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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-34783(P2017-34783A)
(43)【公開日】2017年2月9日
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/00 20160101AFI20170120BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20170120BHJP
   B60L 9/00 20060101ALI20170120BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
   B60L5/00 B
   B60L9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-150409(P2015-150409)
(22)【出願日】2015年7月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】山中 悠司
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 守
(72)【発明者】
【氏名】守屋 英朗
【テーマコード(参考)】
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5H105BA02
5H105BB07
5H105CC02
5H105CC19
5H105DD10
5H125AA11
5H125AC04
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】小型化を図りながら必要となる電力を得ることができ、しかも移動体の移動時の給電電力の変動を抑制することができる非接触給電装置を提供する。
【解決手段】移動体の移動経路に沿って設けられる1次給電線31と、1次給電線31に対して非接触で磁気的に結合され、移動体と共に移動するコア32と、コア32に巻回される2次巻線33と、コア先端間に形成されるギャップG1に配置される磁性体71とを備えている非接触給電装置において、コア32は、コア先端に互いに接近する方向へ延びる延出部3211d,3211eを備え、延出部には移動体の移動方向及び接近する方向に直交する方向に所定幅を有する一対の端面を有し、一対の端面間に配置される磁性体71の移動方向及び接近する方向に直交する方向の寸法と端面の幅方向の寸法とを異ならせている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動経路に沿って設けられる1次給電線と、該1次給電線に対して非接触で磁気的に結合され、前記移動体と共に移動する断面視コ字状のコアと、該コアに巻回される2次巻線と、前記コア先端間に形成されるギャップに配置される磁性体とを備えている非接触給電装置において、
前記コアは、該コア先端に互いに接近する方向へ延びる延出部を備え、前記延出部には前記移動体の移動方向及び前記接近する方向に直交する方向に所定幅を有する一対の端面を有し、該一対の端面間に配置される前記磁性体の前記移動方向及び前記接近する方向に直交する方向の寸法と前記端面の幅方向の寸法とを異ならせていることを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
前記磁性体は、移動経路に沿って間隔を置いて複数配置されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触給電装置。
【請求項3】
前記複数の磁性体は、移動経路方向で隣り合う磁性体同士の隙間が前記コアの全長よりも小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動経路に沿って設けられる1次給電線からの電力を移動体に非接触で供給するための非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、倉庫や工場等において、移動体に搬送物を積み込み、搬送物を積み込んだ移動体を案内レール等の移動経路に沿って移動させることによって、搬送物を所定位置まで搬送する搬送システムが広く利用されている。このような移動体には、走行用のモータが搭載されていて、このモータを駆動させることによって、移動体を移動させる。そして、モータへ給電する装置として非接触で給電する非接触給電装置が用いられている。この非接触給電装置は、上記のように、移動体の移動経路に沿って設けられる1次給電線からの電力を移動体に給電トランスを介して非接触で供給する。これによって、移動体を移動経路に沿って移動させることができる。
