特開2017-39684(P2017-39684A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ちふれ化粧品の特許一覧

特開2017-39684レスベラトロールを有効成分とするp53発現抑制剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-39684(P2017-39684A)
(43)【公開日】2017年2月23日
(54)【発明の名称】レスベラトロールを有効成分とするp53発現抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20170203BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170203BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20170203BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170203BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20170203BHJP
【FI】
   A61K31/05
   A61P43/00 111
   A61P17/16
   A61K8/34
   A61Q19/08
   A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】書面
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-175156(P2015-175156)
(22)【出願日】2015年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】595048544
【氏名又は名称】株式会社ちふれ化粧品
(72)【発明者】
【氏名】土江 久美子
(72)【発明者】
【氏名】田中 智洋
(72)【発明者】
【氏名】武智 貴之
(72)【発明者】
【氏名】小山 摂司
(72)【発明者】
【氏名】船坂 陽子
【テーマコード(参考)】
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC032
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC482
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD662
4C083CC03
4C083CC05
4C083EE12
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA20
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB21
4C206ZC41
(57)【要約】
【課題】細胞のアポトーシスを誘導することによって老化を促進するp53の発現を抑制する医薬品、または医薬部外品、または化粧品を提供する。
【解決手段】 レスベラトロールを含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レスベラトロールを有効成分とするp53発現抑制剤。
【請求項2】
p53発現抑制剤がp53のリン酸化を抑制することを特徴とする請求項1記載のp53発現抑制剤。
【請求項3】
p53発現抑制剤が抑制するp53が皮膚に存在することを特徴とする請求項1または2記載のp53発現抑制剤。
【請求項4】
p53発現抑制剤が抑制するp53が表皮角化細胞に存在することを特徴とする請求項1〜3記載のp53発現抑制剤。
【請求項5】
p53発現抑制剤が抑制するp53が真皮線維芽細胞に存在することを特徴とする請求項1〜3記載のp53発現抑制剤。
【請求項6】
p53発現抑制剤が抑制するp53がメラノサイトに存在することを特徴とする請求項1〜3記載のp53発現抑制剤。
【請求項7】
p53発現抑制剤が皮膚外用剤であることを特徴とする請求項1〜6に記載のp53発現抑制剤。
【請求項8】
p53発現抑制剤の効能、効果が皮膚の弾力性を保つことを特徴とする請求項1〜7に記載のp53発現抑制剤。
【請求項9】
