【解決手段】ワーク搬送機構によって収納容器から搬出対象物の上面を保持して搬出し、第1センサによって搬出対象物の上面の状態を検出し、搬出対象物を識別する。搬出対象物をウエハWと識別したとき、第2センサによって当該ウエハWの下面の状態を検出し、層間体17の有無を検査する。当該検査によって層間体17を検出したとき、ウエハの直径よりも大きく、ウエハWの外縁からはみ出る当該層間体17の外縁を側方から押圧部材104で押圧する。押圧によって皺の発生した層間体に向けてノズル101から気体を吹き付けてウエハWから層間体17を分離する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法では、収納容器から搬出対象物を搬送するとき、吸着した搬出対象物の上面側からセンサで上面状態を測定しているので、当該搬出対象物が、半導体ウエハであるか層間体であるかを判別することはできる。しかしながら、静電気などによりウエハの下面に層間体が密着したまま処理工程に搬送されるといった問題が生じている。
【0005】
また、ウエハの下面に層間体が密着しているのを作業者によって目視により確認された場合、搬送を一旦停止した後に、作業者がウエハの下面から当該層間体を取り除かなければならない。したがって、作業効率を低下させるといった不都合も生じている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、半導体ウエハと層間体が交互に重ねて収納された収納容器から半導体ウエハのみを処理工程に搬送することを可能にする半導体ウエハの搬送方法および半導体ウエハの搬送装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0008】
すなわち、収納容器内に交互に重ねた搬出対象物である半導体ウエハと層間体を当該収納容器から取り出し、搬出対象物ごとに所定位置に搬送する半導体ウエハの搬送方法であって、
搬送機構によって前記収納容器から搬出対象物の上面を保持して搬出する搬出過程と、
第1センサによって前記搬出対象物の上面の状態を検出し、搬出対象物を識別する識別過程と、
前記識別過程で半導体ウエハと識別したとき、第2センサによって当該半導体ウエハの下面の状態を検出し、層間体の有無を検査する検査過程と、
前記検査によって層間体を検出したとき、半導体ウエハの直径よりも大きく、当該半導体ウエハの外縁からはみ出る当該層間体の外縁を側方から押圧部材で押圧する押圧過程と、
押圧によって皺の発生した前記層間体に向けてノズルから気体を吹き付けて半導体ウエハから当該層間体を分離する分離過程と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
(作用・効果) 上記方法によれば、搬出対象物が半導体ウエハである場合、第2センサの検出結果に基づいて、当該半導体ウエハの非保持面である下面に層間体が密着しているか否かを検査される。半導体ウエハの下面に層間体が密着している場合、半導体ウエハより大きく、当該半導体ウエハからはみ出ている層間体が、押圧部材によって側方から押圧されるので皺が発生し、ひいては半導体ウエハと層間体の間に間隙が形成される。その後、側方から層間体に向けてノズルから気体を吹き付けることにより、当該間隙に気体が進入しながら半導体ウエハから層間体を分離する。したがって、半導体ウエハのみを次工程に確実に搬送することができる。
【0010】
上述の方法において、押圧過程で、半導体ウエハを囲燒するように等間隔に配備された複数個の押圧部材を層間体に皺が入るまで押圧することが好ましい。
【0011】
この方法によれば、層間体の複数箇所を押圧部材で押圧することにより、押圧部材間の層間体に皺を容易に発生させることができる。また、等間隔に配備した押圧部材を半導体ウエハの外縁に当接するまで押圧することにより、略円形である半導体ウエハのアライメントも行うことができる。
【0012】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0013】
すなわち、収納容器内に交互に重ねた搬出対象物である半導体ウエハと層間体を当該収納容器から取り出し、搬出対象物ごとに所定位置に搬送する半導体ウエハの搬送装置であって、
