特開2017-38899(P2017-38899A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-38899(P2017-38899A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】特殊空間用防護服着脱機構
(51)【国際特許分類】
   A62B 17/00 20060101AFI20170203BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20170203BHJP
   G21F 7/005 20060101ALN20170203BHJP
   B64G 6/00 20060101ALN20170203BHJP
【FI】
   A62B17/00
   A41D13/00 105
   G21F7/005
   B64G6/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-175165(P2015-175165)
(22)【出願日】2015年8月19日
(71)【出願人】
【識別番号】391051360
【氏名又は名称】千代田メインテナンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田口 清司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】石井 光
【テーマコード(参考)】
2E185
3B011
【Fターム(参考)】
2E185AA01
2E185BA05
2E185BA08
2E185BA16
3B011AA02
3B011AB01
3B011AC26
(57)【要約】
【課題】本発明は、特殊空間側と外部空間側を貫通しない締結機構を備えた特殊空間隔離入出機構を提供することを目的とする。
【解決手段】特殊空間隔離入出機構を構成する4つの連結要素に磁石または磁性体を配置して、4つの連結要素を磁力による吸着作用で締結する一方、磁力による反発作用で締結解除することを特徴とする締結機構を備えた特殊空間隔離入出機構を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間(1)から雰囲気隔離された特殊空間(2)の内部に設けられた雰囲気隔離された小空間(1a)に外部空間(1)から出入りする特殊空間隔離入出機構であって、特殊空間(2)を気密に仕切る外隔壁(3)の出入口に設けた外蓋枠(3a)と外蓋枠(3a)を気密に閉栓する外蓋(3b)と小空間(1a)を気密に仕切る内隔壁(4)の出入口に設けた内蓋枠(4a)と内蓋枠(4a)を気密に閉栓する内蓋(4b)を有し、外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)は気密に連結分離可能であり、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体と外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体どうしも気密に連結分離可能であり、外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体は外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体に対して外部空間(1)側への開閉が可能である特殊空間隔離入出機構であって、外蓋枠(3a)、外蓋(3b)、内蓋枠(4a)、内蓋(4b)の4つの連結要素に磁石または磁性体を配置して、外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)を磁力による吸着作用で締結する一方、磁力による反発作用で締結解除することを特徴とする特殊空間隔離入出機構。
【請求項2】
外蓋枠(3a)、外蓋(3b)、内蓋枠(4a)、内蓋(4b)の4つの連結要素に磁石、磁性体または非磁性体を配置して、外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)を磁力による吸着作用で締結する一方、磁力による作用を及ぼさせないことにより締結解除することを特徴とする請求項1に記載の特殊空間隔離入出機構。
【請求項3】
雰囲気隔離された特殊空間(2)の内部に設けられた小空間(1a)が全身気密防護服であって、外部空間(1)から全身気密防護服に出入りすることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の特殊空間隔離入出機構。
【請求項4】
雰囲気隔離された特殊空間(2)の内部に設けられた小空間(1a)が気密容器であって、外部空間(1)から気密容器に出入りすることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の特殊空間隔離入出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日常生活空間から雰囲気隔離された特殊空間の内部に設けられた小空間に特殊空間の雰囲気に触れることなく出入りするための特殊空間隔離入出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術としてダブルポートカバーシステムがある。用途の1例として有害環境下で着用する全身気密防護服の着脱装システムがある。それは放射性汚染雰囲気等の特殊空間と外部空間とを気密に仕切る隔壁開口部の特殊空間側に設置された全身気密防護服に外部空間側から出入りする着脱装システムであるが、特殊空間中の放射性汚染雰囲気を外部空間に漏えいさせることなく着脱装するための技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−149745
