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特開2017-33497多層フィルターによる多段階アクション処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-33497(P2017-33497A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】多層フィルターによる多段階アクション処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20170120BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20170120BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20170120BHJP
【FI】
   G06F17/30 340A
   G06F13/00 560A
   G06F3/048 654A
   G06F17/30 110C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-155793(P2015-155793)
(22)【出願日】2015年8月6日
(71)【出願人】
【識別番号】504201925
【氏名又は名称】朝川 哲司
(71)【出願人】
【識別番号】504201936
【氏名又は名称】市山 了一
(72)【発明者】
【氏名】朝川 哲司
(72)【発明者】
【氏名】市山 了一
【テーマコード(参考)】
5B084
5E555
【Fターム(参考)】
5B084AA01
5B084AA17
5B084AA30
5B084AB06
5B084AB11
5B084AB38
5B084AB39
5B084BA04
5B084BB15
5B084CC07
5B084CC15
5B084CE02
5B084CE12
5B084CF12
5B084DB08
5B084DC02
5B084DC03
5B084EA16
5B084EA34
5E555AA23
5E555AA42
5E555BA02
5E555BA04
5E555BA76
5E555BB02
5E555BB04
5E555BC07
5E555BC20
5E555BD06
5E555CB42
5E555CB74
5E555CC04
5E555DB11
5E555DB53
5E555DC18
5E555DD07
5E555DD11
5E555EA04
5E555EA08
5E555EA14
5E555FA02
(57)【要約】
【課題】利用者との間のインタラクティブなアクションの仕組みに基づいたインターネット上での各種オンライン・サービスにおいて、サービス提供者側ではなく、利用者の嗜好に合わせてアクションの処理の結果を提示することで、より利用者本位のサービスの発展と拡大を実現する。
【解決手段】図1は、多段階アクション処理システム全体の処理プロセスの概要を示したものだが、ユーザーは11にて自らフィルターを作成し登録するか、若しくは他のユーザーが作成し、同結果を出力したもので利用可能なものを事前に用意して登録する。フィルターの種類の一つとして、ユーザー側で、コミュニケーションの相手となる他のユーザーが、様々なアクションを享受できるように調整したり、ユーザー自身が様々なアクションを享受できる他のユーザーの人数や規模を調整することができるものも含まれる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介したユーザーとのインタラクティブなアクションを提供するオンライン・サービスにおいて、ユーザーに対して選択可能な複数のフィルターを一覧表示する機能と、ユーザーが任意のフィルターを選択した際に、その選択したフィルターの種類を記憶し、また複数のフィルターを選択した際に、各々のフィルター間の順位付け情報を記憶する機能と、任意のフィルターを新たに受け入れる機能と、ユーザー自身が直接フィルターを独自に改変することを可能にする機能と、種々様々なフィルターの入れ替えや組み換えを可能にする機能と、任意のフィルターを他のユーザーと共有することを可能にする機能と、各種フィルターを他のユーザーと共有又は交換するためのオンライン上のグループを構築する機能と、任意のアクションに各々のタグを付加する機能とタグ若しくは任意の条件が付加されたアクションを登録し、そのアドレスを記憶する機能と、ユーザー自身が直接アクションに様々なタグを付加することを可能にする機能と、ユーザーによって入力された任意のデータを、フィルターを通してパースする機能と、複数のフィルターが混在する場合に、上位に位置するフィルターに対して優先的にフィルタリング処理の指示を与える機能と、複数のフィルター間でのフィルタリングの調整を行う機能と、ユーザーが直接独自に用意したフィルターを最優先させた上で、他のフィルターのフィルタリング処理の結果をオーバーライドすることを認める機能と、フィルタリングの結果情報を任意のアクションに引き渡す機能と、複数のフィルタリング結果を該当する複数のアクションに順序だって引き渡し処理する機能と、フィルターをフィルタリングする機能と、他のユーザーと共有する目的で、種々様々な形で改変及び新規に作成したフィルター及び複数のフィルターによって構成されたフィルター群を、フィルタリング処理で解釈可能な形式で出力し、保存する機能と、任意のフィルターを通じて、ユーザー側から、他のユーザーが、様々なアクションを享受できる範囲を調整することを可能にする機能と、任意のフィルターを通じて、ユーザー側から、様々なアクションを享受できる他のユーザーの人数や規模を調整することを可能にする機能と、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるフィルター機能を提供する多層フィルターによる多段階アクション処理システム(以下、多段階アクション処理システム)。
【請求項2】
請求項1記載の多段階アクション処理システムにおいて、ネットワークを介したユーザーとのインタラクティブなアクションを提供するオンライン・サービスにおいて、ユーザーに対して選択可能な複数のフィルターを一覧表示する機能と、ユーザーが任意のフィルターを選択した際に、その選択したフィルターの種類を記憶し、また複数のフィルターを選択した際に、各々のフィルター間の順位付け情報を記憶する機能と、任意のフィルターを新たに受け入れる機能と、ユーザー自身が直接フィルターを独自に改変することを可能にする機能と、種々様々なフィルターの入れ替えや組み換えを可能にする機能と、任意のフィルターを他のユーザーと共有することを可能にする機能と、各種フィルターを他のユーザーと共有又は交換するためのオンライン上のグループを構築することを可能にする機能と、任意のフィルターを通じて、ユーザー側から、他のユーザーが、様々なアクションを享受できる範囲を調整することを可能にする機能と、任意のフィルターを通じて、ユーザー側から、様々なアクションを享受できる他のユーザーの人数と規模を調整することを可能にする機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の多段階アクション処理システムにおいて、任意のアクションに各々のタグを付加する機能とタグ若しくは任意の条件が付加されたアクションを登録し、その所在地を記憶する機能と、ユーザー自身が直接任意のアクションに対して様々なタグを付加することを可能にする機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項4】
