【解決手段】管理サーバ装置およびクライアント装置を含んで構成される工程管理システムであって、工事の種別および工区毎に当初計画工事日を管理サーバ装置に登録可能な当初計画工事日登録手段と、当初計画工事日の登録が行われた後に、工事の種別および工区毎に、工事予定日、工事実績有り日および工事実績無し日の何れかを日単位で管理サーバ装置3に登録可能な工事予定・工事実績登録手段と、当初計画工事日登録手段により登録された情報と工事予定・工事実績登録手段により登録された情報とに基づいて、当初計画工事日に対する工事の種別毎の進捗度合いを算出して提示する進捗度提示手段38と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る工程管理システムについて、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、マンションの修繕・改修現場の工程管理に適用した工程管理システムを例に挙げて説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る工程管理システム1は、データセンタ2内に設置された管理サーバ装置3と、この管理サーバ装置3にインターネット等のネットワーク4を介して接続されるクライアント装置5で主に構成される。
【0027】
管理サーバ装置3は、例えば、コンピュータに所定のプログラムが組み込まれたものからなり、そのプログラムの実行により後述するサービスを提供するサーバとして機能する。
【0028】
クライアント装置5は、例えば、パーソナルコンピュータ6、携帯端末装置7(携帯電話機、スマートフォン等)などで構成される。クライアント装置5には、ブラウザが組み込まれており、ブラウザを通じて管理サーバ装置3が提供するサービスを受ける。なお、ブラウザの代わりに所定の専用ソフトウエアをクライアント装置5にインストールしておき、その専用ソフトウエアの実行により管理サーバ装置3が提供するサービスを受けるようにしたクライアント装置5であってもよい。
【0029】
上記工程管理システム1は、後に詳述する工程管理機能のほか、利用者情報登録機能を備えている。
【0030】
利用者情報登録機能は、利用者の識別情報と階層情報とを対応付けて登録するものである。本実施形態では、所定の権限を有する者(例えばシステム管理者)が管理サーバ装置3において、あるいは、管理サーバ装置3に対してログインして接続されたクライアント装置5から所定の入力操作を行うことにより上記利用者の識別情報と階層情報とを管理サーバ装置3に登録することができる。階層情報としては、工事責任者(第1の階層)、工事責任者より上位の階層である現場所長(第2の階層)、現場所長より上位の階層である工事マネージャ(第3の階層)等が登録可能となっている。なお、ここに挙げた階層情報の種類は例示に過ぎず、工程管理システム1の運用形態、運用会社の事情等に応じて適宜設定変更される。
【0031】
工程管理システム1が備える工程管理機能は、マンションの修繕・改修現場の工程管理を行うための機能である。例えば、工事の種別および工区毎に当初計画工事日を管理サーバ装置3に登録する「当初計画工事日登録機能」と、工事の種別および工区毎に、工事予定日、工事実績有り日および工事実績無し日の何れかを日単位で管理サーバ装置3に登録する「工事予定・工事実績登録機能」と、「当初計画工事日登録機能」により登録された情報と「工事予定・工事実績登録機能」により登録された情報とに基づいて、工事の種別毎の進捗度合いを算出して提示する「進捗度提示機能」とを含んで構成されている。なお、「当初計画工事日」と「工事予定日」は何れも工事が予定されている日という意味で共通するが、「当初計画工事日」は長期計画において決められるものであるのに対し、「工事予定日」は短期計画若しくは直近に現場担当者(本実施形態では工事責任者)により決められるものである点で異なる。以下、工程管理システム1の工程管理機能について更に詳細に説明する。
【0032】
ユーザが工程管理システム1を利用する場合、先ず、所定の権限を有する者(例えばシステム管理者等)が工事工程表、工事契約書等を参照しながら工事の基本情報を管理サーバ装置3に登録する。この工事の基本情報の登録作業は、例えば、上記権限を有する者が管理サーバ装置3においてログインして表示される基本情報登録画面上(不図示)あるいは、管理サーバ装置3に対してログインして接続されたクライアント装置5において表示される同画面上からの入力操作により行われる。工事の基本情報は、例えば、工事番号、工事名、工事責任者の氏名、物件名(マンション名)、工事の種別、工期等である。
【0033】
上記工事工程表は、例えば、そのマンションの工事関係者の間で内容が協議済のものであって、マンション管理組合に提示されたものが一例として挙げられる。本実施形態では、この種の工事工程表として、
図2に示すものを例示する。同図に示す工事工程表11は、表計算ソフトウエアなどにより作成されたものであり、縦方向に工事の種別が列挙され、横方向に暦日がとられている。工事工程表11内に列挙された工事の種別は、「共通仮設工事」、「足場仮設工事」、「シーリング工事」、「躯体補修工事」、・・・、等である。各工事の種別を示す行は、更に細かい行に区分されており、それぞれ上から順に進捗度表示行32、予定行33、実績行34が割り当てられている。予定行33には、当初計画工事期間(当初計画工事日)が横棒により工区別に表示されている。進捗度表示行32、実績行34には、実績が発生した後に、それぞれ情報が入力される。
図2の工事工程表11では、紙面の都合上、図示を省略しているが、「躯体補修工事」より下行には、「外壁洗浄・クリーニング工事」、「内外壁塗装工事」、「鉄部塗装工事」、「屋上防水工事」、「ルーフバルコニー防水工事」等が工事の種別として列挙されている。
【0034】
上記工事の基本情報の登録が完了した後、工事の種別および工区毎に当初計画工事日の登録作業を行うことができるようになる(この機能を「当初計画工事日登録機能」という。)。この登録作業は、所定の権限を有する者(例えばシステム管理者)が管理サーバ装置3にログインして表示される
図3に示すような予実管理シート12上、あるいは、管理サーバ装置3に対してログインして接続されたクライアント装置5において表示される
図3に示すような予実管理シート12上からの入力操作により行われる。
【0035】
予実管理シート12には、既述した工事の基本情報の登録作業により登録された工事の種別を表示する工事種別表示13、各工事種別表示13に対して1対1または1対複数で対応付けて表示される工区入力欄14、各工区入力欄14に対して1対1で対応付けて表示される当初計画工事期間入力欄15が含まれている。所定の権限を有する者(例えばシステム管理者)は、工事工程表11(
