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特開2017-34228磁性粉末及びそれを含むコイル電子部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-34228(P2017-34228A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】磁性粉末及びそれを含むコイル電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/24 20060101AFI20170120BHJP
   H01F 27/255 20060101ALI20170120BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20170120BHJP
【FI】
   H01F1/24
   H01F27/24 D
   H01F17/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-96444(P2016-96444)
(22)【出願日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0108681
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ドン ジン
【テーマコード(参考)】
5E041
5E070
【Fターム(参考)】
5E041AA01
5E041AA11
5E041BC01
5E041BC08
5E041CA02
5E041NN05
5E041NN06
5E070BB03
5E070DA13
(57)【要約】
【課題】本発明は、磁性粉末及びそれを含むコイル電子部品に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、磁性金属粒子と、上記磁性金属粒子の表面に配置され、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1絶縁層と、上記第1絶縁層上に配置され、リン(P)を含む第2絶縁層と、を含む磁性粉末を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性金属粒子と、
前記磁性金属粒子の表面に配置され、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に配置され、リン(P)を含む第2絶縁層と、を含む、磁性粉末。
【請求項2】
前記磁性金属粒子は鉄(Fe)または鉄(Fe)系合金である、請求項1に記載の磁性粉末。
【請求項3】
前記磁性金属粒子と前記第1絶縁層との界面にはFe−Si−Oの結合が存在する、請求項2に記載の磁性粉末。
【請求項4】
前記第1絶縁層の厚さは30nm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁性粉末。
【請求項5】
前記第2絶縁層の厚さは30nm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁性粉末。
【請求項6】
前記磁性金属粒子の粒径は1μm〜100μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁性粉末。
【請求項7】
前記第1絶縁層及び第2絶縁層は互いに異なる比抵抗値を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁性粉末。
【請求項8】
前記磁性金属粒子は、前記第1絶縁層によって完全に取り囲まれ、前記第1絶縁層は前記第2絶縁層によって完全に取り囲まれる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁性粉末。
【請求項9】
前記第2絶縁層は、シリコン(Si)及び酸素(O)をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁性粉末。
【請求項10】
内部にコイル部が配置され、磁性粉末を含む本体と、
前記コイル部と連結される外部電極と、を含み、
前記本体は磁性粉末を含み、
前記磁性粉末は、磁性金属粒子と、前記磁性金属粒子の表面に配置され、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置され、リン(P)を含む第2絶縁層と、を含む、コイル電子部品。
【請求項11】
前記磁性金属粒子は鉄(Fe)または鉄(Fe)系合金である、請求項10に記載のコイル電子部品。
【請求項12】
前記磁性金属粒子と前記第1絶縁層との界面にはFe−Si−Oの結合が存在する、請求項11に記載のコイル電子部品。
【請求項13】
前記第1絶縁層の厚さは30nm以下である、請求項10〜12のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項14】
前記第2絶縁層の厚さは30nm以下である、請求項10〜13のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項15】
