【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム フィージビリティスタディステージ ハイリスク挑戦タイプ「個性適応機能を有する筋電義手の開発と一般流通化」、平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 医療分野研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム「個性適応機能を有する筋電義手の開発と一般流通化」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】インターフェイス部品10は、柔軟性を有し、少なくとも人体の被装着部との接触面が粘着性を有してこの接触面に着脱可能に密着する電気絶縁性樹脂材12と、柔軟性および伸縮性を有し、被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して被装着部に面接触するように電気絶縁性樹脂材12の内面側に少なくとも2つ固着され、電気絶縁性樹脂材12と一体的に伸縮する電極部材16a、16bとを備える。
前記電気絶縁性樹脂材の外面側に固着し通気性および柔軟性を有するとともに少なくとも1つの所定方向に伸縮可能な通気材を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のインターフェイス部品。
前記電極部材は、前記電気絶縁性樹脂材と同じ材質の樹脂材に少なくとも一種類の導電性物質が加えられた部材からなることを特徴とする請求項8または9記載のインターフェイス部品。
前記電気絶縁性樹脂材の外面側に固着し通気性および柔軟性を有するとともに少なくとも1つの所定方向に伸縮可能な通気材を備えたことを特徴とする請求項8〜10の何れか1項記載のインターフェイス部品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来、以下の問題があった。
【0006】
(使用の制限)
センサ部を構成する電極部分に外力がかかると計測信号の不安定化や片あたりによる痛みの発生を招く。このため、この電極部分には外力がかからないようにすることが必要とされている。このようにセンサ部の電極部分に外力がかからないようにするには、人体へ機械類の装着を行う際に電極部分を避けて装着する必要がある。このため、人体への装着領域が限定され、しかもセンサ電極の貼付領域を支持部として使うことができない。
【0007】
(計測信号の不安定性)
このような生体計測を最も精密にしかも安定的に行うには、導電性ペーストを用いた金属電極を用いると良いことが知られている。しかし、 安全性、寿命、着脱性、コストの問題が大きい。このため,一般には金属電極が繰り返して用いられるが、接触圧力の変化による電気的インピーダンスの変化が大きいため、計測信号を安定させることが困難である。
【0008】
また、導電性ペーストにはイオン液体を用いるため、導電性ペースト電極の生体適合性が悪く、長時間の貼付は肌荒れの原因となる。また、溶媒の揮発により性能の劣化が激しいので、長時間の使用には堪えられず数時間程度の使用が限度である。一方、金属電極を繰り返して使用すると、被装着者のアレルギーの原因となる上に、電極表面に不導体が形成されやすく、電気的性能の維持が困難である。
【0009】
(固定性能の不安定性)
また、導電性ペースト電極は,強度不足により機械類を固定することは不可能である。一方で、金属電極やカーボン電極の繰り返し使用では、接触圧の変動による皮膚インピーダンスの変化が大きいため,やはり機械類を固定することは不向きである。
【0010】
(着脱の非容易性)
また、導電性ペースト電極は、粘着性が高く、せん断方向力により破壊されるため、着脱はあまり容易ではない。また、導電性ペーストによる肌荒れの問題もある。
【0011】
(コスト)
導電性ペースト電極は,使い捨てを基本とし、着脱のたびに新しいものと取り換える必要があるため、コスト高である。金属電極は、金メッキが最も高性能であるが、十分な導電性を得るためには相応のメッキ厚を必要とするためコスト高である。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装着時に電極部分が人体に当接しても不具合が生じない構成のインターフェイス部品、インターフェイス装置、および、アシスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1発明のインターフェイス部品は、柔軟性を有し、少なくとも人体の被装着部との接触面が粘着性を有して該接触面に着脱可能に密着する電気絶縁性樹脂材と、柔軟性および伸縮性を有し、前記被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して前記被装着部に面接触するように前記電気絶縁性樹脂材の内面側に少なくとも2つ固着され、前記電気絶縁性樹脂材と一体的に伸縮する電極部材と、を備える。
【0014】
本発明に係る第2発明のインターフェイス部品は、人体の被装着部に面接触して着脱可能に密着し、一平面で切断したときの断面構造に環状部が現れて該環状部が周方向に伸縮可能である電気絶縁性樹脂材と、前記被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して前記被装着部に面接触するように前記電気絶縁性樹脂材の内面側に少なくとも2つ固着され、前記電気絶縁性樹脂材と一体的に伸縮する電極部材と、を備える。