図2参照)に記載された情報を参照しながら、工区入力欄14に工区名を入力し、当初計画工事期間入力欄15に当初計画工事期間の開始日および終了日を入力する。そして、保存ボタン35が選択されることにより、工事の種別および工区毎に当初計画工事日が管理サーバ装置3に登録される。
【0036】
このように、「当初計画工事日登録機能」により、工事の種別および工区毎の当初計画工事日の登録が完了した後は、各工事現場の工事責任者により、管理サーバ装置3にログインして接続したクライアント装置5において、
図4に例示するような進捗管理シート17を表示できるようになる。
【0037】
進捗管理シート17は、「当初計画工事日登録機能」によって登録された情報に基づいて管理サーバ装置3内で生成され、クライアント装置5の画面に表示されるデータとして提供される。この進捗管理シート17では、縦方向に工事の種別が大項目として列挙され、横方向に暦日がとられた工程表20を含んでいる。この進捗管理シート17の工程表20は、工事の種別を表示する工事種別表示18aを含むレコード18と、各レコード18に対応付けて表示される、工区表示19aを含む1又は複数のレコード19とを具備している。
図4に示す進捗管理シート17では、工事種別表示18aとして「共通仮設工事」、「足場仮設工事」・・・等が列挙されている。
図4では表示されていないが、進捗管理シート17のスクロールバー23を操作して工程表20をスクロールさせると、「足場仮設工事」の下に、「シーリング工事」、「躯体補修工事」、「外壁洗浄・クリーニング工事」、「内外壁塗装工事」、「鉄部塗装工事」、「屋上防水工事」、「ルーフバルコニー防水工事」が順に現れる。これらの工事種別表示18aは、既述した工事の基本情報の登録作業により登録されたものである。また、
図4に示す進捗管理シート17では、工区表示19aとして、「東面」、「西面」、「北面」、・・・、「3工区」、「1工区」・・・等がそれぞれ小項目として列挙されている。これらの工区表示19aは「当初計画工事日登録機能」により、各工事の種別に対応付けて管理サーバ装置3に登録されたものである。つまり、
図3に示した予実管理シート12の工区入力欄14に入力され登録されたものである。
【0038】
進捗管理シート17の工区表示19aがなされたレコード19には、登録されている当初計画工事日に該当するセル(マス目)が所定色(例えば橙色)で着色表示(
図4において濃く塗り潰したセル25〜29)され、その他のセルと識別可能に表示されている。以下、上記のように着色表示されたセルを「当初計画工事日表示」ともいう。なお、図示しないが、進捗管理シート17の工程表20において現在日を表す列は、所定色(例えば桃色)にて表示されている。
【0039】
次に、「工事予定・工事実績登録機能」による工事予定日、工事実績有り日、工事実績無し日の登録について説明する。「工事予定・工事実績登録機能」により工事予定日等を登録できる権限と、「当初計画工事日登録機能」により当初計画工事日等を登録できる権限とは、上記で述べた利用者情報登録機能に登録された階層により分けられている。本実施形態では、「工事責任者」が工事予定日、工事実績有り日、工事実績無し日の登録を行う権限を与えられているが、「工事責任者」には、当初計画工事日を登録・変更等する権限は与えられていない。
【0040】
「工事予定・工事実績登録機能」による工事予定日等を登録できる権限を有する者(本実施形態では「工事責任者」)により、ログインされ管理サーバ装置3に接続されたクライアント装置5において進捗管理シート17が表示可能となる。進捗管理シート17では、登録されている当初計画工事日に該当するセルが、
図5(a1)に示すように、「当初計画工事日表示」として着色表示(
図5(a1)では塗り潰し表示)されている。このセルが、所定の選択操作(例えば「クリック操作」)により選択されると、
図5(b1)に示すように、当該セル内に該セルより縦横寸法の小さい矩形ボックス24が表示される。このボックス24は有色輪郭線(例えば赤色の輪郭線)とその内部の無着色領域とで構成されている。このようにボックス24を表示させる操作はその行に対応する工区についてその日を工事予定日として指定するための操作となる。また、後に保存ボタン36が選択された後は、ボックス24を表示したセルは、その行に対応する工区についてその日が登録された工事予定日であることを表示するもの(以下「工事予定日表示」ともいう。)となる。なお、「当初計画工事日表示」をしたセル以外のセルを所定の選択操作により選択しても同様のボックス24が表示される(
図5(a2)および(b2)を参照)。
【0041】
上記ボックス24を表示したセル(
図5(b1)又は
図5(b2)参照)が所定の選択操作により更に選択されると、
図5(c1)および
図5(c2)に示すように、人工(にんく)入力欄21および確定ボタン22を含んだ吹き出し表示31がシート上に現れる。人工入力欄21にはクライアント装置5のキーボード等からの入力操作により人工(数字)が入力でき、人工が入力され確定ボタン22が選択されることで人工の入力操作が完了し、これらの表示21,22,31が消えるとともに、ボックス24内に入力された人工(数字)が表示される。このように人工を表示させる操作はその行に対応する工区についてその日を工事実績があった日(以下この日を「工事実績有り日」ともいう。)として指定するとともに、当該工事実績有り日の人工を指定するための操作となる。また、後に保存ボタン36が選択された後は、この人工(数字)を表示したセルは、その日に工事実績の登録があったことを表すとともに、ボックス24内の数字によりその工事実績に係る人工が登録されたことを表すものとなる。
【0042】
吹き出し表示31に人工が入力された後、または、吹き出し表示31に人工が入力されることなく、当該セルが所定の選択操作により更に選択されると、
図5(d1)又は
図5(d2)に示すように、当該セルのボックス24内に斜線37が表示される。このように斜線37を表示させる操作はその行に対応する工区についてその日を工事実績がなかった日(以下この日を「工事実績無し日」ともいう。)として指定するための操作となる。後に保存ボタン36が選択された後は、この斜線37を表示したボックス24は、当初工事予定日であったが、何らかの事情により工事実績無し日になったことを表す。工事実績無し日になる事情としては、当初の工事予定期間よりも早く工事が終了し、登録されていた工事予定期間の最終日に工事を行う必要がなくなった場合や、登録されていた工事予定日において降雨等で工事を行うことができなかった場合などが考えられる。
