(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-39581(P2017-39581A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】モール用接着テープ貼着装置と貼着方法
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20170203BHJP
B60R 13/04 20060101ALN20170203BHJP
【FI】
B65H35/07 K
B65H35/07 V
B60R13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-162491(P2015-162491)
(22)【出願日】2015年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】安藤 寛高
【テーマコード(参考)】
3D023
3F062
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AC02
3D023AC04
3D023AC05
3D023AC26
3D023AD27
3F062AA12
3F062AB10
3F062BA08
3F062BC01
3F062BE02
3F062BF03
3F062DA00
3F062FA25
(57)【要約】
【課題】モールの厚みにバラツキがあっても接着テープをモールに正しく貼着することのできるモール用接着テープ貼着装置と貼着方法の提供を目的とする。
【解決手段】接着テープ供給機構20と、モール載置部41と、モール載置部41に載置されたモールMの接着テープ貼着予定面M1に接着テープ105を仮貼着する仮貼着機構45と、仮貼着後の接着テープをモールMの接着テープ貼着予定面M1に本貼着する本貼着機構71とを備え、仮貼着機構45は、モールMの接着テープ貼着予定面M1の接着テープ105の上下位置に応じて上下スライド可能な仮貼着ローラ50を備え、本貼着機構71は、モールMの接着テープ貼着予定面M1の仮貼着後の接着テープ105の上下位置に応じて上下スライド可能な本貼着ローラ73を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールに接着テープを貼る装置において、
接着テープを供給する接着テープ供給機構と、
前記モールが該モールの長さ方向へ移動可能に載置されるモール載置部と、
前記接着テープ供給機構によって供給される接着テープを、前記モール載置部に載置された前記モールの接着テープ貼着予定面に仮貼着する仮貼着機構と、
前記仮貼着機構よりも前記モールの移動方向側に位置し、前記仮貼着後の接着テープを前記モールの接着テープ貼着予定面に本貼着する本貼着機構とを備え、
前記仮貼着機構は、前記接着テープの上面に当接して該接着テープを下方へ押す仮貼着ローラを、前記モールの接着テープ貼着予定面の前記接着テープの上下位置に応じて上下スライド可能として前記モール載置部の上方に備え、
前記本貼着機構は、前記仮貼着後の接着テープの上面に当接して該接着テープを下方へ押す本貼着ローラを、前記モールの接着テープ貼着予定面の前記接着テープの上下位置に応じて上下スライド可能に備えることを特徴とするモール用接着テープ貼着装置。
【請求項2】
前記仮貼着機構は、前記仮貼着ローラに下方への力を付与する錘を備え、前記錘の量の増減により前記仮貼着ローラの下方への力が調節可能にされていることを特徴とする請求項1に記載のモール用接着テープ貼着装置。
【請求項3】
前記本貼着機構は、前記本貼着ローラに下方への力を付与する錘を備え、前記錘の量の増減により前記本貼着ローラの下方への力が調節可能にされていることを特徴とする請求項1または2に記載のモール用接着テープ貼着装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のモール用接着テープ貼着装置を用い、
前記モールを前記接着テープ貼着予定面が上向きとなるようにして前記モール載置部に載置し、前記接着テープ貼着予定面に前記接着テープ供給機構から供給される前記接着テープを配置して、該記接着テープ貼着予定面の接着テープと共に前記モールを前記仮貼着機構の仮貼着ローラと前記モール載置部間に挿入し、前記接着テープを前記仮貼着ローラで前記接着テープ貼着予定面に押して仮貼着する仮貼着工程と、
前記接着テープが仮貼着された前記モールを前記本貼着機構へ移動させ、前記仮貼着後の接着テープを前記本貼着ローラで前記モールの接着テープ貼着予定面に押して本貼着する本貼着工程と、
により、前記モールに接着テープを貼着することを特徴とするモール用接着テープの貼着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモール用接着テープ貼着装置と貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウィンドガラス周縁や車体等には種々のモールが取り付けられている。モールは細長い帯状からなり、プラスチックやゴムの押し出し成形品が多用されている。