請求項1記載の多段階アクション処理システムにおいて、ユーザーによって入力された任意のデータを、フィルターを通してパースする機能と、複数のフィルターが混在する場合に、上位に位置するフィルターに対して優先的にフィルタリング処理の指示を与える機能と、複数のフィルター間でのフィルタリングの調整を行う機能と、ユーザーが直接独自に用意したフィルターを最優先させた上で、他のフィルターによるフィルタリング処理の結果をオーバーライドすることを認める機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項5】
請求項1記載の多段階アクション処理システムにおいて、フィルタリングの結果情報を任意のアクションに引き渡す機能と、複数のフィルタリング結果を該当する複数のアクションに順序だって引き渡し処理する機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項6】
請求項目1記載の多段階アクション処理システムにおいて、フィルターをフィルタリングする機能と、他のユーザーと共有する目的で、種々様々な形で改変及び新規に作成したフィルター及び複数のフィルターによって構成されたフィルター群を、フィルタリング処理で解釈可能な形式で出力し、保存する機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項7】
請求項1記載の多段階アクション処理システムにおいて、単独のフィルター若しくは複数のフィルター群の構成を、階層化したマトリクス状のインターフェースという形式で任意のコンピュータ端末や携帯電話又はモバイル端末上に表示する機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項8】
請求項1記載の多段階アクション処理システムにおいて、任意のアクションに各々のタグや条件を付加し登録するために、マトリクス状のインターフェースという形式で任意のコンピュータ端末や携帯電話又はモバイル端末上に表示する機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項9】
記載の多段階アクション処理システムにおいて、種々様々な形で改変及び新規に作成したフィルター及び複数のフィルターによって構成されたフィルター群の出力結果を、オンライン・サービス上で共有できる機能を持ち、共有されたフィルターを用いて、保有するフィルター群をフィルタリグできる機能を持ち、そのフィルタリングの結果のフィルター群を、オンライン・サービス上で共有できる機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項10】
記載の多段階アクション処理システムにおいて、任意のフィルターを通じて、ユーザー側から、他のユーザーが、様々なアクションを享受できる範囲を調整することを可能にする機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項11】
記載の多段階アクション処理システムにおいて、任意のフィルターを通じて、ユーザー側から、様々なアクションを享受できる他のユーザーの人数と規模を調整することを可能にする機能を提供する多段階アクション処理システム。
【請求項12】
記載の多段階アクション処理システムにおいて、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるフィルター機能を提供する多段階アクション処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インターネット上での利用者との間で行われるインタラクティブなアクション機能を持つオンライン・サービスの提供において、サービス提供者側が事前に設計した形で、利用者の入力情報の処理を行い、その結果としてのインタラクティブなアクションをそのまま利用者に返すのではなく、入力情報の処理の仕方そのものを、利用者側が自由に選択及び可変できるようにし、そのアクションの結果についても利用者自身の嗜好に、できる限り合わせることを実現し、また利用者側から、コミュニケーションの相手となる他の利用者が、様々なアクションを享受できる範囲を調整できるようにし、利用者側から、様々なアクションを享受できる他の利用者の人数や規模を調整できるようにし、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにすることで、オンライン・サービスを充実させるだけでなく、オンライン・サービスに基づいたビジネス市場全体の成長を促進するためのアクション処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインタラクティブなアクション機能を提供するオンライン・コミュニケーションに関する技術としては、特開2005−310089号公報があるが、同技術は、利用者が入力したデータを処理する際に、その処理過程において利用者が自在に選択及び組み合わせることができる多層構造を持つフィルタリング機能を想定しておらず、あくまでも単独のフィルタリング機能による処理結果としてのアクションを利用者に直接返す仕組みとなっている。また、特開2005−310089号公報は、ユーザー間でのフィルターの共有機能及び共有を促す機能については、明確に言及しておらず、特に各ユーザーが、任意に改変及び新規に作成したフィルター及び複数のフィルターから構成されるフィルター群を、任意の形式で手軽に出力し、オンライン・サービス上のフィルター一覧に、ユーザーの求めに応じて自動的にアップロードし、同一覧に登録することを支援する機能については、想定していない。そして、特開2009−223518号公報は、フィルターを複数の利用者が共有する際に、フィルター自体が相互にフィルタリングされることで、共有結果が可変する仕組みを持つ機能を想定していない。特許公開2011−232792は、複数のフィルター間の調整を行う機能を有する一方で、ユーザー間の一対一の関係を想定したものであり、複数のユーザーが任意に集い、そこで多様なフィルターを共有し合い、またフィルター間の各種調整を行うことができるグループを、ユーザーが自由に構築することを支援する機能を想定していない。特許公開2014−21521は、コミュニケーションの相手となる他のユーザーが享受可能な様々なアクションを、ユーザー側が調整できるようにする機能を想定していない。さらに、特許公開2014−21521は、必ずしも多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにすることを、明確に言及していない。
【0003】
インターネット上での利用者による入力情報に対するフィルタリングに関する既存技術として、特開2004−110774号公報のようなペアレンタルロックに関連したものがあるが、あくまでもエンドユーザーによる入力情報に対するアクション結果としての情報内容の表示を制限することを目的としたものである。
【0004】
特開2005−267647号公報のものは、自然言語入力を分析してその意味情報と自然言語入力自体に基づいて、自然言語入力の一部をスキーマのコマンド・オブジェクトおよびエンティティ・オブジェクトに関連付ける仕組みを持つものであるが、この仕組み自体をエンドユーザーが直接操作及び調整することを想定しておらず、また複数のスキーマ(フィルター)を組み合わせることで、より複雑かつエンドユーザーの嗜好に沿う形でのアクションを返すことを前提としてはいない。