【0043】
「工事実績無し日」の表示がなされたセルが所定の選択操作により更に選択されると、
図5(a1)又は
図5(a2)に示した元の状態表示に戻る。
【0044】
このようにして、「工事予定日」、「工事実績有り日」、「工事実績無し日」を工事の種別および工区毎に日単位でセルに表示させ、保存ボタン36が選択されると、これらの情報が管理サーバ装置3に登録される。また、保存ボタン36が選択されると、「進捗度提示機能」によって、例えば
図10に示すように、進捗管理シート17のレコード18に、工事の進捗度合いを表示(提示)する進捗度表示38が現れる。この進捗度表示38は、「当初計画工事日」、「工事予定日」、「工事実績有り日」、「工事実績無し日」等に基づいて「当初計画工事日」に対する進捗度を、後述の算出ルールに従って算出し、所定の基準日(本実施形態では直近金曜日の報告日)を基準として進捗度を提示するものである。
【0045】
以上のようにして、「工事予定日」、「工事実績有り日」、「工事実績無し日」等が登録されると、その情報および進捗度表示38は、管理サーバ3接続された他のユーザ(例えば、現場所長、工事マネージャ等)のクライアント装置3において表示される進捗管理シート17上にも表れる。
【0046】
以下、「進捗度提示機能」について更に詳細に説明する。進捗管理シート17のレコード18に表示される進捗度表示38は、管理サーバ装置3に登録された「当初計画工事日」、「工事予定日」、「工事実績有り日」および「工事実績無し日」のほか、直近の報告日(本実施形態では直近の金曜日)等の情報に基づいて表示される。進捗度表示38が未来方向に凸図形を形成している場合は、その工事の種別の進捗が進んでいることを示し、進捗度表示38が過去方向に凸図形を形成している場合は、その工事の種別の進捗が遅れていることを示す。また、進捗度表示38が凸図形を形成していない場合は、その工事の種別の進捗がオンタイムであることを示す。進捗度表示38が示す進捗度合いは、報告日が当該工事の種別に属する何れかの工区の当初計画工事期間(当初計画工事日の初日から最終日までの何れかの日)上にある場合は、凸図形の基端から先端までの横方向長さにより示される。一方、報告日が当該工事の種別に属する何れの工区の当初計画工事期間上にもない場合は、進捗度表示38が過去方向に凸図形を形成している場合にあっては、報告日直近の当初計画工事日の右端から凸図形の先端までの横方向長さにより進捗度合いが示され、進捗度表示38が未来方向に凸図形を形成している場合にあっては、報告日直近の当初計画工事日の左端から凸図形の先端までの横方向長さにより進捗度合いが示される。
【0047】
以下、「進捗度提示機能」を実行するために、工程管理システム1の管理サーバ装置3において実行される処理動作について説明する。この処理動作は、基本的に、以下のステップ(1)〜(5)により実行される。なお、本実施形態では、「進捗度提示機能」を実行するに当たって登録された人工は参照されない。
【0048】
ステップ(1)として、先ず、登録された当初計画工事日、工事予定日、工事実績有り日、工事実績無し日等の情報に基づいて、「工区進捗指数」を算出する。「工区進捗指数」とは、工区毎の工事の進捗状況を日単位で数値化したものであり、工事の進捗状況が遅れている場合はマイナス、工事の進捗状況が進んでいる場合はプラス、工事の進捗状況がオンタイムの場合は0となる。この工区進捗指数の算出方法には、現在日に対して直近の未来の報告日(以下単に「報告日」という。)と、当初計画工事日との関係に応じ、4つの算出方法から何れか1つが適用される。
【0049】
1つめの算出方法は、報告日が、算出対象となる工区の当初計画工事日の最終日以降(最終日を含む)となる場合である。この算出方法に当てはまる例としては、例えば、
図6(a)に示すように、当初計画工事日が6月1日(月)〜6月5日(金)まで5日間連続で登録されている場合において報告日が6月5日(金)である場合、
図6(b)に示すように、当初計画工事日が6月1日(月)〜6月3日(水)まで3日間連続で登録されている場合において報告日が6月5日(金)である場合、
図6(c)に示すように、当初計画工事日が6月1日(月)と6月3日(水)の2日だけ非連続で登録されている場合において報告日が6月5日(金)である場合などが挙げられる。この算出方法の場合、工区進捗指数は、次式[1]で表すものとなる。但し、「残日数」は、算出対象とする工区の「工事予定日」(「工事実績有り日」および「工事実績無し日」を除く。)の日数である。
工区進捗指数=0−残日数・・・[1]
以下、この1つめの算出方法による工区進捗指数の算出を「ステップ(1−1)」ともいう。
【0050】
2つめの算出方法は、報告日が、算出対象となる工区の当初計画工事日の初日と同日となる場合、および、算出対象となる工区の当初計画工事日の初日と最終日の間の日となる場合である。この算出方法に当てはまる例としては、例えば、
図7(a)に示すように、当初計画工事日が6月2日(火)〜6月6日(土)まで5日間連続で登録されている場合において報告日が6月5日(金)である場合や、
図7(b)に示すように、当初計画工事日が6月1日(月)、6月2日(火)、6月8日(月)、6月9日(火)の計4日間登録されている場合において報告日が6月5日(金)である場合などが挙げられる。この算出方法の場合、工区進捗指数は、次式[2]で表すものとなる。但し、「消化猶予」は、算出対象とする工区の当初計画工事日のうち報告日の翌日以降のものの日数である。なお、本実施形態に係る工程管理システム1では、「消化猶予」を計算する際、日曜日はカウントしない。
工区進捗指数=消化猶予−残日数・・・[2]
以下、この2つめの算出方法による工区進捗指数の算出を「ステップ(1−2)」ともいう。
【0051】
3つめの算出方法は、報告日が、算出対象となる工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となる場合であって、(当初計画工事日の日数)≧(工事実績有り日の日数)の場合である。この場合、工区進捗指数は、次式[3]で表すものとなる。
工区進捗指数=工事実績有り日の日数・・・[3]
以下、この3つめの算出方法による工区進捗指数の算出を「ステップ(1−3)」ともいう。
【0052】
4つめの算出方法は、報告日が、算出対象となる工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となる場合であって、(当初計画工事日の日数)<(工事実績有り日の日数)の場合である。この場合、工区進捗指数は、次式[4]で表すものとなる。