前記収納容器から搬出対象物の上面を保持して搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって保持された搬送対象物の上面を検出する第1センサと、
前記半導体ウエハの下面の状態を検出する第2センサと、
前記第1センサの検出結果に基づいて半導体ウエハと層間体を識別するとともに、第2センサの検出結果に基づいて半導体ウエハの下面の層間体の有無を検査する制御部と、
前記半導体ウエハの直径よりも大きく、当該半導体ウエハからはみ出ている層間体を側方から押圧部材で押圧する押圧機構と、
前記押圧部材によって押圧されている層間体の側方から気体を吹き付けるノズルと、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
(作用・効果) この構成によれば、第1センサによって識別された半導体ウエハの非保持面である下面に層間体が密着しているか否かを第2センサによって検査することができる。さらに、半導体ウエハの下面に層間体が密着している場合、押圧機構に備わった押圧部材を半導体ウエハからはみ出る層間体に押圧して皺を発生させ、その後にノズルから気体を吹き付けて当該層間体を半導体ウエハから分離することができる。すなわち、当該構成は、上記方法を好適に実施することができる。
【0015】
なお、上記構成において、押圧機構は、半導体ウエハを等間隔で囲燒する複数個の押圧部材を備えることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、層間体の複数箇所を押圧部材で押圧することにより、押圧部材間の層間体に皺を容易に発生させることができる。また、押圧部材を半導体ウエハの外縁に当接させることにより、搬送機構によって保持された状態で半導体ウエハのアライメントを行いながら層間体に皺を発生させることができる。
【0017】
また、上記構成において、押圧部材によって生じた半導体ウエハと層間体の間隙を検出する第3センサを備え、
制御部は、第3センサの検出結果に基づいてノズルを操作し、間隙に向けて気体を吹き付けるように構成することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、半導体ウエハと層間体との間隙に気体を確実に進入させることができるので、半導体ウエハから層間体を確実に分離することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体ウエハの搬送方法および半導体ウエハの搬送装置によれば、収納容器に交互に重ねて収納された半導体ウエハと層間体のうち当該半導体ウエハのみを次工程に確実に搬送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。なお、本実施例では、回路形成面に保護テープの添設された半導体ウエハを、粘着テープ(ダイシングテープ)を介してリングフレームに当該半導体ウエハをマウントする半導体ウエハマウント装置に本発明の搬送機構が備わった構成について説明する。
【0022】
図1に半導体ウエハマウント装置の平面図が、また、
図2にその正面図がそれぞれ示されている。
【0023】
この半導体ウエハマウント装置は、
図1に示すように、横長の矩形部Aとこの矩形部Aの中央部で連接して上側に突出する突出部Bとからなる凸形に構成された基本ユニットと、突出部Bの左横のスペースで基本ユニットに連結された剥離ユニットCを備えた構成になっている。なお、以後の説明において、矩形部Aの長手方向を左右方向、これと直交する水平方向を下側および上側と呼称する。
【0024】
矩形部Aの左右中央にワーク搬送機構2が配備されている。矩形部Aの下側の右寄りに収納容器3と回収容器4が並列に載置されている。矩形部Aの下側の左端には、マウントフレーム回収部5が配備されている。
【0025】
矩形部Aの上側の右からアライナ6、保持テーブル7、フレーム供給部8、反転ユニット9の順に配備されている。反転ユニット9の下側に剥離テーブル10が配備されている。また、矩形部Aと剥離ユニットCに跨ってプッシャ11が配備されている。
【0026】