また、モールの取り付け方法として、予めモールに貼着した接着テープにより行う方法がある。
【0003】
モールへの接着テープの貼着には、接着テープ貼着装置が用いられている。従来の接着テープ貼着装置には、スプリングにより下方へ付勢された押圧ローラを備え、モールの接着テープ貼着予定面に接着テープを配置して押圧ローラで接着テープをモールの接着予定面に押し付ける装置がある(特許文献1)。
【0004】
また、モールが柔軟性の高い材質からなる場合、モールの接着テープ貼着予定面に配置した接着テープを押圧ローラで押すと、接着テープ貼着予定面が部分的に変形して接着テープが正しく貼着できないことがある。
そのような不具合を解消するため、仮貼着ローラと本貼着ローラとからなる2種類の押圧ローラを設け、モールの接着テープ貼着予定面に配置した接着テープを、まず仮貼着ローラでモールの接着テープ貼着予定面に少し押して正しい位置に仮貼着し、次に仮貼着後の接着テープを本貼着ローラで強く押して本貼着する構成からなる接着テープ貼着装置が提案されている。
【0005】
しかし、従来の仮貼着ローラと本貼着ローラを備える接着テープ貼着装置は、仮貼着ローラの高さ位置が固定されているため、モール製造時のバラツキによるモール厚みの微妙な変化に対応できず、接着テープが正しく貼着できないことがある。例えば、モール厚みが設計値よりもマイナスに(厚みが薄く)なった場合、仮貼着ローラの押圧力が本来の設定値よりも小になったり、仮貼着ローラが接着テープに当接しなくなったりすることがあり、それによって接着テープが蛇行して貼着されたり、正しい位置からずれて貼着されたりする。一方、モール厚みが設計値よりもプラスに(厚みが大に)なった場合、仮貼着ローラ下方のモール挿入用空間(隙間)が狭くなって、モールの挿入性が悪くなり、作業性が低下すると共に、接着テープを正しく貼着できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3534835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、モールの厚みにバラツキがあっても接着テープをモールに正しく貼着することのできるモール用接着テープ貼着装置と貼着方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、モールに接着テープを貼る装置において、接着テープを供給する接着テープ供給機構と、前記モールが該モールの長さ方向へ移動可能に載置されるモール載置部と、前記接着テープ供給機構によって供給される接着テープを、前記モール載置部に載置された前記モールの接着テープ貼着予定面に仮貼着する仮貼着機構と、前記仮貼着機構よりも前記モールの移動方向側に位置し、前記仮貼着後の接着テープを前記モールの接着テープ貼着予定面に本貼着する本貼着機構とを備え、前記仮貼着機構は、前記接着テープの上面に当接して該接着テープを下方へ押す仮貼着ローラを、前記モールの接着テープ貼着予定面の前記接着テープの上下位置に応じて上下スライド可能として前記モール載置部の上方に備え、前記本貼着機構は、前記仮貼着後の接着テープの上面に当接して該接着テープを下方へ押す本貼着ローラを、前記モールの接着テープ貼着予定面の前記接着テープの上下位置に応じて上下スライド可能に備えることを特徴とするモール用接着テープ貼着装置に係る。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記仮貼着機構は、前記仮貼着ローラに下方への力を付与する錘を備え、前記錘の量の増減により前記仮貼着ローラの下方への力が調節可能にされていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記本貼着機構は、前記本貼着ローラに下方への力を付与する錘を備え、前記錘の量の増減により前記本貼着ローラの下方への力が調節可能にされていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載のモール用接着テープ貼着装置を用い、前記モールを前記接着テープ貼着予定面が上向きとなるようにして前記モール載置部に載置し、前記接着テープ貼着予定面に前記接着テープ供給機構から供給される前記接着テープを配置して、前記接着テープ貼着予定面の接着テープと共に前記モールを前記仮貼着機構の仮貼着ローラと前記モール載置部間に挿入し、前記接着テープを前記仮貼着ローラで前記接着テープ貼着予定面に押して仮貼着する仮貼着工程と、前記接着テープが仮貼着された前記モールを前記本貼着機構へ移動させ、前記仮貼着後の接着テープを前記本貼着ローラで前記モールの接着テープ貼着予定面に押して本貼着する本貼着工程と、により、前記モールに接着テープを貼着することを特徴とするモール用接着テープの貼着方法に係る。