p53発現抑制剤の効能、効果が皮膚のキメを保つことを特徴とする請求項1〜7に記載のp53発現抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はp53の発現を抑制することにより、細胞機能を調節するp53発現抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞が正常に活動するためには、細胞機能が正しく働くことが必要であり、その機能を調節するために数多くのたんぱくが関与している。従って、適切なたんぱくに働き掛け、その発現と活性を制御することは、生体を正常に維持する上で極めて重要である。
一方、生体が全体として恒常性を維持していくためには異常化してしまった細胞を除去することが必須といわれている。そのために極めて重要な機能の一つにアポトーシスがある。このアポトーシスには多くのたんぱくが関与しているが、なかでも重要なものの一つにp53がある。p53はがん抑制遺伝子と言われ、正常に機能することで生体をがんから守ることが知られているが、p53は生理作用の異なる様々な下流遺伝子群を転写活性化することから、がん抑制以外にも解糖系や活性酸素の調節、ミトコンドリアでの呼吸・エネルギー代謝、オートファジーなど多彩な生理機能を持つことが分かってきている(非特許文献1)。これらのことから、p53の発現や活性を調節することは生体の機能を調節するために極めて重要である。p53はリン酸化やアセチル化など様々な翻訳後修飾を受けることによりその発現や活性が制御されている。
p53の標的因子としてはPOMCやエンドセリン−1、SCFなどメラニン産生に関与する因子やp21やBax、Fasなどアポトーシスや細胞老化に関与する因子が同定されていることから、p53の働きを抑制することはメラニンの産生や細胞老化を抑制することにつながる。
【0003】
生体を守るために皮膚は重要な働きを示している。しかし、皮膚は外部から様々な刺激を受け、損傷を受けることが少なくない。
そのような刺激の中でも注目されているのは紫外線である。紫外線は様々な影響を皮膚に与えるが、その中でも紫外線によってアポトーシスが亢進しすぎると、皮膚の老化を促し、さまざまな悪影響が現れると考えられている(非特許文献2)。癌化細胞においてはアポトーシスや細胞老化は有用であるが、正常細胞においてはアポトーシスや細胞老化が抑制されることが望ましい。つまりp53の発現・活性が抑制されることが望ましい。
以上のことから、p53の発現・活性を抑制できる物質は非常に有用であることが考えられる。しかしながら現在までのところ、このような発現・活性抑制効果が高く、且つ安全性も高く、皮膚外用剤などの成分として利用が可能な成分は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
【0004】
一方、レスベラトロールはブドウ果皮や赤ワイン、ピーナッツ果皮などに含まれる植物性ポリフェノールの一種で抗ガン作用(非特許文献3)や抗炎症作用(非特許文献4)、神経保護作用(非特許文献5)などを有することが報告されている。また、抗老化に関わる薬剤が幅広く探求されており、レスベラトロールはSirt1を活性化することにより抗老化効果を示すことが知られている(非特許文献6)。しかし、レスベラトロールが皮膚の細胞においてp53の発現を抑制することはこれまで知られていなかった。
【0005】
我々は、皮膚細胞のアポトーシスに着目し、抗老化に関与する化合物とp53との作用を検討したところ、レスベラトロールがp53発現を抑制し、皮膚の恒常性の調節に働き、特に、紫外線照射に対する皮膚の劣化を抑制することを見出し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【0006】
【非特許文献1】生化学 第82巻 第3号 pp.200−209,2010
【非特許文献2】Int.J.Mol.Sci.2013,14,6414−6435
【非特許文献3】Science.1997,275,218−220
【非特許文献4】Pharmacol Res.2009,59,330−337
【非特許文献5】J Biol Chem.2005,280,40364−40374
【非特許文献6】Nature.2006,444,337−342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は細胞のアポトーシスを誘導することによって老化を促進するp53の発現を抑制する医薬品、または医薬部外品、または化粧品、または食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討した結果、レスベラトロールがp53の発現および活性を抑制する作用を有することを見出した。