突出部Bには、リングフレームfに支持用の粘着テープDTを貼り付けるテープ貼付け機構12が配備されている。
【0027】
剥離ユニットCには、半導体ウエハW(以下、適宜「ウエハW」という)の回路形成面から保護テープPTを剥離する剥離機構13が配備されている。
【0028】
ワーク搬送機構2には、
図2に示すように、矩形部Aの上部に左右水平に架設された案内レール14の右側に左右往復移動可能に支持されたワーク搬送装置15と、案内レール14の左側に左右移動可能に支持されたフレーム搬送装置16とが備えられている。
【0029】
ワーク搬送装置15は、収納容器3から取り出したウエハWおよび層間体17を左右および前後に搬送するとともに、ウエハWの姿勢を表裏反転することができるよう構成されている。その詳細な構造が
図3〜
図9に示されている。
【0030】
ワーク搬送装置15は、
図3および
図5に示すように、案内レール14に沿って左右移動可能な左右移動可動台18が装備されている。この左右移動可動台18に備えられた案内レール19に沿って前後移動可能に前後移動可動台20が装備されている。さらに、この前後移動可動台20の下部にウエハWおよび層間体17を保持する保持ユニット21が上下移動可能に装備されている。
【0031】
図3および
図4に示すように、案内レール14の右端近くにはモータ22で正逆転駆動される駆動プーリ23が軸支されるとともに、案内レール14の中央側には遊転プーリ24が軸支されている。これら駆動プーリ23と遊転プーリ24とに亘って巻き掛けられたベルト25に、左右移動可動台18のスライド係合部18aが連結され、ベルト25の正逆回動によって左右移動可動台18が左右に移動されるようになっている。
【0032】
図6〜
図8に示すように、左右移動可動台18の上端近くにはモータ26で正逆転駆動される駆動プーリ27が軸支されるとともに、左右移動可動台18の下端近くには遊転プーリ28が軸支されている。これら駆動プーリ27と遊転プーリ28とに亘って巻き掛けられたベルト29に、前後移動可動台20のスライド係合部20aが連結され、ベルト29の正逆回動によって前後移動可動台20が前後に移動されるようになっている。
【0033】
図5に示すように、保持ユニット21は、前後移動可動台20の下部に連結された逆L字形の支持フレーム30、この支持フレーム30の縦枠部に沿ってモータ31でネジ送り昇降される昇降台32、昇降台32に回動軸33を介して縦向き支軸p周りに旋回可能に軸支された回動台34、回動軸33にベルト35を介して巻き掛け連動された旋回用モータ、回動台34の下部に回動軸37を介して水平向き支軸q周りに反転回動可能に軸支された保持アーム38、回動軸37にベルト39を介して巻き掛け連動された反転用モータ40などで構成されている。
【0034】
保持アーム38は馬蹄形をしている。保持アーム38の保持面には、僅かに突出したパッド41が設けられている。このパッド41の表面から内部に向けて小径の貫通孔が同心円周上に所定ピッチで形成されている。これら複数個の貫通孔は、保持アーム38の内部に形成された1本の流路の同じ位置に連通された貫通孔群を構成している。貫通孔群の個々の貫通孔は、保持アーム内の流路から保持面に向けて先広がりのテーパー状に形成されている。この貫通孔群を有するパッド41は、保持面の所定位置に複数配備されている。さらに、保持アーム38は、その内部に形成された流路と、この流路の基端側で連接された接続流路を介して圧空装置に連通接続されている。
【0035】
圧空装置は、制御部によって駆動切換される。つまり、圧空装置を負圧駆動させることにより、ウエハWの研削面である上面または層間体17の上面を保持アーム38のパッド41で吸着保持させる。また、圧空装置を正圧することにより吸着孔に入り込んだ層間体17を除去することができる。
【0036】
上記した可動構造を利用することで、吸着保持したウエハWおよび層間体17を保持アーム38によって前後移動、左右移動、および、縦向き支軸p周りに旋回移動するとともに、
図5に示す水平向き支軸q周りの反転回動によってウエハWを表裏反転することができるようになっている。
【0037】
フレーム搬送装置16は、
