特開2017-35539(P2017-35539A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-35539整形外科用衝撃付与電気モータ駆動器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-35539(P2017-35539A)
(43)【公開日】2017年2月16日
(54)【発明の名称】整形外科用衝撃付与電気モータ駆動器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20170127BHJP
【FI】
   A61B17/16
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-210624(P2016-210624)
(22)【出願日】2016年10月27日
(62)【分割の表示】特願2013-547652(P2013-547652)の分割
【原出願日】2011年12月28日
(71)【出願人】
【識別番号】516210311
【氏名又は名称】メディカル エンタープライゼス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100140327
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 千秋
(72)【発明者】
【氏名】ペディチニ、クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改善された、整形外科用衝撃付与器具を提供する。
【解決手段】整形外科用衝撃付与器具は、モータ8、直線運動変換装置12、空気室5、17、圧縮ピストン6、衝撃付与素子4、アンビル素子、及びブローチアダプタ1を備える。圧縮ピストンは、衝撃付与素子によってブローチアダプタに制御した力を印加することができ、正確な開口を作製した後に患者の体内に補綴材を配置する。さらに、十分な圧力が印加されて衝撃付与素子を解放するまで衝撃付与素子をある位置に保持するための戻り止めを備えることができる。また、前方または後方に衝撃を付与して開口のサイズまたは体積を拡大、または開口からブローチ及び器具を撤去しやすくできる。本器具の力調整制御部によって、使用者は、衝撃力を増大または低減することができる。照明源及びハンドグリップにより、本器具の操作が改善されて容易になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を打撃するための整形外科用衝撃付与器具であって、
モータと、直線運動変換装置と、
前記直線運動変換装置に作動的に連結され、第1の端部及び第2の端部を有する圧縮ピストンと、
前方部及び後方部を備え、前記前方部は、前記圧縮ピストンの前記第1の端部に近く、前記後方部は、前記圧縮ピストンの前記第2の端部に近い空気室と、
衝撃付与素子と、制御部と、
前面及び後面を有し、前記前面はブローチアダプタの一部を受け入れるように適応されるアンビル素子と、
ブローチ、ノミ、リーマ、またはその他の手術用具を保持することができ、前記アンビル素子に作動的に連結され、前記アンビル素子の前記前面に近く、前記アンビル素子の前記後面から遠いブローチアダプタと、を備え、
前記制御部は、前記直線運動変換装置を動かすように前記モータを誘導し、前記圧縮ピストンによって、前記空気室の前記前方部内の空気を動かして圧縮、または前記空気室の後方部内の空気を圧縮し、
前記衝撃付与素子は、前記空気室の前方部から圧縮空気を印加されると、前記アンビル素子の前記前面に衝撃を付与するために動き、前記衝撃付与素子は、前記空気室の前記後方部から圧縮空気を印加されると、前記アンビル素子の前記後面に衝撃を付与するために動き、
前記衝撃付与素子が少なくとも1つの方向に向かって前記ブローチアダプタに力を与えることができる
ことを特徴とする器具。
【請求項2】
前記直線運動変換装置は、スライダクランク機構を備える
請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記直線運動変換装置及び前記モータは、ボイスコイルモータを備える
請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記制御部は、単一の衝突衝撃付与を可能にする
請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記器具は、前記器具の外面に配置される照明素子であって、前記制御部に作動的に連結される照明素子を備える
請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記衝撃付与素子の速度は、空気が圧縮されるまたは圧縮解放されるスピードで制御される
請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記器具の前記制御部のうちの1つまたは前記器具の前記モータに作動的に連結された方向センサであって、
そのセンサは、前記器具が対象物の方へ押されているのか対象物から離されているのかを判定することができ、
また、前記器具の前記制御部または前記モータによって、前記器具が対象物の方へ押されていると感知すると、前記衝撃付与素子が、前記アンビル素子の前記前面により大きい力を与え、前記アンビル素子の前記後面により小さい力を与えるように誘導し、
また、前記器具の前記制御部または前記モータによって、前記器具が対象物から離されていると感知すると、前記衝撃付与素子が、前記アンビル素子の前記前面により小さい力を与え、前記アンビル素子の前記後面により大きい力を与えるように誘導する方向センサを備える
