(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-3734(P2017-3734A)
(43)【公開日】2017年1月5日
(54)【発明の名称】液晶表示画面保護シート
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20161209BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20161209BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20161209BHJP
B32B 17/06 20060101ALI20161209BHJP
B32B 7/02 20060101ALI20161209BHJP
【FI】
G02F1/1335
G09F9/00 302
G02B5/08 A
B32B17/06
B32B7/02 103
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-116616(P2015-116616)
(22)【出願日】2015年6月9日
(11)【特許番号】特許第5903181号(P5903181)
(45)【特許公報発行日】2016年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】504250820
【氏名又は名称】株式会社吉城光科学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚正
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徳男
(72)【発明者】
【氏名】大槻 義雄
【テーマコード(参考)】
2H042
2H191
2H291
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
2H042DA08
2H042DA12
2H042DC02
2H042DE00
2H191FA31X
2H191FA94X
2H191FA95X
2H191FB12
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2H191GA22
2H191GA23
2H291FA31X
2H291FA94X
2H291FA95X
2H291FB12
2H291FB13
2H291FC02
2H291GA22
2H291GA23
4F100AA17C
4F100AA17D
4F100AA17E
4F100AA20C
4F100AA21D
4F100AA21E
4F100AA27D
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4F100AA37B
4F100AG00A
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4F100AR00E
4F100BA03
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4F100BA10B
4F100BA10C
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4F100EH66
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4F100JN18C
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4F100JN18E
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
5G435AA09
5G435AA11
5G435BB12
5G435FF08
5G435GG09
5G435HH02
5G435HH05
(57)【要約】
【課題】基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与することができ、しかも液晶表示画面の表示を見やすくすることができる液晶表示画面保護シートを提供する。
【解決手段】液晶表示画面2の表面に貼付される液晶表示画面保護シート1,11であって、化学強化ガラスからなる基体3と、ダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層4と、入射光を反射する反射被覆層5とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、入射光を反射する反射被覆層とを備えることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項2】
請求項1記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記基体は前記液晶表示画面側の表面に前記反射被覆層を備えることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は20〜40%の反射率を備えることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、第1の金属酸化物層と、第1の金属酸化物層より屈折率の大きな第2の金属酸化物層とを少なくとも1層ずつ備えることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項5】