工区進捗指数=当初計画工事日の日数・・・[4]
以下、この4つめの算出方法による工区進捗指数の算出を「ステップ(1−4)」ともいう。
【0053】
次に、ステップ(2)として、工事の種別毎の進捗指数(以下単に「進捗指数」という。)を算出する。この「進捗指数」は、工区進捗指数を工事の種別毎に足し合せたものとなる。例えば、工事の種別が「共通仮設工事」である場合、その「進捗指数」は、ステップ(1)において「東面」、「西面」、「北面」、「南面」、「塔屋」、「防護管等撤去」、「事務所解体」についてそれぞれ算出された工区進捗指数を足し合せたものとなる。
【0054】
次に、ステップ(3)として、工事の種別毎に基点日を設定する。この「基点日」は、進捗度表示38の先端位置を定める1つの要素となる。この基点日の設定は、次の4つの設定方法から何れか1つが適用される。
【0055】
1つめの設定方法が適用されるのは、
図8(a)に示すように、算出対象となる工事の種別に属する工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)と報告日とが重なる場合である。この場合は、報告日を基点日に設定する。以下この1つめの設定方法による基点日の設定方法を「ステップ(3−1)」ともいう。
【0056】
2つめの設定方法が適用されるのは、
図8(b)に示すように、ある工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)の最終日の翌日からその後に始まる工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)の初日の前日までに報告日がある場合である。この場合は、(進捗指数)>0であれば(つまり、進捗が予定より進んでいれば)、後の工区の当初計画工事日の初日を基点日とする。但しこの場合、進捗指数から1だけ減算する。(進捗指数)<0であれば(つまり、進捗が予定より遅れていれば)、前の工区の当初計画工事日の最終日を基点日とする。(進捗指数)=0であれば(つまり、進捗がオンタイムであれば)、報告日を基点日に設定する。以下この2つめの設定方法による基点日の設定方法を「ステップ(3−2)」ともいう。
【0057】
3つめの設定方法が適用されるのは、
図8(c)に示すように、報告日が何れの工区の当初計画工事日の初日よりも前の日になる場合である。この場合は、(進捗指数)>0であれば(つまり、進捗が予定より進んでいれば)、報告日の直近の当初計画工事日の開始日を基点日に設定する。但しこの場合、算出された進捗指数から1だけ減算する。(進捗指数)=0であれば(つまり、進捗がオンタイムであれば)、報告日を基点日に設定する。以下この3つめの設定方法による基点日の設定方法を「ステップ(3−3)」ともいう。
【0058】
4つ目の設定方法が適用されるのは、
図8(d)に示すように、報告日が何れの工区の当初計画工事日の最終日よりも後の日になる場合である。この場合は、(進捗指数)<0であれば(つまり、進捗が予定より遅れていれば)、報告日の直近の当初計画工事日の終了日を基点日に設定する。(進捗指数)=0であれば(つまり、進捗がオンタイムであれば)、報告日を基点日に設定する。以下この4つめの設定方法による基点日の設定方法を「ステップ(3−4)」ともいう。
【0059】
次に、ステップ(4)として、進捗度表示38の先端位置となる先端日を設定する。先端日は、次式[5]で表すものとなる。例えば上記1つめの条件に当てはまる場合において、基点日が6月5日、進捗指数が+1の場合、先端日は6月6日となる。また、上記1つめの条件に当てはまる場合において、基点日が6月5日であり、進捗指数が−1の場合、先端日は6月4日となる。
先端日=基点日+進捗指数・・・[5]
【0060】
最後に、ステップ(5)として、
図10に示すように、報告日(6月12日)を基端とし、先端日(6月6日)を先端とした進捗度表示38により、工事の種別毎の進捗度合いを提示する。この進捗度表示38は、進捗が遅れているときは左方(暦の過去の方)に突出した凸図形を形成し、進捗が進んでいるときは右方(暦の未来の方)に突出した凸図形を形成する。また、進捗がオンタイムのときは、凸図形を形成しない。進捗度(遅れ度合い又は進み度合い)は、基点日から凸図形の先端までの進捗日数に応じた長さで示される。なお、工程表20では1日分の列幅が存在しているが、報告日、先端日、基点日等は、その日に該当する列の右端位置を基準としている。例えば、先端日が6月6日、報告日が6月12日であれば、進捗度表示38の先端位置は6月6日の列と6月7日の列の境界線上となり、進捗度表示38の基端位置は6月12日の列と6月13日の列の境界線上となる。
【0061】
本実施形態では、進捗度表示38は、V字を成す2本の線分からなる凸図形又は縦線(進捗がオンタイムの場合)からなり、進捗が進んでいる若しくは遅れている場合には、凸図形は、基点日(基点日を示す列の右端(進捗が遅れている場合)又は左端(進捗が進んでいる場合))から進捗度合いに応じた日数分だけ横方向に離れた位置に先端が配置される。
【0062】
以下、進捗度表示38の具体例を
図9〜
図17に基づきそれぞれ説明する。なお、本実施形態では、報告日に対応する位置(報告日の列の右端)に、縦方向に太線が所定色(例えば赤)で表示され、その太線は進捗度表示38の基端に繋がっている。
【0063】
図9の「共通仮設工事」に関する進捗度表示38について説明する。この例では、現在日が6月4日、報告日が6月5日である。この例の場合、報告日が何れの工区の当初計画工事日に対しても前の日であり、何れの工区についても(当初計画工事日の日数)≧(工事実績有り日の日数)が成立していることから、ステップ(1)では、ステップ(1−3)の式[3]による算出方法が適用される。この場合、何れの工区も工事実績有り日が0であるから、式[3]によれば、何れの工区の工区進捗指数も0となる。次に、前記ステップ(2)において、「共通仮設工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せるが、何れの工区の工区進捗指数も0であるから「共通仮設工事」の進捗指数も0となる。次に、ステップ(3)では、報告日が何れの工区の当初計画工事日の初日よりも前の日にあるから、ステップ(3−3)が適用され、(進捗指数)=0であるから基点日として報告日(6月5日)が設定される。次に、前記ステップ(4)において、式[5]に、基点日=報告日、進捗指数=0が当てはめられる。その結果、先端日には報告日(6月5日)が設定される。次に、前記ステップ(5)において、先端日=報告日であることから進捗度表示38は凸図形を形成せず、