図9に示すように、前後移動可動台43の下部に連結された縦枠44、この縦枠44に沿ってスライド昇降可能に支持された昇降枠45、昇降枠45を上下動させる屈伸リンク機構46、この屈伸リンク機構46を正逆屈伸駆動するモータ47、昇降枠45の下端に装備されたウエハWを吸着する吸着プレート48およびリングフレームfを吸着するために当該吸着プレート48の周りに配備された複数個の吸着パッド49などから構成されている。したがって、フレーム搬送装置16は、保持テーブル7に載置保持されたマウントフレームMFを吸着保持して、昇降および前後左右に搬送することができる。吸着パッド49は、リングフレームfのサイズに対応して水平方向にスライド調節可能になっている。
【0038】
収納容器3は、
図10に示すように、ワーク搬送装置15の保持アーム38の進入経路となる切り欠き50が、当該容器の対向する側壁の2箇所に中央の上から下に向かって形成されている。当該収納容器内部の最下層には、弾性材からなるクッション材51が敷設されている。クッション材51の上に層間体17、ウエハWの順に交互に重ねて合わせてある。なお、本実施例では、ウエハWは、研削面を上向きにして収納容器3に収納されている。また、層間体17は、ウエハWの表裏面を保護するものであればよく、例えば層間紙、PET(polyethylene terephthalate)などのフィルム、シートなどであってもよい。当該層間体17は、ウエハWよりも大きいサイズである。本実施例では、ウエハWの直径よりも2mm大きな層間体17を使用している。
【0039】
収納容器3の上方には、検出面を下向きした第1センサ52が配備されている。なお、本実施例において、第1センサ52は、カラーセンサを利用しているが当該カラーセンサに限定されず、収納容器3に収納されたウエハWの上面と層間体17を識別可能な他のセンサや光学カメラであってもよい。
【0040】
回収容器4は、正方形の平板上の各角部に2本の支柱99を立設して構成した簡易の回収容器である。当該支柱は、対向する角部に配備した支柱99の距離は、層間体17が内部収まるよう層間体17の直径よりも長く設定されている。また、角部に並べて立設した2本の支柱99の間隔は、後述する押圧機構100が、昇降調整した際に干渉することなく進入可能な距離に設定されている。
【0041】
図1および
図10に示すように、収納容器3と回収容器4の右側領域の基台上に検出面を上向きにした第2センサ53が、設置されている。すなわち、ウエハWを保持したワーク搬送装置15の保持アーム38が、第2センサ53の上で一旦停止または通過する間に、当該保持アーム38に上面を保持されたウエハWの非保持面である下面を検査するように構成されている。すなわち、ウエハWの上面に層間体17が密着しているか否かを検査する。なお、本実施例において、第2センサ53は、カラーセンサを利用しているが当該カラーセンサに限定されず、ウエハWの上面と層間体17を識別可能な他のセンサや光学カメラであってもよい。
【0042】
回収容器4の上方で当該回収容器4を囲燒するように、複数台の押圧機構100および1本のノズル101が配備されている。なお、ノズル101の本数は、2本以上であってもよい。
【0043】
押圧機構100は、
図1において平面視したとき、四角形の回収容器4の各角部の上方に配備されている。4台の押圧機構100は、
図11に示すように、装置基台に立設した支持フレーム110から回収容器4の上方に片持ち支持されたアーム111先端に連結固定された保持プレート112に装備されている。
【0044】
各押圧機構100は、
図12に示すように、シリンダ102、可動台103および押圧部材104などから構成されている。
【0045】
シリンダ102は、ロッドの先端が回収容器4の中心に向かうように固定枠に水平配備されている。
【0046】
可動台103は、先端が下向きに屈曲している。当該可動台103は、シリンダ102を環状フレームに固定する固定枠上に敷設したガイドレール105上を往復移動するようにロッド先端と可動台103の先端とが連結されている。
【0047】