前記の目的はレスベラトロールを含有することを特徴とするp53発現抑制剤によって達成された。
【発明の効果】
【0009】
本発明のp53発現抑制剤は、皮膚中のp53発現を抑制し、皮膚の弾力性を保つとともにハリを保つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明においては、発現抑制とは、タンパク質の発現を抑制することで量的活性を低下させる等、機能のネガティブ方向への調節を表すものである。
【0011】
本発明で用いられるレスベラトロールは3,5,4’−トリヒドロキシスチルベンとその誘導体を表し、二重結合は、シスでもトランスでもよく、シスとトランスの混合物でもよい。
レスベラトロール分子内の水酸基は置換されていてもよい。その置換基は、酢酸基、ブチル基のような飽和のエステル基でもよく、安息香酸基、ケイ皮酸基のような芳香族エステル基でもよく、そのエステル基がさらに置換された乳酸エステルや没食子酸エステルでもよい。レスベラトロール分子内の水酸基の置換基は、メチルエーテルなどのエーテル基でもよい。レスベラトロール分子内の水酸基の置換基は、オリゴ糖などの配糖体でもよい。
【0012】
本発明で用いられるレスベラトロールは、有機化学的または発酵によって製造されるレスベラトロールのほか、ブドウなどの植物から抽出されたものでもよく、抽出法については公知の方法が利用できる(特許文献1)。本発明で用いられる最も望ましいレスベラトロールは3,5,4’−トリヒドロキシ−トランス−スチルベンである。
【0013】
レスベラトロールは、生体がUVBに曝される際、UVB照射前、照射後に生体に接触させることにより、UVB照射によって誘導されるp53タンパク質発現を抑制する。
【0014】
本発明で発現抑制するp53は生体におけるいずれの組織・器官・細胞に存在するものでもよいが、より高い効果が期待されるのは、皮膚であり、皮膚を構成する細胞である表皮角化細胞・メラノサイト・真皮線維芽細胞であり、より望ましくは表皮角化細胞である。
【0015】
本発明のレスベラトロールを含有するp53発現抑制剤はp53の発現を抑制することで皮膚のたるみ・弾力低下などの皮膚老化を抑制するもので、化粧品や医薬部外品等に配合して外用剤として使用することが望ましいが、食品や医薬品、医薬部外品等に配合して経口摂取してもよい。
【0016】
本発明のp53発現抑制剤を皮膚外用剤として用いる場合、レスベラトロールを水溶性の溶剤に溶解したのち、水で希釈した水溶液として塗付することもできるし、医薬品または医薬部外品または化粧品として一般に使われているようなクリームとして塗付することもできる。
【0017】
使用方法としては、紫外線照射によって誘導されるp53の発現を抑制するためには、紫外線に当たる前に皮膚に塗布し、紫外線に当たった後にも塗布することが望ましい。
【先行技術文献】
【0018】
【特許文献1】特開2014−24808
【0019】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0020】
(p53発現抑制作用確認試験)
成人由来正常ヒトケラチノサイト(NHEK)を、COインキュベータ(37 ℃,5%CO)内でケラチノサイト無血清培地(Kerationcyte growth Medium Kit Cell;Applications,Inc.cat.No.131K−500a)を用いて培養した。NHEK細胞を60 mm dish に均等に播種してコンフルエントの状態まで培養した後、レスベラトロール(R5010−100MG,SIGMA−ALDRICH) 0, 5, 10, 25μg/mLを含む培地に置換して更に24時間培養した。その後、PBS(−)に置換して25 mJ/cmの強さで細胞にUVB照射を行った。照射後、ただちにレスベラトロール 0, 5, 10, 25μg/mLを含む培地に置換し、更に24時間培養した。その後、細胞をPBS(−)で洗ったのち、Lysis buffer(20 mM Tris−HCl (pH7.4),150 mM NaCl, 2 mM EDTA, 1% NP−40, 1% デオキシコール酸Na, 0.1%SDS, 50 mM NaF, 10μg/mL アプロチニン, 10μg/mL ロイペプチン, 1 mM NaVO, 1 mM PMSF, 5 mM 2−メルカプトエタノール)を50 μL添加し、氷上でセルスクレイパーを用いて細胞を破砕した。この細胞破砕液をウェスタンブロット用泳動サンプルとした。
【0021】
