【課題】この発明は、包装紙で個包装された食品をホットメルト接着剤で包装容器に固定する際に、加熱されたホットメルト接着剤によるヒートショックが食品に与えられることを防止できる食品包装体を提供すること。
【解決手段】食品包装体1では、包装紙3で個包装された各食品2が、その長手方向の一端から包装紙3の一部が延び出た糊代用フィン19を有している。個包装された食品2は、包装容器4の内面壁51に沿って配列され、各食品2の糊代用フィン19は、順に隣接して配列されている。内面壁51の一部が押さえ板25として折り返されている。配列された糊代用フィン19は、包装容器4内で、内面壁51および押さえ板25によって挟み込まれた状態で、ホットメルト接着剤44で固定されている。
前記包装紙には、個包装状態において、前記食品の長手方向途中部に、前記糊代用フィンを有する固着部と、前記糊代用フィンを有する側と反対側の抜き取り部とを分離可能な分離手段が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の食品包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、包装紙の固着部を包装器材に固着するための接着剤として、ホットメルト接着剤を使用することが考えられる。この場合、アプリケーターと呼ばれる接着剤の射出装置内で加熱されて溶解したホットメルト接着剤を、固着部と包装器材との重なり部分に射出して圧着し、そのまま自然冷却によって固化させる。または、固着部または包装器材に予めホットメルト接着剤を塗布し、それをヒーター等で加熱して溶解し、その後、自然冷却によって固化させる。これにより、固着部と包装器材とが固着される。
【0006】
しかし、食品がたとえばチョコレートの場合、加熱されたホットメルト接着剤の熱がチョコレートに伝わること、すなわち「ヒートショック」によってチョコレートが溶解し、いわゆるブルームが生じ得る。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、包装紙で個包装された食品をホットメルト接着剤で包装容器に固定する際に、ヒートショックが食品に与えられることを防止できる食品包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、包装紙で個包装された食品を包装容器に収納した食品包装体において、前記個包装された各食品は、その長手方向の一端から前記包装紙の一部が延び出た糊代用フィンを有し、前記個包装された食品は、前記包装容器の一内面壁に沿って、長手方向に直交方向に並べて配置され、それによって、各食品の前記糊代用フィンは、順に隣接して配列されており、前記糊代用フィンは、食品の下面と面一になるように食品の長手方向の一端から延び出しており、前記配列された糊代用フィンを挟み込むように、前記包装容器の前記一内面壁の一部が折り返されていて、前記配列された糊代用フィンは、前記包装容器内で、前記一内面壁およびその折り返し部によって挟み込まれた状態でホットメルト接着剤で固定されていることを特徴とする、食品包装体である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記食品は、角棒状のチョコレートを含み、前記包装紙は、長方形状で、前記チョコレートを包むように折り畳まれていて、折り畳まれた包装紙の一部が前記チョコレートの長手方向の一端から長手面沿いに延び出るように突出して前記糊代用フィンを形成していることを特徴とする、請求項1記載の食品包装体である。
請求項3記載の発明は、前記包装紙には、個包装状態において、前記食品の長手方向途中部に、前記糊代用フィンを有する固着部と、前記糊代用フィンを有する側と反対側の抜き取り部とを分離可能な分離手段が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の食品包装体である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記分離手段は、ミシン目を含むことを特徴とする、請求項3記載の食品包装体である。
請求項5記載の発明は、前記包装紙は、前記固着部側を形成する一方側用紙と、前記抜き取り部側を形成する他方側用紙とを含み、前記分離手段は、前記一方側用紙と前記他方側用紙との重なり部を含むことを特徴とする、請求項3記載の食品包装体である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、この食品包装体では、包装紙で個包装された各食品が、その長手方向の一端から包装紙の一部が延び出た糊代用フィンを有している。つまり、食品を包装した包装紙において、長手方向で食品の外側の位置に、糊代用フィンが設けられている。
個包装された食品は、包装容器に収納された状態において、包装容器の一内面壁に沿って、長手方向に直交方向に並べて配置され、それによって、各食品の糊代用フィンは、順に隣接して配列されている。
【0011】
そして、包装容器の一内面壁の一部が折り返されている。前述したように配列された糊代用フィンは、包装容器内で、一内面壁およびその折り返し部によって挟み込まれた状態でホットメルト接着剤で固定されている。
つまり、ホットメルト接着剤で固定する際、固定部は食品から延び出た位置にあるため、ホットメルト接着剤の熱が、ヒートショックとして食品に悪影響を与えることを防止できる。