請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記器具は、ねじれセンサを備え、そのねじれセンサは、前記器具の横方向の動きもしくは反れた動きまたは力を算出することができ、前記センサは、このような動きまたは力を信号で送信可能である
請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記ブローチアダプタは、装着されたブローチ、ノミ、リーマ、またはその他の手術用具を、前記器具の中心軸からずらすための調整部を有する一方で、前記ブローチ、ノミ、リーマ、またはその他の手術用具を、前記器具の前記中心軸に対して平行な向きに維持する
請求項1に記載の器具。
【請求項10】
対象物を打撃するための整形外科用衝撃付与器具であって、
モータと、直線運動変換装置と、
前記直線運動変換装置に作動的に連結され、第1の端部及び第2の端部を有する圧縮ピストンと、
空気室と、衝撃付与素子と、前記衝撃付与素子をある位置に引き留めるための戻り止めと、制御部と、
前面及び後面を有し、ブローチアダプタの一部を受け入れるように適応されるアンビル素子と、
ブローチ、ノミ、リーマ、またはその他の手術用具を保持することができ、前記アンビル素子に作動的に連結され、前記アンビル素子の前記前面に近く、前記アンビル素子の前記後面から遠いブローチアダプタと、を備え、
前記制御部は、前記直線運動変換装置を動かすように前記モータを誘導し、前記圧縮ピストンによって、前記空気室内の空気を動かして圧縮し、前記圧縮空気が前記戻り止めの力を超えると、前記衝撃付与素子は、第1の位置から第2の位置へ移動して、前記アンビル素子の前記前面または後面を打撃し、
前記衝撃付与素子が、器具が対象物の方へ押されているときには、前記ブローチアダプタに対して前方方向に力を与えることができ、器具が対象物から離れる方へ押されているときには、ブローチアダプタに対して後方方向に力を与えることができ、更に、前記ブローチアダプタに対する力は、連続付与可能であると共に制御可能である
ことを特徴とする器具。
【請求項11】
前記直線運動変換装置は、スライダクランク機構である
請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記戻り止めを引き留める力は、前記制御部に作動的に連結されるソレノイドで制御される
請求項10に記載の器具。
【請求項13】
力調整制御部が前記制御部に作動的に連結され、前記力調整制御部は、前記圧縮ピストンが前記空気室内を移動するスピード、及び前記戻り止めを引き留める力のうちの少なくとも一方を変更することができる
請求項10に記載の器具。
【請求項14】
前記器具の前記制御部のうちの1つまたは前記器具の前記モータに作動的に連結された方向センサであって、
そのセンサは、前記器具が対象物の方へ押されているのか対象物から離されているのかを判定することができ、
また、前記器具の前記制御部または前記モータによって、前記器具が対象物の方へ押されていると感知すると、前記衝撃付与素子が、前記アンビル素子の前記前面により大きい力を与え、前記アンビル素子の前記後面により小さい力を与えるように誘導し、
また、前記器具の前記制御部または前記モータによって、前記器具が対象物から離されていると感知すると、前記衝撃付与素子が、前記アンビル素子の前記前面により小さい力を与え、前記アンビル素子の前記後面により大きい力を与えるように誘導する方向センサを備える
請求項10に記載の器具。
【請求項15】
前記器具は、ねじれセンサを備え、そのねじれセンサは、前記器具の横方向の動きもしくは反れた動きまたは力を算出することができ、前記センサは、このような動きまたは力を信号で送信可能である
請求項10に記載の器具。
【請求項16】
対象物を打撃するための整形外科用衝撃付与器具であって、
モータと、直線運動変換装置と、
前記直線運動変換装置に作動的に連結され、第1の端部及び第2の端部を有する圧縮ピストンと、
前方部及び後方部を備え、前記前方部は、前記圧縮ピストンの前記第1の端部に近く、前記後方部は、前記圧縮ピストンの前記第2の端部に近い空気室と、
衝撃付与素子と、
空気室に少なくとも1つ隣接し、前記空気室から前記衝撃付与素子に連通することができる空気通路と、
制御部と、
前面及び後面を有し、ブローチアダプタの一部を受け入れるように適応されるアンビル素子と、
ブローチ、ノミ、リーマ、またはその他の手術用具を保持することができ、前記アンビル素子に作動的に連結され、前記アンビル素子の前記前面に近く、前記アンビル素子の前記後面から遠いブローチアダプタと、を備え、
前記制御部は、前記直線運動変換装置を動かすように前記モータを誘導し、前記圧縮ピストンを第1の位置から第2の位置へ移動させて、前記空気室の前記前方部内の空気を圧縮し、前記衝撃付与素子は、前記空気室から前記衝撃付与素子に圧縮空気を印加すると、前記アンビル素子の前記前面または前記後面のいずれかに衝撃を付与するように動き、
前記衝撃付与素子が、前記ブローチアダプタに第1の方向に向かって力を与えることができるようにし、
前記直線運動変換装置は、さらに、前記圧縮ピストンを第2の位置から第1の位置へ動かし、前記圧縮ピストンを第2の位置から第1の位置へ動かすことで、前記空気室の前記後方部内の空気を圧縮して、前記空気室の前記後方部内の前記圧縮空気が、前記空気通路を通って前記衝撃付与素子に通じるようにし、
前記空気通路を通って通じた前記圧縮空気によって、前記衝撃付与素子が前記ブローチアダプタに第2の方向に向かって力を与えるようにし、前記第2の方向は、前記第1の方向と実質的に同一線上であり、逆方向である