【0003】
そして、前記給電トランスは、1次給電線に対して非接触で磁気的に結合され、移動体と共に移動するコアと、コアに巻回される2次巻線とを備えている。前記コアは、3つの脚を有するE字状に構成されている。これら3つの脚のうちの中央の脚に2次巻線が巻回され、一方の外側の脚と中央の脚との間のギャップに、往きと戻りの2本の1次給電線のうちの一方の1次給電線を支持する支持部を配置し、他方の外側の脚と中央の脚との間のギャップに、残る他方の1次給電線を支持する支持部を配置して、移動体と共に給電トランスが1次給電線に沿って移動できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−259419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、脚と脚との間に大きなギャップがあるため、そのギャップによる磁気抵抗が大きくなり、給電トランスによる変換効率を向上させることができない。このため、必要となる電力を得ようとすると、給電トランスを大型化するしかなく、非接触給電装置が大型化してしまう不都合があった。また、このような非接触給電装置においては、移動体の移動時に給電電力が変動することがあり、この給電電力の変動を抑制することが望まれている。
【0006】
そこで本発明は、小型化を図りながら必要となる電力を得ることができ、しかも移動体の移動時の給電電力の変動を抑制することができる非接触給電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非接触給電装置は、移動体の移動経路に沿って設けられる1次給電線と、該1次給電線に対して非接触で磁気的に結合され、前記移動体と共に移動する断面視コ字状のコアと、該コアに巻回される2次巻線と、前記コア先端間に形成されるギャップに配置される磁性体とを備えている非接触給電装置において、前記コアは、該コア先端に互いに接近する方向へ延びる延出部を備え、前記延出部には前記移動体の移動方向及び前記接近する方向に直交する方向に所定幅を有する一対の端面を有し、該一対の端面間に配置される前記磁性体の前記移動方向及び前記接近する方向に直交する方向の寸法と前記端面の幅方向の寸法とを異ならせていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、コア先端に備えた延出部の端面間に形成されるギャップに磁性体を配置することによって、ギャップを小さくすることができる。これによって、磁気抵抗を小さくすることができるので、コアの小型化を図りながら必要となる電力を得ることができる。また、一対の端面間に配置される磁性体の前記移動方向及び前記接近する方向に直交する方向の寸法と前記端面の幅方向の寸法とを異ならせることによって、移動体が移動中に例えば上下動した場合に、水平方向において磁性体と端面とが重なっている重なり部分の面積が変動することを抑制することができる。これによって、磁気抵抗を安定化できるため、移動体の移動時の給電電力の変動を抑制することができる。
【0009】
また、本発明の非接触給電装置は、前記磁性体が、移動経路に沿って間隔を置いて複数配置されていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、磁性体を、移動経路に沿って間隔を置いて複数配置しておけば、磁性体を移動経路に沿って隙間なく連続して設ける場合に比べて、コスト面において有利になる。
【0011】
また、本発明の非接触給電装置は、前記複数の磁性体を、移動経路方向で隣り合う磁性体同士の隙間が前記コアの全長よりも小さくなるように配置していてもよい。
【0012】
上記構成によれば、複数の磁性体を、移動経路方向で隣り合う磁性体同士の隙間がコアの全長よりも小さくなるように配置しておけば、給電トランスの磁気抵抗値を所定範囲内に常に維持することができ、給電電力の変動が少なくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コア先端に備えた延出部の端面間に形成されるギャップに磁性体を配置し、しかも一対の端面間に配置される磁性体の移動方向及び接近する方向に直交する方向の寸法と端面の幅方向の寸法とを異ならせることによって、小型化を図りながら必要となる電力を得ることができ、しかも移動体の移動時の給電電力の変動を抑制することができる非接触給電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態の非接触給電装置の斜視図である。