アクリルアミドを7.5%含む分離ゲル及び濃縮ゲルをそれぞれ作製し、ゲル1枚あたり40mAの定電流、還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行った。その後、このゲルとPVDF膜を転写装置にセットし、ゲル内のタンパク質を電気化学的にPVDF膜に転写した。転写条件は、PVDF膜1枚あたり150mAの定電流で150分間実施した。転写された膜を4%スキムミルクを含む0.05%Tween−20 in PBS(−)(pH7.5)(PBST)に浸し、一晩ブロッキングを行った。
【0022】
1次抗体p53 antibody (DO−1)(SANTA CRUZ)を1%スキムミルクを含むPBSTに希釈し、その溶液にPVDF膜を漬けて、1時間室温で振とうさせた。その後、適量のPBSTで5分間5回洗浄した。次に、PVDF膜を1%スキムミルクを含むPBSTで希釈した2次抗体Anti−mouse IgG, HRP−linked Antibody (Cell Signaling Technology)に漬け、1時間室温で振とうさせた。その後、再び洗浄工程を5回繰り返した。洗浄工程後、PVDF膜をECL Prime Western Blotting Detection Reagent (RPN2232,Amersham (GE Healthcare)) に5分間浸漬したのち、LAS4000mini (GE Healthcare) を使用して、化学発光法によりp53タンパク質の検出を行った。
【0023】
検出されたバンド強度を数値化し、レスベラトロール非添加時のp53の発現を全て抑えた場合を抑制率100%として、各サンプル添加時の抑制率を算出した。その結果、表1に示す通り、レスベラトロールの濃度依存的にp53のタンパク質発現の抑制が認められた。
【0024】
【表1】
【実施例2】
【0025】
(p53リン酸化抑制作用確認試験)
ヒト表皮角化細胞株(HaCaT細胞)を、COインキュベータ(37℃,5%CO)内でDulbecco‘s modified eagle’s medium(DMEM D6429, SIGMA−ALDRICH) を用いて培養した。HaCaT細胞を60 mm dish に均等に播種してコンフルエントの状態まで培養した後、レスベラトロール(R5010−100MG, SIGMA−ALDRICH) 0, 25μg/mLを含む培地に置換して更に24時間培養した。その後、PBS(−)に置換して25 mJ/cmの強さで細胞にUVB照射を行った。照射後、ただちにレスベラトロール 0, 25μg/mLを含む培地に置換し、更に24時間培養した。その後、細胞をPBS(−)で洗ったのち、Lysis buffer(20 mM Tris−HCl (pH7.4), 150 mM NaCl, 2 mM EDTA, 1% NP−40, 1%デオキシコール酸Na, 0.1%SDS, 50 mM NaF, 10μg/mL アプロチニン, 10μg/mL ロイペプチン, 1 mM NaVO, 1 mM PMSF, 5 mM 2−メルカプトエタノール)を50 μL添加し、氷上でセルスクレイパーを用いて細胞を破砕した。この細胞破砕液をウェスタンブロット用泳動サンプルとした。
【0026】
アクリルアミドを7.5%含む分離ゲル及び濃縮ゲルをそれぞれ作製し、ゲル1枚あたり40mAの定電流、還元条件下でSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行った。その後、このゲルとPVDF膜を転写装置にセットし、ゲル内のタンパク質を電気化学的にPVDF膜に転写した。転写条件は、PVDF膜1枚あたり150mAの定電流で150分間実施した。転写された膜を4%スキムミルクを含む0.05%Tween−20 in PBS(−)(pH7.5)(PBST)に浸し、一晩ブロッキングを行った。
【0027】
1次抗体Phospho−p53(Ser15) antibody(#9284,Cell Signaling Technology)を1%スキムミルクを含むPBSTに希釈し、その溶液にPVDF膜を漬けて、1時間室温で振とうさせた。その後、適量のPBSTで5分間5回洗浄した。次に、PVDF膜を1%スキムミルクを含むPBSTで希釈した2次抗体HRP−Goat Anti−Rabbit IgG(H+L)(65−6120, Invitrogen)に漬け、1時間室温で振とうさせた。その後、再び洗浄工程を5回繰り返した。洗浄工程後、PVDF膜をECL Prime Western Blotting Detection Reagent (RPN2232, Amersham (GE Healthcare)) に5分間浸漬したのち、LAS4000mini (GE Healthcare) を使用して、化学発光法によりリン酸化p53タンパク質の検出を行った。