ことを特徴とする器具。
【請求項17】
前記器具は、前記空気室に隣接する第1の空気通路及び第2の空気通路を備え、前記第1の空気通路は、前記空気室から第1の方向に向かって前記衝撃付与素子に空気を通じさせることができ、前記第2の空気通路は、前記空気室から前記衝撃付与素子に第2の方向に向かって空気を通じさせることができる
請求項16に記載の器具。
【請求項18】
前記衝撃付与素子の速度は、空気が圧縮されるまたは圧縮解放されるスピードで制御される
請求項16に記載の器具。
【請求項19】
前記器具の前記制御部のうちの1つまたは前記器具の前記モータに作動的に連結された方向センサであって、
そのセンサは、前記器具が対象物の方へ押されているのか対象物から離されているのかを判定することができ、
また、前記器具の前記制御部または前記モータによって、前記器具が対象物の方へ押されていると感知すると、前記衝撃付与素子が、前記アンビル素子の前記前面により大きい力を与え、前記アンビル素子の前記後面により小さい力を与えるように誘導し、
また、前記器具の前記制御部または前記モータによって、前記器具が対象物から離されていると感知すると、前記衝撃付与素子が、前記アンビル素子の前記前面により小さい力を与え、前記アンビル素子の前記後面により大きい力を与えるように誘導する方向センサを備える
請求項16に記載の器具。
【請求項20】
前記器具は、ねじれセンサを備え、そのねじれセンサは、前記器具の横方向の動きもしくは反れた動きまたは力を算出することができ、前記センサは、このような動きまたは力を信号で送信可能である
請求項16に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:
本出願は、米国特許法第119条に基づき、2009年12月28日に出願された特許文献1に対する優先権を主張するものであり、この特許文献1の開示内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、整形外科用途で衝撃を付与するための電動器具に関し、特に、整形外科用の衝撃を付与するための電気モータ駆動器具であって、ブローチ、ノミ、またはその他の装置に制御した衝撃を与え、(例えば骨構造内の)ある領域に開口を設けてこの領域内に補綴材を確実に受容することができる器具に関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科分野では、人工関節などの補綴装置は、補綴装置を患者の骨の空洞に着座させることで、患者の体内に埋め込まれるまたは着座することが多い。この空洞は、補綴材を着座させるまたは埋め込む前に設けなければならず、慣習的に、施術者は、空洞を形成する領域から、破損した骨構造、余剰な骨構造または疾患を来した骨構造を取り除いた後、空洞に穴を開けて骨の髄管に沿ってくり抜くことがある。補綴材には、通常、空洞の中に挿入される補綴材の特定部として働く軸部またはその他の突起部が含まれる。
【0004】
このような空洞を設けるため、施術者は、ブローチを使用することがあり、このブローチは、補綴材の軸部の形状と一致するものである。先行技術に公知の対策には、ブローチを備えるハンドルを提供するものがあり、施術者は、ブローチを埋め込み領域の中に打ち付けている間にこのハンドルを把持することができる。残念ながら、この手法は、扱いにくく、特定の施術者の技量に委ねられているために予測不可能である。この手法を用いると、ほとんど常に空洞の位置及び構造を正確に捉えられないという事態に必ず陥る。さらに、この手法には、施術者が意図しない領域の骨構造を損傷するというリスクを伴う。
【0005】
補綴用の空洞を作製するためのもう1つの技術は、空圧式つまり圧縮空気によってブローチを駆動するものである。この手法では、例えば、空気を器具から無菌の手術箇所へ排出する空気用接続線があるために衝撃付与器具の携帯性が妨げられるという欠点、及び器具を操作する施術者が疲労するという欠点がある。さらにこの手法では、特許文献2に例が挙げられているように、衝撃力または衝撃付与頻度を的確に制御できず、それどころか作動する際はまさしくジャックハンマーのように機能する。また、的確な制御の尺度が何ら備わっていないため、空洞を正確にブローチングすることがなおさら困難になる。
【0006】
先行技術に公知の器具のもう1つの欠点は、長時間にわたって使用する間に、体液のような流体または湿気が器具のハンドグリップに蓄積される点である。例えば、先行技術に公知のブローチによる衝撃付与装置を操作する上での難点は、手術過程で増大することがある。なぜなら、ハンドグリップが体液で飽和状態になり、これによって施術者がこのような先行技術による装置を保持することが不自由になることがあるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/290336号
【特許文献2】米国特許第5057112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、先行技術にみられる様々な欠点を克服する衝撃付与器具に対する需要に応えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の先行技術の欠点に鑑みて、先行技術の利点をすべて含んだ上で先行技術に固有の欠点を克服するように構成した、電気モータで駆動する整形外科用衝撃付与器具を提供する。
