【解決手段】コンタクトレンズ10は、コンタクトレンズを着用しているユーザの瞳孔に配置されるように構成されたレンズチャンバ18と、レンズチャンバに流体接続されたリザーバ20と、レンズチャンバとリザーバとの間で流体を前後に移送するように構成されたアクチュエータ28と、ユーザからの動きを感知し、ユーザによって所定の動きが行われたときに制御信号を伝送するように構成されたセンサ34と、センサからの制御信号の受信時にアクチュエータを作動させるように構成されたプロセッサ40とを含む。
前記センサは前記コンタクトレンズを着用している前記ユーザによる瞬きを検出するように構成された圧力センサであり、前記所定の動きは所定の瞬きパターンであることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記センサは、前記ユーザの眼球の動きを検出するように構成されたマイクロ加速度計であり、前記所定の動きは前記ユーザの眼球の所定の動きパターンであることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記センサは前記ユーザの眉の動きを検出するように構成されたセンサであり、前記所定の動きは前記ユーザの眉の所定の動きパターンであることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
前記コンタクトレンズにわたる温度勾配からの電力を利用することにより、電力を前記容量性電源に供給するように構成された熱電発生装置をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
瞬き圧力による力を電気に変換して、これを前記容量性電源内に貯蔵するように構成された圧電部品をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のコンタクトレンズ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して説明される。
【0013】
特定の構成及び配置が論じられるが、これは単に例示目的でなされるにすぎないことを理解すべきである。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成及び配置を用い得ることを認識するであろう。当業者には、本発明を種々の他の用途にも用い得ることが明らかであろう。
【0014】
本明細書において、「一実施形態」、「1つの実施形態」、「例示的な実施形態」等への言及は、説明される実施形態が、特定の特徴、構造又は特性を含むことがあるが、必ずしも全ての実施形態がその特定の特徴、構造又は特性を含むわけではないことを示していることが留意される。さらに、こうした句は、必ずしも同一の実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性が、実施形態と関連して説明される場合、明示的に説明されているにせよそうでないにせよ、他の実施形態と関連してそうした特徴、構造又は特性を生じさせることは、当業者の知識の範囲内にある。
【0015】
多くの個人は、視力を改善するために、眼鏡、コンタクトレンズ等に依存している。流体充填調整可能レンズは、従来の固定屈折力レンズ・デバイスに優る利点を有する。
【0016】
幾つかの実施形態において、流体充填レンズは、着用者により、所望の屈折力範囲にわたって連続的に調整することができる。これにより、ユーザが、屈折力を調整し、特定の明るい環境おける特定の物体距離についての屈折異常を正確に適合させて、着用者の瞳孔サイズに依存する目の生来の焦点深度の変更を補償することが可能になる。幾つかの実施形態においては、代替的に又は付加的に、流体充填レンズを使用して人間の視力の生理的範囲外に像を拡大することができる。
【0017】
一部の個人は、異なる光学特性をもたらす別個のレンズ領域を有する眼鏡又はコンタクトを着用する。例えば、第1の領域は近視用に矯正し、一方、第2の領域は遠視用に矯正することができる。代替的に、領域の一方又は両方が、ほとんど又は全く光学的矯正をもたらさないことがある。そうした多焦点レンズの例には、多くの場合、視覚可能な線によって別個の領域に分離される従来の二焦点レンズ及び三焦点レンズが含まれる。別のタイプの多焦点レンズは、累進多焦点レンズとして知られている。このレンズにおいては、光学特性の段階的変化により、別個の領域が分離される。ユーザは、そうした多焦点レンズ及び累進多焦点レンズが、歪み、像の跳躍(image jump)及び/又は制限された光学ゾーン(optical zone)に悩まされることに不満を述べることが多い。