【0015】
本発明に係る第1発明のインターフェイス装置は、本発明に係る第1発明のインターフェイス部品または第2発明のインターフェイス部品と、前記電極部材にそれぞれ電気接続して電極部材間の電位差を測定可能にする電気接続構造と、を備える。
【0016】
本発明に係る第2発明のインターフェイス装置は、本発明に係る第1発明のインターフェイス部品または第2発明のインターフェイス部品と、前記電極部材にそれぞれ電気接続して電極部材間に電圧を付与可能にする電気接続構造と、を備える。
【0017】
本発明に係るアシスト装置は、本発明に係る第1発明のインターフェイス装置と、本発明に係る第2発明のインターフェイス装置と、本発明に係る第2発明のインターフェイス装置に前記電圧を付与する付与手段と、本発明に係る第1発明のインターフェイス装置の前記電位差に基づいて、前記付与手段で付与すべき所定電位差を算出し、前記付与手段に該所定電位差を付与させる制御手段と、を備える。
【0018】
本発明に係る第3発明のインターフェイス部品は、柔軟性を有し、少なくとも人体の被装着部との接触面が粘着性を有して該接触面に着脱可能に密着する防水性の電気絶縁性樹脂材と、柔軟性および伸縮性を有し、前記被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して前記被装着部に面接触するように前記電気絶縁性樹脂材の内面側に少なくとも2つ固着され、人体との接触面が粘着性を有して前記電気絶縁性樹脂材と一体的に伸縮する、樹脂材に導電性物質を加えてなる電極部材と、を備える。
【0019】
本発明に係る第4発明のインターフェイス部品は、人体の被装着部に面接触して着脱可能に密着し、一平面で切断したときの断面構造に環状部が現れて該環状部が周方向に伸縮可能である防水性の電気絶縁性樹脂材と、前記被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して前記被装着部に面接触するように前記電気絶縁性樹脂材の内面側に少なくとも2つ固着され、人体との接触面が粘着性を有して前記電気絶縁性樹脂材と一体的に伸縮する、樹脂材に導電性物質を加えてなる電極部材と、を備える。
【0020】
本発明に係る第3発明のインターフェイス装置は、本発明に係る第3発明のインターフェイス部品または第4発明のインターフェイス部品と、前記電極部材にそれぞれ電気接続して電極部材間の電位差を測定可能にする電気接続構造と、を備える。
【0021】
本発明に係る第4発明のインターフェイス装置は、本発明に係る第3発明のインターフェイス部品または第4発明のインターフェイス部品と、前記電極部材にそれぞれ電気接続して電極部材間に電圧を付与可能にする電気接続構造と、を備える。
【0022】
本発明に係るアシスト装置は、本発明に係る第3発明のインターフェイス装置と、本発明に係る第4発明のインターフェイス装置と、本発明に係る第4発明のインターフェイス装置に前記電圧を付与する付与手段と、本発明に係る第3発明のインターフェイス装置の前記電位差に基づいて、前記付与手段で付与すべき所定電位差を算出し、前記付与手段に該所定電位差を付与させる制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るインターフェイス部品、インターフェイス装置、および、アシスト装置によれば、装着時に電極部分が人体に当接しても不具合が生じないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1(a)〜(c)は、それぞれ、第1実施形態のインターフェイス部品で、全体斜視図、長手方向中央側の電極部材の位置で中心軸方向から見た断面図、および、長手方向端部側の電極部材の位置で中心軸方向から見た断面図である。
【
図2】第1実施形態のインターフェイス装置の全体斜視図である。
【
図3】第1実施形態で用いる内金型の斜視図である。
【
図4】第1実施形態で、内金型の外周側に電極材料を塗布したことを説明する側面図である。
【
図5】第1実施形態で、内金型の外周側に電極材料を塗布したものを外金型内に入れることを説明する斜視図である。
【
図6】
図6(a)〜(c)は、それぞれ、第1実施形態のインターフェイス部品で、金型内に電気絶縁性樹脂材を注入して成形したことを示す全体斜視図、長手方向中央側の電極部材の位置で中心軸方向から見た断面図、および、長手方向端部側の電極部材の位置で中心軸方向から見た断面図である。
【
図7】第1実施形態のインターフェイス部品の部分拡大斜視図である。
【
図8】
図8(a)および(b)は、それぞれ、第1実施形態のインターフェイス部品の変形例を示す模式的な斜視図、および、
図8(a)で平面Fでの断面斜視図である。
【
図9】第1実施形態のインターフェイス部品の別の変形例を示す模式的な斜視図である。
【
図10】第1実施形態のインターフェイス部品の変形例を示す全体斜視図である。
【
図11】第1実施形態で用いる内金型の変形例の斜視図である。
【
図12】第1実施形態で用いる内金型の変形例の側面図である。
【
図13】第1実施形態で、内金型の変形例の外周側に電極材料を塗布したことを説明する側面図である。
【
図14】第1実施形態で、内金型の変形例の外周側に電極材料を塗布したものを外金型内に入れることを説明する斜視図である。
【
図15】第2実施形態のインターフェイス部品を示す全体斜視図である。