押圧部材104は、本実施例では、回転自在なローラ104である。当該ローラ104は、可動台103に片持ち支持されて当該可動台103の前方から突き出たアーム106の下端で下向きの支軸に遊点自在に軸支されている。すなわち、各ローラ104は、回収容器4の中心に向かって前進または中心側から後退するように構成されている。なお、ローラ104は、弾性を有する絶縁体で金属ローラを被覆したものであってもよし、または、弾性体からなるゴムおよびスポンジのローラ、或いはフッ素樹脂からなるローラであってもよい。
【0048】
ノズル101は、ワーク搬送装置15の保持アーム38の進入方向と対向する側でローラ104と略同じ高さに設置されている。当該ノズル101は、先端を回収容器4の中心に向けられている。したがって、ノズル101は、保持アーム38によって保持されたウエハWの周縁に向けてエアーまたはイオン風を吹き付ける。
【0049】
保持テーブル7は、前後移動する可動ピンによってリングフレームfの位置合わせをする。また、
図13に示すように、中央にウエハWを載置保持するウエハ保持テーブル55と、このウエハ保持テーブル55を囲うフレーム保持部56とが備わっている。
【0050】
ウエハ保持テーブル55は、金属製のチャックテーブルであり、内部に形成された流路を介して外部の真空装置と連通接続されている。また、ウエハ保持テーブル55は、シリンダ57によって昇降する。なお、ウエハ保持テーブル55は、金属製に限定されず、セラミックの多孔質で形成されたものであってもよい。
【0051】
フレーム保持部56は、フレーム厚みに相当する段部が形成されている。つまり、当該段部にリングフレームfを載置したときに、このフレーム保持部56の頂部とリングフレームfの上面とが平坦になるように構成されている。
【0052】
なお、
図1に示すように、保持テーブル7は、図示しない駆動機構によってウエハWなどのセット位置と粘着テープ貼付け機構12との間に敷設されたレール58に沿って往復移動可能に構成されている。
【0053】
フレーム供給部8は、所定枚数のリングフレームを積層収納した引き出し式のカセットを収納する。
【0054】
反転ユニット9は、
図14および
図15に示すように、立設固定された縦レール59に沿って昇降可能な昇降台60に、回転アクチュエータ61によって水平支軸r周りに回動可能な受け枠62が片持ち状に装着されるとともに、受け枠62の基部と先端部にチャック爪63がそれぞれ支軸s周りに回動可能に装備されている。反転ユニット9は、回路面が下向きのマウントフレームMFをフレーム搬送装置16から受け取って反転した後、回路形成面が上向きになったマウントフレームMFを剥離テーブル10に載置する。
【0055】
剥離テーブル10は、反転ユニット9の真下のマウントフレームの受け取り位置と剥離ユニットCの保護テープPTの剥離位置を往復移動する。
【0056】
プッシャ11は、剥離テーブル10に載置されたマウントフレームMFをマウントフレーム回収部5に収納させる。その具体的な構成は、
図16および
図17に示されている。
【0057】
プッシャ11は、案内レール64に沿って左右水平に移動する可動台65の上部に、固定受け片66とシリンダ67で開閉されるチャック片68を備えている。これら固定受け片66とチャック片68でマウントフレームMFの一端部を上下から挟持するよう構成されている。また、モータ69で回動されるベルト70に可動台65の下部が連結されており、モータ69の正逆作動によって可動台65を左右に往復移動させるようになっている。
【0058】
テープ貼付け機構12は、
図18および
図19に示すように、ロール巻きした幅広の粘着テープDTを装填するテープ供給部71、貼付ローラ72、剥離ローラ73、テープ切断機構74、およびテープ回収部75などを備えている。つまり、保持テーブル7に載置されたウエハWとリングフレームfがテープ貼付け位置にまで搬入されてくると、貼付ローラ72を
図18において右から左に走行させて、粘着テープDTをウエハWとリングフレームfの上面に貼り付ける。
【0059】
テープの貼り付けが完了すると、テープ切断機構74を下降させた状態で円板状のカッタ刃を旋回させ、貼り付けた粘着テープDTをリングフレームfに沿って円形に切断する。その後、剥離ローラ73を
図18において右から左に走行させて、切断線の外側に残された不要テープをリングフレームfから剥離するとともに、テープ回収部75に巻取り回収するよう構成されている。