図2】同非接触給電装置の側面図である。
図3】(a)は同非接触給電装置の平面図、(b)は同非接触給電装置の底面図である。
図4図3におけるA−A線断面図である。
図5】磁性体の第二実施形態を示す断面図である。
図6】磁性体の第三実施形態を示す断面図である。
図7】磁性体を間欠的に配置した他の形態を示す非接触給電装置の斜視図である。
図8図7で示した非接触給電装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第一実施形態>
図1図3に、本発明の非接触給電装置10を示している。この非接触給電装置10は、移動体20(図2のみ図示)の移動経路Sに沿って設けられる1次給電線31と、1次給電線31に対して非接触で磁気的に結合され、移動体20と共に移動するコア32と、コア32に巻回される2次巻線33とを備えている。前記コア32と、前記2次巻線33とからなるピックアップコイルが、1次給電線31と対向して給電トランス30を構成している。そして、移動する移動体20の位置に応じて対向している1次給電線31から前記ピックアップコイルを介して非接触で電力伝送することができる。移動経路Sの長さは、図に示すものに限らず、自由に変更できる。
【0016】
非接触給電装置10は、図2に示すように、減圧(真空)容器40内に収容され、その減圧容器40内を移動体20が移動する。図の41が、減圧容器40の底板部であり、幅方向中央部に一段低くなった溝41Mが移動方向全域に亘って形成されている。溝41Mは、平坦な底面と底面の幅方向両端から上方に延びる縦壁面とによって構成されている。この移動体20は、給電トランス30の上端に取り付けられた板部材(ベース)Hに取り付けられており、移動体20と共に給電トランス30が移動する構成になっている。移動体20は、2次巻線33からの電力により駆動されるモータ(図示せず)を備えている。このモータの駆動により移動体20が給電トランス30と共に移動する。尚、移動体20に、図示していないロボットアームを備えておけば、ロボットアームが基板等を掴んで所定位置まで搬送することができる。2次巻線33の材料としては、例えばアルミニウムやその他の金属から構成することができる。
【0017】
1次給電線31は、導電材料(例えばアルミニウム)からなり、断面が角型(丸型でもよい)に構成され、往きと戻りの第1電線311と第2電線312とを備えている。これら第1電線311と第2電線312とは、略並行になるように配置されている。第1電線311は、3本の電線311a,311b,311cを備え、それら電線311a,311b,311cを導電性材料からなる接続部材50を介して接続して構成されている。3本の電線311a,311b,311cのうちの移動経路方向中間に位置する電線311bが最も短い寸法になっており、残る両側の電線311a,311cが同一長さになっている。また、第2電線312も、第1電線311と同様に、3本の電線312a,312b,312cを備え、それら電線312a,312b,312cを前記と同一構成の接続部材50を介して接続して構成されている。3本の電線312a,312b,312cのうちの移動経路方向中間に位置する電線312bが最も短い寸法になっており、残る両側の電線312a,312cが同一長さになっている。
【0018】
各接続部材50は、左右一対の逆L字状の部材51,52からなり、図2において、例えば右から2番目の接続部材50の左側の部材51の上端に中間に位置する短い電線311bの一端部(図2では右端部)を載置してビス止めし、右から2番目の接続部材50の右側の部材52に右端に位置する電線311aの一端部(図2では左端部)を載置してビス止めして、2本の電線311b,311aの一端部を2つの部材51,52にそれぞれ固定する。続いて部材51,52の間に、導電材料からなる丸棒(角棒でもよい)60の上端部を挟み込む。この状態で2つの部材51,52と丸棒60とをビス止めすることによって、2本の電線311b,311aを接続部材50及び丸棒60を介して接続することができる。
【0019】
