(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-38540(P2017-38540A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】食物繊維含有の生だし及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20170203BHJP
【FI】
A23L1/22 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-161318(P2015-161318)
(22)【出願日】2015年8月18日
(11)【特許番号】特許第5970118号(P5970118)
(45)【特許公報発行日】2016年8月17日
(71)【出願人】
【識別番号】515172119
【氏名又は名称】平野 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】平野 讓
【テーマコード(参考)】
4B047
【Fターム(参考)】
4B047LB02
4B047LB09
4B047LG09
4B047LG28
4B047LG55
4B047LG64
4B047LP01
4B047LP05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を得ることができ、雑味を取り、旨み成分を効率良く煮出せる食物繊維含有の生だし及びその製造方法の提供。
【解決手段】食物繊維含有の生だしは、水と、食物繊維としての難消化性デキストリンと、フルボ酸ミネラル調味液と、を含有し、フルボ酸ミネラル調味液が、食酢、フルボ酸、カルシウム、ミネラル塩、トレハロースを成分とし、フルボ酸ミネラル調味液を含有していることにより、難消化性デキストリンの溶解度が低くなり、生だしを焚き上げた後の難消化性デキストリンの含有量の低下が抑えられ、しかも、フルボ酸ミネラル調味液を含有していることにより、熱伝導率が良くなり、だしの焚き上がり時間が短縮され、雑味が取れ、旨み成分が効率良く煮出せる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、食物繊維としての難消化性デキストリンと、フルボ酸ミネラル調味液と、を含有した食物繊維含有の生だし。
【請求項2】
水100に対して、難消化性デキストリンを水の1〜10重量%、フルボ酸ミネラル調味液を水の0.03〜0.1重量%、添加し、前記フルボ酸ミネラル調味液は、少なくとも、食酢、フルボ酸、ミネラル塩を含む請求項1に記載の食物繊維含有の生だし。
【請求項3】
水を沸騰させる沸騰ステップと、
前記ステップにより沸騰させた水に、削り節を投入して沸騰させる削り節投入ステップと、
前記ステップにより投入した削り節を抽出する削り節抽出ステップと、
前記ステップにより削り節を抽出した後の水に、食物繊維としての難消化性デキストリンと、フルボ酸ミネラル調味液と、を配合する配合ステップと、
前記ステップにより得た配合液を攪拌する攪拌ステップと、
を含む食物繊維含有の生だしの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を得ることができる機能性食品としての食物繊維含有の生だし及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を付与するために、水溶性の食物繊維である難消化性デキストリンを小麦粉に添加した食物繊維機能性食品としての麺類が知られている(例えば特許文献1参照)。難消化性デキストリンは、水溶性で低粘性の食物繊維であり、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果が得られるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−254901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生だしに難消化性デキストリンを添加することで、生だしに血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を付与することが考えられる。しかしながら、難消化性デキストリンを含有させた生だしを焚き上げると、難消化性デキストリンは溶解し、難消化性デキストリンの含有量が低下する。その結果、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を十分に得ることができず、食物繊維機能性食品としての特長が生かされない。また、生だしは、焚き上がりにかかる時間が長いほど、雑味が生じ、旨み成分を効率良く煮出すことができず、また、塩味が強くなる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を得ることができ、また、雑味が取れ、旨み成分が効率良く煮出せる機能性食品としての食物繊維含有の生だし及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の食物繊維含有の生だしは、水と、食物繊維としての難消化性デキストリンと、フルボ酸ミネラル調味液と、を含有したものである。
【0007】
本発明の食物繊維含有の生だしにおいて、水100に対して、難消化性デキストリンを水の1〜10重量%、フルボ酸ミネラル調味液を水の0.03〜0.1重量%、添加し、フルボ酸ミネラル調味液は、少なくとも、食酢、フルボ酸、ミネラル塩を含むことが好ましい。
【0008】
また、本発明の食物繊維含有の生だしは、水を沸騰させる沸騰ステップと、ステップにより沸騰させた水に、削り節を投入して沸騰させる削り節投入ステップと、ステップにより投入した削り節を抽出する削り節抽出ステップと、ステップにより削り節を抽出した後の水に、食物繊維としての難消化性デキストリンと、フルボ酸ミネラル調味液と、を配合する配合ステップと、ステップにより得た配合液を攪拌する攪拌ステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フルボ酸ミネラル調味液を含有していることにより、難消化性デキストリンの溶解度が低くなり、生だしを焚き上げた後の難消化性デキストリンの含有量の低下が抑えられる。これにより、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を得ることができる。しかも、フルボ酸ミネラル調味液を含有していることにより、熱伝導率が良くなり、だしの焚き上がり時間が短縮され、雑味が取れ、旨み成分が効率良く煮出せる。また、塩味が軽減し、まろやかな旨味になる。