本器具は、整形外科医が、例えば臀部、膝、及び肩に整形外科用の衝撃を付与するために使用することができる。本器具は、ブローチ、ノミ、またはその他の装置を保持することができ、衝突衝撃を制御して、ブローチ、ノミまたはその他の装置を空洞の中にやさしく打ち付け、その結果、補綴材またはインプラントによりよい形で適合する。さらに、ブローチ、ノミ、またはその他の装置をこのように電子的に操作して制御できることで、特定の骨の種類または患者のその他の特徴に応じて、衝撃の設定を調整することができる。このほかにも、本器具によって、補綴材またはインプラントをインプラント用の空洞の中に適切に着座させる、またはインプラント用の空洞外に適切に取り出すことが可能になる。
【0010】
一実施形態では、電気モータで駆動する整形外科用衝撃付与器具は、制御部、ハウジング、直線運動変換装置、少なくとも1つの減速歯車、衝撃付与素子(以下、ストライカーともいう)、空気室、圧縮ピストン、及び力調整制御手段(以下、「制御手段」という)を備える。本器具は、さらに、モータ、LED、器具を快適に把持するための少なくとも1つのハンドグリップを有するハンドル部、ブローチアダプタ、バッテリ、フィードバックシステム及びブローチアダプタ用のノズルを有することができる。様々な構成要素のうちの少なくともいくつかは、ハウジング内に内包されることが好ましい。本器具は、ブローチ、ノミ、もしくはその他の装置、またはインプラントに、周期的な衝撃力を印加することができ、衝撃力を複数の衝撃力レベルに細かく調節することができる。
【0011】
一実施形態では、本器具は、さらに、制御手段を備え、この制御手段は、力調整素子を有し、この素子は、衝撃力を制御して、制御していない衝撃によって生じる損傷を回避することができる。力は、電子的に調節されるか、または機械的な戻り止めを使用することで調節されることができる。機械的な戻り止めによって、ブローチが機械加工する動作の制御または精度を犠牲にすることなく、衝撃力を増強することができる。
【0012】
本器具は、さらに、アンビル素子を備え、このアンビル素子は、前方と後方の両方に衝撃点を有し、ストライカーを実質的に軸方向に動くように強制するガイドを有する。動作時は、アンビル素子のガイドに沿ったストライカーの動きは、ストライカーが衝撃点を打つまで前方方向または後方方向のいずれかに向かって続く。この状況で使用されるとき、「前方方向」という語には、ストライカーがブローチまたは患者の方へ動くことが含まれ、「後方方向」という語には、ストライカーがブローチもしくはノミまたは患者から離れる動きが含まれる。衝撃点が器具の前部であれば、すなわち前方方向にあれば、この衝撃によって、衝突衝撃がブローチまたはノミに伝達され、この衝撃がさらに空洞の中へ押し込まれる。衝撃点が器具の後部であれば、衝突衝撃がブローチまたはノミを空洞外へ引っ張ろうとする。双方向の衝撃か単一方向の衝撃かという選択肢があることで、外科医には、インプラント用の空洞内の材料を切削または圧縮する際に柔軟性が提供され、この場合、材料を撤去するか材料を圧縮するかという選択は、外科手術において重要な決断であることが多い。衝撃点は、アンビル素子の一方の端部または各端部に配置されるプレートの形態とすることができる。
【0013】
本器具は、さらに、ストライカーの頻度を調節することができる。ストライカーの頻度を調節することで、本器具は、総合的な時間加重がより大きい衝突衝撃を与えられるとともに、同じ衝撃規模を維持できる。これによって外科医は、ブローチまたはノミの切削スピードを制御することができる。例えば、外科医は、ブローチまたはノミを大きく動かす間は速いレート(高い衝撃付与頻度)での切削を選択し、その後、ブローチまたはノミが所望の深さに近づくにつれて切削レートを遅くすることができる。
【0014】
使用者は、器具のハンドル部をしっかりと保持し、LED発光ライトを使用して作業領域を照明し、ブローチ、ノミ、またはその他の装置を補綴材またはインプラント上の所望の場所に正確に位置決めすることができる。ブローチ、ノミ、またはその他の装置に与えられる往復運動によって、インプラント及び/またはブローチ、ノミ、またはその他の装置の打ち付け動作を起こし、これによって補綴材またはインプラントをインプラント用の空洞の中に適切に着座させる、もしくはインプラント用の空洞外に適切に取り出す、またはブローチ、ノミ、またはその他の装置による衝撃付与を制御してインプラント用の空洞を作製または形状加工することが可能になる。本器具は、ブローチ、ノミ、またはその他の装置とインプラントとのインターフェースで、特定の程度を越えて屈曲しているまたはずれていることが検出された場合に、外科医に警告するフィードバックシステムを備えていてもよい。
【0015】
本開示を特徴付けている新規性を持つ様々な特徴に沿って、本開示のその他の局面とともに記載したこれらの局面は、本明細書に添付の特許請求の範囲に特色を添えて指摘されており、本開示の一部を形成するものである。本開示、本開示の動作上の利点、及び本開示を使用することによって達成される特定の目的をさらによく理解するために、添付の図面及び本開示の例示的実施形態を説明した記載内容を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の例示的実施形態による整形外科用衝撃付与器具の斜視図
図2】本開示の例示的実施形態による、整形外科用衝撃付与器具のストライカーに対して空気を圧縮する圧縮ピストンの斜視図
図3】本開示の例示的実施形態による、アンビル素子を解放し、打ち付けるストライカーの説明図
図4】本開示の例示的実施形態による、前方位置から戻ってストライカーの前方側で空気を圧縮する整形外科用衝撃付与器具の圧縮ピストンの説明図
図5】本開示の例示的実施形態による、後方に動く整形外科用衝撃付与器具のストライカーの説明図