丸棒60は、1次給電線31に対して直下方に延びて減圧(真空)容器40の底板部41を貫通して容器外へ露出した状態となり、これら丸棒60の露出した部分が1次給電線31で発生する熱を外部へ放出するための放熱部を構成している。特に、減圧容器40内では、1次給電線31の放熱能力が著しく低下するため、多数の放熱用の丸棒60を設けることで、1次給電線31の径を小さくすることができ、非接触給電装置10の小型化を促進することができる。また、多数の丸棒60のうちの2本の丸棒60,60が外部に設置されている高周波電源(図示せず)に電線(図示せず)を介して接続されて、高周波電源から1次給電線31に電力が供給される。尚、丸棒60が貫通する底板部41の貫通孔には、丸棒60との隙間を塞ぐためのシール材(図示せず)が設けられている。
【0020】
コア32は、フェライトコアを積層してなる一対のコア321,322から構成されている。また、コア321(322も同様である)は、図4に示すように、2つのギャップG1,G2が下方を向いた状態でE字状のコア3211に構成されている。具体的には、コア3211は、天板3211aと、天板3211aの左右端から下方に垂下する左右一対の脚3211b,3212cと、天板3211aの左右方向中央から下方に垂下する中央脚3211cとを備えている。また、E字状のコア3211は、板部材(ベース)Hに支持部K,Kを介して取り付けられている。また、左側(一方)の脚3211bの先端部及び中央脚3211cの先端部並びに右側(他方)の脚3212cの先端部には、互いに接近する方向へ延びる延出部3211d,3211e又は3212d,3212eを備えている。ここでは、延出部3211d,3211e又は3212d,3212eが、上下方向のどの位置においても内側へ延びる量が同一にされており、延出側の端面が扁平な垂直面に形成されている。これら端面は、移動体20の移動方向及び前記先端部が接近する方向のいずれにも直交する方向(ここでは高さ方向)に異なる幅(高さ)を有している。つまり、中央脚3211cの延出部3211e,3212dの端面の幅(高さ)h2’が、左右の脚3211d,3212cの延出部3211d,3212eの端面の幅(高さ)h2よりも小さく(低く)なっているが、同一幅(高さ)であってもよい。これら異なる幅(高さ)は、磁路を形成する上で問題にならない程度であれば、どのように設定してもよい。また、これら端面の外形は、矩形状に構成する他、円形や楕円形に構成することができる。また、左側の脚3211bの延出部3211dの突出量が、これに対向する中央脚3211cの左側の延出部3211eの突出量よりも小さくなっているが、同一であってもよい。また、中央脚3212cの右側の延出部3212dの突出量が、右側の脚3212cの延出部3212eの突出量よりも大きくなっているが、同一であってもよい。このように、延出部3211d,3211e又は3212d,3212eを備えることによって、左側(一方)の脚3211bの先端部と中央脚3211cの先端部とのギャップG1及び中央脚3211cの先端部と右側(他方)の脚3212cの先端部との間のギャップG2を小さくすることができ、その分、磁気抵抗を小さくできる。このギャップG1,G2の大きさは、接続部材50及び丸棒60が通過できる大きさにすることになる。
【0021】
また、左側の脚3211bの延出部3211dの端面とこれに対向する中央脚3211cの延出部3211eの端面との間のギャップG1に、第1磁性体71を配置して、2つの延出部3211d,3211eの間のギャップG1を更に小さくすることで、磁気抵抗を可及的に小さくすることができる。この第1磁性体71は、底板部41に設置されている第1支持体81の上端に固定されている。また、中央脚3211cの延出部3212dの端面とこれに対向する右側の脚3212cの延出部3212eの端面との間のギャップG2に、第1磁性体71と同一高さの第2磁性体72を配置して、2つの延出部3212d,3212eの間のギャップG2を更に小さくすることで、磁気抵抗を可及的に小さくすることができる。この第2磁性体72は、底板部41に設置されている第2支持体82の上端に固定されている。尚、第1支持体81及び第2支持体82の材料としては、ステンレスやその他の金属の他、ポリイミド樹脂等の非磁性材料を用いることができる。また、第1支持体81及び第2支持体82の下端部の幅方向外側端面を、底板部41の溝41Mを構成する幅方向両側に位置する縦壁面に当接させることによって、第1支持体81及び第2支持体82の底板部41の幅方向における位置決めを行っている。