【0012】
また、食品がチョコレートであれば、一般に、包装紙として、いわゆる「銀紙」を用いて食品を個包装することが多い。ホットメルト接着剤は、銀紙の糊代用フィンを良好に固定する。
請求項2記載の発明によれば、食品は、角棒状のチョコレートを含んでいる。
そして、包装紙は、長方形状であり、チョコレートを包むように折り畳まれる。折り畳まれた包装紙の一部は、チョコレートの長手方向の一端から長手面沿いに延び出るように突出して糊代用フィンを形成している。つまり、糊代用フィンは、チョコレートの長手面と面一になるようにチョコレートの長手方向の一端から延び出ている。
【0013】
そのため、糊代用フィンを、ホットメルト接着剤で固定するために包装容器の一内面壁および折り返し部によって挟み込む際、チョコレートの長手面が包装容器の一内面壁に当接することで、チョコレート全体の位置が安定している。そのため、糊代用フィンを固定する際に、作業性の向上を図るとともに、チョコレートはヒートショックを受けることなく、ブルームの発生を抑制することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、包装紙には、個包装状態において、食品の長手方向途中部に、糊代用フィンを有する固着部と、糊代用フィンを有する側と反対側の抜き取り部とを分離可能な分離手段が設けられている。
糊代用フィンを有する固着部が包装容器に固定されているので、抜き取り部を引っ張ると、分離手段によって、固着部と抜き取り部とが分離される。これにより、食品において今まで抜き取り部に覆われていた部分が露出するので、この部分を片手で摘んだり、この部分を咥えたりすることによって、片手が塞がっている場合でも、食品全体を包装容器から容易に取り出して食べることができる。
【0015】
または、固着部から分離された抜き取り部とともに、抜き取り部に覆われた食品も引っ張ることで、食品全体を包装容器から取り出すことができる。そして、このように取り出された食品では、今まで固着部に覆われていた部分が露出しているので、この部分から食品を食べることができる。その際、抜き取り部(包装紙)を介して食品を保持できることから、手で食品を直接触れずに済むので、衛生的である。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、分離手段は、ミシン目を含むので、ミシン目の分離手段を容易に構成することができる。
請求項5記載の発明によれば、包装紙は、固着部側を形成する一方側用紙と、抜き取り部側を形成する他方側用紙とを含んでいて、分離手段は、一方側用紙と他方側用紙との重なり部を含んでいる。そのため、包装紙が食品を包装した状態で抜き取り部を引っ張ると、固着部と抜き取り部とが、一方側用紙と他方側用紙との重なり部で確実に分離される。
【0017】
そのため、食品において抜き取り部に覆われていた部分を確実に露出させることができる。または、固着部から分離された抜き取り部とともに、抜き取り部に覆われた食品も引っ張ることで、食品全体を包装容器から取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1(a)は、この発明の一実施形態に係る食品包装体1の斜視図であって、蓋52を開いた状態を示しており、
図1(b)は、
図1(a)とは別の位置から見たときの食品包装体1の斜視図であって、蓋52をさらに開いた状態を示している。
図1(a)を参照して、本発明の一実施形態に係る食品包装体1は、食品2と、食品2を包装する包装紙3と、包装紙3に包装された食品2を収納する包装容器4とを含んでいる。この実施形態では、包装容器4に、たとえば4つの食品2としての棒状チョコレートが収納される。
【0020】
図2は、食品2を包装する手順を説明する斜視図である。
図2(a)を参照して、食品2は、所定方向に長手の角棒状のチョコレートである。
図2(a)における食品2の姿勢を参照して、長手方向から見たときの食品2の輪郭は、上方ヘ向けて幅狭となる略等脚台形状である。また、長手方向に直交する方向であって、
図2(a)における水平面に沿う方向(幅方向)から見たときの食品2の輪郭は、水平方向に長手の略等脚台形状である。なお、食品2の輪郭は、台形以外の四角形状や多角形状であっても構わない。
【0021】
説明の便宜上、
図2(a)における食品2の姿勢を基準にして、食品2の上面5、下面6(長手面)、手前面7、奥面8、左面9および右面10を規定する。なお、
図2(a)〜
図2(i)は、いずれも、食品2を手前側から見たときの斜視図であり、
図2(j)は、食品2の長手方向において
図2(a)〜
図2(i)とは反対側から食品2を見たときの斜視図である。
【0022】
この食品2を包装する包装紙3は、食品2の長手方向において長手の長方形状である。
包装紙3は、食品2を包み込むことができる大きさを有している。そのため、包装紙3は、平面視で、食品2よりも長手かつ幅広である。本実施形態では、食品2がチョコレートなので、包装紙3として、いわゆる「銀紙」を用いて食品2を包装することが多い。
包装紙3の長手方向途中(詳しくは、長手方向略中央)には、ミシン目50(分離手段)が形成されている。ミシン目50は、包装紙3の長手方向の直交方向(幅方向)に延びていて、包装紙3を、奥側の一方側用紙3Aと、手前側の他方側用紙3Bとに区画している。換言すれば、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとの境界がミシン目50である。