【
図16】第3実施形態のアシスト装置が人体に装着されていることを示す説明図である。
【
図17】第4実施形態のアシスト装置が人体に装着されていることを示す説明図である。
【
図18】実験例1で、導電性ペースト電極を有する従来のインターフェイス装置で計測された筋電位の波形を示すチャート図である。
【
図19】実験例1で、導電性ペースト電極を有する従来のインターフェイス装置の一例で計測された筋電位の周波数特性を示すチャート図である。
【
図20】実験例1で、導電性シリコーン電極を有する第1実施形態の一例のインターフェイス装置で計測された筋電位の波形を示すチャート図である。
【
図21】実験例1で、導電性シリコーン電極を有する第1実施形態の一例のインターフェイス装置で計測された筋電位の周波数特性を示すチャート図である。
【
図22】
図22(a)〜(c)は、それぞれ、実験例2で、導電性シリコーン電極を有する第1実施形態の一例のインターフェイス装置で計測された筋電位の波形と他電位の波形とを示すチャート図である(筋肉に力を入れないとき)。
【
図23】
図23(a)〜(c)は、それぞれ、実験例2で、導電性シリコーン電極を有する第1実施形態の一例のインターフェイス装置で計測された筋電位の波形と他電位の波形とを示すチャート図である(筋肉に力を入れたとき)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、第1実施形態で説明した構成要素と同一または類似の構成要素には同一または類似の符号を付し、その詳細な説明を適宜省略している。また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための例示であって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のもののみに限定するものではない。この発明の実施の形態は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0026】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
図1(a)〜(c)は、それぞれ、本実施形態のインターフェイス部品で、全体斜視図、長手方向中央側の電極部材の位置で中心軸方向から見た断面図、および、長手方向端部側の電極部材の位置で中心軸方向から見た断面図である。
【0027】
本実施形態に係るインターフェイス部品10は、柔軟性、伸縮性、および、粘着性を有し、人体の被装着部に面接触して着脱可能に密着する電気絶縁性樹脂材12と、柔軟性、伸縮性、および、粘着性を有し、電気絶縁性樹脂材12の内面側に固着され、人体の被装着部P(例えば、
図16に示す被装着部P)に面接触するとともに電気絶縁性樹脂材12と一体的に伸縮する電極部材(後述の電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22)と、を備える。そして、インターフェイス部品10では、一平面(例えば中心軸方向に直交する平面)による断面の内周が環状に連続する構成にされている。
【0028】
ここで、柔軟性とは、応力を加えたときには変形し、応力を取り除いたときには元の形状に戻る性質のことである。伸縮性とは、伸びたときには縮む方向に張力が生じ、縮んだときには反発力のような弾性力が生じることであり、皮膚を締め付ける力を生じさせる。また、粘着性を有することにより、振動エネルギーが吸収されて安定した密着状態を維持することができる。
【0029】
また、本実施形態では、インターフェイス部品10の製造を容易にするために、絶縁性樹脂材自体に粘着性を有する物質を用いているが、少なくとも被装着部との接触面が粘着性を有していれば良く、電気絶縁性樹脂材12の全体にわたって粘着性を有している必要はない。また、インターフェイス部品10の内周全面にわたって被装着部に面接触する必要はない。また、本実施形態では、電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22が設けられている例で説明するが、中心軸方向が同じ位置における電極部材の数は3個に限定されない。
【0030】
測定対象となる被装着部Pの筋肉の伸縮方向(例えば、被装着部Pが人体の腕の一部である場合には腕の長手方向)に互いに離間して当接するように電極部材は少なくとも2つ配置されている。本実施形態では、筋肉の伸縮方向(例えば
図16に示す伸縮方向U)に互いに離間するように電極部材16aと電極部材16bとが配置され、同様に、筋肉の伸縮方向Uに互いに離間するように、電極部材18aと電極部材18b、電極部材20aと電極部材20b、が配置されている。そして、本実施形態のインターフェイス部品10は、グランド電位測定用の電極部材22を電気絶縁性樹脂材12の内面側に更に有する。
【0031】
図2に示すように、本実施形態のインターフェイス装置30は、このインターフェイス部品10と、以下に説明する電気接続構造とを有する。
【0032】
インターフェイス装置30は、電極部材16a、16bにそれぞれ導通する導電性の端子32a、32b(例えばホック状。
図2、
図7参照)を、電極部材16a、16bの近くであって電気絶縁性樹脂材12の外面側に固定された状態で有する。そしてインターフェイス装置30は、電気絶縁性樹脂材12の外面側であって電気絶縁性樹脂材12を貫通し電極部材16a、16bと導通性の端子32a、32bとにそれぞれ電気接続している接続配線36a、36bを有する。
