特開2017-39604(P2017-39604A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-39604(P2017-39604A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】パーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/00 20060101AFI20170203BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20170203BHJP
   B07C 5/10 20060101ALI20170203BHJP
【FI】
   B65G43/00 Z
   B65G47/14 101A
   B65G47/14 101C
   B07C5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-163860(P2015-163860)
(22)【出願日】2015年8月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】迎 邦暁
(72)【発明者】
【氏名】有村 和彦
(72)【発明者】
【氏名】入江 進
【テーマコード(参考)】
3F027
3F079
3F080
【Fターム(参考)】
3F027AA01
3F027CA01
3F027DA09
3F027EA01
3F027FA12
3F027FA14
3F079AD06
3F079BA06
3F079BA11
3F079CB29
3F079CC03
3F079DA15
3F079DA28
3F080AA13
3F080BA01
3F080BB03
3F080BD07
3F080BD18
3F080CB02
3F080CB03
3F080EA03
3F080EA10
3F080EA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搬送路を搬送する複数のワーク同士の間隔を好適な値に自動で調整でき、排出能力および正方向率が良好な状態に維持可能なパーツフィーダを提供する。
【解決手段】パーツフィーダ100は、螺旋状の第1搬送路73および第1搬送路73を振動させる第1駆動手段70を有するボウルフィーダ7と、第1搬送路73の終端に接続され、第1搬送路73からワーク3が搬送される直線状の第2搬送路10、および第2搬送路10を振動させる第2駆動手段11を有するリニアフィーダ1と、第2搬送路10にその長手方向に沿ってワーク3が存在する割合であるワーク充填率Pwを得るワーク充填率算出手段43aと、ワーク充填率Pwおよび予め定められた基準充填率に基づく指令値を第1駆動手段70に出力するボウル駆動部制御手段47aと、を備えるよう構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の第1搬送路および前記第1搬送路を振動させる第1駆動手段を有するボウルフィーダと、
前記第1搬送路の終端に接続され、前記第1搬送路からワークが搬送される直線状の第2搬送路、および前記第2搬送路を振動させる第2駆動手段を有するリニアフィーダと、
前記第2搬送路にその長手方向に沿ってワークが存在する割合であるワーク充填率を得るワーク充填率算出手段と、
前記ワーク充填率および予め定められた基準充填率に基づく指令値を前記駆動手段の少なくとも何れか一方に出力する駆動部制御手段と、を備えることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
前記駆動部制御手段は、前記指令値に基づき、前記第1駆動手段を制御するよう構成される請求項1記載のパーツフィーダ。
【請求項3】
前記駆動部制御手段は、前記指令値に基づき、前記第2振動手段を制御するよう構成される請求項1記載のパーツフィーダ。
【請求項4】
前記第2搬送路を搬送するワーク単体の搬送速度を算出する速度算出手段と、
当該ワークの良否を判別する良否判別手段と
前記第2搬送路に設定した排除位置に圧縮空気を噴射する不適切ワーク処理手段と、
前記ワーク単体の搬送速度に基づいて、前記良否判別手段が不良と判断したワークが前記排除位置に到達するタイミングを求め、このタイミングで前記不適切ワーク処理手段から圧縮空気を噴射させるタイミング制御手段と、を備える請求項1〜3の何れかに記載のパーツフィーダ。
【請求項5】
前記第2搬送路を搬送するワークを撮像するカメラと、
当該ワークの良否を判別する良否判別手段と、を備え、
前記カメラが取得した画像データが、前記良否判別手段によるワークの良否判別と、前記ワーク充填率算出手段によるワーク充填率の算出に利用されるよう構成される請求項1〜4の何れかに記載のパーツフィーダ。
【請求項6】
前記カメラは、前記搬送路上に設定された撮像位置を通過する前記ワークを所定の間隔で撮像するよう構成され、
ワーク充填率をPw(%)、
カメラによる所定の計測時間をα(sec)、
前記計測時間内におけるカメラの撮像間隔をS(sec)、
前記計測時間内にカメラがワークを撮像した回数をAw(回)とした場合に、前記ワーク充填率算出手段は、下記式
Pw=S・Aw/α・100