【0022】
2つの磁性体71又は72の高さ方向の寸法(移動体20の移動方向及び前記先端部が接近する方向に直交する方向の寸法)は、端面を構成する延出部3211d,3211e又は3212d,3212eの高さ方向(幅方向)の寸法よりも短くしている。具体的には、図4の拡大図に示すように、第1磁性体71の高さをh1とし、脚3211bの延出部3211dの高さをh2とすると、h1<h2の関係にしている。尚、第2磁性体72も第1磁性体71と同様であるため、第1磁性体71のみを説明する。そして、脚3211bの延出部3211dの高さ方向中央部に第1磁性体71の高さ方向中央部が位置するように第1磁性体71を配置している。このように第1磁性体71を(第2磁性体も同様に)配置することによって、次の効果を奏する。図4の拡大図に示すように、左側の脚3211bの延出部3211dの上端から第1磁性体71の上端までの間の距離をh3とし、左側の脚3211bの延出部3211dの下端から第1磁性体71の下端までの間の距離をh4(h3=h4)とした場合に、例えば移動体20の移動中に移動体20が上側に距離h3(又はh4)を越える上昇をしない限り、第1磁性体71と左側の脚3211bの延出部3211dとが水平方向で重なり合っている面積が変化する(減少する)ことがない。また、例えば移動体20の移動中に移動体20が下側に距離h3(又はh4)を越える下降をしない限り、第1磁性体71と左側の脚3211bの延出部3211dとが水平方向で重なり合っている面積が変化する(減少する)ことがない。従って、移動体20の移動中に移動体20が上下動しても、距離h3(又はh4)を越える上昇又は下降をしない限り、第1磁性体71と左側の脚3211bの延出部3211dとの間の磁気抵抗が変化しない。これにより、移動体20の移動時の上下動による給電電力の変動がない。また、移動体20が距離h3(又はh4)を少し越える上昇又は下降をしたとしても、移動体20の移動時の上下動による給電電力の変動が少ない。尚、移動体20が移動中に距離h3(又はh4)を越えて上昇又は下降することがないように、距離h3(又はh4)を設定しておくことが好ましい。尚、左側の脚3211bについてのみ説明したが、中央脚3211cの場合は、高さがh2’(h2>h2’)に変更になるだけで、左側の脚3211bと同様である。
【0023】
<第二実施形態>
図4では、第1磁性体71及び第2磁性体72の高さ方向の寸法(移動体20の移動方向及び前記先端部が接近する方向に直交する方向の寸法)を、延出部3211d,3211e、3212d,3212eの高さ方向(幅方向)の寸法よりも短くしたが、図5に示すように、第1磁性体71及び第2磁性体72の高さ方向の寸法を、延出部3211d,3211e、3212d,3212eの高さ方向の寸法よりも長くして実施してもよい。このように構成することによって、図4で示した構成に比べて、第1磁性体71と左右の延出部3211d,3211eとが水平方向で重なり合っている面積を増大させることができ、給電電力を増大させることができる利点がある。具体的には、図5の拡大図に示すように、第1磁性体71の高さをh5とし、脚3211bの延出部3211dの高さをh6とすると、h5>h6の関係にしている。尚、第2磁性体72も第1磁性体71と同様であるため、第1磁性体71のみを説明する。そして、脚3211bの延出部3211dの高さ方向中央部に第1磁性体71の高さ方向中央部が位置するように第1磁性体71を配置している。このように第1磁性体71を(第2磁性体も同様に)配置することによって、次の効果を奏する。図5の拡大図に示すように、左側の脚3211bの延出部3211dの上端から第1磁性体71の上端までの間の距離をh7とし、左側の脚3211bの延出部3211dの下端から第1磁性体71の下端までの間の距離をh8(h7=h8)とした場合に、例えば移動体20の移動中に移動体20が上側に距離h7(又はh8)を越える上昇をしない限り、第1磁性体71と左側の脚3211bの延出部3211dとが水平方向で重なり合っている面積が変化する(減少する)ことがない。また、例えば移動体20の移動中に移動体20が下側に距離h7(又はh8)を越える下降をしない限り、第1磁性体71と左側の脚3211bの延出部3211dとが水平方向で重なり合っている面積が変化する(減少する)ことがない。従って、移動体20の移動中に移動体20が上下動しても、距離h7(又はh8)を越える上昇又は下降をしない限り、第1磁性体71と左側の脚3211bの延出部3211dとの間の磁気抵抗が変化しない。