【0033】
インターフェイス装置30は、電極部材18a、18bに関しても同様に端子および接続配線(図示省略)を有し、電極部材20a、20bに関しても同様に端子および接続配線(図示省略)を有する。
【0034】
そしてインターフェイス装置30は、電極部材22に導通する端子34を、電極部材22の近くであって電気絶縁性樹脂材12の外面側に固定された状態で有する。更にインターフェイス装置30は、電気絶縁性樹脂材12を貫通し電極部材22と端子34とに電気接続しているグランド電位測定用の接続配線38を有する。
【0035】
この構成により、インターフェイス装置30は、電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22にそれぞれ電気接続して電位を測定可能にする電気接続構造40を有している。この電気接続構造40では、例えば電極部材16aと電極部材16bとの電位差を求めるには、電極部材22と電極部材16aとの電位差と、電極部材22と電極部材16bとの電位差とを測定してその差分を算出することで求めることが可能になっている。電極部材18aと電極部材18bとの電位差、電極部材20aと電極部材20bとの電位差も、同様に差分を算出することで、求めることが可能になっている。
【0036】
本実施形態では、電気絶縁性樹脂材12は液状のシリコーン樹脂材料を成形して固めたものからなる。このシリコーン樹脂は、成形前の高温状態では液状で、常温で柔軟性を持った一定の形状を維持できる状態に固まる樹脂である。また、シリコーン樹脂以外に、エラストマーや天然樹脂等の他の樹脂であってもよい。
【0037】
電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22は、何れも、シリコーン樹脂材料に、重量比が1.0〜4.2%の範囲となるように導電性のカーボン粉末を加えた液状の材料(以下、電極形成用液状材料という)を成形したものからなる。重量比が1.0%よりも小さいと十分な導通性を得難い場合があり、また、重量比が4.2%よりも高いと、柔軟性、伸縮性、粘着性が十分でない場合があり、何れもあまり好ましくない。
【0038】
また、この導電性のカーボン粉末としては、本実施形態ではケッチェンブラック(粒子径は34.0nm〜39.5nm)を使用することが好ましい。ケッチェンブラックは中空シェル状の構造を有しており、特殊な凝固状態となっている。ケッチェンブラック以外のカーボン粉末を使用する場合には、ケッチェンブラックに比べ、小さい粒子径のものを使用することが好ましい。
【0039】
なお、カーボン粉末に代えてカーボンナノチューブやゲルマニウム粉末など、人体に無害な他の導電性粉末を用いても良い。
【0040】
(インターフェイス部品およびインターフェイス装置の製造)
以下、インターフェイス部品10およびインターフェイス装置30の製造について、
図3〜
図6を参照しつつ説明する。
【0041】
インターフェイス部品10を成形する成形装置は、略円筒状の内金型44(内筒)と外金型46(外筒)とを有する。内金型44の外径は外金型46の内径よりも小さく、二つの金型を同心状に重ねて、その隙間に液状シリコーンを流し込んで固める構成にされている。そして、少なくとも内金型44は、成形装置本体から着脱自在とされており、内金型44は、成形装置本体に装着されたときには外金型46と同心円状に配置されるようになっている。
【0042】
内金型44の外周側は凹凸のない滑らかな円筒外周面にされており、外金型46の内周側は、凹凸のない滑らかな円筒内周面にされている。そして、外金型46の内周の半径と内金型44の外周の半径との差によって、インターフェイス部品10の各部分の肉厚が決まる。インターフェイス部品10の各部分で、この各部分の内径および外径が設定値となるように、外金型46の内周の半径と内金型44の外周の半径とを予め決めておく。
【0043】
このような成形装置を用いてインターフェイス部品10を製造するには、まず、内金型44を成形装置から取り出し、電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22が配置される所定位置に、電極部材の原料となる、液状よりもやや硬い半流動状の電極形成用液状材料L(
図13参照)を、それぞれ、必要量に応じて塗布する。なお、電極形成用液状材料で予め電極部材を作成しておき、所定位置にそれぞれ電極部材を配置してもよい。
【0044】
そして、内金型44を外金型46の内側へ差し込んで成形装置に装着すると、内金型44は外金型46と同心円状に位置し、シリコーン樹脂を注入する空間が内金型44と外金型46との間に生じる。
【0045】
そして成形金型を閉じ、この空間にシリコーン樹脂を成形装置で注入する。その際、塗布した電極形成用液状材料が完全に固化する前に注入することが、電気絶縁性樹脂材12と電極部材16、18、20、22とを良好に固着させる観点で好ましい。
【0046】
電極形成用液状材料の温度が常温まで低下して固化した後、成形金型から成形樹脂を取り出すことでインターフェイス部品10が得られる。そして、接続配線の取付け、および、端子の取付け、を行うことでインターフェイス装置30が得られる。
【0047】
(作用、効果)