【0023】
次に、包装紙3で食品2を包装する手順について説明する。
まず、包装紙3に対して、
図2(a)の姿勢にある食品2を下から突き上げる。このとき、平面視において、包装紙3のほぼ中央に食品2が位置するようにする。厳密には、食品2の長手方向における一端側(ここでは、奥面8側)の包装紙3のはみ出し量Xが、食品2の長手方向における他端側(ここでは、手前面7側)の包装紙3のはみ出し量Yよりも、長手方向において大きくなるようにする。
【0024】
次いで、
図2(b)に示すように、包装紙3において、食品2の上面5の左端縁に一致する部分を折り目として、上面5より左側の左部分11を下方へ折り曲げる。また、包装紙3において、食品2の上面5の右端縁に一致する部分を折り目として、上面5より右側の右部分12を下方へ折り曲げる。
次いで、包装紙3において、上面5に沿っている部分の手前側端部13を、上面5の手前側端縁に一致する部分を折り目として、
図2(b)の太線矢印で示すように、下方へ折り曲げる。すると、
図2(c)に示すように、下方へ延びている手前側端部13において、上側部分が、食品2の手前面7に沿って手前面7を外から覆い、下側部分が、手前面7よりも下側へはみ出る。
【0025】
また、このとき、包装紙3の前述した左部分11において、上側部分が、食品2の左面9に沿って左面9を外から覆い、下側部分が、左面9よりも下側へはみ出る。さらに、このとき、包装紙3の前述した右部分12において、上側部分が、食品2の右面10に沿って右面10を外から覆い、下側部分が、右面10よりも下側へはみ出る。
次いで、左部分11および右部分12のそれぞれにおいて食品2から手前側へはみ出た部分を、
図2(c)の太線矢印で示すように、食品2の手前面7の左端縁または右端縁に一致する部分を折り目として、互いに接近する方向へ折り曲げる。すると、
図2(d)に示すように、これらの部分のそれぞれにおいて、上側部分は、前述した手前側端部13の上側部分の幅方向外側端部に外から折り重なった状態で手前面7に沿い、下側部分は、手前側端部13の下側部分に外から折り重なった状態で、手前面7よりも下側へはみ出る。
【0026】
次いで、
図2(e)に示すように、包装紙3において、食品2の手前面7よりも下側へはみ出ている部分を、手前面7の下端縁に一致する部分を折り目として、
図2(e)の太線矢印で示すように、奥側に折り曲げる。すると、包装紙3において折り曲げられた部分は、食品2の下面6の手前側部分に沿って下面6の手前側部分を外(下)から覆う。
次いで、包装紙3において前述した左部分11の下側部分(食品2の左面9よりも下側へはみ出た部分)を、左面9の下端縁に一致する部分を折り目として、右側へ折り曲げる。また、包装紙3において前述した右部分12の下側部分(食品2の右面10よりも下側へはみ出た部分)を、右面10の下端縁に一致する部分を折り目として、左側へ折り曲げる。すると、左部分11および右部分12の下側部分において折り曲げられた部分は、互いに折り重なった状態で、食品2の下面6に沿って下面6の全域を外(下)から覆う。この状態が、
図2(f)に示されている。
【0027】
図2(f)に示すように、左部分11および右部分12の下側部分において折り曲げられて互いに重なった部分の奥側端部(下奥側端部14)は、食品2の下面6から奥側へはみ出している。また、左部分11の前述した上側部分(食品2の左面9に沿っている部分)の奥側端部(左奥側端部15)は、左面9から奥側へはみ出ている。また、右部分12の前述した上側部分(食品2の右面10に沿っている部分)の奥側端部(右奥側端部16)は、右面10から奥側へはみ出ている。また、包装紙3において食品2の上面5に沿っている部分の奥側端部(上奥側端部17)は、上面5から奥側へはみ出ている。下奥側端部14、左奥側端部15、右奥側端部16および上奥側端部17によって、中空の空間18が区画されている。食品2の長手方向から見たとき、空間18の輪郭は、食品2の奥面8の略等脚台形の輪郭に一致する。
【0028】
次いで、
図2(g)に示すように、上奥側端部17を、
図2(g)の太線矢印で示すように、上面5の奥側端縁に一致する部分を折り目として、下側(前述した空間18の内側)へ折り曲げる。
すると、
図2(h)に示すように、上奥側端部17は、食品2の奥面8に沿って奥面8を外から覆う。また、上奥側端部17を折り曲げたことに応じて、左奥側端部15が、上面5の奥側左端と下奥側端部14の奥側左端周辺とを結ぶ線を折り目として右側へ折り畳まれ、奥側へ向けて細くなる略三角形状になる。また、上奥側端部17を折り曲げたことに応じて、右奥側端部16が、上面5の奥側右端と下奥側端部14の奥側右端周辺とを結ぶ線を折り目として左側へ折り畳まれ、奥側へ向けて細くなる略三角形状になる。
【0029】
なお、前述したはみ出し量X(
図2(a)参照)の大きさによって、折り畳まれた左奥側端部15および右奥側端部16が、奥側へ向けて細くなる略台形状になったり、折り曲げられた上奥側端部17の奥側部分が、食品2の奥面8から奥側へはみ出て下奥側端部14に上から重なったりしてもよい。
次いで、折り畳まれた左奥側端部15および右奥側端部16のそれぞれを、互いに接近する方向へ折り曲げる。
【0030】
すると、