【0005】
特開2004−259189号公報のものは、ソーシャルフィルタリングという仕組みを利用して、エンドユーザーの興味の方向性を予測して、その先にある興味の対象の範囲内にあると考えられる任意の情報を提供する技術であるが、複数のフィルターの組み合わせやフィルターの多層化を想定しておらず、またエンドユーザー自身がフィルタリングの機能を調整することを前提とはしていない。
【0006】
特開2005−534118号公報のものは、広告一覧表示プロバイダーと配布パートナー間で広告一覧表示の内容の峻別のためのフィルターを定義する仕組みを持つものであるが、エンドユーザーは、あくまでも広告一覧表示プロバイダーと配布パートナーによって定義付けされた情報(広告の表示)を受け取る客体に過ぎない。
【0007】
上記に紹介した技術は、そのどれもが開発設計者やサービス提供者側の意図に基づいて入力情報に対するフィルタリング機能を提供するものであり、一般の利用者であるエンドユーザー側がフィルタリング機能を選択及び調整することを前提としていないことが一般的である。そのため、上記のような従来の技術に基づいてインタラクティブなアクション機能を持つ各種オンライン・サービスを提供したとしても、同サービスに基づくビジネス市場の発展と成長には容易に結びつかないことが考えられる。
【特許文献1】特開2005−310089号公報
【特許文献2】特開2004−110774号公報
【特許文献3】特開2005−267647号公報
【特許文献4】特開2004−259189号公報
【特許文献5】特開2005−534118号公報
【特許文献6】特開2009−223518号公報
【特許文献7】特開2011−232792号公報
【特許文献8】特開2014−21521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のインターネット上でのオンライン・サービスにおける利用者との間のインタラクティブなアクションを処理する仕組みとして、そのサービスの提供者側や開発者側が事前に意図して設計したアクションを処理するルールに基づいて、アクションの結果を利用者側に返すため、利用者はその規定されたルールの範囲内でしか処理結果を望むことができず、その結果が必ずしも利用者の嗜好に合うものではなかったとしても、利用者側は我慢を強いられるという状況が発生している。言い換えれば、従来のオンライン・サービスのプログラミングの設計の特徴として、アクションの分岐表現が全てプログラムの開発段階で固定化されてしまっており、それ故にアクションの分岐条件の決定権限を利用者側に与える形にはなっていない。また、利用者側から、コミュニケーションの相手となる他の利用者が、様々なアクションを享受できるように調整する仕組みや、様々なアクションを享受できる他の利用者の人数や規模を、利用者自身が調整できる仕組みを想定していないため、利用者間で迅速かつ円滑に多様なオンライン・サービスを開始し、また享受し合えるようには設計されていない。さらに、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにも設計されていない。
【0009】
また、同ルールは、XML Schema(以下スキーマ)などで定義されていることが多く、スキーマの基本的な機能としては、入力情報に基づいたアクションの処理方法を振り分けるフィルターのような役割をしているが、このフィルターは、サービス提供者側がその構造及び構成を決定しており、フィルターそのものを利用者側が自由に交換したり、複数のフィルターを組み合わせたり、独自に作成したりするなどの柔軟なプログラミングの設計にはなっていない。喩えれば、砂金などの鉱物を河川敷から採取する際に、特定の大きさや特徴を持つ鉱物だけを、事前に用意された単一の固定フィルターを用いてろ過し、取り出す仕組みとなっており、大きさや種類の異なる鉱物を同時にろ過して取り出すことができない仕組みになっていると言えよう。また、多段階のアクションが可能となっているケースがあったとしても、任意の利用者が独自に作成したフィルター又は複数のフィルターを組み合わせたフィルター群を出力し、複数の利用者間で、同出力結果を共有することを想定していない。また、利用者側でコミュニケーションの相手となる他の利用者が、様々なアクションを享受できるように調整するためのフィルターや、利用者自身が様々なアクションを享受できる他の利用者の人数や規模を調整できるフィルターについても想定していない。さらに、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにすることも想定していない。
【0010】
そして、アクション結果の選択権は、あくまでもサービス提供者側にあるため、インタラクティブと言いながらも、利用者側からの入力情報や入力方法についても限定的になってしまう状況が発生している。そのため、定格なアクション処理しか望めないことから、複数のアクションを組み合わせて多段階的な処理を行うことができず、その結果、従来のインタラクティブな仕組みそのものが、利用者とって直ぐに凡庸となってしまい、新規性や興味を失う原因となっており、オンライン・サービス全体の成長の足枷となっている現状がある。また、多段階的なアクションの処理プロセスに、利用者が直接介入することを許可するケースがあったとしても、フィルター及びフィルター群の出力結果を、利用者間で共有することを通じて、初心者であっても誰もが容易に同出力結果を利用できることを前提としない限り、多段階アクションの処理工程に逐次関与することが求められることになり、時間的及び労力的なコストの観点から、大抵の利用者にとって利用し難いサービスになる可能性が高いものと予想される。そして、フィルターをフィルタリングすることを想定していない限り、アクション結果を提示する以前に、同機能を通じて多様なサービスを、利用者の求めに応じて、又は利用者の時間的コストや熟練度に応じて、提供することは、極めて困難を要することが考えられる。また、複数のユーザーが集うグループ構築支援機能を通して、種々様々なフィルターを共有する機能を併せ持たない限り、初心者を含めた幅広いユーザーの要望に応じたフィルターの選択及び複数のフィルターの組み合わせが、ユーザー自身によって生成され、そしてそれらが円滑に市場内で流通するとは考え難い。さらに、多重のフィルタリングを通じた多段階によるアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、またアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにしない限り、表現方法の幅が広がらず、より魅力あるアクション結果としての表現を期待することは、難しいと予測される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明では、サービス提供者側が定義しているフィルターそのものを、利用者側の意志で自由に交換したり、拡張したり、複数組み合わせたり、独自にカスタマイズしたり、利用者自身で作成したり、同作業結果を出力したり、同出力結果を他者と共有したり、フィルターをフィルタリングしたり、グループとしてフィルターを共有したり、フィルターそのものを利用者全体で進化させたり、利用者側で、コミュニケーションの相手となる他の利用者が、様々なアクションを享受できるように調整したり、利用者自身が様々なアクションを享受できる他の利用者の人数や規模を調整したり、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにする多層フィルターの仕組みによる多段階アクション処理システムを提供しようとするものである。