【特許文献2】特開平04−105099
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においてダブルポートカバーシステムの4つの連結要素の締結機構は、外部空間側の連結要素と特殊空間側の連結要素を機械的な力の伝達によって連結させるものである。そのため締結機構部の構成部品が特殊空間側の連結要素を貫通する構造となる。そのため連結要素内で特殊空間側と外部空間側を貫通する締結機構部品は特殊空間側と外部空間側の境界をシールするためにOリングなどのシール材を必要とする。シール材の材質はゴムや軟質樹脂などが用いられることが多い。ゴムや軟質樹脂は金属材料などと比較して経年劣化が早いために製品自体の耐久性が制限されてしまうこととなり、長期間の使用に耐えられないことが課題となっている。
【0005】
本発明は、上記のような従来の隔離入出機構における課題である特殊空間側と外部空間側を貫通しない締結機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
締結機構に磁力の作用を利用することによって、従来の特殊空間側と外部空間側を貫通する機械的な締結力の伝達が不要となり、従来の締結機構に必要とされた特殊空間側と外部空間側を貫通する締結機構部品を省くことができる。
【0007】
外部空間(1)から雰囲気隔離された特殊空間(2)の内部に設けられた雰囲気隔離された小空間(1a)に外部空間(1)から出入りする特殊空間隔離入出機構において、特殊空間(2)を気密に仕切る外隔壁(3)の出入口に設けた外蓋枠(3a)と外蓋枠(3a)を気密に閉栓する外蓋(3b)と小空間(1a)を気密に仕切る内隔壁(4)の出入口に設けた内蓋枠(4a)と内蓋枠(4a)を気密に閉栓する内蓋(4b)を備える。外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)は気密に連結分離可能とし、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体と外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体どうしも気密に連結分離可能とする。また、外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体は外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体に対して外部空間(1)側への開閉を可能とする。
【0008】
上記の特殊空間隔離入出機構の外蓋枠(3a)、外蓋(3b)、内蓋枠(4a)、内蓋(4b)の4つの連結要素に磁石または磁性体を配置して、外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)を磁力による吸着作用で締結する一方、磁力による反発作用で締結解除することができる構造とする。
【0009】
第2の課題解決手段は、上記の特殊空間隔離入出機構の外蓋枠(3a)、外蓋(3b)、内蓋枠(4a)、内蓋(4b)の4つの連結要素に磁石、磁性体または非磁性体を配置して、外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)を磁力による吸着作用で締結する一方、磁力による作用を及ぼさせないことにより締結解除することができる構造とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。まず、締結機構部品が連結要素を貫通しないため、締結機構部品組込部からの汚染漏えいリスクが無くなる。
【0011】
また、締結機構部品が連結要素取り合い面に露出しないため、取り合い面が平滑になり汚染の拭き取り除去が容易になる。
【0012】
更に、機械的連動部が無いため故障などの不具合発生リスクが減ることにより信頼性が向上するとともに、締結時の機械的なかみ合い不具合などが発生しないことにより操作がより円滑になり操作時間が短縮される。
【0013】
加えて、締結機構部の構造が簡潔になり部品数、組立工数が減ることにより生産コスト削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1の概念図である。
図2】本発明の実施例1の作動機構を説明するための概念図である。
図3】本発明の実施例1の作動機構を説明するための概念図である。
図4】本発明の実施例2の概念図である。
図5】本発明の実施例2の作動機構を説明するための概念図である。
図6】本発明の実施例2の作動機構を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明である特殊空間用防護服着脱機構の概念図である。外部空間(1)と呼ぶ日常生活空間の内部に雰囲気隔離された特殊空間(2)を設ける。特殊空間(2)を気密に仕切る外隔壁(3)の出入開口部に外蓋枠(3a)を設置し、外蓋枠(3a)を気密に閉栓する外蓋(3b)を備える。同様にして特殊空間(2)の内部に雰囲気隔離された小空間(1a)を設ける。小空間(1a)を気密に仕切る内隔壁(4)の出入開口部に内蓋枠(4a)を設置し、内蓋枠(4a)を気密に閉栓する内蓋(4b)を備える。
【0017】
図1のとおり、外蓋枠(3a)には固定磁石(5)を内装する。固定磁石(5)の配置は鉛直方向に軸をとりN極が上側でS極が下側とする。外蓋(3b)には可動磁石(6)を内装する。可動磁石(6)の配置は水平方向に軸をとり軸の中点を回転の中心として水平面上を回転できる構造とする。可動磁石(6)の回転操作は上部ハンドル(6a)を回すことにより行う。内蓋枠(4a)には可動磁石(7)を内装する。可動磁石(7)の配置は水平方向に軸をとり軸の中点を回転の中心として水平面上を回転できる構造とする。可動磁石(7)の回転操作は下部ハンドル(7a)を回すことにより行う。内蓋(4b)には固定磁石(8)を内装する。固定磁石(8)の配置は鉛直方向に軸をとりN極が上側でS極が下側とする。
