態
4−5 溺れの疑いがある状態
4−10 直立している
4−11 浮上している
4−12 潜水状態
4−13 所定時間
4−14 第2の所定時間
7−1 有彩色
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9