請求項4記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記第1の金属酸化物層は酸化ケイ素からなり、前記第2の金属酸化物層は酸化チタン又は酸化ジルコニウムからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示画面保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の液晶表示画面を擦過による傷つきや、衝撃による破損等から保護する液晶表示画面保護シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記液晶表示画面保護シートは、例えば、化学強化ガラスを基体とするものであり、前記液晶表示画面に貼付されて用いられる。このとき、前記基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与するために、前記液晶表示画面と反対側の表面にダイアモンドライクドカーボン(以下、DLCと略記することがある)層を設けることが考えられる。
【0004】
一方、スマートフォンの場合、利便性、ファッション性のための付加価値としてバックライトを消灯しているときには、前記液晶表示画面を鏡として使用することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−85638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、化学強化ガラスからなる基体の表面にDLC層を設ける際に、DLCのみにより前記液晶表示画面に鏡としての機能を持たせようとするとDLC層を厚くせざるを得ず、光線の透過性が低くなり、液晶表示画面の表示が見えにくくなるという不都合がある。
【0007】
本発明は、かかる不都合を解消して、基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与する一方、液晶表示画面の表示を見にくくすることなく、バックライトを消灯しているときには、液晶表示画面を鏡として使用することができる液晶表示画面保護シートを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の液晶表示画面保護シートは、液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、入射光を反射する反射被覆層とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の液晶表示画面保護シートは、化学強化ガラスからなる基体の該液晶表示画面と反対側の表面にダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層を備えることにより、液晶表示画面の表面に貼付されたときに、前記保護被覆層により前記基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与することができる。また、本発明の液晶表示画面保護シートは、前記反射被覆層を備えているので、前記保護被覆層を厚くすることなく、バックライトを消灯しているときには、前記液晶表示画面を鏡として使用することができ、前記液晶表示画面の表示が見えにくくなることを防止することができる。
【0010】
本発明の液晶表示画面保護シートにおいて、前記基体は前記液晶表示画面と反対側の表面に前記反射被覆層を備えていてもよいが、前記液晶表示画面側の表面に該反射被覆層を備えていることが好ましい。このようにするときには、前記基体と前記液晶表示画面との間に前記反射被覆層が配置されることとなり、該反射被覆層の破損を防止することができる。
【0011】
また、本発明の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、20〜40%の反射率を備えることが好ましい。前記反射被覆層は、前記範囲の反射率で入射光を反射することにより、バックライトを消灯しているときには、前記液晶表示画面を鏡として好適に使用することができる。
【0012】
前記反射被覆層の反射率が20%未満では、前記液晶表示画面を鏡として使用するときに、鏡としての機能が十分に得られなくなることがある。一方、前記反射被覆層の反射率が40%を超えると、前記鏡としての機能は高くなるが、光の透過が妨げられ前記液晶表示画面が見にくくなることがある。
【0013】
また、本発明の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、第1の金属酸化物層と、第1の金属酸化物層より屈折率の大きな第2の金属酸化物層とを少なくとも1層ずつ備えることが好ましい。本発明の液晶表示画面保護シートは、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層との組合せにより、前記反射被覆層の反射率が所望の値になるように調整することができる。
【0014】
この場合、前記第1の金属酸化物層としては、例えば、酸化ケイ素を用いることができ、前記第2の金属酸化物層としては、例えば、酸化チタン又は酸化ジルコニウムを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の液晶表示画面保護シートの一構成例を示す模式的断面図。
【
図2】本発明の液晶表示画面保護シートの他の構成例を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の液晶表示画面保護シート1は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の液晶表示装置における液晶表示画面2に貼付して用いられる。
【0018】
液晶表示画面保護シート1は、化学強化ガラスからなる基体3の液晶表示画面2と反対側の表面にDLCからなる保護被覆層4を備え、液晶表示画面2側の表面に反射被覆層5を備えている。
【0019】
基体3は、例えば、厚さ0.2〜0.4mmの範囲の市販の化学強化ガラスを用いることができる。また、保護被覆層4は、アセチレン等の炭化水素ガスを原料とするプラズマCVD法等の公知の方法により、基体3の表面に厚さ10〜30nmの範囲のDLC膜を形成することにより得ることができる。
【0020】