【0018】
図1及び
図2は、それぞれ、本発明の1つの実施形態によるコンタクトレンズ10の正面図及び側面図を示す。コンタクトレンズ10は、前面12及び後面14を含み、前面12と後面14との間に配置された流体充填レンズモジュール16を含む。流体充填レンズモジュール16は、リザーバ20に流体シールされたレンズチャンバ18を含む。レンズチャンバ18は、後面膜24に流体シールされた前面膜22を含み、開口部26はリザーバ20につながっている。流体充填レンズモジュール16の屈折力を変更するために、アクチュエータ28がリザーバ20を操作して、流体をレンズチャンバ18とリザーバ20との間で移送し、それにより前面膜22及び後面膜24の形状が変化する。
図1において、レンズチャンバ18は、ユーザに、はっきりした歪みのない視覚を与えるように構成された光学ゾーン30を定める。本実施形態において、光学ゾーン30は、レンズチャンバ18とおおよそ同じサイズである。他の実施形態においては、光学ゾーン30は、要望に応じて、レンズチャンバ18より大きくても又は小さくてもよい。
【0019】
一実施形態において、レンズモジュール16の総流体量は約5×10
-5ccであり、レンズチャンバ18自体の流体量は約0.14mm
3又は1.4×10
-5ccである。一実施形態において、レンズチャンバ18における屈折力を、3.0ジオプトリだけ増大させるのに必要とされる付加的な流体は、1.4×10
-5ccである。
【0020】
1つの実施形態において、液体がレンズチャンバ18の中又は外に移動すると、前面膜22の曲率が、遠い焦点に適した屈折力と近い焦点に適した屈折力との間で変化する。幾つかの実施形態においては、前面膜22もまたコンタクトレンズ10の前面12を変形させ、結果的に前面12の曲率がより大きくなり、これにより大きい屈折力をもたらすことができる。他の実施形態においては、膜22、24の一方又は両方が膨張又は収縮したときに、前面12は変形しない。一実施形態において、膨張した膜は、負の球面収差を有する非球面形状であり、これは、近視に悩む個人にとって有用であり得る。一実施形態において、最大膨張時のピーク膨出部は、個人の角膜への圧力の大幅な上昇をもたらさない。例えば、そのような一実施形態において、最大膨張は、3.5mmの直径の光学系に対して、1ジオプトリ当たり約3ミクロンとすることができる。
【0021】
一実施形態において、レンズチャンバ18の変形は、非球状の撓みをもたらし得る。これに対応するために、コンタクトレンズ10の前面12及び後面14を非球面とし、撓みがもたらすあらゆる非点収差を補正することができる。例えば、一実施形態においては、前面12が変形により発生した非点収差を打ち消すことができ、一方、別の実施形態においては、後面14が変形を打ち消す。付加的に又は代替的に、前面膜22及び後面膜24の一方又は両方の厚さを、膨張時に膜の球状の変形を生じさせるように輪郭付けすることができる。例えば、1つの実施形態において、前面膜22は、前面膜22の他の部分より可撓性のあるはめ込み部分を含むので、レンズチャンバ18とリザーバ20との間の流体の移送により、はめ込み部分以外の前面膜22の部分を実質的に変化させずに、はめ込み部分の形状が球状に変化する。
【0022】
図1に示されるように、光学ゾーン30は、コンタクトレンズ10の中央に位置し、ユーザの目の瞳孔の中央が中心となるように設計される。光学ゾーン30の直径は、ユーザの瞳孔サイズに対応するように、3mmから6mmまでの範囲に及ぶことができる。一実施形態において、光学ゾーン30の直径は3.5mmである。しかしながら、光学ゾーン30は、必要に応じて、ユーザの瞳孔よりも著しく小さいものであっても又は大きいものであってもよい。
図1において、コンタクトレンズ10、レンズチャンバ18及び光学ゾーン30の形状は円形であるが、これらの形状構成の1つ又はそれ以上は、長円形又は楕円形などのいずれかの他の適切な形状とすることができる。一例として、一部のユーザは、より大きい水平方向範囲を有する光学ゾーンを望むことがある。
