特開2017-35134(P2017-35134A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017035134-防災頭巾 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-35134(P2017-35134A)
(43)【公開日】2017年2月16日
(54)【発明の名称】防災頭巾
(51)【国際特許分類】
   A62B 17/04 20060101AFI20170127BHJP
【FI】
   A62B17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-156461(P2015-156461)
(22)【出願日】2015年8月6日
(71)【出願人】
【識別番号】515216240
【氏名又は名称】山本 瑞恵
(74)【代理人】
【識別番号】100111855
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 好昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 瑞恵
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA04
2E185BA08
2E185BA16
2E185CC58
(57)【要約】
【課題】本発明は、手拭等の布体を用いて簡単に製作及び解体が可能で容易に着用することができる防災頭巾を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る防災頭巾は、横長で矩形状の布体1a〜1cを重ね合せて構成された頭巾本体1と、頭巾本体1の一方の側の長辺部に外方に突出するように取り付けられた係止片2と、係止片2が取り付けられた長辺部以外の周縁を縫合して布体1b及び1cの間に形成された収納部4〜6と、係止片2に取り付けられるとともに伸縮可能な素材からなるリング状の紐体3とを備えており、係止片2を利用者の頭部の後側に配置して紐体3を前側に引き伸ばすように拡げて利用者の首部の周囲に掛け止めて着用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横長で矩形状の布体を複数枚重ね合せて構成された頭巾本体と、前記頭巾本体の一方の側の長辺部に外方に突出するように取り付けられた係止片と、前記係止片が取り付けられた長辺部以外の周縁を縫合して前記布体の間に形成された複数の収納部と、前記係止片に取り付けられるとともに伸縮可能な素材からなるリング状の紐体とを備え、前記係止片を利用者の頭部の後側に配置して前記紐体を前側に引き伸ばすように拡げて利用者の首部の周囲に掛け止めて着用する防災頭巾。
【請求項2】
前記係止片は、前記長辺部の中央位置に取り付けられている請求項1に記載の防災頭巾。
【請求項3】
前記収納部は、長辺方向の長さを4等分する3本の仮想の線のうち中央以外の両側の仮想線に沿って前記布体を縫合することで形成されている請求項1又は2に記載の防災頭巾。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、震災等の災害時に緊急避難する際に頭部に着用する防災頭巾に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より震災等の災害が発生した場合に、建造物が破壊されて頭上に落下する瓦礫や破片から身を守るために、頭部を覆うように着用する防災頭巾が用いられている。こうした防災頭巾では、瓦礫等の落下物から頭部を保護するとともに、コンパクトに収納可能で速やかに着用できることが求められることから、主に布製のものが実用化されている。
【0003】
近年、震災や豪雨災害等の避難が必要な災害が増加しており、避難の際には、貴重品類、救急用品、生活必需品等の物品をすぐ持ち出せるように、リュック等の非常袋に詰め込んで準備することが推奨されている。こうした避難の際に必要となる物品を防災頭巾に予め収容しておき、防災頭巾とともにすぐ持ち出せるようにして避難の際の利便性を高めることが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、繊維生地を二つ折りにし平袋状に形成して頭巾本体とし、二つ折りした内部に収納ポケットを取り付けて物品を収容可能に構成した点防災頭巾が記載されている。また、特許文献2では、薄手の布からなる頭巾本体とタオル地からなる内布からなる防災頭巾が記載されており、取り外した内布をタオルや包帯として活用する点が記載されている。また、特許文献3では、難燃性の用布で平面上に展開可能な頭巾本体に、装着時に頭頂部、側頭部及び肩部に対応する部分に収納部を形成した点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3021251号公報
【特許文献2】登録実用新案第3143825号公報
【特許文献3】特開2011−208322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献に記載された防災頭巾では、頭巾本体に収納部を形成することで、避難の際に様々な物品を収納して一緒に持ち出すことができるものの、頭部に装着する際に紐を結ぶ必要があり、緊急時にすぐ装着することが難しく、特に高齢者や幼児に対して装着するのに時間がかかるおそれがある。