図9に示すように、縦線を形成し、これにより、「共通仮設工事」の進捗状況がオンタイムであることが示される。
【0064】
図10の「共通仮設工事」に関する進捗度表示38について説明する。この例では、現在日が6月11日、報告日が6月12日である。
先ず、前記ステップ(1)では、「東面」工区および「西面」工区については、報告日が、工区の当初計画工事日の最終日以降となるため、ステップ(1−1)が適用される。この場合、式[1]により、工区進捗指数は「東面」工区が−3、「西面」工区が−2となる。その他工区については、報告日が何れの工区の当初計画工事日に対しても前の日であり、何れの工区についても(当初計画工事日の日数)≧(工事実績有り日の日数)が成立していることから、ステップ(1−3)が適用される。この場合、何れの工区も工事実績有り日が0であるから、何れの工区の工区進捗指数も0となる。
次に、前記ステップ(2)では、「共通仮設工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せる。上記の場合、工区進捗指数は「東面」工区が−3、「西面」工区が−2となり、その他の工区の工区進捗指数は何れも0となることから、「共通仮設工事」の進捗指数は−5となる。
次に、前記ステップ(3)では、「西面」工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)の最終日の翌日から「北面」工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)の初日の前日までに報告日があり、「共通仮設工事」の進捗指数は−5であることから、ステップ(3−2)が適用され、「西面」工区の当初計画工事日の最終日(6月11日)が基点日に設定される。
次に、前記ステップ(4)では、式[5]により、基点日(6月11日)と進捗指数である−5(日)を足し合せて得られる6月6日が先端日に設定される。
最後に、前記ステップ(5)では、
図10の「共通仮設工事」の進捗度表示38に示すように、報告日(6月12日)を基端とし、先端日(6月6日)を先端とした凸図形を形成し、これにより、「共通仮設工事」の進捗状況が5日分遅れていることが示される。なお、この
図10に示す例のように、報告日が何れの工区の当初計画工事期間上にもない場合は、報告日に最も近い当初計画工事日の右端から先端日の右端までの長さをもって進捗度合い(5日分)が示される。
【0065】
図11に示す例は、
図10に示した例において、「共通仮設工事」に属する「東面」工区、「西面」工区の工事予定日に人工が入力され、保存ボタン36が選択された後、つまり、工事実績有り日が登録された状態を示す。
すなわち、「共通仮設工事」に属する「東面」工区、「西面」工区の工事予定日に人工が入力され、保存ボタン36が選択されると、前記ステップ(1)では、「東面」工区および「西面」工区については、報告日が、工区の当初計画工事日の最終日以降となるため、ステップ(1−1)が適用される。この場合、式[1]により、工区進捗指数は「東面」工区も「西面」工区も0となる。その他工区についても
図10の説明で既に述べたように、工区進捗指数は0となる。
次に、前記ステップ(2)では、「共通仮設工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せる。上記の場合、工区進捗指数は何れも0となることから、「共通仮設工事」の進捗指数は0となる。
次に、前記ステップ(3)では、「西面」工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)の最終日の翌日から「北面」工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)の初日の前日までの間に報告日が存在し、「共通仮設工事」の進捗指数は0であることから、ステップ(3−2)が適用され、基点日として報告日(6月12日)が設定される。
次に、前記ステップ(4)では、式[5]に、基点日=報告日、進捗指数=0が当てはめられる。その結果、先端日には報告日(6月12日)が設定される。
次に、前記ステップ(5)では、先端日=報告日であることから進捗度表示38は凸図形を形成せず、
図11に示すように、縦線を形成し、これにより、「共通仮設工事」の進捗状況がオンタイムであることが示される。
【0066】
図12の「シーリング工事」に関する進捗度表示38について説明する。この例では、現在日が7月6日、報告日が7月10日である。
先ず、前記ステップ(1)では、「1工区」については、報告日が、工区の当初計画工事日の最終日以降となるため、ステップ(1−1)が適用される。この場合、式[1]により、工区進捗指数は−1となる。「2工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日と最終日の間の日となるため、ステップ(1−2)が適用される。この場合式[2]に残日数として6日、消化猶予として1日を当てはめることにより、工区進捗指数は−5となる。「3工区」〜「6工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として0日を当てはめることにより、何れの工区進捗指数も0となる。
次に、前記ステップ(2)では、「シーリング工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せる。上記の場合、「1工区」の工区進捗指数が−1、「2工区」の工区進捗指数が−5、「3工区」〜[5工区]の工区進捗指数が何れも0であることから、「シーリング工事」の進捗指数は−6となる。
次に、前記ステップ(3)では、「2工区」の当初計画工事日(当初計画工事期間)と報告日とが重なるため、ステップ(3−1)が適用される。この場合、報告日(7月10日)が基点日に設定される。
次に、前記ステップ(4)では、式[5]により、基点日(7月10日)と進捗指数である−6(日)を足し合せて得られる7月4日が先端日に設定される。
最後に、前記ステップ(5)では、
図12の「シーリング工事」の進捗度表示38に示すように、報告日(7月10日)を基端とし、先端日(7月4日)を先端とした凸図形を形成し、これにより、「シーリング工事」の進捗状況が6日分遅れていることが示される。なお、この
図12に示す例のように、報告日が何れかの工区の当初計画工事期間上にある場合は、報告日から先端日までの長さをもって進捗度合い(6日遅れ)が示される。
【0067】