に基づいて前記ワーク充填率を算出する請求項5記載のパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を搬送するワーク同士の間隔を好適な値に自動で調整可能なパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パーツフィーダとして、電子部品等のワークの姿勢判別を行い、不適切な姿勢(不正姿勢)のワークを搬送路上から排除しつつ、それ以外の適正姿勢のワークを所定の供給先に搬送可能なものが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示のパーツフィーダは、リニアフィーダの搬送路を搬送するワーク単体の画像データを得て、その画像データに基づき当該ワークの姿勢を判別する。そして、姿勢が不適切と判別されたワークに向けて排除手段から圧縮空気を噴射し、不正姿勢ワークを搬送路上から排除している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−30566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示のパーツフィーダをはじめ、この種のパーツフィーダでは、ボウルフィーダなどからリニアフィーダの搬送路にワークを供給することが一般的であり、リニアフィーダへの供給量が多く、ボウルフィーダのワーク搬送速度がリニアフィーダのワーク搬送速度を上回ると、図7(a)に示すようにリニアフィーダの搬送路10上でワーク3が密集状態となる。このようにワーク3が密集状態で搬送されると、排除手段から目的の不正姿勢ワーク3に圧縮空気を噴射しても、不正姿勢ワーク3が隣接する他のワーク3と干渉して搬送路10上から排除されなかったり、隣接する正姿勢のワーク3が搬送路10上から排除されるおそれがある。すなわち、不正姿勢ワーク3を搬送路10上から適切に排除できる確率である選別効率が低下するおそれがある。
【0005】
或いは、不正姿勢のワーク3を搬送路10上で排除するのではなく、圧縮空気等により搬送路10上で姿勢変更させる場合には、圧縮空気を噴射しても、目的の不正姿勢ワーク3が隣接する他のワーク3と干渉して姿勢矯正されなかったり、隣接する正姿勢のワーク3が姿勢変更されるおそれがある。すなわち、不正姿勢ワーク3を搬送路10上で適切に姿勢矯正できる確率である反転効率が低下するおそれがある。
【0006】
さらに、短手方向(あるいは長手方向)を搬送方向と平行にして搬送されるワーク3を直角に水平回転させて、ワーク3が搬送される向きを変更すること、または、搬送される向きが適切でないワーク3を搬送路10上から排除することも難しくなり、搬送路10上でワーク3を同方向に一列一層で揃えることが可能な確率である整列効率も低下する。以下、選別効率、反転効率および整列効率をまとめて正方向率と呼ぶ場合がある。
【0007】
これら正方向率が低下すると、単位時間あたりに供給先に供給される正姿勢ワーク3の個数が減少し、パーツフィーダの能力低下につながる。
【0008】
一方、リニアフィーダの搬送路10へのワーク供給量が少なく、ボウルフィーダのワーク搬送速度がリニアフィーダのワーク搬送速度を下回り、図7(b)に示すようにリニアフィーダの搬送路10上でワーク3,3間の間隔が広くなると、単位時間あたりに前記供給先に搬送されるワーク3の個数が減少し、パーツフィーダの排出能力の低下につながる。
【0009】
そのため、リニアフィーダの搬送路10へのワーク供給量、ボウルフィーダとリニアフィーダでのワーク搬送速度などワーク3の密集度合に影響を与える各種設定値は、搬送路10上のワーク3,3全体が互いに適切な間隔をあけて搬送されるように定められることが通例である。しかしながら、ワークの搬送に伴う搬送路面の摩耗やワーク表面材の削れ粉の発生等の経時変化、静電気によるワークの搬送路への吸着、ロット違いによる摩擦係数の変化等が原因で、ワークの搬送速度が変化してワーク同士の間隔が変わる可能性があることから、ワーク間の間隔が変化した場合にそれを基準値に自動で調整可能な構成が望まれる。
【0010】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、搬送路を搬送する複数のワーク同士の間隔を好適な値に自動で調整でき、排出能力および正方向率が良好な状態に維持可能なパーツフィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明のパーツフィーダは、螺旋状の第1搬送路および前記第1搬送路を振動させる第1駆動手段を有するボウルフィーダと、前記第1搬送路の終端に接続され、前記第1搬送路からワークが搬送される直線状の第2搬送路、および前記第2搬送路を振動させる第2駆動手段を有するリニアフィーダと、前記第2搬送路にその長手方向に沿ってワークが存在する割合であるワーク充填率を得るワーク充填率算出手段と、前記ワーク充填率および予め定められた基準充填率に基づく指令値を前記駆動手段の少なくとも何れか一方に出力する駆動部制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このような構成であると、第1駆動手段の駆動によりボウルフィーダの第1搬送路からリニアフィーダの第2搬送路にワークが搬送され、第2駆動手段の駆動により第2搬送路上でワークが搬送される。駆動部制御手段は、ワーク充填率算出手段が得たワーク充填率および基準充填率に基づく指令値を駆動手段に出力する。そのため、ワークの搬送に伴う搬送面の摩耗やワーク表面材の削れ粉の発生等の経時変化、静電気によるワークの搬送面への吸着、ロット違いによる摩擦係数の変化等が原因でワーク充填率が変化しても、例えば、第1駆動手段の振動状態を変えて第1搬送路から第2搬送路へのワーク供給量を変更させる、或いは、第2駆動手段の振動状態を変えて第2搬送路でのワークの搬送速度を変更させることが可能になる。これにより、第2搬送路を搬送するワーク同士の間隔を変化させることができ、ワーク充填率を自動で基準充填率に調整できるので、排出能力および正方向率が良好な状態に維持できる。