反射被覆層5は、例えば、基体3の表面に形成された第2の金属酸化物層6aと、第2の金属酸化物層6a上に形成され、第2の金属酸化物層6より屈折率の小さな第1の金属酸化物層7と、第1の金属酸化物層7上に形成された第2の金属酸化物層6bとの3層からなる。
【0021】
反射被覆層5は、基体3と保護被覆層4との間に形成されていてもよく、基体3の保護被覆層4と反対側の表面に形成されていてもよい。
【0022】
第1の金属酸化物層7を形成する金属酸化物としては、例えば、SiO
2等の酸化ケイ素を挙げることができる。このとき、SiO
2の屈折率は1.45である。
【0023】
また、第2の金属酸化物層6を形成する金属酸化物としては、TiO
2、Ti
3O
5等の酸化チタン、ZrO
2等の酸化ジルコニウムを挙げることができる。このとき、TiO
2、Ti
3O
5の屈折率は2.30〜2.50、ZrO
2の屈折率は1.95である。
【0024】
第1の金属酸化物層7と第2の金属酸化物層6とは、それぞれ少なくとも1層ずつ備えられていればよく、例えば、
図2に液晶表示画面保護シート11として示すように、第2の金属酸化物層6a、第1の金属酸化物層7a、第2の金属酸化物層6b、第1の金属酸化物層7b、第2の金属酸化物層6cからなる5層構造としてもよい(以下、第2の金属酸化物層6a,6b,6cを「第2の金属酸化物層6」に代表させて示すことがあり、第1の金属酸化物層7a,7bを「第1の金属酸化物層7」に代表させて示すことがある)。
【0025】
さらに、液晶表示画面保護シート1,11は、液晶表示画面2側の最外層に光学透明(OCA)両面シート8を備えており、OCA両面シート8を介して液晶表示画面2に、貼付される。OCA両面シート8としては、市販のものを用いることができる。
【0026】
第1の金属酸化物層7と第2の金属酸化物層6とは、それぞれ
図3に示す真空蒸着装置21を用いて形成することができる。
【0027】
真空蒸着装置21は、イオンアシスト真空蒸着を行う装置であり、内部を排気可能とした真空チャンバ22の底部に、電子銃23a,23b、イオン銃24を備えている。電子銃23a,23b、イオン銃24は、その上方にシャッタ25a,25b,25cを備えており、シャッタ25a,25b,25cは水平方向にスライドすることにより電子銃23a,23b、イオン銃24の上方を選択的に遮蔽することができる。
【0028】
真空チャンバ22の上部には、基板ドーム26と、上下に90°の角度で揺動自在とされた補正板27とが備えられており、基板ドーム26は真空チャンバ22の外部に設けられたモータ28により回転駆動される。さらに、真空チャンバ22はその天面に図示しないヒータを備えている。
【0029】
真空蒸着装置21によれば、例えば、真空チャンバ22内部を3.0×10
−3Pa程度の真空とし、図示しないヒータにより例えば300℃程度の高温に加熱した状態で電子銃23a,23bから金属酸化物分子を放射する。また、真空蒸着装置21によれば、真空チャンバ22内部を前記真空とし、前記ヒータにより例えば70℃程度に加熱した状態で電子銃23a,23bから金属酸化物分子を放射することもできる。
【0030】
このとき、例えば、電子銃23aからはSiO
2等の酸化ケイ素、電子銃23bからはTiO
2、Ti
3O
5等の酸化チタン又は、ZrO
2等の酸化ジルコニウムを放射する。一方、イオン銃24からは、酸素又はアルゴンのイオンが放射される。
【0031】
前記金属酸化物分子は、イオン銃24から放射されるイオンに補助されて、上方に向かい、補正板27に案内されて、基板ドーム26の内面に配設された基体3(図示せず)の表面に堆積され、第1の金属酸化物層7又は第2の金属酸化物層6を形成する。このとき、電子銃23a,23bに配設されたシャッタ25a,25bにより、電子銃23a又は電子銃23bの上方を選択的に遮蔽することにより、基体3の表面に第1の金属酸化物層7又は第2の金属酸化物層6のいずれか一方を堆積させることができる。また、堆積させる時間を調整することにより、第1の金属酸化物層7又は第2の金属酸化物層6を所望の膜厚とすることができる。
【0032】
そこで、反射被覆層5は、第1の金属酸化物層7と第2の金属酸化物層6との材料、膜厚を変えることにより、その反射率を20〜40%の範囲で調整することができる。例えば、
図1に示す液晶表示画面保護シート1では、3.0×10
−3Paの真空下及び300℃の温度下で、第2の金属酸化物層6aを膜厚60nmのTi
3O
5膜とし、第1の金属酸化物層7を膜厚94nmのSiO
2膜とし、第2の金属酸化物層6bを膜厚141nmのZrO
2膜とすることにより、反射被覆層5の反射率を20%とすることができる。
【0033】
また、液晶表示画面保護シート1では、3.0×10
−3Paの真空下及び70℃の温度下で、第2の金属酸化物層6aを膜厚71nmのZrO
2膜とし、第1の金属酸化物層7を膜厚95nmのSiO
2膜とし、第2の金属酸化物層6bを膜厚142nmのZrO
2膜とすることによっても、反射被覆層5の反射率を20%とすることができる。
【0034】
一方、
図2に示す液晶表示画面保護シート11では、3.0×10
−3Paの真空下及び300℃の温度下で、第2の金属酸化物層6aを厚さ70nmのZrO
2膜とし、第1の金属酸化物層7aを膜厚94nmのSiO
2膜とし、第2の金属酸化物層6bを膜厚60nmのTi
3O
5膜とし、第1の金属酸化物層7bを膜厚94nmのSiO
2膜とし、第2の金属酸化物層6cを厚さ141nmのZrO
2膜とすることにより、反射被覆層5の反射率を40%とすることができる。
【0035】
また、液晶表示画面保護シート11では、3.0×10
−3Paの真空下及び70℃の温度下で、第2の金属酸化物層6aを厚さ70nmのZrO
2膜とし、第1の金属酸化物層7aを膜厚94nmのSiO
2膜とし、第2の金属酸化物層6bを膜厚70nmのZrO
2膜とし、第1の金属酸化物層7bを膜厚94nmのSiO
2膜とし、第2の金属酸化物層6cを厚さ140nmのZrO