図2(i)に示すように、左奥側端部15および右奥側端部16のそれぞれにおいて、奥側部分が、下奥側端部14の幅方向外側端部に対して上から折り重なる。同時に、
図2(j)に示すように、左奥側端部15および右奥側端部16のそれぞれにおいて、手前側部分(
図2(j)では奥側部分)が、上奥側端部17の幅方向外側端部に外から折り重なった状態で、食品2の奥面8に外側から沿う。
【0031】
左奥側端部15および右奥側端部16のそれぞれの奥側部分(
図2(j)では手前側部分)と下奥側端部14とが重なり合うことによって、糊代用フィン19が形成される。糊代用フィン19は、折り畳まれた包装紙3の一部である。糊代用フィン19は、平面視で奥側(
図2(j)では手前側)へ向けて幅狭となる略等脚台形状の薄板状をなしている。糊代用フィン19は、食品2の長手方向の一端から外側へ向けて下面6沿いに延び出ている(突出している)。
【0032】
以上により、包装紙3が食品2を包むように折り畳まれ、包装紙3による食品2の個別の包装(個包装)が完了する。なお、食品2の個包装の方法は、以上に説明した方法に限定されない。糊代用フィン19が形成されるのであれば、以上に説明した方法とは別の方法で包装紙3を折り畳んでもよい。
このように個包装された各食品2は、その長手方向における外側の位置に、糊代用フィン19を有している。換言すれば、糊代用フィン19は、食品2を包装した包装紙3において、長手方向で食品2の外側の位置に設けられている。
【0033】
個包装する際、食品2の長手方向における一端面(ここでは、手前面7)側では、従来と同様に、手前面7をピッタリと覆うように包装紙3が折り畳まれ(
図2(i)参照)、食品2の長手方向における他端面(ここでは、奥面8)では、奥面8を覆いつつ糊代用フィン19が形成されるように、包装紙3が折り畳まれる。
前述したように、包装紙3は、ミシン目50を境界として、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとに区画されている(
図2(a)参照)。包装紙3が食品2を個包装した状態(個包装状態)において、食品2の長手方向途中部(たとえば、長手方向略中央)に、ミシン目50が位置している。この状態で、ミシン目50は、食品2の長手方向の直交方向に延びて食品2を取り囲んでいる。そして、一方側用紙3Aによって糊代用フィン19が形成される。以下では、個包装状態の包装紙3において、一方側用紙3Aに相当する部分を、固着部48といい、ミシン目50に対する固着部48の反対側(他方側用紙3Bに相当する部分)を抜き取り部49という。換言すれば、一方側用紙3Aは、固着部48側を形成し、他方側用紙3Bは、抜き取り部49側を形成している。そして、個包装状態の包装紙3は、ミシン目50において、固着部48と抜き取り部49とに分離可能である。
【0034】
次に、個包装された食品2を包装容器4に収納する手順について説明する。
図3、
図4、
図5、
図7、
図8および
図9は、包装容器4を組み立てて食品包装体1を完成させる手順を説明するための斜視図である。
図6は、
図5の状態における食品2および包装容器4の要部断面図である。
図10は、
図9の状態における食品2および包装容器4の要部断面図である。
【0035】
まず、
図3に示すように、包装容器4の展開図に合わせてカットされた1枚の型紙20が準備される。この型紙20を折り畳むことで、包装容器4が組み立てられる。
以下では、
図3における型紙20の姿勢を基準として、食品2を包装容器4に収納して食品包装体1を完成させる手順について説明する。
型紙20は、下板21を含んでいる。下板21は、包装された食品2(糊代用フィン19も含む)より若干大きい長手方向寸法を有する長方形状である。下板21の奥側端部には、2本のミシン目22が幅方向(下板21の長手方向に直交する方向)に離れて形成されている。左側のミシン目22は、下板21の奥側の左端から右手前側へ直線状に延びており、右側のミシン目22は、下板21の奥側の右端から左手前側へ直線状に延びている。
【0036】
下板21の左端縁には、左板23が連結され、下板21の右端縁には、右板24が連結されている。左板23および右板24は、ともに、細長い長方形状であり、下板21と同じ長手方向寸法を有している。左板23および右板24のそれぞれの幅方向寸法は、同じである。
下板21の手前側端縁には、押さえ板25(折り返し部、折り曲げ部)が連結され、下板21の奥側端縁には、第1蓋板26が連結されている。押さえ板25および第1蓋板26は、ともに、幅方向に長手の長方形状である。押さえ板25および第1蓋板26のそれぞれの幅方向寸法は、下板21の幅方向寸法と同じである。
【0037】
ここで、下板21と、下板21に連結された押さえ板25とのまとまりを、内面壁(一内面壁)51という。内面壁51は、完成した包装容器4の内部空間を下側から区画する。押さえ板25は、内面壁51の手前側の端部であって、下板21との境界を折り目として、折り曲げ可能である。