【0014】
特に、リニアフィーダの各種設定を変更することなく、ワーク充填率を簡単に調整するためには、前記駆動部制御手段が、前記指令値に基づき、前記第1駆動手段を制御するよう構成されることが好ましい。
【0015】
或いは、前記駆動部制御手段が、前記指令値に基づき、前記第2振動手段を制御するよう構成されることも考えられる。
【0016】
上記の場合に、姿勢等が不適切なワークを安定して処理するためには、前記第2搬送路を搬送するワーク単体の搬送速度を算出する速度算出手段と、当該ワークの良否を判断する良否判別手段と、前記第2搬送路に設定した排除位置に圧縮空気を噴射する不適切ワーク処理手段と、前記ワーク単体の搬送速度に基づいて、前記良否判別手段が不良と判断したワークが前記排除位置に到達するタイミングを求め、このタイミングで前記不適切ワーク処理手段から圧縮空気を噴射させるタイミング制御手段と、を備える構成とすることが好ましい。
【0017】
ワーク充填率算出のための装置を別途設けることなく、簡単にワーク充填率を算出可能な構成とするためには、前記第2搬送路を搬送するワークを撮像するカメラと、当該ワークの良否を判別する良否判別手段とを備え、前記カメラが取得した画像データが、前記良否判別手段によるワークの良否判別と、前記ワーク充填率算出手段によるワーク充填率の算出に利用される構成とすることが好ましい。
【0018】
カメラを利用して簡単にワーク充填率を求めるためには、前記カメラが、前記搬送路上に設定された撮像位置を通過する前記ワークを所定の間隔で撮像する構成とし、ワーク充填率をPw(%)、カメラによる所定の計測時間をα(sec)、前記計測時間内におけるカメラの撮像間隔をS(sec)、前記計測時間内にカメラがワークを撮像した回数をAw(回)とした場合に、前記ワーク充填率算出手段は、下記式
【0019】
Pw=S・Aw/α・100
に基づいて前記ワーク充填率を算出する構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上、説明した本発明によれば、種々の原因でワーク充填率が変化しても、第2搬送路を搬送するワーク同士の間隔を変化させて、ワーク充填率を自動で基準充填率に調整できるので、排出能力および正方向率が良好な状態に維持できるパーツフィーダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るパーツフィーダを示す側面図。
図2】同パーツフィーダが行うタイミング制御処理を説明するための説明図。
図3】同パーツフィーダの動作を説明するためのタイミングチャート。
図4】ワーク充填率の算出方法を説明するための図。
図5】本発明の変形例を説明するための図。
図6】本発明の他の変形例を説明するための図。
図7】従来の問題点を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、本発明の一実施形態であるパーツフィーダ100は、ボウルフィーダ7と、ボウルフィーダ7に接続されたリニアフィーダ1と、リニアフィーダ1に設置されたラインカメラ2と、排除手段5と、制御装置4とを備える。
【0024】
ボウルフィーダ7は、ワーク3を収容可能なボウル本体71と、ボウル本体71の下部に配置されてボウル本体71をねじり振動により加振させる第1駆動手段70とを含んで構成される。
【0025】
ボウル本体71は、上部が開口したほぼ部分逆円錐状の部材であり、その内周壁72には螺旋状に上昇する第1搬送路73が溝状に形成されている。第1駆動手段70によってボウル本体71がねじり方向に振動すると、ワーク3は第1搬送路73に沿ってリニアフィーダ1との接続部74に向けて上方に搬送される。そのため、第1駆動手段70の振動は、ボウルフィーダ7からリニアフィーダ1へのワーク供給量に影響を与え、第1駆動手段70の振幅や振動数が大きいほど、第1搬送路73を搬送するワーク3の搬送速度が上がり、リニアフィーダ1への単位時間あたりの供給個数が多くなる。
【0026】
リニアフィーダ1は、第1搬送路73の終端に接続される直線状の第2搬送路10と、第2搬送路10を振動させる第2駆動手段11とを有する。第2駆動手段11は、第2搬送路10を振動させて、第2搬送路10上にある複数のワーク3を図1における左から右へ搬送する。なお、ワーク3は、その長手方向又は短手方向がワーク3の搬送方向と平行となるように搬送される。
【0027】
第1駆動手段70および第2駆動手段11は、初期状態では、第2搬送路10において複数のワーク3,3を後述する基準充填率で互いに所定の間隔をあけて搬送させることが可能な理論上の周波数や振幅に設定されている。第1駆動手段70および第2駆動手段11の振幅は、図示しないセンサで検出され、後述するボウル駆動部制御手段47aから指令が出力されるなどしない限り、一定に維持される。また、第1駆動手段70および第2駆動手段11の周波数は、省エネのため、振幅に合わせて共振点追尾される。
【0028】