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、仮貼着ローラ及び本貼着ローラがモールの接着テープ貼着予定面における接着テープの上下位置に応じて上下スライド可能に設けられているため、モールの厚みにバラツキがあっても、仮貼着ローラ及び本貼着ローラがモールの接着テープ貼着予定面の接着テープと当接して接着テープの上下位置に応じた位置になり、接着テープをモールの接着テープ貼着予定面に正しく押すことができ、蛇行などの不具合を無くして正しく貼着することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、仮貼着ローラは錘によって下方への力が付与されているため、スプリングによって下方への力が付与される場合のように、モールの厚み変化等によるスプリングの圧縮変形量変化によって下方への力が変化することがなく、仮貼着ローラが一定した力で接着テープをモールの接着テープ貼着予定面に押すことができ、接着テープを正しく仮貼着することができる。さらに、使用するモールの弾性や硬さ等に応じて仮貼着ローラによる押す力を調節する場合にも、仮貼着ローラに対する錘の量を調節することで対応可能であり、接着テープを正しく仮貼着することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、本貼着ローラは錘によって下方への力が付与されているため、スプリングによって下方への力が付与される場合のように、モールの厚み変化等によるスプリングの圧縮変形量変化によって下方への力が変化することがなく、本貼着ローラが一定した力で接着テープをモールの接着テープ貼着予定面に押すことができ、接着テープを正しく本貼着することができる。さらに、使用するモールの弾性や硬さ等に応じて、本貼着ローラによる押す力を調節する場合にも、本貼着ローラに対する錘の量を調節することで対応可能であり、接着テープを正しく本貼着することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、請求項1から3の何れかのモール用接着テープ貼着装置を用いることにより、モールの厚みにバラツキがあっても、仮貼着ローラ及び本貼着ローラがモールの接着テープ貼着予定面の接着テープと当接して接着テープの位置に応じた高さになり、接着テープをモールの接着テープ貼着予定面に正しく押すことができ、蛇行などの不具合を無くして正しく貼着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例のモール用接着テープ貼着装置の使用時を示す正面図である。
【
図2】
図1のモール用接着テープ貼着装置の接着テープを外した正面図である。
【
図4】
図1のモール用接着テープ貼着装置の一部を示す斜視図である。
【
図5】
図1のモール用接着テープ貼着装置の仮貼着ローラ部分を示す斜視図である。
【
図6】
図1のモール用接着テープ貼着装置の一部を外した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図1のモール用接着テープ貼着装置の仮貼着本体部の背面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例のモール用接着テープ貼着装置について図面を用いて説明する。
図1〜
図3に示すモール用接着テープ貼着装置10は、接着テープ供給機構20、モール載置部41、仮貼着機構45、本貼着機構71を有する。なお、以下の説明において、「右側」、「左側」、[前面]は、
図1及び
図2に示すモール用接着テープ貼着装置10の正面に向かって左側、右側、手前側の面である。
【0018】
実施例のモール用接着テープ貼着装置10は、台部11の上面に角柱からなる支柱13が立設され、前記支柱13の上部に、接着テープ供給機構20が設けられている。前記接着テープ供給機構20は、前記支柱13の前面から突出した接着テープ保持軸21及びその外周に回転可能に設けられた円盤状部22とよりなる。前記円盤状部22は、接着テープ105が巻かれた接着テープリール100の中心孔に挿入されて、前記接着テープリール100を回転可能に保持する部分である。接着テープ105は、両面接着テープからなり、接着層の片面が露出し、接着層の反対面に保護紙が積層されている。前記支柱13の上下略中間部の前面には、接着テープ誘導ローラ25が回転可能に設けられている。
【0019】
前記支柱13の下部前面には、
図4〜
図6にも示すように、装置保持板31が取り付けられている。前記装置保持板31には、略右半分側の前面にモール載置部41と仮貼着機構45が取り付けられている。
【0020】
前記モール載置部41は、
図4及び
図5に示すように、上面にモール保持溝42が形成された横長な部材からなり、前記装置保持板31の上下中間位置に略水平に固定されている。前記モール保持溝42は、モールをその接着テープ貼着予定面が上向きとなるように収納し、かつモールを長さ方向にスライド可能に保持する。前記モール載置部41の左端側は、本実施例では、前記装置保持板31の左端よりも所定量左方へ突出している。