【0012】
本発明の構成要件を説明する。本発明では、多層フィルターによる多段階アクション処理システム(以下、多段階アクション処理システム)は、下記の通りの機能を持つことを特徴とする。ネットワークを介した利用者とのインタラクティブなアクションを提供するオンライン・サービスにおいて、利用者による各種入力情報をパース処理し、インタラクティブなアクションに引き渡すためのスキーマとしての複数のフィルターを備える多段階アクション処理システムを用意する。
【0013】
そして、任意のフィルターを新たに受け入れるだけでなく、利用者自身が直接フィルターを独自に用意することや、改変することを可能とする機能を持つ。例えば、フィルターの種類の一つとして、利用者側から、コミュニケーションの相手となる他の利用者が、様々なアクションを享受できるように調整したり、利用者自身が様々なアクションを享受できる他の利用者の人数や規模を調整したり、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できることを可能にする機能を持つものも含まれる。
【0014】
また、種々様々なフィルターの入れ替えや組み換えを可能にするだけでなく、任意のフィルター及び複数のフィルターを組み合わせたフィルター群を、任意の形式で出力し、その結果を他の利用者と共有することを可能とする機能を持つ。そして、共有の過程において、任意のフィルターをフィルタリングする機能を持つ。
【0015】
前述の過程を経て、多段階アクション処理システムは、利用者に対して選択可能な複数のフィルターを一覧表示し、利用者によって選択されたフィルターの種類を記憶する。同時に、複数のフィルターを選択した場合には、複数のフィルター間の順位付けに関する情報を記憶する機能を持つ。
【0016】
多段階アクション処理システムは、任意のアクションに各々のタグを付加し登録する。タグを付加しない場合には、任意のアクション発動条件を代わりに登録し、その登録情報を記憶する機能を持つ。そして、利用者自身が任意のアクションに直接タグを付加し登録することを可能とする。また、利用者がタグを付加しない場合には、任意のアクション発動条件を代わりに登録することを可能とする機能を持つ。
【0017】
多段階アクション処理システムは、利用者によって入力された任意のデータを、フィルターを通してパース処理する。複数のフィルターが混在する場合に、複数のフィルター間でのフィルタリングの調整を行う。調整に伴い、上位に位置するフィルターに対して優先的にフィルタリング処理の指示を与える機能を持つ。
【0018】
多段階アクション処理システムは、利用者が直接独自に用意したフィルターを最優先させた上で、他のフィルターのフィルタリング処理の結果をオーバーライドすることを認める機能を持つ。
【0019】
多段階アクション処理システムは、フィルタリングの結果に基づいて、事前に付加されたタグを頼りにして、任意のアクションに引き渡す機能を持つ。また、多段階アクション処理システムは、複数のフィルタリング結果を、事前に付加されたタグを拠り所にして、各々の複数のアクションに引き渡し、順序だって処理する機能を持つ。
【0020】
多段階アクション処理システムは、単独のフィルター若しくは複数のフィルター群の構成を、階層化したマトリクス状のインターフェースという形式で任意のコンピュータ端末や携帯電話又はモバイル端末上に表示し、同マトリクス状のインターフェースを通じて、利用者が自由にフィルターの入れ替えや共有及びフィルタリング処理の修正や変更を可能にする機能を持つ。また、フィルターの共有及びフィルタリング処理の修正や変更を可能にする機能は、個々のユーザーの端末上だけに利用可能なものではなく、任意のオンライン・グループ上でも同機能を持つ。さらに、ユーザーが、随時、任意のオンライン・グループを自由に構築することを支援する機能を持つ。
【0021】
多段階アクション処理システムは、任意のアクションに各々のタグや発動条件を付加し登録するために、マトリクス状のインターフェースという形式で任意のコンピュータ端末や携帯電話又はモバイル端末上に表示し、同マトリクス状のインターフェースを通じて、利用者が自由に任意のアクションに対するタグ又は発動条件の付加や修正を可能にする機能を持つ。また、グループとして共有化されたフィルターについても同様に、マトリクス状のインターフェースという形式で任意のコンピュータ端末や携帯電話又はモバイル端末上に表示する機能を持つ。
【0022】
本発明では、本発明はシステム及び装置として実現できるのみならず、そのような発明の一部をソフトウエアとして構成することができることは当然である。
【0023】
なお、本発明は、既存のインターネット上でのインタラクティブなアクション機能を持つオンライン・サービスが抱える課題を克服する方法を示すためのビジネス・モデルとしても本発明の技術的な範囲に含まれることは当然である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、インターネット上のインタラクティブなオンライン・サービスにおいて、利用者が入力した情報を処理する際に、サービス提供側が事前に設計した定式のアクション結果をそのまま返すのではなく、利用者自身が直接書き換えたり、組み替えたりすることが可能な多層フィルターを用意し、利用者の望む最も近い形でアクション結果を自在に処理することを可能にすることで、インタラクティブな機能を持つオンライン・サービスの魅力を大幅に拡大し、サービスの種類や質を向上させるだけでなく、オンライン・サービスに携わるビジネス市場全体の発展を実現することができる。また、多層フィルターの出力結果を、複数の利用者間で共有できるようにすることで、初心者であっても誰もが、同出力結果を借りることで、時間的及び労力的なコストを最小限に抑える形で、手軽にインタラクティブな機能を持つオンライン・サービスに参加できる。そして、アクション結果を自在に提示する以前に、フィルターをフィルタリングする機能を通じて、多様なサービスの展開を実現することで、フィルターの作成管理をすること自体が、利用者にとって魅力あるオンライン・サービスへの積極的な参加の契機になっていくはずである。また、利用者側で、コミュニケーションの相手となる他の利用者が、様々なアクションを享受できるように調整したり、利用者自身が様々なアクションを享受できる他の利用者の人数や規模を調整することができるフィルターも用意することで、他の利用者が一からオンライン・サービスの使い方を学ぶ時間を節約し、誰もがオンライン・サービスに容易に参加できる環境を提供できる。さらに、多重のフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにすることで、ユーザーに対して、オンライン・サービスにおいて、表現の幅を広げる機会を提供することができる。オンライン・サービスの提供側にとって、利用者自身が、新たな利用者数を自発的に増加させていくことで、短期間でのビジネスの拡大と成長が期待できるメリットもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について説明する。ここでは、先ず図1にて本発明の多段階アクション処理システム全体の処理プロセスの概要を説明する。次に、図2にて多段階アクション処理システムにおける入力情報に対する基本的なフィルタリング処理プロセスに関する説明を行う。また、図3にて多段階アクション処理システムにおける利用者によるフィルタリング機能の具体的な処理プロセスに関する説明を行う。そして、図4にて多段階アクション処理システムにおけるフィルター交換までの処理プロセスに関する説明を行う。最後に、図5及び図6にて多段階アクション処理システムにおける複数の利用者によるフィルター共有までの処理プロセスに関する説明を行う。図示によって本発明の特定の構成を選択し、同発明の構成を解説するために以下の実施形態で具体的に説明をしているが、同説明は、請求項に記載された本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0026】