前記磁性金属粒子の粒径は1μm〜100μmである、請求項10〜14のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項16】
前記第1絶縁層及び第2絶縁層は互いに異なる比抵抗値を有する、請求項10〜15のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項17】
前記磁性金属粒子は、前記第1絶縁層によって完全に取り囲まれ、前記第1絶縁層は前記第2絶縁層によって完全に取り囲まれる、請求項10〜16のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項18】
前記第2絶縁層は、シリコン(Si)及び酸素(O)をさらに含む、請求項10〜17のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性粉末及びそれを含むコイル電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
受動素子のうちのコイル電子部品は、コイル部と、上記コイル部を取り囲む本体と、を含むことができ、上記本体は磁性体を含むように形成することができる。
【0003】
このとき、本体に含まれる磁性体は磁性粉末の形態で含まれることができ、高周波帯域における渦電流損失を減少させるためには本体に含まれた磁性粉末間の絶縁性が確保される必要がある。
【0004】
また、上記磁性粉末が金属系粉末である場合、飽和磁化値が大きいという長所があるが、可用周波数が高くなると渦電流損失によるコア損失が増加して効率が劣化するという問題があるため絶縁特性の向上はさらに重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−049203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態の目的は、磁性粉末及びそれを含むコイル電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
磁性粉末に含まれた粒子間の絶縁性を向上するために、本発明の一実施形態による磁性粉末は、磁性金属粒子と、上記磁性金属粒子上に配置される絶縁層と、を含み、上記絶縁層は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1絶縁層と、リン(P)を含む第2絶縁層と、を含んで少なくとも2層で構成される。
【0008】
本発明の一実施形態によると、上記第2ガラスの軟化点は上記第1ガラスの軟化点より低くてよい。
【0009】
また、本発明の他の実施形態によると、上記磁性粉末の製造方法及び上記磁性粉末を含むコイル電子部品を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によると、絶縁特性が改善された磁性粉末及びその製造方法を提供することができる。
【0011】
また、上記磁性粉末を適用することにより、高周波帯域で動作可能で、渦電流損失を減少させたコイル電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による磁性粉末の一粒子を示す一部の切断斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による磁性粉末の製造方法を示す順序図である。
図3】本発明の一実施形態のコイル電子部品において内部に配置されたコイル部が現れるように示す概略斜視図である。
図4図3に示されたA−A'線に沿った断面図である。
図5】本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
磁性粉末及びその製造方法
図1は本発明の一実施形態による磁性粉末の一粒子を示す一部の切断斜視図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による磁性粉末10は、金属粒子1と、上記金属粒子1上に配置された絶縁層2、3と、を含み、上記絶縁層は、第1絶縁層2及び第2絶縁層3を含んで少なくとも2層で構成される。
【0016】
本発明の一実施形態によると、上記磁性粉末10は、コイル電子部品に用いられることができ、これに制限されないが、例えば、インダクタ、ビーズ、フィルターなどに用いられることができる。
【0017】
上記金属粒子1は、磁性特性を有する粒子であれば特に制限されない。
【0018】
金属粒子で磁性粉末を形成する場合、飽和磁束密度が高く、高電流でもL値が低下するのを防止することができる。
【0019】
例えば、上記金属粒子1は、鉄(Fe)系合金からなる群より選択された一つ以上の材料を含むことができる。金属粒子1が鉄(Fe)系合金で形成される場合、高い飽和磁化密度を有することができる。上記鉄(Fe)系合金は非晶質合金またはナノ結晶合金であることができる。
【0020】