図1に示すラインカメラ2は、第2搬送路10に設定された撮像位置(撮影点)P1の上方に設けられる。ラインカメラ2は、ワーク3の搬送方向(第2搬送路10の延在方向)に直交して1列に並ぶ複数の感度の高い撮像素子(不図示)を有し、第2搬送路10上を搬送されるワーク3の撮像を行う。ラインカメラ2の撮像範囲(撮像エリア)は、ワーク3の長手方向が搬送方向と平行である場合、ワーク3の搬送方向においてはワーク3の長手方向の一部を撮像する範囲、ワーク3の搬送方向に直交する方向においてはワーク3の短手方向全体を撮像する範囲に設定され、ワーク3の短手方向が搬送方向と平行である場合、ワーク3の搬送方向においてはワーク3の短手方向の一部を撮像する範囲、ワーク3の搬送方向に直交する方向においてはワーク3の長手方向全体を撮像する範囲に設定されている。
【0029】
ラインカメラ2により取得される画像データは、撮像素子が網の目状に複数配置されて1つのワーク3全体を撮像範囲とするエリアカメラよりも画素数が少なく、データ量が少ない。ラインカメラ2はワーク3が撮像位置P1に到達する前から一定間隔で連続して撮像を行うように動作し、下流側へ搬送されているワーク3が撮像位置P1を通過する間に複数回撮像を行ない、そのワーク3の前端3a(搬送方向下流側のワーク端部、図2参照)から後端3b(搬送方向上流側のワーク端部、図2参照)にわたって当該ワーク3の異なる位置がそれぞれ現れた複数の画像データを取得する。取得された画像データは、1回の撮像が行われるたびに後述する制御装置(コントローラ)4に転送される。
【0030】
図1に示す制御装置4は、図示しないCPUやインターフェース、および記憶手段48(メモリ)等を備えた通常のマイクロコンピュータユニットにより構成されるもので、記憶手段48内に適宜のプログラムが格納されており、CPUは逐次そのプログラムを読み込み、周辺ハードリソースと協働して画像取込手段40、前処理手段41、姿勢判別手段44、速度算出手段42a、指令出力手段45、タイミング制御手段46、ワーク充填率算出手段43a、充填率判定手段43bおよびボウル駆動部制御手段47aとしての役割を担う。
【0031】
画像取込手段40は、ラインカメラ2が撮像を行うたび、即時に画像データの制御装置4への取り込みを行う。前処理手段41は、2値化処理部41aと端部検出部41bと合成画像データ生成部41cとを有する。2値化処理部41aは、画像取込手段40により取り込まれた画像データ毎に即時に2値化処理等の所定の前処理を行う。また、端部検出部41bは、適宜の画像処理を通じて、画像データにおいてワーク3の前端3a及び後端3bを判別する。例えば、画像データではワーク3が現れている部分と、ワーク3以外のものが現れている部分(具体的には第2搬送路10)とでは色合い等が異なり、またワーク3を搬送方向に沿って密接に搬送している場合でもワーク3,3同士の間にはわずかに隙間ができていることから、ワーク3の前端3aまたは後端3bを撮像した画像データには、ワーク3の搬送方向に直交する方向に亘って色の濃さの異なる部分が現れる。端部検出部41bはこのような色の濃さの違い等から、画像データに現れたワーク3の前端3a及び後端3bを検出(画像判別)する。或いは、端部検出部41bが画像データにおいてワーク3の隅にあるR形状を判別することで前端3a及び後端3bを検出するように構成されてもよい。さらに合成画像データ生成部41cは、ワーク3の前端3aが現れた画像データから当該ワーク3の後端3bが現れた画像データまでを撮像順につなぎ合わせて、1つ分のワーク3の略全体が現れた2次元の画像データとして合成画像データを生成する。
【0032】
良否判別手段としての姿勢判別手段44は、このような合成画像データに基づきワーク3の姿勢を判別(画像判別)する姿勢判別処理を行う。例えば、前述の記憶手段48に適切な姿勢のワーク3の画像データを予め記憶しておき、合成画像データと記憶手段48に記憶された画像データとをパターンマッチングにより比較することでワーク3の姿勢を判別する。なお、所定の姿勢以外の姿勢としては、例えば表裏が反転していたり、前後方向の向きが逆になっていることが挙げられる。本実施形態では、上記のように画像データにおいてワーク3の前端3aと後端3bとを検出する構成であることから、ワーク3の搬送速度が変化したとしてもワーク3の前端3aが現れた画像データから当該ワーク3の後端3bが現れた画像データまでを撮像順につなぎ合わせて1つのワーク3の略全体が現れた合成画像データを得て、ラインカメラ2を用いてワーク3の姿勢を判別できる。
【0033】
速度算出手段42aは、このように姿勢判別にも利用される合成画像データに基づき、ワーク3単体の搬送速度を算出する速度算出処理を行う。速度算出手段42aは、具体的には、下記式(1)に基づきワーク3の搬送速度Vw(m/s)を算出する。
【0034】
Vw=Lw1/S・A・・・(1)
【0035】
ここで、Sは、ラインカメラ2のスキャンレートすなわちラインカメラ2の撮像間隔(sec)である。Aは、ラインカメラ2が単体のワーク3の略全体すなわちワーク3の前端側から後端側までを撮像するのに要する撮像回数(回)である。Lw1は、図2に示すようなワーク3の搬送方向長さ(m)である。速度算出手段42aは、ラインカメラ2の撮像間隔Sと撮像回数Aとの積である撮像所要時間をワーク3が撮像位置P1を通過するに要した時間とみなし、その撮像所要時間とワーク3の搬送方向長さLw1とに基づきワーク3の搬送速度を算出している。ワーク3の搬送方向長さLw1は実物のワーク3のものが予め設定されている。なお、ワーク3の搬送方向長さLw1やラインカメラ2の撮像間隔Sは入力手段48を介して入力される。また、速度算出手段42aは、撮像回数取得部42a1を有し、撮像回数取得部42a1は1回の撮像で得られる画像データの画素数と合成画像データの画素数とから撮像回数Aを算出する。
【0036】
このように算出されたワーク3単体の搬送速度は、図1に示す記憶手段48に順次記憶され、次に述べる不正姿勢ワーク3を排除するタイミング制御に用いられる。