本実施形態のインターフェイス装置30を使用するには、被装着者の被装着部Pが電気絶縁性樹脂材の内側に到達するように、電気絶縁性樹脂材12の内径を手などで広げて、被装着部を有する人体部分(例えば腕部や脚部)を電気絶縁性樹脂材の内側に通し、電気絶縁性樹脂材12の内径を広げることを解除する。この結果、電気絶縁性樹脂材12および電極部材16、18、20、22の伸縮性により、縮んで元の形状に戻ろうとする力によって被装着部が締め付けられる。さらに電気絶縁性樹脂材12および電極部材16、18、20、22が粘着性であるため、被装着部Pに、電極部材16、18、20、22、電気絶縁性樹脂材12が面接触し、被装着者が動いてもズレが生じないほど良く貼り付く。
【0048】
電位差の測定などを終了してインターフェイス装置30を人体から取り外すには、電気絶縁性樹脂材12の内径を手などで広げ、被装着部から電気絶縁性樹脂材12、電極部材16、18、20、22を剥がし、被装着部を構成する人体部分を引き抜く。
【0049】
本実施形態では、インターフェイス装置30を装着した際、電極部材16、18、20、22が被装着部Pに面接触するとともに電気絶縁性樹脂材12と一体的に伸縮する。
【0050】
従って、これらの電極部材(電極部材16、18、20、22)が人体の被装着部Pに当接して面接触しても人体への不具合がない。すなわち、導電性ペーストを人体に塗布して生体電極として用いる場合のように肌荒れ、着脱のし難さ、溶媒の揮発による長時間使用の困難、短寿命、などの問題が生じることはなく、金属電極等の柔軟性のない電極を用いる場合のように片あたりによる人体の痛みが生じることもない。
【0051】
また、金属電極を用いた場合のように、部分的に高い面圧が生じて人体に痛みが生じることを回避するために電極配置領域を支持部として利用できない、という不具合もなく、接触圧力の変化によって電気抵抗(インピーダンス)が変化し計測信号が安定し難いという不具合もなく、電極表面に不導体が形成され易いという不具合もない。
【0052】
すなわち、本実施形態のインターフェイス部品10およびインターフェイス装置30では、センサ機能と支持機能とを同時に有する柔軟性、伸縮性、粘着性の素材で構成される電極部材16、18、20、22を電気絶縁性樹脂材12の内面側に固着している。これにより、センサ性能を導電性ペースト電極と同等のレベルに向上させるとともに,肌荒れの問題を解消し、しかも、人体(生体)の形状にフィットし易いため、密着性が向上するとともに接触圧力が安定する。
【0053】
しかも、電気絶縁性樹脂材12と電極部材とが一体的に伸縮するので、インターフェイス装置30の脱着が容易であり、片手で脱着させることも可能である。
【0054】
また、人肌との接触部位である電気絶縁性樹脂材12および電極部材の内面側を洗浄することができ、繰り返し利用が可能である。
【0055】
さらに、センサ電極部分としての機能を有する電極部材(電極部材16、18、20、22)が機械類(インターフェイス装置30を含むもの)の支持部としても作用する。このため、機械類の人体への装着・保持を電気絶縁性樹脂材12だけで行うのではなく、電極部材で、電気的相互作用の計測を行うことと機械類の人体への装着・保持への寄与とを同時に実施することができている。
【0056】
これにより、インターフェイス装置30のサイズを縮小することが可能となるとともに、片あたりなどの痛みの発生を抑制でき、しかも、電極部材と人肌との密着性が大幅に改善するので低インピーダンス化が実現できて安定的な信号計測を行うことができる。
【0057】
また、電気絶縁性樹脂材12の成形(流し込み成形やプリント成形)では、液状の基剤を熱硬化などを行って成形することができるので、インターフェイス部品10の設計の自由度が大きい。
【0058】
このように、本実施形態では、使用に際しての制限を従来に比べて大幅に軽減したインターフェイス部品10およびインターフェイス装置30を実現させることができる。また、人体への着脱を短時間で容易に行うことができ、人体への接触部分の劣化がほとんどないので、従来に比べて大幅に長寿命化されている。特にシリコーンやエラストマーは日常環境における性能劣化がほとんどないので、長寿命化が顕著となる。
【0059】
また、シリコーンやエラストマーは、生体適合性が高いので、長時間貼付による肌荒れやアレルギーの心配がなく、安全性が高い。このことは、インターフェイス装置30を人体の体内に装着する場合に特に大きな効果を奏する。
【0060】
また、電気絶縁性樹脂材12および電極部材が、何れも、柔軟性、伸縮性、および、粘着性を有するので、被装着者の肢体の形状に合わせて自由に変形でき、寸法の個人差が大きくても適用し易い。また、形状もシンプルで加工し易く、身体の部位に合わせた成形が容易である。
【0061】
(変形例)
なお、電極部材と端子とを導電性の細い糸で縫った構成にしておくと、導通を確保する観点で好ましい。
【0062】
この場合、電気絶縁性樹脂材12の外周面にまで電極部材が到達している構成にすると、電極部材と端子とを面接触で強固に連結させることができて好ましい。またこの場合、
図7に示すように、電極部材16aと電気絶縁性樹脂材12との間に導電性の糸状部材で編んだ導電布26(例えば、ステンレス製の網)を配置した構成にしてもよい。これにより、電極部材が柔らかい導電性シリコーン樹脂材で構成されていて接続配線で縫うことがあまり簡単でなくても、簡単に縫い止めることが可能になり、また、導電布26を構成する導電性の糸状部材26tを接続配線36aとして利用して端子32aに電気接続させることができる。これらのことは、電極部材16aに限らず他の電極部材であっても同様の効果を奏することができる。