【0060】
剥離機構13は、
図20に示すように、ロール巻きされたウエハの直径よりも幅狭の剥離テープtを、案内ローラ80を介してナイフエッジ状の剥離バー81に導いて折り返し反転した後、巻取り軸82で巻取り回収するよう構成されている。
【0061】
マウントフレーム回収部5は、
図2に示すように、マウントフレームMFを積載して回収するカセット90が配備されている。このカセット90は、装置フレーム91に連結固定された縦レール92と、この縦レール92に沿ってモータ93でネジ送り昇降される昇降台94が備えられている。したがって、マウントフレーム回収部5は、マウントフレームMFを昇降台94に載置してピッチ送り下降するよう構成されている。
【0062】
次に、上記実施例装置を用いて収納容器3から搬送したウエハWを利用してマウントフレームMFを作成する動作について
図21に示すフローチャートおよび
図22から
図25に沿って説明する。
【0063】
フレーム供給部8から保持テーブル7へのリングフレームfの搬送と、ウエハ収納容器3から保持テーブル7へのウエハWの搬送とが同時に実行される。
【0064】
一方のフレーム搬送装置16は、フレーム供給部8からリングフレームfを吸着して保持テーブル7に移載する(ステップS1)。フレーム保持部56が吸着を解除して上昇すると、支持ピンによってリングフレームfの位置合わせを行う(ステップS20)。すなわち、リングフレームfは、保持テーブル7にセットされた状態でウエハWが搬送されてくるまで待機している。
【0065】
他方のワーク搬送装置15は、
図10に示すように、パッド41を下向きにした状態で保持アーム38を収納容器3上に移動させ、所定高さまで下降させる。当該所定位置で圧空装置を負圧作動させて保持アーム38のパッド41で最上段の搬出対象物(以下、単に「ワーク」という)を吸着し、収納容器3の上方の所定高さまで上昇する(ステップS10)。
【0066】
所定高さに到達すると、第1センサ52によって、保持アーム38に保持されたワークの上面を検出する(ステップS11)。当該検出結果は、制御部95の上面判別部97に送られる。制御部95のメモリ96には、裏面研削処理されたウエハWの裏面、回路形成されたウエハWの表面、層間体17ごとに異なる色調レベルの基準範囲が予め設定されている。したがって、上面判別部97は、メモリ96の基準範囲のどの部分に検出結果の色調レベルが属しているかを判別する。すなわち、ワークがウエハWまたは層間体17のいずれかを判別する(ステップS12)。
【0067】
<層間体と判別した場合>
ワークが、層間体17であると判別した場合、ワーク搬送装置15は、回収容器4の上方まで層間体17を搬送する。その後、ワーク搬送装置15は、負圧を停止して保持アーム38に吸着保持している層間体17を回収容器に落下させる(ステップS13)。
【0068】
<ウエハWと判別した場合>
ワーク搬送装置15は、収納容器3から後退しながら、
図22および
図23に示すように、ウエハWの非保持面である下面を第2センサ53にかざして当該下面の状態を検査させる。第2センサ53は、ウエハWの下面の検出結果を下面判別部98に送信する。
【0069】
下面判別部98は、検出結果の色調レベルがメモリ内の基準範囲のどの部分に属するかを判別する。すなわち、ウエハWの下面側に層間体17が密着しているか否かを判別する(ステップS15)。判別の結果、下面判別部98は、ウエハWの下面に層間体17が密着していると判別すると、制御部95は、ワーク搬送装置15を回収容器4の位置へと移動させ、回収容器4の上方で保持アーム38を停止させる。
【0070】
制御部95は、4台の押圧機構100を同期させながら作動させる。すなわち、
図24に示すように、シリンダ102を作動させて可動台103を前進移動させながらローラ104をウエハWの外周から僅かにはみ出ている層間体17に押圧させてゆく(ステップS16)。ローラ104が層間体17に接触してから所定距離(例えば、はみ出し距離の1mmまたは1mm未満)を移動した後に当該ローラ104の移動を停止する。このとき、押圧された層間体17に皺が発生し、ウエハWと当該層間体17との間に間隙が形成される。さらに、ローラ104は、ウエハWの外周を等間隔で当接するので、ウエハWは、保持アーム38に保持された状態でアライメント(芯合わせ)される。