2膜とすることによっても、反射被覆層5の反射率を40%とすることができる。
【0036】
液晶表示画面保護シート1,11は、まず、真空蒸着装置21により基体3の一方の表面に反射被覆層5を形成した後、公知のプラズマCVD法等により反射被覆層5上又は、反射被覆層5と反対側の基体3の表面にDLCからなる保護被覆層4を形成し、最後に液晶表示画面2側の最外層にOCA両面シート8を貼着することにより得ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1,11…液晶表示画面保護シート、 2…液晶表示画面、 3…基体、 4…保護被覆層、 5…反射被覆層。
【手続補正書】
【提出日】2015年10月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、SiO2からなる第1の金属酸化物層と、第1の金属酸化物層より屈折率の大きなTi3O5又はZrO2からなる第2の金属酸化物層とを少なくとも1層ずつ備えることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項2】
請求項1記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は20〜40%の反射率を備えることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、前記基体上に形成されたTi3O5膜と、該Ti3O5膜上に形成されたSiO2膜と、該SiO2膜上に形成されたZrO2膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項4】
請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、前記基体上に形成された第1のZrO2膜と、該第1のZrO2膜上に形成されたSiO2膜と、該SiO2膜上に形成された第2のZrO2膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項5】
請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、前記基体上に形成された第1のZrO2膜と、該第1のZrO2膜上に形成された第1のSiO2膜と、該第1のSiO2膜上に形成されたTi3O5膜と、該Ti3O5膜上に形成された第2のSiO2膜と、該第2のSiO2膜上に形成された第2のZrO2膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項6】
請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、前記基体上に形成された第1のZrO2膜と、該第1のZrO2膜上に形成された第1のSiO2膜と、該第1のSiO2膜上に形成された第2のZrO2膜と、該第2のZrO2膜上に形成された第2のSiO2膜と、該第2のSiO2膜上に形成された第3のZrO2膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の液晶表示画面保護シートは、液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、
該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え
、該反射被覆層は、SiO2からなる第1の金属酸化物層と、第1の金属酸化物層より屈折率の大きなTi3O5又はZrO2からなる第2の金属酸化物層とを少なくとも1層ずつ備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の液晶表示画面保護シートは、化学強化ガラスからなる基体
の液晶表示画面と反対側の表面にダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層を備えることにより、液晶表示画面の表面に貼付されたときに、前記保護被覆層により前記基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与することができる。また、本発明の液晶表示画面保護シートは、
液晶表示画面と反対側の表面に前記反射被覆層を備えているので、前記保護被覆層を厚くすることなく、バックライトを消灯しているときには、前記液晶表示画面を鏡として使用することができ、前記液晶表示画面の表示が見えにくくなることを防止することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の液晶表示画面保護シートにおいて、前記基体
は前記液晶表示画面側の表面に
前記反射被覆層を備えていること
により、該基体と
該液晶表示画面との間に
該反射被覆層が配置されることとなり、該反射被覆層の破損を防止することができる。
また、本発明の液晶表示画面保護シートは、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層との組合せにより、前記反射被覆層の反射率が所望の値になるように調整することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
第1の金属酸化物層7を形成する金属酸化物としては
、SiO
2を挙げることができる。このとき、SiO
2の屈折率は1.45である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
また、第2の金属酸化物層6を形成する金属酸化物としては
、Ti
3O
5又はZrO
2を挙げることができる。このとき
、Ti
3O
5の屈折率は2.30〜2.50、ZrO
2の屈折率は1.95である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
このとき、例えば、電子銃23aからはSiO
2、電子銃23bから
はTi
3O