【0063】
また、端子32に外部から接続する測定装置の端子は、端子32に簡単に着脱できる構成であることが好ましい。例えば端子32が雄型のホック状である場合、端子32に接続する測定装置の端子は雌型であることが好ましく、雌雄の形状が逆であっても着脱が容易であればよい。
【0064】
また、電極部材の表面(被装着部への接触面)は、被装着部の表面に対して凸状であることが好ましい。これにより、電極部材の表面が被装着部の皮膚にめり込むような装着がなされ、皮膚と電極部材との接触圧力が向上し、電気抵抗を下げることができる。よって、S/N比を向上させた良好なセンサ性能を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態では、インターフェイス部品10が円筒状であって腕部や脚部に適用する例で説明したが、円筒状以外であっても人体の被装着部に応じた形状であればよい。
【0066】
例えば、被装着部が肩や頬などの湾曲凸状である場合、
図8に示すように、柔軟性、伸縮性、および、粘着性を有し、人体の被装着部に面接触して着脱可能に密着する湾曲凹状の電気絶縁性樹脂材62と、柔軟性、伸縮性、および、粘着性を有し、被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して被装着部に面接触するように電気絶縁性樹脂材62の内面側(凹面側)に少なくとも2つ固着され、電気絶縁性樹脂材62と一体的に伸縮する電極部材66a、66bと、を備えたインターフェイス部品60としてもよい。この場合であっても、電気絶縁性樹脂材62を被装着部に密着させる観点で、インターフェイス部品60の一平面Fによる断面Sの内周Ciが環状に連続する構成にされている。ここで、環状に連続する部位のベクトルの総和がゼロになっていれば被装着部に密着するので、環状に連続する部位の全てが被装着部に接触していなくても良いが、人体の被装着部表面にソフトに心地よく密着するためには、接触圧力を低減させる必要があるため、接触面積は大きいほうが好ましい。
【0067】
また、被装着部が湾曲凹状である場合、
図9に示すように、柔軟性、伸縮性、および、粘着性を有し、人体の被装着部に面接触して着脱可能に密着する湾曲凸状の電気絶縁性樹脂材68と、柔軟性、伸縮性、および、粘着性を有し、被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して被装着部に面接触するように電気絶縁性樹脂材68の外面側(凸面側)に少なくとも2つ固着され、電気絶縁性樹脂材68と一体的に伸縮する電極部材66a、66bと、を備えたインターフェイス部品69としてもよい。この場合、インターフェイス部品69の一平面Fによる断面の外周Ceが環状に連続していることが、電気絶縁性樹脂材68を被装着部に密着させる観点で好ましい。
【0068】
ここで、被装着部が湾曲凹状である場合、インターフェイス部品69(インターフェイス装置)の装着方法としては、応力を加えて圧縮させ、被装着部に挿入してから応力を解く。この結果、弾性によってインターフェイス部品の形状が元に戻り、弾性力によって凹状の被装着部にインターフェイス部品が嵌る。その嵌った力と粘着力との両方により、被装着部に強力に貼り付く。なお、インターフェイス部品自体が粘着性を持っている必要はなく、被装着部に接触する面だけが粘着性を持っていても十分に貼り付く。また、インターフェイス部品60は全ての方向にも伸縮性を有していなくても、内周Ciの周方向に伸縮性を有している限り、本実施形態のような効果が得られる。インターフェイス部品10も同様である。同様に、インターフェイス部品69は全ての方向にも伸縮性を有していなくても、外周Ceの周方向に伸縮性を有している限り、本実施形態のような効果が得られる。
【0069】
これらの観点から、人体の被装着部に面接触して着脱可能に密着し、一平面で切断したときの断面構造に環状部が現れて該環状部が周方向に伸縮可能である電気絶縁性樹脂材と、上記被装着部の筋肉の伸縮方向に互いに離間して上記被装着部に面接触するように上記電気絶縁性樹脂材の内面側に少なくとも2つ固着され、前記電気絶縁性樹脂材と一体的に伸縮する電極部材と、を備えたインターフェイス部品としても、本実施形態のような効果が得られる。
【0070】
また、本実施形態では、内金型44の外周側は凹凸のない滑らかな円筒外周面である例で説明したが、
図10〜
図14に示すように、内金型44の外周面に、電極部材16、18、20、22を配置する位置に合わせて、リング状の凹凸形状Mを予め形成してもよい。これにより、電極部材を内金型の外周面に配置する際、内金型中心軸方向における配置位置に関し、短時間で精度良く配置することができ、また、凹凸形状Mを利用して柔軟性、伸縮性を有する補強部材を更に配置することが可能である。
【0071】
また、成形前に、接続配線の取付け、および、端子の取付けを予め行っておき、成形金型から取り出した段階でインターフェイス装置30が出来上がっている状態にすることも可能である。
【0072】
また、本実施形態では、筋電位の電位差を測定する例で説明したが、インターフェイス装置30は、眼電位、頭皮脳波、心電図など、筋電位以外の電位差を測定することにも使用可能である。
【0073】
また、本実施形態では、電極部材16、18、20、22で電位差を測定するインターフェイス装置30の例として説明したが、電極部材16、18、20、22で所定電位差を被装着部Pに付与する構成のインターフェイス装置70(