左板23の奥側端縁には、奥側へ延びる第1左延設板27が連結され、左板23の手前側端縁には、手前側へ延びる第2左延設板28が連結されている。第1左延設板27および第2左延設板28は、ともに、左板23よりもやや幅狭であり、左板23において左側へ少し偏った位置に配置されている。左板23の左端縁には、上板29が連結されている。上板29は、下板21とほぼ同じ大きさの長方形状である。上板29の奥側端部の幅方向中央には、手前側へ向けて略U字状に窪むミシン目35が形成されている。ミシン目35の左端および右端は、上板29の奥側端縁に連続している。上板29において、ミシン目35に対して手前側から隣接する位置には、手前側へ向けて窪む略U字状をなす切込み36が形成されている。切込み36の幅方向中央には、切込み36から連続して奥側へ少し延びる補助切込み41が形成されている。
【0038】
右板24の奥側端縁には、奥側へ延びる第1右延設板30が連結され、右板24の手前側端縁には、手前側へ延びる第2右延設板31が連結されている。第1右延設板30および第2右延設板31は、ともに、右板24よりもやや幅狭であり、右板24において右側へ少し偏った位置に配置されている。第1左延設板27と第1右延設板30とは、ほぼ同一形状であり、第2左延設板28と第2右延設板31とは、ほぼ同一形状である。
【0039】
右板24の右端縁には、第1連結板32が連結されている。第1連結板32は、細長い略長方形状であり、右板24と同じ長手方向寸法を有している。第1連結板32の右端縁は、その途中位置から奥側へ向かって右板24へ近付くように傾斜している。
第1蓋板26の奥側端縁には、第2蓋板33が連結されている。第2蓋板33は、幅方向にやや長手の長方形状である。第2蓋板33の幅方向寸法は、第1蓋板26の幅方向寸法と同じである。第2蓋板33の奥側端縁の幅方向略中央には、奥側へ略円弧状に膨出する凸部34が一体的に設けられている。
【0040】
前述した上板29の左端縁には、第2連結板37が連結されている。第2連結板37は、上板29の長手方向において細長い長方形状である。第2連結板37の長手方向寸法は、上板29の長手方向寸法と同じである。第2連結板37の幅方向寸法は、右板24の幅方向寸法と同じである。
上板29の手前側端縁には、閉塞板38が連結されている。閉塞板38は、幅方向に長手の長方形状である。閉塞板38の幅方向寸法は、上板29の幅方向寸法と同じである。
【0041】
閉塞板38の手前側端縁には、折り曲げ板39が連結されている。折り曲げ板39は、幅方向に長手の長方形状である。折り曲げ板39の幅方向寸法は、閉塞板38の幅方向寸法と同じである。閉塞板38と折り曲げ板39との連結部分の幅方向両端には、切込み40が形成されている。左右の切込み40は、互いに接近する方向へ延びつつ、奥側へ湾曲している。
【0042】
このような型紙20において角をなす部分は、型紙20を折り曲げる際に引っ掛からないように丸められている。
そして、
図4に示すように、個包装された4本の食品2を、型紙20における下板21の上面に並べて載せる。つまり、これらの食品2を、組立前の包装容器4に収納する。下板21に載せられた各食品2では、下面6(
図2(a)参照)および糊代用フィン19のそれぞれが、下板21に対して上から対向している。各食品2では、抜き取り部49が下板21の奥側(第1蓋板26側)に位置していて、固着部48側が下板21の手前側(押さえ板25側)に位置している。
【0043】
この状態で、各食品2は、下板21からはみ出ていない。そのため、各食品2では、糊代用フィン19の先端(手前側の端)が、下板21の手前側端縁より僅かに奥側に位置している。そして、下板21に載せられた4本の食品2は、下板21(内面壁51)に沿って、平行に並んでいる。詳しくは、4本の食品2は、それぞれの長手方向に直交方向(幅方向)に並べて配置されており、それによって、各食品2の糊代用フィン19は、幅方向において順に隣接して配列されている。
【0044】
そして、
図5に示すように、押さえ板25が、下板21との境界を折り目として奥側へ折り曲げられ(折り返され)、下板21の上面の手前側端部および各食品2の糊代用フィン19に対して上から重ねられる。その際に、加熱溶解されたホットメルト接着剤44が、糊代用フィン19を挟み込んでいる下板21と押さえ板25との折り重なり部分の幅方向略全域に亘って、アプリケーター(図示せず)によって射出される。これにより、ホットメルト接着剤44が、押さえ板25に塗布され、さらに、下板21の上面の手前側端部および各食品2の糊代用フィン19に対して、これらを幅方向に横切るように接触する。また、配列された全ての糊代用フィン19が、押さえ板25(前述した内面壁51において折り曲げられた端部)と下板21(内面壁51において押さえ板25以外の部分)の手前側端部とによって挟み込まれる(
図6も参照)。
【0045】
この状態で、ホットメルト接着剤44は、冷却されて硬化する。これにより、ホットメルト接着剤44に接触していた押さえ板25および下板21と、押さえ板25および下板21に挟み込まれた状態でホットメルト接着剤44に接触していた各糊代用フィン19とが、ホットメルト接着剤44によって接着固定されて一体化される。その結果、個包装された各食品2が、糊代用フィン19において包装容器4に固定される。特に、糊代用フィン19を、包装容器4の内面壁51(下板21)および押さえ板25で挟み込み、ホットメルト接着剤44で包装容器4に固定するので、各食品2の糊代用フィン19を包装容器4に対して確実に固定できる。また、包装紙3として、銀紙を用いても、ホットメルト接着剤44は、銀紙の糊代用フィン19を良好に固定する。
【0046】