5又は、ZrO
2を放射する。一方、イオン銃24からは、酸素又はアルゴンのイオンが放射される。
【手続補正書】
【提出日】2016年1月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、該基体上に形成されたTi3O5膜と、該Ti3O5膜上に形成されたSiO2膜と、該SiO2膜上に形成されたZrO2膜とからなるか、
該基体上に形成された第1のZrO2膜と、該第1のZrO2膜上に形成された第1のSiO2膜と、該第1のSiO2膜上に形成されたTi3O5膜と、該Ti3O5膜上に形成された第2のSiO2膜と、該第2のSiO2膜上に形成された第2のZrO2膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項2】
請求項1記載の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は20〜40%の反射率を備えることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示画面保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の液晶表示画面を擦過による傷つきや、衝撃による破損等から保護する液晶表示画面保護シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記液晶表示画面保護シートは、例えば、化学強化ガラスを基体とするものであり、前記液晶表示画面に貼付されて用いられる。このとき、前記基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与するために、前記液晶表示画面と反対側の表面にダイアモンドライクドカーボン(以下、DLCと略記することがある)層を設けることが考えられる。
【0004】
一方、スマートフォンの場合、利便性、ファッション性のための付加価値としてバックライトを消灯しているときには、前記液晶表示画面を鏡として使用することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−85638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、化学強化ガラスからなる基体の表面にDLC層を設ける際に、DLCのみにより前記液晶表示画面に鏡としての機能を持たせようとするとDLC層を厚くせざるを得ず、光線の透過性が低くなり、液晶表示画面の表示が見えにくくなるという不都合がある。
【0007】
本発明は、かかる不都合を解消して、基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与する一方、液晶表示画面の表示を見にくくすることなく、バックライトを消灯しているときには、液晶表示画面を鏡として使用することができる液晶表示画面保護シートを提供することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の液晶表示画面保護シートは、液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、該反射被覆層は、該基体上に形成されたTi
3O
5膜と、該Ti
3O
5膜上に形成されたSiO
2膜と、該SiO
2膜上に形成されたZrO
2膜とからなるか、該基体上に形成された第1のZrO
2膜と、該第1のZrO
2膜上に形成された第1のSiO
2膜と、該第1のSiO
2膜上に形成されたTi
3O
5膜と、該Ti
3O
5膜上に形成された第2のSiO
2膜と、該第2のSiO
2膜上に形成された第2のZrO
2膜とからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の液晶表示画面保護シートは、化学強化ガラスからなる基体の液晶表示画面と反対側の表面にダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層を備えることにより、液晶表示画面の表面に貼付されたときに、前記保護被覆層により前記基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与することができる。また、本発明の液晶表示画面保護シートは、液晶表示画面と反対側の表面に前記反射被覆層を備えているので、前記保護被覆層を厚くすることなく、バックライトを消灯しているときには、前記液晶表示画面を鏡として使用することができ、前記液晶表示画面の表示が見えにくくなることを防止することができる。
【0010】
本発明の液晶表示画面保護シートにおいて、前記基体は前記液晶表示画面側の表面に前記反射被覆層を備えていることにより、該基体と該液晶表示画面との間に該反射被覆層が配置されることとなり、該反射被覆層の破損を防止することができる。
【0011】
また、本発明の液晶表示画面保護シートにおいて、前記反射被覆層は、20〜40%の反射率を備えることが好ましい。前記反射被覆層は、前記範囲の反射率で入射光を反射することにより、バックライトを消灯しているときには、前記液晶表示画面を鏡として好適に使用することができる。
【0012】
前記反射被覆層の反射率が20%未満では、前記液晶表示画面を鏡として使用するときに、鏡としての機能が十分に得られなくなることがある。一方、前記反射被覆層の反射率が40%を超えると、前記鏡としての機能は高くなるが、光の透過が妨げられ前記液晶表示画面が見にくくなることがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の液晶表示画面保護シートの一構成例を示す模式的断面図。
【
図2】本発明の液晶表示画面保護シートの他の構成例を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の液晶表示画面保護シート1は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の液晶表示装置における液晶表示画面2に貼付して用いられる。