【0007】
また、従来の防災頭巾は頭部の保護や物品の収納といった用途以外に使用することが想定されていないため、避難した後に十分活用されていないといった課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、手拭等の布体を用いて簡単に製作及び解体が可能で容易に着用することができる防災頭巾を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る防災頭巾は、横長で矩形状の布体を複数枚重ね合せて構成された頭巾本体と、前記頭巾本体の一方の側の長辺部に外方に突出するように取り付けられた係止片と、前記係止片が取り付けられた長辺部以外の周縁を縫合して前記布体の間に形成された複数の収納部と、前記係止片に取り付けられるとともに伸縮可能な素材からなるリング状の紐体とを備え、前記係止片を利用者の頭部の後側に配置して前記紐体を前側に引き伸ばすように拡げて利用者の首部の周囲に掛け止めて着用する。さらに、前記係止片は、前記長辺部の中央位置に取り付けられている。さらに、前記収納部は、長辺方向の長さを4等分する3本の仮想の線のうち中央以外の両側の仮想線に沿って前記布体を縫合することで形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防災頭巾は、上記のような構成を有することで、手拭等の布体を用いて簡単に製作及び解体が可能で容易に着用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る防災頭巾に実施形態に関する斜視図である。
図2】防災頭巾の製作過程を示す説明図である。
図3】防災頭巾を折り畳んだ状態を示す説明図である。
図4】防災頭巾を着用する場合の説明図である。
図5】防災頭巾の着用状態に関する前側外観図及び後側外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係る防災頭巾の実施形態に関する斜視図である。図1では、上面側が装着時に内側となり、下面側が外側となる。頭巾本体1は、横長で矩形状の3枚の外側布体1a、中間布体1b及び内側布体1cを重ねて縫合することで構成されている。3枚の布体はほぼ同じ形状に形成された手拭、タオルといった既製品を使用することができる。外側布体1aは、平織の手拭を用いることが好ましく、中間布体1b及び内側布体1cは、パイル地のタオルを用いることが好ましい。中間布体1bには、内側布体1cよりも厚手の布体を用いるとよく、後述するように、係止片2を容易に外れないようにしっかりと縫い付けることができる。また、内側布体1cには、薄手の布体を用いることで、複数種類の布体を使用可能とすることができ、内側布体1cには、利用者の住所、氏名、血液型等を記載する欄を予めプリントしておくこともできる。
【0014】
このように、頭巾本体に手拭やタオル用いることで、頭巾本体を解体すれば、すぐに手拭やタオルとして使用することができ、避難先でも頭巾本体を別の用途に活用することが可能となる。また、外側布体として手拭を使用することで、利用者が好みの図柄を選択することができるとともに、遠方からも防災頭巾を個別に容易に認識できるようになる。また、中間布体1b及び内側布体1cにタオルを用いることで、クッション性や肌触りがよくなって着用感を向上させることができる。
【0015】
なお、頭巾本体は、横長で矩形状の布体を複数枚重ね合せて収納部を構成することが可能であれば、3枚以外の枚数を重ね合せてもよい。例えば、4枚以上とすることで、収納部を増やして強度を高めることができる。
【0016】
頭巾本体1の一方の側の長辺部には、中央位置において帯状体を折り返してリング状に縫着された係止片2が外方に突出するように設けられている。係止片2は、中間布体1bに縫い付けた後中間布体1bを外側布体1aに縫着することで、容易に外れないようにしっかりと取り付けることができ、後述するように、着用時に収納部の開口を封止するように機能する。係止片2は、利用者の氏名等が表示できる程度の幅に設定されており、頭巾本体1に用いられる布地よりも高強度で伸縮しにくい素材を使用することが好ましい。係止片2には、ゴム紐等の伸縮可能な素材からなるリング状の紐体3が挿通されて係合している。なお、係止片2は、外方に突出するように設けられて紐体3を取り付けられるように構成されていればよく、例えば、帯状体の一方の端部を頭巾本体1に縫着して他方の端部に紐体3を縫着するようにしてもよい。
【0017】
頭巾本体1には、係止片2が取り付けられた長辺部以外の辺部について、3枚の布体を重ね合せた状態で周縁を縫合して縫着ライン10が形成されており、長辺方向の長さを4等分する3本の仮想の線のうち中央以外の両側の仮想線に沿って3枚の布体を縫合して縫着ライン11及び12が形成されている。係止片2が取り付けられた長辺部には、外側布体1a及び中間布体1bを重ね合せた状態で周縁を縫合して縫着ライン13が形成されており、縫着ライン13により縫合されていない内側布体1cが中間布体1bとの間で開口部が形成されて物品を収納可能となっている。そのため、縫着ライン10及び11の間に収納部4が形成され、縫着ライン10、11及び12の間に収納部5が形成され、縫着ライン10及び12の間に収納部6が形成されている。そして、収納部5の長辺方向の長さは、収納部4及び6の長さの2倍となるように設定されている。