ここで、糊代用フィン19は、前述したように食品2の長手方向の一端から延び出るように形成されていて、食品2の外側の位置にある。包装紙3において食品2の外側の位置にある糊代用フィン19を、包装容器4の内面壁51および押さえ板25によって挟み込み、ホットメルト接着剤44で固定している。この場合、加熱されたホットメルト接着剤44の熱が食品2に伝わり難い。つまり、糊代用フィン19と包装容器4とを、ホットメルト接着剤44を用いて、食品2が熱の影響を受けることなく、接着することができる。換言すれば、ホットメルト接着剤44の熱がヒートショックとして食品2に伝わらない。
【0047】
特に、食品2がチョコレートである場合は、熱に晒されると溶解してブルームを起こし易いチョコレートにヒートショックを与えることなく、チョコレートの品質を良好に保持したまま、ホットメルト接着剤44による接着を行うことができる。
なお、ホットメルト接着剤44による接着方法については、上述した加熱された接着剤を糊代用フィン19の周囲に射出して接着する方法に代えて、予め押さえ板25にホットメルト接着剤44を塗布しておき、押さえ板25と下板21との間に糊代用フィン19を挟み込んだ後にヒーター等でホットメルト接着剤44を加熱して接着する方法を採っても良い。
【0048】
また、
図6に示すように、糊代用フィン19は、食品2の下面6と面一になるように食品2の長手方向の一端から延び出ている。
そのため、糊代用フィン19を、ホットメルト接着剤44で固定するために包装容器4の内面壁51および押さえ板25によって挟み込む際、食品2において長手面である下面6が包装容器4の内面壁51(下板21)に当接することで、食品2全体の位置が安定している。これにより、食品2の位置が安定した状態で、糊代用フィン19を固定することができる。
【0049】
なお、いわゆるピロー包装やツイスト包装の場合には、フィルム等の包装材に、外部へ突出するような形状の端部が形成されるので、この端部を、糊代用フィン19として使用することは理論上可能である。しかし、ピロー包装やツイスト包装において、この端部は、実際には、包装材の上面および下面のいずれかと面一となることはなく、上面と下面との間の中間位置に存在する。そのため、このような端部を、前述したように押さえ板25と下板21とで挟み込んで接着しようとすると、端部側を支点として、包装された商品(本実施形態でいう食品2)の全体が跳ね上がってしまい、包装された商品を包装容器4内でうまく固定できない虞がある。
【0050】
そこで、本発明では、このような不具合が生じないように、糊代用フィン19を、食品2の長手面(下面6)と面一になるように意図的に形成している。
そして、このように下板21上の4つの食品2をホットメルト接着剤44で下板21(未完成の包装容器4)に固定した後に、まず、
図7に示すように、左板23を下板21に対して直交するように上側へ折り曲げる。
【0051】
次いで、第1連結板32を右板24に対して直交するように折り曲げ、さらに、右板24を下板21に対して直交するように上側に折り曲げる。すると、第1連結板32が、
図7における右端の食品2の真上において略水平に延びる。
次いで、上板29を、左板23に対して直交し、かつ、下板21に対して、食品2を間に挟んで上から対向するように右側へ折り曲げる。そして、第2連結板37を上板29に対して直交するように下側へ折り曲げる。
【0052】
すると、
図8に示すように、第1連結板32が、下板21に間隔を隔てて上から対向している上板29の右端部に下側から当接し、第2連結板37が、右板24に対して右外側から接触する。粘着テープによる接着または溶着等によって、第1連結板32と上板29とは固着され、第2連結板37と右板24とは固着される。
その結果、手前側および奥側のそれぞれに開口42を有する中空体43が形成される。中空体43は、未完成状態の包装容器4である。なお、
図8では、説明の便宜上、手前側の開口42Aが見えやすくなるように、閉塞板38を開口42Aから離れる方向へ折り曲げている。
【0053】
手前側の開口42Aは、下板21、左板23、右板24および上板29の各手前側端縁によって区画されている。奥側の開口42Bは、下板21、左板23、右板24および上板29の各奥側端縁によって区画されている。両方の開口42は、ともに、幅方向に長手の矩形状である。
中空体43が形成された後、第2左延設板28および第2右延設板31を互いに接近する方向へ折り曲げる。そして、閉塞板38を上板29に対して直交するように下方へ折り曲げ、さらに、折り曲げ板39を閉塞板38に対して直交するように奥側へ折り曲げる。
【0054】
また、第1左延設板27および第1右延設板30を互いに接近する方向に折り曲げるとともに、第1蓋板26を下板21に対して直交するように上側へ折り曲げ、さらに、第2蓋板33を第1蓋板26に対して直交するように手前側へ折り曲げる。
すると、
図9に示すように、閉塞板38によって手前側の開口42Aが手前側から塞がれ、第1蓋板26によって奥側の開口42Bが奥側から塞がれる。このとき、折り曲げ板39(
図8参照)が、第2左延設板28および第2右延設板31(
図8参照)と下板21の手前側端縁との間に嵌っているので、閉塞板38が手前側の開口42Aを塞いだ状態が維持されている。また、第2蓋板33は、上板29においてミシン目35に囲まれた部分(分離部分45であり、