【0028】
検出されたバンド強度を数値化し、レスベラトロール非添加時のp53のリン酸化を全て抑えた場合を抑制率100%として、レスベラトロール添加時の抑制率を算出した。その結果、表2に示す通り、レスベラトロール添加によりp53リン酸化の抑制が認められた。
【0029】
【表2】
【実施例3】
【0030】
(皮膚外用剤の調製)
以下の実施例3および比較例3における表内の配合量は特に断らない限り重量%を示す。
皮膚用クリームの調製(表3、実施例3)
(1)流動パラフィン 6.0(重量%)
(2)ミリスチン酸イソプロピル 3.0
(3)シクロヘキサン 2.5
(4)ジメチコン 2.0
(5)ベヘニルアルコール 3.4
(6)ワセリン 2.0
(7)ステアリン酸ソルビタン 1.5
(8)セテス−20 3.4
(9)トコフェロール 0.02
(10)クエン酸 0.05
(11)1,3−ブチレングリコール 1.0
(12)メチルパラベン 0.15
(13)プロピルパラベン 0.07
(14)ジプロピレングリコール 1.9
(15)レスベラトロール 0.02
(16)精製水 残部
【0031】
(製造方法)
上記原料(1)〜(9)、(15)を混合し、遮光し、80℃で加熱撹拌した。・・・油相
他方、(10)〜(14)、(16)を混合し、80℃で加熱撹拌した。・・・水相
遮光した状態で80℃で油相を撹拌しながら、水相を添加し、ホモジナイザーで均一に乳化した。全行程は、遮光して行うのが望ましく、また、遮光して保存することが望ましい。
【0032】
(比較用クリーム(表3、比較例3)の調製)
前述の皮膚用クリームの調製と、レスベラトロールを加えないことを除けば全く同様にして、比較用クリーム(表3、比較例3)を製造した。製造時と保存時の遮光も、実施例と全く同様にした。
【0033】
(皮膚外用剤の効果確認試験)
20代から50代までのボランティア女性によって、実施例3と比較例3(対照群)とで、あまり年代に偏りのない評価パネルを実施例14人(平均年齢38歳)、比較例13人(平均年齢35歳)で構成した。
【0034】
調製した実施例3のクリームと比較例3のクリームを両目下部に塗った以外は普段と同じ化粧をし、普段と同じ生活を8週間行った。ただし、意図的な日光浴など、紫外線に激しく晒される行動は避けた。
【0035】
肌の弾力について、試験終了後の両目下部の肌状態について、パネルメンバーにアンケートを依頼し、結果を集計した。
肌のキメについて、試験開始前と終了後にテープストリッピング法(非特許文献7)で両目下部の角層最外層を採取し、前後の状態変化を調べた。
パネルには、試験の目的を説明し、日光浴を避けるなどの注意事項を周知したが、各メンバーが実施例に相当するか比較例に相当するかは明かさなかった。
【先行技術文献】
【0036】
【非特許文献7】J. Soc. Cosmet. Chem. Japan, Vol. 23, No. 1, 55‐57 (1989)
【0037】
両目下部の皮膚を何度か軽く押し、跳ね返る強さについて、試験前後の変化について評点し、肌の弾力性の評価を行った。
(5段階評定基準)
評点2: 試験後の方が跳ね返ってくる。
評点1: 試験後の方が跳ね返ってくる気がする。
評点0: 試験前後で変化は感じられない。
評点−1: 試験後の方が跳ね返ってこない気がする。
評点−2: 試験後の方が跳ね返ってこない。
(弾力性の判定基準)
○: パネルの平均点が0.5以上。
△: パネルの平均点が−0.5以上0.5未満。
×: パネルの平均点が−0.5点未満。
【0038】
肌のキメの評価は以下の様に行った。
角層標本の観察面積は2.4平方cmとした。
一標本当り、重なり合っていない角層細胞のうち、大きい方から5個の細胞を選び、その面積の総和を測定した。
各人について、試験前後の総和の比を計算した。一般に、角層面積が大きいほどキメがよいと判断される。
【0039】
結果を表3に示した。
実施例3では弾力性とキメについて改善効果が認められた。また、何ら負の差異は認められなかった。
【0040】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0041】
細胞のアポトーシスを誘導することによって老化を促進するp53の発現を抑制する医薬品、または医薬部外品、または化粧品等に利用できる。