図1の実施形態における光学ゾーン30に対応するレンズチャンバ18の外縁部32は、コンタクトレンズ10内に滑らかに移行できるので、像の跳躍又は知覚可能な像の歪みが回避される。幾つかの実施形態において、移行ゾーンの幅は、約2−3mmである。幾つかの実施形態において、移行ゾーンの長さは、は1−5mm長である。このゾーンの視覚機能は、光学ゾーン30と比べると重要ではないので、移行ゾーンの長さは、このゾーン内の屈折力の勾配により決定することができる。リザーバ20は光学ゾーン30の外に、従って、ユーザの視野の外に配置されるので、リザーバ20内に貯蔵される流体が、ユーザの視覚に影響を与えない。
【0023】
一実施形態において、前面膜22及び後面膜24は、膜材料の単一の連続部品から形成される。他の実施形態においては、膜は、1つ又はそれ以上の縁部に沿って互いにシールされた別個の部品とすることができる。例えば、前面膜22及び後面膜24は、その外縁部32を介して互いにシールすることができる。シールの開口部26はリザーバ20に配置され、流体がレンズチャンバ18とリザーバ20との間で流れるのを可能にする。リザーバ20は、実質的に矩形で、光学ゾーン30から遠ざかるように半径方向に延びるように
図1に示されている。しかしながら、リザーバ20は、正方形、円形、長円形、三角形、又はいずれかの他の適切な形状とすることができる。幾つかの実施形態において、リザーバ20は、部分的に半径方向に延びるだけである。例えば、幾つかの実施形態においては、リザーバ20は実質的に「L」字形状であり、リザーバの一部分が、光学ゾーン30の外縁部32に対して同心円状に延びる。
【0024】
一実施形態において、前面膜22及び後面膜24は、実質的に同じ形状及びサイズである。一実施形態において、前面膜22及び後面膜24の両方とも可撓性シートである。他の実施形態においては、前面膜22及び後面膜24の一方だけが可撓性である。前面膜22及び後面膜24は、2つの膜の間に流体エンベロープを形成するように構成される。2つの膜は、接着剤、超音波溶接又はいずれかの類似のプロセスなどの任意の適切な方法によって互いに固定することができる。膜22及び24は、熱シール、接着剤シール、又はレーザ溶接のようないずれかの周知の方法により、コンタクトレンズ10にシールすることができる。膜22及び24を少なくとも部分的に支持要素に接合し、次いでコンタクトレンズ10に接合することができる。膜22及び24は、シールされたときに実質的に平坦にすることができるが、特定の曲率又は球面幾何学的に熱成形することができる。
【0025】
特定の実施形態において、膜22及び24自体には、その光学特性の制約がない。他の実施形態において、膜22及び24は、レンズモジュール16内の流体の光学特性と適合する、例えば屈折率などのその光学特性の制約がある。
【0026】
本明細書に記載されるコンタクトレンズの実施形態における部品の各々についての材料の選択は、機械的特性、温度感受性、分散のような光学特性、成形性特性、又は当業者に明らかないずれかの他の要因の要求によって知ることができる。一実施形態において、膜の厚さは、3ミクロンから10ミクロンまでの間の範囲、又はいずれかの他の適切な厚さとすることができる。膜は、例えば、これらに限定されるものではないが、透明かつ弾性のポリオレフィン、ポリシクロ脂肪族化合物、ポリエーテル、ポリエステル、ポリイミド、及びポリ塩化ビニリデンフィルムなどの、可撓性かつ透明の不透水性材料で作製することができる。膜材料として用いるのに適した他のポリマーには、例えば、これらに限定されるものではないが、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンのポリマー、及び脂肪族又は脂環式ポリエーテルが含まれる。本明細書に記載される膜は、脂環式炭化水素のような生体適合性の不透水性材料で作製することができる。前面膜22及び後面膜24は同じ材料又は異なる材料で作製することができる。
【0027】
リザーバもまた、可撓性かつ透明の不透水性材料で作製することができる。一実施形態において、リザーバと膜は、同じ材料で作製される。他の実施形態においては、リザーバと膜は異なる材料のものである。リザーバは、例えば制限なく、デラウェア州Wilmington所在のDuPont Performance Elastomers LLCにより供給されている熱収縮性VITON(登録商標)のようなポリ二フッ化ビニリデン、独国Mechenheim所在のDSG−CANUSAにより製造されるDERAY−KYF190(可撓性)、ペンシルバニア州Berwyn所在のTyco Electronics Corp.(以前はRaychem Crop.)により製造されるRW−175(半剛性)又はいずれかの他の適切な材料で作製することができる。リザーバの付加的な実施形態は、引用により本明細書に組み入れられる特許文献5に記載される。