【0018】
収納部5は、後述するように、装着時に頭部を覆う部分となるので、アルミシート、風呂敷、下着、紙おむつ、シート状の使い捨てカイロ、ウェットティッシュといった薄く折り畳めてクッション性及び耐水性を有する物品を収納するとよい。装着時に両肩部を覆う部分となる収納部4及び6には、マスク、簡易スリッパ、救急グッズ、軍手等のすぐ取り出して使用することができる物品を収納しておくとよい。
【0019】
なお、各収納部の大きさは、収納する物品のサイズに応じて縫着ラインを設定することで、簡単にサイズ変更することができる。すなわち、収納部を画定する縫着ライン11及び12は、収納する物品に合わせて縫着位置を適宜変更することができ、収納する物品に応じて収納部の数を3以上に設定することも可能である。
【0020】
図2は、防災頭巾の製作過程を示す説明図である。まず、中間布体1bを拡げて一方の側の長辺部の中央位置に帯状体を折り返して重ね合せた両端部を配置し、返し縫い等で係止片2をしっかりと縫着する(図2(a))。次に、外側布体1aの上面に中間布体1bを重ね合わせ(図2(b))、係止片2を取り付けた長辺部の周縁に沿って両布体を縫合して縫着ライン13を形成する(図2(c))。縫着ライン13は、縫い始めを丸結びとして外側に露出させ平縫い等で縫合することで、丸結びを引きちぎって糸を引き抜けば容易に解体することができるようになる。次に、内側布体1cを中間布体1bの上面に重ね合せ(図2(d))、係止片2を取り付けた長辺部以外の3辺部の周縁に沿って3枚の布体を縫合して縫着ライン10を形成し、さらに長辺方向の長さを4等分する3本の仮想線の中央以外の両側の仮想線に沿って縫合して縫着ライン11及び12を形成する。この場合、縫着ライン10〜12は、縫い始めを丸結びとして外側に露出させ平縫い等で縫合しているので、頭巾本体を容易に製作可能であるとともに3枚の布体に容易に解体することができるようになる。なお、縫着ラインは、表側から平縫いした後続けて裏側から平縫いして強度を高めることもできる。
【0021】
図3は、防災頭巾を折り畳んだ状態を示す説明図である。まず、頭巾本体1を中央位置で二つ折りに折り畳み(図3(a))、さらに二つ折りして四つ折りに折り畳む(図3(b))。そして、紐体3を引き伸ばして折り畳んだ頭巾本体1に幅方向に掛け止めるようにする(図3(c))。このように折り畳むことで、頭巾本体1を容易にコンパクトにすることができ、収納部4〜6の開口部分が紐体3により閉止されるようになって、収納した物品が不用意に外に出ることが防止される。収納した物品は紐体3の弾性力により常時押圧された状態となるため、安定した状態で収納されるようになる。そして、係止片2が紐体3により引張られた状態で保持されるため、係止片2の名前を記載した面が表出した状態となり、誰の防災頭巾か一目で認識することができるようになる。
【0022】
また、防災頭巾をこうしたコンパクトな状態にすることで、座布団、枕等に兼用することができ、さらに、紐体3を頭巾本体1から簡単に外して拡げることが可能で、拡げた状態でひざ掛け、肩掛け、敷布団等に使用することもでき、避難先において様々な用途に使用することができる。そして、平縫いされた縫着ラインを解くことで、手拭やタオルとして使用することができ、非常時において必要とされる幅広い用途に対応することが可能である。
【0023】
図4は、防災頭巾を着用する場合の説明図である。四つ折りに折り畳んだ頭巾本体1を取り出し(図4(a))、二つ折りの状態に拡げる(図4(b))。そして、収納部4及び6を拡げて利用者の頭部の上に配置して紐体3を引き伸ばして拡げながら収納部5で頭部を覆うように被る(図4(c))。その際に、係止片2が頭部の後側に配置されるようにする。そして、後側の紐体3を頭部の上方から頭部を囲むように引き下げて首部の周囲に掛け止めるようにセットする(図4(d))。したがって、着用の際に紐を結ぶといった作業を行うことなく幼児や高齢者に対しても容易に着用させることができ、迅速な避難につなげることが可能となる。
【0024】
図5は、防災頭巾の着用状態に関する前側外観図(図5(a))及び後側外観図(図5(b))である。着用状態では、係止片2が下方に引張られた状態となるとともに紐体3が首部に掛け止められているため、頭巾本体1が頭部に密着して覆うようになる。そして、頭巾本体1の後側が後頭部に引き集められた状態となり、頭巾本体全体が頭部にしっかりと密着した状態となって避難中において容易に外れることはなくなる。また、収納部4〜6の開口は、後側に配置されているが、後側では、係止片2が下方に引張られて収納部5の開口が封止されるようになり、収納部4及び6は、肩部に載置されて紐体3により首側に引き寄せられることで、開口が開きにくくなっている。そのため、各収納部内の物品は、外側に放出されることなく安定した状態で保持される。また、係止片2に表示された利用者の氏名等が外側に表出するようになり、係止片2が紐体3により下方に引張られた状態となっているため、避難中でも氏名等を明確に認識できるようになる。
【符号の説明】
【0025】
1・・頭巾本体、1a・・・外側布体、1b・・・中間布体、1c・・・内側布体、2・・・係止片、3・・・紐体、4〜6・・・収納部
図1
図2
図3
図4
図5