図2参照)としてもよい。これにより、所定電位差を被装着部Pに付与して被装着者の筋肉の動きをアシストすることが可能で、しかも使用の制限を大幅に軽減した長寿命のインターフェイス装置70とすることができる。
【0074】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
図15は、本実施形態のインターフェイス部品を示す全体斜視図である。
【0075】
本実施形態のインターフェイス部品80は、通気性の良い軽量で柔軟性の部材で構成され、インターフェイス部品80の外側に位置する通気材81と、この通気材81の内側に位置し、第1実施形態の電気絶縁性樹脂材12よりも薄厚の電気絶縁性樹脂材82と、電気絶縁性樹脂材82の内側に配置された、第1実施形態と同様の電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22と、を備える。
【0076】
通気材81としては、強度維持、均一性などの観点で、網目状であることが好ましい。布や包帯であると、軽量化の観点でも好ましい。材質は、綿、絹、化学繊維、カーボン繊維、グラスファイバーなどである。通気材81は、少なくとも1つの所定方向に伸縮可能であればよい。例えば、腕部に装着するインターフェイス部品である場合、腕部の太さの変化に応じて伸縮可能なように腕部の周囲方向に伸縮可能であれば良く、腕部の長手方向に伸縮しない構成であっても良い。
【0077】
本実施形態では、通気材81の片面側にシリコーン樹脂材料を塗布して固化したもの、或いは通気材81にシリコーン樹脂材料を含浸させて固化したもの、が電気絶縁性樹脂材82であり、このシリコーン樹脂材料が固化する前に電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22を形成する電極形成用液状材料を所定位置に塗布し、金型での成形等を行うことで、電気絶縁性樹脂材82と、電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22とを互いに固着させている。
【0078】
この場合、この通気材81を外表面側に配置し、その内面側にシリコーンやエラストマー等の電気絶縁性樹脂材を塗布し、更にその内面側に通気材81を円筒状、円錐台状、お椀状など、被装着部の形状に合わせて変形させた状態で固化させることで、内面および外面を任意の形状にしたインターフェイス部品およびインターフェイス装置とすることができる。
【0079】
なお、金型表面に電極形成用液状材料を塗布し,その上から絶縁性シリコーンを流し込むことによって,内側に電極部材を張り付けた構成にすることができる。導電性シリコーンが半液状である状態であれば,絶縁性シリコーンと強固に接着することが可能であり、その後に強い力で電極部材を引っ張っても剥がれてくることは防止されている。
【0080】
本実施形態により、第1実施形態に比べて電気絶縁性樹脂材82の厚みを薄くすることができ、軽量化、および、装着時の暑さ低減を図ったインターフェイス部品やインターフェイス装置が実現される。
【0081】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
図16は、実施形態のアシスト装置が人体に装着されていることを示す説明図である。
【0082】
本実施形態のアシスト装置90は、第1実施形態で説明したインターフェイス装置30およびインターフェイス装置70と、インターフェイス装置70の電極部材間(例えば、電極部材16a、16b間の電位差)に電圧を付与する電圧可変の電源92と、インターフェイス装置30の電極部材間の電位差(例えば、電極部材16a、16b間の電位差)に基づいて、電源92で付与すべき所定電位差を算出し、電源92に該所定電位差を付与させる制御部94と、を備えている。本実施形態では、制御部94が、インターフェイス装置30から計測された電極部材の電位の信号を受信するようになっている。
【0083】
なお、
図16では、制御部94が、被装着者の利便性のためインターフェイス装置70の筐体内に配置されている例で描いているが、特に配置位置を限定するものではない。
【0084】
本実施形態では、所定部位R(指など)に筋力を生じさせようと被装着者が意図したときに、インターフェイス装置30の被装着部Pには十分な電気信号が送信されているが、インターフェイス装置70の被装着部Qあるいはその内部にまでには十分な電気信号が送信されていない場合を例に挙げて説明する。
【0085】
インターフェイス装置30で測定される電極部材間の電位差(例えば、電極部材16a、16b間の電位差)により、被装着者が所定部位Rに筋力を生じさせようと意図していることを制御部94が検知することができる。そして、検知された電位差の場合、インターフェイス装置70の電極部材間(例えば、電極部材16a、16b間の電位差)にはどれくらいの電位差を生じさせるべきかを制御部94が判断し、その電位差が生じるように、電源92で所定の電極部材に所定電位差を付与させる。
【0086】
本実施形態により、被装着部Qやその内部の筋肉に伝達される電気信号が十分でなくて所定部位Rを意図したとおりに動作させることができない人がこのアシスト装置90を装着した場合、意図した動作を所定部位Rにさせようとしたときに、アシスト装置90によって所定部位Rにこの意図した動作を容易に行わせることができる。