【0028】
幾つかの実施形態において、コンタクトレンズ10の前面12は球状であり、その表面全体にわたって同じ曲線を有することができる。一実施形態において、後面14は非球面であり、注視角度(gaze angle)の関数としてより薄いプロファイル及び所望の屈折力プロファイルを提供するように、レンズの中央から縁部まで徐々に変化する、前面の曲率より複雑な曲率を有し、注視角度は、本明細書では、実際の視線と流体を含むレンズの主軸との間に形成される角度として定められる。
【0029】
一実施形態において、前面12は、メニスカス形状を有する、すなわちその前側は凸状であり、後側は凹状である。従って、前面12及び後面14の両方とも同じ方向に湾曲する。後面14は、中央がより厚く縁部がより薄いものとすることができる、すなわち前面12の曲率半径は後面14の曲率半径より小さい。
【0030】
一実施形態において、コンタクトレンズ10は、1.42から1.46までの屈折率を有するシリコーンハイドロゲル架橋ポリマーのような従来のソフトコンタクトレンズ材料で作製される。コンタクトレンズ10は、代替的に、ガラス、プラスチック、又はいずれかの他の適切な材料で作製された硬質光学レンズとすることができる。幾つかの適当な材料には、例えば制限なく、ジエチルグリコールビスアリルカーボネート(DEG−BAC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)及びポリ尿素複合体、ビスフェノールAのポリカーボネート又はCR−39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)が含まれる。コンタクトレンズ10は、耐衝撃性ポリマーで作製することができ、スクラッチ耐性コーティング又は反射防止コーティングを有することができる。
【0031】
流体レンズに用いられる流体は、無色の流体とすることができるが、他の実施形態は、用途に応じて、色のついた流体を含むことができる。用いることができる流体の一例は、ミシガン州Midland所在のDow Corningによって、「拡散ポンプ油」という名で製造されており、これは、一般に「シリコーン油」とも呼ばれている。幾つかの実施形態において、流体は、コンタクトレンズ材料と適合する屈折率を有する脂肪族ポリシロキサンとすることができる。
【0032】
上述のように、コンタクトレンズ10は、リザーバ20を圧縮して、リザーバ20と光学ゾーン30との間で流体を移送するように動作し、それによってレンズチャンバ18を変形させるアクチュエータ28を含む。一実施形態において、アクチュエータ28は、圧電アクチュエータである。例えば、アクチュエータ28は、材料にわたって電圧が印加されると変形するように構成された圧電材料を含むことができる。一実施形態において、圧電材料は、これに取り付けられた透明電極を含む。1つの実施形態において、アクチュエータ28は、リザーバ20にぶつかり、かつ、リザーバ20に対して実質的に横断方向の反対方向に移動可能である。リザーバ20に向かう方向へのアクチュエータ28の移動は、リザーバ20内の圧力を上昇させ、リザーバ20から離れる方向へのアクチュエータ28の移動は、リザーバ20内の圧力を低下させる。一実施形態において、圧電アクチュエータ28は、コンタクトレンズ10を着用しているユーザには気にならない。
【0033】
適切な圧電材料の例は、チタン酸バリウム、ロッシェル塩、水晶、電気石、リン酸ニ水素カリウム(KDP)、リン酸二水素アンモニウム(ADP)、ニオブ酸リチウムなどの圧電物質、圧電物質の多結晶、圧電物質の結晶、PbZrO
3及びPbTiO
3の固溶体を含む圧電セラミック、有機圧電物質、すなわちポリ二フッ化ビニル(PVDF)、並びに他の強誘電体材料を含む。
【0034】
キャパシタ38からアクチュエータ28に電力を供給することができる。キャパシタ38は、イオンがドープされたカーボンナノチューブを用いるスーパーキャパシタのような、小型の光学部品内に実装するのに適した任意のキャパシタとすることができる。他の適切なキャパシタを用いることができる。一実施形態において、これらの部品は、コンタクトレンズ10を着用しているユーザには気にならない。
【0035】