【0037】
指令出力手段45は、姿勢判別手段44が不正姿勢であると判別すると、不正姿勢ワーク3を第2搬送路10上から排除する排除処理(排除動作)を行わせるための指令を排除手段5に出力する。不適切ワーク処理手段としての排除手段5は、前記撮像位置P1よりも搬送方向下流側に設定された排除位置P2に向けて圧縮空気を噴射する空気噴射ノズル50を有する。排除手段5は、排除位置P2まで搬送された不正姿勢ワーク3に、空気噴射ノズル50から噴射された圧縮空気で付勢力を付与し、当該ワーク3を第2搬送路10上から排除する。空気噴射ノズル50は前記指令としての通電指令が入力されることで圧縮空気が噴射される。ワーク3にはこの付勢力を作用させる目標位置Ps(図2参照)が予め設定されており、本実施形態では排除手段5と対向するワーク3側面の搬送方向中央が目標位置Psとして設定されている。この目標位置Psに付勢力を作用させることで、第2搬送路10上から排除する際に排除対象であるワーク3が水平回転しながら移動することを抑制できる。
【0038】
タイミング制御手段46は、速度算出手段42aが算出したワーク3単体の搬送速度に基づき、指令出力手段45が空気噴射ノズル50に通電指令を出力するタイミングを制御する。具体的には、下記式(2)に基づき、姿勢判別手段44が不正姿勢であると判別してから指令出力手段45が前記通電指令を出力するまでの待機時間tα(sec)(図3参照)を算出し、この待機時間tαに基づき指令出力手段45が空気噴射ノズル50に通電指令を出力するタイミングを制御することで、ワーク3の搬送速度が変化した場合でも前記目標位置Psに付勢力を作用させることができる。
【0039】
tα={(L−Lw2)/Vw}−tp−td・・・(2)
【0040】
ここで、Vwは第2搬送路10を搬送するワーク3単体の搬送速度(m/s)(図2参照)であり、Lは撮像位置P1から排除位置P2までの距離(m)(図2参照)であり、Lw2はワーク3の後端3bから目標位置Psまでの距離(m)(図2参照)であり、tpは前記画像取込手段40による1つ分のワーク3の取り込みの完了から前記姿勢判別手段44による姿勢判別の完了までに要する画像処理時間(sec)(図3参照)である。tdは、前記通電指令を受けた排除手段5が排除処理を通じてワーク3に付勢力を作用させるまでの機械的な伝達時間(sec)(図3参照)であり、排除手段5毎のパラメータ設定である。
【0041】
以上のような構成のパーツフィーダ100における動作を、図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、以下では不正姿勢の1つのワーク3がラインカメラ2により撮像されてから排除手段5により排除されるまでの動作を記載している。
【0042】
搬送路10上を搬送されるワーク3を時刻t01で撮像すると、それによって取得された画像データは即時に画像取込手段40を介して取り込まれ(転送され)、その画像データに対して2値化処理部41aが2値化等の前処理を行う。また端部検出部41bがワーク3の前端3a及び後端3bの検出を行い、時刻t01に取得された画像データにおいてはワーク3の前端3aが検出される。時刻t01における撮像後も所定の間隔で順次撮像が行われ、そのたびに画像データの取り込み及び前処理が即時に行われていく。そして、時刻t02の撮像で取得された画像データにおいて端部検出部41bによりワーク3の後端3bが認識されると、時刻t03で合成画像データ生成部41cが合成画像データの生成を開始するとともに、この合成画像データに基づき姿勢判別手段44による姿勢判別処理及び速度算出手段42による速度算出処理を行う。なお、時刻t03までの処理はハードウエア(例えばFPGA(field-programmable gate array))により行われ、時刻t03以後の処理はメモリに記憶させたプログラムを実行することによりソフト的に行われる。その後、タイミング制御手段46が待機時間tαを算出し、タイミング制御手段46は時刻t04から待機時間tαが経過した時刻t05に通電指令が出力されるように指令出力手段45を制御する。そして、これにより排除手段5の空気噴射ノズル50から圧縮空気が噴射され、時刻t05から伝達時間tdが経過した時刻t06でワーク3に空気による付勢力が実際に作用する。なお、仮に姿勢判別処理が行われたワーク3が適切な姿勢であり、姿勢判別処理により所定の姿勢であると判別された場合には、そのワーク3を搬送路10上から排除するための処理(通電指令の出力及び空気噴射ノズル50からの噴射)は行われない。なお、本解説では分かりやすく1つ分のワーク3で動作を説明した。
【0043】
このようにして、姿勢が不適切なワーク3は排除され、適切な姿勢のワーク3のみが第2搬送路の終端部10bに設けられた処理装置6(図1参照)に供給される。処理装置6は、第2搬送路10の終端部10bに到達したワーク3を順に持ち出し、所定の後処理を行う。
【0044】
次に、上記のようなワーク搬送および不適切ワーク排除処理と並行して行われるワーク充填率の調整処理について説明する。
【0045】
ワーク充填率は、第2搬送路10にその長手方向に沿ってワーク3が存在する割合であり、搬送面10a上を複数のワーク3,3が互いにどの程度の間隔で搬送されているか示すものである。
【0046】
図1に戻って、ワーク充填率算出手段43aは、下記式(3)に基づき、ワーク充填率Pw(%)を算出する。
【0047】
Pw=S・Aw/α・100・・・(3)
【0048】