【0018】
このとき外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)は可動磁石(6)及び可動磁石(7)の配置を操作することにより磁力の吸着作用によって連結させることができる。取り合い部にシール材を備えることにより気密に連結させることができる。一方では磁力の反発作用によって分離させることができる。
【0019】
外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体と外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体どうしも同様にして磁石の配置を操作することにより、気密に連結分離させることができる。このとき、外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体は外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体に対して外部空間(1)側への開閉させることができる。
【0020】
図2のように上部ハンドル(6a)を操作して、外蓋(3b)に内装された可動磁石(6)のN極を外側にS極を内側に配置させた場合は、外蓋(3b)と外蓋枠(3a)が各々に内装された磁石の同極同士の反発力の作用で分離し、外蓋(3b)と内蓋(4b)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合する。
【0021】
同様に下部ハンドル(7a)を操作して、内蓋枠(4a)に内装された可動磁石(7)のN極を外側にS極を内側に配置させた場合は、内蓋枠(4a)と内蓋(4b)が各々に内装された磁石の同極同士の反発力の作用で分離し、内蓋枠(4a)と外蓋枠(3a)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合する。
【0022】
上記のとおり、上部ハンドル(6a)と下部ハンドル(7a)の所定の操作により、外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体を外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体に対して外部空間(1)側へ開くことができ、防護服の着装者は特殊空間(2)内に設置した小空間(1a)である防護服の内部に外部空間(1)から入ることが可能となる。このとき特殊空間(2)内部の雰囲気が外部空間(1)や小空間(1a)である防護服の内部に露出することはない。
【0023】
さらに図3のように上部ハンドル(6a)を操作して、外蓋(3b)に内装された可動磁石(6)のN極を内側にS極を外側に配置させた場合は、外蓋(3b)と外蓋枠(3a)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合し、外蓋(3b)と内蓋(4b)が各々に内装された磁石の同極同士の反発力の作用で分離する。
【0024】
同様に下部ハンドル(7a)を操作して、内蓋枠(4a)に内装された可動磁石(7)のN極を内側にS極を外側に配置させた場合は、内蓋枠(4a)と内蓋(4b)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合し、内蓋枠(4a)と外蓋枠(3a)が各々に内装された磁石の同極同士の反発力の作用で分離する。
【0025】
上記のとおり、上部ハンドル(6a)と下部ハンドル(7a)の所定の操作により、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)の結合体を外蓋枠(3a)/外蓋(3b)の結合体に対して特殊空間(2)側へ切り離すことができ、特殊空間(2)内に設置した小空間(1a)である防護服を着装した着装者は特殊空間(2)内部で作業することが可能となる。このとき特殊空間(2)内部の雰囲気が外部空間(1)や小空間(1a)である防護服の内部に露出することはない。
【実施例2】
【0026】
図4図1と同様に本発明である特殊空間用防護服着脱機構の概念図である。外蓋枠(3a)及び内蓋(4b)に内装される固定磁石(5)及び固定磁石(8)の構造及び配置は実施例1のとおりである。可動磁石の構造及び配置は実施例1とは異なる。外蓋(3b)には可動磁石(9)を内装する。可動磁石(9)はN極側に非磁性体を組み合わせた構造とする。可動磁石(9)の配置は水平方向に軸をとり軸の中点を回転の中心として水平面上を回転できる構造とする。可動磁石(9)の回転操作は上部ハンドル(6a)を回すことにより行う。内蓋枠(4a)には可動磁石(10)を内装する。可動磁石(10)はS極側に非磁性体を組み合わせた構造とする。可動磁石(10)の配置は水平方向に軸をとり軸の中点を回転の中心として水平面上を回転できる構造とする。可動磁石(10)の回転操作は下部ハンドル(7a)を回すことにより行う。
【0027】
このとき外蓋枠(3a)/外蓋(3b)、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)、外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)、外蓋(3b)/内蓋(4b)は可動磁石(9)及び可動磁石(10)の配置を操作することにより磁力の吸着作用によって連結させることができる。取り合い部にシール材を備えることにより気密に連結させることができる。実施例1と異なり磁力の反発作用が働かないため磁力によって分離させることはできない。