鉄(Fe)系合金は、鉄(Fe)に鉄(Fe)と異なる合金元素を一つ以上添加して得られたもので、金属の性質を有するものである。上記合金元素は、電気抵抗を高めるものであれば特に制限されない。また、上記合金元素は、透磁率を改善し、高周波数で用いることができるように比抵抗を向上させることができる元素であれば特に制限されず、例えば、リン(P)、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)及びモリブデン(Mo)のうちのいずれか一つ以上を含むことができる。
【0021】
上記鉄(Fe)系合金は、例えば、Fe−Si−B系非晶質またはFe−Si−B系ナノ結晶合金であることができるが、これに制限されない。
【0022】
上記鉄(Fe)系合金が非晶質またはナノ結晶合金で形成される場合、金属粒子の比抵抗が増加して電子部品への適用時に高周波帯域における使用が容易である。
【0023】
上記金属粒子1の粒径は、1μm〜100μmであってよいが、これに制限されない。絶縁層については後述するが、本発明の一実施形態によると、磁性粉末が2層以上の絶縁層を含んで金属粒子1が1μm〜100μm水準の小さい粒径を有しても絶縁特性を実現することができる。
【0024】
本発明の一実施形態によると、上記金属粒子1の表面には第1絶縁層2が配置され、上記第1絶縁層上には第2絶縁層3が配置される。本発明の一実施形態によると、金属粒子1は第1絶縁層2によって完全に取り囲まれ、上記第1絶縁層2は第2絶縁層3によって完全に取り囲まれることができる。
【0025】
上記第1絶縁層2はシリコン(Si)及び酸素(O)を含み、上記第2絶縁層3はリン(P)を含む。本発明の一実施形態によると、第1絶縁層は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含むため金属粒子との結合力が高い。また、第2絶縁層はリン(P)を含むことにより、上記第1絶縁層に含まれたシリコン(Si)とリン(P)の組み合わせによって絶縁性をさらに確保することができる。
【0026】
また、本発明の一実施形態によると、第1及び第2絶縁層に含まれたシリコン(Si)とリン(P)の組み合わせによって絶縁層の厚さを厚くしなくても絶縁性を確保することができる。
【0027】
例えば、本発明の一実施形態によると、第1絶縁層2及び第2絶縁層3のそれぞれの厚さは30nm以下で形成されることができ、この場合、磁性粉末の絶縁抵抗は1011Ω以上であることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、上記第1絶縁層2及び第2絶縁層3はガラスで形成されることができる。例えば、上記第1絶縁層2は第1ガラスを含み、上記第2絶縁層3は第2ガラスを含み、上記第1ガラスと第2ガラスは互いに区分される物質で形成されることができる。上記第1及び第2絶縁層がガラスで形成される場合、上記第1ガラスはシリコン(Si)及び酸素(O)を含み、上記第2ガラスはシリコン(Si)及び酸素(O)に加えてリン(P)を含むことができる。
【0029】
一方、本発明の一実施形態によると、上記第1絶縁層2及び上記第2絶縁層3は互いに異なる比抵抗値を有することができる。
【0030】
上述の通り、第1絶縁層2及び第2絶縁層3が互いに異なる比抵抗値を有する物質で形成される場合、磁性粉末の比抵抗を容易に調節することができるという長所がある。
【0031】
図2は本発明の一実施形態による磁性粉末の製造方法を示す順序図である。
【0032】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による磁性粉末の製造方法は、金属粒子を設ける段階S1と、上記金属粒子の表面に第1絶縁層を形成する段階S2と、上記第1絶縁層上に第2絶縁層を形成する段階S3と、を含む。
【0033】
上記第1及び第2絶縁層の形成は、スプレー工法やディッピング工法などを用いることができるが、これに制限されない。
【0034】
また、上記第1及び第2絶縁層がガラス(glass)で形成される場合、上記第1及び第2絶縁層は乾式コーティング装置を用いて行われることができるが、これに制限されない。
【0035】
例えば、乾式コーティング装置は、チャンバーと、チャンバー内に配置され、シャフトを軸に高速回転する摩擦部及びブレードと、を含み、チャンバー内に金属粒子粉末とガラス粉末が投入される場合、高速回転による粉末間の摩擦熱によってガラス粉末が軟化し、金属粒子の表面に吸着して絶縁層を形成することができる。
【0036】
例えば、上記第1絶縁層を形成する段階は、第1ガラスで構成される第1ガラス粉末を機械的摩擦によって発生する熱で軟化した後、軟化した第1ガラスが金属粒子の表面にコーティングされるようにして行われることができる。
【0037】
また、例えば、上記第2絶縁層を形成する段階は、第2ガラスで構成される第2ガラス粉末を機械的摩擦によって発生する熱で軟化した後、軟化した第2ガラスが金属粒子の第1絶縁層上にコーティングされるようにして行われることができる。
【0038】
その他、磁性粉末の製造方法に関する説明のうち上述の本発明の一実施形態による磁性粉末の特徴と同一の部分に対しては説明の重複を避けるためにここでは省略する。
【0039】
コイル電子部品及びその製造方法