【0016】
液晶表示画面保護シート1は、化学強化ガラスからなる基体3の液晶表示画面2と反対側の表面にDLCからなる保護被覆層4を備え、液晶表示画面2側の表面に反射被覆層5を備えている。
【0017】
基体3は、例えば、厚さ0.2〜0.4mmの範囲の市販の化学強化ガラスを用いることができる。また、保護被覆層4は、アセチレン等の炭化水素ガスを原料とするプラズマCVD法等の公知の方法により、基体3の表面に厚さ10〜30nmの範囲のDLC膜を形成することにより得ることができる。
【0018】
反射被覆層5は、例えば、基体3の表面に形成された金属酸化物層6aと、金属酸化物層6a上に形成され、金属酸化物層6aより屈折率の小さな金属酸化物層7と、金属酸化物層7上に形成された金属酸化物層6bとの3層からなる。
【0019】
反射被覆層5は、基体3と保護被覆層4との間に形成されていてもよく、基体3の保護被覆層4と反対側の表面に形成されていてもよい。
【0020】
金属酸化物層6aを形成する金属酸化物としては、Ti
3O
5を挙げることができ、金属酸化物層6bを形成する金属酸化物としては、ZrO
2を挙げることができる。このとき、Ti
3O
5の屈折率は2.30〜2.50、ZrO
2の屈折率は1.95である。金属酸化物層7を形成する金属酸化物としては、SiO
2を挙げることができる。このとき、SiO
2の屈折率は1.45である。
【0021】
反射被覆層5は、
図2の液晶表示画面保護シート11に示すように、金属酸化物層6a、金属酸化物層7a、金属酸化物層6b、金属酸化物層7b、金属酸化物層6cからなる5層構造としてもよい(以下、金属酸化物層6a,6b,6cを「金属酸化物層6」に代表させて示すことがあり、金属酸化物層7a,7bを「金属酸化物層7」に代表させて示すことがある)。
【0022】
さらに、液晶表示画面保護シート1,11は、液晶表示画面2側の最外層に光学透明(OCA)両面シート8を備えており、OCA両面シート8を介して液晶表示画面2に、貼付される。OCA両面シート8としては、市販のものを用いることができる。
【0023】
金属酸化物層7と金属酸化物層6とは、それぞれ
図3に示す真空蒸着装置21を用いて形成することができる。
【0024】
真空蒸着装置21は、イオンアシスト真空蒸着を行う装置であり、内部を排気可能とした真空チャンバ22の底部に、電子銃23a,23b、イオン銃24を備えている。電子銃23a,23b、イオン銃24は、その上方にシャッタ25a,25b,25cを備えており、シャッタ25a,25b,25cは水平方向にスライドすることにより電子銃23a,23b、イオン銃24の上方を選択的に遮蔽することができる。
【0025】
真空チャンバ22の上部には、基板ドーム26と、上下に90°の角度で揺動自在とされた補正板27とが備えられており、基板ドーム26は真空チャンバ22の外部に設けられたモータ28により回転駆動される。さらに、真空チャンバ22はその天面に図示しないヒータを備えている。
【0026】
真空蒸着装置21によれば、例えば、真空チャンバ22内部を3.0×10
−3Pa程度の真空とし、図示しないヒータにより例えば300℃程度の高温に加熱した状態で電子銃23a,23bから金属酸化物分子を放射する。また、真空蒸着装置21によれば、真空チャンバ22内部を前記真空とし、前記ヒータにより例えば70℃程度に加熱した状態で電子銃23a,23bから金属酸化物分子を放射することもできる。
【0027】
このとき、例えば、電子銃23aからはSiO
2、電子銃23bからはTi
3O
5又は、ZrO
2を放射する。一方、イオン銃24からは、酸素又はアルゴンのイオンが放射される。
【0028】
前記金属酸化物分子は、イオン銃24から放射されるイオンに補助されて、上方に向かい、補正板27に案内されて、基板ドーム26の内面に配設された基体3(図示せず)の表面に堆積され、金属酸化物層6又は金属酸化物層7を形成する。このとき、電子銃23a,23bに配設されたシャッタ25a,25bにより、電子銃23a又は電子銃23bの上方を選択的に遮蔽することにより、基体3の表面に金属酸化物層6又は金属酸化物層7のいずれか一方を堆積させることができる。また、堆積させる時間を調整することにより、金属酸化物層6又は金属酸化物層7を所望の膜厚とすることができる。
【0029】
そこで、反射被覆層5は、金属酸化物層6と金属酸化物層7との材料、膜厚を変えることにより、その反射率を20〜40%の範囲で調整することができる。例えば、
図1に示す液晶表示画面保護シート1では、3.0×10
−3Paの真空下及び300℃の温度下で、金属酸化物層6aを膜厚60nmのTi
3O
5膜とし、金属酸化物層7を膜厚94nmのSiO
2膜とし、金属酸化物層6bを膜厚141nmのZrO
2膜とすることにより、反射被覆層5の反射率を20%とすることができる。
【0030】
一方、
図2に示す液晶表示画面保護シート11では、3.0×10
−3Paの真空下及び300℃の温度下で、金属酸化物層6aを厚さ70nmのZrO
2膜とし、金属酸化物層7aを膜厚94nmのSiO
2膜とし、金属酸化物層6bを膜厚60nmのTi
3O
5膜とし、金属酸化物層7bを膜厚94nmのSiO
2膜とし、金属酸化物層6cを厚さ141nmのZrO
2膜とすることにより、反射被覆層5の反射率を40%とすることができる。
【0031】
液晶表示画面保護シート1,11は、まず、真空蒸着装置21により基体3の一方の表面に反射被覆層5を形成した後、公知のプラズマCVD法等により反射被覆層5上又は、反射被覆層5と反対側の基体3の表面にDLCからなる保護被覆層4を形成し、最後に液晶表示画面2側の最外層にOCA両面シート8を貼着することにより得ることができる。
【符号の説明】
【0032】
1,11…液晶表示画面保護シート、 2…液晶表示画面、 3…基体、 4…保護被覆層、 5…反射被覆層。