【0028】
外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体と外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体どうしも同様にして磁石の配置を操作することにより、気密に連結させることができる。このとき、外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体は外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体に対して外部空間(1)側への開閉させることができる。
【0029】
図5のように上部ハンドル(6a)を操作して、外蓋(3b)に内装された可動磁石(9)の非磁性体を外側にS極を内側に配置させた場合は、外蓋(3b)と内蓋(4b)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合する。一方で外蓋(3b)と外蓋枠(3a)の間には磁力が作用しないため、実施例1のような積極的な分離は起こらない。
【0030】
同様に下部ハンドル(7a)を操作して、内蓋枠(4a)に内装された可動磁石(10)のN極を外側に非磁性体を内側に配置させた場合は、内蓋枠(4a)と外蓋枠(3a)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合する。一方で内蓋枠(4a)と内蓋(4b)の間には磁力が作用しないため、実施例1のような積極的な分離は起こらない。
【0031】
上記のとおり、上部ハンドル(6a)と下部ハンドル(7a)の所定の操作により、外蓋(3b)/内蓋(4b)の結合体を外蓋枠(3a)/内蓋枠(4a)の結合体に対して外部空間(1)側へ開くことができ、防護服の着装者は特殊空間(2)内に設置した小空間(1a)である防護服の内部に外部空間(1)から入ることが可能となる。このとき特殊空間(2)内部の雰囲気が外部空間(1)や小空間(1a)である防護服の内部に露出することはない。
【0032】
さらに図6のように上部ハンドル(6a)を操作して、外蓋(3b)に内装された可動磁石(9)の非磁性体を内側にS極を外側に配置させた場合は、外蓋(3b)と外蓋枠(3a)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合する。一方で外蓋(3b)と内蓋(4b)の間には磁力が作用しないため、実施例1のような積極的な分離は起こらない。
【0033】
同様に下部ハンドル(7a)を操作して、内蓋枠(4a)に内装された可動磁石(10)のN極を内側に非磁性体を外側に配置させた場合は、内蓋枠(4a)と内蓋(4b)が各々に内装された磁石の異極同士の吸着力の作用で結合する。一方で内蓋枠(4a)と外蓋枠(3a)の間には磁力が作用しないため、実施例1のような積極的な分離は起こらない。
【0034】
上記のとおり、上部ハンドル(6a)と下部ハンドル(7a)の所定の操作により、内蓋枠(4a)/内蓋(4b)の結合体を外蓋枠(3a)/外蓋(3b)の結合体に対して特殊空間(2)側へ切り離すことができ、特殊空間(2)内に設置した小空間(1a)である防護服を着装した着装者は特殊空間(2)内部で作業することが可能となる。このとき特殊空間(2)内部の雰囲気が外部空間(1)や小空間(1a)である防護服の内部に露出することはない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は原子力分野をはじめとして、宇宙、バイオ、食品、医薬などの産業においても有効に利用されうる技術である。原子力施設における放射能環境、宇宙産業における地球外環境、バイオ産業における細菌培養保管環境、食品産業における異物混入防止環境、医薬産業における動植物の実験飼育環境など、日常生活空間と雰囲気隔離して管理されるべき特殊空間にかかわる産業に用いられる技術である。
【0036】
具体的には以下の用途例が挙げられる。宇宙産業においては、地球環境/地球外環境の間の人および物の隔離入出がある。バイオ産業においては、居住空間/無菌環境の間の人および物の隔離入出がある。また、居住空間/病原菌環境の間の人および物の隔離入出がある。食品産業においては、食品生産ラインへの原材料投入時の異物混入防止策として、発酵食品用醸造菌などの培養時の雑菌隔離管理や発酵食品製造時の人および物の隔離入出がある。医薬品産業においては、実験用動植物の飼育設備から実験設備への移送がある。その他、特殊空間を有する産業において同様の用途が考えられ、本発明が有用な技術になる。
【符号の説明】
【0037】
1 外部空間:日常生活空間
1a 小空間:特殊空間内に設けた空間で、外部空間と連通する
2 特殊空間:有害環境、無菌環境などを雰囲気隔離した空間
2a 外蓋と内蓋の結合により形成される空間で特殊空間と連通する
3 外隔壁:外部空間から特殊空間を雰囲気隔離する仕切り
3a 外蓋枠:外隔壁の開口部に設けた蓋枠
3b 外蓋:外蓋枠と気密に連結して特殊空間の開口部を閉栓する蓋
4 内隔壁:特殊空間から小空間を雰囲気隔離する仕切り
4a 内蓋枠:内隔壁の開口部に設けた蓋枠
4b 内蓋:内蓋枠と気密に連結して小空間の開口部を閉栓する蓋
5 固定磁石:外蓋枠に内装された磁石
6 可動磁石:外蓋に内装された磁石
6a 上部ハンドル:外蓋に内装された可動磁石の配置を操作するハンドル
7 可動磁石:内蓋枠に内装された磁石
7a 下部ハンドル:内蓋枠に内装された可動磁石の配置を操作するハンドル
8 固定磁石:内蓋に内装された磁石
9 可動磁石:外蓋に内装された非磁性体を含む磁石
10 可動磁石:内蓋枠に内装された非磁性体を含む磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6