ここで、αは、図4(a)に示すようなラインカメラ2による任意の計測時間(sec)である。Sは、計測時間α内におけるラインカメラ2のスキャンレートすなわちラインカメラ2の撮像間隔(sec)である。Awは、計測時間α内にラインカメラ2がワーク3を撮像した回数(回)である。すなわち、SとAwの積は、同図(a)に実線の矢印で示す時間を、同図(b)に示すように合計したものとなる。このようにして得られたワーク充填率Pwは、図1に示す記憶手段48に記憶される。
【0049】
ワーク充填率Pwが100%の場合、複数のワーク3が互いに隙間なく連続して搬送されていることを示し、ワーク充填率Pwが小さくなるほど、搬送されるワーク3,3同士の隙間が大きいことを示す。ワーク充填率Pwが100%であると、目的の不正姿勢ワーク3が隣接する他のワーク3と干渉するので、圧縮空気等の噴射により不正姿勢ワーク3を第2搬送路10上から適切に排除できる確率である選別効率、圧縮空気等の噴射により不正姿勢ワーク3を第2搬送路10上で適切に姿勢矯正できる確率である反転効率、および、第2搬送路の始端部などでワーク3を同方向に一列一層で揃えることが可能な確率である整列効率などの低下につながる。以下、整列効率、ならびに前述の反転効率および選別効率をまとめて正方向率と呼ぶ場合がある。
【0050】
また、ワーク充填率Pwが小さすぎると、第2搬送路10上でのワーク3単体の搬送速度が速くても、処理装置6に向けて搬送される単位時間あたりのワーク3個数が少なくなり、パーツフィーダ100の排出能力が低下しやすくなる。
【0051】
そのため、正方向率および排出能力を安定して良好に保つには、第2搬送路10上のワーク3の密集状態(充填状態)を監視し、ワーク充填率Pwが一定に維持されるよう、後述するように第1駆動手段70(ボウルフィーダ駆動部)をフィードバック制御し、第1搬送路73から第2搬送路10に搬送される単位時間あたりのワーク3個数を調整する。
【0052】
図1に示す充填率判定手段43bは、記憶手段48からワーク3の基準充填率およびワーク充填率算出手段43aが算出したワーク充填率Pwを呼び出し、基準充填率に基づいてワーク充填率Pwの可否を判定するものであり、例えば、基準充填率とワーク充填率Pwとの差分を求め、基準充填率になるよう、例えば一般的なPIDのようなループ制御を行い、振幅の指令値を算出する。この指令値は、ボウル駆動部制御手段47aにより第1駆動手段70に出力される。なお、この指令値を上げすぎると、ワーク3の搬送時姿勢が安定しないため、上限を満たす(超えない)ことが望ましい。
【0053】
あるいは、充填率判定手段43bは、基準充填率とワーク充填率Pwとの差分を求め、この差分が所定値以下の場合、ワーク充填率Pwが基準充填率に維持されていると判断して、第1駆動手段70の調整が不要と判定する一方、前記差分が所定値以下を超える場合、ワーク充填率Pwに基準充填率からずれが生じていると判断して、第1駆動手段70の調整が必要と判定する構成であってもよい。
【0054】
本実施形態において、ワーク3の基準充填率は、処理装置6の処理能力に応じて予め定められ、記憶手段48に記憶されている。処理装置6は、一般的に、単位時間あたりに処理可能なワーク3の最大個数が決まっている。そのため、基準充填率は、第2搬送路10におけるワーク3の搬送速度も考慮しつつ、処理装置6の単位時間あたりの最大処理個数とほぼ同等のペースで、ワーク3を第2搬送路10の終端部10bに搬送可能な値に設定される。これにより、第2搬送路10の終端部10bへのワーク供給量が、処理装置6の許容処理数(処理能力)を上回らないよう、第2搬送路10上でのワーク3の密集度合を調整できる。なお、基準充填率は、例えば95%程度が好ましい。
【0055】
充填率判定手段43bは、例えば、上記のように第1駆動手段70の調整が必要と判定した場合、基準充填率とワーク充填率Pwとの差分に基づいて、第1駆動手段70の振幅を一定値上げるか、或いは一定値下げるか判断し、その判断結果に対応する指令値をボウル駆動部制御手段47aが第1駆動手段70に出力するようにする。または、充填率判定手段43bは、基準充填率とワーク充填率Pwとの差分を相殺するために必要と推定される第1駆動手段70の振幅の変化量を求め、その変化量に対応する指令値をボウル駆動部制御手段47aから第1駆動手段70に出力するようにしてもよい。または、充填率判定手段43bは、現在の第1駆動手段70の振幅と、前記差分を相殺するために必要と推定される第1駆動手段70の振幅の変化量とに基づき、前記差分を相殺することが可能と推定される第1駆動手段70の振幅を求め、その振幅に対応する指令値をボウル駆動部制御手段47aから第2駆動手段11に出力するようにしてもよい。
【0056】
なお、第1駆動手段70の振動を調整できれば、前記指令値として、第1駆動手段70の周波数を変更させるものを出力する構成としてもよい。
【0057】
第1駆動手段70は、ボウル駆動部制御手段47aから出力された指令値に応じて振幅が変更される。例えば、ワーク充填率Pwが基準充填率に満たない状態の場合、ワーク3が密集状態ではないと判断され、第1搬送路73から第2搬送路10への単位時間あたりのワーク3の供給個数が増加するよう、第1駆動手段70の振幅を指令値に対応した値で上げるための制御が行われる。一方、ワーク充填率Pwが基準充填率を超過する状態の場合、ワーク3が密集状態と判断され、第1搬送路73から第2搬送路10への単位時間あたりのワーク3供給個数が減少するよう、第1駆動手段70の振幅を指令値に対応した値で下げるための制御が行われる。
【0058】