これにより、移動体20の移動時の上下動による給電電力の変動がない。また、移動体20が距離h7(又はh8)を少し越える上昇又は下降をしたとしても、移動体20の移動時の上下動による給電電力の変動が少ない。この場合も、移動体20の移動中の上下動によって、第1磁性体71と左右の延出部3211d,3211eとが水平方向で重なり合っている面積が変化(減少)しないように、第1磁性体71の高さの寸法(上下方向の長さ)と左右の延出部3211d,3211eの高さの寸法(上下方向の長さ)とを設定することが好ましい。第2磁性体72についても同様であり、説明は、省略する。また、図5で説明しなかった部分は、第1支持体81と第2支持体82が図4のものよりも上下長さが短いものになっている以外は、図4と同様であるため、同一符号を付し、説明は省略する。
【0024】
<第三実施形態>
図4及び図5では、1次給電線31を接続部材50でのみ支持する構成であったが、図6に示すように、1次給電線31と第1磁性体71との隙間に第1絶縁材91を挟み込み、また1次給電線31と第2磁性体72との隙間に第2絶縁材92を挟み込んでいる。これによって、1次給電線31を、接続部材50だけでなく、第1磁性体71及び第2磁性体72を支持する第1支持体81及び第2支持体82でも支持するようにしてもよい。尚、図6で説明しなかった部分は、図5と同様であるため、同一符号を付し、説明は省略する。
【0025】
尚、本発明に係る非接触給電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
前記実施形態では、E字状のコアの中央の脚3211cに2次巻線33を巻き付けたが、天板3211aの左側(左側の電線311の上方)の部分及び天板3211aの右側(右側の電線312の上方)の部分に2次巻線を巻き付けてもよい。また、ギャップ側が下方に向くようにコアを配置したが、ギャップ側が水平または上下いずれかを向くようにコアを配置してもよい。また、コアの形状としては、E字状に限らず、円形状、楕円形状、多角形状、U字状等、どのような形状であってもよい。どの形状においても、先端に対向するギャップ形成用の一対の端面を備えていることは勿論である。
【0027】
また、前記実施形態では、第1磁性体71及び第2磁性体72を移動体20の移動経路Sに略隙間なく連続するように配置したが、図7及び図8に示すように、移動経路Sに沿って間隔を置いて複数(図では、8個であるが、2個以上の任意の個数であればよい)の第1磁性体71及び第2磁性体72を配置してもよい。図7及び図8では、複数の第1磁性体71及び第2磁性体72が、移動経路方向で隣り合う第1磁性体71同士の隙間及び第2磁性体72同士の隙間がコア32の全長よりも小さくなるように配置されている。言い換えれば、移動体20の移動中においてコア32に少なくとも1個の第1磁性体71及び第2磁性体72が常に位置するように配置されている。具体的には、図8では、コア32に2個の第1磁性体71(第2磁性体72も同様である)が位置している状態を示している。また、第1磁性体71及び第2磁性体72を移動経路Sに沿って一定間隔(等間隔)を置いて複数(3個以上)配置することで、給電トランス30の移動可能範囲において、コア32に対して第1磁性体71及び第2磁性体72が一定の割合で対向し続けるため、移動範囲内において一部のみ磁性体を欠いた構成に比べて、給電効率の変動を少なくすることができる。尚、図7及び図8では、第1磁性体71及び第2磁性体72を把握し易いようにドットを入れている。
【符号の説明】
【0028】
10…非接触給電装置、20…移動体、30…給電トランス、31…1次給電線、32…コア、33…2次巻線、40…減圧容器、41…底板部、41M…溝50…接続部材、51,52…部材、60…丸棒、71…第1磁性体、72…第2磁性体、81…第1支持体、82…第2支持体、91…第1絶縁材、92…第2絶縁材、311,312…電線、311a,311b,311c…電線、312a,312b,312c…電線、321,322…コア、3211…E字状のコア、3211a…天板、3211b,3211c,3212c…脚、3211d,3211e…延出部、3212d,3212e…延出部、G1,G2…ギャップ、H…板部材、K…支持部、S…移動経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8