図8参照)に対して、前述した粘着テープによる接着または溶着等によって固着されている。そのため、第2蓋板33に連結された第1蓋板26が奥側の開口42Bを塞いだ状態が維持されている。ここで、第1蓋板26および第2蓋板33のまとまりを蓋52というと、蓋52は、閉じて開口42Bを塞いでいる。
【0055】
以上で、包装容器4および食品包装体1が完成する。完成した食品包装体1では、包装紙3で個包装された4つの食品2が包装容器4に収納されている。なお、食品2の個数は、4つに限定されず、用途に応じて増減させることが可能である。完成した食品包装体1では、包装容器4内において、折り返された押さえ板25および各食品2の糊代用フィン19が配置される空間53が区画されている(
図10参照)。この空間53があることで、開口42Aを閉じた閉塞板38と各食品2の間に間隔が確保されるので、たとえば、食品包装体1を床に落として閉塞板38が床面にぶつかったとき、その衝撃が食品2に伝わることを防止できる。
【0056】
そして、完成した食品包装体1から食品2を取り出して食べたい場合には、第2蓋板33の凸部34を摘んで、上板29から離れる方向(
図9では上側)へ引っ張る。すると、
図1(a)に示すように、第2蓋板33に固着された分離部分45と上板29(分離部分45以外の部分)とがミシン目35において分離し、第2蓋板33が、分離部分45を伴ったまま、上板29から外れる。
【0057】
これにより、第1蓋板26が奥側の開口42Bから離れて蓋52が開くので、この開口42Bが開放される。また、上板29において分離部分45があった部分には、分離部分45と同じ大きさで開口42Bに連続する切欠き46が形成される。その結果、包装容器4内に収納された4つの食品2が、奥側の開口42Bおよび切欠き46から露出される。このとき、各食品2では、包装紙3の抜き取り部49が開口42Bおよび切欠き46から露出される。
【0058】
なお、開口42Bを完全に開くために、第1左延設板27および第1右延設板30を、互いに離れる方向へ折り曲げるとよい。
また、
図1(b)に示すように、凸部34を包装容器4の下板21側までさらに引っ張って蓋52を開くと、下板21の左右のミシン目22が切れ、これにより、下板21において左右のミシン目22によって挟まれた部分に、開口42Bに連続する切欠き47が形成される。そのため、包装容器4内の4つの食品2のそれぞれにおいて、包装紙3の抜き取り部49が、奥側の開口42Bおよび切欠き46(
図1(a)参照)だけでなく、切欠き47からも露出される。包装容器4内の食品2が見えにくい(摘みにくい)場合に、切欠き47が形成されるまで蓋52が開かれる。
【0059】
図11は、包装容器4から食品2を取り出す手順を説明するための斜視図である。
図12は、食品包装体1の要部断面図であって、包装容器4から食品2を取り出す様子を示している。
図11を参照して、蓋52を開いてから、奥側の開口42Bおよび切欠き46(さらには、前述した切欠き47)から露出された食品2の包装紙3の抜き取り部49を摘んで引っ張る(
図11における上から2番目の食品2を参照)。なお、
図11に示すように、蓋52が開いた食品包装体1をテーブルなどに載せると、蓋52の第2蓋板33がテーブルに当接することで、開口42Bが斜め上方を向くように、食品包装体1が傾いて配置される。この場合、斜め上方から開口42Bにアクセスできるので、抜き取り部49を摘みやすい。
【0060】
ここで、包装容器4内において、配列された食品2の糊代用フィン19が、包装容器4の内面壁51(下板21)および押さえ板25によって挟み込まれ、この状態でホットメルト接着剤44で固定されている。つまり、糊代用フィン19を有する固着部48が包装容器4に固定されている(
図10も参照)。そのため、抜き取り部49を引っ張ると、ミシン目50によって、固着部48と抜き取り部49とが分離される。つまり、固着部48側の一方側用紙3Aと抜き取り部49側の他方側用紙3Bとが、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとの境界のミシン目50で確実に分離される。そのため、食品2において今まで抜き取り部49に覆われていた部分を確実に露出させることができる。
【0061】
そして、食品2において露出された部分を片手で摘んだり、この部分を咥えたりすることによって、片手が塞がっている場合でも、食品2全体を包装容器4から容易に取り出して食べることができる。特に、食品2において露出された部分を咥えて食品2を包装容器4から取り出し、そのまま食べることで、食品2を手で触らずに食べることができて衛生的である。また、食品2がチョコレートの場合には、手をチョコレートで汚さずに食べることができ、便利である。
【0062】
または、
図12(a)を参照して、固着部48から分離された抜き取り部49とともに、抜き取り部49に覆われた食品2を太線矢印の方向へ引っ張ることで、
図12(b)に示すように、食品2全体を包装容器4から取り出すことができる。そして、このように取り出された食品2では、今まで固着部48に覆われていた部分が露出しているので、この部分から食品2を食べることができる。その際、抜き取り部49(包装紙3)を介して食品2を保持できることから、手Hで食品2を直接触れずに済むので、衛生的である。
【0063】