これにより、ワーク3の充填率が基準充填率に近づく方向に自動で調整され、不正姿勢ワーク3を排除あるいは姿勢変更する付勢力が隣接する他のワーク3に影響を与えない環境を作り、正姿勢のものが誤って排除されたり、姿勢変更されることが低減され、単位時間あたりに処理装置6に供給される正姿勢ワーク3の個数が減少することなく、パーツフィーダ100の排出能力(供給能力)の向上を図ることができる。
【0059】
図1に示す報知手段49は、所定条件から外れる指令値がボウル駆動部制御手段47aから出力されると、アラームを鳴らすよう構成される。例えば、何らかの原因で第2搬送路10が終端部10bを下方に向けて傾斜している、あるいは、イオナイザー(静電除去装置)など送風機能を有する他の装置からの風が第2搬送路10に当たり、それによりワーク3の搬送速度が加速しているなどの異常事態が発生していると、第2駆動手段11の振幅を上げるための制御をどれだけ行っても、基準充填率に対してワーク充填率が小さい状態が続くことがある。一方、何らかの原因によって第2搬送路10でワーク3が多量に詰まり、ワーク3が搬送されにくくなると、第1駆動手段70の振幅を下げるための制御をどれだけ行っても、基準充填率に対してワーク充填率が大きい状態が続くことがある。
【0060】
これらの状態に対処するため、例えば、同一内容の指令値(第1駆動手段70の振幅を一定値上げる又は下げる指令値)が連続出力される回数の上限値や、基準充填率とワーク充填率との差分を相殺するために必要と推定される第1駆動手段70の振幅の変化量の上限値、前記差分を相殺することが可能と推定される第1駆動手段70の振幅の上下限値を予め定めておき、報知手段49は、前記上限値を超える内容あるいは前記下限値を下回る内容の指令値が出力される場合、所定の条件から外れると判断してアラームを鳴らし、報知する。そのため、例えば、ボウル駆動部制御手段47aより第1駆動手段70の振幅を大幅に下げる指令が出力される場合、報知手段49は、前記差分を相殺するために必要と推定される第2駆動手段11の振幅の変化量が上限値を超えると判断して報知を行う。これにより、使用者が的確なタイミングでパーツフィーダ100の点検等を行うことができ、ボウル駆動部制御手段47aによる制御が行われても、第1駆動手段70の振幅が所定範囲内に収まるようにできる。
【0061】
以上のように本実施形態のパーツフィーダ100は、螺旋状の第1搬送路73および第1搬送路73を振動させる第1駆動手段70を有するボウルフィーダ7と、第1搬送路73の終端に接続され、第1搬送路73からワーク3が搬送される直線状の第2搬送路10、および第2搬送路10を振動させる第2駆動手段11を有するリニアフィーダ1と、第2搬送路10にその長手方向に沿ってワーク3が存在する割合であるワーク充填率Pwを得るワーク充填率算出手段43aと、ワーク充填率Pwおよび予め定められた基準充填率に基づく指令値を第1駆動手段70に出力する駆動部制御手段としてのボウル駆動部制御手段47aと、を備えることを特徴とする。
【0062】
このような構成であると、第1駆動手段70の駆動によりボウルフィーダ7の第1搬送路73からリニアフィーダ1の第2搬送路10にワーク3が搬送され、第2駆動手段11の駆動により第2搬送路10上でワーク3が搬送される。ボウル駆動部制御手段47aは、ワーク充填率算出手段43aが得たワーク充填率Pwおよび基準充填率に基づく指令値を第1駆動手段70に出力する。そのため、ワーク3の搬送に伴う搬送面10aの摩耗やワーク3表面材の削れ粉の発生等の経時変化、静電気によるワーク3の搬送面10aへの吸着、ロット違いによる摩擦係数の変化等が原因でワーク充填率Pwが変化しても、第1駆動手段70の振動状態を変えて、第1搬送路73から第2搬送路10へのワーク供給量を変更させることが可能になる。これにより、第2搬送路10でのワーク3の搬送速度に関する設定を変更しなくても、第2搬送路10を搬送するワーク3,3同士の間隔が変化し、ワーク充填率Pwを自動で基準充填率に調整できるので、排出能力および正方向率が良好な状態に維持できる。
【0063】
特に、ボウル駆動部制御手段47aが、前記指令値に基づき、第1駆動手段70を制御するよう構成されることから、ワーク充填率Pwの調整のためにリニアフィーダ1の各種設定を変更する必要がなく、特にワーク3の基準充填率が処理装置6の最大処理個数に対応する値に設定されている場合には、排出能力を最適の状態に維持しつつワーク充填率Pwを簡単に調整できる。
【0064】
加えて、第2搬送路10を搬送するワーク3を撮像するラインカメラ2と、当該ワーク3の良否を判別する良否判別手段としての姿勢判別手段44とを備え、ラインカメラ2が取得した画像データが、姿勢判別手段44によるワーク3の良否判別と、ワーク充填率算出手段43aによるワーク充填率Pwの算出に利用されることから、ワーク充填率Pwの算出のための装置を別途設けることなく、簡単にワーク充填率Pwを算出可能な構成とすることができる。
【0065】
とりわけ、ラインカメラ2により、第2搬送路10上に設定された撮像位置P1を通過するワーク3を所定の間隔で撮像するよう構成するとともに、上記式(3)に基づいてワーク充填率Pwを算出することから、ラインカメラ2を利用して簡単かつ適切にワーク充填率Pwを求めることができる。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0067】
例えば、本実施形態は報知手段49を備えるが、図5に示すように報知手段49を備えない構成であってもよい。
【0068】