多数の異なる方法でキャパシタ38に電力を供給することができる。例えば、圧力センサ34によりユーザの瞬きによる力を利用することができる。圧力センサ34は、例えば、瞬き圧力による力を電気に変換する圧電部品とすることができ、次にこの電気はキャパシタ38に貯蔵される。熱電発電装置36を代替的に又は付加的に用いて、ゼーベック効果を用いてコンタクトレンズにわたる温度勾配からの電力を利用することにより、アクチュエータのための電力を生成することができる。別の例では、外部源からの無線誘導を介して、電力をキャパシタ38に付加することができる。
【0036】
幾つかの実施形態については、レンズモジュール16をサポートするための電力要件は、10マイクロワット未満であると推定される。幾つかの実施形態において、単一の電源により、各部品に電力供給することができる。他の実施形態においては、部品は、要望に応じて別個の電源を有することができる。同様に、幾つかの実施形態については、種々の部品を単一ユニット内に収容することができる。幾つかの実施形態においては、部品を別個に収容し、それらをレンズモジュールにわたって分散させることができる。
【0037】
キャパシタ38内に貯蔵される電位をアクチュエータ28により用いて、レンズモジュール16の屈折力を変化させることができる。ユーザによる動作は、アクチュエータ28による動作をトリガすることができる。例えば、コンタクトレンズ10は、コンタクトレンズを着用しているユーザの動きを感知するように構成されたセンサを含むことができる。ユーザが所定の動きを行い、それがセンサにより感知されると、センサは、制御信号をプロセッサに送ることができる(以下に説明される)。制御信号を受信すると、プロセッサは、アクチュエータ28を作動させるように構成される。
【0038】
一実施形態において、所定の動きは所定の瞬きパターンであり、圧力センサ(以下に説明される)は、コンタクトレンズを着用しているユーザによる瞬きを検出するように構成される。例えば、屈折力を変化させるための信号として、2回又は3回の瞬きを用いることができる。
【0039】
別の実施形態において、所定の動きは、特定のパターンでのユーザの眼球の運動であり、マイクロ加速度計は、ユーザの眼球の動きを検出するように構成される。例えば、コンタクトレンズ10は角度センサを含むことができ、かつ、例えば、ユーザが下を見たときに、レンズモジュール16が近くの物体に焦点を合わせるように調整され、ユーザが上を見たとき又は水平方向に向いたときに、レンズモジュール16が遠くの物体に焦点を合わせるように調整することができるように構成することができる。幾つかの実施形態においては、ユーザが特定のパターンで眼球を動かすこと又は瞼を開閉することにより、屈折力を変化させることができる。一実施形態においては、マイクロ加速度計42は、コンタクトレンズ10を着用しているユーザには気にならない。
【0040】
さらに別の実施形態においては、所定の動きはユーザの眉の所定の動きであり、圧力センサは、そのようなユーザの眉の動きを検出するように構成される。例えば、眉を連続して3回しかめることを、屈折力を変化させるための信号として用いることができる。
【0041】
眉をしかめることは、圧電圧力センサにより感知することができる眼筋の緊張を伴い、その出力は、流体セルの作動をトリガするために用いられる。
【0042】
特定用途向け集積回路(ASIC)のようなプロセッサ40を用いて、センサから信号を受信し、信号を増幅又は他の方法で処理し、その信号を伝え、キャパシタ38を介して電圧をアクチュエータ28に与えることができる。プロセッサ40は、コンピュータ又はマイクロプロセッサ制御下の個別部品若しくは集積回路の形態のアナログ又はデジタル論理回路、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの種々の組み合わせを含むことができる。プロセッサ40はまた、メモリのような種々の機能及び/又は構造部品、並びにレンズモジュール16の動作をサポートするのに必要なタイミング、データ処理、送受信用構造体及びデバイスを含むこともできる。一実施形態において、プロセッサは、コンタクトレンズ10を着用しているユーザには気にならない。
【0043】