【0021】
前記仮貼着機構45は、
図7に示すように仮貼着本体部47と、上下スライド装置55と、錘65とよりなる。
前記仮貼着本体部47は、正面視形状が略四角形からなり、
図7及び
図8に示すように、背面部材48と仮貼着ローラ50と前面部材53とで構成されている。
【0022】
前記背面部材48は、背面に窪み部49が設けられ、かつ前面の右下部側に窪み部52が設けられている。前記背面部材48の背面における窪み部49には、上下スライド装置55のスライド側部材59が取り付けられる。また、前面の窪み部52は、下端まで窪んだ状態で形成されており、前記前面部材53が取り付けられた状態の仮貼着本体部47において、前記窪み部52の下端が開口するように構成されている。前記前面の窪み部52には、前記仮貼着ローラ50が回転可能に、かつ仮貼着ローラ50の下端が前記仮貼着本体部47の開口した下端から所定量突出するようにして取り付けられている。仮貼着ローラ50のローラ幅は、前記接着テープ105の幅と略等しくされている。また、前記背面部材48の上面53には、錘保持部54が設けられている。前記錘保持部54は、平行な2本のピンで構成されている。
【0023】
前記前面部材53は、前記背面部材48の正面形状と略等しい正面形状の板状からなり、前記背面部材48の前面の窪み部52及び仮貼着ローラ50を覆うようにして前記背面部材48の前面に取り付けられる。
【0024】
前記上下スライド装置55は、
図7に示すように、固定側部材56とスライド側部材59とよりなる。
前記固定側部材56は、両側の側面に係合溝57、57が形成された縦長な部材からなる。前記固定側部材56は、
図6に示すように、前記装置保持板31の前面に、前記係合溝57、57が上下方向となるようにして前記モール載置部41の上方位置に固定される。
一方、前記スライド側部材59は、
図7に示すように、背面にスライド用凹部60が上下方向に形成された横長な部材からなり、前記仮貼着本体部47の背面部材48の背面における窪み部49に取り付けられる。前記スライド用凹部60は、前記固定側部材56が嵌まる大きさからなる。前記スライド用凹部60における対向する両内面には係合突起61、61が上下方向に形成されている。前記係合突起61、61は、前記固定側部材56における両側の側面の係合溝57、57に嵌合して前記スライド側部材59を仮貼着本体部47と共に上下スライド可能に保持する。前記上下スライド装置55によって、前記仮貼着本体部47は上下スライド可能にされ、最下位の位置では、前記仮貼着ローラ50の下端が前記モール載置部41のモール保持溝42内に挿入された状態となる。
【0025】
前記錘65は、前記仮貼着本体部47の上面に載置可能な略直方体の金属ブロックからなり、前記錘保持部54が挿通可能な貫通孔62が上下方向に形成されている。前記錘65は一つ又は複数重ねて前記錘保持部54が挿通された状態で前記仮貼着本体部47の上面に載置され、前記仮貼着本体部47の仮貼着ローラ50に下方への力を付与する。前記錘65の量(数)を調節することにより、前記仮貼着ローラ50に付与する下方への力を調節することができる。
【0026】
前記装置保持板31の前面における前記モール載置部41及び前記仮貼着機構45の左側には、本貼着機構71が取り付けられている。前記本貼着機構71は、
図6に示すように、本貼着ローラ73と、本貼着ローラ保持部材75と、錘85とよりなる。
【0027】
前記本貼着ローラ73は、ローラ幅(厚み)が前記接着テープ105の幅と略等しい円盤状からなる。
【0028】
前記本貼着ローラ保持部材75は、下向きに開いた二股部77と、該二股部77の上端に螺着された上向きの軸部79とよりなる。
前記二股部77には、前記本貼着ローラ73が、前記仮貼着ローラ50と軸を平行にしてかつ回転可能に軸支される。また、前記二股部77の背面側と対向する前記装置保持板31の前面には二股部支持部材85が取り付けられている。前記二股部支持部材85の前面には、前記二股部77の背面側が上下スライド可能に嵌まる溝86が形成されている。前記溝86に前記二股部77の背面側が嵌まって本貼着ローラ保持部材75が上下スライドするため、該スライド時に本貼着ローラ保持部材75の軸部79が回転するのを防ぐことができる。
前記軸部79は、前記装置保持板31の上端左側から前方へ突出するように固定された本貼着ローラ取り付け部材82に上下スライド可能に挿通されている。前記本貼着ローラ取り付け部材82には、前記軸部79が挿通される貫通孔83が形成されている。また、前記本貼着ローラ取り付け部材82の貫通孔を通って上方へ突出した前記軸部79の上部80には、錘受け部81が鍔(つば)状に形成されている。なお、前記本貼着機構71において、前記本貼着ローラ73の最下降位置は、前記仮貼着機構45を通って移動してくるモールにおける仮貼着後の接着テープの位置より下方に設定されている。