また、本実施形態ではワーク充填率を調整する際、ボウル駆動部制御手段47aが第1駆動手段70の振幅を変更する、すなわちボウルフィーダ7からリニアフィーダ1に供給される単位時間あたりのワーク個数を変更する制御を行うが、図5に示すように、ボウル駆動部制御手段47aの代わりにリニア駆動部制御手段47bを備え、リニア駆動部制御手段47bがワーク充填率Pwおよび基準充填率に基づく指令値を第2駆動手段11に出力して、第2駆動手段11の振動をフィードバック制御する構成としてもよい。
【0069】
この場合、ワーク充填率Pwが基準充填率に満たない状態では、第2駆動手段11の振幅をリニア駆動部制御手段47bからの指令値に対応した値で下げる。第2駆動手段11に供給される単位時間あたりのワーク個数は変わらないので、これにより、第2搬送路10上でワーク3の搬送速度が遅くなり、ワーク3,3同士の隙間が小さくなって、ワーク充填率が大きくなる。
【0070】
一方、ワーク充填率Pwが基準充填率を超過する状態では、第2駆動手段11の振幅をリニア駆動部制御手段47bからの指令値に対応した値で上げる。第2駆動手段11に供給される単位時間あたりのワーク個数は変わらないので、これにより、第2搬送路10上でワーク3の搬送速度が速くなり、ワーク3,3同士の隙間が大きくなって、ワーク充填率が小さくなる。
【0071】
このように、ワーク充填率Pwおよび基準充填率に基づく指令値を第2駆動手段11に出力する駆動部制御手段としてのリニア駆動部制御手段47bを備える構成であると、ワーク3の搬送に伴う搬送面10aの摩耗やワーク3表面材の削れ粉の発生等の経時変化、静電気によるワーク3の搬送面10aへの吸着、ロット違いによる摩擦係数の変化等が原因でワーク充填率Pwが変化しても、第2駆動手段11の振動状態を変えて、第2搬送路10でのワーク3の搬送速度を変更することができる。これにより、第2搬送路10に供給される単位時間あたりのワーク3の個数がほぼ一定であれば、第2搬送路10を搬送するワーク3,3同士の間隔が変化し、ワーク充填率Pwを自動で基準充填率に調整できるので、排出能力および正方向率が良好な状態に維持できる。
【0072】
また、このような構成において、第2搬送路10を搬送するワーク3単体の搬送速度を算出する速度算出手段42aと、当該ワーク3の良否を判断する良否判別手段としての姿勢判別手段44と、第2搬送路10に設定した排除位置P2に圧縮空気を噴射する不適切ワーク処理手段としての排除手段5と、ワーク3単体の搬送速度に基づいて、姿勢判別手段44が不良と判断したワーク3が排除位置P2に到達するタイミングを求め、このタイミングで排除手段5から圧縮空気を噴射させるタイミング制御手段46と、を備える構成とすることで、速度算出手段42aが算出したワーク3単体の搬送速度に基づき、空気噴射ノズル50に通電指令を出力するタイミングを制御可能なので、リニア駆動部制御手段47bにより第2搬送路10を搬送するワーク3の搬送速度が変更されても、不正姿勢ワーク3を排除手段5により安定して第2搬送路10から排除でき、選別効率が良好な状態を維持できる。
【0073】
また、本実施形態では、ラインカメラ2が取得した画像データに基づきワーク充填率Pwが算出されるが、これに限定されず、例えば、ファイバセンサや近接センサなど各種センサを用いて算出されてもよい。この場合、下記式(4)に基づきワーク充填率Pw(%)が算出される。
【0074】
Pw=Tws/α・100・・・(4)
【0075】
ここで、αは、図6に示すようなセンサによる任意の計測時間(sec)である。Twsは、計測時間α内においてセンサによりワーク3が検出された時間の合計値(ワーク検出時間)(sec)であり、同図に実線矢印で示すワーク3単体の検出時間Twの和である。すなわちTwsは、Tw+Tw+・・・+Tw+Twである。
【0076】
また、本実施形態では、不正姿勢ワーク3を搬送路10上から排除するが、不正姿勢ワーク3の姿勢を搬送路10上で矯正する構成としてもよい。姿勢矯正は例えば圧縮空気を噴射することで行われ、噴射のタイミングはタイミング制御手段46により制御する構成としてもよい。
【0077】
さらに、本実施形態では、ラインカメラ2として撮像素子が1列に配列したものを用いているが、本発明の効果が発揮される範囲内において撮像素子が2列以上配列したものを用いてもよい。また、本実施形態ではラインカメラ2を用いているが、ラインカメラ2の代わりに、エリアカメラ内の複数の撮像素子の中でワークの搬送方向に直交して配列された1列あるいは2列程度の撮像素子のみを使い、本実施形態でのラインカメラ2と同等の使い方ができるエリアカメラを用いてもよい。
【0078】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1・・・リニアフィーダ
2・・・ラインカメラ
3・・・ワーク
5・・・不適切ワーク処理手段(排除手段)
7・・・ボウルフィーダ
10・・・第2搬送路
10a・・・搬送面
10b・・・第2搬送路の終端部
11・・・第2駆動手段
42a・・・速度算出手段
43a・・・ワーク充填率算出手段
44・・・姿勢判別手段(良否判別手段)
46・・・タイミング制御手段
47a・・・駆動部制御手段(ボウル駆動部制御手段)
47b・・・駆動部制御手段(リニア駆動部制御手段)
49・・・報知手段
70・・・第1駆動手段
73・・・第1搬送路
100・・・パーツフィーダ
P1・・・撮像位置
P2・・・排除位置
Pw・・・ワーク充填率
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7