1つの実施形態において、レンズモジュール16は、2つの異なる状態を有することができ、センサが所定の動きを検出するたびに、レンズの屈折力が一方の状態から他方の状態に自動的に切り換えられる。このことは、ユーザが、例えば、近視野屈折力と遠視野屈折力との間で容易に切り換えを行うことを可能にする。この二安定構成を膜の縁部又は周辺部に構築することができる。こうした場合、安定構成は、一方は遠見視力に対する矯正を与えるために必要とされる液体セルモジュール構成に対応し、他方はユーザの近見視力に対する矯正を与えることが必要とされる構成に対応する、2つの等しくない量と関連付けられたリザーバ20の1つの特定の寸法を含むことができる。本実施形態においては、アクチュエータは、1つの量構成から他の量構成へのリザーバの動きをトリガし、それを可能にするが、この動きを引き起こすエネルギーは、リザーバ材料における機械的エネルギー又はアクチュエータ材料自体から生じる。
【0044】
別の実施形態においては、ユーザによる1つのタイプの動きは、アクチュエータ28に対して、所定の増分だけ力を増大させるべきであることを示し、一方、ユーザによる別のタイプの動きは、所定の増分だけ力を低減させるべきであることを示す。
【0045】
1つの実施形態において、ひとたびコンタクトレンズ10の屈折力が調整されると、着用者によるコンタクトレンズ10の光学特性のさらなる調整を防止するように、アクチュエータ28を変更する又はディスエーブルにすることができる。
【0046】
1つの実施形態において、アクチュエータ28、圧力センサ34、熱電発生装置36、キャパシタ38、プロセッサ40、及び/又はマイクロ加速度計42、並びにそれらの間に必要な接続部は、ユーザがコンタクトレンズ10を着用しているとき、ユーザの目に入るのを最小にするように透明又は半透明の材料で作製される。付加的に又は代替的に、アクチュエータ28、圧力センサ34、熱電発生装置36、キャパシタ38、プロセッサ40、及び/又はマイクロ加速度計42、並びにそれらの間に必要な接続部は、ユーザがコンタクトレンズ10を着用しているときにユーザの目に入るのを確認できないように、例えばマイクロ材料又はナノ材料から十分に小さく作製することができる。
【0047】
上述の態様は、異なる他の部品内に含まれる又はそれらと接続される異なる部品を示す。そうした示される構造は単なる例示にすぎず、実際には、同じ機能を達成する多くの他の構造を実装できることを理解すべきである。概念的な意味においては、同じ機能を達成するための部品の任意の配置は、所望の機能が達成されるように効果的に「関連付けられている」。従って、特定の機能を達成するために結合された本明細書の任意の2つの部品は、構造又は中間部品とは関係なく、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられている」とみなすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの部品は、所望の機能を達成するように互いに「動作可能に接続されている」又は「動作可能に結合されている」とみなすこともできる。
【0048】
図3及び
図4は、それぞれ、光学ゾーン46を囲む複数のリザーバを含む別のコンタクトレンズの実施形態44の正面図及び側面図を示す。簡単にするために、コンタクトレンズ44は、
図1及び
図2に関して上述された全ての部品より少ない部品を有するように示されている。しかしながら、当業者であれば、
図1及び
図2に関して上述されたセンサ及び電気部品もまた、
図3及び
図4の実施形態に組み込み得ることを認識するであろう。コンタクトレンズ44は、光学ゾーン46から下向きに延びる第1のリザーバ48と、光学ゾーン46から上向きに延びる第2のリザーバ50とを含む。リザーバのこの対向する配置により、リザーバが互いにバランスをとって、コンタクトレンズがユーザの目における適切な位置決めを維持することが可能になる。リザーバ48及び50は、異なる配置で位置決めすることができる。例えば、両方のリザーバをコンタクトレンズの底部に配置することができ、又は、互いに対して90度の角度で若しくは任意の他の適切な角度で配置することができる。一実施形態においては、光学ゾーン46の外縁部52に沿って、2つより多いリザーバが設けられる。例えば、外縁部52の周りに一定の間隔で離間された半径方向の穴に、リザーバを配置することができる。別の実施形態においては、光学ゾーン46の上部に沿ってのみ、リザーバが配置される。
【0049】