【0087】
なお、インターフェイス装置70の電極部材数を増やしても良い。これにより、所定部位Rに生じさせる筋力を、多数の筋肉に対して高い精度で個別に制御することが可能になる。
【0088】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
図17は、義手(いわゆる筋電義手)が人体に装着されていることを示す説明図である。
【0089】
本実施形態では、第1実施形態で説明したインターフェイス装置30が義手100に配置されている。被装着者の片腕Aは、肘と手首との中間位置から先の部位が失われており、中間位置である腕先端部に義手100が着脱自在に取付けられる構成になっている。義手100には、モータ等による駆動機構が内蔵されており、この駆動機構によって指Afの開く動作や閉じる動作を行うことが可能になっている。
【0090】
腕先端部Atに義手100をはめ込むと、腕先端部Atがインターフェイス装置30に入り込み、腕先端部Atの表面からの電気信号が義手100に伝達され、この電気信号に基づいて、被装着者の意図する動きを指Afが行うようになっている。
【0091】
本実施形態により、腕部の一部を失った人であっても、腕先端部Atに義手100をはめ込んで指などに意図する動作をさせることができる。
【0092】
なお、以上の説明では、電気絶縁性樹脂材(例えば電気絶縁性樹脂材12)が防水性であること(例えば防水性シリコーン樹脂であること)が好ましい。防水性であることにより、装着外側からの水分や汚れの混入が防止され、しかも水中での使用が可能となる。
【0093】
また、腕、足、体幹などに巻き付ける構成のインターフェイス部品で説明したが、吸盤状になっている構成であっても同様の装着機能を有するインターフェイス部品とすることができる。
【0094】
また、電極部材(例えば電極部材16a、16b、18a、18b、20a、20b、22)は、樹脂材に導電性物質を加えてなるもので構成されていてもよい。この場合、電極部材は、人体の被装着部に面接触して着脱可能に密着する電気絶縁性樹脂材と同じ材質の樹脂材に少なくとも一種類の導電性物質が加えられた部材からなっていてもよい。これにより、電気絶縁性樹脂材と電極部材との弾性率が同じになり電気絶縁性樹脂材と電極部材とが剥がれ難い、などの利点が容易に得られる。
【0095】
また、電気絶縁性樹脂材のうち電極部材の周囲部分が吸湿性素材であってもよい。これにより、装着外側に露出している電気絶縁性樹脂材によって防水性を確保しつつ、電極部材の周囲部分の吸湿性素材によって生体電気活動の計測性能を著しく向上させることができるという効果が得られる。
【0096】
<実験例1>
本発明者は、第1実施形態のインターフェイス装置30の一例(以下、実施例という)と、従来のインターフェイス装置の一例(以下、従来例という)とを用いて、筋電位計測をする実験を行った。
【0097】
実施例、従来例とも、心電図により心拍を計測するときに使用するインターフェイス部品である。従来例はパッチ状のインターフェイス部品であり、計測性能は良いという利点があるが、一回使用すると廃棄する。このため、予めいくつかストックしておく必要があり、倉庫が必要でしかもコスト高である。実施例は、繰り返し使用できるインターフェイス部品である。 本実験例では、実施例、従来例の何れについても、信号電極を差動型アンプ(筋電センサ)に接続し、総指伸筋付近、40%MVCで力を入れたときの筋電位を1600Hzで5秒間計測した。
【0098】
従来例に関し、計測で得られた筋電位の波形を
図18に、フーリエ変換後の周波数特性と
図19にそれぞれ示す。また、実施例に関し、計測で得られた筋電位の波形を
図20に、フーリエ変換後の周波数特性を
図21にそれぞれ示す。
【0099】
実施例、従来例で、検出された波形が殆ど同じであり、繰り返し使用が可能な実施例であっても、パッチタイプの従来例と同等の計測性能で筋電位を計測できるという実験結果になった。
【0100】
<実験例2>
本発明者は、第1実施形態のインターフェイス装置30の一例(導電性シリコーン電極を有する装置)で、筋電位を測定する実験を行った。その際、ローパスフィルタやハイパスフィルタなどを用い、インターフェイス装置30で測定される電位(電極部材間の電位差)を、筋電位(インターフェイス装置30の装着者が装着部分の筋肉を動かそうと意図したときに脳からの信号によって生じる電位)と、それ以外の筋電とに分けて計測することを検討した。ここで、それ以外の筋電(以下、他電位という)は、主に、被装着部Pの筋肉によって生じる体表面との力学的相互作用に起因する電位である。
【0101】
本発明者は、インターフェイス装置30を被装着部Pに装着し、被装着部Pの3か所について、筋電位と他電位とを同時に計測した。ここで、被装着部Pの3か所とは、電極部材同士の組み合わせが互いに異なる電極部材間に相当する人体部分のことである。
【0102】
本実験例では、1)筋肉に力を入れずに被装着部Pを動かしたとき(測定結果は
図22参照)、2)筋肉に力を入れて被装着部Pを動かしたとき(測定結果は
図23参照)で、筋電位E1と他電位E2とを計測した。
【0103】
図22から判るように、筋肉に力を入れずに被装着部Pを動かしたときには、筋電位E1、他電位E2とも変動は少なかった。一方、
図23から判るように、筋肉に力を入れて被装着部Pを動かしたときには、筋電位E1の変動は少なかったが他電位E2の変動は大きかった。