多段階アクション処理システムの利用に関する最良の形態として、同システムは、ソフトウエアという形式でインターネットに接続された任意の複数のサーバー・コンピュータにインストールする方法がある。
【0027】
図1は、多段階アクション処理システム全体の処理プロセスの概要を示したものだが、ユーザーは11にて自らフィルターを作成し登録するか、若しくは他のユーザーが作成し、同結果を出力したもので利用可能なものを事前に用意して登録する。フィルターの種類の一つとして、ユーザー側で、コミュニケーションの相手となる他のユーザーが、様々なアクションを享受できるように調整したり、ユーザー自身が様々なアクションを享受できる他のユーザーの人数や規模を調整することができるものも含まれる。同ユーザーは、12にてインタラクティブなアクション機能を有するオンライン・サービスに任意のデータを入力する。同オンライン・サービスは、13にて同ユーザーに対して、11にて登録済みの利用可能なフィルターを表示する。同ユーザーは、14にて利用可能なフィルターの中から単独若しくは複数を組み合わせて選択する。同時点で、同ユーザーは、必要であれば選択したフィルター若しくは複数のフィルターを組み合わせたフィルター群を、自ら再利用するために、又は他のユーザーと共有するために、任意の形式で保存する。保存されたフィルターは、他のユーザーとの共有過程において、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、相互にフィルタリング処理され、その結果として、同ユーザーが持つフィルターの内容が、可変するものとする。ただし、他のユーザーとのフィルターの共有は、自動的に処理できるものとするが、ユーザー自身による事前の許可の上で行われるものとする。同ユーザーは、15にて任意のアクションとしての出力結果を選択する。利用可能なアクションの形態については、種々様々なものが想定されるが、事前に同ユーザーが用意し、タグ付けによる登録か、若しくはアクション発動条件の登録を行うことができるものとする。12にて入力されたデータを、14にて選択されたフィルター(若しくは複数のフィルターから構成されるフィルター群)を通して、16にてパース処理する。パース処理の結果を一時的に表示し、その結果に同ユーザーが満足しなかった場合に、17にてフィルターの調整を行う。フィルターの調整が全て完了した段階で、18にてインタラクティブなアクションとしての出力結果を表示する。同時点でも、同ユーザーは、必要であれば選択したフィルター若しくは複数のフィルターを組み合わせたフィルター群を、自ら再利用するために、又は他のユーザーと共有するために、任意の形式で保存する。また、同ユーザーが事前に許可する場合には、保存されたフィルターを、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、自動的にフィルタリングする。さらに、ユーザーの希望に応じて、保存されたフィルターを、オンライン上に構築されたグループに登録することで、他のユーザーと共有するだけでなく、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、自動的にフィルタリングする。もし、オンライン上にユーザーが望む形のグループが存在しなかった場合には、ユーザー自身が新しいグループを築くことを支援する。
【0028】
図2は、多段階アクション処理システムにおける入力情報に対する基本的なフィルタリング処理プロセスを示すものである。先ず、21にてユーザーが任意のデータをインタラクティブな機能を有するオンライン・サービス上に入力する。入力されたデータは、22にて多段階アクション処理システムに組み込まれた第一層目のフィルターによってフィルタリング処理が行われる。この段階で入力データの中でパース処理ができた部分については、25に送られる。入力データの中で処理できなかった部分については、23に回され、第二層目のフィルターによってフィルタリング処理が行われる。この段階で入力データの中でパース処理ができた部分については、25に送られる。入力データの中で処理できなかった部分については、24に回され、第三層目のフィルターによってフィルタリング処理が行われる。この段階で入力データの中でパース処理ができた部分については、25に送られる。入力データの中で処理できなかった部分が残った場合、若しくは全く前プロセスまでにパース処理ができず、入力データが全て残った場合は、26にて終了となる。22、23、24にて、それぞれパース処理されたデータは25にて全て集計される。
【0029】
図3は、多段階アクション処理システムにおけるユーザーによるフィルタリング機能の具体的な処理プロセスを示すものである。ここでは説明を簡易にするためフィルター群内のフィルターの数を3個に限定しているが、現実にはユーザーの求めに応じて際限なく拡張できるものとする。各フィルターは、第一層をF1、第二層をF2、第三層をF3とする。また、それぞれのフィルターには入力データをパース処理するための条件が記述されており、説明を容易にするため、ここではX軸とY軸の二元軸からなる平面状のマトリクスの上に、各条件が規則正しく並べられているものとする。それぞれの軸には、区分を示す1、2、3(X軸)とa、b、c(Y軸)の認識記号を振る。ただし、この認識記号は、実際の多段階アクション処理システムでは必ずしも使用するとは限らず、あくまでも本説明のために用いるものとする。本来は、テキスト・データや音声、映像データが入力データの候補となるが、ここでは処理する入力データを、「円」、「三角」、「菱形」とする。先ず、それぞれの入力データをフィルタリング処理する場合、「円」の入力データは、F1フィルターのa/1の区分上に同一の型を持つ穴があるため、この段階で処理されるが、他の「三角」及び「菱形」は、F1フィルター上には、同一の型を持つ穴がないために処理できず、F2フィルターに回される。F2フィルター上では、b/1の区分上に「三角」とマッチングできる穴が開いているため、「三角」の入力データはこの段階で処理される。因みに、F2にも「円」を処理する穴が開いているが、既に「円」はF1フィルターにて処理済みとなっているため、不要となる。F2フィルターでも処理できなかった「菱形」は、F3フィルターに回される。F3フィルターのc/1の区分上に「菱形」と同型の穴が存在しているため、この段階で「菱形」の入力データは処理される。因みに、F3にも「円」及び「三角」の穴が開いているが、既に「円」及び「三角」の入力データは、それぞれ上位のフィルターで処理済のため、不要となる。