【0029】
錘85は、前記軸部79の上部80に装着されて前記錘受け部81で支持可能な略円柱状又は円盤状の金属ブロック又は金属板からなり、前記軸部79の上部80が挿通される貫通孔86が中央に形成されている。前記錘85は、一つ又は複数重ねて前記軸部79の上部80に装着され、前記本貼着ローラ73に下方への力を付与する。前記錘85の量(数)を調節することにより、前記本貼着ローラ73に付与する下方への力を調節することができる。
【0030】
前記本貼着ローラ73の下方には、受けローラ91が前記装置保持板31の前面に回転可能に取り付けられている。前記受けローラ91は、仮貼着後の接着テープを前記本貼着ローラ73で上方から押す際にモールを下方から支持するローラである。前記受けローラ91は、前記接着テープが仮貼着されたモールを接着テープが上向きとなるようにして嵌まる溝92が回転面に形成されており、前記モール載置部41から移動してくるモールが回転面に載るように設けられている。なお、前記受けローラ91に代えて前記載置部41を延長して構成してもよい。
【0031】
前記本貼着機構71の左側には、製品受け部95が前記台部11に立設されている。前記製品受け部95は、前記本貼着後のモールを支持する部分であり、本貼着された接着テープを上向きにしてモールを支持可能な溝96が上面に形成されている。なお、前記製品受け部95及び前記受けローラ91に代えて前記モール載置部41を延長してもよい。
【0032】
前記モール用接着テープ貼着装置10を用いて接着テープをモールに貼着する方法の例について
図1を用いて説明する。
接着テープ105が巻かれた接着テープリール100を、前記モール用接着テープ貼着装置10の接着テープ保持軸21の円盤状部22に装着する。その状態において、仮貼着工程と本貼着工程を一連に行う。
【0033】
前記仮貼着工程では、押出成形等によって形成されたモールMをテープ貼着予定面M1が上向きとなるようにして前記モール載置部41の右端側から配置し、前記接着テープリール100から引き出した接着テープ105の一端側を、露出している接着層が前記モールMの接着テープ貼着予定面M1に重なるように上方から配置し、前記接着テープ貼着予定面M1に配置した接着テープ105と共にモールMを前記仮貼着機構45の仮貼着ローラ50と前記モール載置部41間に挿入し、前記接着テープ105を前記仮貼着ローラ50で前記接着テープ貼着予定面M1に押して仮貼着する。その際、前記接着テープ貼着予定面M1の接着テープ105と当接する前記仮貼着ローラ50は、前記モールMの厚みのバラツキ等により相違する前記接着テープ105の上下位置に応じて上下スライドするため、仮貼着ローラ50と前記モール載置部41との間にモールを挿入し難くなることがない。また、前記仮貼着ローラ50に付与される下方へ押す力は、前記モールMの弾性や硬さ等に応じて最適な力となるように、前記錘65の量が調節されている。また、前記仮貼着時に前記接着テープ105を接着テープ貼着予定面M1に押す力は、その後に行う本貼着時に前記本貼着ローラ73が接着テープ105を押す力よりも弱く(小さく)なるように、前記錘65の量が設定される。
【0034】
前記本貼着工程では、前記接着テープ105が仮貼着された前記モールMを前記本貼着機構71へ移動させて前記本貼着機構71の本貼着ローラ73と前記受けローラ91間に挿入し、前記仮貼着後の接着テープ105を前記本貼着機構71の本貼着ローラ73で前記モールMの接着テープ貼着予定面M1に押して本貼着する。その際、前記接着テープ貼着予定面の接着テープ105と当接する前記本貼着ローラ73は、前記モールMの厚みのバラツキ等により相違する前記接着テープ105の上下位置に応じて上下スライドするため、本貼着ローラ73と前記受けローラ91との間にモールを挿入し難くなることがない。前記本貼着ローラ73に付与される下方へ押す力は、前記モールMの弾性や硬さ等に応じて最適な力となるように、前記錘85の量が調節されている。また、前記本貼着時に前記本貼着ローラ73が接着テープ105を接着テープ貼着予定面M1に押す力は、前記仮貼着時に前記仮貼着ローラ50が接着テープ105を押す力よりも強く(大きく)なるように、前記錘85の量が設定される。
【0035】
本貼着によって接着テープ105が貼着されたモールMは、前記製品受け部95で支持され、その後に巻き取られたり、所定の長さに切断されたりする。
【0036】
前記のように、本発明によれば、モールの厚みにバラツキがあっても、接着テープをモールの接着テープ貼着予定面に正しく押すことができ、蛇行などの不具合無く正しく貼着することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 モール用接着テープ貼着装置
20 接着テープ供給機構
41 モール載置部
45 仮貼着機構
50 仮貼着ローラ
65 仮貼着ローラ用の錘
71 本貼着機構
73 本貼着ローラ
85 本貼着ローラ用の錘
103 接着テープ
M モール
M1 接着テープ貼着予定面