図13の「シーリング工事」に関する進捗度表示38について説明する。この例では、現在日が7月6日、報告日が7月10日である。
先ず、前記ステップ(1)では、「1工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の最終日以降となるため、ステップ(1−1)が適用される。この場合、式[1]に、残日数として1日を当てはめることにより、工区進捗指数は−1となる。「2工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日と重なるため、ステップ(1−2)が適用される。この場合式[2]に残日数として5日、消化猶予として1日を当てはめることにより、工区進捗指数は−4となる。「3工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として1日を当てはめることにより、工区進捗指数は+1となる。「4工区」〜「6工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として0日を当てはめることにより、何れの工区進捗指数も0となる。
次に、前記ステップ(2)では、「シーリング工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せる。上記の場合、「1工区」の工区進捗指数が−1、「2工区」の工区進捗指数が−4、「3工区」の工区進捗指数が+1、「4工区」〜[5工区]の工区進捗指数が何れも0であることから、「シーリング工事」の進捗指数は−4となる。
次に、前記ステップ(3)では、「2工区」の当初計画工事日(当初計画工事期間)と報告日とが重なるため、ステップ(3−1)が適用される。この場合、報告日(7月10日)が基点日に設定される。
次に、前記ステップ(4)では、式[5]により、基点日(7月10日)と進捗指数である−4(日)を足し合せて得られる7月6日が先端日に設定される。
最後に、前記ステップ(5)では、
図13の「シーリング工事」の進捗度表示38に示すように、報告日(7月10日)を基端とし、先端日(7月6日)を先端とした凸図形を形成し、これにより、「シーリング工事」の進捗状況が4日分遅れていることが示される。なお、この
図13に示す例のように、報告日が何れかの工区の当初計画工事期間上にある場合は、報告日から先端日までの長さをもって進捗度合い(4日遅れ)が示される。
【0068】
図14の「シーリング工事」に関する進捗度表示38について説明する。この例では、現在日が7月6日、報告日が7月10日である。
先ず、前記ステップ(1)では、「1工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の最終日以降となるため、ステップ(1−1)が適用される。この場合、式[1]に、残日数として0日を当てはめることにより(工事実績無し日は残日数にカウントされない)、工区進捗指数は0となる。「2工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日と重なるため、ステップ(1−2)が適用される。この場合、式[2]に残日数として4日、消化猶予として1日を当てはめることにより、工区進捗指数は−3となる。「3工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として3日を当てはめることにより、工区進捗指数は+3となる。「4工区」〜「6工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として0日を当てはめることにより、何れの工区進捗指数も0となる。
次に、前記ステップ(2)では、「シーリング工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せる。上記の場合、「1工区」の工区進捗指数が0、「2工区」の工区進捗指数が−3、「3工区」の工区進捗指数が+3、「4工区」〜[5工区]の工区進捗指数が何れも0であることから、「シーリング工事」の進捗指数は0となる。
次に、前記ステップ(3)では、「2工区」の当初計画工事日(当初計画工事期間)と報告日とが重なるため、ステップ(3−1)が適用される。この場合、報告日(7月10日)が基点日に設定される。
次に、前記ステップ(4)では、式[5]により、基点日(7月10日)と進捗指数である0(日)を足し合せて得られる7月10日が先端日に設定される。
最後に、前記ステップ(5)Deは、
図13の「シーリング工事」の進捗度表示38に示すように、報告日(7月10日)を基端とし、先端日(7月10日)を先端とするため凸図形を形成しない。これにより、「シーリング工事」の進捗状況がオンタイムであることが示される。
【0069】
図15の「外壁洗浄・クリーニング工事」に関する進捗度表示38について説明する。この例では、現在日が7月6日、報告日が7月10日である。
先ず、前記ステップ(1)において、「1工区」については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として1日を当てはめることにより、工区進捗指数は+1となる。その他の工区についても、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として0日を当てはめることにより、何れの工区の工区進捗指数も0となる。
次に、前記ステップ(2)では、「外壁洗浄・クリーニング工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せる。上記の場合、「1工区」の工区進捗指数が+1、その他の工区の工区進捗指数が何れも0であることから、「外壁洗浄・クリーニング工事」の進捗指数は+1となる。
次に、前記ステップ(3)では、報告日が何れの工区の当初計画工事日の初日よりも前の日になるため、ステップ(3−3)が適用される。この場合、報告日の直近の当初計画工事日の開始日(7月13日)を基点日に設定するとともに、進捗指数から1だけ減算され、進捗指数は0となる。
次に、前記ステップ(4)では、式[5]により、基点日(7月13日)と進捗指数である0(日)を足し合せて得られる7月13日が先端日に設定される。
最後に、前記ステップ(5)では、
図15の「外壁洗浄・クリーニング工事」の進捗度表示38に示すように、報告日(7月10日)を基端とし、先端日(7月13日)を先端とした凸図形を形成し、これにより、「シーリング工事」の進捗状況が1日分進んでいることが示される(報告日の直近の当初計画工事日の初日の左端から1日分だけ凸図形が未来方向に出ている)。なお、この