「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「詳細な説明」の項は、特許請求の範囲を理解するために用いられることが意図されることを理解すべきである。「発明の概要」及び「要約書」の項は、発明者が考える、本発明の1つ又はそれ以上の例示的な実施形態を記載できるがその全ては記載できないため、本発明及び添付の特許請求の範囲を決して限定することを意図するものではない。具体的には、上記の要約書の目的は、一般に、米国特許商標庁及び大衆、並びに特許若しくは法上の用語又は言い回しに精通していない当技術分野における科学者、技術者及び実務者が、本出願の技術的開示の性質及び本質を大まかな参照から迅速に把握できるようにすることにある。従って、要約書は、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0050】
特定の機能及びそれらの関係の実装を示す機能構成単位構成要素を用いて本発明について上述した。本明細書においては、これらの機能構成単位の境界は、説明の便宜上、任意に定められている。特定の機能及びそれらの関係が適切に実施される限り、代替的な境界を定めることができる。
【0051】
特定の実施形態についての上記の説明は、本発明の一般的な性質を十分に開示しており、従って、当業者は、当技術分野における知識を適用することにより、過度の実験を必要とすることなく、かつ、本発明の一般概念から逸脱することなく、様々な用途のためにこのような特定の実施形態に容易に修正を加え及び/又は適合させることができる。従って、そのような適合及び修正は、開示されている実施形態の、本明細書に提示されている教示及び手引きに基づく同等物の意味及び範囲内に含まれることが意図される。本明細書における表現又は用語は、説明を目的とするものであって限定するためのものではなく、従って本明細書の用語又は表現は、当業者によって、教示及びガイダンスに照らして解釈されるべきものであることを理解すべきである。
【0052】
本発明の広さ及び範囲は、上述のいずれの例示的な実施形態によっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその同等物によってのみ定められるべきである。
【0053】
本出願の特許請求の範囲は、親出願又は他の関連出願のものとは異なる。従って、出願人は、本出願に関して親出願又はいかなる先行出願でなされた特許請求の範囲に関するいかなるディスクレーマー(disclaimer)も無効にする。従って、審査官には、このようないかなる以前のディスクレーマー、並びに回避するようにされた引用文献を再訪する必要があることを留意いただきたい。さらに、審査官には、本出願でなされたいかなるディスクレーマーも親出願に取り込まれない、又は親出願に対して読まれないことも認識されたい。
なお、好ましい実施形態として、本発明を次のように構成することもできる。
1. 流体充填調整可能コンタクトレンズであって、
前記コンタクトレンズを着用しているユーザの瞳孔上に配置されるように構成されたレンズチャンバと、
前記レンズチャンバに流体接続されたリザーバと、
前記レンズチャンバと前記リザーバとの間で流体を前後に移送するように構成されたアクチュエータと、
前記ユーザの動きを感知し、前記ユーザによって所定の動きが行われたときに制御信号を伝送するように構成されたセンサと、
前記センサからの前記制御信号の受信時に前記アクチュエータを作動させるように構成されたプロセッサと、
を含むことを特徴とするコンタクトレンズ。
2. 前記センサは前記コンタクトレンズを着用している前記ユーザによる瞬きを検出するように構成された圧力センサであり、前記所定の動きは所定の瞬きパターンであることを特徴とする、上記1に記載のコンタクトレンズ。
3. 前記センサは、前記ユーザの眼球の動きを検出するように構成されたマイクロ加速度計であり、前記所定の動きは前記ユーザの眼球の所定の動きパターンであることを特徴とする、上記1に記載のコンタクトレンズ。
4. 前記センサは前記ユーザの眉の動きを検出するように構成されたセンサであり、前記所定の動きは前記ユーザの眉の所定の動きパターンであることを特徴とする、上記1に記載のコンタクトレンズ。
5. 前記アクチュエータ及び前記プロセッサに電力を供給するように構成された容量性電源をさらに含むことを特徴とする、上記1に記載のコンタクトレンズ。
6. 前記コンタクトレンズにわたる温度勾配からの電力を利用することにより、電力を前記容量性電源に供給するように構成された熱電発生装置をさらに含むことを特徴とする、上記5に記載のコンタクトレンズ。
7. 瞬き圧力による力を電気に変換して、これを前記容量性電源内に貯蔵するように構成された圧電部品をさらに含むことを特徴とする、上記5に記載のコンタクトレンズ。
8. 前記容量性電源が誘導性電源であることを特徴とする、上記5に記載のコンタクトレンズ。