図3は本発明の一実施形態のコイル電子部品において内部に配置されたコイル部が現れるように示す概略斜視図であり、図4図3に示されたA−A'線に沿った断面図である。
【0040】
図3及び図4を参照すると、コイル電子部品の一例として、電源供給回路の電源ラインに用いられるインダクタが開示されるが、本発明の一実施形態によるコイル電子部品は、インダクタの他にも、ビーズ(beads)やフィルター(filter)などとして適切に応用されることができる。
【0041】
また、インダクタの一例として、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、これに制限されず、本発明の一実施形態によるコイル電子部品は、積層型インダクタ、巻線型インダクタに適切に適用されることができる。
【0042】
上記コイル電子部品100は本体50及び外部電極80を含み、上記本体50はコイル部40を含む。
【0043】
上記本体50はほぼ六面体形状であってよく、図3に示されたL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向、厚さ方向を示す。
【0044】
上記本体50は、厚さ方向に対向する第1面及び第2面、長さ方向に対向する第3面及び第4面、及び幅方向に対向する第5面及び第6面を含むことができるが、これに制限されない。また、上記本体50は、長さ方向の長さが幅方向の長さより長い長方体形状を有することができるが、これに制限されない。
【0045】
本体50は、コイル電子部品100の外観を成し、上述の本発明の一実施形態による磁性粉末を含む。
【0046】
上記磁性粉末は、金属粒子と、上記金属粒子の表面に配置され、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1絶縁層と、上記第1絶縁層上に配置され、リン(P)を含む第2絶縁層と、を含む。
【0047】
その他、本体に含まれる磁性粉末に関する説明のうち上述の本発明の一実施形態による磁性粉末の特徴と同一の部分に対しては説明の重複を避けるためにここでは省略する。
【0048】
上記磁性粉末は、エポキシ(epoxy)樹脂またはポリイミド(polyimide)などの高分子上に分散されて上記本体50に含まれることができる。
【0049】
図3及び図4に示されているように、上記本体50の内部にはコイル部40が配置されることができる。上記コイル部40は、基材層20と、上記基材層20の少なくとも一面に配置されるコイルパターン41、42と、を含むことができる。
【0050】
上記基材層20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、フェライトまたは金属系軟磁性材料などを含むことができる。
【0051】
上記基材層20の中央部には貫通孔が形成されることができ、上記貫通孔は本体50に含まれた磁性粉末で充填されてコア部55を形成することができる。上記貫通孔に磁性粉末を充填してコア部55を形成することにより、インダクタのインダクタンス(L)を向上させることができる。
【0052】
上記基材層20の一面にはコイル形状を有する第1コイルパターン41が形成されることができ、上記基材層20の一面と対向する上記基材層20の他面にはコイル形状の第2コイルパターン42が形成されることができる。
【0053】
上記コイルパターン41、42はスパイラル(spiral)状に形成されることができ、上記基材層20の一面と他面にそれぞれ形成される第1及び第2コイルパターン41、42は上記基材層20に形成されるビア電極(図示せず)を通じて電気的に接続されることができる。
【0054】
また、これに制限されるものではないが、上記基材層20の一面に配置される第1コイルパターン41の一端部は本体50の長さ方向の一面に露出することができ、基材層20の他面に配置される第2コイルパターン42の一端部は本体50の長さ方向の他面に露出することができる。
【0055】
上記本体50の外部面には上記コイルパターン41、42の露出した端部と接続されるように外部電極80が形成されることができる。上記コイルパターン41、42の露出した端部が本体50の長さ方向の両面に露出する場合、上記外部電極は上記本体の長さ方向の両面に配置されることができる。
【0056】
上記コイルパターン41、42、ビア電極(図示せず)、及び外部電極80は、電気伝導性に優れた金属で形成されることができ、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)またはこれらの合金などで形成されることができる。上記コイルパターン41、42、ビア電極(図示せず)、及び外部電極80は、互いに同一であるか、または異なる材料で形成されることができる。
【0057】
本発明の一実施形態によると、上記コイルパターン41、42は絶縁層30でカバーされることができる。絶縁層30は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布工程などの公知の方法で形成することができる。コイルパターン41、42は、絶縁層30でカバーされるため本体50に含まれた磁性材料と直接接触しなくてよい。