【0071】
その後、制御部95は、ノズル101を作動させる。すなわち、
図25および
図26に示すように、ノズル101からのエアーが、ウエハWと層間体17との間隙に進入してゆきウエハWの下面から層間体17が分離される。分離された層間体17は、落下しながら回収容器4に回収される(ステップS17)。
【0072】
ステップS17で層間体17の検出されなかったウエハWおよび層間体17の分離されたウエハWのそれぞれは、アライナ6に搬送される(ステップS18)。
【0073】
アライナ6は、その中央から突出した
図1に示す吸着パッド77によりウエハWの下面中央を吸着する。同時に、ワーク搬送装置15は、ウエハWの吸着を解除して上方に退避する。アライナ6は、吸着パッド77をテーブル内に収納し、ウエハWのノッチなどに基づいて位置合わせを行う(ステップS19)。なお、ステップS17で層間体17の分離処理を行ったウエハWは、ローラ104によって芯合わせが行われているので、ノッチの検出に基づく位置合わせ処理のみに簡略化される。
【0074】
ウエハWの位置合わせが完了すると、当該ウエハWを吸着した吸着パッド77をアライナ6の面から突出させる。その位置にワーク搬送装置15が移動し、ウエハWの上面を吸着保持する。吸着パッド77は、吸着を解除して下降する。
【0075】
ワーク搬送装置15は、保持テーブル7上に移動し、保護テープ付きの面を下向きにしたままウエハ保持テーブル55にウエハWを載置する(ステップS20)。
【0076】
保持テーブル7にウエハWおよびリングフレームfのセットが完了すると、ウエハ保持テーブル55は下降し、ウエハWとリングフレームfの両方の上面が同じ高さにされた後にレール58に沿ってテープ貼付機構12へと移動する。
【0077】
保持テーブル7がテープ貼付機構12の搬入位置に達すると、貼付ローラ72を下降させて粘着テープDT上で右から左に転動させる。これによってリングフレームfとウエハWの研削面側に粘着テープDTを貼り付ける。貼付ローラ72が終端位置に到達すると、テープ切断機構74が下降し、リングフレームfに沿って丸刃のカッタを旋回させながら粘着テープDTを切断する。
【0078】
切断が完了すると、テープ切断機構74が上昇するとともに、剥離ローラ73が右から左に移動し、切断後の不要テープを巻取り回収してゆく(ステップS21)。
【0079】
マウントフレームMFの作成が完了すると、保持テーブル7が
図1の矩形部Aのセット位置まで移動して停止する。その位置でフレーム搬送装置16が、作成されたマウントフレームMFを吸着搬送して反転ユニット9に受け渡す。
【0080】
反転ユニット9は、マウントフレームMFを表裏反転させ、保護テープ付きの面を上向きにして剥離テーブル10に載置する(ステップS22)。
【0081】
制御部95は、剥離テーブル10を剥離機構13の搬入位置まで移動させる。剥離テーブル10が剥離機構13の搬入位置に達すると、マウントフレームMFのテープ貼付け開始端に剥離バー81を下降させる。剥離バー81の押圧により剥離テープtが保護テープPTに貼付けられると、剥離テーブル10が移動する。この剥離テーブル10の移動に同期させて剥離テープtを巻取り軸82に巻き取ってゆくことにより、保護テープPTが剥離テープtと一体となって剥離されてゆく(ステップS23)。
【0082】
保護テープPTの剥離が完了すると、剥離バー81が上昇して待機位置に戻る。同時に剥離テーブル10は、矩形部Aのプッシャ11の待機位置へと移動する。プッシャ11のチャック片68によってマウントフレームMFが吸着保持され、フレーム回収部9に回収される(ステップS24)。
【0083】
以上で保護テープ付きのウエハWを利用してマウントフレームMFを作成する一巡の動作が終了し、制御部95は、当該マウントフレームMFの計数値が所定数に達しているかの比較演算処理を行い(ステップS25)、所定数に達していなければ、ステップS1からステップS25までの処理が繰り返される。
【0084】
