特開2017-36601(P2017-36601A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017036601-窓枠 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-36601(P2017-36601A)
(43)【公開日】2017年2月16日
(54)【発明の名称】窓枠
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20170127BHJP
   E06B 1/28 20060101ALI20170127BHJP
   E06B 3/22 20060101ALI20170127BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20170127BHJP
   E06B 3/263 20060101ALI20170127BHJP
【FI】
   E06B5/00 B
   E06B1/28
   E06B3/22
   E06B1/18 K
   E06B3/263 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-158380(P2015-158380)
(22)【出願日】2015年8月10日
(71)【出願人】
【識別番号】300088186
【氏名又は名称】株式会社エクセルシャノン
(71)【出願人】
【識別番号】310010575
【氏名又は名称】地方独立行政法人北海道立総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501382786
【氏名又は名称】中島硝子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】高田 和規
(72)【発明者】
【氏名】細川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】立松 宏一
(72)【発明者】
【氏名】村田 さやか
(72)【発明者】
【氏名】廣田 誠一
(72)【発明者】
【氏名】北谷 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大隆
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝司
(72)【発明者】
【氏名】青柳 隆
(72)【発明者】
【氏名】船尾 真充
(72)【発明者】
【氏名】政田 圭三
【テーマコード(参考)】
2E014
2E039
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA08
2E014BB01
2E039AB01
(57)【要約】
【課題】枠フレーム(8)と框フレーム(10)とを具備し、枠フレーム(8)と框フレーム(10)との間には密閉された中空部(16)が存在する形態の窓枠(4)の断熱性を向上せしめる。
【解決手段】中空部(16)を気密に仕切る少なくとも1個の仕切り部材(30)を中空部(16)内に配設する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠フレームと框フレームとを具備し、該枠フレームと該框フレームとの間には密閉された中空部が存在する窓枠にして、
該中空部内には、該中空部を気密に仕切る少なくとも1個の仕切り部材が配設されている、ことを特徴とする窓枠。
【請求項2】
該枠フレームと該框フレームとは共に合成樹脂製である、請求項1記載の窓枠。
【請求項3】
該仕切り部材は合成樹脂製である、請求項1又は2記載の窓枠。
【請求項4】
該仕切り部材は軟質塩化ビニル製である、請求項3記載の窓枠。
【請求項5】
該仕切り部材は、該枠フレームと該框フレームとの一方に固定された基部と該基部から延出して自由端縁は該枠フレームと該框フレームとの他方に密接せしめられている仕切り部とから構成されている、請求項1から4までのいずれかに記載の窓枠。
【請求項6】
該仕切り部材は長手方向において該枠フレーム及び該框フレームの全長に渡って延びている、請求項1から5までのいずれかに記載の窓枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠フレームと框フレームとを具備し、枠フレームと框フレームとの間には密閉された中空部が存在する形態の窓枠に関する。
【背景技術】
【0002】
旋回式窓等のための窓枠として、枠フレームと框フレームとを具備する窓枠が広く実用に供されている。枠フレームと框フレームとは適宜の連結手段によって連結され、両者間には密閉された中空部が存在する。寒冷地で使用されるために優れた断熱性が要求される場合、通常、枠フレームと框フレームとの双方とも硬質塩化ビニルの如く適宜の合成樹脂から形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したとおり枠フレームと框フレームとの双方が適宜の合成樹脂製である場合、比較的高い断熱性を得ることができるが、特にガラスとして複数枚のガラス板が間隔をおいて積層配列され高断熱性を有する積層ガラスが用いられる場合、窓枠の断熱性をより一層向上せしめることが望まれる。
【0004】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、枠フレームと框フレームとを具備し、枠フレームと框フレームとの間には密閉された中空部が存在する形態の窓枠の断熱性を向上せしめることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討の結果、中空部を気密に仕切る少なくとも1個の仕切り部材を中空部内に配設することによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0006】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する窓枠として、枠フレームと框フレームとを具備し、該枠フレームと該框フレームとの間には密閉された中空部が存在する窓枠にして、
該中空部内には、該中空部を気密に仕切る少なくとも1個の仕切り部材が配設されている、ことを特徴とする窓枠が提供される。
【0007】