図6】本開示の例示的実施形態による、後方アンビル衝撃プレートに衝撃を付与する整形外科用衝撃付与器具のストライカーの説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の利点及び特徴は、添付の図面と関連させて記載した以下の詳細説明及び特許請求の範囲を参照することでさらによく理解される。
【0018】
複数の図面の説明を通して、同じ参照符号は同じ部品を指す。
【0019】
本開示を実行するための最良の方式を、添付の図に描いた好適な実施形態の観点から説明する。本明細書に説明目的で詳細に記載する好適な実施形態には、多くの変形例がある。状況により変化したり便宜になったりすることに応じて、均等物の様々な省略及び代替が構想されるが、本開示の精神及び範囲を逸脱しないかぎり、この省略及び代替による用途及び実施が範囲に含まれることが意図されている。
【0020】
「1つの(a及びan)」という用語は、数量の限定を指すものではなく、対象の項目が少なくとも1つ存在することを指すものである。
【0021】
図1〜6のように、本開示は、衝突衝撃を制御して、電気モータで駆動する整形外科用衝撃付与器具を提供する。本器具は、単一または多数の衝撃を及ぼすとともに、可変的な速度、力及び頻度で衝撃を付与する能力を備える。この衝撃力は、電子的にまたは戻り止めを使用するかのいずれによって衝撃力を設定することで、レベル範囲を調節することができる。戻り止めを用いると、ブローチ、ノミ、もしくはその他の装置、または手術領域に、有意な衝撃を付与するのに十分な打撃力を起こしやすくなる。
【0022】
本器具は、ハウジングを有する。このハウジングは、器具の複数の構成要素を確実に被覆し、保持する。一実施形態では、ハウジングは、モータ、少なくとも1つの減速歯車、直線運動変換装置、圧縮室、衝撃付与素子(ストライカーともいう)、力または衝撃を調整する制御手段(以下、「制御手段」という)、及び前方衝撃プレート及び後方衝撃プレートを有するアンビル素子(この衝撃プレートは、例えばアンビルの一部であってよい)を内包する。
【0023】
本器具は、さらに、使用中に器具を快適かつ確実に保持するための少なくとも1つのハンドグリップを有するハンドル部、ブローチアダプタ、バッテリ、及び位置センサ、方向センサ、及び/またはねじれセンサを有することができる。本器具は、さらに、使用者が本器具を使用する作業領域に光を供給するLEDなどの照明素子を備えることができる。ブローチアダプタは、器具を使用している際に患者の方を向いている器具端部のクイックコネクト機構を介して、例えばアンビル素子のアンビルに連結されることができる。
【0024】
次に、図1を参照すると、一実施形態では、直線運動変換装置は、スライダクランク機構12を備え、このスライダクランクは、モータ8ならびに減速歯車7及び9に作動的に連結されている。本器具は、さらに、第1の端部及び第2の端部を有する圧縮ピストン6を受け入れる空気室5、17を備え、この圧縮ピストン6は、直線運動変換装置12を介して作動する。圧縮ピストンの長手寸法は、ピストンを内包している空気室よりも小さくなるため、圧縮ピストンが空気室内にある間は、圧縮ピストンの一方の端部に空気塊が存在することがわかるであろう。これ以降、圧縮ピストンのヘッド部とストライカーとの間にある空気塊のことを、「前方空気室部」または「前方空気室」5と呼び、直線運動変換装置に近い方の圧縮ピストンの端部と器具のモータとの間にある空気塊を、「後方空気室部」または「後方空気室」17と呼ぶ。
【0025】
本開示の一実施形態では、本器具のモータは、圧縮ピストンの前方端部とストライカー4の後方端部との間にある前方空気室5に十分な圧力がかかるまで、直線運動変換装置によって圧縮ピストンを動かして、ストライカーを後方位置に引き留めている戻り止め10、及び/またはストライカー4をある位置に保持している慣性力及び摩擦力に打ち勝つようにする。この十分な圧力に達すると、空気圧の力はストライカー4を加速させ、ストライカー4は、器具のハウジングの内部にある空洞に向かって軸沿いにスライドして下がり、前方アンビル衝撃プレート15を打撃する。このようにして生じた力は、衝撃プレート15に隣接するアンビル14を介して、また任意にブローチアダプタ1(このアダプタについては以下にさらに詳細に説明する)を介して伝達され、このブローチアダプタには、インプラントまたは補綴材を着座させるまたは取り除くためのブローチ、ノミ、またはその他の装置が取り付けられてよい。
【0026】
圧縮ピストン6は、打撃によって動き続けるため、後方へ向かって移動し、後方空気室17内の空気塊を圧縮する。この空気塊は、空気通路19を介してストライカー4の前方側へ通じることができ、ストライカー4に戻り力を生成し、この戻り力によって、ストライカー4は後方へ移動する、すなわち、ストライカーの衝撃点、前方アンビル衝撃プレート15から離れた方向に移動する。ストライカーは、後方アンビル衝撃プレート16に衝撃を付与するまで動き続ける。後方衝撃プレートを打撃すると、アンビル14への後方方向への力が生じる。ブローチアダプタ1がアンビル14に取り付けられた場合、力はブローチアダプタ1に伝達され、このブローチアダプタに、インプラントまたは補綴材を着座させるまたは取り除くためのブローチ、ノミ、もしくはその他の装置が取り付けられる。このように、1回の完全なサイクルで、前方方向及び後方方向への衝撃力を、ブローチ、ノミ、もしくはその他の装置、またはインプラント/補綴材に印加することができる。
【0027】