また、一般細菌の増殖抑制効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る食物繊維含有の生だしの製造方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態による食物繊維含有の生だし及びその製造方法について図面を参照して説明する。本発明の食物繊維含有の生だしは、水と、食物繊維としての難消化性デキストリンと、フルボ酸ミネラル調味液と、を含有する。難消化性デキストリンは、水溶性で低粘性の食物繊維であり、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果が得られるものである。フルボ酸ミネラル調味液は、食酢、フルボ酸、カルシウム、ミネラル塩、トレハロースを成分とするものであり、少なくとも、食酢、フルボ酸、ミネラル塩を含むものとすればよい。また、本発明の食物繊維含有の生だしは、水100に対して、難消化性デキストリンを水の1〜10重量%、フルボ酸ミネラル調味液を水の0.03〜0.1重量%、添加したものであることが好ましい。また、濃縮うどんだし、さかしお(酒塩)、削り節等をさらに添加したものであってもよい。さかしお(酒塩)は、みりんの風味、甘味を出すために用いられ、削り節は、かつお節の風味を出すために用いられる。本発明の食物繊維含有の生だしの用途は、例えば、うどん、そばだし、雑煮、かやくご飯、天つゆ、茶碗蒸し、お鍋だし、等である。
【0012】
図1は、本発明の食物繊維含有の生だしの製造方法のフローチャートを示す。本発明の食物繊維含有の生だしは、以下のようにして製造する。まず、原材料を計量する計量ステップを行う(#1)。このとき、原材料は、水を550l(550kg)、濃縮うどんだしを50l(水の9重量%)、さかしお(酒塩)を2.8l(水の5重量%)、削り節を2kg(水の0.36重量%)、難消化性デキストリンを16.5l(水の3重量%)、フルボ酸ミネラル調味液を0.26l(水の0.047重量%)、とする。
【0013】
続いて、計量ステップで計量した550lの水を沸騰させる沸騰ステップを行う(#2)。沸騰は、100℃で約20分とする。続いて、沸騰ステップにより沸騰させた水に、削り節を投入して沸騰させる削り節投入ステップを行う(#3)。このとき、計量ステップで計量した削り節を投入し、削り節を投入した後の沸騰は、約20分とする。続いて、削り節投入ステップにより投入した削り節を抽出する削り節抽出ステップを行う(#4)。
【0014】
続いて、削り節抽出ステップにより削り節を抽出した後の水に、食物繊維としての難消化性デキストリンと、フルボ酸ミネラル調味液と、を配合する配合ステップを行う(#5)。このとき、計量ステップで計量した難消化性デキストリン及びフルボ酸ミネラル調味液を配合する。また、計量ステップで計量した濃縮うどんだし、及びさかしお(酒塩)も一緒に配合する。続いて、配合ステップにより得た配合液を攪拌する攪拌ステップを行う(#6)。攪拌は、100℃で約1〜2分とする。これにより、食物繊維含有の生だしが完成する。続いて、生だしを包装する包装ステップを行い(#7)、その後、冷蔵保存する保存ステップを行う(#8)。包装する生だしの容量は、350ccとし、冷蔵保存は、10℃以下とする。
【0015】
このような食物繊維含有の生だし及びその製造方法によれば、フルボ酸ミネラル調味液を含有していることにより、難消化性デキストリンの溶解度が低くなり、生だしを焚き上げた後の難消化性デキストリンの含有量の低下が抑えられる。これにより、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果を得ることができる。しかも、フルボ酸ミネラル調味液を含有していることにより、熱伝導率が良くなり、だしの焚き上がり時間が短縮(従来30〜40分かかるものが、20分に短縮)され、雑味が取れ、旨み成分が効率良く煮出せる。また、塩味が軽減し、まろやかな旨味になる。また、一般細菌の増殖抑制効果も得られる。
【0016】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、難消化性デキストリン、フルボ酸ミネラル調味液、濃縮うどんだし、さかしお(酒塩)、及び削り節に加え、品質に影響を与えない範囲で、他の添加物をさらに添加したものであってもよい。また、削り節投入ステップにおいて、削り節を投入した後の沸騰は、約20分に限られず、他の時間であってもよい。また、攪拌ステップにおいて、攪拌は、100℃で約1〜2分に限られず、他の温度、他の時間であってもよい。
【手続補正書】
【提出日】2016年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、食物繊維としての難消化性デキストリンと、少なくとも、食酢、フルボ酸、ミネラル塩を含むフルボ酸ミネラル調味液と、を含有した食物繊維含有の生だし。
【請求項2】
水100に対して、難消化性デキストリンを水の1〜10重量%、前記フルボ酸ミネラル調味液を水の0.03〜0.1重量%、添加した請求項1に記載の食物繊維含有の生だし。
【請求項3】
水を沸騰させる沸騰ステップと、
前記ステップにより沸騰させた水に、削り節を投入して沸騰させる削り節投入ステップと、
前記ステップにより投入した削り節を抽出する削り節抽出ステップと、
前記ステップにより削り節を抽出した後の水に、食物繊維としての難消化性デキストリンと、少なくとも、食酢、フルボ酸、ミネラル塩を含むフルボ酸ミネラル調味液と、を配合する配合ステップと、
前記ステップにより得た配合液を攪拌する攪拌ステップと、
を含む食物繊維含有の生だしの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の食物繊維含有の生だしは、水と、食物繊維としての難消化性デキストリンと、
少なくとも、食酢、フルボ酸、ミネラル塩を含むフルボ酸ミネラル調味液と、を含有したものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の食物繊維含有の生だしにおいて、水100に対して、難消化性デキストリンを水の1〜10重量%、
前記フルボ酸ミネラル調味液を水の0.03〜0.1重量%、添加
したものであることが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
また、本発明の食物繊維含有の生だしは、水を沸騰させる沸騰ステップと、ステップにより沸騰させた水に、削り節を投入して沸騰させる削り節投入ステップと、ステップにより投入した削り節を抽出する削り節抽出ステップと、ステップにより削り節を抽出した後の水に、食物繊維としての難消化性デキストリンと、
少なくとも、食酢、フルボ酸、ミネラル塩を含むフルボ酸ミネラル調味液と、を配合する配合ステップと、ステップにより得た配合液を攪拌する攪拌ステップと、を含むものである。