該枠フレームと該框フレームとは共に合成樹脂製であるのが好都合である。該仕切り部材は合成樹脂製、特に軟質塩化ビニル製である、のが好ましい。該仕切り部材は、該枠フレームと該框フレームとの一方に固定された基部と該基部から延出して自由端縁は該枠フレームと該框フレームとの他方に密接せしめられている仕切り部とから構成されているのが好適である。好適には、該仕切り部材は長手方向において該枠フレーム及び該框フレームの全長に渡って延びている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の窓枠によれば、後述する実施例及び比較例における通過熱流量の算出から明確に理解されるとおり、仕切り部材によって中空部が気密に仕切られることに起因して断熱性が向上せしめられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に従って構成された窓枠の好適実施形態を備えた窓の一部を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成された窓枠の好適実施形態を備えた窓の一部を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
【0011】
図1には、旋回窓の一部の横断面が図示されている。全体を番号2で示す窓は、本発明に従って構成された窓枠4とこの窓枠4に装着されたガラス6とから構成されている。全体を図示していないが、窓枠4は矩形枠形状であり、ガラス6は矩形状である。
【0012】
窓枠4は枠フレーム8と框フレーム10とを含んでいる。枠フレーム8と框フレーム10とは共に硬質塩化ビニルの如き適宜の合成樹脂から押出成形されているのが好都合である。框フレーム10には鋼製の補強フレーム11が配設されている。周知の如く、押出成形され直線状に延在するフレーム部材を夫々上下方向及び左右方向に間隔をおいて一対配列し、例えば45度でよい角度で切断されたフレーム部材の端縁を4個の角部で溶着することによって、窓枠4を形成することができる。図示の実施形態においては、枠フレーム8には軟質ポリ塩化ビニル或いは適宜の合成ゴムの如き柔軟な材料から形成されているシール部材12が装着されており、框フレーム10には同様に柔軟な材料から形成されているシール部材14が装着されている。枠フレーム8と框フレーム10とは上記シール部材12及び14を介して密接せしめられ、締結ネジの如き適宜の連結手段(図示していない)によって相互に連結されている。そして、枠フレーム8と框フレーム10との間には密閉された中空部16が存在する。
【0013】
図1を参照して説明を続けると、框フレーム10には柔軟な材料から形成させているシール部材20を有する押縁18が装着されていると共に押縁18に対向して同様に柔軟な材料から形成されているシール部材シール部材22が装着されている。押縁18は硬質塩化ビニルの如き適宜の合成樹脂から形成することができる。押縁18のシール部材20とシール部材22との間にガラス6の周縁部が装入されている。ガラス6の端縁と框フレーム10との間には、一般にエッジクリアランスと称されている空隙24が存在する。図示の実施形態におけるガラス6は適宜の合成樹脂から形成することができるスペース部材26を介して積層された3枚の板ガラス28を含んでいる。
【0014】
而して、図示の窓2における上述した構成は、本発明に従って構成された窓枠4の新規な特徴をなすものではなく、当業者には周知の構成であり、それ故にこれらについての詳細な説明は本明細書においては省略する。
【0015】
本発明に従って構成された窓枠4においては、枠フレーム8と框フレーム10との間に存在する密閉された中空部16内に、中空部16を気密に仕切る少なくとも1個の仕切り部材30が配設されていることが重要である。図示の実施形態においては、中空部16内に1個の仕切り部材30が配設されていて、中空部16は2個の中空部、即ち図1において仕切り部材30よりも上方の中空部と仕切り部材30よりも下方の中空部、に仕切られている。比較的軟質の合成樹脂、例えば軟質塩化ビニル、から形成されているのが好適である仕切り部材30は、枠フレーム8に固定された基部30aとこの基部30aから延出して自由端縁は框フレーム10に密接せしめられている仕切り部30bとから構成されている。仕切り部材30の基部30aは、例えば接着によって枠フレーム8に固定することができる。所望ならば、枠フレーム8と仕切り部材30とを共押出成形により一体的に成形することによって、仕切り部材30の基部30aを枠フレーム8に固定することもできる。仕切り部材30は長手方向(図1において紙面に垂直な方向)においては枠フレーム8及び框フレーム10の実質上全長に渡って延びているのが好適である。図示の実施形態においては、仕切り部材30の基部30aを枠フレーム8に固定し、仕切り部30bの自由端縁を框フレーム10に密接せしめているが、これに代えて仕切り部材30の基部30aを框フレーム10に固定し、仕切り部30bの自由端縁を枠フレーム8に密接せしめることもできる。
【0016】
実施例
本発明に従って構成された図1に示す窓枠4、更に詳しくは株式会社エクセルシャノンから商品名「トリプルシャノンII」として販売されている窓枠(図1は、仕切り部材30を除いて、この窓枠の断面図を正確に図示している)に仕切り部材30を付加した窓枠4、の熱貫流率Uを、JIS A2102-2:窓及びドアの熱性能−熱貫流率の計算−第2部:フレームの数値計算法に基づき、一般社団法人リビングアメニティ協会から発行されているフレーム断面の2次元熱流解析ソフト「TB2D/BEM Ver」を用いて算出した。仕切り部材30は、肉厚1.5mmの軟質ポリ塩化ビニル製で、熱伝導率は1.4W/m・Kであった。商品名「トリプルシャノンII」として販売されている上記窓枠は、図1における寸法Afが95mmで、T1が80mmで、W1が15mmであった。枠フレーム8、框フレーム10及び押縁18は硬質塩化ビニル製で、熱伝達率は0.17W/m・Kであった。シール部材12、14、20及び22は軟質ポリ塩化ビニル製で、熱伝導率は0.14W/m・Kであった。補強材11は鋼製で、熱伝導率は50W/m/Kであった。
算出された熱貫流率Uは1.54W/m/Kであった。
【0017】
比較例
比較のために、仕切り部材30が配設されていないことを除いて図1に示す窓枠と同一の窓枠、即ち株式会社エクセルシャノンから商品名「トリプルシャノンII」として販売されている窓枠の熱貫流率Uを、実施例と同様にして算出した。
算出された熱貫流率Ufは1.61W/m・Kであった。
【0018】
上記実施例及び比較例から、本発明に従って、枠フレーム8と框フレーム10との間に存在する密閉された中空部16内に、中空部16を気密に仕切る1個の仕切り部材30を配設することによって、通過熱流量Uを4%程度低減して断熱性を向上せしめることができることが理解される。
【符号の説明】
【0019】
2:窓
4:窓枠
6:ガラス
8:枠フレーム
10:框フレーム
16:中空部
30:仕切り部材
30a:仕切り部材の基部
30b:仕切り部材の仕切り部
図1