一実施形態では、圧縮ピストンは、このピストンのヘッド部に空洞を有することが好ましく、この空洞は、ピストンの戻り打撃を行う間に圧力を生成し、この圧力によって、ストライカーの前方端部は前方アンビル衝撃プレートから離れ、アンビル素子の後方衝撃点に衝撃を付与する。後方アンビル衝撃プレートに衝撃を付与するストライカーは、アンビル(及びブローチ、ノミ、またはその他の装置)の前方に負の力を伝達し、この負の力がブローチ、ノミ、またはその他の装置を手術領域内の衝撃付与箇所から遠ざけることがわかる。
【0028】
本器具のスライダクランクの実施形態は、ストライカーとアンビルの連続的な衝撃付与を制御しやすくするものである。このように連続的に衝撃付与するため、圧縮ピストンで圧縮を起こした後、スライダクランクは、打撃運動の一番下に戻り、この戻りによって、ストライカーにかかる圧力が解放され、ピストンがヘッド部に空洞を備えている上記の実施形態では、この戻りによってストライカーの前方に圧力をかけることができ、これによってストライカーが元の休止位置に戻る。
【0029】
打撃を1回与えるために、直線運動変換装置(本明細書に記載のスライダクランクなど)は、後方位置または後方位置の近傍で停止してストライカーにかかる前方への圧力を解放し、これによってストライカーは、スタート位置に戻って別の打撃の準備をすることができる。この動作方式では、使用者は、本器具を用いて(反復的に衝撃を与えるのとは異なり)選択的に衝撃を与えることができるため、衝撃をさらに制御して、例えば手術領域の作製または形状加工などができるようになる。
【0030】
制御部に作動的に連結した位置センサを設けて、好みの位置で直線運動変換装置の周期的動作を調節するのを補助してもよい。例えば、制御部は、スライダクランクを完全に戻った位置またはこの位置の近傍で休止するように動かして、スライダクランクが下死点である中央位置に達したという信号を位置センサから受信した時点で、次の衝撃のための圧力を生成するようにすることができる。もう1つの実施形態では、制御部は、直線運動変換装置に直接連結されて、直線運動変換装置の動作を起動・停止させることができる。
【0031】
制御部は、さらに、1サイクル当たりの衝撃力の量を選択的に調節するための力制御手段を操作することができる。衝撃力を制御することによって、本器具は、制御されていない衝撃または過剰な力による衝撃により生じる損傷を回避することができる。例えば、使用者は、骨粗鬆症を患った年配の患者の場合に、衝撃設定を低減することができ、あるいは、通常よりも快復力が強いまたは健常で強健な骨構造である場合には、衝撃設定を増強することができる。
【0032】
このような力の制御1回につき、ストライカーを保持する機械的な戻り止めに対して選択的に力を解放する設定が含まれることが好ましい。ストライカーを戻り止めから外すのに必要な圧力を増強する場合は、ストライカーは、さらに強い力でアンビルに衝撃を付与することがわかるであろう。もう1つの実施形態では、戻り止めは、ソレノイドを備え、このソレノイドは、圧力を所定通りに増強させると作動することができ、この後にストライカー4が解放されることによって、ストライカーはアンビルに衝撃を付与する。
【0033】
制御部は、圧縮ピストンの前進(前方方向への移動)スピード及び/または後退(後方方向への移動)スピードを調整することによって、衝撃力を制御することもできる。圧縮ピストンのスピード調整は、ストライカーが前方方向及び後方方向へ移動するための圧力増強に影響を及ぼすことがわかるであろう。例えば、ピストンの前方方向へのスピードが比較的大きく、ピストンの後方方向へのスピードが比較的小さい場合、前方方向へのストライカー速度の方が遙かに大きくなり、これによってストライカーによって与えられる衝突衝撃は、ピストン及びストライカーの前方方向に進む際の方が大きくなる。ピストンの前方方向及び後方方向へのスピードをこのように調整することで、使用者は、希望する場合はさらに大きい衝撃力を生み出すことができ(例えば、手術領域を作製するため)、あるいは後方へのさらに大きい力を生み出して、例えばブローチ、ノミ、またはその他の装置を手術領域から撤去しやすくすることができる。前方速度及び後方速度が同じ場合、本器具は、動作過程でブローチ、ノミ、またはその他の装置を双方向に動かすことができ、これによって空洞を機械加工するのに極めて効果的な技術が生まれる。
【0034】
本器具のモータは、特にこのような多方向への衝撃付与を補助するように構成されることができる。一実施形態では、モータは、パルス幅変調で動作して後方へ打撃することができ、最高スピードまたは連続スピードで動作してストライカーを前方へ打撃することができる。このように動作する場合、器具に取り付けられたブローチ、ノミ、またはその他の装置は、ほぼ前方への動きのみを受けることができ、この動作によってインプラントの受け座を作製しやすくなる。このようにする代わりに、モータは、パルス幅変調で動作して前方へ打撃し、最高スピードまたは連続スピードで動作して後方へ衝撃付与してもよく、この動作によって、突き刺した状態のブローチ、ノミ、またはその他の装置を外すまたはインプラントを撤去するのに有益な引き抜く動きを生み出すことができる。
【0035】
さらに別の実施形態では、本器具は、器具のストライカー制御部に作動的に連結されることができるアンビル位置センサなどの位置センサを備える。この位置センサは、オペレータが器具を押しているか引いているかを判定することができる。例えば、このセンサは、ブローチを保持しているアダプタまたはアンビルの位置に基づいて、このように押しているか引いているかを判定することができる。この判定により、使用者が特定方向に向かって器具に力をかけている場合に、ストライカーの衝撃がそれに応じて調整されるという効果を有することができる。例えば、使用者が器具を押している、または器具を対象物に対して押しているとセンサが判定すれば、そのセンサは、ストライカーに前方方向への衝撃を付与させることができる。使用者が器具を引いているとセンサが判定すれば、そのセンサは、ストライカーに後方方向への衝撃を付与させるか、あるいはスライダクランクを回すことでストライカーにかける引く力を起こすことができる。