【0058】
図5は本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を示す流れ図である。
【0059】
図5を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法は、基材層の少なくとも一面にコイルパターンを形成してコイル部を設ける段階S4と、上記コイル部の上側及び下側に磁性体を積層し圧着して本体を形成する段階S5と、を含む。
【0060】
一方、本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法は、本体を形成する段階の後、上記本体の外面に外部電極を形成する段階S6をさらに含むことができる。
【0061】
上記コイル部を形成する段階S4は、基材層20上にコイルパターン形成用開口部を有するめっきレジストを形成する段階を含むことができる。上記めっきレジストは、通常の感光性レジストフィルムとしてドライフィルムレジストなどを用いることができるが、特にこれに限定されない。
【0062】
コイルパターン形成用開口部に電気めっきなどの工程を適用して電気伝導性金属を充填することにより、コイルパターン41、42を形成することができる。
【0063】
上記コイルパターン41、42は、電気伝導性に優れた金属で形成することができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)またはこれらの合金などで形成することができる。
【0064】
コイルパターン41、42の形成後に化学エッチングなどの工程を適用してめっきレジストを除去すると、基材層20上にコイルパターン41、42が形成されたコイル部40を形成することができる。
【0065】
上記基材層20の一部には孔を形成し、伝導性物質を充填してビア電極(図示せず)を形成することができ、上記ビア電極を通じて基材層20の一面と他面に形成されるコイルパターン41、42を電気的に接続させることができる。
【0066】
上記基材層20の中央部には、ドリル、レーザー、サンドブラスト、パンチング加工などを行って基材層を貫通する孔を形成することができる。
【0067】
選択的に、コイルパターン41、42を形成した後、上記コイルパターン41、42をカバーする絶縁層30を形成することができる。上記絶縁層30は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(photo resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布工程などの公知の方法で形成することができるが、これに制限されない。
【0068】
続いて、コイルパターン41、42が形成された基材層20の上側及び下側に磁性体を配置して本体50を形成する。
【0069】
上記磁性体は、磁性体層の形態で上記基材層の上側及び下側に配置されることができる。上記磁性体層は、複数の層で基材層の上側及び下側に配置されることができ、または基材層の上側及び下側にそれぞれ単一の層で配置されることができる。
【0070】
磁性体層をコイルパターン41、42が形成された基材層20の両面に積層し、ラミネート法または静水圧プレス法を通じて圧着して本体50を形成することができる。このとき、上記孔が磁性体で充填されるようにすることによりコア部55を形成することができる。
【0071】
このとき、上記磁性体層はコイル電子部品用磁性体ペースト組成物を含んで形成されることができ、上記コイル電子部品用磁性体ペースト組成物は上述の本発明の一実施形態による磁性粉末を含む。
【0072】
本発明の一実施形態のコイル電子部品の製造方法に関する説明のうち上述のコイル電子部品に含まれる磁性粉末に関する説明は同一に適用されることができるため、説明の重複を避けるために詳細な説明は以下省略する。
【0073】
次いで、上記本体50の少なくとも一面に露出するコイルパターン41、42の端部と接続されるように外部電極80を形成することができる。
【0074】
上記外部電極80は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを用いて形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)または銀(Ag)などの単独、またはこれらの合金などを含む伝導性ペーストであってよい。外部電極80を形成する方法は、外部電極80の形状によってプリンティング法だけでなく、ディッピング(dipping)法などを行って形成することができる。
【0075】
その他、上述の本発明の一実施形態によるコイル電子部品の特徴と同一の部分に対しては説明の重複を避けるためにここでは省略する。
【0076】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0077】
1 金属粒子
2 第1絶縁層
3 第2絶縁層
10 磁性粉末
100 コイル電子部品
20 基材層
40 コイル部
41、42 第1及び第2コイルパターン
50 本体
55 コア部
80 外部電極
図1
図2
図3
図4
図5