図15に示す例のように、報告日が何れの工区の当初計画工事期間上にもない場合は、報告日に最も近い当初計画工事日の左端から先端日の右端までの長さをもって進捗度合いが示される。
【0070】
図16の「鉄部塗装工事」に関する進捗度表示38について説明する。この例では、現在日が7月6日、報告日が7月10日である。
先ず、前記ステップ(1)において、「錆止め塗装(廊下廻り先行)」工区については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の最終日(7月4日)以降となるため、式[1]に残日数(1日)が当てはめられることにより、工区進捗指数は−1となる。その他の工区については、報告日が、当該工区の当初計画工事日の初日よりも前の日となるため、ステップ(1−3)が適用される。この場合、式[3]に、工事実績有りの日の日数として0日を当てはめることにより、何れの工区の工区進捗指数も0となる。
次に、前記ステップ(2)では、「鉄部塗装工事」に属する工区の工区進捗指数を全て足し合せる。上記の場合、「錆止め塗装(廊下廻り先行)」工区の工区進捗指数が−1、その他の工区の工区進捗指数が何れも0であることから、「鉄部塗装工事」の進捗指数は−1となる。
次に、前記ステップ(3)では、報告日(7月10)が「錆止め塗装(廊下廻り先行)」工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)の最終日の翌日(7月5日)から「1工区」の当初計画工事日(当初計画工事期間)の初日の前日(7月19日)までにあり、(進捗指数)<0であることから、「錆止め塗装(廊下廻り先行)」工区の当初計画工事日の最終日(7月4日)が基点日に設定される。
次に、前記ステップ(4)では、式[5]により、基点日(7月4日)と進捗指数である−1(日)を足し合せて得られる7月3日が先端日に設定される。
最後に、前記ステップ(5)では、
図16の「鉄部塗装工事」の進捗度表示38に示すように、報告日(7月10日)を基端とし、先端日(7月3日)を先端とした凸図形を形成し、これにより、「鉄部塗装工事」の進捗状況が1日分遅れていることが示される(報告日の直近の当初計画工事日の最終日の右端から1日分だけ凸図形が過去方向に出ている)。なお、この
図16に示す例のように、報告日が何れの工区の当初計画工事期間上にもない場合は、報告日に最も近い当初計画工事日(7月4日)の右端から先端日(7月3日)の右端までの長さをもって進捗度合いが示される。
【0071】
<その他の進捗度提示機能>
以上の説明では、進捗管理シート17の工程表20上に進捗度表示38が表示される場合について説明したが、本発明の実施の形態に係る工程管理システム1では、
図2に基づき説明したような工事工程表11上に進捗度表示38を表示させたものを生成し、これをクライアント装置5において表示させることができる。
【0072】
例えば、
図17に示す工事工程表11Aは、
図2の工事工程表11において、進捗度表示行32に進捗度表示38を表示し、実績行34に、進捗管理シート17を通じて登録された人工を表示したものであるが、管理サーバ装置3はこのような工事工程表11Aを生成し、クライアント装置5において表示させることができる。なお、工事工程表11Aにおける進捗度表示38は、進捗管理シート17で表示されるものと同様の手法により設定される先端日、基点日等に基づいて表示される。
【0073】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施の形態に係る工程管理システム1によれば、工事の種別毎に進捗度表示38により工事の進捗度が表示されるので、工事の種別毎の進捗を容易かつ迅速に把握することができる。このため、工事の種別毎に下請け業者、職人等の労力の過不足を把握することが重要となる元請け会社等にとっては、上記工程管理システム1は非常に有用なものとなる。
【0074】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る工程管理システムについて、図面を参照しつつ説明する。以下では、第1の実施の形態に係る工程管理システムとの相違点のみについて説明し、第1の実施の形態に係る工程管理システムと同様の構成および機能については説明を省略する。
【0075】
第2の実施の形態に係る工程管理システムは、提示すべき進捗度合いの対象として、「工事の種別毎の進捗度合い」又は「工区毎の進捗度合い」の何れかを指定する「進捗度提示対象指定機能」をさらに備えるものである。「工事の種別毎の進捗度合い」又は「工区毎の進捗度合い」の何れかの指定は、所定の権限を有する者が管理サーバ装置3においてログインして表示される基本設定画面上(不図示)あるいは、管理サーバ装置3に対してログインして接続されたクライアント装置5において表示される同画面上からの入力操作により行われる。提示すべき進捗度合いの対象として、「工事の種別毎の進捗度合い」が指定されている場合は、第1の実施形態で説明したようにして、工事の種別毎の進捗度合いが提示される。
【0076】
一方、提示すべき進捗度合いの対象として、「工区毎の進捗度合い」が指定されている場合は、工程管理システム1において、第1の実施形態とは異なる「進捗度提示機能」が実行される。すなわち、「工区毎の進捗度合い」が指定されている場合には、「当初計画工事日登録機能」により登録された情報と「工事予定・工事実績登録機能」により登録された情報とに基づいて、当初計画工事日に対する工区毎の進捗度合いが算出され提示される。以下、この機能を「工区進捗度提示機能」という。
【0077】
以下、「工区進捗度提示機能」を実行するために、工程管理システム1の管理サーバ装置3において実行される処理動作について説明する。この処理動作は、基本的に、以下のステップ(1A)〜(4A)により実行される。なお、本実施形態でも、「工区進捗度提示機能」を実行するに当たって登録された人工は参照されない。
【0078】
ステップ(1A)として、先ず、登録された当初計画工事日、工事予定日、工事実績有り日、工事実績無し日等の情報に基づいて、「工区進捗指数」を算出する。この「工区進捗指数」の算出方法は、第1の実施の形態においてステップ(1)として説明したものと同様である。
【0079】
次に、ステップ(2A)として、工区毎に基点日を設定する。この「基点日」は、後述の工区進捗度表示38Aの先端位置を定める1つの要素となる。この基点日の設定は、次の4つの設定方法から何れか1つが適用される。
【0080】
1つめの設定方法が適用されるのは、