【0036】
本器具は、さらに、照明素子を備えることができ、一実施形態では、この照明素子は、LED配列を備えることができ、この照明素子は、使用者の作業領域を照明することができる。一実施形態では、LEDは、器具のハウジングに配置されることができ、患者の身体または手術対象の空洞に向けられることができる。
【0037】
本器具は、さらに、手術領域から遠位の器具端部に、プレートまたはその他の平坦面を備えることができ、このプレートによって、使用者は、手術条件または物理的条件による指定通りに、ブローチ、ノミもしくはその他の装置、または外科用インプラントに選択的な手動の圧力を印加することができる。例えば、器具が動作してブローチが外れないように、ブローチが空洞内にしっかりと収まっていれば、使用者は、プレートを手動で叩いてブローチを外すことができる。
【0038】
本器具は、さらに、ねじれセンサを備えることができ、このねじれセンサは、器具の力または動きが横方向のものか反れたものかを判定することができ、その結果、器具がブローチとインプラントとのインターフェースで所定の規模から反れていることを感知されれば、信号を発信して使用者にその反れを知らせることができる。この方法及び別の方法で、本器具によって軸に沿った一定のブローチング及びインプラントの設置がしやすくなる。
【0039】
さらに別の実施形態では、ブローチアダプタは、平行な4本バーの構成を備えることができる。この実施形態では、アダプタは、前部または後部の接合材を取り換えるためにブローチを受け入れることができる。アダプタの平行な4本バーからなる機構によって、ブローチを受け入れ、中心位置、または左もしくは右にずれた位置など、様々な位置に向けることを容易にすることができる。アダプタは、器具及びストライカーの本体に平行または本体と同一線上の向きにブローチを保持する。ブローチアダプタは、クランプ、バイス、または、器具の動作中にブローチ、ノミ、またはその他の装置を確実に保持できるその他の任意の固締具を備えてもよい。
【0040】
本器具は、さらに、器具のハウジングに配置されるハンドグリップを備えることができ、このハンドグリップは、取り外し可能なように配置されたゴム製コーティングまたはその他の粘着性のあるコーティングを有することができる。このようなコーティングにすると、器具を快適に操作しやすくなり、使用者の器具保持具合が向上して器具の制御性が増し、器具操作中の疲労が軽減される。
【0041】
使用の際、外科医のような使用者は、器具のハンドルグリップ(gripまたはgrips)をしっかりと保持し、LED発光ライトを使用して作業領域を照明し、器具に取り付けられたブローチ、ノミまたはその他の装置を、補綴材またはインプラント上の所望の位置に正確に位置決めする。器具がブローチ、ノミまたはその他の装置に与える往復運動によって、インプラントへの打ち付けが起こり、これによって補綴材またはインプラントをインプラント用の空洞の中に適切に着座させる、またはインプラント用の空洞外に適切に取り出すことが可能になる。警告システムは、ブローチ(またはノミまたはその他の装置)とインプラントとのインターフェースで特定の規模を上回る湾曲モーメントが検出された場合に、使用者に警報を出すことができる。
【0042】
本明細書に開示した器具は、先行技術を凌ぐ様々な利点を提供するものである。本器具により、手術点への衝撃を制御しやすくなり、患者の身体に及ぶ無駄な損傷が最小限に抑えられ、インプラントまたは補綴材の受け座を正確な形状に加工することが可能になる。また、本器具により、使用者は、衝撃の方向及び力を調整することもでき、これによって使用者が器具を操作する能力が向上する。衝撃設定の力を制御して調整することで、使用者は、特定の骨の種類または患者のその他の特徴に応じて、衝撃力を設定することができる。したがって、本器具によって、補綴材またはインプラントをインプラント用の空洞の中に適切に着座させる、またはインプラント用の空洞外に適切に取り出すことが可能になる。
【0043】
本開示の特定の実施形態についての上記の記載は、説明及び記載を目的として書いたものである。これらは、本開示を完全なものとする、または開示した正確な形態に限定することを意図するものではなく、当然ながら、上記の教示に照らして多くの修正及び変形例が可能である。例示的実施形態は、本開示の原理及びその実践的用途を最適な形で説明するために選択して記載したものであり、これを基に、他の当業者は、構想される特定の使用に適するように、開示内容及び様々な実施形態に様々な修正を加えて最適な形で使用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ブローチアダプタ
2 アンビル回転防止素子
4 ストライカー
5 前方空気室
6 圧縮ピストン
7 歯車減速機
8 モータ
9 歯車減速機
10 戻り止め
11 前方ストライカー空気室
12 直線運動変換装置
13 ブローチクイックコネクト
14 アンビル
15 前方アンビル衝撃プレート
16 後方アンビル衝撃プレート
17 後方空気室
19 空気通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2016年11月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反対方向における手術用具の動作を付勢するために、反復可能で制御された打撃力で対象物を打撃するためのポータブル、電池式の手術用衝撃装置において、