また、このように食品2を食べるために包装紙3の抜き取り部49を引き抜いて包装紙3を剥がすという動作に意外性があり、この食品包装体1に触れた者に対して、食品2を食べる楽しみだけでなく、包装紙3の抜き取り部49を引き抜いて剥がす楽しみを提供できる。また、抜き取り部49を引き抜けば、包装紙3が部分的に一度に剥がれるので、包装された食品2を包装容器4から取り出して包装紙3を指先で摘んで剥くという手間を省くことができる。
【0064】
なお、包装容器4内に食品2が残っている場合には、
図1(a)を参照して、凸部34を摘み、第1蓋板26が奥側の開口42Bを塞ぐように第2蓋板33を動かして蓋52を閉じる。そして、凸部34を上板29の切り込み36に差し込めば、第1蓋板26が奥側の開口42Bを塞いだ状態(蓋52が閉じた状態)が維持されるので、包装容器4内に残った食品2を次に食べるときまで保存することができる。
【0065】
図13は、変形例に係る包装紙3の斜視図であって、(a)は、食品2を包装する前の状態を示し、(b)は、食品2を包装した後の状態を示している。
図14は、
図13の包装紙3を用いた食品包装体1の要部断面図であって、包装容器4から食品2を取り出す様子を示している。
前述した包装紙3では、その長手方向途中に形成したミシン目50において一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとが連結されており、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとを互いに離れる方向へ引っ張ることで、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとはミシン目50で分離する(
図2(a)参照)。
【0066】
図13に示す変形例の包装紙3は、一方側用紙3Aおよび他方側用紙3Bのそれぞれの端部を重ね合わせることで構成されている。
詳しくは、
図13(a)の姿勢を基準にして、手前側の一方側用紙3Aの奥側端部に対して、奥側の他方側用紙3Bの手前側端部を、幅方向全域に亘って重ね合わせる。これにより、一方側用紙3Aおよび他方側用紙3Bのそれぞれには、重なり部K(分離手段)が存在する。
【0067】
ここで、一方側用紙3Aの奥側端部に他方側用紙3Bの手前側端部を単に重ねただけでは、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとが重なり部Kですぐに分離してしまう虞があるので、必要に応じて、重なり部Kにおける一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとを部分的に軽く接着しておいても構わない。
図13(a)では、一例として、重なり部Kにおける幅方向両端部および幅方向中央部の接着箇所54において、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとが接着されている。一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとは、前述したように接着箇所54で軽く接着されているので、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとを互いに離れる方向へ引っ張ると、これらは容易に分離する。
【0068】
そして、一方側用紙3Aおよび他方側用紙3Bのそれぞれの端部を重ね合わせて構成された包装紙3で、前述した実施形態と同様の手順で、食品2を個包装する(
図2参照)。個包装が完了した状態が、
図13(b)に示されている。変形例の包装紙3を用いても、前述した実施形態と同様に、一方側用紙3Aによって糊代用フィン19が形成され、この糊代用フィン19は、
図14(a)に示すように、包装容器4の内面壁51(下板21)および押さえ板25によって挟み込まれてホットメルト接着剤44で固定されている。そのため、一方側用紙3Aは、前述した固着部48側を形成し、他方側用紙3Bは、前述した抜き取り部49側を形成している。固着部48と抜き取り部49とは、重なり部Kで重なっている。
【0069】
この状態で、包装容器4の蓋52を開き(
図11参照)、太線矢印で示すように、手Hで抜き取り部49を摘んで引っ張る。すると、今まで重なり部Kにおいて固着部48の端部に重なっていた抜き取り部49が、
図14(b)に示すように、固着部48から離れる。つまり、固着部48と抜き取り部49とが、一方側用紙3Aと他方側用紙3Bとの重なり部Kで確実に分離される。これにより、食品2において今まで抜き取り部49に覆われていた部分を確実に露出させることができる。
【0070】
そして、前述したように、食品2において露出された部分を片手で摘んだり、この部分を咥えたりすることによって、片手が塞がっている場合でも、食品2全体を包装容器4から容易に取り出して食べることができる。
または、固着部48から分離された抜き取り部49とともに、抜き取り部49に覆われた食品2も引っ張ることで、食品2全体を包装容器4から取り出すことができる。そして、このように取り出された食品2では、今まで固着部48に覆われていた部分が露出しているので、手Hで食品2に直接触れることなく、露出された部分から食品2を食べることができる。
【0071】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述した食品2は、チョコレートだったが、チョコレート以外で熱に弱い食品も食品2に含まれる。