【0030】
図4は、多段階アクション処理システムにおけるユーザーによるフィルター交換までの処理プロセスを示すものである。各フィルターは、第一層をF1、第二層をF2、第三層をF3とする。また、それぞれのフィルターには入力データをパース処理するための条件が記述されており、説明を容易にするため、ここではX軸とY軸の二元軸からなる平面状のマトリクスの上に、各条件が規則正しく並べられているものとする。それぞれの軸には、区分を示す1、2、3(X軸)とa、b、c(Y軸)の認識記号を振る。処理する入力データを、「円」、「三角」、「菱形」、「星型」とする。各入力データをフィルタリング処理する際に、図3では「円」の入力データは、F1フィルターのa/1の区分上の穴によって処理されていたが、ここでは新たに別のスキーマを持つフィルターに交換されており、a/3の区分上の穴によって処理される。区分が変われば、当然、パース結果及びその後のアクション結果についても異なったものが期待される。F2のb/1の区分上で「三角」の入力データが、F3のc/1の区分上で「菱形」の入力データが処理されるが、「星型」の入力データについては、この段階まででは処理できないため、新たに第四層としてF4フィルターをフィルター群に加えるものとする。F4のc/3の区分上に「星型」の穴が開いているため、この段階で「星型」の入力データは処理される。
【0031】
図5及び図6は、多段階アクション処理システムにおける複数ユーザーによるフィルター共有までの処理プロセスを示すものである。ここでは第一層(F1)及び第二層(F2)のフィルターは、それぞれ別の集団内で共有利用されているフィルターとする。複数のユーザーから構成される集団内の共有利用の一例として、集団内の各メンバーが持つ個人専用のフィルター上での任意の入力データとそれに対応するアクションとの結びつけに関する情報は、グループ全体で集計され、その統計結果が共有フィルターに反映されるものとする。ここでは、F1フィルターは、グループAに属する複数のユーザーの統計結果を反映したものとし、F2フィルターは、グループBに属する複数のユーザーの統計結果を反映したものとする。また、それぞれのフィルターには入力データをパース処理するための条件が記述されており、説明を容易にするため、ここではX軸とY軸の二元軸からなる平面状のマトリクスの上に、各条件が規則正しく並べられているものとする。それぞれの軸には、区分を示す1、2、3(X軸)とa、b、c(Y軸)の認識記号を振る。処理する入力データを、「円」、「三角」とする。また、時間軸の経過を示す指標の一例として、1月1日とその一ヶ月後の2月1日とするが、この年月日はあくまでも任意の例示であることを事前に断っておく。図5の1月1日時点で、入力データ「円」をF1フィルターでパース処理した場合に、同F1フィルターを共有管理するグループAでは、「円」をF1フィルター上のa/1の区分で処理する傾向が統計上最も高いものとする。図5の1月1日時点で、入力データ「三角」をF2フィルターでパース処理した場合に、同F2フィルターを共有管理するグループBでは、「三角」をF2フィルター上のb/1の区分で処理する傾向が統計上最も高いものとする。その結果として、ユーザーが同F1及びF2を用
い、「円」及び「三角」を入力した場合、a/1及びb/1のアクションが導かれることになる。次に、上記の処理の一ヶ月後となる2月1日に、上記と同じ入力条件である「円」、「三角」を処理した場合に、図6の2月1日時点で、入力データ「円」をF1フィルターでパース処理した場合に、同F1フィルターを共有管理するグループAでは、統計上、「円」をF1フィルター上のa/2の区分で処理する傾向が最も高いものとする。また、図6の2月1日時点で、入力データ「三角」をF2フィルターでパース処理した場合に、同F2フィルターを共有管理するグループBでは、統計上、「三角」をF2フィルター上のc/3の区分で処理する傾向が最も高いものとする。その結果、ユーザーが同F1及びF2を用い、「円」及び「三角」を入力した場合に、a/2及びc/3のアクションが導かれることになる。同じ入力データの条件であっても、共有フィルターをフィルター群の中に組み合わせることで、2月1日時点では、1月1日時点とは異なるアクションの結果を導くことができるようになる。
【実施例】
【0032】
具体的な多段階アクション処理システムによるユーザー側からの入力データの処理の実施例として、ユーザーAは、任意のテキスト・データを、多段階アクション処理システムが導入されているオンライン・サービス上に入力する。ここでは以後の説明を容易にするために、オンライン・サービスの具体例を電子掲示板とするが、これに限定されるわけではなく、Social Network ServiceやWeblog又はMessengerなどにも広く応用できることを事前に断っておく。入力されたデータを、ここでは一例として「昨日は雨でしたが、とても楽しかったです!」とするが、このようなテキスト・データ以外にも音声や映像であっても基本的には構わない。電子掲示板上に入力された同データは、多段階アクション処理システムに渡され、自ら作成するか又は他のユーザーが作成し、同結果を出力したものを借りる形で、ユーザーが事前に任意に選択したフィルター群(多層フィルター)を通じてパース処理され、次に任意のアクションとの関連付けが自動的に行われていく。ここでは、アニメーションのキャラクターの表現を描いたデジタル・データを、任意のアクションの結果として利用するものとする。ユーザーAが選択したフィルター群の一層目(FI)は、人の感情表現に関するフィルタリングを専門に行うものとし、キャラクター・データとの結びつけの処理によって、「楽しかった」という単語を「昨日は雨でしたが、とても楽しかったです!」の文章の中からパース処理し、「嬉しい」というタグを振られたキャラクター・データ(嬉しい表現を表したイラスト)とのマッチングを行うが、他の単語については、どれもマッチングしないものとする。次に、二層目のフィルター(FII)は、強調語を専門にフィルタリングするものとし、「とても」という単語をパース処理し、「驚き」のタグが付けられたキャラクター・データ(驚きの表情を示すイラスト)とマッチングを行うが、その他の単語については、どれもマッチングしないものとする。そして三層目のフィルター(FIII)は、ユーザーAが自由に修正を行える特別なものとし、「!」を意図的に同ユーザーによってパース処理できるようにフィルターを書き換え、「挨拶」のタグが付いたキャラクター・データ(お辞儀をする動作のイラスト)と結びつけるように調整を行う。因みに、フィルターIIIは、フィルター群の階層においてどの位置に配置されていたとしても他のフィルターに対して優先的に処理される権限が与えられる(言い換えれば、フィルター群の最上層に位置するものと見なすことができる)。この三層のフィルターによるマッチングを通じたテキスト・データの入力に対するアクションとして、図7に示すような形で、電子掲示板上の任意の位置に、驚きと嬉しい表情そしてお辞儀をする表現を連続して行うキャラクターが表示される。同時点で、ユーザーAは、必要であれば、上記の表示処理プロセスの一環として選択したフィルター群を、自ら再利用するために、又は他のユーザーと共有するために、任意の形式で保存することができる。また、ユーザーAは、保存したフィルター群を、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、フィルタリングをし、保存したフィルター群に、新たな内容を追加したり特性を持たせたりすることができる。