図8(a)に示す「西面」工区のように、報告日が算出対象となる工区の当初計画工事日(当初計画工事期間)と報告日とが重なる場合である。この場合は、報告日を基点日に設定する。
【0081】
2つめの設定方法が適用されるのは、
図8(b)に示す「西面」工区のように、報告日が算出対象となる工区の当初計画工事日の初日よりも前の日になる場合である。この場合は、(進捗指数)>0であれば(つまり、進捗が予定より進んでいれば)、報告日の直近の当初計画工事日の開始日を基点日に設定する。但しこの場合、算出された進捗指数から1だけ減算する。(進捗指数)=0であれば(つまり、進捗がオンタイムであれば)、報告日を基点日に設定する。
【0082】
3つ目の設定方法が適用されるのは、
図8(d)に示す「西面」工区のように、報告日が算出対象となる工区の当初計画工事日の最終日よりも後の日になる場合である。この場合は、(進捗指数)<0であれば(つまり、進捗が予定より遅れていれば)、報告日の直近の当初計画工事日の終了日を基点日に設定する。(進捗指数)=0であれば(つまり、進捗がオンタイムであれば)、報告日を基点日に設定する。
【0083】
次に、ステップ(3A)として、工区進捗度表示38Aの先端位置となる先端日を設定する。先端日は、次式[5a]で表すものとなる。
先端日=基点日+工区進捗指数・・・[5a]
【0084】
最後に、ステップ(4A)として、
図18に示すように、工区進捗表示38Aにより、工区毎の進捗度合いを工区進捗欄18bにおいて提示する。工区進捗度表示38Aも、工事の種別毎の進捗表示38と同様に、進捗が遅れているときは左方(暦の過去の方)に突出した凸図形を形成し、(
図18では示されていないが)進捗が進んでいるときは右方(暦の未来の方)に突出した凸図形を形成する。また、進捗がオンタイムのときは、凸図形を形成しない。進捗度(遅れ度合い又は進み度合い)は、基点日から凸図形の先端までの進捗日数に応じた長さで示される。なお、
図18の工程表20Aも1日分の列幅が存在しているが、報告日、先端日、基点日等は、その日に該当する列の右端位置を基準としている。
【0085】
図18に示す例では、「東面」工区については、報告日(6月12日)を基端とし、先端日(6月7日)を先端とした工区進捗度表示38A(「東面」のレコードの上の工区進捗欄18aに表示された工区進捗度表示38A)により、当該工区の進捗度合いが3日遅れで提示されている。また、「西面」工区については、報告日(6月12日)を基端とし、先端日(6月9日)を先端とした工区進捗度表示38A(「西面」のレコードの上の工区進捗欄18aに表示された工区進捗度表示38A)により、当該工区の進捗度合いが2日遅れで提示されている。その他の工区については、凸図形が形成されておらず、進捗がオンタイムで提示されている。
【0086】
以上に説明した第2の実施の形態に係る工程管理システム1によれば、工事の種別毎の進捗度合いのみならず、工区毎の進捗度合いも工区進捗度表示38Aにより容易かつ迅速に把握することができる。このため、例えば、工事の最も遅れている工区を容易かつ迅速に把握したい場合に便利である。
【0087】
<第3の実施形態>
図18に示した工程表20Aの例では、工事の種別毎の進捗度合いを示す進捗度表示38は表示されていないが、第1の実施形態で説明したステップ(1)〜(5)と第2の実施形態で説明したステップ(1A)〜(4A)の双方を管理サーバ3において実行させるようにすることで、
図19の工程表20Bに示すように、工区進捗度表示38Aと併せて工事の種別毎の進捗度合いを示す進捗度表示38も表示するようにしてもよい。
【0088】
<他の実施形態>
既述した実施形態では、報告日が何れの工区の当初計画工事期間にも含まれていないときは、基点日を報告日ではなく、直近の当初計画工事日としたが、基点日を常に報告日としてもよい。この場合、報告日と工区の当初計画工事期間との関係に左右されることなく、常に、進捗度表示38、工区進捗度表示38Aの横方向の長さが進捗度を示すことになる。
【0089】
既述した工事工程表11、進捗管理シート17の工程表20,20A,20Bでは、縦方向に工事の種別が列挙され、横方向に暦日がとられているが、横方向に工事の種別が列挙され、縦方向に暦日がとられたものとすることも可能である。
【0090】
既述した実施形態においては、「消化猶予」を計算する際、日曜日はカウントしないとしたが、日曜日をカウントすることも可能である。あるいは、土曜日および日曜日の双方をカウントしないようにすることも可能である。
本発明1に係る工程管理システムは、サービスを提供する管理サーバ装置と、前記管理サーバ装置にネットワークを介して接続されるクライアント装置と、を含んで構成されるものを前提としており、工事の種別および工区毎に当初計画工事日を管理サーバ装置に登録可能な当初計画工事日登録手段と、前記当初計画工事日の登録が行われた後に、工事の種別および工区毎に、工事予定日、工事実績有り日および工事実績無し日の何れかを日単位で前記管理サーバ装置に登録可能な工事予定・工事実績登録手段と、前記当初計画工事日登録手段により登録された情報と前記工事予定・工事実績登録手段により登録された情報とに基づいて、
縦方向横方向の何れか一方に工事の種別が列挙され、縦方向横方向の何れか他方に暦日がとられた工程表を管理サーバ装置に接続されたクライアント装置において表示する工程表表示手段をさらに備えるものとし、前記進捗度提示手段は、前記当初計画工事日登録手段により登録された情報と前記工事予定・工事実績登録手段により登録された情報とに基づいて、所定の基準日における工事の種別毎の進捗度合いを算出して提示するものであり、かつ、前記工程表表示手段により表示される工程表上に、前記所定の基準日を一端とし、該一端から進捗度合いに応じた日数分だけ横方向に離れた位置を他端とする所定形態の表示により前記進捗度合いを提示するものとしてもよい。
提示すべき進捗度合いの対象として、「工事の種別毎の進捗度合い」又は「工区毎の進捗度合い」の何れかを指定する進捗度提示対象指定手段をさらに備え、前記進捗度提示手段は、前記進捗度提示対象指定手段により「工事の種別毎の進捗度合い」が指定されている場合には、前記当初計画工事日登録手段により登録された情報と前記工事予定・工事実績登録手段により登録された情報とに基づいて、当初計画工事日に対する工事の種別毎の進捗度合いを算出して提示し、前記進捗度提示対象指定手段により「工区毎の進捗度合い」が指定されている場合には、前記当初計画工事日登録手段により登録された情報と前記工事予定・工事実績登録手段により登録された情報とに基づいて、当初計画工事日に対する工区毎の進捗度合いを算出して提示する、ものとしてもよい。