駆動機構と、
前記ポータブル衝撃装置の駆動機構に電力を供給する一体型のバッテリ電源と、
前記駆動機構に応答してエネルギー貯蔵機構へのエネルギーの貯蔵及び放出を制御し、前記反復可能で制御された打撃力を生成する制御回路と、
前記対象物をインターフェースする手術用具を解放可能に受容するように構成されたアダプタと、
前記反復可能で制御可能な打撃力に基づいて少なくとも2つの別個の衝撃面に衝撃を与え、アダプタに前記反復可能で制御された打撃力を提供するストライカーと、
を備え、
前方衝撃面に対する前記反復可能で制御可能な打撃力の提供は、アダプタを前方方向に付勢し、
後方衝撃面に対する前記反復可能で制御可能な打撃力の提供は、アダプタを後方方向に付勢する、
衝撃装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの衝撃面の選択は、前記衝撃装置に加えられるユーザバイアス力に基づく、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項3】
前記対象物の方向の前記ユーザバイアス力は、前記ストライカーを前記前方衝撃面に衝突させる、請求項2に記載の衝撃装置。
【請求項4】
前記対象物から離れる方向の前記ユーザバイアス力は、前記ストライカーを前記後方衝撃面に衝突させる、請求項2に記載の衝撃装置。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵機構は、貯蔵サイクルの一部で、9psia未満で動作する室を含む、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵機構は、少なくとも50psiaの圧力で動作する、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵機構は、前記ストライカーが前記前方衝撃面に衝突して前記手術用具を前記前方方向に付勢するときに、少なくとも部分真空下にある室を含む、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項8】
前記エネルギー貯蔵機構がエネルギーをストライカーに放出することを可能にするために、戻り止め機構が解放されるまでストライカーを第1の位置に保持する戻り止め機構をさらに備える、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項9】
前記エネルギー貯蔵機構は、圧縮空気貯蔵室である、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項10】
前記ストライカーが患者プロファイルに従ってアダプタに供給する衝撃エネルギーを調整するためのエネルギー調整機構をさらに備える、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項11】
前記駆動機構の出力を直線運動に変換する直線運動変換機構をさらに備える、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項12】
前記アダプタの打撃を前記ストライカーの打撃の50%未満に制限する打撃リミッタをさらに備える、請求項11に記載の衝撃装置。
【請求項13】
前記ストライカーは、前記少なくとも2つの衝撃面を有するアンビルによって前記アダプタに動作可能に連結される、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項14】
一定の期間にわたり、少なくとも2つの別個の衝撃面に打撃力を分配するためのコンプライアンスインサートをさらに備える、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項15】
前記コンプライアンス部材は、弾性材料で形成される、請求項14に記載の衝撃装置。
【請求項16】
前記ストライカーが、動作中に空気を排出するために、開口を有するガイド部に沿って導かれる、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項17】
線形運動変換を好ましい周期動作に調整するために、制御回路に動作可能に連結されたセンサをさらに備える、請求項1に記載の衝撃装置。
【請求項18】
前記センサは、線形電力変換器の位置を検出し、打撃を最大電力未満の割合に制限する、請求項17に記載の衝撃装置。
【請求項19】
反対方向における手術用具の動作を付勢するために、反復可能で制御された打撃力で対象物を打撃するためのポータブル、電池式の手術用衝撃装置において、
衝撃装置を駆動するための手段と、
前記ポータブル衝撃装置の駆動手段に電力を供給する一体型のバッテリ電源と、
反復可能で制御された打撃力を発生させるために、エネルギー貯蔵装置への駆動手段のエネルギーの蓄積と放出を制御する制御回路と、
前記手術用具を受容するための器具取付台と、
前記反復可能で制御可能な打撃力に基づいて少なくとも2つの別個の衝撃面に衝撃を与え、前記反復可能で制御された打撃力を器具取付台に提供するストライカーと、
を備え、
前方衝撃面に対する前記反復可能で制御可能な打撃力の提供は、アダプタを前方方向に付勢し、
後方衝撃面に対する前記反復可能で制御可能な打撃力の提供は、アダプタを後方方向に付勢する、
衝撃装置。
【請求項20】
前記対象物から離れる方向のユーザバイアス力が、前記ストライカーを前記第2衝撃面に衝突させる、請求項19に記載の衝撃装置。