【0033】
次に、ユーザーAは、天気に関するフィルター(FIV)を提供するサービスを利用して、自らのフィルター群の四層目に加えたとする。同天気フィルターは、「雨」という単語をパース処理し、「悲しい」というタグを持つキャラクター・データ(頭を下げた悲しい表情のイラスト)とのマッチングを行う。同フィルターを加えることで、図8に示すような形で、電子掲示板上には、最初に頭を下げた悲しい表情のキャラクターが最初に表示されることになる。同時点で、ユーザーAは、必要であれば、上記の表示処理プロセスの一環として、改めて選択し直したフィルター群を、自ら再利用するために、又は他のユーザーと共有するために、任意の形式で保存することができる。また、ユーザーAは、保存したフィルター群を、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、フィルタリングをし、保存したフィルター群に、新たな内容を追加したり特性を持たせたりすることができる。
【0034】
上述の天気フィルターの代わりに、フィルター群の四層目に、世界中のユーザーが共有するフィルター(FV)を利用したとする。同フィルターは、「雨」という単語をパース処理する際に、複数のユーザーの個人フィルターの履歴を統計処理した結果として、「怒る」というタグに結びつける割合が最も高くなっているため、「悲しい」というタグを持つキャラクター・データとのマッチングではなく、「怒る」というタグを持ったキャラクター・データ(怒っている表情のイラスト)との組み合わせを選択する。これにより、図9に示すような形で、悲しい表情のキャラクターが表示される代わりに、怒ったキャラクターが電子掲示板上に表示されることになる。例えば、数日後にフィルターVを用いて、同じ「雨」という単語をフィルタリング処理しようとした際に、「雨」を「さわやか」というタグに結びつけるユーザーの割合が統計的に一番多かった場合には、清々しい表情をしたキャラクターが表示されることになる。同時点で、ユーザーAは、必要であれば、上記の表示処理プロセスの一環として、改めて選択し直したフィルター群を、自ら再利用するために、又は他のユーザーと共有するために、任意の形式で保存することができる。また、ユーザーAは、保存したフィルター群を、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、フィルタリングをし、保存したフィルター群に、新たな内容を追加したり特性を持たせたりすることができる。
【0035】
フィルターの組み合わせに関する例として、ユーザーAが、フィルター群の順番を変更し、一層目にフィルターVを配置したとする。フィルターVには、「雨」という単語以外に、「楽しかった」という単語をすくい取り、その関連付けられたタグを「笑い」としていたとする。フィルターIの場合には、「嬉しい」タグと関連付けられていたが、フィルターVの方がフィルター順位として上位に位置するため、優先的に処理され、この場合のアクション結果として、図10に示すような形で、「笑い」タグが付されたキャラクター・データ(口を広げて笑っている表情のイラスト)が表示されることになる。同時点で、ユーザーAは、必要であれば、上記の表示処理プロセスの一環として再調整したフィルター群を、自ら再利用するために、又は他のユーザーと共有するために、任意の形式で保存することができる。また、ユーザーAは、保存したフィルター群を、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、フィルタリングをし、保存したフィルター群に、新たな内容を追加したり特性を持たせたりすることができる。
【0036】
また、例えばフィルターIIIは、どの位置にあったとしてもフィルター群の一番上層にあるものと見なされるため、同フィルターはユーザー個人が全ての入力データとタグの関係を自由に設定でき、二層目以降のフィルターの処理に対して、全てオーバーライドできる形となる。例えば、「雨」という入力データに対して、当初は「悲しい」タグ又は「怒る」タグとのマッチングを、意図的に「癒し」タグに変更した場合に、図11に示すような形で、慈しみの表情をたたえたキャラクターが表示されることになる。
【0037】
図12及び13は、多段階アクション処理システムを通じて、ユーザー側から、コミュニケーションの相手となる他の利用者が、様々なアクションを享受できる範囲を調整する例を示すものである。ここでは、9種類のアニメーションのキャラクターの表情を描いたデジタル・データを、任意のアクションの結果として利用するものとする。そして、その結果を、電子掲示板上で表示できるものとする。ただし、本件が扱うオンライン・サービスが、電子掲示板のみに限定されるわけではないことを、事前に断っておく。これらのデジタル・データの管理についても任意のフィルターを通じて行われ、ここでは、X軸とY軸の二元軸からなる平面状のマトリクスが敷かれたフィルターFIに、これらのキャラクターのデータが、一つずつ規則正しく格納されているとする。実際には、複数のフィルターから成るフィルター群を通じて、アニメーションのキャラクターに限定されず、各種デジタル・データの管理を行えるが、以後の説明を簡易にするため、ここでは一枚のフィルターによる管理とする。それぞれの軸には、区分を示すa、b、c(X軸)と1、2、3(Y軸)の認識記号を振られており、1aのマトリクスに「楽しい」の表情のタグが埋め込まれたキャラクターのデータを収め、1bに「悲しい」、1cに「退屈」、また2aに「驚く」、2bに「憂鬱」、2cに「快適」、さらに3aに「困る」、3bに「怒る」、3cに「お願い」の表情のタグが埋め込まれたキャラクターのデータが収められているものとする。ユーザーAは、これら9種類のキャラクター・データの全ての権利を有し、自由に利用できるものとする。ここでは、ユーザーAが、電子掲示板上に「昨日は、いきなり雨が降り、傘が無く困ってしまい、さらに電車に乗り遅れるハプニングもありましたが、でも、温泉は快適で、とても楽しかったです!次の機会も、よろしくお願いします。」というテキスト・データを入力したものとする。電子掲示板上に入力された同テキスト・データは、多段階アクション処理システムに渡され、ユーザーAが、事前に選択したフィルターを通じてパース処理され、随時、任意のアクションとの関連付けが自動的に行われていくものとする。ユーザーAが選択したフィルターは、人の感情表現に関するフィルタリングを専門に行うものとし、ここでは、キャラクター・データとの結びつけの処理を通じて、「困って」という単語を、同テキスト・データからパース処理し、「困る」というタグが振られたキャラクター・データ(3a)とのマッチングを行うものとする。さらに、「ハプニング」という単語を文章内からパース処理し、「驚く」(2a)というキャラクター・データとのマッチングを行い、同様に、「快適で」と「快適」(2c)、「楽しかった」と「楽しい」(1a)、「お願いします」と「お願い」(3c)とのマッチングを行うものとする。この一連の処理を通じたアクションの結果として、図12に示したように、5種類の表情に変化するキャラクターが、電子掲示板上に表示されるものとする。次に、ユーザーAは、自らが所有する9種類のキャラクター・データの内、フィルターFIに収められた1a、1b、1c、2a、2b、2cの6種類のキャラクター・データを使用する権利を、電子掲示板上のコミュニケーションの相手となるユーザーBに提供するものとする。