上記実施例装置によれば、収納容器3から取り出したウエハWの非保持面である下面を第2センサで検査するので、当該ウエハWの下面に層間体17が密着しているか否かを判別することができる。また、ウエハWの下面に層間体17が密着している場合、押圧機構100のローラ104によってウエハWの外縁から僅かにはみ出ている層間体17を押圧するので、当該層間体17に皺が発生し、ひいてはウエハWと層間体17の間に間隙が形成される。この状態で、ウエハWと層間体17の間隙に向けてノズル101からエアーを吹き付けることにより、ウエハWの下面から層間体17を確実に分離することができる。したがって、ウエハWを処理する次工程に層間体17の密着したウエハWを誤って搬送するのを回避することができる。
【0085】
また、ウエハWの外周を囲燒するように複数個のローラ104を等間隔で配備しているので、当該ローラ104によって層間体17を押圧することにより、ローラ104間の層間体17に皺を容易に発生させることができる。また、複数個のローラ104をウエハWの外縁に当接させることにより、保持アーム38に保持された状態でウエハWの芯合わせも行うことができる。したがって、次工程のアライナ6での位置合わせは、ノッチを検出し、当該ノッチに基づいて所定位置に回転させるだけでよい。
【0086】
なお、本発明は以下のような形態で実施することも可能である。
【0087】
(1)上記実施例装置において、押圧機構100の台数は、4台に限定されず1台または複数台であってもよい。押圧機構100が2台の場合、ウエハWの外周に180°の間隔で配備する。すなわち、両ローラ104が対向する位置に配備される。また、押圧機構100が3台の場合、ウエハWの外周に120°の間隔で配備すればよい。
【0088】
(2)上記実施例装置において、ノズル101の位置は、固定配備されていたが、ノズル101の先端を左右または上下に角度調整可能に構成してもよい。すなわち、光学カメラやラインセンサでウエハWと層間体17の間隙を検出し、当該間隙にノズル101の先端を向けてエアーを吹き付ける。
【0089】
この構成によれば、ウエハWと層間体17の間隙にエアーを確実に進入させることができるので、ウエハWから層間体17をより精度よく分離することができる。
【0090】
(3)上記実施例装置において、
図27に示すように、ウエハWの外縁に当接させたローラ104を当該ウエハWの外周に沿って時計回り、反時計回りまたは往復に転動させてもよい。
【0091】
この構成によれば、ローラ104による層間体17の押圧範囲が拡張されるので、ウエハWと層間体17との間に間隙を形成しやすくなる。
【0092】
(4)上記実施例装置において、収納容器3側にノズルを備えた構成であってもよい。すなわち、ウエハWの下面を第2センサで検査する前に、収納容器3の上方で全てのウエハWに対してノズルからエアーを吹き付けてウエハWから層間体17を予備的に分離処理する。
【0093】
この構成によれば、収納容器3からウエハWを取り出した時点で、ウエハWと層間体17が全面で密着しきれておらず、僅か外力を層間体17に付与すれば分離可能な程度にウエハの下面に当該層間体17に付着している場合、層間体17をウエハWの下面から分離することができる。ただし、ウエハWの下面の略全面に層間体17が密着している場合は、当該予備的な分離処理では、ウエハWから分離しきれないので、ウエハWの下面は、搬送過程で第2センサによって層間体17が残っているか否かの検査されるように構成する。
【0094】
また、この構成によれば、回収容器4側での分離処理の枚数を削減できるので、次工程へのウエハWの搬送時間および処理時間を短縮することができる。
【0095】
(5)上記実施例装置は、保持アーム38によって層間体17のみを搬送して回収容器4に回収させたとき、
図21に示すステップS13において、保持アーム38から層間体17が外れて回収容器4に回収されたか否かを検査するようにしてもよい。例えば、保持アーム38の負圧を予定時間だけ停止させた後、負圧を作動させて圧力変化を検出する。つまり、圧力が所定値よりも高くなれば層間体17が保持アーム38に残っていると判別することができる。このとき、圧空装置を静圧に切り換えて吸着孔から気体を排出させることにより、保持アーム38から層間体17を分離除去することができる。