また、人の感情表現に関するフィルターも合わせてユーザーBに提供するものとする。ここでは、ユーザーAが入力した「昨日は、いきなり雨が降り、傘が無く困ってしまい、さらに電車に乗り遅れるハプニングもありましたが、でも、温泉は快適で、とても楽しかったです!次の機会も、よろしくお願いします。」と全く同じものを、ユーザーBが、電子掲示板に入力した場合、「ハプニング」という単語を、同テキスト・データからパース処理し、「驚く」というタグが振られたキャラクター・データ(2a)とのマッチングが行われる。さらに、「快適で」という単語を文章内からパース処理し、「快適」(2c)というキャラクター・データとのマッチングを行い、同様に、「楽しかった」と「楽しい」(1a)とのマッチングが行われる。この一連の処理を通じたアクションの結果として、ユーザーAと比較した場合、ユーザーBは、フィルターFIに収められた「困る」(3a)、「お願い」(3c)のデータを利用する権利を与えられていないため、図13に示したように、3種類の表情に変化するキャラクターが、電子掲示板上に表示されることになる。
【0038】
図14は、多段階アクション処理システムによる多重なフィルタリングを通じて、多段階のアクション結果を、個々に扱うだけでなく、複数のアクション結果を、同時にあるいは多様に扱えるようにし、さらにはアクション結果の相互関係の条件や法則を指定することで、ユーザーが、より自由にアクション結果を演出できるようにする例を示すものである。ここでは、2種類のアニメーションのキャラクターの表情を描いたデジタル・データと背景としての山の絵を描いたデジタル・データを、任意のアクションをさせる対象として利用するものとする。そして、そのアクションの結果を、電子掲示板上で表示できるものとする。ただし、本件が扱うオンライン・サービスが、電子掲示板のみに限定されるわけではないことを、事前に断っておく。これらのデジタル・データの管理についても任意のフィルターを通じて行われるものとする。入力されたデータを、ここでは一例として「昨日は、それぞれ山登りをしましたが、頂上で合えて、嬉しかったです!」とするが、このようなテキスト・データ以外にも音声や映像であっても基本的には構わない。また、人の感情表現に関するフィルター及びデジタル・データの画面上でのサイズや位置を調整できるフィルターを用意するものとする。ここでは、多重なフィルタリングを通じた多段階のアクション結果を表示及び確認するためのスクリーン画面SIを用意するものとする。さらに、同SIの画面上に、2種類のアニメーションのキャラクターと背景画のデジタル・データを、各々演技及び操作するためのサブ画面として、SSI、SSII、SSIIIを用意するものとする。ユーザーは、人の感情表現に関するフィルターを通じて、上記の入力データの一部である「嬉しかったです」に対応する形で、SSI及びSSII上に表示した2種類のキャラクターのそれぞれに「嬉しい」の感情表現を演じさせ、さらに画面上でのサイズや位置を調整できるフィルターを用いて、これらのキャラクターの画面上の大きさと位置も操作し、ユーザーは、その結果をSSI'及びSSII'の画面上で確認する。また、背景画としての山の絵についても、画面上でのサイズや位置を調整できるフィルターを用いて、山の絵のサイズと位置を変更し、ユーザーはその結果をSSIII'の画面上で確認する。これらの多重なフィルタリングを通じた多段階のアクション結果として、先ずSIの画面上にSSI、SSII、SSIIIのアクション結果を組み合わせたものが表示され、次にSI'上にSSI'、SSII'、SSIII'のアクション結果を組み合わせたものが表示されることになる。
【0039】
以上が基本的な多段階アクション処理システムの実施例であるが、ここでは説明を容易なものとするために、フィルターの数を限定する形を取ったが、実際には、際限なくフィルターの数を増加させることができ、また自由自在に幾層ものフィルターを組み替えて利用することができるものとする。そして、ユーザーの求めに応じて、利用したフィルター群を、ユーザー自らが再利用するために、又は他のユーザーと共有するために、任意の形式で保存したり、保存したフィルター群を、他のユーザーが持つフィルター及びフィルター群との間で、フィルタリングしたりすることができるものとする。
【0040】
上記の例では、入力データをテキスト・データとし、インタラクティブなオンライン・サービスのアクション結果としてキャラクター・データを用いたが、例えば入力データを歌謡曲などの音声データや映画などの映像データ、そしてアクション結果をテキスト・データによる文字メッセージや音声データによるボイス・メッセージなどに入れ替えても構わない。音声データや映像データを分類する情報として、歌謡曲の歌詞のさびの部分や映像データの盛り上がり部分にその状況を説明するタグが事前に埋め込まれていれば、それに応じたフィルタリング処理が行われ、任意の携帯電話やコンピュータ端末、さらにはヘッド・マウント・ディスプレイの画面上に、アクション結果としての任意のテキスト・メッセージやボイス・メッセージを表示することができるものとする。また、必ずしも入力データにタグが付加されていることを必須条件とする必要はなく、音声データの音階や音量をイコライザー等の機器で分析し、その結果をフィルタリング処理するなどのことも本システムの技術想定内に含まれる。例えば、音楽データをイコライザーで測定した際に、ある一定幅の音量に達した際に、任意のアクションを発生させるということが考えられる。また、音量の幅とアクションの関係付けは、ユーザー側がそのためのフィルターを調整することで、自由に変更できるものとする。さらに、インタラクティブなオンライン・サービスのアクション結果としてキャラクター・データは、必ずしも2次元データである必要は全くなく、3次元データ、さらには現実の人物を映した実写画像でも全く構わないものとする。同様に、背景画のデジタル・データについても、2次元データだけでなく、3次元データ、さらには現実の360度の風景を映した実写画像でも構わないものとする。また、キャラクター・データと背景画のデジタル・データとの組み合わせについては、例えば2次元データ同士で統一する必要はなく、2次元キャラクターと3次元背景画との組み合わせ、あるいは360度の風景を映した実写映像との組み合わせなど、異なる次元同士の組み合わせであっても全く構わないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の処理プロセス全体の概要を示す図
図2】本発明の基本的なフィルタリング処理プロセスを示す図
図3】本発明のフィルタリング機能の具体的な処理プロセスを示す図
図4】本発明のユーザーによるフィルター交換までの処理プロセスを示す図
図5】本発明の複数ユーザーによるフィルター共有までの処理プロセスを示す図
図6】本発明の複数ユーザーによるフィルター共有までの処理プロセスを示す図
図7】本発明の具体的な利用例を示す図
図8】本発明の具体的な利用例を示す図
図9】本発明の具体的な利用例を示す図
図10】本発明の具体的な利用例を示す図
図11】本発明の具体的な利用例を示す図
図12】本発明の具体的な利用例を示す図
図13】本発明の具体的な利用例を示す図
図14】本発明の具体的な利用例を示す図
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14